小向 幹雄さん
~まちづくりをライフワークとして震災後の支援に貢献~

名前(年齢) こむかい みきお
小向 幹雄さん(78歳)
地域 岩手県下閉伊郡大槌町
活動概要 平成13年に「NPO法人まちづくり・ぐるっとおおつち」を設立。法人運営の要を担い、農業体験学習や少年少女合唱団の結成、世代間交流などに貢献した。震災後は、仮設住宅生活者の支援を柱に活動を行っている。
表章の類型 地域社会の中で、地域住民のリーダーやコーディネーター的な役割を発揮し生き生きと生活している事例
キーワード まちづくり/農業体験学習/世代間交流/地産地消/環境保全活動/被災者支援/高齢者の送迎

(注)年齢は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

地元野菜の移動販売の光景

心豊かに明るく元気に暮らせるまちづくり

 平成9年(62歳)に大槌町で開催された「全国豊かな海づくり大会」のプレイベントとして、当時若者たちで結成された「和夢」という活動団体が、大槌の歴史を伝える「大槌時代絵巻」を企画・実施した際、活動目的に賛同したことがきっかけとなり、町民が心豊かに明るく元気に暮らせるまちづくりに参与する活動をしようと、平成13年に「NPO法人まちづくり・ぐるっとおおつち」を設立しました。

活動内容や現在の活動状況

「おおちゃん人形」を制作する光景


心理的サポートとして始められた写経の様子

震災後の生活支援を柱に活動

 「NPO法人まちづくり・ぐるっとおおつち」の設立当初、小向さんは事務局長に就任しました。当時、学校週休2日制の実施に伴い、児童の有効な時間の過ごし方を町教育委員会と連携して考え、小学生の農業体験学習の実施や少年少女合唱団の結成、内陸の子どもたちに沿岸の活動を体験させる活動を中心に世代間交流事業の企画運営、さらに、地産池消の推進、環境保護活動と幅広い活動を展開する要の役割を果たしています。
 平成20年4月から町の施設「御社池ふれあいセンター」の管理を受託し、同センターを活用し、世代間交流事業の企画運営、地産地消の推進、環境保護活動を行っていました。しかし、東日本大震災で同センターは被災し、廃止されることになりました。
 東日本大震災による被災後は、被災者の生活支援を中心に、仮設住宅(一部在宅被災者の含む)生活者の雇用並びに収入促進、移動手段の確保による外出のサポート、交流機会の減少に対する心理的・社会的サポートを図る活動を実施しています。
 雇用と収入促進では、町のキャラクター「おおちゃん人形」に、独自の「こづちちゃん」も考案し、復興の祈りを日本から世界へと発信するマスコットとして制作と販売活動に力を注ぎ仮設住宅入居者の内職援助を進めています。

ポイント、工夫している点

地元NPO法人ならではの幅広い活動

 東日本大震災の被災により、他のNPO法人が活動を中止する中で、自らも被災者でありながら地元のNPO法人として新たな取組みを模索し、仮設住宅入居者及び在宅被災者の生活支援活動を柱に活動を実施しています。
 仮設商店街もできましたが、震災前の活動を受け継いで、移動販売車で地元の野菜を安価(主に100円)で販売しています。地元の味・伝統郷土料理を中心に温かい料理とおやつを販売しています。町民の絆を深め、情報を共有しようと町民瓦版を発行し、町の委託を受けて災害FMラジオ局の運営を担い、町の新しい文化となるような放送を目指しています。仮設住宅入居者のために、豆腐作りやそば打ち体験講習会、心理的サポートの面から写経やカラオケお楽しみ会を開いています。特に、高齢者の通院や買い物のための外出には、販売車やキッチンカーの使用が可能な限り送迎を行っています。

将来計画について語る小向さんの様子

 〔本人インタビュー〕
 地元のNPOとして、今後も活動を継続するためには、自活できるNPOを目指します。そのために、弁当の配食や特産品の開発などの活動をはじめ、町内の生産物の販売場所の提供により、経済の活性化が促進され、少しでも復興にはずみがつく活動を予定し、計画中です。
 復興には、経済の活性化が一番重要だと考え、雇用と収入促進に引き続き力を注いでいきます。