奥田 英人さん
~絵手紙文化の輪を広げ、同好者の育成に取り組む~

名前(年齢) おくだ ひでと
奥田 英人さん(78歳)
地域 広島県広島市
活動概要 定年退職後、在職中に通信教育等で培った特技(絵手紙・レタリング・デザイン)をいかしてボランティアで絵手紙教室を開催。日本絵手紙協会の公認講師資格を取得し活動が広がり、現在は13の教室を運営している。
表章の類型 中高年から一念発起して、物事を成し遂げた事例
キーワード 絵手紙文化の普及/同好者の育成

(注)年齢は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

絵手紙教室で受章の報告する奥田さん

自分の特技を生かし、絵手紙講師資格を取得

 郵便局在職中の平成4年(58歳)の時、広島中央郵便局で、絵手紙創始者の小池邦夫氏(現 日本絵手紙協会会長)を招いて開催された絵手紙講演会に出席し、絵手紙に強く関心を持ち、通信教育の講座でデザイン、レタリング、絵手紙の講座を受講し、その技術を習得しました。在職中には郵政美術展の上位入賞の常連で、郵政大臣賞の受賞を機に、中国地方管内の郵便局で広報技術講習会を担当し、指導に当たるとともに、自らもその技術の向上に努めました。
 その後、平成6年(60歳)に定年退職しましたが、広島中央郵便局からの依頼により、ボランティアで絵手紙教室を開催したことをきっかけに、絵手紙講師として活動、文化普及に貢献したいとの思いから、公認資格を取得し、現在では13教室を開設し、絵手紙文化の普及活動を精力的に行っています。

活動内容や現在の活動状況

同好会作の絵手紙を地域の郵便局で展示


「ベンガラ工場」奥田さん作(第68回東光展)

絵手紙同好者の育成に尽力、継続的に活動

 平成6年(60歳)で定年退職後、郵便局の依頼を受けて、ボランティアによる絵手紙教室を開催する傍ら、自らは日本絵手紙協会の主催する講習会等に通い、平成16年に同協会認定の絵手紙公認講師資格を取得しました。それを機に、郵便局や公民館での絵手紙教室8カ所、老人施設や病院のデイサービス内などで4カ所、サークル1室の計13教室、各月1回程度の活動を継続しています。また、地元のテレビ番組「ベストスマイル」で奥田さんへの取材があり、奥田さんの絵手紙や活動が紹介されました。この番組を見た絵手紙教室の以前の受講者から多くの絵手紙が寄せられたり、問合せなどがあり、奥田さんのこれまでの活動が数多くの絵手紙同好者を育成し、また絵手紙文化の醸成に貢献している証しであると奥田さん自身大変励まされました。今後も活動の幅を広げるべく、工夫を凝らした教室を運営していくつもりです。

ポイント、工夫している点

初めの一歩は「奥田式(ぬり絵)絵手紙」

 絵手紙教室の開講当初、高齢者の中にはどこから取り掛かればよいのか戸惑う様子をみせたり、具体物を示しても全く描くことができない受講者も多かったりしたことから、奥田さんがあらかじめ描いた下絵に好きな色を付け、ひとこと言葉を添えるだけで簡単に絵手紙の形に仕上がるという「奥田式(ぬり絵)絵手紙」を考案しました。この「奥田式絵手紙」の導入と奥田さんのサポートにより、多くの高齢者や絵に自信がない初心者が、表現することを楽しみ、気軽に取組むことができるようになりました。
 また平成20年には、病院や老人施設等での活動経験から、さらに知識を広げ活動に役立てようと、臨床美術士(5級)の資格を取得しました。臨床美術とは、創作活動による認知症の症状改善を目的として開発されましたが、現在では社会人向けメンタルヘルスケアや学童の総合的学習にも取り入れられています。奥田さんはこの資格取得により、受講者が苦手意識を持つことのないよう、また絵手紙の創作によって受講者の感性を上手に引き出すことで、毎日の生活に活力を与え、高齢者が健全で自立した日常生活を送る、そのお手伝いが出来るのではないかと考えています。

課題と今後の展開

「地域で、共に楽しく」をモットーに継続して活動

 現在13教室を運営しており、「地域の方々と共に、たのしく」をモットーに活動を継続し、絵手紙文化の普及に貢献していきたいと考えています。また、臨床美術士の更なる上級資格の取得を目指して、自らも講師として知識を深め、よりよい教室づくりのための努力も怠ることなく継続しています。
 その他、趣味で俳句や川柳、また俳句の意味するところを視覚化する俳画などに取り組んでいますが、それによって得た知識が教室に反映されることによって、受講者の個性を引き出し、より創作に意欲的に取り組む教室環境づくりを心掛け、地域の高齢者などの生きる意欲を引き出すお手伝いができるよう、講座に創意工夫を凝らしていく構えです。