第1章 高齢社会対策の方向

3 問題の多い借家の居住水準

 高齢単身者の世帯における持ち家率は65.3%となっており、高齢者のいる世帯全体(85.3%)と比べて低い。逆に、民間の賃貸住宅に住む者が多く、22.8%の高齢単身者が民営借家に住んでいる。公営等の借家に住む者は11.3%存在する(後出第2章図2−2−42)。
 また、現在住んでいる住宅について「何も問題点はない」としている単身の高齢者は52.4%で、他の家族形態に比べてその割合は低い。主な問題点としては、「住まいが古くなりいたんでいる」が21.2%、「構造や造りが高齢者には使いにくい」が13.2%、「台所、便所、浴室などの設備が使いにくい」が10.8%となっており、これらの多くは他の家族形態に比べて高い割合となっている(図1−3−8)。

図1−3−8 住宅で困っていること(複数回答)  <CSVデータ>

家族形態別にみた高齢者が認識する住宅に関する問題点を示したグラフ

 このように、単身の高齢者は、持ち家に住む者が最も多いが、その割合は高齢者全体でみた場合に比べて小さい。一方で、民営や公営等の借家に住む者が多いが、これらの住宅では居住水準が十分でなく、構造や設備に問題がある場合が少なくない。また、より水準の高い民間賃貸住宅に住替えようとしても、民間の賃貸住宅では、高齢単身者の入居を断られる場合が少なくない。

(新大綱に基づく施策の方向)
 高齢者が使いやすいように配慮した良質な民間賃貸住宅の供給が促進されるよう、補助や融資等の支援を行うとともに、公共賃貸住宅においても良質な住宅の適切な供給を行い、また既存住宅を改良していく。
 また、高齢者の賃貸住宅への円滑な入居を確保するため、高齢者の入居を受け入れる民間賃貸住宅を都道府県知事などに登録し、その情報を提供する体制を整備するとともに、登録された住宅については滞納家賃を債務保証することによって大家の不安を解消し、登録制度の普及・活用を進める。

 

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