第1章 高齢化の状況 

(2)高齢者の安全・安心

ア 外出する機会が増加する一方、交通事故も増加傾向
 60歳以上の高齢者の外出状況についてみると、「ほとんど毎日外出する」が59.7%と6割近くを占め、「ときどき外出する」は32.9%、「ほとんど外出しない」は7.3%となっている。過去の調査と比較すると、「ほとんど毎日外出する」の割合が増加している(図1-2-63)。

図1-2-63 高齢者の外出状況
図1-2-63 高齢者の外出状況

 65歳以上の高齢者の交通事故死者数をみると、平成18(2006)年は2,809人で14(2002)年より減少しつつあるが、交通事故死者数全体に占める割合は年々増加しつつあり、18(2006)年は44.2%となっている(図1-2-64)。

図1-2-64 年齢層別交通事故死者数の推移
図1-2-64 年齢層別交通事故死者数の推移

 一方で、高齢運転者による交通事故件数についてみると、運転免許保有者の増加や高齢者が運転する機会が増加していることを背景として年々増え続けている。65歳以上の高齢運転者(原付以上)による交通事故件数は、平成17(2005)年は98,550件と、16(2004)年に比べ4.0%の増加となった(全年齢の計では1.9%の減少)。10年前の7(1995)年と比較すると、65歳以上の高齢者では2.4倍、75歳以上の後期高齢者では約3.5倍と、高い伸びを示している(図1-2-65)。

図1-2-65 高齢者による交通事故件数の推移(各年12月末)
図1-2-65 高齢者による交通事故件数の推移(各年12月末)

 60歳以上の高齢者の外出に利用する手段についてみてみると、「徒歩」が57.7%と最も高く、次いで、「自分で運転する自動車」が38.9%、「自転車」が30.2%、「家族などの運転する自動車」が23.9%、「バス」が18.8%の順になっている。過去の調査と比較すると、「自分で運転する自動車」の割合が増加傾向にあり、高齢運転者による交通事故件数の増加の一因となっていると考えられる(図1-2-66)。

図1-2-66 高齢者の外出手段(複数回答)
図1-2-66 高齢者の外出手段(複数回答)

 また、自分で自動車を運転する60歳以上の高齢者(日常の外出手段として「自分で運転する自動車」を挙げた38.9%の者(複数回答))の運転頻度についてみると、「ほとんど毎日運転する」が64.1%と過半数を占め、「週2、3回は運転する」が25.5%となっており、約9割の者が週2、3回以上運転している(図1-2-67)。

図1-2-67 自分で自動車を運転する高齢者の運転頻度
図1-2-67 自分で自動車を運転する高齢者の運転頻度

 自分で自動車を運転する60歳以上の高齢者に、今後の運転に関する意向について聞いたところ、「視力の低下などにより運転に支障を感じたら、車の運転をやめようと思っている」が50.5%、「一定の年齢になったら、車の運転をやめようと思っている」が28.0%となっている一方で、「年齢や身体的な支障の有無にかかわらず、車の運転を続けようと思っている」が17.5%となっている(図1-2-68)。

図1-2-68 今後の運転に関する意向
図1-2-68 今後の運転に関する意向

 2割弱の人が年齢や身体的な支障の有無にかかわらず、車の運転を続ける意向を持っていることになるが、その理由については、「買い物や通院など、自分や家族の日常生活上不可欠だから」が54.7%で最も高く、次いで「車の運転操作には慣れているから」が45.3%となっており、自動車が一部の高齢者にとっては生活していく上で必要不可欠なものとなっていることがわかる。

イ オレオレ詐欺・恐喝の被害者の約半数が高齢者
 犯罪による65歳以上の高齢者の被害の状況について、刑法犯被害認知件数でみると、平成7(1995)年は9万4,195件であったが、17(2005)年には17万8,881件に増加しており、全被害認知件数の9.3%を占めている。
 なお、振り込め詐欺・恐喝事件のうち、いわゆるオレオレ詐欺・恐喝事件の平成18(2006)年の認知件数は7,093件である。そのうち年齢が判明している被害者3,707人を分析したところ、65歳以上の割合は51.3%となっている。
 また、65歳以上の高齢者の火災による死者数(放火自殺者を除く。)についてみると、平成17(2005)年は839人であり、全死者数の半分以上を占めている(図1-2-69)。

図1-2-69 犯罪、火災による高齢者の被害の推移
図1-2-69 犯罪、火災による高齢者の被害の推移

ウ 消費トラブルの被害が年々増加している
 全国の消費生活センターに寄せられた契約当事者が70歳以上の相談件数は、平成12(2000)年度は43,336件であったのが年々増加し、18(2006)年度は124,994件で、相談全体の12%を占めている。また、寄せられた相談について販売方法・手口をみると、家庭訪販が27.1%、次いで電話勧誘が8.4%となっている。これは、高齢者が自宅にいることが多いことが背景にあると考えられる(図1-2-70)。

図1-2-70 契約当事者が70歳以上の消費相談件数
図1-2-70 契約当事者が70歳以上の消費相談件数

エ 家庭内で虐待を受けている高齢者の8割が「認知症あり」
 家庭内で虐待を受けている高齢者(65歳以上)についてみると、性別では女性が8割近くを占め、年齢階級別では75歳以上の後期高齢者が8割を超えている。また、認知症のランク別では、介護等を必要とするランクIII以上がおよそ3割で、より自立度の高いランクI及びIIを含めた「認知症あり」では8割近くを占めている(図1-2-71)。

図1-2-71 虐待を受けている高齢者の属性
図1-2-71 虐待を受けている高齢者の属性

 なお、虐待の加害者は、「息子」が32.1%と最も多く、次いで、「息子の配偶者(嫁)」20.6%、「配偶者」20.3%(「夫」11.8%、「妻」8.5%)、「娘」16.3%となっている。

 第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向

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