平成20年度 高齢社会対策(第2 1(2))

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第2 分野別の高齢社会対策

1 就業・所得

(2)勤労者の生涯を通じた能力の発揮

ア 勤労者の職業生活の全期間を通じた能力の開発

「職業能力開発促進法」(昭和44年法律第64号)及び同法に基づく「職業能力開発基本計画」の策定により、経済社会の活力の維持・向上の観点等から、雇用労働者のみならず、ニート状態にある者、出産・育児等により職業キャリアを中断している者、職業生活からの引退過程にある高齢者等、職業キャリアの準備期、発展期及び円熟期の各段階に応じた職業キャリア形成支援政策を引き続き進めていく。

特に、今後の人口減少社会において、高い就業意欲を有する高齢者の活躍の場を広げることは重要な課題であり、これら高齢者のもつ多様な経験と熟練した技能を中小企業等への技能継承支援に活用している。

平成20年度においても、引き続き団塊世代を始めとした熟練技能者の積極的な活用を図ることとしている。

イ ゆとりある職業生活の実現等

仕事と生活の調和推進のため、事業主等が労働時間等の設定の改善について適切に対処するための事項を定めた「労働時間等設定改善指針」(通称:「労働時間等見直しガイドライン」)について、平成19年12月に策定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を踏まえ、その趣旨を盛り込むべく改正したところであり、周知啓発を図る。

また、我が国を代表する社会的影響力のある企業(モデル企業)を選定し、モデル企業における仕事と生活の調和の実現に向けた取組の状況や成果についての周知を行うとともに、都道府県ごとに設置した「仕事と生活の調和推進会議」の開催を通じた地域ごとの取組を推進すること等により、仕事と生活の調和の実現に向けた社会的気運の醸成を図る。

ウ 雇用・就業における女性の能力発揮

男女雇用機会均等の更なる推進を図るため、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和47年法律第113号)に沿った均等取扱いが徹底されるよう指導等を行うとともに、周知啓発等を実施する。

また、「食料・農業・農村基本計画」(平成17年3月閣議決定)等を踏まえ、女性が対等なパートナーとして、男性と共に農林水産業経営及びそれに関連する活動に参画していくことのできる社会の実現に向けた施策を推進する。

エ 職業生活と家庭生活との両立支援対策の推進

(ア)職業生活と家庭生活との両立のための制度の一層の定着促進

平成17年4月から施行されている改正後の内容も含め、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、引き続き労働者の仕事と育児・介護との両立を支援する施策を推進する。

(イ)職業生活と家庭生活との両立支援事業

職業生活と家庭生活との両立支援事業として、育児休業・介護休業を取得しやすく職場復帰しやすい環境の整備、育児や介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備、育児、介護等のために退職した者等に対する再就職支援を行う。

オ 多様な勤務形態の環境整備

(ア)多様な働き方を選択できる環境の整備

平成20年4月から施行される「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律」(平成19年法律第72号)の着実な施行に努めるとともに、パートタイム労働者の均衡待遇に取り組む事業主や中小企業事業主団体への支援を図るため助成金を支給する。

(イ)情報通信を活用した遠隔型勤務形態の開発・普及

テレワークは、高齢者の就業機会の拡大及び高齢者の積極的な社会への参画を促進する有効な働き方と期待されている。

010年までにテレワーカーを就業者人口の2割とする目標の実現に向けて策定した、「テレワーク人口倍増アクションプラン」(平成19年5月テレワーク推進に関する関係省庁連絡会議決定、IT戦略本部了承)の着実・迅速な実施のため、産学官からなる「テレワーク推進フォーラム」において、セミナーの開催等によるテレワークの普及活動を行う。

また、多くの企業等にテレワークを試行・体験いただく機会の提供や、先進的な技術・高度なネットワーク環境を利用したテレワークシステムの検証及びテレワークによる様々な効果の提示・啓発を行う実証実験や、テレワーク環境整備税制(テレワーク設備導入の際の税制優遇措置)の実施、全国各地での普及啓発セミナーの開催等の取組を推進する。

さらに、テレワーク相談センターでの相談活動や、事業主・労働者等を対象とした「テレワーク・セミナー」の開催等により、テレワークの適正な就業環境の下での普及を図ることとしている。

また、職場や自宅以外での就労を可能にするテレワークセンターの社会実験等を引き続き実施し、テレワークの普及を一層促進する。

また、総務省など複数の省庁で、国家公務員テレワークの一層の推進を図る。

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