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平成16年度 交通事故被害者支援事業報告書

第2章 研修教材等開発事業

I 研修教材等開発事業の概要

 前章において説明されたとおり、平成16年度の「交通事故被害者支援事業」は、「研修教材等開発事業」、「パートナーシップ事業」及び「パイロット事業」の三つであるが、本章においてはこのうち、「研修教材等開発事業」について報告する。
 本年度の「研修教材等開発事業」の基本については、平成16年7月7日に開催された「交通事故被害者支援事業運営に関する検討会(第1回)」において論じられた。以下、ここでの議論の概略を紹介する。
 研修教材等開発事業の対象は、交通事故相談窓口等の公的な機関において、交通事故被害者に実際に対応する者が原則であり、昨年度の事業において出版した『交通事故被害者の支援―担当者マニュアル―』は、この趣旨に適っているものである。しかしながら、本年度の事業においては、この原則を維持しつつも、出版物がより多くの人々に利用されることを目指すべきではないかという意見が示され、出席者からも同意がなされた。そこで出版物の対象者をもう少し拡大し、何らかの場面で「交通事故被害者に接する者」とすることとした。そこで、本年度の事業においては、「交通事故被害者に接する者」を対象として、昨年度出版した『交通事故被害者の支援―担当者マニュアル―』の簡易版として、ダイジェスト版(以下「ダイジェスト版」という。)を作成することについて合意がなされた。
また、この「ダイジェスト版」の「導入」となるような映像教材も作成することにより、内容を理解する効果が高まるとの意見が出され、議論の結果、交通事故被害者・遺族の生の声を紹介すると同時に、それに対する専門家の解説を加えたビデオ教材(以下、「導入用ビデオ」という。)も作成することが望ましいということとなった。
 以上紹介したとおり、本年度の事業は、「ダイジェスト版」と「導入用ビデオ」の作成の2本立てという結論に至った。また、研修教材等開発事業を遂行するために「研修教材等開発事業小委員会(以下、「小委員会」という。)」を設置することについても、同意がなされた。これに基づき小委員会は、第1回小委員会が平成16年8月12日、第2回小委員会が平成16年11月1日、第3回小委員会が平成17年1月24日に開催された。以下においては、「ダイジェスト版」の作成と「導入用ビデオ」の作成の二つに項目を分け、それぞれの小委員会における審議の概要を紹介することとする。

II 「ダイジェスト版」の作成

 第1回小委員会においては、ダイジェスト版の構成及び内容についての議論がなされた。具体的には、昨年度の事業において出版した『交通事故被害者の支援―担当者マニュアル―』の項目及び内容をどのように要約し、整理するかが中心的な議論になった。その議論の詳細は、紙幅の関係上紹介できないが、基本的に以下のような章立てが決定した。

まえがき
第1章 総論
第2章 交通事故による精神的反応
第3章 交通事故被害者への対応

なお、本書は、基本的には「ダイジェスト版」であるが、『交通事故被害者の支援―担当者マニュアル―』を単に要約するだけではなく、執筆に際しては一般の読者を想定して表現などを分かり易くすることが確認された。また体裁については、A4判とすることとした。
 第2回小委員会においては、執筆者から提出された「ダイジェスト版」の原稿を基にして、用語の統一などについて詳細な議論がなされた。その点に関するものを含めたこの小委員会の主たる結論は、以下の通りである。第1点として、「ダイジェスト版」は、相談機関などにおける専門家だけでなく、一般人にも理解できる内容のものとすることが再確認された。第2点として、本書が『交通事故被害者の支援―担当者マニュアル―』のダイジェスト版であることを明記することが確認された。第3点は、用語に関する確認がなされたことである。具体的には、被害者の精神的反応を示す基本的な用語は「精神的影響」とし、必要に応じて「反応」、「症状」、「苦痛」を使い分けることとされた。また、「精神的問題」や「精神的ケア」の用語は、誤解を招きやすいことから、用いないことも確認された。
 第3回小委員会においては、第2回小委員会での確認事項に基づいて書き直された原稿について、再度詳細に検討がなされた。検討の結果、この「ダイジェスト版」について、題名、章立て及び内容について最終決定がなされた。このうち題名および章立てについては、以下に掲げるとおりである。

『交通事故被害者の受ける精神的影響とその対応−担当者マニュアル(ダイジェスト版)−』

まえがき
第1章 総論
I はじめに
II 交通事故被害者の受ける精神的影響と被害者への支援
III 今後の課題
第2章 交通事故による精神的反応
 I はじめに
 II 交通事故の被害者の精神的反応
 III 交通死亡事故遺族
 IV 後遺症を抱えた被害者とその家族
第3章 交通事故被害者への対応
 I はじめに
 II 被害者(遺族を含む)と接する時の基本的な対応
 III 被害者が求める支援(被害者支援都民センターでの調査結果から)
 IV 被害者支援専門機関としての支援
 V 自助グループの意義と効果

III 「導入用ビデオ」の作成

 第1回小委員会においては、「導入用ビデオ」の構成、内容、出演者、記録媒体及び日程等について詳細な議論がなされた。まず、基本的な構成としては、交通事故被害者の精神的被害を被害者・遺族の口から語ってもらい、それに対して専門家の解説を加えることについて確認がなされた。また映写時間については、20分から30分を目安とすることとした。記録媒体については、DVDも検討されたが、作成本数と費用の関係や、VHSの方が一般的であるとの観点から、VHSに決定された。配布方法については、配布後の複製にどう対応するかについてさまざまな角度から検討されたが、最終的には渡し切りということで合意がなされた。
 第2回小委員会においては、配布方法について再度議論がなされたが、渡し切りにつき再確認がなされた。内容及び構成について詳細な議論がなされ、以下の点について合意がなされた。まず、被害者本人、被害者遺族及び後遺症を抱えた被害者家族というそれぞれ性格の異なる被害者及びその家族・遺族に経験を語ってもらい、それに対して精神科医師からそれぞれの精神的影響について解説を行うこととした。さらに、交通事故被害者支援関係者の対応について、被害者支援機関の専門家から注意点などを解説してもらうこととした。ついで、出演者に対する事前のインタビュー、シナリオ作成、撮影、試写などの日程についての検討がなされた。
 第3回小委員会においては、それまでに撮影された部分についての仮試写が行われ、映像、字幕、タイトルなどについて詳細な議論がなされた。特にタイトルについては、このビデオは、単に交通事故被害者の精神的反応のみを解説する点に目的があるのではなく、交通事故被害者がさまざまな問題に直面し、それが精神的な問題をもたらしているということを理解してもらう点に目的があるから、その目的にふさわしいタイトルに変更する必要があるとの議論がなされた。その結果、メインタイトルについては「交通事故被害者の抱える問題とその精神的影響」とすることとした。また、各部分のタイトルもそれぞれ「交通事故被害者の抱える問題とその精神的影響」、「交通死亡事故遺族の抱える問題とその精神的影響」及び「後遺症を抱えた被害者とその家族の抱える問題とその精神的影響」と変更することとした。なお、この小委員会までに撮影されていない部分を加えたビデオの試写は、「交通事故被害者支援事業運営に関する検討会(第2回)」において行うこととし、そこにおいて内容等について最終決定することとした。
 「交通事故被害者支援事業運営に関する検討会(第2回)」では試写が行われ、「導入用ビデオ」につき、一部の技術的な点を除き、基本的に確定がなされた。その概要は次の通りである。

 (1)メインタイトル「交通事故被害者の抱える問題とその精神的影響」
 (2)プロローグ
 (3)交通事故被害者の抱える問題とその精神的影響(山室真澄氏の話、中島聡美氏の解説)
 (4)交通死亡事故遺族の抱える問題とその精神的影響(小畑智子氏の話、中島聡美氏の解説)
 (5)後遺症を抱えた被害者とその家族の抱える問題とその精神的影響(北原浩一氏の話、中島聡美氏の解説)
 (6)早期支援(危機介入等)と支援関係者の基本的な態度(大久保恵美子氏の解説)
 (7)自助グループの役割
 (8)エピローグ
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