第2章 研修教材等開発事業

I はじめに

前章の通り、平成17年度の「交通事故被害者支援事業」は、「研修教材等開発事業」、「パートナーシップ事業」及び「パイロット事業」の三つであるが、本章においてはこのうち、「研修教材等開発事業」について報告する。

本年度の「研修教材等開発事業」の基本については、平成17年8月4日に開催された「交通事故被害者支援事業運営に関する検討会(第1回)」において論じられた。以下、ここでの議論の概略を紹介する。

研修教材等開発事業では、これまでの成果を取りまとめて整理し、文字だけでなく図、写真により見やすいもの、手元に置いて自助グループに携わる支援者の方にとって実用的なもので、自助グループの立ち上げや継続活動のためのマニュアルを作成してはどうかという意見が示された。

また、内閣府による自助グループ活動は、支援センターに付属するような形で立ち上げることに意義があり、それが支援センターの質的向上につながり、被害者のためにもなるという意見も示され、出席者からも同意がなされた。

そこで、本年度の事業においては、相談員、支援担当者及び自助グループ参加者(被害者の方)を対象に、「立ち上げ支援及び継続支援マニュアル」を本編と別冊の2分冊として作成することについて合意がなされた。

そして、「立ち上げ支援及び継続支援マニュアル」は、交通事故被害者だけに限定するのではなく、交通事故被害者を念頭に置いて一般の方にも活用できるものであることも示され、出席者からも同意がなされた。

以上紹介したとおり、本年度の事業は、「立ち上げ支援及び継続支援マニュアル」の作成という結論に至った。

また、研修教材等開発事業を遂行するために「交通事故被害者支援事業に関する検討会(以下、「検討会」という。)」を設置することについても、同意がなされた。これに基づき、検討会は、第1回検討会が平成17年8月4日、第2回検討会が平成17年12月1日、第3回検討会が平成18年2月2日に開催された。以下においては、「立ち上げ支援及び継続支援マニュアル」の作成について検討会における審議の概要を紹介することとする。

II 「立ち上げ支援及び継続支援マニュアル」

第1回検討会においては、「立ち上げ支援及び継続支援マニュアル」の体裁、構成及び内容について議論がなされた。

議論の結果、基本的には、以下のような章立てが決定した。

本編

  1. 基本的な考え方。
  2. 自助グループの意義・目的、その中に被害者が求める支援を入れる。
  3. 自助グループの進め方として、事前準備、留意事項、2〜3年後に出てくる問題の対応を入れる。
    実際に行うときの注意(継続支援の場合の問題に対する対応も含む)。
  4. 効果として、参加者側の効果(アンケート)や支援者側でやってみて感じたこと。
  5. 課題と展望(アメリカの様子等を盛り込めれば)。
  6. 運営に係わるQ&A

別冊

  1. 悲嘆反応
  2. PTSD
  3. うつ
  4. 回復のプロセス
  5. 自助グループに参加することにより起こりうる反応
  6. こういったときは医者に掛かりましょう
    注)Q&Aは含まない。

体裁については、A5判とし、使いやすいよう本編と別冊の2分冊でかつカラー版とすることとした。内容については、既に立ち上げた4箇所の参加者から簡単なアンケートを取り、その結果を入れるとともに、別冊にはリラクゼーションの方法も紹介することが確認された。

第2回検討会においては、執筆者から提出された「立ち上げ支援及び継続支援マニュアル」の原稿を基にして詳細な議論がなされた。主な結論は次の通りである。第1点として、「自助グループの効果」の「調査から」以降は、まとめることとする。第2点として、「実践活動から」には、支援者側からの意義も含めることとする。第3点として、マニュアルの目的には、2つの内容を記載すべきである。その一つは、「自助グループに対する立ち上げ運営マニュアル」に関する目的であり、もう一つは、「被害者支援団体が、自助グループ支援を行う際のマニュアル」に関する目的である。第4点として、ファシリテーターの対応に関する視点を整理するなどが確認された。

第3回検討会においては、第2回検討会での確認事項に基づいて書き直された原稿について、再度詳細に検討がなされた。検討の結果、この「立ち上げ支援及び継続支援マニュアル」について題名、章立て及び内容について最終決定がなされた。このうち、題名及び章立てについては、以下の通りである。

本編

『交通事故被害者遺族の自助グループ支援マニュアル〜立ち上げ支援および継続支援〜』

  1. はじめに
  2. 自助グループの意義と目的
  3. 被害者支援としての自助グループ活動
  4. 被害者が求める支援
  5. 自助グループの進め方
  6. 自助グループの効果
  7. 自助グループ活動Q&A
  8. おわりに

別冊

『交通事故によってご家族を亡くされた方へ〜心の回復のために〜』

  1. はじめに
  2. 交通事故被害者遺族によく見られるこころの反応
  3. 専門家に相談したほうがよいこころの状態
  4. どこに相談したらよいのか
  5. 回復のために必要なこと