第1章 平成18年度事業の概要

I.目的

平成18年中の交通事故による死者数は6,352人であり減少傾向にあるが、死傷者数及び交通事故発生件数は、昭和53年以降増加傾向にあり、平成18年中の死傷者数は110万4,551人、交通事故発生件数は88万6,864件と若干減少したものの、依然として高水準にある。

内閣府では、毎年多くの交通事故被害者・遺族が生じている現状を鑑み、平成18年3月14日に作成された第8次交通安全基本計画において、「損害賠償の適正化を始めとした被害者支援の推進」を8つの柱の一つに掲げ、犯罪被害者等基本法等の下、総合的かつ計画的に被害者支援の推進を図ることとしている。

これまで内閣府は、平成15年度から平成17年度の3年間に、交通事故被害者支援の高度化を図り、国民が互いに支え合い、安全で安心な交通社会を形成することを目的に「交通事故被害者支援事業」を実施してきたところである。この事業では、1年目に支援担当者が交通事故被害者・遺族に対して適切な対応を取ることを目的とした支援担当者用マニュアル、2年目に交通事故被害者・遺族に接する機会のある関係機関に精神的影響とその対応について広く理解していただくことを目的とした支援担当者用マニュアルダイジェスト版とビデオ、3年目に交通事故被害者・遺族が精神的被害から立ち直る手段として有効な自助グループの立ち上げ定着を目的とした自助グループ支援マニュアルと精神面からの対処法を表したマニュアルをそれぞれ作成した。

本事業は、前事業を受け、交通事故被害者・遺族のさらなる支援強化を目的に、これまでに立ち上げた各地の自助グループに対し、引き続き継続支援と研修会を開催するとともに、これまで希薄であった交通事故相談所と支援センターとの連携強化のため、交通事故被害者支援の専門家、交通事故相談員及び支援センター担当者による意見交換会を実施した。

II.事業の概要

平成18年度においては、以下の事業を行った。

(1)パートナーシップ事業

本事業においては、研究検討会で今年度の事業の進め方やまとめ等について議論するため、3回検討会を実施した。その結果、自助グループ継続支援では、自助グループのさらなるレベルアップを図るため、これまでに立ち上げた秋田、長崎、いばらきの3カ所の自助グループに対して継続支援を行った。

また、自助グループ連絡会議では、これまでに立ち上げた秋田、長崎、いばらき、石川、大阪、愛知の6カ所の自助グループ間の連携を図るため代表者を集め、意見交換が可能な研修会を東京で開催した。これらの事業の詳細については、「第2章 パートナーシップ事業」のとおりである。なお、この章においては、この事業に携わった支援センター等の職員や自助グループの参加者の氏名が示されている。この点については、本人及び関係者の了解を得ていることを念のためここに記しておく。

(2)スキルアップ事業

本事業においては、各種相談窓口等意見交換事業として、交通事故相談所と支援センターとの連携強化・問題点の改善を図るため、大阪、石川及び長崎において交通事故被害者支援の専門家、交通事故相談員及び支援センター担当者による意見交換会を実施した。

教材開発事業では、平成17年度に作成した自助グループマニュアルをビデオ化するとともに、意見交換会の意見等を踏まえて過去の教材を精査し改訂した。これらの事業の詳細については、「第3章 スキルアップ事業各種相談窓口等意見交換事業」のとおりである。

III.まとめ

平成18年度に実施した事業の成果については、既に述べたとおり、以下の各章及びこの事業による刊行物に詳細に示されているとおりである。これらの成果が十分活用されて、交通事故被害者に対する支援が充実したものとなり、交通事故被害者の被害からの回復が促進されることが期待される。