交通安全白書の刊行に当たって

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内閣府特命担当大臣

中央交通安全対策会議交通対策本部長

岸田文雄

 平成19年の道路交通事故による死者数は、過去最悪であった昭和45年の1万6,765人のほぼ3分の1の5,744人となり、昭和28年以来54年ぶりに5千人台にまで減少しました。これは、関係機関を始め、国民の皆様の長年にわたる努力の成果と考えています。しかしながら、死傷者数は、9年連続で100万人を超えており、毎年国民の約100人に1人が交通事故により死傷しているという厳しい情勢が続いています。

 政府は、「平成24年までに交通事故死者数を5,000人以下とし、世界一安全な道路交通の実現を目指す」という目標の実現に向けて、平成18年3月に策定した第8次交通安全基本計画に基づく諸施策を推進しているところです。

 生活の安全・安心は、政府だけで実現できるものではなく、国民一人ひとりの意識の向上と取組が必要です。このような趣旨で、本年2月20日及び4月10日に、福田内閣が進める「生活安心プロジェクト」の一環として「交通事故死ゼロを目指す日」を実施しました。この取組を通じ、多くの国民が改めて交通安全について考え、行動するきっかけとなったものと考えております。

 一方、鉄道、海上、航空の各分野においては、近年、ヒューマンエラー等による事故やトラブルが発生しており、これらの交通事故を防止することも重要な課題です。

 本年の白書においては、陸上、海上及び航空の分野ごとに、交通事故の状況と平成19年度における各種施策の実施状況について報告するとともに、平成20年度に取り組む交通安全施策に係る計画について記述しています。

 尊い生命を悲惨な交通事故から守るためには、国民の皆様に交通安全に関する理解と関心を深めていただくことが大切です。本書が、広く利用され、交通事故による惨禍の根絶に向けた取組の一助となることを願ってやみません。

平成20年5月

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