I 現況の概要
第1編 陸上交通
第1部 道路交通
第1章 道路交通事故の動向
1 道路交通事故の長期的推移
交通事故死者数は,13年連続で減少。
【交通事故死者数(24時間死者数),交通事故発生件数,負傷者数の推移】
2 平成25年中の道路交通事故の状況
●概況
平成25年中の交通事故死者数は,前年比減少率はわずかにとどまり,高齢者の死者数が平成13年以来12年ぶりに増加している。
また,死者数の指標となる致死率についても平成22年以来3年ぶりに上昇に転じ,死者数が減りにくい状況となっており交通事故情勢は厳しい状況にある。
死者数の減少幅が縮小している背景としては,「高齢者人口の増加」,「シートベルト,エアバッグ等の装着率の頭打ち」,「飲酒運転による交通事故の減少幅の縮小」を挙げることができる。
- 背景<1>:高齢者人口の増加
- 背景<2>:シートベルト等の装着率の頭打ち
- 背景<3>:飲酒運転による交通事故の減少幅の縮小
●年齢層別交通事故死者数及び負傷者数
- <1> 死者数は,65歳以上の高齢者(2,303人)が最も多く,次いで50~59歳(420人),40~49歳(395人)の順に多い。前年と比べると,65歳以上の高齢者の死者数が増加したほか40~49歳,60~64歳,15歳以下も増加した。死者数のうち65歳以上の高齢者の死者数が占める割合は52.7%と過去最高となった。
- <2> 負傷者数は,30~39歳(14万3,958人)と40~49歳(13万6,469人)が多く,両者で全体の35.9%を占めている。前年と比べると,全ての年齢層で減少し,その中でも16~24歳(1万151人減)と30~39歳(1万792人減)が特に減少した。
●状態別交通事故死者数及び負傷者数
- <1> 死者数は,歩行中(1,584人)が最も多く,次いで自動車乗車中(1,415人)となっており,両者で全体の68.6%を占めている。
- <2> 負傷者数は,自動車乗車中が51万239人と最も多く,全負傷者数の65.3%を占めており,次いで自転車乗用中が11万9,929人(15.3%)となっている。
●状態別・年齢層別交通事故死者数
平成25年中の状態別の交通事故死者数を年齢層別にみると,次のような特徴がみられる。
- <1> 歩行中(70.5%),自転車乗用中(63.0%),原動機付自転車乗車中(46.8%)及び自動車乗車中(43.3%)の4つの状態別で,65歳以上の高齢者が最も多くを占めており,中でも歩行中及び自転車乗用中については,極めて高い割合となっている。
- <2> 自動二輪車乗車中については,40~49歳が全体の22.2%と最も多くを占めている。
●シートベルト着用の有無別死者数
- <1> 平成25年中の自動車乗車中の交通事故死者数をシートベルト着用の有無別にみると,非着用は659人で,前年に比べて36人(5.8%)増加した。
- <2> 非着用者の致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は,着用者の致死率の15.2倍と高くなっている。
●チャイルドシート着用の有無別死者数
- <1> 6歳未満幼児の自動車同乗中の死者数は,13人(うちチャイルドシート使用は6人)であり,重傷者数は86人であった。
- <2> 6歳未満幼児のチャイルドシート使用有無別の死亡重傷率をみると,正しく使用した場合に比べ,不使用者は3.9倍,不適正使用者は5.4倍と高くなっている。