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第1編 陸上交通 第1部 道路交通 第2章 道路交通安全施策の現況
第1節 道路交通環境の整備

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第1編 陸上交通

第1部 道路交通

第2章 道路交通安全施策の現況

第1節 道路交通環境の整備
1 道路及び交通安全施設等の現況

(1)道路の現況

我が国の道路は,平成26年4月1日現在で実延長121万8,772キロメートルである。国土交通省では,安全で円滑な道路交通環境を確保するため,高規格幹線道路を始めとする道路ネットワークの体系的な整備を進めており,道路種別ごとの現況は,以下のとおりである。

ア 高規格幹線道路

高規格幹線道路は,全国的な自動車交通網を形成する自動車専用道路網のうち,道路審議会答申(昭62)に基づき建設大臣が定めたもので,高速自動車国道,本州四国連絡道路,一般国道の自動車専用道路により構成される。

(ア) 高速自動車国道

高速自動車国道(高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路を含む)については,平成25年度に新たに110キロメートルの供用を開始し,25年度末時点の供用延長は9,253キロメートルとなっている。

(イ) 一般国道の自動車専用道路

一般国道の自動車専用道路(本州四国連絡道路を含む。)については,平成25年度末時点の供用延長は1,432キロメートルとなっている。

イ 地域高規格道路

地域高規格道路は,全国的な高規格幹線道路と一体となって規格の高い幹線道路網を形成するものであり,平成6年に路線の指定,10年には路線の追加指定を行い,23年度末時点で候補路線110路線,計画路線186路線(約6,950キロメートル),供用延長は2,219キロメートルとなっている。

ウ 都市高速道路

都市高速道路は,大都市圏における円滑な道路交通を確保するために建設されているものであり,地域高規格道路の一部を構成するものである。平成26年3月末現在の供用延長は,首都高速道路301キロメートル,阪神高速道路259キロメートル,名古屋高速道路81キロメートル,広島高速道路25キロメートル,福岡高速道路57キロメートル及び北九州高速道路50キロメートルとなっている。

エ その他の一般道路

一般国道,主要地方道及び一般都道府県道として分類される道路の実延長は,平成26年4月1日現在18万4,928キロメートルとなっている。

これに市町村道を加えると121万344キロメートルとなり,その改良率(幅員5.5メートル以上。以下同じ。)及び舗装率(簡易舗装を含む。以下同じ。)はそれぞれ61.0%,81.3%である。

(ア) 一般国道

一般国道の道路実延長は5万5,626キロメートル,改良率,舗装率はそれぞれ92.4%,99.4%である。

(イ) 主要地方道等

主要地方道(国土交通大臣の指定する主要な都道府県道又は市道)の道路実延長は5万7,872キロメートル,改良率,舗装率はそれぞれ78.5%,98.2%である。主要地方道以外の一般都道府県道については7万1,429キロメートルで,それぞれ62.4%,95.5%である。一般国道や主要地方道に比して,主要地方道以外の一般都道府県道の整備水準は低くとどまっている。

(ウ) 市町村道

市町村道の道路実延長は102万5,416キロメートル,改良率(幅員5.5メートル未満を含む。),舗装率は,それぞれ58.2%,78.4%であり,その整備水準は最も低くなっている。


(2)交通安全施設等の現況

交通安全施設等は,都道府県公安委員会及び道路管理者がそれぞれ整備を行っており,平成27年3月末現在の整備状況は次のとおりである。

ア 都道府県公安委員会が整備する施設

(ア) 交通管制センター

交通管制センターは,全国の主要75都市に設置されており,交通管制システムにより,車両感知器等で収集した交通量や走行速度等のデータを分析し,信号機,道路標識及び道路標示の操作その他道路における交通の規制を広域にわたって総合的に行うとともに,収集・分析したデータを交通情報として広く提供し,運転者が混雑の状況や所要時間を的確に把握して安全かつ快適に運転できるようにすることにより,交通の流れを分散させ,交通渋滞や交通公害の緩和を促進している。

(イ) 信号機

信号機の設置基数は約20万7千基であり,このうち35.5%に当たる約7万4千基が交通管制センターで直接制御されている。なお,信号機のうち,押ボタン式信号機は約3万3千基であり,バリアフリー対応型信号機は,約3万9千基である。


※ バリアフリー対応型信号機
 音響により信号表示の状況を知らせる音響式信号機,信号表示面に青時間までの待ち時間及び青時間の残り時間を表示する経過時間表示機能付き歩行者用灯器,歩行者・自転車と車両が通行する時間を分散して,交通事故を防止する歩車分離式信号等,高齢者,障害者等が道路を安全に横断できるよう整備している信号機。

また,幹線道路の機能の維持向上のため,信号機のサイクル,スプリット,オフセット等の設定の計画的な見直し等を推進するとともに,信号機の集中制御化,系統化,感応化,多現示化等の改良を行っている。

さらに,信号機の維持管理・更新等を着実に推進するため,平成27年3月に策定した「警察庁インフラ長寿命化計画」に即して,整備状況を把握・分析した上で,中長期的な視点に立った更新,長寿命化,ライフサイクルコストの削減等に努めている。


(ウ) 交通情報提供装置

最先端の情報通信技術等を用いて交通管理の最適化を図るため,光ビーコン,交通情報板等の交通情報提供装置の整備を推進している。


※ 光ビーコン
 通過車両を感知して交通量等を測定するとともに,車載装置と交通管制センターとの間の情報のやり取りを媒介する路上設置型の赤外線通信装置。

(エ) 道路標識及び道路標示

規制標識及び指示標識の設置枚数は,約979万枚であり,そのうち約60万枚が大型標識(灯火式,反射式又は自発光式)である。

イ 道路管理者が整備する施設

(ア) 歩道等

歩行者・自転車・自動車の異種交通を分離することにより,歩行者,自転車利用者等の安全と快適性を確保し,併せて,道路交通の円滑化に資するため,歩道等の整備を推進しており,歩道設置済道路延長は平成26年4月1日現在で約18万5千キロメートルである。

また,安全で快適な歩行空間の拡大を図るため,歩道等の整備に際しては,高齢者や障害者等が安心して社会参加できるよう,幅が広く使いやすい歩道等の整備,既設歩道の段差の解消,勾配の改善,視覚障害者誘導用ブロックの設置等の措置を講じている。

(イ) 立体横断施設

歩行者等と車両を立体的に分離することにより,歩行者の安全確保とともに,自動車交通の安全かつ円滑な流れを確保するため,横断歩道橋及び地下横断歩道を整備している。

また,高齢者や障害者等の利用の多い駅やその周辺等において,必要に応じてスロープ付や昇降装置の付いた立体横断施設の整備を行うなど利用者の利便性の向上を図っている。


※ スロープ
 傾斜,勾配などのこと。

(ウ) 道路照明

夜間において,あるいはトンネル等の明るさが急変する場所において,道路状況,交通状況を的確に把握するための良好な視環境を確保し,道路交通の安全,円滑を図るため,道路照明を整備している。

(エ) 防護柵

車両の路外,対向車線,歩道等への逸脱を防止し,乗員及び第三者への被害を最小限にとどめることや,歩行者及び自転車の転落もしくはみだりな横断を抑制することを目的として防護柵を整備している。

(オ) 道路標識

初めて訪れる観光客や外国人など,全ての道路利用者の安全かつ円滑な移動に資するため,主要な幹線道路の交差点及び交差点付近におけるルート番号等を用いた案内標識や,高齢者,身体障害者等を含む歩行者の安全かつ円滑な移動を確保する地図標識等を整備している。

(カ) 道路情報提供装置

道路交通情報をリアルタイム(即時)に提供する道路交通情報通信システム(VICS)については,ビーコン(通信スポットを含む)の整備を図った。また,異常気象時の道路状況に関する情報等(都市間のルート選択に資する情報を含む。)を迅速かつ的確に提供するため,道路情報板2万4,658基を設置・運用している。

また,カーラジオを通してドライバーに道路の状況に関する情報を提供する路側通信システムを全国で設置・運用している。さらに,安全で円滑な道路交通を確保するため,高速道路等に,情報ターミナル等を設置している。


※ 情報ターミナル
 高速道路の休憩室内に設置され,道路交通情報,行先別経路案内等情報を提供する装置。

なお,交通安全施設の老朽化等による第三者被害の防止を図る観点から,道路管理者による道路標識,道路照明等の総点検を実施している。


2 生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備

地域の協力を得ながら,通学路,生活道路,市街地の幹線道路等において,歩道を整備するなど,「人」の視点に立った交通安全対策を推進した。


(1)生活道路における交通安全対策の推進

歩行者・自転車死傷事故発生割合の高い住居系又は商業系地区として指定した,「あんしん歩行エリア」(582地区)において,都道府県公安委員会及び道路管理者が連携して,歩道整備を始めとした面的かつ総合的な交通事故対策を推進した。

都道府県公安委員会においては,通過交通量の減少や走行速度の低下等を目的とした交通規制を行ったり,高齢者,障害者等が利用しやすい信号機,道路標識・道路標示を整備したりするなど,地域の特性に着目した交通事故対策を推進した。

また,市街地等における生活道路の安全を確保するため,通過交通の抑制や走行速度の抑制等が必要な地区に対して,最高速度30キロメートル毎時の区域規制や路側帯の設置・拡幅等の対策を採りつつ,地区の状況に応じて,一方通行等の交通規制やハンプ等の道路整備等を実施する「ゾーン30」を設定し,都道府県公安委員会と道路管理者が連携した歩行者・自転車利用者の交通安全対策を推進した。

道路管理者においては,歩道の整備等により,安心して移動できる歩行空間ネットワークを整備する経路対策,進入抑制・速度低減による安全対策を重点的に推進するエリアの登録,地域と協働して効果的・効率的に対策を推進するため,ハンプ等の仕様の標準化,ETC2.0のビッグデータ等を活用した分析や有識者等による技術的助言を行う仕組みを構築するとともに,ハンプ・狭さくの設置等による速度抑制と通過交通の進入抑制を図る対策を推進した。

また,道路管理者において,通過車両の進入を抑え,歩行者等の安全確保と生活環境の改善を図るため,歩車共存道路,コミュニティ道路等の整備を推進するとともに,都道府県公安委員会及び道路管理者において,道路標識の高輝度化・大型化・可変化・自発光化,標示板の共架,設置場所の統合・改善,道路標示の高輝度化等(以下「道路標識の高輝度化等」という。)を行い,見やすく分かりやすい道路標識・道路標示とするなど視認性の向上を図った。


※ 歩車共存道路
 歩道等の設置が困難な場所において,ハンプや狭さく等を組み合わせることにより車の速度を抑制し,歩行者等の安全な通行を確保する道路。
※ コミュニティ道路
 歩車分離を図るとともに自動車の走行速度を低減させる道路構造を採用することで,安全で快適な歩行空間の形成を図った道路。
車道をジグザグにする「クランク」や車道の一部を盛り上げる「ハンプ」等を整備する。

また,「あんしん歩行エリア」や「ゾーン30」以外の生活道路においても,歩道を整備するほか,都道府県公安委員会と道路管理者が連携し,自動車の速度の抑制,道路の形状や交差点の存在の運転者への明示,歩車それぞれの通行区分の明示等を進め,歩車が共存する安全で安心な道路空間を創出するための取組を推進するなど,交通事故対策を推進した。


(2)通学路等の歩道整備等の推進

平成24年度に実施した通学路の緊急合同点検の結果を踏まえ,学校,教育委員会,道路管理者,警察等の関係機関が連携して実施する通学路の交通安全対策を支援するとともに,各地域における通学路交通安全プログラムに基づく定期的な合同点検の実施や対策の改善・充実等の継続的な取組を支援するなど,通学路における交通安全の確保に向けた取組を推進した。

また,緊急合同点検における対策必要箇所を始め,中学校に通う生徒,小学校,幼稚園,保育所及び児童館等に通う児童や幼児の通行の安全を確保するため,通学路等の歩道整備,ハンプ等物理的デバイスの設置,路肩のカラー舗装,防護柵設置,押ボタン式信号機や歩行者用灯器等の整備,立体横断施設の整備,横断歩道等の拡充により,通学路等の安全確保を図った。また,通学路における交通規制の担保の手法として,ライジングボラードの活用の効果検討に着手した。


(3)高齢者,障害者等の安全に資する歩行空間等の整備

ア 高齢者,障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保するため,高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平18法91)に基づき,駅,官公庁施設,病院等を相互に連絡する道路について,平坦性が確保された幅の広い歩道を積極的に整備した。

また,駅前等の交通結節点において,エレベーター等の設置,スロープ化や建築物との直結化が図られた立体横断施設,交通広場等の整備を推進し,歩きたくなるような安全で快適な歩行空間の確保を図った。

このほか,高齢者,障害者等の通行の安全と円滑を図るとともに,高齢運転者の増加に対応するため,バリアフリー対応型信号機,見やすく分かりやすい道路標識・道路標示,昇降装置付立体横断施設,歩行者用休憩施設,自転車駐車場,移動制約者用の駐車ます等を有する自動車駐車場等を整備するとともに,信号灯器のLED化や無電柱化を推進した。

特に,高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路においては,公共交通機関等のバリアフリー化と連携しつつ,誰もが歩きやすい幅の広い歩道,バリアフリー対応の立体横断施設,バリアフリー対応型信号機等の整備を推進した。

また,バリアフリー歩行空間が有効に利用されるよう,高齢者を始めとする歩行者等に対して,視覚障害者誘導用ブロック,歩行者用の案内標識,バリアフリーマップ等により,公共施設の位置や施設までのバリアフリー経路等を適切に案内した。

イ 横断歩道,バス停留所付近の悪質性・危険性・迷惑性の高い駐車違反に対する取締りを推進した。

また,高齢者,障害者等の円滑な移動を阻害する要因となっている歩道や視覚障害者誘導用ブロック上等の自動二輪車等の違法駐車についても,放置自転車等の撤去を行う市区町村と連携を図りつつ積極的な取締りを推進した。


(4)無電柱化の推進

歩道の幅員の確保等により歩行者の安全を図るため,「無電柱化に係るガイドライン」に沿って,安全で快適な通行空間の確保,良好な景観・住環境の形成,災害の防止,情報通信ネットワークの信頼性の向上,歴史的街並みの保全,観光振興,地域文化の復興,地域活性化等に資する道路において,地域の実情に応じた多様な手法を活用しながら無電柱化を推進した。


3 幹線道路における交通安全対策の推進

(1)事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦)の推進

交通安全に資する道路整備事業の実施に当たって,効果を科学的に検証しつつ,マネジメントサイクルを適用することにより,効率的・効果的な実施に努め,少ない予算で最大の効果を獲得できるよう,幹線道路において,「選択と集中」,「市民参加・市民との協働」により重点的・集中的に交通事故の撲滅を図る『事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦)』を推進した。


(2)事故危険箇所対策の推進

平成25年7月に特に事故の発生割合の高い幹線道路の区間等3,490箇所を「事故危険箇所」に指定し,都道府県公安委員会及び道路管理者が連携して,信号機の新設・改良,歩車分離式信号の整備,道路標識の高輝度化等を推進するとともに,歩道等の整備,交差点改良,視距の改良,付加車線等の整備,中央帯の設置,バス路線等における停車帯の設置及び防護柵,区画線等の整備,道路照明・視線誘導標等を設置するなど集中的な交通事故対策を推進した。


(3)幹線道路における交通規制

幹線道路については,交通の安全と円滑化を図るため,道路の構造,交通安全施設等の整備状況,交通実態等を勘案しつつ,速度規制,追越しのための右側部分はみ出し通行禁止規制等について見直しを行い,その適正化を図った。


(4)重大事故の再発防止等

交通死亡事故等の重大事故が発生した場合に,同一場所における交通事故の再発防止対策を講ずるため実施している現場点検,現地検討会等(一次点検)に加えて,一次点検の結果等を警察本部及び警察署等で共有することにより,同様に道路交通環境の改善を図るべき危険箇所を発見し,当該危険箇所においても同様の交通事故の再発を防止するために必要と認められる措置を講ずる二次点検プロセスを推進した。


(5)適切に機能分担された道路網の整備

ア 自動車,自転車,歩行者の異種交通を分離し,交通流の純化を促進するため,高規格幹線道路から居住地域内道路に至るネットワークを体系的に整備するとともに,歩道や自転車通行空間の整備を推進した。

イ 一般道路に比較して死傷事故率が低く安全性の高い高規格幹線道路等の整備やインターチェンジの増設等による利用しやすい環境を整備し,より多くの交通量を分担させることによって道路ネットワーク全体の安全性を向上させた。

ウ 通過交通の排除と交通の効果的な分散により,都市部における道路の著しい混雑,交通事故の多発等の防止を図るため,バイパス及び環状道路等の整備を推進した。

エ 幹線道路で囲まれた居住地域内や歩行者等の通行の多い商業地域内等においては,通過交通をできる限り幹線道路に転換させるなど道路機能の分化により,生活環境を向上させるため,補助的な幹線道路,区画道路,歩行者専用道路等の系統的な整備,区画道路におけるコミュニティ道路や歩車共存道路等の整備を総合的に実施した。

オ 国民のニーズに応じた効率的な輸送体系を確立し,道路混雑の解消等円滑な交通流が確保された良好な交通環境を形成するため,道路交通,鉄道,海運,航空等複数の交通機関の連携を図るマルチモーダル施策を推進し,鉄道駅等の交通結節点,空港,港湾の交通拠点へのアクセス道路の整備等を実施した。


(6)高速自動車国道等における事故防止対策の推進

高速自動車国道等においては,緊急に対処すべき交通安全対策を総合的に実施する観点から,交通安全施設等の整備を計画的に進めるとともに,渋滞区間における道路の拡幅等の改築事業,適切な道路の維持管理,道路交通情報の提供等を積極的に推進し,安全水準の維持,向上を図った。

ア 事故削減に向けた総合的施策の集中的実施

安全で円滑な自動車交通を確保するため,事故の多い地点等,対策を実施すべき箇所について事故の特徴や要因を分析し,箇所ごとの事故発生状況に対応した交通安全施設等の整備を実施した。

中央分離帯の突破による重大事故のおそれがある箇所について中央分離帯強化型防護柵の設置の推進を図るとともに,雨天時の事故を防止するための高機能舗装,夜間の事故を防止するための高視認性区画線の整備等の各種交通安全施設の整備を実施した。また,道路構造上往復の方向に分離されていない非分離区間については,対向車線へのはみ出しによる重大事故を防止するため,高視認性ポストコーン,高視認性区画線の設置による簡易分離施設の視認性を向上させたほか,凹凸型路面標示の設置,簡易分離施設の高度化や四車線化に伴う中央分離帯の設置等分離対策の強化を行うなどの交通安全対策を実施した。また,近年,高齢者等による逆走事故が多発していることから,道路管理者と協力して道路標識・標示の改良,逆走防止対策などを行ったほか,関係機関・団体と協力して広報啓発活動や参加・体験・実践型の交通安全教育を実施した。このほか,車両故障や交通事故により停車中の車両から降車し,又は車内に留まった運転者等が後続の通行車両等に衝突される死亡事故が発生していることから,利用者に対して「高速道路に入る前の心得」及び「車両故障や交通事故等の緊急の場合の措置」について周知するための広報啓発活動を推進した。

さらに,事故発生後の救助・救急活動を支援する緊急開口部の整備等も併せて実施するとともに,高速自動車国道におけるヘリコプターによる救助・救急活動を支援した。

イ 安全で快適な交通環境の整備

過労運転やイライラ運転を防止し,安全で快適な自動車走行に資するより良い走行環境の確保を図るため,本線拡幅,事故や故障による停車車両の早期撤去,上り坂での速度低下に対する注意喚起などの情報提供等による渋滞対策,休憩施設の混雑緩和等を推進した。また,多様化する道路利用者のニーズに対応するため,携帯電話やインターネット等を活用して道路交通情報を提供する民間事業の高度化を支援した。

ウ 高度情報技術を活用したシステムの構築

道路利用者の多様なニーズにこたえ,道路利用者へ適切な道路交通情報等を提供するVICS等の整備・拡充を図るなど,高度道路交通システム(ITS)の整備を推進した。


(7)改築等による交通事故対策の推進

交通事故の多発等を防止し,安全かつ円滑・快適な交通を確保するため,道路の改築等による交通事故対策を推進した。

ア 歩行者及び自転車利用者の安全と生活環境の改善を図るため,歩道等を設置するための既存道路の拡幅,バイパスの整備と併せた道路空間の再配分,自転車の通行を歩行者や車両と分離するための自転車通行空間の整備等の道路交通の安全に寄与する道路の改築事業を推進した。

イ 交差点及びその付近における交通事故の防止と交通渋滞の解消を図るため,交差点のコンパクト化,立体交差化等を推進した。

ウ 道路の機能と沿道の土地利用を含めた道路の利用実態との調和を図ることが交通の安全の確保に資することから,交通流の実態を踏まえつつ,沿道からのアクセスを考慮した副道等の整備,植樹帯の設置,路上駐停車対策等を推進した。

エ 商業系地区等における歩行者及び自転車利用者の安全で快適な通行空間を確保するため,これらの者の交通量や通行の状況に即して,幅の広い歩道,自転車通行空間,コミュニティ道路,歩車共存道路等の整備を推進した。

オ 交通混雑が著しい都心地区,鉄道駅周辺地区等において,人と車の交通を体系的に分離するとともに,歩行者空間の拡大を図るため,地区周辺の幹線道路,ペデストリアンデッキ,交通広場等の総合的な整備を推進した。


※ ペデストリアンデッキ
 歩行者を保護するために車道と分離し立体的に設置した歩行者道。

カ 歴史的街並みや史跡等卓越した歴史的環境の残る地区において,自動車交通の迂回を主目的とする幹線道路,地区に集中する観光交通等と歩行者等を分離する歩行者系道路の体系的な整備を推進することにより,歩行者・自転車利用者の安全・快適性の確保を図った。


(8)交通安全施設等の高度化

ア 信号機について,交通状況が悪化している区間・地点を重点に,集中制御化,系統化,感応化等信号制御機能を向上させるとともに,信号灯器のLED化を推進した。

また,道路標識について,標示板の大型化と高輝度化又は自発光式標識の導入や可変標識の効果的活用を図るとともに,道路標示について,高輝度化等を積極的に推進した。

イ 道路の構造,交通の状況等に応じた交通の安全を確保するために,道路標識の高輝度化等,高機能舗装,高視認性区画線の整備等を推進したほか,交通事故発生地点を容易に把握するとともに,自動車の位置や目的地までの距離を容易に確認できるようにするためのキロポスト(地点標)の整備を推進した。また,見通しの悪いカーブで,対向車が接近してくることを知らせる対向車接近システムの整備を推進した。


4 交通安全施設等整備事業の推進

社会資本整備重点計画に即して,都道府県公安委員会及び道路管理者が連携し,交通事故実態の調査・分析を行いつつ,重点的,効果的かつ効率的に歩道や信号機の整備を始めとした交通安全施設等整備事業を推進することにより,道路交通環境を改善し,交通事故の防止と交通の円滑化を図った。

なお,事業の実施に当たっては,事故データの客観的な分析による事故原因の検証に基づき,効果的な交通事故対策の実施に努めた。


(1)歩行者・自転車対策及び生活道路対策の推進

生活道路では,歩道整備を始めとした面的かつ総合的な交通事故対策を実施し,事故抑止を図った。また,高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき,駅,官公庁施設,病院等を相互に連絡する道路について,バリアフリー対応型信号機の整備や歩道の段差解消,勾配の改善等歩行空間のバリアフリー化を推進した。


(2)幹線道路対策の推進

交通安全に資する道路整備事業の実施に当たって,効果を科学的に検証しつつ,マネジメントサイクルを適用することにより,効率的・効果的な実施に努め,少ない予算で最大の効果を獲得できるよう,幹線道路において,「選択と集中」,「市民参加・市民との協働」により重点的・集中的に交通事故の撲滅を図る『事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦)』を推進するとともに,事故危険箇所について,交差点改良や歩道を含めた交通安全施設等を集中的に整備することにより,対策実施箇所の死傷事故の抑止を図った。また,大都市圏等の特に違法駐車が著しい幹線道路において,違法駐車抑止システム等の運用等による総合的な駐車対策を推進した。


(3)交通円滑化対策の推進

信号機のサイクル,スプリット,オフセット等の設定の計画的な見直し等を推進するとともに,信号機の集中制御化,系統化,感応化,多現示化等の改良を行うことにより,交通容量の拡大を図り,交通の円滑化を推進するとともに,自動車からの二酸化炭素排出の抑止を図った。


(4)IT化の推進による安全で快適な道路交通環境の実現

ア 光ビーコン等により収集されたプローブ情報を活用した信号制御の高度化及び災害時に交通情報を提供するための環境の整備を行うとともに,信号情報活用運転支援システム(TSPS)を導入するなど,交通管制システムの高度化を推進した。


※ プローブ情報
 カーナビゲーションシステムに蓄積された走行履歴情報。

イ 幹線道路において,信号機の集中制御化,系統化,感応化,多現示化等の改良を推進した。また,交通状況に即応した信号の制御により,車両の速度等をコントロールすることで,交通の安全と円滑を確保するため,交通管制システムの高度化を推進した。

ウ 光ビーコンの整備拡充,交通管制センターの改良等のUTMSの推進やETC2.0サービスの展開といった情報収集・提供環境の拡充等により,道路交通情報提供の充実等を推進した。


(5)道路交通環境整備への住民参加の促進

道路交通環境の整備に当たっては,道路を利用する人の視点を生かすことが重要であることから,地域住民や道路利用者の主体的な参加の下に交通安全施設等の点検を行う交通安全総点検を積極的に推進するとともに,道路利用者等が日常感じている意見を受け付ける「標識BOX」,「信号機BOX」,「道の相談室」等を活用することにより,交通安全施設等の適切な維持管理等を推進した。


※ 標識BOX
 はがき,インターネット等により,運転者等から道路標識等に関する意見を受け付けるもの。
※ 信号機BOX
 はがき,インターネット等により,運転者等から信号機に関する意見を受け付けるもの。

また,交通の安全は,住民の安全意識により支えられることから,安全で良好なコミュニティの形成を図るために,交通安全対策に関して住民が計画段階から実施全般にわたり積極的に参加できるような仕組みを作り,行政と市民の連携による交通安全対策を推進した。

さらに,安全な道路交通環境の整備に係る住民の理解と協力を得るため,事業の進捗状況,効果等について積極的な広報を推進した。


(6)連絡会議等の活用

都道府県警察と道路管理者が設置している「都道府県道路交通環境安全推進連絡会議」やその下に設置されている「アドバイザー会議」を活用し,学識経験者のアドバイスを受けつつ施策の企画,評価,進行管理等に関して協議を行い,的確かつ着実に安全な道路交通環境の実現を図った。


5 効果的な交通規制の推進

地域の交通実態を踏まえ,速度,駐車等に関する交通規制や交通管制の内容について常に点検・見直しを図るとともに,道路整備,地域開発,商業施設の新設等による交通事情の変化に対しても,これを的確に把握してソフト・ハード両面での総合的な対策を実施することにより,安全で円滑な交通流の維持を図った。


(1)地域の特性に応じた交通規制

幹線道路では,交通流の整序化を図るため,駐停車禁止,転回禁止,指定方向外進行禁止,進行方向別通行区分等の交通規制を実施し,市街地等の生活道路では,「ゾーン30」を推進した。


(2)安全で機能的な都市交通確保のための交通規制

複雑・過密化した交通を効率的かつ安全に管理して,交通の安全と円滑の確保を図るため,交通状況に即応した信号の制御により,車両の速度等をコントロールするとともに,個別の交通実態等を勘案しつつ,バス及び路面電車の定時運行を確保するための交通規制の見直しや公共車両優先システム(PTPS),バス専用通行帯等の整備を行うなど,関係機関・団体等と連携して,公共交通機関の定時性・利便性の向上に資する取組を推進した。


(3)より合理的な交通規制の推進

道路整備,地域開発,商業施設の新設,高速道路料金の改定等による交通事情の変化を的確に把握して,ソフト・ハード両面での総合的な対策を実施するとともに,地域の交通実態を踏まえ,最高速度,駐車,信号制御等の交通規制について点検・見直しを推進した。

速度規制については,平成21年及び22年に全面改正された最高速度規制基準に基づき,最高速度規制が交通実態に合った合理的なものとなっているかどうかの観点から,点検・見直しを推進した。これに加え,25年に有識者懇談会において取りまとめられた「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言」を踏まえ,一般道路においては,実勢速度,交通事故発生状況等を勘案しつつ,規制速度の引上げ,規制理由の周知措置等を計画的に推進するとともに,生活道路においては,速度抑制対策を積極的に推進した。

駐車規制については,必要やむを得ない駐車需要への対応が十分でない場所を中心に,地域住民等の意見要望を十分に踏まえた上で,道路環境,交通量,駐車需要等に即応したきめ細かな駐車規制を推進した。

信号制御については,歩行者・自転車の視点で信号をより守りやすくするために,横断実態等を踏まえた信号表示の調整等の運用の改善を推進した。


6 自転車利用環境の総合的整備

(1)安全で快適な自転車利用環境の創出

クリーンかつエネルギー効率の高い持続可能な都市内交通体系の実現に向け,自転車の役割と位置付けを明確にしつつ,交通状況に応じて,歩行者・自転車・自動車の適切な分離を図り,歩行者と自転車の事故等への対策を講じるなど,安全で快適な自転車利用環境を創出する必要がある。このため,自転車ネットワーク計画の作成やその整備,通行ルールの徹底等を進めるため,平成24年11月に国土交通省と警察庁で策定した「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」に基づき,道路管理者や警察等関係機関が連携して,自転車通行空間の整備を推進した。さらに,自転車ネットワーク計画の作成やその整備を促進するため,警察庁と共同で有識者による検討委員会を開催し,現行のガイドライン改定に向けた検討を進めるとともに,引き続き関係省庁等と連携し計画の作成やその整備,通行ルールの徹底等を推進した。


(2)自転車等の駐車対策の推進

自転車等の駐車対策については,その総合的かつ計画的な推進を図ることを目的として,「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」(昭55法87)による施策を総合的に推進しており,自転車等駐車対策協議会の設置,総合計画の策定を促進するとともに,自転車等の駐車需要の多い地域及び今後駐車需要が著しく多くなることが予想される地域を中心に,社会資本整備総合交付金等による自転車等の駐車場整備事業を推進した。また,大量の自転車等の駐車需要を生じさせる施設について自転車等駐車場の設置を義務付ける附置義務条例の制定の促進を図っている。

鉄道の駅周辺等における放置自転車等の問題の解決を図るため,自転車等駐車対策協議会の積極的な運営と総合計画の策定の促進を図ること等を通じて,地方公共団体,道路管理者,都道府県警察,鉄道事業者等が適切な協力関係を保持した。また,効率的・総合的な自転車等駐車場の整備を推進するとともに,自転車利用者のニーズに基づく「量」と「質」による対策の推進を目的に,平成24年11月,「自転車等駐車場の整備のあり方に関するガイドライン」を策定した。

特に,高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき,市町村が定める重点整備地区内における生活関連経路を構成する道路においては,高齢者,障害者等の移動等の円滑化に資するため,関係機関・団体が連携した広報啓発活動等の違法駐車を防止する取組及び自転車等駐車場の整備を重点的に推進した。


7 高度道路交通システムの活用

道路交通の安全性,輸送効率及び快適性の向上を実現するとともに,渋滞の軽減等の交通の円滑化を通じて環境保全に寄与することを目的に,最先端の情報通信技術等を用いて,人と道路と車両とを一体のシステムとして構築する新しい道路交通システムである「高度道路交通システム」(ITS)を引き続き推進している。そのため,平成25年6月に閣議決定され,26年6月,27年6月に改定された「世界最先端IT国家創造宣言」に基づき,産・官・学が連携を図りながら,研究開発,フィールドテスト,インフラの整備,普及及び標準化に関する検討等の一層の推進を図るとともに,ITS世界会議等における国際情報交換,国際標準化等の国際協力を積極的に進めた。

※ フィールドテスト
 実地試験,屋外試験等のこと。

(1)道路交通情報通信システムの整備

安全で円滑な道路交通を確保するため,リアルタイムな渋滞情報,所要時間,規制情報等の道路交通情報を提供するVICSの整備・拡充を推進するとともに,高精度な情報提供の充実及び対応車載機の普及を図った。

また,詳細な道路交通情報の収集・提供のため,光ビーコン等のインフラの整備やETC2.0サービスの展開を推進するとともに,インフラからの情報を補完するものとして,リアルタイムの自動車走行情報(プローブ情報)を含む広範な道路交通情報を集約・配信し,道路交通管理への活用を図った。


(2)新交通管理システムの推進

最先端の情報通信技術等を用いて交通管理の最適化を図るため,光ビーコンの機能を活用して公共車両優先システム(PTPS),現場急行支援システム(FAST),安全運転支援システム(DSSS)を始めとする新交通管理システム(UTMS)の開発・整備を行うことにより,ITSを推進し,安全・円滑かつ快適で環境負荷の低い交通社会の実現を図った。


(3)交通事故防止のための運転支援システムの導入及び整備の推進

ITSの高度化により交通の安全を高めるため,自動車単体では対応できない事故への対策として,「世界最先端IT国家創造宣言」に基づき,技術開発や道路インフラの整備を行うなど,情報通信技術を活用した安全運転支援システムの導入・整備を官民が一体となって推進した。

具体的には,運転者に周辺の交通状況等を視覚・聴覚情報により提供することで,危険要因に対する注意を促し,ゆとりをもった運転ができる環境をつくり出すことにより,交通事故を防止するDSSSの整備を推進した。

平成23年度より産・学・官連携で行っている第5期先進安全自動車(ASV)推進計画において,ドライバー異常時対応システムや次世代の通信利用型安全運転支援システムに関するガイドラインを策定した。

また,地上デジタル放送移行により空き周波数帯となった700MHz帯の一部について,安全運転支援に資する車車間・路車間通信を対象とした無線通信システムの技術基準を検討し,平成23年12月に電波法関係の制度整備を行った。25年4月より,全国で利用可能となり,26年度からは,実用アプリケーションが十分機能できるよう通信の信頼性,相互接続,セキュリティ機能を確保するための実証を実施し,27年10月に同システムが実用化された。


(4) ETC2.0の活用

ETCの通信技術をベースとしたETC2.0サービスの普及・促進を官民一体となって実施していく。ETC2.0対応カーナビ及びETC2.0対応車載器により,ETCに加え,渋滞回避支援,安全運転支援といった情報提供サービスを提供する。また,ETC2.0により収集した,速度データや,利用経路・時間データなど,多種多様できめ細かいビッグデータを活用して,渋滞と事故を減らす賢い料金や,生産性の高い賢い物流管理など,道路を賢く使う取組を推進していく。


(5)道路運送事業に係る高度情報化の推進

環境に配慮した安全で円滑な自動車の運行を実現するため,道路運送事業においてITS技術を活用し,公共交通機関の利用促進に資するバスロケーションシステム・ICカードシステムの導入を推進した。


8 交通需要マネジメントの推進

依然として厳しい道路交通渋滞を緩和し,道路交通の円滑化を図るため,バイパス・環状道路の整備や交差点の改良,付加車線の設置等の交通容量の拡大策,交通管制の高度化等に加えて,パークアンドライドの推進,ツイッター・インターネット等情報通信ツールの活用,時差通勤・通学,フレックスタイム(自由勤務時間)制の導入,ITS利用の促進,路肩活用等の柔軟な車線運用等により,多様化する道路利用者のニーズを的確に捉え,輸送効率の向上や交通量の時間的・空間的平準化を図る交通需要マネジメント(TDM)を推進した。併せて広報・啓発活動を行い,その定着化を図った。


※ パークアンドライド
 都心部へ乗り入れる自家用自動車による交通混雑を緩和するため,郊外の鉄道駅・バスターミナル等の周辺に駐車場を整備し,自動車を駐車(パーク)させ,鉄道・バス等公共交通機関への乗換え(ライド)を促すシステム。

(1)公共交通機関利用の促進

持続可能な地域公共交通網の再構築を進め,公共交通機関利用の促進を図るため,地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律(平26法41)により地域公共交通網形成計画等の制度を創設した。

道路交通混雑が著しい一部の道路について,バス専用・優先通行帯規制の実施,ハイグレードバス停や公共車両優先システム(PTPS)の整備,パークアンドバスライドの導入等バスの利用促進を図った。


※ ハイグレードバス停
 バス停の機能を高度化したもので,バス接近表示器(バスロケーションシステム)や上屋,ベンチ等を整備したもの。

また,路面電車,モノレール等の公共交通機関の整備を支援し,鉄道,バス等の公共交通機関への転換による円滑な道路交通の実現を図った。

さらに,鉄道,バス事業者による運行頻度・運行時間の見直し,乗り継ぎ改善等によるシームレスな公共交通の実現を図ること等により,利用者の利便性の向上を図るとともに,鉄道駅・バス停までのアクセス(交通手段)確保のために,パークアンドライド駐車場,自転車道,駅前広場等の整備を促進し,交通結節機能を強化した。


※ シームレス
 「継ぎ目のない」の意味。公共交通分野におけるシームレス化とは,乗り継ぎ等の交通機関の「継ぎ目」の交通ターミナル内の歩行や乗降に際しての「継ぎ目」をハード・ソフト両面にわたって解消することにより,出発地から目的地までの移動を全体として円滑かつ利便性の高いものとすること。

(2)自動車利用の効率化

貨物自動車の積載率向上により効率的な自動車利用等を促進するため,共同輸配送やコンテナラウンドユースの推進,宅配便の再配達削減等により物流効率化の促進を図った。


9 災害に備えた道路交通環境の整備

(1)災害に備えた道路の整備

地震,豪雨,豪雪,津波等の災害が発生した場合においても安全で安心な生活を支える道路交通を確保する必要があり,地震発生時の応急活動を迅速かつ安全に実施できる信頼性の高い道路ネットワークを確保するため,緊急輸送道路上にある橋梁の耐震対策を推進した。

また,豪雨・豪雪時等においても,安全・安心で信頼性の高い道路ネットワークを確保するため,道路斜面等の防災対策や災害の恐れのある区間を回避・代替する道路の整備を推進するとともに,津波に対しては,津波による人的被害を最小化するため,道路利用者への早期情報提供,迅速な避難を行うための避難路の整備及び津波被害発生時においても緊急輸送道路を確保するため,津波浸水域を回避する高規格幹線道路等の整備を推進した。

また,地震・津波等の災害発生時に,避難場所等となる「道の駅」について防災拠点としての活用を推進した。


(2)災害に強い交通安全施設等の整備

地震等の災害が発生した場合においても,住民の避難路や緊急交通路を的確に確保するため,道路交通情報の収集・提供を行う交通監視カメラ,交通情報板等の交通安全施設等の整備や,通行止め等の交通規制を迅速かつ効果的に実施するための交通規制資機材の整備を推進した。

また,災害発生時における道路交通の混乱を最小限に抑える観点から,停電による信号機の機能停止を防止する信号機電源付加装置の整備を推進するとともに,交通量等が一定の条件を満たす場合において安全かつ円滑な道路交通を確保できる環状交差点について,適切な箇所への導入を推進した。


(3)災害発生時における交通規制

災害発生時における交通規制の迅速かつ的確な実施を図るため,関係機関と緊密に連携し,緊急交通路の確保,緊急通行車両確認標章の交付,交通検問所の設置,信号機の滅灯対策,広域緊急救助隊の出動運用等について,平成27年3月に策定した南海トラフ地震発生時の交通規制計画等に基づき,総合的かつ実践的な訓練を実施した。


(4)災害発生時における情報提供の充実

地震等の災害が発生した場合においても,住民の避難路や緊急交通路を的確に確保するため,道路交通情報の収集・提供を行う交通監視カメラ,車両感知器,交通情報板,道路情報提供装置,道路管理情報システム等の整備を推進するとともに,インターネット等ITを活用した道路・交通に関する災害情報等の提供を推進した。

また,回線接続された各都道府県警察の交通管制センターから詳細な交通情報を即時に警察庁において集約し,その情報を災害時等の広域的な交通管理に活用する警察庁の広域交通管制システムについて適切な運用管理を実施した。

このほか,民間事業者が保有するプローブ情報を活用しつつ,災害時に交通情報を提供するための環境の整備を推進した。


10 総合的な駐車対策の推進

違法駐車は,幹線道路等における交通渋滞を悪化させる要因となるだけでなく,交通事故の原因ともなっており,また,歩行者や自転車等の安全な通行の障害となるほか,緊急自動車の活動に支障を及ぼすなど住民の生活環境を害し,国民生活全般に大きな影響を及ぼしている。

平成27年中の駐車車両への衝突事故の発生件数は,976件で,44人が死亡したほか,110番通報された要望・苦情・相談のうち,駐車問題に関するものが14.2%を占めた。


(1)秩序ある駐車の推進

ア 地域住民等の意見要望を十分に踏まえた上で,道路環境,交通量,駐車需要等に即応したきめ細かな駐車規制の見直しを図った。また,路上における短時間駐車の需要が高いと認められる道路の部分については,貨物車,二輪車の駐車需要にも配意し,地域の交通実態等に応じた駐車規制の緩和を実施したほか,当該部分における駐車秩序を確保する必要があるときは,時間制限駐車区間規制を実施した。

イ 違法な駐停車が交通渋滞等交通に著しい迷惑を及ぼす交差点においては,違法駐車抑止システムを活用し,駐停車をしようとしている自動車運転者に対して音声で警告を与えることなどにより,違法な駐停車を抑制して交通の安全と円滑化を図った。

ウ 都市部の交通渋滞を緩和するため,特に違法駐車が著しい幹線道路において,きめ細かな駐車規制の実施や駐車対策のための各種システムを運用したほか,違法駐車防止指導員等を配置して指導・広報・啓発を行い,悪質性・危険性・迷惑性の高い違法駐車に対する取締りを推進した。


(2)違法駐車対策の推進

取締り活動ガイドラインに沿ったメリハリのある取締りの推進,駐車監視員による放置車両の確認等に関する事務の適正かつ円滑な運用,放置違反金制度による使用者責任の追及,悪質な運転者の責任追及の徹底等により,地域の駐車秩序の確立を図った。平成27年中の違法駐車の取締り件数は140万8,796件(告知・送致件数と放置違反金納付命令件数の合計)であった。


(3)駐車場等の整備

路上における無秩序な駐車を抑制し,安全かつ円滑な道路交通を確保するため,駐車規制及び違法駐車の取締りの推進と併せ,次の施策により駐車環境の整備を推進した。

ア 駐車場整備に関する調査を推進し,自動車交通が混雑する地区等において,駐車場整備地区の指定を促進するとともに,当該地区において計画的,総合的な駐車対策を行うため,駐車場整備計画の策定を推進した。

イ 大規模な建築物に対し駐車場の整備を義務付ける附置義務条例の制定の促進等を行うとともに,民間駐車場の整備を促進した(第1-2表)。


第1-2表 駐車場整備状況(平成27年3月末現在)
  都市計画駐車場 届出駐車場
(注2)
附置義務施設
(注3)
箇所 453 9,033 68,135
台数 119,543 1,699,455 3,058,756

注 1 国土交通省資料による。
2 都市計画区域内に設けられ,駐車の用に供される部分の面積が500m2以上であって,一般公共の用に供される有料駐車場をいう。(届出駐車場であって同時に都市計画駐車場又は附置義務駐車場施設にも該当する場合には,これから除いている。)
3 附置義務条例に基づき設置された駐車施設をいう。


ウ 郊外部からの過度な自動車流入を抑制し,都心部での交通の混雑・輻輳を解消するため,都市再生特別措置法(平14法22)に基づく駐車場法(昭32法106)の特例制度による駐車場配置適正化区域の設定等の促進や,市街地の周縁部(フリンジ)等に駐車場を配置する等,パークアンドライド等の普及のための環境整備を推進した。


(4)違法駐車締め出し気運の醸成・高揚

違法駐車の排除及び自動車の保管場所の確保等に関し,国民への広報・啓発活動を行うとともに,関係機関・団体との密接な連携を図り,地域交通安全活動推進委員の積極的な活用等により,住民の理解と協力を得ながら違法駐車締め出し気運の醸成・高揚を図った。


(5)ハード・ソフト一体となった駐車対策の推進

必要やむを得ない駐車需要への対応が十分でない場所を中心に,地域の駐車管理構想を見直し,自治会,地域住民等の意見要望を十分に踏まえた上で,駐車規制の点検・改善,道路利用者や関係事業者等の自主的な取組の促進及び道路管理者等に対する路外駐車場や路上荷さばきスペース整備の働き掛け,違法駐車の取締り,積極的な広報・啓発活動等ハード・ソフト一体となった総合的な駐車対策を推進した。


11 道路交通情報の充実

(1)情報収集・提供体制の充実

多様化する道路利用者のニーズに応えるため,道路利用者に対し必要な道路交通情報を提供することにより,安全かつ円滑な道路交通を確保するとともに,光ファイバーネットワーク等の情報技術を活用しつつ,交通監視カメラ,車両感知器,交通情報板等の既存の情報収集・提供体制の充実を図った。

また,平成23年度より,一部道路の道路画像・道路気象情報について集約を行うことにより,情報提供事業者の道路交通情報の提供の充実を図った。


(2)ITSを活用した道路交通情報の高度化

ITSの一環として,運転者に渋滞情報等の道路交通情報を提供するVICSの整備・拡充を積極的に図ることにより,交通の分散を図り,交通渋滞を解消し,交通の安全と円滑化を推進した。加えて,高度化された交通管制システムを中心に,個々の車両等との双方向通信が可能な光ビーコンを媒体とし,高度な交通情報提供,車両の運行管理,公共車両の優先,交通公害の減少,安全運転の支援,歩行者の安全確保等を図ることにより交通の安全及び快適性を確保しようとするUTMSの構想に基づき,システムの充実,キーインフラである光ビーコンの整備等の施策の推進を図った。また,全国の高速道路上に設置された約1,600ヶ所の通信スポットを活用し,ETCのほか,渋滞回避支援や安全運転支援に関する情報提供を行うETC2.0サービスを推進することにより,道路交通情報の高度化を図った。


(3)適正な道路交通情報提供事業の促進

関係団体の協力の下,警察の保有するリアルタイムの交通情報をオンラインで提供するシステムを構築するなどして,カーナビゲーション装置のほか,携帯電話やインターネット等を活用して交通情報を提供する民間事業者の高度化を支援した。あわせて,交通情報の提供に関する指針(平14国家公安委員会告示12)に基づき,民間事業者が正確かつ適切に交通情報を提供するよう指導を行うとともに,特定交通情報提供事業者の事業届出制について適切な運用を行った。


12 交通安全に寄与する道路交通環境の整備

(1)道路の使用及び占用の適正化等

ア 道路の使用及び占用の適正化

工作物の設置,工事等のための道路の使用及び占用の許可に当たっては,道路の構造を保全し,安全かつ円滑な道路交通を確保するために適正な運用を行うとともに,道路使用許可条件の履行,占用物件等の維持管理の適正化について指導した。

イ 不法占用物件の排除等

道路交通に支障を与える不法占用物件等については,実態把握,強力な指導取締りによりその排除を行い,特に市街地について重点的にその是正を実施した。

さらに,道路上から不法占用物件等を一掃するためには,地域における道路の適正な利用についての認識を高める必要があることから,沿道住民等に対して道路占用制度の周知を行った。

なお,道路工事調整等を効果的に行うため,図面を基礎として,デジタル地図を活用し,データ処理を行うコンピュータ・マッピング・システムの更なる充実及び活用の拡大を図った。

ウ 道路の掘り返しの規制等

道路の掘り返しを伴う占用工事について,工事時期の平準化及び工事に伴う事故・渋滞の防止のため,関係者間の工事調整による共同施工,年末年始及び年度末の工事抑制等の取組を実施した。

さらに,掘り返しを防止する抜本的対策として共同溝等の整備を推進した。


(2)休憩施設等の整備の推進

過労運転に伴う事故防止や近年の高齢運転者等の増加に対応して,都市間の一般道路において追越しのための付加車線や「道の駅」等の休憩施設等の整備を推進した。


(3)子供の遊び場等の確保

ア 都市公園の整備

都市における児童の遊び場が不足していることから,路上における遊びや運動による交通事故防止のため,街区公園,近隣公園,運動公園など,都市公園法(昭31法79)に基づき設置される都市公園の整備を促進した(第1-3表)。


第1-3表 都市公園の整備状況
年度 住区基幹公園 都市基幹公園 緑道
箇所数 面積 箇所数 面積 箇所数 面積
  箇所 ha 箇所 ha 箇所 ha
平成22年度 87,057 32,431 2,105 36,598 834 892
23 88,118 32,658 2,115 37,201 867 901
24 89,198 32,915 2,127 37,369 887 905
25 90,614 33,235 2,135 37,635 909 913
26 92,088 33,611 2,146 37,785 939 922

注 1 国土交通省資料による。
2 交通安全に関連する都市公園のみである。
3 住区基幹公園とは,街区公園,近隣公園及び地区公園であり,都市基幹公園とは,総合公園及び運動公園である。
4 各年度末の数値である。


イ 交通公園の整備

児童が遊びながら交通知識等を体得できるような各種の施設を設置した交通公園は,全国で開設されており,一般の利用に供されている。

ウ 児童館,児童遊園等の整備

児童館及び児童遊園は,児童福祉法(昭22法164)による児童厚生施設であり,児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し,情操を豊かにすることを目的としているが,児童の交通事故防止にも資するものである。平成26年10月1日現在,児童館が4,598か所,児童遊園が2,742か所それぞれ設置されている。児童遊園は,児童の居住するすべての地域を対象に,その生活圏に見合った設置が進められており,特に児童の遊び場が不足している場所に優先的に設置されている。

このほか,幼児等が身近に利用できる小規模な遊び場(いわゆる「ちびっ子広場」)等が地方公共団体等により設置されている。

エ 学校等の開放

子供の安全な遊び場の確保のために,小学校,中学校等の校庭,体育施設等の開放を促進した。


(4)道路法に基づく通行の禁止又は制限

道路の構造を保全し,又は交通の危険を防止するため,道路の破損,欠壊又は異常気象等により交通が危険であると認められる場合及び道路に関する工事のためやむを得ないと認められる場合には,道路法(昭27法180)に基づき,迅速かつ的確に通行の禁止又は制限を実施した。

また,危険物を積載する車両の水底トンネル等の通行の禁止又は制限及び道路との関係において必要とされる車両の寸法,重量等の最高限度を超える車両の通行の禁止又は制限に対する違反を防止するため,警察等関係機関と連携し,違反車両の取締りを実施した。


※ 水底トンネル
 水底にあるトンネル,その他水際にあるトンネルで当該トンネルの路面の高さが水面の高さ以下のもの又は長さ5,000メートル以上のトンネル。

(5)地域に応じた安全の確保

積雪寒冷特別地域においては,冬期の安全な道路交通を確保するため,冬期積雪・凍結路面対策として適時適切な除雪や凍結防止剤散布の実施,交差点等における消融雪施設等の整備,流雪溝,チェーン着脱場等の整備を推進した。

さらに,安全な道路交通の確保に資するため,気象,路面状況等を収集し,道路利用者に提供する道路情報提供装置等の整備を推進した。

また,冬期の安全で快適な歩行空間を確保するため,中心市街地や公共施設周辺等における除雪の充実や消融雪施設の整備等の冬期バリアフリー対策を実施した。


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