特集 自転車の安全利用の促進について
第2章 自転車の安全利用の促進について(自転車安全利用五則)
第2節 交差点では信号と一時停止を守って,安全確認【第2則】

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特集 自転車の安全利用の促進について

第2章 自転車の安全利用の促進について(自転車安全利用五則)

第2節 交差点では信号と一時停止を守って,安全確認【第2則】

1 第2則は交差点における遵守事項を定めたもの

信号機のある交差点では,信号機の表示する信号に従わなければならない。「歩行者・自転車専用」と表示されている信号機のある場合は,その信号機の表示する信号に従うこととなる。

信号機のない交差点で,一時停止すべきことを示す道路標識等がある場合は,一時停止しなければならない。また,狭い道から広い道に出るときは,徐行しなければならない。

(信号を守って安全確認)
(一時停止を守って安全確認)
2 交通事故統計から

(1)衝突地点別の自転車関連死亡重傷事故の状況

前節と同様,交通事故統計を用いて事故状況を見てみることとする。衝突地点別(単路,交差点等)の自転車関連死亡重傷事故(第1当事者,第2当事者の別。平成30年~令和4年の合計。)を見ると,自転車が第1当事者となるケースでは,約5割が交差点内で生じていることが分かる。また,第2当事者の場合では交差点内で約7割弱を占めている(特集-第15図)。

第15図 衝突地点別の自転車関連死亡重傷事故(第1当事者,第2当事者の別)件数(平成30年~令和4年の合計)

(2)交差点における自転車関連死亡重傷事故の自転車運転者に関する法令違反状況

自転車関連の死亡重傷事故は,交差点内で生じているケースが多いが,その原因について,自転車運転者にどのような法令違反があったのかという観点で見てみることとする。

交差点における自転車関連死亡重傷事故の自転車運転者(第1当事者,第2当事者の別)に関する法令違反状況(平成30年~令和4年の合計)を見ると,第1当事者の場合,一時不停止が約3割と一番高く,次に安全不確認,信号無視の順に割合が高い。第1章第1節の特集-第7図「自転車関連死亡重傷事故における自転車運転者の法令違反状況」と比較すると,交差点では,一時不停止と信号無視の割合は高くなっていることが分かる。第2当事者の場合は,一時不停止と信号無視の割合は,第1当事者の場合と比較して低くなるものの,交差点安全進行義務違反や安全運転義務違反など,自転車側の法令違反も認められる結果となっている。

なお,第2当事者の場合は,第1章第1節の特集-第7図「自転車関連死亡重傷事故における自転車運転者の法令違反状況」と比較しても,違反内容や割合に大きな変化は認められない(特集-第16図,第7図)。

第16図 交差点における自転車関連死亡重傷事故の自転車運転者(第1当事者,第2当事者の別)に関する法令違反状況(平成30年~令和4年の合計)

交差点における自転車関連死亡重傷事故と自転車運転者の法令違反の関係について,年齢層別(65歳以上の高齢者,高校生,中学生,小学生)の傾向を見ると,第1当事者の場合,一時不停止の割合は,小学生,中学生,高校生で約4割程度と,全年齢層と比較して高い。特に,小学生の場合は4割を超えている。一方,信号無視の割合は,中学生,高校生では1割程度,小学生では1割を大きく下回るなど,全年齢層と比較して低い。これは,小学生は,信号については,交通安全教育等により比較的よく理解して守っているが,一時停止については,あまり認識されておらず,その結果として事故にあっていることが推測される。

第2当事者の場合,違反なしの割合が小学生は約4分の1と,全年齢層と比較して低く,何らかの法令違反が認められるケースが多いことが分かる。また,交差点安全進行義務違反の割合も約4分の1を占めている(特集-第17図)。

第17図 交差点における自転車関連死亡重傷事故の自転車運転者(第1当事者,第2当事者の別)に関する法令違反状況(年齢層別)(平成30年~令和4年の合計)

以上から,小学生に対しては,交差点における信号,一時停止をしっかり守り,交差点を安全に通行することを,交通安全教室等を通じてしっかり教育することが効果的と考えられる。

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