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知床遊覧船事故を受けた対策について

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対策の経緯

令和4年4月23日,北海道知床沖で遊覧船が沈没し,乗員乗客計26名が死亡・行方不明となる近年類を見ない重大事故が発生した。本事故を受け,国土交通省に設置した「知床遊覧船事故対策検討委員会」において,「旅客船の総合的な安全・安心対策」が同年12月に取りまとめられた。

今後,同対策に基づく措置を講じ,旅客船の安全・安心な運航の確保を図る。

旅客船 KAZU Ⅰ(本事故前の状況)
発生場所(北海道知床岬西側カシュニの滝付近海域)

「旅客船の総合的な安全・安心対策」の内容

取りまとめられた対策の具体的な内容は以下のとおり。

「旅客船の総合的な安全・安心対策」(概要)

1 事業者の安全管理体制の強化

・安全統括管理者・運航管理者への試験制度の創設

・事業許可更新制度の創設

・届出事業の登録制への移行

・運航の可否判断の客観性確保

・避難港の活用の徹底

・地域の関係者による協議会を活用した安全レベル向上

2 船員の資質の向上

・船長要件の創設
(事業用操縦免許の厳格化(修了試験の創設等),初任教育訓練,乗船履歴)

・発航前検査の確実な実施(ハッチカバーの閉鎖の確認を含む)

3 船舶の安全基準の強化

・法定無線設備からの携帯電話の除外

・業務用無線設備等の導入促進

・船首部の水密性の確保(既存船の緊急点検,隔壁の水密化等の検討)

・改良型救命いかだ等の積付けの義務化・早期搭載促進

4 監査・処分の強化

・海事監査部門の改革
(安全確保に向けた徹底した意識改革,通報窓口の設置,抜き打ち・リモートによる監視の強化,裏取り・フォローアップの徹底,自動車監査等のノウハウ吸収,監査体制の強化 等)

・行政処分制度の抜本的見直し(違反点数制度,船舶使用停止処分の導入等)

・罰則の強化(拘禁刑,法人重科等)

・許可の欠格期間の延長(2年→5年)

5 船舶検査の実効性の向上

・国による日本小型船舶検査機構(JCI)の検査方法の総点検・是正と監督の強化(ハッチカバー等を含む)

6 安全情報の提供の拡充

・安全法令違反の行政指導を公表対象に追加

・行政処分等の公表期間の延長(2年→5年)

・安全性の評価・認定制度(マーク等)の創設

7 利用者保護の強化

・船客傷害賠償責任保険の限度額引上げ

・旅客名簿の備置き義務の見直し

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