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障害者施策トップ意識啓発20年度心の輪を広げる体験作文・障害者週間のポスター作品 > 平成20年度入賞作品 中学生部門 優秀賞

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出会いふれあい心の輪「心の輪を広げる体験作文・障害者週間のポスター」作品集
〜平成20年度入賞作品〜

【中学生部門】  ◆優秀賞

みんなちがって、みんないい

矢口 周
(北海道教育大学附属函館中学校2年)

 自閉症、ダウン症、脳性まひ、アスペルガー症候群……。母の勤める保育園には、様々な障がいの子どもがいる。
 五年前に保育園が建て直されたときに、引越しの手伝いに行ったことがある。自分自身が幼稚園に通っていた頃を思い出させるような遊具があった。しかし、見慣れないものもあった。母に尋ねると、自閉症の子ども達が一日の活動に見通しをもてるように、その日のスケジュールをわかりやすく伝える道具だそうだ。それを見て、自分にもこういうものがあればいいのに、と思った。日常の生活では先のことを考えながら行動することはできる。だが、初めて経験することや、緊張しているとき、不安なときには何度も予定を確認したくなる。母は「自閉症の人達はいつもそうなんだよ」と話していた。その話をきいて、自閉症の人達の気持ちがほんの少しわかった気がした。
 父が養護学校に勤めていた頃、体育祭を見に行ったことがある。その時、僕に声をかけた一人の高校生がいた。「誕生日はいつ?」と訊かれたので、生年月日を答えたら「君が生まれた日は○曜日で天気は○○」と教えてくれた。僕はそれを信じることができなかったが、父は「本当だよ」と言う。その人の頭の中には何年分ものカレンダーと天気が入っているらしい。市内のバス路線を全部記憶してもいるらしい。そんなことができるのに、どうして一日のスケジュールに苦労するのか、不思議に思う。父に尋ねると、「それが自閉症の人達に対する支援が難しいところなんだ」と話してくれた。
 父と母が、障がいのある子どもにかかわる仕事をしているため、家でも子ども達のことが話題になることは多い。そのときの父や母の話す様子から、子ども達一人一人をかわいく思っていて、大切に考えていることが伝わってくる。障がいのある人が事件を起こして、障がいが原因であるかのような報道をされると、父も母も一緒になって怒っている。事件を起こしたのはその人であって、障害だけが原因と決めつけるのはおかしい、というのだ。これは、障がいのある人と深くつき合っていなければ、理解しにくいかもしれない。僕も中学生が事件を起こして、「中学生は危険な時期」などと言われると、なんとも割り切れない気持ちになる。
 性別、星座、血液型、長男、次男……様々な分け方でその性格が語られる。そんなときにも、人はみんな違うのにどうしてそんなに大きな区分で分けるのか疑問に思う。世界には、六十五億人も人がいるのだから、六十五億個の性格があっていいと思う。同じように、障がいのあるなしや、障がいの名前等にこだわらないことが大切なのではないだろうか。
 一人の人間として、同じ時代に一緒に生きている仲間として、その人を見て、つき合っていくことができたら良いと思う。
 一人一人顔も違って性格も違う。障がいがあってもそれはその人の個性ではないだろうか。顔、性格、血液型……。人を分ける要素はいくらでもある。だが、そんな細かいことにこだわらず、その人と向き合って生きていきたい。
 僕の好きな詩人、金子みすゞさんの詩の中の言葉はそんなことをいっているのではないだろうか。
「みんなちがって、みんないい」

 

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