【中学生区分】 ◆佳作 澤居 空(さわい そら)

しゅんちゃんはしゅんちゃん
澤居 空 (近江兄弟社中学校 1年 滋賀県)

僕は、まだ、障害者との出会いはないと思っていた。お母さんにそのことを言うと
「会ったことないんだ!空はその人のことをその人としか思わないから、障害者だと思わないんだね。すごいね。」
とビックリした様子で言った。僕は、障害者というものがどのようなものかよくわからなかった。障害者についてお母さんと話していると、僕が気付かないうちに、障害者に会っていることに気付いた。実はお母さんの友達の子供の男の子がダウン症という障害らしい。その子とは時々家に行く時に遊ぶ。しゅんちゃんは小学一年生だが、そんなにしゃべれない。しっかりとはしゃべることができないから、何を言っているのか僕には分からない。しゅんちゃんは、楽しそうに笑いながら、僕の両手を握って、左右に揺らし始めた。そして、両手を握ったまま、ぐるっと回った。僕は、(なべなべそこぬけがしたいんだろうなと)思い、僕もぐるっと回った。しゅんちゃんは小さくて回りにくい。僕は、両手を離さないようにしゃがみながら回った。しゅんちゃんは、声を出しながら笑った。しゅんちゃんも楽そうだったし、僕も楽しかった。しゅんちゃんはずっと笑っていて可愛かった。

僕はダウン症について疑問に思って調べてみた。しかし、染色体や、21番目など、難しい言葉が並んでいて僕には理解できなかった。よく分からないが、障害者らしい、じゃあ、そもそも障害って何だろう。『障害』について辞書で調べてみると、『何かをするのにじゃまになるもの』と出てきた。しゅんちゃんにとって何がしたくて、何がじゃまなものか考える。しゅんちゃんは、楽しく遊びたいんじゃないかな、じゃまになるもの…。思いつかない。しゃべれないことがじゃまなものなんだろうか。しゃべれなくても、僕はしゅんちゃんがなべなべそこぬけをやりたがっていることが分かった。それなら、しゃべれないことはしゅんちゃんにとって、じゃまなものとは言えないのではないか。

目の悪い人がメガネを掛けて障害者では無くなるのと同じで、どんな治らない病気を持っている人でも、メガネのような道具があれば、障害者にはならない。障害を持っている全ての人にとって、そんな道具や環境があればいいなと思う。

障害やダウン症について調べた今でも、僕はしゅんちゃんのことを障害者だとは思わない。しゅんちゃんはしゅんちゃんで、可愛い男の子だと思う。