第2回中央障害者施策推進協議会 議事録

平成18年7月26日

内閣府政策統括官(共生社会政策担当)


○京極会長 ただいまから第2回中央障害者施策推進協議会を開催いたします。

本日は、兒玉委員、成田委員がご欠席されており、清原委員は公務が終わり次第、駆けつけるとのご連絡をいただいております。

また、本日は小泉内閣総理大臣、安倍官房長官、猪口内閣府特命担当大臣、山口内閣府副大臣にご出席いただいております。協議会の開催に当たりまして、小泉総理大臣からごあいさつをお願いいたします。

○小泉内閣総理大臣 おはようございます。お忙しいところをきょうはわざわざ官邸にお越しいただきまして、ありがとうございます。

障害者の問題については、日ごろから皆様方に格別のご支援、ご協力をいただきまして、厚く御礼申し上げます。

私が初めて厚生大臣に就任した年、ノーマライゼーション、これを今後推進していくということでした。平成元年ですか、今から18年ぐらい前ですね。しかし、私は、ノーマライゼーションという言葉は本当に多くの方が理解しているのかと。そのときから何でも、何かやろうとすると、片仮名の英語か何語かわかりませんけれども、使うと予算がつきやすいとか目新しい感じがするということで、もっとわかりやすい言葉はないかなということを常々考えていました。普通英語をわかっている人は、ノーマライゼーションなんて余り言葉を使わないんですよ。障害のある人もない人も同じように社会参加しやすいような環境をつくることだろうと。そうですと言うから、役所の方ではもっといい言葉を使った方がいいんじゃないかと。

最近どうやらノーマライゼーションという言葉を聞かなくなりましたね。共生社会ですか、その方がわかりやすいんじゃないかなと思っています。ともに生きる。障害のある人もない方も、ともに社会参加をする。ともに活動する。ともに支え合う。助け合う。ノーマライゼーションよりも共生社会の方が私はわかりやすいような気がいたします。

同じ道を通るにしても、子供の時代通ったときは随分遠いなと思ったところを再び懐かしく同じ道を通ってみると、どうしてこう短い道を子供の時代長く思ったのかと。広いところで遊んだような気がしたなと思って同じ場所に戻ってみると、いや、ここは変わっていないと。もう50年前と同じ面積です。何も変わっていません。こんな小さいところで、小さい広場で遊んでいたのかと。大人になると、もうすごい狭いところですね。子供と大人でも見る感じ、違うんですね。ましてや障害のある方とない方では全然違ってくると思います。

そういう意味において、障害者の立場に立って、お互い助け合いながら社会参加できる道を探るという意味において、皆さん方のご意見、ご協力は大変大事だと思っていますので、今後とも障害者施策の推進に特段のご指導とご協力をお願いしたいと思います。

きょうは本当にありがとうございます。

○京極会長 それでは、小泉総理大臣と安倍官房長官は後ほど公務のため退席されるということですので、前回ご欠席等されていてご発言ができなかった委員にまずご発言いただいた上で議事に入りたいと思います。

4名の方、福島委員、岩城委員、松友委員、三橋委員に一言ずつご発言をいただき、時間の関係もありますので、ごく簡潔にお願いいたします。

福島委員からお願いします。

○福島委員 おはようございます。福島智でございます。

私は現在、東大先端研で広い意味でのバリアフリーの研究をしています。障害のある研究者が主体となって進める新たな研究プロジェクトも構想しております。私自身は9歳で目が見えなくなって、18歳で耳が聞こえなくなり、完全な盲ろう者となりました。世界で最も有名な盲ろう者はヘレン・ケラーさんだと思いますが、ヘレン・ケラーさんのことはご存じでも盲ろう者のことはご存じでない方も多うございます。しかし、日本でも1万人以上いると言われています。盲ろう者とはどんな状態の人間か。テレビを例に簡単に申し上げますと、まず目が見えないというのは画面が消えていて音だけを聞いているような状態、耳が聞こえないのは音だけが消えて画面だけが残っている状態、盲ろう者とはその両方が消えている。すなわち盲ろう者の心のテレビはスイッチが切れてしまっている、そんな人たちのことでございます。

私が18歳で盲ろう者となったとき、最も辛かったのは見えない、聞こえないということそれ自体よりも他者とのコミュニケーションができなくなったということです。幸い私の母親が指点字という新しい会話方法を思いついて、それが私の耳がわりとなり、多くの人に支えられながら現在まで至っています。

さて、日本には障害者がおよそ650万いると言われています。また、現在国連では障害者の権利条約も議論されていて、日本も積極的にかかわっておられますので、非常にうれしく思っています。ただ、問題は、仮に条約が締結、批准された後、それを国内法にどのように反映するかだろうと思います。今の厳しい財政状況下で障害者にだけ手厚くということは難しいと思いますが、障害者の周りには家族があり、友達がいて、親戚がいますので、身近に障害者のいる人は2,000万、3,000万いらっしゃるでしょう。また、高齢化率が世界最高になっております。今は若くて元気でも、いつ重い病や障害を持つかわかりません。また、すべての人が高齢者になります。そう考えたとき、障害者の問題は一部の人の問題ではなく、社会全体の問題だろうと思っています。自分がどんな状態になっても安心して頑張っていける社会、生きていてよかったと実感できるような社会、この日本という国に生まれてよかったと実感できるような社会、そうした社会を目指す意味でも今後障害者施策が一層充実されますことを願っております。

ありがとうございました。

○京極会長 どうもありがとうございました。

続きまして、岩城委員、よろしくお願いいたします。

○岩城委員 おはようございます。全国重症心身障害児(者)を守る会の岩城でございます。

この委員をお引き受けいたしまして、本日で2回目ですが、先ほど小泉総理のお話にもございましたが、第1回のときにやはり福祉の分野に横文字、片仮名は似合わないのではないかという趣旨のことを伺った思いがございます。私も日ごろから福祉の対象は、多くは高齢者、そして障害者ですので、そのあたりに疑問を持っておりましたので、同じ思いを見つけまして、気持ちが楽になりました。

さて、我が家は一人娘でございまして、現在27歳。誕生時の強度の仮死によりまして視力障害を伴い、話もできない、1人では寝返りもできない、寝たきりのため、食事、入浴、排泄、衣服の着脱など、生活すべてに介助を必要としております。ただ、私は一人の母親といたしまして、社会の制度、それから皆様の支えの中で今日まで在宅で、本当に楽しく育児、そして生活をしてきました。それはやはり自分からはなにもできない娘ですけれども、指一本の動き、そして、声をかけたときの笑顔、そういうものに励まされながら本当に楽しく感謝と喜びの中に生活ができてきたと思っております。

私たちの会は、北浦雅子会長のもと、「最も弱いものを一人ももれなく守る」ということを基本理念に、もう一つ、「決して争ってはいけない。争いの中に弱い者が生きる場はない。」そして、さらにもう一つ、「親個人はどんなに主義主張を持っても重症児運動にかかわるときは党派を超えること。」この3つを会の三原則として今日まで42年間やってまいりました。また、障害の重い子供たちを育てるには、家庭と親だけではとても守り切れません。そのために社会、そして皆様の御理解の中でこそ子供たちは生きていられます。そのために、私ども親がやはり自分たちでできることは自分たちでやり、けれども、やっぱり皆さんの助けをいただかなければ育てられない、そのために親として自分たちで心得を持つようにいたしました。それには会として10項からなります「親の憲章」を定めて今日までやってまいりました。

障害者自立支援法がいよいよ施行されました。自立の概念というのはさまざまでございます。重症心身障害の子供たちは社会に対して納税につながる生産性のある自立はできませんが、そこにいるだけで、懸命に生きている姿を示すことで、周りの人々に命の尊さ、生きることのすばらしさ、そして、やさしさを与えてくれます。外見からでは、なかなかわかりにくいかもしれません。しかし、どんなに障害が重くても、一人一人の中に必ず可能性というものをもっております。そういうものも引き出せる社会にしていただきたいと思っております。

ありがとうございました。

○京極会長 ありがとうございました。

松友委員、よろしくお願いいたします。

○松友委員 全日本手をつなぐ育成会の松友と申します。

育成会は知的障害のある子の親が中心に、最近は本人も入って活動して55年やってまいりました。私もことし36歳になる子どもがおりますが、その長男に障害がありまして、生後4カ月で難治のてんかんウエスト症候群にかかりまして、それから知的障害も併せ持ちました。父親として活動してまいりました。先ほどからありますように、多くの方々に支えられて長男も現在、地域のグループホームで生活しながら働いております。

前回私たちの仲間の委員がわかりやすい情報がほしいと提案し、そして、本日、早速障害者基本計画を用意いただきまして、本当にありがとうございました。私たちもやはり本人が中心になって、そして働けるものなら社会の中で働いて、社会に参加していく。地域で暮らしていく。言うなれば、今回の私たちの社会福祉の障害福祉の改革についてはいろんな批判、反対意見がありましたけれども、育成会、私たちの会としてはその理念を評価しながら、この法律の推進運動をしてきた経緯がございます。

ただ、いろんな課題といいますか、残された課題あるいは新たな問題もございまして、その中で1つだけ、特に子供の問題、児童期の問題についてぜひ関心を持っていただきたい。我々の子供も大きくなりましたし、つい大人の問題は働く問題も含めて今主張しておりますが、教育の問題はもちろん、さらに家族を含めた、特に経済負担についてはちょっと我々の予想できない大変さもあるようでございます。この部分が支えられていかないと、俗に言う少子化問題も含めて、やはり将来はなかなかきついと。子供の問題はなかなか我々が主張し切れなかった面もございますので、いろんな面でその部分の強化といいますか、対策をよろしくお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

○京極会長 ありがとうございました。

最後になりますが、三橋委員、よろしくお願いいたします。

○三橋委員 全国精神障害者家族会連合会常務理事の三橋と申します。

全国精神障害者家族会連合会は42年間活動を続けてまいりました。私は兄弟の立場でこの活動に参加しております。私の兄は45年間の闘病生活を送っております。現在57歳になる兄と、それから90歳になる父が地方でひっそりと、本当に社会の片隅で隙間に生きるようにして生きております。

精神科の方は、大変精神症状のために引きこもる方が多いと思います。全家連の会員の子息も何の社会的な支援も得られないまま本当にひっそりと家族の中で、家庭介護の中で生きておられる方がたくさんおられます。私の兄もまさにそのとおりでした。4年前まで対人緊張が強くて、電車にもバスにも乗ったことがありませんでした。それが奇跡的に4年前、電車やバスに乗って病院へ通院することができるようになり、1年前からは作業所へ通うことができるようになりました。この奇跡のような変化は、高齢者福祉サービスの方々が父のもとへ、母のもとへやってくることによって、そして、暖かく向かい入れてくれる、暖かく関心を持ってくれるようになった、そのことで私は兄に本当に忘れかけていた希望というものがまた再び生まれてきたのではないかというふうに考えております。

精神障害の方はなかなか対人緊張が強くて、自分からは外へ出向いていくことができないかもしれません。家族は本人の力を信じることもできます。見守ることもできます。押し出そうともします。けれども、それではかなわないことがたくさんあるんです。社会の側から迎え入れていただきたい、暖かく見守っていただきたい。そして、寄り添っていただきたい、強くそういうふうに思います。

私、そのような精神障害の方々のために3つ、ぜひとも障害計画で本当に入れていただきたいと思っております。それは、まずは訪問型のサービスです。とにかく暖かく迎え入れるために訪問をしていただきたい。次には、まず自立の前に症状を抱え持ちながら働けない方がたくさんおられます。8割の方はだるさや疲れやすさを持っておられます。このような方々が本当に町の中で自分らしくあるがままに生きるための場づくり、そういう場づくりをきちんとこれからも続けていっていただきたい。それから最後に交通費助成です。そのような場へようやく勇気を持って出ていこうとしたときに、私の兄は今、片道800円のバス代、往復1,600円のバス代を使って200円の工賃を稼ぎに作業所へ通っております。ぜひとも交通費助成の方をよろしくお願いしたいと思ってまいりました。

障害者自立支援法には期待と不安と両方ございます。しっかり後退することのないよう見守っていきたいと思います。よろしくお願いします。

○京極会長 ありがとうございました。

小泉総理大臣、安倍官房長官は所用のためここで退席されますので、ご了承願います。

それでは、議事に入りたいと思います。

本日は、議題として障害者基本計画に基づく施策の進捗状況についてと、障害者施策の今後の課題についての2つを挙げておりますが、一括してご議論いただければと思います。

事務局より説明の資料をお願いいたします。

○林政策統括官 それではまず、本日お配りしております資料を確認させていただきます。

議事次第、委員名簿がございまして、その後、後ろに資料1として平成17年度障害者施策の概況、それから、資料2といたしまして、わかりやすい障害者基本計画の案、資料3といたしまして障害者基本計画との対照表を配付させていただいております。

このほか、参考資料としまして参考資料1、平成18年度版の障害者白書、緑色の本でございます。それから、参考資料2及び3として障害者基本計画の推進状況(平成16年度)、重点施策実施5か年計画の進捗状況(平成16年度)、それから参考資料4といたしまして障害者施策総合調査結果の概要、また参考資料5及び6といたしまして、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の概要、それから「学校教育法等の一部を改正する法律」の概要、最後に参考資料7といたしまして障害者権利条約(案)の検討状況を配付させていただいておりますので、ご確認願います。

それでは、続きまして、資料のご説明をさせていただきます。

まず、今年度の障害者白書の概要版でございます資料1に沿いまして、平成17年度における障害者施策の取組み状況についてご説明させていただきます。

この薄い冊子でございますが、この概要の2ページの図表1を見ていただきたいと思います。色刷りになっている部分でございますが、平成17年度は障害のある方の社会参加を促進するため、雇用、生活支援、教育、生活環境の分野におきまして、障害者施策の推進に関する重要な制度改正が相次いで行われました。図表にありますとおり、4月には「発達障害者支援法」の施行、6月には「障害者の雇用の促進等に関する法律」の一部改正、10月には「障害者自立支援法」の制定がございました。また、年があけて2月には「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案」が、それから3月には「学校教育法等の一部を改正する法律案」がさきの国会に提出されまして、いずれも6月に成立いたしました。

「障害者の雇用の促進等に関する法律」の一部改正は、障害者の社会参加を促進するために精神障害者の雇用対策の強化、在宅就業障害者の支援、福祉施策との有機的連携による就業支援等を内容とするもので、本年4月から全面施行されております。

また、「障害者自立支援法」は、障害種別ごとにサービス提供の仕組みが分かれていた状況を改め、市町村が一元的に福祉サービスを提供する仕組みを創設するとともに、利用者負担の見直しや国の財政責任の明確化を通じて、制度の安定化を目指すもので、本年4月から一部が施行され、10月から全面施行される予定でございます。

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」は、平成17年7月に公表されました「ユニバーサル政策大綱」を踏まえまして、高齢者、障害者等の円滑な移動及建築物等の施設の円滑な利用の確保に関する施策を総合的に推進するため、主務大臣による基本方針の策定、旅客施設、建築物等の構造設備基準の策定、バリアフリー化にかかる住民等の計画段階からの参加の制度化等を図るもので、本年後半の施行を予定しております。

「学校教育法等の一部を改正する法律」は、昨年末の中央教育審議会答申を踏まえ、障害のある児童生徒等の個々のニーズに柔軟に対応し、適切な指導及び支援を行うため、複数の障害種別に対応した教育を実施することができる特別支援学校の制度を創設するとともに、小中学校等における特別支援教育を推進すること等を内容とするものです。

これらの法律、制度改正のほかにも障害のある方が情報機器などを利用しやすくするため、JIS-X8341シリーズの一環として電気通信機器及び事務機器について国内規格が制定されるとともに、災害時等要援護者の避難支援ガイドラインの見直し等も行われました。

なお、障害者基本計画及び重点施策5か年計画の進捗状況については、平成16年度までの実績を先ほど申しました参考資料2及び3として配付してございますので、後ほどごらんいただければと存じます。

続きまして、この冊子の4から6ページをごらんいただければと思います。

障害者基本計画では、障害者関係団体との意見交換やニーズ調査の実施等を通じて、施策・事業の有効性について検証を行うということとされております。内閣府ではこれを踏まえまして、平成17年度から、障害のある人が社会参加する上でバリアとなる事項を抽出し、その解消に向けた課題を明らかにするために障害者施策総合調査を行うことといたしました。調査は障害種別横断的な団体であります日本障害フォーラム及びその事務局である財団法人日本障害者リハビリテーション協会の協力を得て、全国の障害のある方にアンケートを行う形で実施しました。

平成17年度は、公共施設や公共交通機関等の生活環境及び情報・コミュニケーションの分野について約4,600名を対象に調査いたしまして、約2,200名から回答を得ました。この5ページの図でございますが、5ページの図表は施設やサービスの利用経験の有無及び利用した際に困った経験の有無等を調査した結果をまとめたものでございます。

色で分けてございますが、一番左の部分の環境等が原因で利用できなかったという方と、2番目のピンク色でございますが、利用して困ったという人がバリアを感じている方と考えられますが、歩道の割合が56.4%と最も高く、駅・鉄道、スーパー・コンビニ・デパート、レストラン・食堂、病院・診療所など日常利用する機会が多い施設やサービスで不便を感じている方が多い結果となっております。

それから、1ページめくっていただきまして6ページの方でございますが、6ページの図表は、生活環境及び情報・コミュニケーションに関します8つの分野につきまして、この10年間においてバリアの改善状況について聞いた調査の結果でございます。いずれの分野でも「利用しやすくなった」及び「やや利用しやすくなった」が多数でございまして、全体としてはおおむねバリアフリー化が進んだことがうかがわれます。

項目別に見ていただきますと、法律に基づいてバリアフリー化が進められてきております交通、公共施設や、また技術進歩が著しい電話、携帯電話等の項目では6割前後が肯定的な回答となっておりますが、一方、住宅やコミュニケーション支援体制は相対的に厳しい評価となっておるわけでございます。

今回のこの結果につきましては、今後ホームページなどで広く公表するとともに、関係省庁間で情報を共有して今後の施策の企画立案、実施等に当たっての基礎資料として活用し、重点施策実施5か年計画の見直し等を行う際の資料としても活用してまいりたいと考えております。

それでは次に、資料、資料2及び3についてご説明申し上げます。

昨年の第1回のこの会合におきまして、館森委員から障害者基本計画について、だれにでもわかりやすいもの、知的障害のある人にもわかるような文章とされたいとのご意見をいただきましたが、その後、全日本手をつなぐ育成会のご協力を得て、知的障害のある方のご意見も伺いながら検討を進めた結果、この資料2のとおり、わかりやすい障害者基本計画(案)を取りまとめることができましたので、ご報告いたします。

資料3には対照表をお示ししておりますが、案の作成に当たりましては、分量が膨大とならないように、基本的には障害者基本計画の目次を平易な言葉に置きかえる形で進めました。時間の関係で詳しいご説明は割愛させていただきますが、今回お示しした(案)につきましては、今後とも関係者のご意見を伺いながら、さらに改善を図っていく考えでございます。こうした取組みを進めることによって、少しでも多くの方に障害者基本計画の内容をご理解いただけるよう努めてまいりたいと存じます。

以上、簡単でございますが、資料の説明とさせていただきました。

○京極会長 ありがとうございました。

ただいまの資料1から3の説明につきまして、何かご質問がございましたらお願いいたします。

どうぞご自由に。簡潔にお話しいただいたので、ちょっと少し逆に問題があれば。

○米田委員 よろしいですか。

○京極会長 どうぞ。

○米田委員 全国心臓病者友の会の米田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私どもの会は心臓病の本人、それと心臓病を持った子供たちの家族の会で、私自身が心臓病です。

今回のわかりやすい基本計画(案)を拝見していて、障害ということと疾病を予防していく保健という言葉遣いの関連性についてどうお考えなのかということをお聞きしたいと思います。というのは、私どもの会のことで申し上げれば、やはり心臓病を持った子供というのは治りません。治らないけれども、やはりある程度の生活ができるようにげたを履くといいましょうか、みんなで共生社会に参加していけるような形でげたを履かせていただきたい、そういうイメージを持っております。その中で、実際には移植をしなければ助からない場合、15歳未満であると、国内では臓器移植ができないので海外に行かなければいけない。そういう疾病、保健の部分でやっぱり底上げをしていく、そういった部分があって初めて障害者としての施策なり云々というのが生きてくると思っていたのですが、障害と保健の関係についてご意見をお聞かせいただければと思っております。

以上でございます。

○京極会長 これはどうでしょうか。障害と病人と、それから要介護者それぞれ非常に近い言葉なんですけれども、違うわけでありまして、統括官の方からか。

では、事務局からお願いいたします。

○長門参事官 この場から失礼いたしますが、障害者担当参事官の長門でございます。

今お話がありました、わかりやすい障害者基本計画につきましては、むしろ資料3の対比表をごらんいただけますとわかりやすいかと思いますが、資料3の16ページからが保健・医療分野におけます施策についての基本計画の記述でございます。左側に現在の基本計画の保健・医療の施策に関します施策の基本的考え方を示しました基本方針と、以下、個別の施策、基本的方向ということで、ここでは目次を掲げさせていただいています。今回はこれをわかりやすい言葉に置きかえる、そういう形でこの案をつくらせていただいたわけでございますが、保健・医療につきましては、障害を持たれる方が生まれつき障害のある方と、きょうも福島委員の方から中途で障害を負われたという話がありましたが、中途で障害をお持ちになる方と両方おられます。そういう意味で、この保健・医療の分野におきましても、以下17ページから次のページにかけて施策がそれぞれ項目立てしてございますが、予防的な取組みのものと、それから、リハビリ、治療の側面のものと、そういう複数の観点から計画が立案されておりまして、そういうものについて今回もなるべくわかりやすい言葉で置きかえるというふうにいたしました。

○京極会長 ありがとうございました。

これはなかかな難しい問題でございますので、これぐらいにしていただきたいと思います。

あと、先ほど資料の点でほかにご質問がなければ、せっかくの機会ですので自由な発言をしていただければと思います。

資料についてのご質問。笹川委員。

○笹川委員 先ほどのアンケート調査の結果で、情報提供の面ではかなりおくれているという指摘があったと思います。視覚障害者の場合は、特にこの情報不足が大きな問題でございます。きょうの資料を点字化していただいておりますけれども、やはり点字化するあるいは音声化する、そういうことがない限りは、私どもは皆さんと同じレベルで情報を得るということがなかなか難しい。そういう意味で、政府が出されるいろいろな資料につきましては、可能な限り点字化、音声化をしていただきたいというふうに思います。

それから、視覚障害者向けの解説放送、テレビのいわゆる副音声ですけれども、この辺が大変遅れています。現在、NHKがこの副音声している番組というのは全体の3.2%、それから、民放の方になりますと、これはもう0.2%という大変低い水準にあります。特に民放につきましては、番組の変更等がありましたために、これまでよりもなお低下している。我々視覚障害者はラジオがあればいいということでは決してなくて、テレビもみんな聞いています。というのは、番組の内容がラジオとはかなり違う。特に今どの放送局でもテレビ放送にかなり力を入れておりますから、テレビを見るというよりも聞く視覚障害者が大変多い。

一昨年調査した結果によりますと、視覚障害者の中でも92%がテレビ放送を聞いているという実態があります。この情報サービスの充実という課題は基本計画でもはっきりうたわれておりますし、そういう意味からすると、今後この情報提供という点ではもっと力を入れていただきたいというふうに思います。現状はアンケートの調査結果でわかりますので、今後ぜひひとつご尽力をいただきたい。特に総務省の方にはお願いしておきたいと思います。

○京極会長 承ったということでよろしゅうございますか。

ほかに資料の質問がございませんでしたら、せっかくの機会なので自由に意見交換をしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

それでは、どうぞごく簡潔にお願いできますか。どなたからでも結構でございますので、一言ずつお願いいたします。樋口委員。

○樋口委員 国立精神・神経センターの樋口でございます。

第1回目に出席できなかったものですから、どのような議論がなされたかは定かではありませんけれども、私どものナショナルセンターは精神の障害、神経障害、それから発達障害、筋ジストロフィー等の筋肉の疾患を持った障害の方々の研究と新しい医療を担うということでやってきておるわけでございますが、私は専門領域が精神領域でございますので、精神に関して少し意見と、それからお願いを申し上げたいことがございます。

心のバリアフリーということが最近よく言われますし、それから、特に障害を受け入れていくという社会の側の受け入れ方が重要な役割を果たすわけですが、その場合、偏見の除去ということが非常に重要だと思います。これはすべての障害についてそうだと思うんですが、特に精神障害に関して私が日常的に感じますのは、日本では精神障害に対する知識とか正しい理解とかというものがなかなか進まないと。

実はこれ小渕内閣のときにスタートしたようでございますが、日本とオーストラリアとの間で共同研究がずっと行われてきておりまして、最近では自殺の研究であるとか、それから、自殺の防止策の研究であるとか、それから、一般の方々の精神障害に対する理解といったものを調査研究しますと、大きな開きがある。日本の方がうんと遅れている。その背景のひとつとして、それだけが原因ではないと思いますが、実は日本の学校教育の中で今、教科書の保健体育の中に精神障害の項目が抜けてしまっているんです。一般的なメンタルヘルスということで、例えばストレスの問題であるとか心身相関の問題であるとか、そういったものは取り上げられております。ところが、ある時期から余りにもそれまでの書き方が偏見に満ち満ちていたものだったので、精神障害に関する記述が削除されたという経緯があって、削除しただけで新しい、正しい情報、知識が教育の中に持ち込まれていない。大変これは大きな問題で、やはりこういった正しい知識、そして偏見を除去していく上では小さいときからの学校教育の中で正しいそういった情報、知識をきちんと教育していくというステップが必要であるというふうに思います。オーストラリアにおいては、そういった意味で教科書の中でしっかり取り上げられて、書かれているということでございますので、その点についてもぜひ今後ご検討いただきたいと思います。

○京極会長 ありがとうございます。

一々発言されたことに対して事務局でお答えするということはしませんので、とりあえず一通り伺って、最後に事務方でお答えいただけることはいただくという形にしたいと思います。なるべく多くの方に発言していただきたいと思います。

どうぞ。では、小金沢さんですね。よろしくお願いします。

○小金沢委員 全精連の小金沢です。

今の先生の方からもお話があったとおり、偏見差別という問題は一番大問題でして、本当にありがとうございます。そのとおりの考えで私どももおります。私の方からは、今回成立いたしました自立支援法に関して2点ほど意見がございます。

まずは自立支援医療なんですが、これに関して今まで公費負担といいまして、5%負担で基本的には精神科にかかられていた患者さんが多かったんですけれども、この方たちが基本的に1割負担ということになったと。それも、本人のみの収入ではなくて、家族を含めた中の収入で算定されるということになりました。こういう作業になれていなかった僕の多くの仲間たちは精神医療が変わるというだけでパニックになってしまって、中には手続が難し過ぎて再発、再入院という事例が都内でもあります。今はだんだん薄まってきたんですけれども、余りにも短時間で短兵急にこういったことを進められると、精神障害者の方、特に就労経験、それから就学経験のない方も多いものですから、その点は今後時間をかけて十分な説明をしてからにしていただきたいというのが1点です。

2点目は自立支援法本体の方なんですけれども、いろいろ諸問題がございます。その中で一番大きいのがやはり自己負担が発生すると。今まで作業所に通うのに無料で通えて工賃が5,000円、1万円もらっていた方たちが、これは算定なんですけれども、今度はそれ以上の負担を強いられる可能性が高いということで、もう既にそういった作業所からやめてしまった、退所された方がいらっしゃいます。これは全国レベルでもこれは3所の1所ですので、精神を含めてそういった方が出てきているという点が非常に大きな問題で、この文章の中で読みますと、負担の見直しと、見直しではなくて負担がなかったところに負担をかけるというのを大きなところとして、これは今までよく聖域という言葉が私は嫌いなんですけれども、聖域ではなくて、障害者施策は国の責任でもって財源を含めてやるべきであるというのが今までの日本政府の方針だったと思います。それが今回の自立支援法では介護保険と同等に負担を強いるということの説明をきちっとなさず、合意をとらずにやってしまったという点は、きょうも先生いらっしゃいますけれども、非常に障害者部会としては、これは障害者たちにとって理解ができていなかったのではないかと。3年後の見直し、介護保険等の統合かつ5年後の見直しということで、本気になって当事者のためになる自立支援。先ほど自立ということに関してもお話がありました。就労をすべてできるわけではありません。ですから、特に3障害について、自立とは一体何なのかという定義を明確にした上でこの自立支援法をどのように発展させていくか。利用者が利用しやすい法律に変えていくかというのがこれから正念場を迎えるかと思います。ですから、今後私どもとしては、負担が少なく、かつ自分の人生にとってプラスになるような、そのような自立支援法にしていただかなければ、この法案に対してはもう法律ですから反対はないんですけれども、気持ちとしては反対という声が我々の多くの意見です。

以上です。

○京極会長 松友委員、お願いいたします。

○松友委員 全日本育成会の松友ですが、先ほど樋口委員の方からありました教科書の件でございますが、実は私、前に所属しておりました日本てんかん協会という団体で教科書とかなり激しい批判をしました。それで削られたということについて、かつて私たちの団体としてもじくじたる思いをしたことを思い出しました。やはりこれは避けて通るのではなくて、きちっと論じていく、教育していくという樋口委員の提案も大賛成であります。

ただ、やはり内容の問題等保健体育のところに上げられるのはいかがなものかという議論はありました。やはりいろんな意味で全人格的社会的な意味でとらえてほしい。といいますのは、ご存じのように、今度国連で議論しております権利条約の中では教育問題で、特に有効性の教育という形で通常学級を基本としていくとなると、文字通りいわゆる全体の子供さんに一緒に考えていただくということが大事なので、ぜひその点はいろんな意味で検討いただきたいと思います。

それから、教科書に関して言えば一つお願いしたいのは、いわゆる墨字で書かれた教科書だけではなくて、デージーという新しいいわゆる情報提供システム等のそういう部分について、聞くところによりますと、アメリカではそれを法律上義務化して、要するにLD等の子供さんが墨字だけでは理解できない部分について、もちろん点字等も一緒かと思いますが、そういう部分を教科書会社に義務化させているという話を聞いております。著作権の問題といつもこのコミュニケーション、情報提供に議論がありまして、この面での法整備もいただきたいし、特に公的な教科書については、それぐらい踏み込んでいいのではないかというのを別のところの研究会でも議論しておりますので、ぜひその部分についてもご検討いただければというふうに思っております。

ありがとうございます。

○京極会長 館森委員。

○館森委員 館森と申します。ちょっと原稿を読ませていただきます。

昨年の中央障害者推進協議会からこの1年、内閣府の人と私たちで話し合って、わかりやすい基本計画をつくりました。内閣府の人たちは私たちの声をよく聞いてくれました。この資料はただつくられただけではなく、いろんなところで活用されることを望みます。なぜかというと、これを読んで初めて私たちの生活に必要なことがたくさん書いてあることがわかりました。本人たちが知る必要があると思います。周りの人にも理解をしてもらい、一緒にしていくことが必要だと思います。これは私たちが理解する第一歩で、わかりやすいものをいろいろつくってほしいと思います。このような障害者基本計画がお手本となり、各都道府県などにも広がっていってほしいと思います。

私も社会の中で働いておりますが、なかなか障害者が社会の中で働いていくというのはいじめや差別や偏見がありまして、それを乗り越えていかないと一人前としては扱われないんです。ところが、それを乗り越えられない人、親に甘やかされ、周りに甘やかされて作業所の中にいる人が急に社会に飛び出したらパニックになってしまうと思うんです。だから、そういう前に訓練する場所を多くつくっていただきたいと思うので、よろしくお願いいたします。

○京極会長 ありがとうございました。

全員に発言していただきたいと思うんです。風水害で大変大被害を受けた熊本県からわざわざお越しなので、潮谷委員、よろしくお願いします。

○潮谷委員 ありがとうございます。

1つは「わかりやすい障害者基本計画」、いまだかつてない形の中でこういったものができ上がったということに私は大変敬意をあらわしたいと思います。

それからもう一つは、障害者白書、先ほどの説明の中の2ページの図表でございますけれども、これが大変よく整理をされていて、障害者の皆さんたちが地域の中で一人一人が存在していくということの方向づけがこういった中から見えてくるのではないか。ただし、実行をしっかりとやっていかなければならないといった前提の中で、障害者自立支援法について触れさせていただきたいと思います。

実は、非常にこの法の円滑な施行ということにつきましては、皆様ご承知のとおり、厳しいスケジュールの中でやらざるを得なかったという経過がございました。熊本県だけではなくて、恐らくたくさんの行政がこの厳しいスケジュールの中で取り組みを進めてきたと思います。大きな改革です。大きな改革であったのにもかかわらず、これが施行までの期間が短いということで、果たしてこの法の中の理念が利用者、それから事業者、自治体、スムーズな受入れであったのかどうか、いささか疑問に感じる事例が日々私ども行政の中にも寄せられております。混乱している状態があると、このように申し上げたいと思います。

本当に障害を持っている方たちが地域社会の一員として自立をしていくという日常生活、社会生活、こういったものが障害者自立支援法において促進され、この法に魂が込められて障害者の皆さんたちと一緒になってめざしていく事が必要です。

今、熊本県では、利用者の皆さんたちは何を矛盾として感じていらっしゃるのか。あるいは使い勝手が悪いと感じていらっしゃるのか、そういったものをきめ細かく吸い上げる作業をやっております。実施後のわずかな期間でございましたけれども、5月20日に状況調査を始めております。旧法と新しい法、ここがどのような状況の中で具体的に理解をされ、問題をはらんでいるのかという点、あるいは法自体は正しいにもかかわらず、現実の中での理解不足、こういったものが混乱につながってはいないか。実態調査をきちっとやるべきだということで今取りかかりをやっているところです。特に給付費との関係がせっかちに評価を下してはならないのではないかという思いがございます。しかし、そのためには実態を知らなければならない。

そこで、ぜひ国にお願いしたいことがございます。実態調査を全国的にやっていっていただきたいと思います。法施行前に想定できなかった事態が生じてはいないかということも含めて全国調査からの分析が必要と考えます。そして、3年後に向けてきちんと滑り出しをやっていかなければならないと感じられるところです。ぜひ障害者の問題というのは種別だとか等級だとか、そういったような観点から出発していくのではなくて、社会全体の問題であるという発想からこれをきちっととらえていき、実態を把握していき、積み上げていくことが非常に大事ではないかと思います。

それから、先ほど三橋委員の方から訪問サービス、それから障害者の方々の場づくり、それから、交通費の助成、この3つの提案がございましたけれども、私たち自治体にとりましても大変よい提言をいただいたというふうに思っているところでございます。

以上でございます。ありがとうございました。

○京極会長 ありがとうございました。

続いて、清原委員、どうでしょうか。

○清原委員 三鷹市長の清原でございます。

ただいま潮谷委員から県のお立場から自治体の取り組みについてご意見がございましたので、私も市の基礎自治体の立場から意見を申し上げます。

まず、今回のこの白書で特集として障害者の雇用について取り扱われました。私はこの観点というのは大変重要だと思っておりまして、真の自立といったときにやはり日常的な生活の自立、そして就労、雇用についてしっかりとした政策を国あるいは自治体が進めていくということは基本だと考えております。

三鷹市の場合ですと、17年度に当事者にも参加していただいた障害者の就労に関する検討会を設置しまして、その提言を踏まえて、今年度後半に障害者の就労支援センターを初めて開設する予定となりました。この間私どもが痛感いたしましたのは、これまで作業所の皆さんあるいは社会福祉法人の皆様が本当に自主的、自発的、丁寧に取り組んできた就労支援や作業所あるいは雇用のための技能習得の学習機会の設定などのまさにボランタリーな蓄積が地域社会にはあるということでした。けれども、それに引きかえ、どうしてもせっかくの能力やあるいは努力の意欲がありながら、それを受け入れてくださる就業機会というのは非常に制約的、限定的であるということです。私たちはピアサポートということから就労経験のある障害者の方に相談員にもなっていただくような取り組みをしつつ、こうした就労支援の場を具体的に進めてまいりますが、国におかれましては、何よりも特に大企業あるいは地域の中小企業がこうした障害者の皆様の雇用機会を積極的に提供するということが企業の社会的責任としても望ましいことであるということの周知啓発について、今まで以上に積極的に取り組んでいただきたい。そうであれば、県を含めて市町村、自治体というのは紹介やあっせんというのはまさにきめ細かく障害者の方の実情に合わせてさせていただく、そういう蓄積はあるのではないかと思われます。

したがいまして、さらなる雇用機会の開発というものについて、あるいは潜在的なものがあるはずですので、その顕在化に国のリーダーシップをお願いしたいと思います。

2点目です。

障害者自立支援法については、潮谷知事さんがおっしゃいましたとおり、まさにその実際の運営、運用の中の声というのは自治体にまず届いています。まさに先ほど小金沢さんもおっしゃいましたけれども、精神障害の方をしっかりと対象に含めたというポジティブな面は評価できますけれども、しかし、その負担増といったことがもたらす国の皆様がお考え以上のやはり緊張感なり不安感なり不満というものは自治体の日々の対応の中で大きな声となっております。そこで、私たちも手をこまねいていてはいけないので、具体的に市ができる補助制度などを考えて、わずかながら実践をしておりますけれども、そうしたものに思いもかけない大きな評価をいただくぐらい実態は深刻で厳しいというふうに思っております。

したがいまして、私も潮谷知事と同意見でございまして、基礎自治体としては実態調査の努力をしておりますけれども、やはりそれを総合的に把握していただいて、地域格差が出ないようにやはり国としては標準的な基準を持った取り組みを検証しながら進めていただきたいと思っています。

3点目に、私は当事者の方と直接出会うことも多く、また、障害者自立支援法に基づく障害福祉計画の策定にあたっては、当事者(身体・知的・精神)の方に市民会議の委員にもなっていただくなどそうした取り組みをする中で、改めて障害種別を超えた相互理解を進めていくということも有効であると考えています。この中央障害者施策推進協議会も当事者の方が障害種別を超えて参画されていらっしゃいます。また、そうした皆様を支援する団体も種別を超えて多くいらっしゃるわけです。障害者問題といっても多様でございますから、種別を超えた相互理解が何よりも全体的な質の向上には不可欠と思っております。県や基礎自治体がそうした取り組みに積極的なところもございますが、まだまだ当事者参加が不十分なところもあると聞いております。ぜひ中央障害者施策推進協議会のこうした当事者の方の声をより全国的にPRあるいは周知していただくということも重要や心のバリアフリー除去のための取り組みになるのではないかと思います。

重ねてお願い申し上げます。障害者自立支援法はその施行元年を迎えておりますけれども、もう既に出ております問題についてはきめ細かく把握していただくとともに、その法の精神が実質的に具体化していきますために絶えざる検証と、そして改善に向けて積極的に取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。

自治体も頑張りますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

○京極会長 ありがとうございました。

当事者の団体の方もいらっしゃいますし、障害をお持ちでこの委員に参加されている方もいらっしゃいますので、では、藤井さんからご発言ください。

ほかの方もどうぞ積極的にご発言ください。

○藤井委員 日本障害者協議会の藤井と申します。

数点ありますが、1つは先ほど大臣がいらっしゃいますので、これは検討でよろしいんですけれども、今、樋口委員もおっしゃいました偏見とか、あるいは誤解の除去を含めまして、この障害という言葉ですね。これは例えばかつて精神薄弱者が今は知的障害者に改称されました。それから、精神分裂病が統合失調症に変わって、ネーミングというのは非常に大きいわけです。できれば、この障害という言葉につきましても、いろんな検討をした経過もあります。改めてやはり当事者からしますと、特に害という字に関する響きがよくないという思いです。これについてはもう少し時間がかかるかもしれませんけれども、検討してほしいと思います。

もう一点は、自立支援法なんですが、今、潮谷知事、清原市長からも出ましたけれども、一つは余りにも拙速であったということからくる問題性があります。同時に、基礎データが十分でないまま、着手したことによるさまざまな問題や困難があるように思います。4月から一部施行、10月から完全施行になってくるのですが、予想以上に現場では当事者や事業者、それから自治体において、戸惑いや不安があります。これに関して、所管官庁としての厚労省とあわせて、内閣府としても、施行後の実態把握をすべきではないでしょうか。法律では附則の中に3年後の見直しとありますが、事は深刻であり、これを待たずして1年後の見直しがあってもよいのではないでしょうか。

もう一点、最後に参考資料7でありますけれども、障害者の権利条約に関する件です。

長門参事官にも随分努力してもらっているところなのですが、いよいよこの8月で第8回のアドホック委員会が最終局面を迎えようとしています。非常に大事な人権条約であって、恐らく一たんこれが締結されますと、30年後、50年後まで変わらないと思います。極力現段階では高いレベルでこれを採択してほしいと思います。日本政府も随分頑張ってもらっています。NGO代表も日本政府団に入れてもらっています。2つほどお願いしたいことがあります。1つは、政府としての対処方針の水準を高めてほしいのです。そろそろ日本政府は見解をまとめていらっしゃいますけれども、何とか積極的にしてもこの協議会としても外務省を通して政府にエールを送りたいと思います。

もう一点は、前川口外相が国連総会の首相演説を代理でこの件に関して触れていらっしゃいます、3年前に。ことしも9月に国連総会で当然各国の首長演説がありますので、こういう中でもぜひこれに関して我が国の積極的な意思を表明していただくように演説の草案に入れてほしいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

○京極会長 ありがとうございました。

後で猪口大臣のごあいさつの中にもちょっと触れていただくかもしれませんので、よろしくお願いいたします。

佐藤委員。

○佐藤委員 自立支援法のことについて発言をしたいと思います。申し遅れました、埼玉県立大学の佐藤と申します。

私は大学に勤める傍ら自分の地元、埼玉県の東松山というところですけれども、障害を持つ人たちの地域での生活を支える幾つかの仕事をずっとしてまいりました。今回自立支援法が4月から一部施行になり、10月からいよいよ本格実施ということになるわけですけれども、利用者負担の問題について議論がありましたけれども、私が懸念をしておりますのは、報酬の問題についても非常に大きな問題があるのではないかということです。特に支援費制度の中で地域に根づいた形でNPOだとか、あるいはその他の小規模の事業所が立ち上がってまいりました。こういうところが実は地域で生活している障害を持つ人たちのサポートに大きな役割を果たしてきたわけですけれども、こうした事業所が自立支援法の中で立ち行かなくなるのではないか。これまでこの福祉の業界の中で大規模な施設を展開してきたところもいろいろと不平不満をおっしゃっているようですけれども、流れとしては、施設から地域へという大きな流れがあるわけですから、逆に地域でのサービスに不安をもたらすような、具体的には報酬体系ということになるんでしょうけれども、その点についても議論が必要だろうというふうに思っております。

ただ、しかし、利用者負担についても、あるいは事業者に対しての報酬についてもそうですけれども、障害を持つ人たちにかかわることだけが取り出され、突出して解決されるというようなことはもはや余り期待できないのではないか。私は先日、NHKのドキュメンタリーのワーキングプアという番組を見ていまして、あそこに登場する人たちが働く場所がない、あるいは働いても働いても非常に低い賃金で生活に困窮しているという姿が紹介されておりました。私はこういう問題とあわせて、障害を持つ人たちの課題あるいは高齢者の問題もまさに我が国の社会保障、社会福祉の問題全般をどうするのかというところから解決していかないと、恐らく問題の解決はないだろうと思いました。

ご承知のように、財政健全化、恐らくそれは正しいことなんだろうと思いますけれども、骨太の方針によれば、これから社会保障費も1兆1,000億円ですか、今後5年のうちに削減していくというようなことですので、そういう方向性の中で言えば、どういう選択をすれば少なくとも障害を持つ人たちやそこにかかわる人間だけではなく、だれもが少しはよくなるのかということを深刻に考えるべきときに来ているんだろうと思います。国でも都道府県でも市町村でもいろいろな提言をしても、お金がないということで議論がすべてとまってしまうようなのは不健全だと思っていまして、お金がないならば、あえて新たなお金を生み出すために、例えば今想定されているあるいは議論が始まろうとしている障害者福祉と介護保険との財源を一体にしていくというような方向についても積極的に取り組んでいくべきだろうと。少なくとも外から見ておりますと、政府の中でそういう方向について一致しているようには見えません。そういうことが私としては新たな財源を生み出していく一つの方法として、これからの選択肢としてあり得るんだろうと思いますけれども、そういうことに関して積極的な議論が必ずしもないままに、お金がないからこうだというようなことでは、結局だれもかれもが余り幸せになれないのではないかなというふうに思ったりもしております。障害者自立支援法の今後についてより積極的な方策で打開できるように検討していただきたいと思うし、我々もそれぞれの持ち場で取り組んでいきたいと思います。

ありがとうございました。

○京極会長 どうもありがとうございました。

障害者自立支援法の議論がかなりありましたけれども、この協議会は新しい障害者基本計画の推進を見守るということも一つの大きな仕事でありまして、特に新しい基本計画では障害者が働けるようにということで積極的に例えば竹中委員のご発言もございましたけれども、働ける障害者にもっと機会を与えるとかということで、従来的な福祉的就労のみならず、一般就労にも相当力を注ぐということで基本計画が立てられています。時間の関係もございますけれども、その関係で企業とかあるいは労働界、あるいはその分野の研究者からの発言があればどうですか。

諏訪委員、お願いいたします。

○諏訪委員 法政大学の諏訪と申します。

障害を持つ人の雇用政策の問題でこの間多少かかわった経験がございますので、一言発言をさせていただきたいと思います。

ただいま清原市長、ほかの皆様のご意見の中に障害を持つ人が働くということについて、重要なご指摘がございました。自立支援の基本は、社会とのかかわりの中で障害を持つ人が自分自身の持っている可能性を発揮することの支援でございます。その機軸となるもの、基盤となるものは何なのか。そのコンセプトをさらに詰めていく必要があるのではないかと思っております。それは私の考えでは、それぞれの人間は自分の二度とない人生を自分なりに充実したものにしたいと、こういう思いを持っており、それは恐らく憲法でいう人間の個人としての尊重ですとか幸福追求の自由あるいは職業選択の自由などといったような一連の権利によって基盤が与えられているんだろうと思いますが、こと職業に関するこうした人生展開というんでしょうか、職業のキャリア、それを伸ばすことに関しましては、憲法の中に勤労の権利、労働権というのがきちんと規定されておりまして、それは言葉を変えて言うならば、それぞれの人が持っているこういう職業キャリアを発展させることを国は基本的責務としているんだと、そういう条件を整備して、そして、それぞれの人が自分の人生をそれなりに納得して進められるという可能性を整えていく必要があるのではないか。そのためには障害を持つ人はもちろんでありますが、それ以外にも今例えばワーキングプアという問題が語られていますが、さまざまな就労上のハンディキャップを負っている方々に対して、教育や就職採用あるいは就職した後に続かないという方もたくさんいらっしゃいますので、それが続けられるようなこういう仕組みを整えていく。その仕組みを整えていく基盤がこういうキャリアの尊重というところにあるのではないだろうか。今まで例えば障害者にとっての職業キャリアの尊重、こういう観点はすごく小さかったというんでしょうか、全然意識されていなかったわけではないんですが、なかなかそういう言葉ではとらえられなかった。でも、そのようにとらえますと、障害を持たない人にとってのキャリアの問題、あるいはニートとかフリーターのキャリアの問題、あるいは一たん子育てのために仕事から退いた人のキャリアの問題、これと同じように共通言語でつながっていく問題でございます。その意味では、これをキャリア権という形で認めていくべきだという考え方などもありますが、少なくとも障害者の職業キャリアという視点はぜひ忘れてはいけないものではないかなと思っております。

○京極会長 労働界、企業からどうぞ一言ずつ。

○龍井委員 連合の龍井でございます。

先ほど佐藤委員のご指摘でワーキングプアの問題が出されましたけれども、実は私どもはこの間の働き方そのものがかなり深刻に二極化をしていると。つまり今までですと、正社員の働き方というのが目指すべき働き方だったんですけれども、実は持続可能でないような超長時間、これは女性もそうですね、超長時間が当たり前で、ほとんど生活に携われないことがいわばスタンダードといいますか、主な働き方になってしまって、それに耐えられない、できなければ今の形で言うと、いわゆる有期雇用、パートタイマーあるいはフリーター。フリーターの方というのも、もう正社員になられた後でギブアップされるような、そういう働き方の二極化というのが実は非常にこれ深刻な社会問題になっていると思っていまして、私は先ほどいろいろご指摘になっておられますような、すべての人が安心して働き続けられる社会というものを日本の働き方のノーマル、基準を見直すということを抜きに障害者の問題も解決できないのではないか。

というのは、私自身も前、厚労省の障害者雇用の審議会に参加させていただいて、幾つかのヒアリングもさせていただいたんですが、もちろん自立ということは主流だと思いますけれども、私はそれ以上に、あるいはそれと同じぐらいみずから参加することによって居場所があり、承認されていく場があると。先ほど居場所というご指摘がございましたけれども、これはもう当然のことですけれども、空間ではなくて、人間関係としてそこで対等に、これは先ほど三鷹の市長さんが言われましたように、そういうプロセスをまさに平等参画、お互いにつくっていくんだと、そういう場の保障としてぜひ総合的な施策を講じる。この視点は、私は各省庁でなくて、この場でこそ共有し発信していただくしかないのではないかと思っています。

1点質問だけさせていただきたいのが、この協議会、前回がたしか1年ほど前なんですね。それで、きょうも大変重要なご指摘があったと思うんですが、これが具体的にどういうふうに反映されていくのか。特に先ほどの基本計画のことを私も大変すばらしいことだと思っておりますけれども、具体的な施策あるいは予算に反映されていくのかということがやっぱり最終的な問題になりますので、この時期だとほとんど予算でいうと最終局面だとしたら、具体的な施策の説明がされて、それに対するコメントとか意見交換がされてしかるべきですし、もしもそうでないならば、予算が固まる前の段階でぜひ今度開いていただいて、皆さんの意見を反映させるようにぜひしていただきたいと思っていますので、この開催の時期のタイミングの問題と、次回がいつかということもかかわってきますけれども、もしその辺でお考えがあればお聞きしたいと思います。

○京極会長 統括官の方からお答えいただきたいと思います。

○紀陸委員 2つだけ申し上げさせていただきたいと思います。

1つは、先ほど障害者の方々に対する偏見というような話題も出たんですけれども、今企業も相当に例えば特例子会社等を通じて積極的に雇用の場を確保しようという努力はされてきておられると私は実感しております。現実には、雇用率を達成しようとしても、自分たちの採用できるエリアの中に障害者の方がおられないという実態すら生じておりまして、雇用率達成の問題についても、意欲があっても現実的には障害者の方がおられないので未達というのは、そういう事態もあるということはご理解いただけたらばというふうに思います。

今一点はこの基本計画の中にもあるんですが、特に今、諏訪先生からお話が出されましたように、キャリアの問題ですね。これは障害者の方々だけでなくて、働く人すべてにかかる問題なんでございますが、いろんな障害者の方々がおられるわけで、雇用以前の段階でリハビリをどうするか。あるいは個々人の方々の特性とかそういうものを見ながらどういうふうに働く場のところまで持っていけるか、そういう総合支援、この総合支援というのがこの言葉としてはいろんなことがこの中に入っておりますが、非常に大事な問題で、これは働く前の段階と、働いている最中と、働いた後といってはあれですが、すべてに通じる事柄を含んでいるプランがここに盛り込まれていると思いますので、こういうものをそれこそ企業と自治体といろんな関係の方々とどういう形でうまく組み合わせて、広い意味でこの支援の形をつくっていくか、そういうことが非常にとらえている段階に来ているんだと思うんです。そういうのがこの自立支援法をきちっと見直す場合の一番大きなこれから課題になってくる問題ではないかというふうに思っております。

以上、2点だけ申し上げさせていただきたいと思います。

○水越委員 セブン&アイ・ホールディングスの水越と申します。事業会社にはセブン-イレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、デニーズ等々がございます。

実は、今、お話があったように、企業では障害者の方々の雇用の促進を大変真剣に考えております。私どもでは90年代初めより尽力してまいりました。現在、ホールディングスとして雇用率2.01になりますが、各事業会社ごとには差があり、各社ごとにさらに雇用の促進を図っていますが、全国の店舗や事業所ごとに適材の方を雇用できるかといいますと、業務にあった方々がなかなかいらっしゃらない。現場サイドからは最近とても困難になってきていると聞いております。このことは、それぞれの企業が障害者の方々の雇用に大変積極的になっているからこそ、難しくなってきたともいえます。

ただ、まだまだ働きたくても働く場がないという障害者の方々も多いわけですから、雇用したい側、それから働きたいと願う方たちの情報がもっと必要なところに届くような仕組みが必要ではないかと思います。

就業の継続ということでは、やはりチームで仕事をしていくことが多いでしょうから、企業の風土、職場の環境が大切になります。私どもでは、多くの事業所で朝礼時、手話の勉強をします。たとえば私の職場でも朝2,3分ですが、皆で手話をします。手話は、聴覚障害の方しか通用しないのですが、手話を学ぼうという気持ちになることで、さまざなま障害を持った方たちの立場に立ってものを見られるようになるのではないかと考え行っています。私自身も手話を学ぶことによって見えなかったものが見えてきたように感じております。

最近、企業では企業の社会的責任、CSRを重要視しています。なかでも重要なステークホルダーの従業員に対して、どのような姿勢でのぞんでいるのかということは大切な課題の一つです。いずれにしても、企業の社会的責任という観点からも障害者の雇用をアピールしていくことによって推進できるのではないかと思います。

○京極会長 ありがとうございました。

先ほど内閣府並びに厚生労働省関係のご質問が出ましたので、先に統括官の方からお話しいただきまして、もし必要があれば社会・援護局長がきょうご参加されていますので、お話しいただければと思います。

○林政策統括官 それでは、内閣府の方からでございますが、先ほどこの協議会の開催時期、タイミングというようなことでお話がございました。この協議会は、もともと基本計画に関する協議ということでお願いしておりますので、当然その議論が始まりましたら、テーマ別に少人数にお分かれいただいた会合をきめ細かく、かつ頻度を上げてやっていくということはお願いすることになると思いますけれども、当面は年一、二回の開催ということで、あとは施策の進捗状況等のご報告というようなことになると思います。

先ほど予算要求との関係ということでもお話がございましたけれども、今後、来年度以降、そういうタイミングのことについてはまた考えていくということを我々の方で考えたいと思っております。

○中村社会・援護局長 厚生労働省の社会・援護局長でございます。

各委員の先生方のご発言の中で、障害者自立支援法についてお話がございましたので、ご報告をさせていただきます。

昨年10月末日に国会で障害者自立支援法が成立いたしまして、4月から一部施行、10月から残りの部分の施行と、こういう二段階施行でお願いしているところでございます。ご意見の中に大変大きな法律であるにかかわらず、実施まで時間が短かったというご指摘がございました。私どもも大変自治体の皆様あるいは関係者の皆様にご心配いただいたと思っておりますが、ご案内のとおり、この法律、前の制度でございます支援費制度、2003年につくられましたけれども、財政的に大変申しわけないことに行き詰まりがございまして、国の財政責任をきちんとするということ、それから、障害者自立支援法で今年度も支援費制度に比べまして、給付費10%増加させていると、こういうサービスが伸びている中で財源を確保していくこと、障害者のサービスは残念ながら高齢者の介護などと比較いたしますと、全国的に格差がある。都道府県間の格差が介護保険では1.8倍でございますが、障害者のサービスは都道府県間の格差だけで7、8倍ある。加えて、精神障害者の福祉施策はこれまで支援費制度の対象になっていなかった、こういう状況もございますので、施行を急がせていただいた次第でございます。

ご指摘がございましたように、実情把握をすべきではないか。これは私どももそのように考えております。介護保険、平成12年4月に実施いたしました経験で申し上げましても、4月あたりの事業者さんの請求などにつきましては、大変まだなれておられないということもあって、請求漏れなどがあります。5月は連休などが多いということで、制度的に安定期に入るのは6月以降ではないかと考えております。6月以降の給付費につきまして、きちんとフォローする必要がございますが、給付費などが全国的に統計が整いますのも8月と、こういう状況でございますので、これらを手始めといたしまして、制度の運営の実情について地方公共団体のご協力もいただきながらフォローをしてまいりたいと思っております。

また、制度につきましては、いろいろご指摘いただいておりますが、法律でも3年後の見直しということが規定されておりますし、その前におきましても、私どもきちんとフォローいたしまして、緊急に対応を要するものにつきましては考えてまいりたいと、そういうふうに思っております。

ご指摘にございました、特に障害者の方の就労関係、福祉サイドでも重要な課題だと思っております。また、授産施設等における工賃が月額1万5,000円という極めて低い状況にあるということも我々反省材料と思っておりますので、工賃なども倍増と、こういうことを目指して福祉関係の皆様と手を携えてやってまいりたいと思っております。今後ともこの当協議会におきましても、ご指導、ご鞭撻をお願いしたいと思います。

以上でございます。

○京極会長 ありがとうございます。

たくさんの方に発言していただきたいところではございますけれども、時間がまいりましたので、最後に猪口内閣府特命担当大臣からごあいさつをお願いいたします。

○潮谷委員 京極先生、大臣が発言なさいます前に一言ちょっと質問がございます。それは「わかりやすい障害者基本計画」、これは案の段階でございますので、恐らくこれは承認されて一つの基本法という形で動き始めると思うんですが、私は大変評価をすると申し上げました。しかし、その一方、これは当事者の皆さんたちがかかわりをもってつくられたわけですので、2点質問があります。

それは、1つは一番最初のところですが、「障害のある人のために」、というフレーズが書かれています。私はこの「ある人のために」ということにこだわりを持っています。例えば、ここのところは「障害のある人の求めに対応して」とか何かそういう形ができなかったのかなというような思いがあります。これは当事者の皆さんを入れて論議をされたところですので、どんな論議があったのかという点が一つ。

それと、本当に「このわかりやすい障害者基本計画」のこの障害の「害」はこれでよろしいと当事者の皆さんたちの中で論議をされたのかどうか、その2点を論議にかかわられた委員の方がおいでだと先ほど伺いましたので、できればこの「案」がとれてしまう前にお聞かせ願えればと思います。

以上です。

○京極会長 手短にお願いします。私もこれはこれで案でありまして、例えば共生社会といっても、ともに生きる社会といえばもっとやさしいので、言い方がいろいろあるので検討する価値がまだあると思いますけれども、ここでこの議論を克明にやりますと1時間ぐらいかかってしまいますので、事務局の方で。

○長門参事官 事務局から今の点についてご説明させていただきます。

今回これをご報告いたしましたが、これは閣議決定のような形で、一語一句これで動かさないで決める内容のものではございません。基本計画の中身を一人の方でも多くわかっていただくために平易な表現にするということでございますので、今後よりよい表現があれば、当然引き続き見直しが続いていくという前提でお考えいただければと思います。

その上でご質問がありました2点でございますが、冒頭に障害のある人のために何をしていくのか示したものですと書きましたのは、実はこれは資料3の2ページを見ていただきますと、1ページ、2ページに基本計画の冒頭の文書がございます。それの2ページの一番下のところ、左の欄を見ていただきますと、この基本計画では政府が関係者の理解と協力のもとに取り組むべき障害者施策の基本的方向を定めるというように基本計画の趣旨を書いてございます。そういう中身が何について書いてあるかということをまず冒頭に示してほしいと、そういうご意見が知的障害者の皆さんからございました。それを踏まえてこういう表現にしてはということで書かせていただいたものでございます。

それから、障害の「害」の字につきましてでございますが、これについては今回の議論の中ではこれを用いるかどうかということについての議論はございませんでした。ただ、これまで一般的に私どもに寄せられております、これは知的障害の方だけでなくて、他の障害のある方も含めてお聞きしているご意見では、この文字については平仮名表記をされる方もおられますし、石偏の碍子の「碍」という字、以前は法律上でもそうでございましたが、使われる意見を主張される方もおられると。さらには、きょう竹中委員がおられますが、チャレンジドというような別の表現をお考えの方もおられます。

そういう意味で、この用語を見直すということ自体についてご意見がある方の中にもまだ合意というものが必ずしもできていない状況でしたので、今回は閣議決定した文章の表現にあわせてこの表現を使わせていただきました。

○潮谷委員 ありがとうございました。

○京極会長 すみません、質疑で時間が超過いたしましたが、猪口大臣の方からひとつよろしくお願いします。

○猪口内閣府特命大臣 時間を超過していますが、よろしいでしょうか、京極会長。そうですか。

本日は、まことに非常に貴重なご意見をありがとうございました。また、出席してくださいましたすべての委員の皆様、また手話通訳をしてくださっている方あるいは手の点字の介助をしてくださっている方々、本当にありがとうございます。

私はお一人お一人の発言を非常に深く受けとめまして、できれば時間があればお一人お一人にコメント申し上げたいと思っております。全部できないと思いますけれども、まず福島委員がおっしゃった、どんな状況になっても日本に生まれてよかったと思うと、そういう状態でありたいとおっしゃるのは、まさに政治とはそういうためにあると思います。私も研究者でしたが、政治家に転じて、まさにそういうための政治を行うという決意でおりますので、この重要な分野におきまして、政治的なリーダーシップも含めて努力してまいりたいと思います。総理、官房長官が大変お忙しい日程の中でずっと出席はおられませんでしたけれども、しかし、心を込めて出席されておられましたのも、政治的なリーダーシップをもって問題を解決するという政府としての強い決意と思います。

それから、岩城委員のご発言の中に自立ということにつきまして、努力して生きていると、まさにそのことをもって多くの人々に勇気を与えていると私は思います。非常に尊いお言葉で、決して争ってはならず、党派を超えてということで争いの中には弱いものが生きる場がないのではないかという何とすさまじい到達点のお言葉と思いまして、深く私もそのことは大事にこの分野の施策を進めるときに考えていきたいと思います。

松友委員のところで児童期の重要性についてご議論がありました。先ほど教育の現場におきます教科書のことも指摘されておられた、樋口委員もおっしゃっていました。子供の教育の場におけます共同学習あるいは交流につきましては、今回の障害者権利条約の審議過程におきましても、インクルージョンの考え方のもとに積極的に重視していくという議長原案がありますので、我が国としてもそのような立場で交渉に参加していくということもございますので、できるだけご安心いただけるような施策の推進を図りたいと思っております。

また、米田委員の方からはげた履かせの話がありました。これもう少し具体的にぜひ大臣室にも具体的にご要望がありましたらお寄せいただけますと、努力できる部分は少なくはないと思っております。

三橋委員の方からは交通費助成のお話がございまして、ここも政府として随分努力したところがございますが、さらに今の具体的なご指摘を重く受けとめてまいりたいと思います。

笹川委員のお話は、私は以前、有識者としてバリアフリーのところをやりましたときに伺ったことがございます。本日のご発言も大事に受けとめてまいります。政府の基本文書についての音声化等努力してまいりたいと思います。

樋口委員の方から、日豪の比較における、そして教科書。私が感じますのはもう少し日常的に障害者の方と交流し、常に一緒の状態で社会が運営されていれば健常者の方もその状態になれていくと、やはり何の偏見も悪意もなくても、ただなれていないということで人は戸惑ったり対応がわからなかったりすることが多いのではないかと思いますので、ぜひ障害をお持ちの方も積極的に声を上げ、場に出て、そして、私たち全体で多く学んでいくということが重要ではないかと思います。

館森委員のお話、受けとめました。潮谷委員、清原委員のお話は非常に積極的な模範的な自治体としての努力ですね。さらに上乗せしたところで評価が高かったというような表現につきましても、私も深く考えるところがございました。支援法につきましては今、中村局長の方から的確にお答えいただきましたので、政府の立場とさせていただきます。労働界また企業、そしてこの分野を研究してくださっている先生方からのご指摘ですね、それぞれ受けとめました。

私は現在、この8月には第8回障害者権利条約の交渉が始まりますので、議長がアジア太平洋からの国であると、ニュージーランドの大使ですね、この地域の先進国としての我が国は、この条約の早期締結、そして高い水準での締結に向けて議長を決定的に支援できるような、そのような方向で調整ができるよう障害者施策担当大臣として日々全力を実は傾けているところでございます。そのような障害者施策、そして共生社会推進、そしてすべての人々に寄り添うことができる先進社会のあり方を日本がアジア太平洋において主導できますよう努力してまいりたいと考えております。

国内担保法も含めて条約批准のときは整備しますので、最初の福島委員のご発言があったと思いますけれども、公正に反映されることは条約批准のときは常にそうでございますので、我が国の今までの施策の進捗を考えますと、国連での取り組みが国内の発展に寄与していると、そこに日本は積極的に反応するということがございますので、そのようなまた機会となることを政府として努力してまいりたいと思っております。すべての人が含まれる社会、そして、先週末のチャレンジド・ジャパン・フォーラムの場でも発言させていただきましたとおり、人々が皆つながっていると、コネクテッドであるという社会ですね。民主主義というのは人は皆平等と、これを大前提としますが、平等にある私たちは皆含まれ、皆つながっているかということを考えるときに、21世紀人間社会においてあと一歩の、あるいはあと二歩、三歩の努力が必要であると考えております。そのようなことを政治哲学としても大事にしながら、障害者施策の分野を一層発展させて進めてまいりたいと思いますので、大臣室は皆様に常に開かれています。困ったことがあったら、あるいは具体的なご要望があったらぜひ大臣の部屋に電話をください。どうぞ政府の決意をご理解いただき、また、本日率直なご意見表明に感謝を申し上げまして、私の皆様に対する感謝の言葉といたしたいと思います。

○京極会長 どうもありがとうございます。丁寧で大変力強いごあいさつだったと思います。

これをもちまして、本日の会合を終了させていただきます。

次回の開催は事務局を通じて連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

本日はありがとうございました。

午前11時46分 閉会