○ 小川議長 定刻になりましたので、これより第10回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。
今回は前回に引き続き省庁へのヒアリングと内閣府からの報告及び質疑をさせていただきます。御協力いただく省庁の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は福島内閣府特命担当大臣が御出席されます。大島副大臣は御欠席、泉政務官も本日は御欠席です。
委員の出欠状況でございますけれども、本日は長瀬委員が御欠席、その他の委員は出席でございますが、堂本委員が30分ほど遅れますという連絡が入っております。と同時に大濱委員が14時から15時まで総務省の方に出向く予定になっております。福島オブザーバーが御欠席でございます。
会議の公開はこれまでと同様といたします。
進行上の時間配分につきましては、後ほど東室長より御報告があります。
また、省庁の皆様、各委員におかれましては、御発言に際し御自身の名前を述べられてから、ゆっくりと御発言いただくということについては、これまでと同様といたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日のヒアリングについては、17時までを予定いたしております。
それでは、大臣がお見えでございますので、ごあいさつをお願いいたします。
○ 福島大臣 皆さん、こんにちは。いつもありがとうございます。今日も4時間、5時までということで、しっかり議論をしてきたいと思っております。
今日は厚生労働省、総務省、国土交通省の皆さんが来てくださいまして、ありがとうございます。また、いつも傍聴者の皆さん熱心にありがとうございます。介助者の皆さんも本当にありがとうございます。
前回も省庁ヒアリングをして、共通認識を得たところと平行線の部分と両方ありました。今後も協議をしていきたいと思っております。本日の省庁ヒアリングの中でも、できれば前進をしていく、何か獲得をしていく、政権が代わって障害者施策を一歩具体的に進めるというコンセンサスの下に何か獲得できればと思っております。また、仮に意見交換に終わっても、それを次のステップにしっかり生かしていきたいと思っております。役所の皆さんも障害者施策の大幅な推進に向けて、今日は是非一緒に問題を解決しようという形で臨んでいただけるよう、本当によろしくお願いいたします。
それでは、貴重な時間がもったいないので、あいさつは短くして終わりますが、役所の皆さんよろしくお願いします。そして、委員の皆さんもいつも長丁場でありがとうございます。元気にやっていきましょう。よろしくお願いいたします。(拍手)
○ 小川議長 担当大臣、誠に御丁寧なごあいさつありがとうございました。
それでは、これより先のヒアリングの進行につきましては、藤井議長代理にお願いいたしたいと思います。藤井議長代理、よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 それでは、これから議長代理を藤井の方で進めさせていただきます。
今ありましたけれども、今日は第10回目です。1月から始まって随分会を持ってまいりました。わかりやすく、ゆっくりとというお話がありましたけれども、そういうことで是非とも進行の方に協力をお願いいたします。
それでは、最初に東室長から、今日の4時間の大きな進め方について説明していただきます。東さん、よろしくお願いします。
○ 東室長 東です。こんにちは。
本日は厚生労働省、総務省、国土交通省からのヒアリングと内閣府からの報告及び質疑をさせていただきます。各省庁各10分の意見表明をしていただいた後、委員との質疑という形にいたします。
いつものとおり3つのコーナーに分けておりますけれども、厚生労働省へのヒアリングはテーマが多いため2つのコーナーにまたがって行っていきたいと思っています。前半の第1のコーナーを90分で行います。後半につきましては、第2のコーナーの最初に30分で行っていきたいと考えております。後半のテーマは医療ということです。
次に総務省へのヒアリングを第2のコーナーの2番目に20分ほど時間をとりたいと思っています。
その次に国土交通省へのヒアリングを第2のコーナーの3番目に40分で行います。
最後に第3のコーナーでは、内閣府から専ら障害の表記についての調査等の報告と質疑を20分で行いたいと思っております。
以上が今日の予定です。
○ 藤井議長代理 今ありましたけれども、障害には一番関係の深い主務省庁である厚労省は、前半、後半に分けてお話を進めてまいります。今から14時35分をめどにして、厚労省関係の前半です。テーマは障害者雇用、障害福祉サービス、障害児支援、所得保障、虐待防止等、これらをテーマにしていきながら、最初に山井和則厚生労働大臣政務官からお話をいただきますが、山井政務官は今日何分ぐらいいらっしゃいますか。
○ 山井厚生労働大臣政務官 30分です。
○ 藤井議長代理 わかりました。10分間お話を願った後に20分ほどこの場にいていただけるということです。
ルールとしまして、1分前に音が出ますので、そうしましたら、残り1分ということで10分間でよろしくお願いします。それでは、政務官、どうぞよろしくお願いします。
○ 山井厚生労働大臣政務官 皆さん、こんにちは。連休が明けて暖かくなってまいりましたが、全国から当事者の方々を含め委員の皆さんにお越しをいただきまして、誠にありがとうございます。
この連休、私も5月1日には長妻厚生労働大臣とともに新潟の療育園という重症心身障害児の施設を訪問させていただきまして、また一昨日は私自身も障害児の親の会の北海道全体の集会に出させていただいて、お話をお聞きしてまいりました。ここに御参加の皆さん方は、お一人お一人が各団体あるいは各当事者の全国の方々のある意味で悲痛な叫び、積年の思いというものを背負って御出席をいただいていると思います。厚生労働省としてもその皆さんの思いに精いっぱい応える努力をしていきたいと思っております。
そして、会議が重なっておりまして、30分で私が中座しますことを心よりおわびを申し上げたいと思います。
まず総論を申し上げますと、障害者自立支援法の廃止という方針を長妻厚生労働大臣が打ち出しまして、4月からこの推進会議の下に部会がスタートいたしました。ここにその55名の自立支援法を検討する総合福祉部会の要望書がございます。法案を作成するのは2年ぐらいかかるかもしれないけれども、それまでの間、取り急ぎ緊急にやってほしいということを挙げていただきましたが、100ページ以上にも上りまして、この週末、改めて読み返しをさせていただきましたが、本当に国際的にも遅れているという日本の障害者福祉をどう大きく一歩踏み出すか。財源の問題もありますから、簡単な話ではないかと思いますが、大きな重い岩を皆さんと力を合わせて何とか動かしていきたいと思っております。
総論でありますが、短く申し上げますと、この推進会議の下にできた部会で障害者自立支援法については今後議論をしていくわけですけれども、まず総合福祉、障害児支援ということに関しては3点ございます。
1つは、応益負担から応能負担へということを転換してまいります。これについてはこの4月から、住民税非課税世帯の方々には障害者福祉サービス、補装具に関しては1割負担をなくしたわけであります。しかし、自立支援医療の部分は残された大きな課題となっている。このことは自立支援訴訟の基本合意の中にも書かれているとおりであります。
また、障害の定義、適用範囲に関しても難病や発達障害を含め発達障害は今の自立支援法でも制度には入っていることはいるんですけれども、そのことを明確化するとともに、難病の方々や幅広い方々のサービスが受けられるような谷間のない制度をつくっていかねばならないと思っております。
サービスの支給決定、プロセスについても障害のある方のニーズを総合的に把握できる仕組みが必要だと考えており、利用者間の公平性等の視点も踏まえつつ御議論をいただく必要があると考えております。
障害者雇用ですが、障害のある方の雇用対策の柱である障害者雇用制度については、制度創設以降、障害のある方の雇用を促進する上で高い実効性を発揮してきたと考えております。今後も制度の安定性や実効性に留意しつつ、その対象となる障害のある方の範囲や法定雇用率の設定を含め、その適正な運営に努めてまいりたいと思います。
ちなみに、10年前に私は初当選をさせていただきまして、生まれて初めて本会議で質問したのが障害者雇用促進法でありました。
また、雇用分野における障害を理由とする差別の禁止は障害のある方の雇用の促進や職業の安定を図る上で極めて重要であり、必要な対応について検討を行っております。差別禁止あるいは差別禁止法をどのようにするかというのは、まさにこれからの大きな課題であるということで、皆さんとも議論をしてきたいと思っております。
所得保障については、就労支援の取組みを進めることが重要であり、引き続き取組みを進めてまいりたいと考えておりますが、自立支援法がスタートするときに、本来自己負担をアップするのであれば、所得保障とセットではないかということは党派を超えて言っていたことであります。
障害年金については、この会議での御議論や財源の確保にも留意しつつ、新たな年金制度創設に向けた議論の中で検討を進めてまいりたいと考えております。3年後の通常国会においては、年金の抜本改革の法案を出して成立させたいと考えております。
虐待防止に関しましては、本年度から家庭訪問の実施や相談窓口の体制強化等を含めた地域における連携体制の整備等を行い、都道府県に対し補助を行う事業を創設したところであります。引き続き取り組んでまいりたいと思いますが、御存じのように、虐待防止法につきましては、国会でも議員立法の提出等があります。そのことも含めまして、今後のこの会議での御議論を注視してまいりたいと考えております。
皆さんから御質問、御要望をお聞きした方がよろしいと思いますので、私からの報告はここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 たくさん時間を余していただきまして、ありがとうございました。
たくさん質問、意見があります。私から共通して質問させていただこうと思います。
第1点目は政務官に対してございます。自立支援法に関しましては今ありましたけれども、法改正まで少し時間を要する。施行までに時間を要する。しかし、当座をどうするのかという問題が深刻だと思います。おわかりのように、既に自民党、公明党からは一部改正法案が出ております。こういう中で推進会議の議論もいいんだけれども、やはりこういう状況を踏まえて、当座、何か手を打つべきだろう。当面の対処方針について厚労省の方でどう考えていらっしゃるかというのが第1点目です。
2つ目も大きな関心事だったんですが、ここでいう総合というのはさまざまな意味の総合なんですが、とりわけ障害種別を超えた総合、つまり障害の範囲を全障害にする。今も説明がありましたけれども、総合福祉部会あるいは総合福祉法、今後の障害者施策、ここでの障害の範囲を改めてどう見るか。同じく障害者雇用における障害の範囲をどう見るか。福祉施策、雇用政策の両方の面で障害の範囲をどう見るか。これが大きな2つ目であります。
3つ目も大きな関心事だったんですが、今後総合福祉法制ができ上がっていくときに、費用負担で応益から応能へということです。応能もいろいろな考え方があると思うんですが、逆に費用負担が増えてしまうという懸念を多くの方が持っていらっしゃることもあって、応能に関する所得との関係でどういう刻み方にするのか。大まかな考えがあれば今日少し聞かせてほしいというのが3つ目でございます。
次に障害程度区分、今は支援区分と名前が変わってきていますけれども、これはニーズ本位でいくべきではないかという意見が随分多いんですが、障害の程度あるいは支援程度の区分を推し図っていく考え方の基本をどういうふうにとらえていくのか。
もう一点、雇用にまたがってくるんですが、雇用と福祉との関係です。2001年から厚労省に合体して久しいんですけれども、統合効果がなかなか見えにくい。とりわけ福祉と雇用の連携を今後どういうふうに考えていくのか。例えば賃金補てんという考え方、あるいは人的な支援でもっとジョイントできないのか。雇用と福祉の関係、言い換えますと、就労継続支援事業B型などがいつまでも福祉施策でいいのだろうか。ILOの勧告など労働者性、労働目的をどのように考えていらっしゃるか。
最後に、今、出てきています地域主権に関する動きの中で、関係法案が一括で参議院を通って衆議院に回ってきている。このことは障害者施策にも大きな影響があって、もしかしたら地域の中での障害者の格差、あるいは地域を超えて地域間の格差という新しい出発になりはしないか。地域主権はいいのではないかという意見があるけれども、同時に障害者の格差を縮めてくるという点でどう整合性を持つのかという点があります。これも大分急な問題であって、もし一定の見解があれば今日伺っておきたい。
とりあえず共通の質問としては以上です。政務官がいらっしゃるうちに是非とも聞いておきたいということだと思いますので、順次お答えいただければと思います。
○ 山井厚生労働大臣政務官 藤井議長代理、どうもありがとうございました。
十分な回答ができるかどうかわかりませんが、私が十分に答えられない部分は後で役所の担当から答えさせていただくことも含めて、順番に回答をさせていただきたいと思います。
自立支援法がスタートするまでにはまだ時間がかかるわけで、法案提出も来年の通常国会には難しいという状況で、当座どうするかという最初の質問であります。私も政務官という立場で言いづらいこともあるんですが、順番にいいますと、まず1つ予算がかかることと予算がかからないことが当然あります。予算がかからない、例えば規制緩和等でできることに関しては必要なことがあればやらねばならないと思いますし、6月に規制緩和、規制改革の1つの方向性を政権として出す予定になっておりますので、そこで関連する部分ももしかしたらあると思います。
また、予算が必要な部分に関しましては、誠に申し訳ありませんが、今年度予算はもう決定しているわけですから、来年度予算の議論になっていきます。まずこれについての最初のポイントは8月の概算要求でありますので、その概算要求にどういう項目を入れていくか。
3つ目は、昨年通常国会で旧政権が提出した法案を議員立法として、今、自民党、公明党が出しております。私は政務官という政府の立場ですので、立場上、踏み込んだ発言はできないんですが、この議員立法をいわゆる党の方がどう議論をしていって、今国会で超党派で通すのか通さないのか。そういう議論もこれから出てくるかもしれませんし、障害者虐待防止法に関しても議員立法で提出されている部分もありますので、そのことも議論となってくるかもしれません。ただ、私も政務官の立場としては、議員立法についてはとやかく言える立場にはないというのが、立場上の発言であります。
2番目の総合福祉部会の障害の範囲ですけれども、これについては手帳主義も含め狭過ぎるのではないかということが指摘をされているところであります。これはサービスのみならず、障害者雇用についてもどうやって広げていけるのかということがあります。これについては、まさに総合福祉部会でどう広げていくのか。法案の中で、総合福祉法の中で広げていくという話とそれまで待てないという部分もあれば、運用で広げていける部分があるのかないのか。
また、発達障害については、今、提出されている議員立法の中あるいは今でも自立支援法の中で発達障害も対象には入っているんですけれども、明記はされていませんので、そのことを明記するのかどうか。そういう議論があると思います。
私は大ざっぱな回答しかできませんので、詳しく、丁寧にはまた事務方から聞いていただければと思いますが、応益から応能へという自己負担ですが、逆に応能に戻した方が所得の高い人に関しては自己負担がアップするではないか。これは正直いいまして悩ましい問題であります。ただ、そのことはさておきといったら失礼かもしれませんが、さておきというのは部会の方で今後議論をする課題の1つになると思いますが、とにかく原則としては応能負担に変えていくということが大事だと私たちは考えています。
程度区分も5年前の議論を私も覚えておりますが、障害程度区分が介護保険モデルであって、そこに障害者の方々を押し込むことは無理があるのではないかということで、最初から物議を醸していたわけでありまして、それを4~5年やっていったけれども、まだ十分な形にはなっていないというのが皆さん方からの苦情であり不満であるということは私も認識しております。とはいえ何らかの物差しも必要なわけでありまして、よりベターなものにどう変えていくのか。抜本的に変えるのであれば、それこそ法改正の世界になりかねないわけですから、抜本的に変えるのかどうか。また抜本的に変える前に運用でどう変えていけるのか。そこは部会の場で議論をさせていただければと思っておりますし、藤井さんがおっしゃいました、どうニーズ本位に近づけていくのか。そこが重要な課題だと思います。
雇用と福祉の関連でありますが、私も国会で議論をしましたが、通所施設で働いているのは、あれは働いているのか、働いていないのかどちらなのか。働いているんだったら、何で利用料を取られるんだというのは割と本質的な問題だと思いますし、おっしゃった労働者性も私たちも悩むところは、労働者性があった方がいいという部分と労働法制をぎちぎちにやると逆に利用しづらくなる、あるいは事業主が苦しくなってしまうという面も両方あるわけで、結果的に利用者が泣くか事業主が泣くかという話になったら非常に申し訳ないことになりますので、そこは事業主の方々も泣くことなく、どう労働者性を高めていけるのか。この辺りは御存じのように労働政策審議会、労政審での議論とも関連してくる部分でありますので、ここは議論をしていきたいと思います。
更に加えるならば、労政審もILOを背景とした重要な機関でありますし、また制度改革推進会議も本部は総理を中心とした非常に重要な会議でありますから、ここの意思統一をどうしていくのか。正直いいまして、当然意見の違いは出てくることが今後あると思います。そこをどう調整していくのかというのが、この改革会議も新しい会議ですので、私たちの1つの重要な力が試されるところだと思っています。
最後6番目の地域主権法で、地域間の格差が広がるのではないか。これは非常に大切な御指摘だと思っております。今、国会でも地域主権一括法案の審議をしていまして、参議院を通って衆議院に来るんですが、私もこの件で何度も国会答弁をしております。先ほども大濱さんから非常に心配だという声をお聞きました。
これについて私たちの見解を申し上げますと、地域主権を基本的には進めていく。これは政府全体の方針だと言っていいと思います。しかし、同時に今でさえ障害者福祉は地域間格差が大き過ぎるんです。これを縮めていくということも私たち政府の大きな責務であると思います。
でも、これは単純に考えると矛盾しているような話なんです。地方分権をしながら格差を広げないようにというのは矛盾するような話ですが、今回の中でも障害者福祉の拠出などについては基本的には地方自治体に任せる方向になっております。これについても私は地方自治体に任せることによってサービスが低下することはあってはならないと思っておりますし、地域主権というのはそういう趣旨ではなくて、今よりもきめ細かく地域ニーズに合って、いかに障害者福祉サービスをよりよくしていくかというのが地域主権一括法案の趣旨であるわけですから、もしこれによってサービスが低下することになれば、それは話が違うのではないかということになってくると思います。
その意味でまさにこういう大切な推進会議があるわけですし、衆議院での審議も残っているわけですから、その中で間違っても障害者福祉が悪化するということはないんでしょうねということは厚生労働省の責任でもありますが、どう担保をしていくか。原則としては地域主権、でも、主人公は障害者の方々、生活者、住民なわけですから、住民サービスが低下したら意味がないわけです。そこは分権を進めながらも同時にサービスがよくなる、いいサービスを競争し合うような形でどう分権を進められるか。このことは私たちに課せられている重大な課題だと思っております。
また御質問があればお答えさせていただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 政務官、障害者雇用における障害の範囲も先ほどと同じような認識で構いませんか。全障害を考えるんだという点です。
○ 山井厚生労働大臣政務官 障害者雇用ですか。
○ 藤井議長代理 障害者雇用における障害の範囲です。
○ 山井厚生労働大臣政務官 障害者雇用に関しても今は狭いわけです。ただ、これをどう広げていくかというのは労政審とも関係しますし、非常に大きな課題だと思います。脱線するかもしれませんが、障害者雇用は部会で議論するのか、この会議で議論するのか、中間の部分もありますので、そのことも是非この推進会議や部会で議論をしていただきたい。それを踏まえて、また省の方でも議論をしたいと思っております。
○ 藤井議長代理 35分ぐらいまで、あと5分です。政務官はお忙しいと思いますので、1名か2名どうしてもここで発言しておきたいという方に発言していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
清原さん、尾上さん、松井さんで手短に質問してください。
まず清原委員からいきましょう。
○ 清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
最後6点目の御質問に対する政務官のお答えに対して大変ありがたく思います。と申しますのは、私たちは地域主権というのは大変重要ですし、地域主権改革が進んでいくことを基礎自治体の1つとして大変望んでいるところです。
ただし、私も気にしておりましたのは、藤井議長代理も御質問されましたように、福祉サービスに関する国の負担が一括交付金化という中で一括化されることにより、すなわち委託金、補助金、負担金などが一括化されることにより、自治体の中では政策の優先順位というものが起きてしまって、私は頑張って障がい者福祉の方に力を入れようと考えている市長の1人ですけれども、全体のバランスの中の優先順位の中で、障がい者サービスに負の影響が「地域間格差」として出ないかという心配があります。そのために、「ナショナルミニマム」とかあるいは「質の最低限を保障したガイドライン」とか、そういったものを国がしっかりと持っていくということも両方必要だと考えております。
その辺が大変悩ましいのは政務官も御指摘のとおりなんですが、いかに福祉サービスの質と量を担保していくかという辺りで、更に具体的に省内で検討されていることがあれば幸いですし、今後議論されていく中で厚生労働省としても、衆議院の審議の中で発言をしていきたいとお考えのことがありましたら、御紹介いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○ 藤井議長代理 あとお二人続けてまいります。尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 尾上です。どうもありがとうございます。
1つは先ほどから話題になっています地域主権改革の中で、やはり障害者のサービスの後退はあってはならないんだという力強いお言葉を山井政務官からいただいたのは、非常に心強く思っておるんですが、その点からしますと、ちょっと今回の回答の中で、政務官がおっしゃっていることと事務方が書かれたペーパーとでずれている部分があるのではないかと思います。
時間の関係でページはいちいちお示しいたしませんが、1つは自立支援給付と地域生活支援事業の区分けについてどう考えるかということにつきまして、今までどおりの説明がされているわけです。つまり、地域の柔軟性に応じた形で、地域でやってもらうために地域生活支援事業をやったという話なんですが、この前団体ヒアリングの中で、ある市ですけれども、地域生活支援事業で国からくるお金が、移動支援の40%の国庫補助で全部消えてしまう。そのために大きな地域格差が生じたということが言われています。そういった自立支援法を含めて生まれてきた地域生活支援事業が果たしてどうだったのかという検証を是非お願いしたいというのが1点です。
もう一つは、先ほど山井政務官がおっしゃられた支給決定の仕組みについてです。この回答を見て非常に心配をしていたのですが、山井政務官にはニーズ本位の支給決定の仕組みに近づけていきたいということをおっしゃっていただきました。ところが、今回の回答では利用者間、市町村間の公平性や給付財源の公平な配分という機能のために程度区分は引き続き要るのだという言わんばかりの回答になっているように読めてしまいます。このことは何が問題かというと、結局国庫負担基準が上限額になって、自治体の財政力の格差によって大きな市町村格差が生まれた。先ほどから言われている一括交付金の懸念と同じようなものです。
つまり、もう一度申しますけれども、地域生活支援事業による大きな格差、国庫負担基準という事実上国から配分されるお金の上限額で、あとは自治体間の財源次第という仕組みの中、大きなサービスの格差が生まれている。このことの解消を是非お願いしたいということです。そういう意味で、先ほど政務官が言われたことと、事務局が作成した回答は私が読んでいる限りでは矛盾をすると思う部分があるので、是非もう一度検討をお願いしたいのが1つです。
最後、先ほどもおっしゃられたとおり、とりわけ障害分野は地域間格差が大きいということですから、まず現状を守るということだけでも必死なんですけれども、それだけではなくて、もっと攻めるというか打って出てほしいと思います。地域間格差を解消していくような、例えばかつて高齢者分野ではゴールドプランのような10か年戦略で地域の在宅サービスを増やしていったわけです。障害者の地域基盤整備の計画のようなものを引き続き国としてはやっていかなければいけないんだということを是非厚労省の立場から言っていっていただきたい。現状を守るだけではなくて、より地域間格差を縮めていくためにどう攻めて、打って出ていくのかということをお示しいただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 政務官の時間がないんですが、松井さん、短くお願いできますか。
○ 松井委員 松井です。ありがとうございます。
先ほど藤井さんからも指摘があったことですけれども、労働省と厚生省が合体したメリットが何か。特に福祉的就労ということを考えると、ちょうど両者の間にある問題なんです。今、山井政務官がおっしゃったように、労政審は雇用問題を中心にやるわけで、福祉の方は社会保障審議会でしょう。だから、その両方にまたがった問題にどう取り組むのかということが課題だと思います。
特に先ほど藤井さんからも話があった2007年に全国福祉保育労働組合からILOに対して出された、「ILO第159号条約違反に関する提訴」へのILO回答では、ILOは両方にまたがったというか、両方を踏まえた意見を出していると思います。御承知のように、今年政府は、ILOの159号条約の実施状況に関して定期報告をILOに提出することになっていると思います。その定期報告の中でILOからの意見書を踏まえて日本政府としてどう取り組むのかという回答が期待されていると思うんですが、その回答をどういうふうにするのかについて、推進会議などでも内容について紹介されるのかどうか。そういうことも含めて、当然労政審との調整の問題があると思いますけれども、雇用と福祉という分離ではなくて、どうそれをつなげていくのかという観点から検討していただきたいということをお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○ 藤井議長代理 政務官への期待が大きいだけに懸命な質問が続きましたので、ここでお答え願って御退席していただきたいんですが、よろしくお願いいたします。
○ 山井厚生労働大臣政務官 3人の方から御質問ありがとうございます。
最後の質問からお答えいたしますと、例のILOの条約違反の提訴の問題でありますが、これについてどう回答するのかということなんですが、誠に申し訳ありませんが、こういうものは事前にお一方に見せると、こちらも見せろ、こちらも見せろということになりかねないですので、事前にオープンにするというのは難しいのではないかと思いますが、それについての皆さんのお声というものは、こういう会議も含めてしっかりと聞かせていただきたいと思っています。私も2年間スウェーデンに留学していまして、向こうは教育についても雇用についても非常にハードルが低いです。町並みもそうですし、そういう方向にいかに結び付けていけるかということだと思います。
清原市長さんがおっしゃった地域主権の問題ですが、質と量をいかに担保するか。ここの1つのポイントは、一括交付金化する場合にそもそも一括交付金の額自体が増えるのか、減るのかが割と根本的な問題なんです。やはり一括交付金にするところで額が減ってしまったらサービスは低下するわけです。だから、そういうことも含めてしっかり議論する必要があると思います。
悩ましい問題で、今も清原市長さんから分権はするけれども、国がガイドラインを定めるべきではないかとありました。ところが、お金を出さないわけですから強制力はなくなってしまうわけです。ここについてはどういう形がいいか議論していきますが、一言で言うならば、皆さんがお持ちの心配や不安というのは私も共有しております。しかし、一歩ずつ分権という方向に踏み出していかねばならないと思っています。私が留学していたスウェーデンは世界一地方分権が進んだ国の1つでありまして、同時に福祉も進んでいる。それをどう両立させていくかということだと思いますが、そのためにはもしかしたら今まで以上に厚生労働省も皆さん方にも声を上げていただくことが必要になってくるかもしれません。
尾上さんからの指摘でありますが、地域生活支援事業で格差が開いたのではないかという問題も非常に重要な御指摘だと思います。尾上さんによると、ペーパーの回答と政務官の回答にずれがあるのではないかということなんですが、そことどう理解していただきたいといいますと、今まさに正確に回答できるのは書面のところでありまして、ただ、1年後か2年後か3年後か4年後か時間軸はありますが、方向性としてはこういう方向性に持っていきたいというのが私の発言であります。どういうことかというと、どうしてもすべてサービス本位にしたいとか、より障害者の範囲を広げたいという話は理念の問題とともに、その財源をどこから取ってくるかということが必ずセットになってきますので、目指すべき方向に時速10kmで進めるのか、100kmで進めるのか。それは今回の推進会議も部会も含めて歴史的な挑戦であり、歴史的な実験だと思っております。少なくとも今まで10kmで進んでいた列車がこういう推進会議や部会ができたことによって15kmか20kmにスピードアップするのではないかと思いますが、10kmが20kmになるのか、40kmぐらいまでいけるのか、これは皆さんから厳しく御指摘をいただいたり、また逆に応援していただいたり、そういうことにかかっているのではないかと思います。
長妻大臣は所信表明演説でポジティブ・ウェルフェアということを言いました。ポジティブというのは前向き、積極的ということですから、これは尾上さんがおっしゃっているまさに攻めの福祉、攻めの社会保障です。どういうことかというと、今まで福祉、社会保障というのは経済成長のお荷物だとか負担だと言われていたけれども、やはり私たちの政権というのは必ずしも負担ではなくて、そこで雇用も生まれるし、そのことによってみんなが社会参加できる社会というのは非常に明るい社会だ、前向きにとらえていこうということを言っております。
例えば保育や介護に関しては、鳩山総理も菅財務大臣も1つの雇用の創出であって、成長産業だということを国会でも答弁しているんです。介護と保育までは雇用創出であり成長産業だということが言われているんですが、障害者福祉が新たな雇用を生み出して、より多くの産業だというところまではなぜかまだ踏み込んでいないんです。
私は皆さん方に申し上げたいのは、先ほどゴールドプラン10か年戦略という話も出ましたけれども、介護保険との統合は行いませんが、いい点は介護保険を利用して、介護サービスだけではなくて障害者福祉もセットで量を拡大していこうというような、利用できるところは老人福祉の流れを利用して、障害者福祉も伸ばしていこうという取組みが必要なのではないかと思います。
こう言いますのも、私がスウェーデンに留学していたときに会いました目の不自由な厚生大臣でベンクト・リンクビストさんという方がおられまして、その方になぜスウェーデンは障害者福祉がこんなに進んでいるんだと聞いたら、スウェーデンでも障害者福祉というのは割とマイノリティーの問題で苦労しているんだ。ところが、連携できる部分は高齢者福祉の運動と連携することによってかなり障害者福祉を進めることができたということをベンクト・リンクビスト厚生大臣は当時おっしゃっておられました。
そういう意味では、介護に関しては国会でも国民も関心が高い。しかし、障害者福祉は老人介護に比べると何か人ごとのような部分がある。障害者福祉もいかに老人介護と同様に自分たちの問題なんだ、まさに成長産業でもあるんだとすることができるか。成長産業だけだとは思いませんけれども、まずは皆さんの暮らしを支えることが大事だし、同時に雇用の場であり成長産業の1つでもあるんだという認識に政府の中で何とか持っていけないものかということを思っております。
長くなりまして申し訳ありません。どうかよろしくお願いします。(拍手)
○ 藤井議長代理 これ以上の拘束は無理です。山井さん、時間を随分オーバーしまして、どうもありがとうございました。
○ 山井厚生労働大臣政務官 本当に申し訳ありません。またよろしくお願いいたします。
(山井大臣政務官退室)
○ 藤井議長代理 それでは、2時35分をめどに今から討論してまいりますけれども、前半は雇用をメインにして、できれば15分程度行いたいと思います。その後に福祉サービスというふうにしていこうと思いますので、今、松井さんから意見も出ていましたけれども、一部重複があってもいいと思うんですが、就労、雇用に関して意見、質問があったら挙手をお願いいたします。
竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 雇用に関して3点申し上げます。
まず1点です。特例子会社は障害者雇用に一定の役割を果たしたという評価は結構なんですが、現実には分離されているわけですから、隔離されていると言ってもいいわけです。特例子会社において実施している内容を親会社の中でなぜできないのかについてお答えください。親会社でできないということについての分析があればお聞きしたいというのが1点であります。
雇用に関する2点目は、コミュニケーション障害を持った障害者の雇用についてです。そうした障害者の雇用を促進するためには何が必要なのかということについて、どういう施策を考えておられるかです。
最後3点目は、障害を持った人の雇用を促進するための通勤保障としての施策をどう考えているのか。端的に言えば、視覚障害者のガイドヘルパーが通勤のときに使えるようにすべきではないかと思うんですが、その点についてのお考えをお聞かせください。
以上です。
○ 藤井議長代理 3点です。後でお答えいただきます。
土本委員、お願いします。
○ 土本委員 土本です。
障害と言われている人が住み込みで30年間勤められていた。そのときに療育手帳や障害者基礎年金のことはだれも知らせていない。周りの人がやっと教えたぐらいであって、まだまだ住み込みで働いている仲間がいるのではないかと思うし、就労してけがをしたりしたときに、だれが保障するのかということ。やはり仕事をしていても支援が必要だ。自分も一般就労をしていたんですけれども、支援がなければ長く勤められなかったところもいっぱいあります。そういうことです。
以上です。
○ 藤井議長代理 住み込みなどでそういう情報がちゃんと伝えられていないという辺りの問題もあったし、最後に言われていた生活面の支援と就労というのは竹下委員からもあったけれども、どうも分離されていて、トータルの支援になっていない。その辺を中心にお答えをいただきましょうか。
次は佐藤委員、お願いします。
○ 佐藤委員 どうもありがとうございました。日本社会事業大学の佐藤久夫です。
先ほど山井政務官が障害者雇用を進めることは大切なことだとおっしゃって、ただ、無理にこれを進めて事業主がつらい思いをして障害者がいい思いをするのも困るし、障害者がつらい思いをして事業主の負担が少ないということでも困るという言われ方をなされました。
賃金補てんとか社会雇用とかそういう領域に関してなんですけれども、どちらもつらい思いをするのではなくて、みんながハッピーになるような制度であるというのはいろんな人たちが指摘していることなので、是非これに前向きに取り組んでいただきたいと思います。つまり、重度障害者にとっても労働者として働いて社会に貢献したい。そのQOLを高めるということがあります。
賃金補てんをすることによって企業の側も重過ぎる負担をすることなく障害者を迎え入れて、最低賃金と補てん分を合わせて支給するということで、企業にとっても楽になる。
通所施設などに支払うお金のかわりに賃金補てんをする。その額は総合的に見ると、むしろ税金の節約になるということで行政もハッピーになる。
働く労働者を増やすことによってGDPを増やすということで、社会、経済全体にとってもハッピーになるということで、こういう4者がハッピーになるというこんなうまい話が本当にあるかどうかということはいろいろ抜け道もあるのかもしれないので吟味をする必要がありますけれども、ヨーロッパなどでやっていることでもあるので、日本でも是非重要な政策課題にするべきではないかと思います。
なぜこれが政策課題として厚労省のポリシーにならないのか。そのことをお聞きしつつ、既に滋賀県や箕面市、埼玉県内、神奈川県内の幾つかの自治体などでやっている制度でもあるので、こうしたところの実験的、先駆的な取組みについて科学的な検証を行って、併せてヨーロッパの制度についても調査をするというような厚労省としてのプロジェクトを立ち上げる予定、お考えはないかどうかということについてお聞きしたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 山崎委員、お願いします。
○ 山崎委員 山崎です。
今の佐藤委員の御質問と重なってしまうんですが、端的に申し上げます。一般就労と福祉的就労の谷間をどうやって埋めていくかが、今、一番ポイントであると思います。
そこで第1点目の御質問は、なぜ今まで穴を埋めるための保護雇用とか賃金補てんに厚労省は取り組んでこられなかったか。その理由をお伺いしたいと思います。
2点目はもう少し前向きな話で、今、佐藤委員も端的に御指摘されていましたが、大阪府箕面市とかあるいは滋賀県で社会的雇用の実験に取り組まれています。私は3月中旬に箕面市の御厚意で2日間にわたって現場をいろいろと見せていただきました。障害がある人もない人も非常に明るく楽しく前向きに、同じ目線で働いていらっしゃる現場を見せていただきました。これはある種の財政出動がどうしても必要になってくるわけです。自治体の御努力で今これをやっていらして、私はここに1つの光明があるのではないかと思います。
第2点目は先ほどの御質問とかぶるんですが、厚労省としてこうした自治体のパイロット的な取組みをモデル事業として支援される御予定はあるかないか。これは端的にお伺いします。
以上です。
○ 藤井議長代理 新谷委員、お願いします。
○ 新谷委員 2点あります。
1点は障害の範囲の問題です。先ほどの政務官の御説明もそうだと思いますが、福祉施策としての障害の範囲の見直しがあれば、当然のことながら雇用分野においても福祉制度で見直した障害の範囲に沿って施策を検討すると理解してよろしいんでしょうか。それが1点目です。
2点目は今の障害者雇用納付金制度と高齢・障害者雇用支援機構が持っている助成金の制度との趣旨が本当は違っているのではないかと思います。納付金制度というのはあくまでも雇用を促進していくための制度であって、職場における助成金制度というのは職場における合理的配慮とか企業側の負担の削減、軽減するためにある制度だと思うのですけれども、今この制度がミックスされているような運用をされていますね。これから障害者雇用がどんどん進んでいけば、普通に考えれば原資がどんどん減っていく。そうすると、職場での合理的配慮に対する助成金がどんどん減っていくみたいな形があるので、やはり職場における合理的配慮に見合ったきちっとした助成制度を検討すべきではないかと思うんですけれども、その辺についてのお考えはいかがでしょうか。
終わりです。
○ 藤井議長代理 それでは、一旦ここで終わりまして、お答えいただきます。お答えいただくメインの方はお名前から入っていただけませんか。よろしくお願いします。
○ 厚労省障害者雇用対策課長(奈尾課長) 障害者雇用対策課長の奈尾と申します。よろしくお願いします。
多岐にわたり何点か御質問をいただきました。順番にお答えいたします。
まず最初の特例子会社についてのお答えでございます。特例子会社について、なぜ親会社でできないのかという御質問だったと思います。平成21年現在、特例子会社は全国に265社ありまして、雇用障害者は1万3,000人という数字でございますけれども、これはあくまで親会社に含まれない特例子会社の数字でございます。当然親会社自体で何らかの取組みをやって、例えば職務の切り出しをやって、親会社で特例子会社をつくらずに工夫される場合には、そういう中で運用される数字は出てこないわけでございます。現在の特例子会社制度についていろいろ評価はあろうかと思っておりますけれども、先ほど少し出てまいりましたように、例えば障害者権利条約におけるいわゆるインクルーシブ概念に合わないのではないかといった意見もおありだと聞いてございます。
一般的に申しますと、特例子会社は大企業が障害者を雇用するきっかけとしては非常に有効である。例えば大企業でございますので、職務が一定程度塊を持って切り出せるといった場面もあるかと思いますので、そこはそれで活用いただければと思っております。勿論、特例子会社のみならずいろんな手段で障害者の雇用を進めていくべきだと思ってございますので、引き続きいろんな形で取組みをお願いしたいと思っております。
次にコミュニケーション障害、コミュニケーション支援の関係でございまして、特に感覚器の障害をお持ちの方についてはいろんな形態でコミュニケーションの支援が必要だろうと思ってございます。例えば視覚障害の方等に対しまして、職場で介助者をつける、介助を行う方をつけるといった場合には納付金制度で助成がございまして、かかった費用の4分の3を助成金で支給するといった制度がございます。関連して例えば聴覚障害の方ですと、手話通訳といった委嘱についての助成の制度がございまして、この辺りは具体的に現在の制度で何か必要かというのは、また追っていろいろと教えていただきたいと思っております。
併せまして、助成金の中で私ども通勤あるいは住宅等もそうなんですけれども、こういった職務を遂行するに当たって必要となるであろう通勤等についても助成金の対象にしているところでございます。この辺は引き続きこの支援を行うことによりまして、就労を促進していきたいと思っております。
それから、住み込みの話がございました。住み込みについてだれがケアを保障するのか、情報をきちんといっていないのではないかといった話でございます。雇用を進めるに当たって住み込みもそうですけれども、生活面のケアというのは非常に重要でございまして、勿論障害をお持ちの方にとって単に職場に就職すればそれでいいというものではございませんし、その後の生活支援と一体的にやらなければならない。これは御指摘のとおりだと思っております。
私どものところに就業・生活支援センターというセンターがございます。これは福祉と雇用の連携の一環といたしまして、今、進めているところでございます。将来的には全国に約360ほどございます障害保健福祉圏域に設置していきたいと考えておりまして、今年度も必要な予算を計上させていただきました。22年度ベースでは約282か所の設置を行って、こちらの方で就業と生活面一体として、両方にそれぞれ就業面、生活面を担当する職員を置きまして、そこで障害者の方の就労あるいは定着の支援に努めてきたところでございまして、引き続きこのような制度によって福祉と生活の雇用を合わせまして就職の支援に努めていきたいと思っております。
先ほど政務官から事業主さんがつらい思いをしてもといった話がございました。いわゆる賃金補てんといいますか、社会的雇用についてのお話があったかと思います。これについては私どもとして制度上どういう違いがあるのかというのは詳細にまだ把握できていなくて恐縮でございますけれども、一般的に障害者の雇用という観点で申しますと、障害者の方が障害のない人と同じように働けるということは非常に重要なことだと思っております。したがって、また後で申し上げますけれども、納付金制度におきまして、働きやすい環境を整備するということで、例えば施設を整備するあるいは人的介助等の取組みを行った方に助成金を支給する、それから、納付金制度におきまして、障害者の方を多数雇用している事業所さんとそうでない事業所の経済的負担を調整するといった取組みを行っているわけでございます。これらの仕組みを超えまして、例えば事業主さんの運営に要する費用を永続的に助成するであるとか、あるいは賃金について何らかの補てんをするということは雇用対策として一定の限界があるのではないかと考えておりまして、例えば既に雇用型のサービスといたしましては、自立支援法のA型サービスがございますので、こういった活用もお願いできればと思っております。
参考までに諸外国でやっている例としては、有名なものとしてスウェーデンのサムハルといったものがございますが、ここ数年間で見ますと、サムハルに雇用されている障害者の方の数というのはおおむね減少傾向にあると聞いてございます。そういったことも踏まえながら、どのようなことを考えていくのかと思っております。
それから、障害の範囲の話がございました。本日の回答にも書かせていただいておりますが、基本的に公平性、安定性という観点からも福祉分野と手帳制度は一致しているところでございます。仮に福祉分野の手帳の範囲等の見直しがあれば、雇用はどうなるのかという話かと思いますけれども、基本は福祉の手帳の範囲が広がれば雇用率制度の対象も広がるのではないかと思ってございます。
最後に今の納付金制度と高障機構、高齢・障害者雇用支援機構でやっております助成金の制度でございます。私どもの障害者雇用の柱は雇用率制度でございますが、雇用率の基本は法的雇用義務でございます。民間ですと1.8%の義務でございまして、いかにこの義務を達成していただくかという観点で各種助成あるいは納付金制度があるというのが柱でございます。納付金制度が一番の柱でございますが、通常障害者の方の雇用に要する平均費用を全国集計で出しまして、その額から納付金等の額を出して、そこで調整を図っているわけでありますが、それでは足りないといった場合に各種助成金を支給するということでございます。
合理的配慮については、まさしく私どもで検討している最中でございまして、非常に個別性が高い制度でございますので、個々の企業でどういうふうに合理的配慮というものを提供していただくかというのは、それぞれの企業の中で自主的に話し合っていただかなければいけないと思っております。合理的配慮について提供されることは非常に重要だろうと思っております。そのために例えば紛争解決の手段も今後検討していかなければならないし、合理的配慮によって平均的な障害者の方の雇用に要する費用が増減すれば、当然ながら納付金制度についても影響を受けるだろうと思ってございます。
時間の関係で短くて恐縮でございますが、以上でございます。
○ 藤井議長代理 恐らく委員の方は不満がいっぱいあると思います。
その前に、奈尾課長、今の日本の障害者雇用政策でもし大きな課題を2~3つ挙げるとすれば、何が挙がってきますか。
○ 厚労省障害者雇用対策課長(奈尾課長) 今1.8%の雇用率がございますが、現在ですと約45%の企業しかこれを達成していないということで、私どもとしては雇用率は守るべきものだという思いで仕事をしておりますので、まず雇用率達成が最大の課題だと思っております。例えば雇用率につきましても、企業規模で見ると大企業は平均すると1.8%をクリアーいたしましたが、中小企業では非常に低い水準にとどまっているので、この辺の対策をいかに打っていくかということかと思います。
それから、民間部門と公的部門においてもかなり差があるということでございまして、例えば公的部門でいうと、国や都道府県の知事部局はほとんど達成しております。これは1.8%より高い2.1%といった雇用率制度がございますが、ほとんど達成しているわけでございます。一部の県の機関で達成していないということで、公的機関は率先して取り組んでいくべきではないかと思っております。
○ 藤井議長代理 今、新谷さんの手が挙がっているんですが、ほかの方でやはり追加意見、追加質問をしたいという方はいらっしゃいますか。新谷さんは先ほどの関連ですか。
○ 新谷委員 関連の質問です。
○ 藤井議長代理 それでは、新谷さん、山崎さん、最後に久松さんお願いします。
○ 新谷委員 先ほど助成金制度で具体的にどういう要望があるのかという御質問があったのですけれども、私たちの団体では二度、三度要望を出しています。手話通訳の設置の委嘱助成金というものがあるわけですが、そこに要約筆記者が入っていなくて、私たちは困っているということを要望しておるんですけれども、どうも通じていないみたいです。
合理的配慮は確かに個別性が高くて、個々の解決は個別解決が必要ですけれども、お聞きしているのは公的な助成制度としての原資のプールの仕方をお聞きしているわけで、個別解決はその先の話としていろいろ仕組みなどがあると思うのですが、まず制度として納付金とは別にこういうことで職場の合理的配慮を進めていくんだから、これだけの資金というかプールを用意する、そういう施策検討をなされておるのか、なされていないのかお聞きしたかったんです。
○ 藤井議長代理 久松さん、関連ですか。
○ 久松委員 そうです。
○ 藤井議長代理 それでは、お願いします。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。
お伺いしたいことは障害者の雇用数の実態についてですけれども、今の御回答を拝見しますと、年々雇用数が増えていると書かれています。それは特例子会社に就職している方の数なのか、一般企業、いわゆる親会社に雇用されている障害者の数なのか。
もう一つ、いつも不思議に思っていることなのですが、障害者雇用された数の内訳です。例えば精神障害者の数、知的障害者の数、身体障害者の数の中で、視覚障害者、聴覚障害者、あとは肢体不自由の方等の数の内訳を出さない理由は何なのか。説明をいただきたい。
もう一点は、特例子会社の今後の扱い方についてお聞きしたい。昔は日本型グループ経営という考え方でグループ会社として子会社をつくる。それなりの役割があったと思っています。ただ、グループ会社の経営の体質は時代によってすごく変わってきているかと思います。親会社の仕事の持ち方、子会社の仕事の持ち方の在り方も含めて変わりつつあるかと思いますが、今の体制の中で特例子会社をつくっていくことについて、今後の見通しについてもお伺いしたいと思っています。
○ 藤井議長代理 山崎委員、どうぞ。
○ 山崎委員 山崎です。
先ほど御回答いただいていない点を再度お伺いします。社会的雇用について実験的な取組みをされている箕面市とかあるいは滋賀県をパイロット事業、モデル事業自治体として指定される御予定はおありですか。そこに支援をして、そこから実践例を学ぶ御予定があるかないかが1点。
それに関連してもう一点ですが、その他の自治体で同様の社会的雇用をめぐる取組みをやっているところを調査いただきたいので、その点について前向きにお考えをお聞かせいただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 まだ手が挙がっていますが、時間がないのでここで打ち切りまして、奈尾課長お願いできますか。
○ 厚労省障害者雇用対策課長(奈尾課長) 要約筆記につきましては要望は承っております。今後どのような形でこれを検討していくかというのは、今後考えたいと思います。
助成金の原資をどうするか、合理的配慮をどうやるのかという話でございますが、基本は合理的配慮について各企業の中で障害者の方に実効性をもってそれが担保されることが必要です。これは私ども労政審の中で検討してきたことでございますけれども、どうやってそれに実効性を持たせるかということだと思います。それについては、障害者の方を雇用する場合にどうしても一定の必要がかかる場合があるので、納付金制度の中でやるのが本筋としては一番趣旨に合うのではないかということで運用しているわけでございます。それとは別に何らかのプールをやるかというのは、財源をどうするかという問題を全く別にしたとしても、その趣旨の中でやる方が適切ではないかと通常は思われるわけでございます。
参考までに、高障機構、高齢・障害者雇用支援機構は独立行政法人でございますので、独立行政法人通則法という法がございまして、こちらにプールするということになって、全体の一律の独立行政法人通則法の中で原資はここにプールするという扱いになっているわけでございます。
それから、特例子会社でございますけれども、ここ数年で見ますと、例えば21年度は特例子会社に雇用されている障害者数は大体1万3,000人でございますが、平成17年、4年前は特例子会社に雇用される障害者の方は7,800人ぐらいでございます。したがって、4年間だけでも2倍近く、1.7~1.8倍の伸びを示しているところでございます。こうなっている理由でございますが、やはり職務の切り出しというのがある程度まとまった単位でやるとやりやすい面があるということかと思いますが、特例子会社に入ってきた方の数というのは、ここ数年間で雇用障害者が伸びているというところで、ある程度が見てとれるのではないかと思います。今後それをどうするかでございますけれども、基本は何らかの形で、とにかく雇用率を達成していただきたいというのが私どもの立場でございますので、特例子会社によるにしても、よらないにしても、いずれにしても法定雇用率は遵守するということで、強く指導するということかと思っております。
最後に社会的事業所でございますが、先ほども少しお話申し上げましたけれども、やはり障害者の方の雇用については雇用率制度を柱として、そこで必要な助成について配慮があればそれを助成する、あるいは事業主間の負担の公平性に配慮するということかと思います。箕面市あるいは滋賀県等で行われておりますいわゆる社会的事業所でございますが、私どもとして把握しているのは、今の2つの自治体ぐらいでございます。これらについての負担の公平でありますとか、あるいは合理的配慮等を超えました部分について、これを制度として仕組めるかどうかという問題はかなりあるかと思います。したがって、現段階ではそこをモデル的に指定するという考えは持ってございません。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 久松さん、どうぞ。
○ 久松委員 久松ですが、障害者種別についての御回答をお願いします。
○ 藤井議長代理 障害者種別についての回答がなかったですね。あと、社会的事業所に関して、ほかの自治体の調査などをしてもらえませんかということについてもお答えがありませんから、してください。
その前に大臣からお願いします。
○ 福島大臣 途中で済みません。厚生労働省が非常に誠実に答弁をしてくださり、まじめに、真剣に障害者施策をやっていただいていることに心から敬意を表します。
ただ、男女共同参画第3次基本計画もそうなんですが、なぜ今まで日本の中で推進してこなかったのか。つまり、障害者施策の中でなぜ雇用やさまざまな点が今まで進んでこなかったのかという反省の下に、これから何をやっていけば雇用が促進されたり改善ができるのか。現在ある制度の説明を聞きたいわけではなくて、積極的対話を通じて、ここは障がい者制度改革推進会議なので、厚生労働省も今まで何で進んでこなくて、何をやったら推進するのかパラダイムの転換をしていただきたいと思います。180度変えろなどとむちゃは言いませんから、それは何を進めるために必要かという形から答弁を積極的にお願いします。
○ 藤井議長代理 大事な指摘があったので、奈尾課長、これ以降その視点から発言をお願いいたします。
○ 厚労省障害者雇用対策課長(奈尾課長) まず先ほど回答が抜けまして、大変申し訳ございません。私どもは毎年6月1日時点で障害者雇用状況調査をやり、11月に発表してございます。その発表におきましては、身体、知的、精神の3障害別に数字を出しております。例えば視覚障害者の方につきましては、平成20年度の職業紹介ということでまとまった数字がございまして、視覚障害者の方の平成20年度の就職件数でいうと1,771件、就職率約63%でございます。こういったことと併せまして、例えば視覚障害者の方については、どのような職業に就いているかということを併せて特別調査をしたところでございます。
大変恐縮でございますが、今、大臣から御発言がございまして、なぜ今まで障害者雇用が進んでこなくて、それからどういった反省があるのかという話でございます。過去10年あるいは15年のトレンドを見てみますと、障害者雇用率が伸びてきたのはここ5年ほどでございまして、その5年より前は大体1.4%の後半で推移してきたところでございます。法定雇用率1.8%はここ十数年変わらないわけでございますが、今から5年前よりも数年間というのは大体1.4%の後半で、余り伸びもせず下がりもせずという状態でございます。これが直近は1.63%でございますけれども、ようやく伸びてきたのはここ5年ほどでございます。
ここ5年ほどで伸びてきた理由としてあえて考えられるのは、例えばジョブコーチといった人的介助を充実してきたこと。それから、福祉と雇用を一体として取り組んできたこと。また、企業の方での理解が含まってきたということでございます。特に最後の点につきましては、企業側の理解ということで、今後条約との関連で合理的配慮ということも議論しているところでございますので、これをいかに定着させていくかという観点から真剣に議論をしていきたいと思ってございます。
○ 藤井議長代理 本当はもっと議論していきたいんですが、奈尾さん、恐らくこのメンバーはみんな不満があると思います。33年間1回も法定雇用率を達成していなくて、法定雇用率もイタリアでは7%、フランス6%、日本は1.8%、低い法定雇用率を達成できていない。なぜなのか。5年前に変わったというのは、本当に微々たる変化の話をしているんです。重い障害者に関しては、ヨーロッパは賃金補てんは当たり前なんです。なぜそれをしないのか。そういう点でいうと、転換策の方向がなかったんです。
最後にもし課長の方から今後の抱負があればお願いします。
○ 厚労省障害者雇用対策課長(奈尾課長) 諸外国の話がございましたが、私どもも勉強しているところでございますけれども、例えばドイツは5%、フランスは6%と承知してございます。この辺はそもそも雇用率自体の考え方がどうかということと、あるいは対象になる障害者の方の範囲がどうか。この2つの問題があろうかと思います。
例えばドイツの場合、早期の胃がんで胃を切除して2年間の経過観察といった方も重度障害者の範囲になるということで、日本と範囲の考え方が違うということです。あとフランスの6%ですが、この辺は戦傷病者の扱いということで歴史的経緯がまた違うわけでございます。その辺の歴史的経緯の違いを踏まえた上でも、例えばフランスの場合は6%という雇用率を全く達成する見通しはないと考えられているわけであります。
○ 藤井議長代理 日本の好転へのポイントをどう考えていらっしゃるのか。
○ 厚労省障害者雇用対策課長(奈尾課長) いろいろと研究しながら、また議論を進めていきたいと思っていますけれども、当面は法定雇用率の達成が私どもに課せられた最大の問題だと思っております。
○ 藤井議長代理 時間がないから一旦ここで終わります。松井さん、ごめんなさい。関口さん、ごめんなさい。
残り時間は福祉サービスについて時間を取ります。先ほど山井さんからも御発言があったんだけれども、これに加えて発言したい方は挙手をしていただけますか。
関口委員から先にいきましょう。
○ 関口委員 福祉的就労ということで福祉サービスで言ってしまいますけれども、例えば武蔵野市などはよく障害者雇用で募集しているんです。中野区でも地域活動支援センターが精神の当事者を雇いたい。ところが、これはフルタイムなんです。そうすると、精神の場合はもっと柔軟な働き方をさせてもらわないと無理なんです。中野区の場合、地域活動支援センターの方の事業所の方では2人雇って、1週間を2人でというふうに考えているわけですけれども、行政の方で1人フルタイムでやらせてくれということを言うんです。これは武蔵野市も同じだと思います。結局フルタイムで1人雇いたい。これは精神の当事者にとっては無理なんです。
そこのところも含めて、合理的配慮、福祉的な就労といったときに、工賃が安くて利用料を取られているといったことになっているわけですけれども、これは実際問題やっている事業所の所長などに聞きますと、職員などよりずっとまじめにやっている。能力は著しく明白に低いということはあり得ないということをはっきり言うわけです。つまり福祉的就労ということであれば、労働者性がないから特例ということで、審査もしなくてよくてという、これは余りではないかと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 これも就労に関係することです。
北野さん、竹下さん、大谷さんの順番でいきます。
○ 北野委員 最初に尾上委員からも発言がありましたけれども、特に私が気になっているのは、ヒアリングの意見書の4ページです。自立支援給付と地域支援生活事業の区分けの問題で、相変わらず同じような答えが返ってきていまして、これは非常におかしいことだと思っています。といいますのは、自立支援給付に係る障害者福祉サービス等については、必要なサービスが公平かつ確実に提供される。これはそうなんですけれども、今回国連の権利条約を批准いたしますので、国連の権利条約の批准に基づきますと、当然表現は「本人が暮らす地域で普通の市民として暮らすのに必要なサービスが公平かつ確実に提供される」ということになりますので、これは全国一律の基準というよりは、最低必要なナショナルミニマムは確保するということが国の義務になってくるということだと思われます。
一方、地域生活支援事業については、「地域の実情に応じて各地方、公共団体が創意工夫を生かしてやるべき事業である」と書いておられますけれども、実は本人の暮らすべき地域で普通の市民として暮らすということは、本人の暮らす地域でありますから、その地域の実情に合わせて仕組みを柔軟にしていく、つまり、ローカルオプティマムにしていくのは当然のことであります。
例えば手話通訳なり、移動支援なり相談支援というのはとても大事な事業でありまして、これは絶対にやるべき必須事業ですから、これは国がナショナルミニマムとしてどう確立するかということと、それに加えてローカルオプティマムとしてそれぞれの地域がどういう工夫をそれにプラスαするかという視点で物事を考えたら、新たな制度をつくるに当たって全国一律に提供されるべきサービスと地域の実情に応じて柔軟に提供されるサービスなど、サービスの内容に応じて、その位置づけを分けるなどという発想は出てくるはずもないわけであります。当然ナショナルミニマムとして必要なサービスを、地域でどういうふうに柔軟に運営するかということが大事なんですけれども、必須事業はナショナルミニマムとしてやっていくんだ、それを地域の創意工夫を加えてやれる仕組みにするのだという方向を明確に出していただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 柔軟化と義務化はぶつかり合わないという見解だと思うんですが、後でまたお答えいただきましょう。
竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 私は質問を短くするために自分の考えを抑えて言います。先ほどの奈尾課長の答えは私の質問を理解していただけなかったと率直に思います。現状に問題があるからこそ質問しているのに、現状しか説明いただけなかったのは非常に残念です。そういう意味では、これから質問することは現状に問題があることを前提にしているので、端的にお答えをお願いします。
1点目、難病患者に対して福祉サービスが受けられない現実について、どういうふうな改善を考えておられるか。これが1点目です。
2点目は障害者程度区分の考え方は、それ自身にいろんな議論があっていいわけですが、コミュニケーション障害、聴覚障害者や視覚障害者の方に対するサービスについては、障害程度区分は全くその機能を果たしていないと思われるんですが、この点についての今後の考え方についてお聞きしたいのが2点目です。
3点目は、今の北野先生とほぼ重なるわけですが、地域生活支援事業の中には全国一律のサービスが最低必要だと思われるにもかかわらず、それを自治体の独自性という名前で説明されています。例えば手話通訳であろうが、移動支援事業であろうが、京都と東京で手話通訳等の派遣条件において格差があっても、それを地域差と呼ばないというのか。あるいはそれを地域の特性ということで、本当に納得しておられるのかどうかについてお考えをお聞かせください。
以上です。
○ 藤井議長代理 大谷委員、どうぞ。
○ 大谷委員 質問と答えがかみ合っていないので、突っ込みの質問で申し訳ないのですけれども、まず総合福祉の医療のところです。
○ 藤井議長代理 医療は後でまたやります。
○ 大谷委員 総合福祉の医療支援の在り方について、どう考えているのかということです。
○ 藤井議長代理 関係あるのであれば、先でいいです。
○ 大谷委員 こういうことになっていることに関して、必要な医療は重要であるとお答えになっているだけなのです。我々とすると、医療支援の在り方を聞いているのであって、在宅、地域で必要な医療が保障されるような方向性をどのように考えているかということも含んだ質問なのです。ただ単に重要であると考えるという答えではどういう在り方を考えているのか答えになっていないのではないかと思います。その点に関してもう少し補足していただきたい。
障害児支援と虐待防止は後ですか。
○ 藤井議長代理 一緒です。
○ 大谷委員 ここも一緒ですか。
○ 藤井議長代理 どうぞ。
○ 大谷委員 障害児支援のところも、申し訳ないのですけれども、やはり質問と答えがかみ合っていない。これでいうと25ページに早期発見、早期療育が選別分離につながっているのではないかという質問に対して明確にお答えにならない中で、ただし、ともに暮らしていくという視点は大事であると指摘していただいている。
しかし、同じページで第5の質問に対しては、関係機関の連携システムを構築と答えられて、この中で特別支援学校の教員を地域自立支援協議会に入れて学齢期に当たっての支援を切れ目なくやるんだというお答えもしている。我々とすると、早期発見、早期療育が従来は選別分離になってしまっているという実態も踏まえて、できるだけインクルーシブな方向での早期支援が必要ではないかという視点に基づいての質問に対して、どうもかみ合わないと思っています。
具体的に質問すると、25ページから26ページの第5の答えに関して、関係機関の連携システムは従来特別支援学校との連携によって分離、選別につながっているという実態があることを踏まえて、分離、選別にならないようにするために、地域自立支援協議会の委員に地域の普通学校で障害のある子の教育実践をしている先生を加えるというようなことも検討するべきではないか。特別支援学校の教員をあえて例示したのは、どういう理由ですかということを質問させていただきたい。
もう一つ、虐待防止の方に関しても、申し訳ありませんけれども、質問と答えがかみ合わない。簡単に言います。37ページです。虐待防止に関して、虐待行為者による類型をどう考えるかという質問をさせていただいているときに、虐待行為が発見された場合にだれが対象者の保護や是正のための措置を講じるか等に留意して検討する必要があるとお答えになっているだけであって、明確なお答えをいただいていない。具体的にいうと、保護や是正をするための措置をするべき人が虐待をした場合は積極的に行為者類型として考えているのか。逆にこれをマイナス要因として考えているのかも明らかにはなっていないと思います。これに関して、もう少し意味を鮮明にした回答をしていただきたいと思います。
以上です。3点です。
○ 藤井議長代理 中西委員、どうぞ。
○ 中西委員 中西由起子です。自立に関して3点伺いたいと思います。
まず19ページの地域移行のところで、自立と言いながら介護となっています。これは質問も含めて介護になっています。自立の精神を重んじるのであれば、これは介護ではなくて完全に介助となるはずです。
その後の第2の質問と第3の質問に関する答えとして、地域の施設から地域へと行く方たちがとりあえずは減少しているという結果になっています。地域移行の政策は重要だと言いながら、このような地域移行に関する緩やかな移行だけで十分に達成できるのかというのが2番目の質問です。
3番目はその前17ページになりますが、ピアカウンセラー、18ページはピアサポーターの役割は十分だと認識しているとありますが、それならば、支給決定プロセスに当人が参加できない場合には当然ピアサポーター、ピアカウンセラーの参加というものがあって、そこで支給決定がきちんとなされていなければ当事者参加ということは言えないと思います。
その3点についてお伺いしたいと思います。以上です。
○ 藤井議長代理 最後に松井委員、どうぞ。
○ 松井委員 松井です。ありがとうございます。
所得保障について伺いたいんですけれども、29ページのところで、いわゆる所得保障というのは就労による保障かあるいは年金等による保障があります。つまり、働けない場合については年金保障です。そういう働けるか、働けないかという二者択一になっているわけですけれども、中間があると思います。そこが賃金補てんとの関係だと思います。
それに関連して、次の項目に同一価値の労働についての同一報酬というものがございますけれども、御存じのように、障害者について、特に精神障害の方々はパートタイムで就労しているケースが多いわけですが、正規雇用の場合と非正規雇用の場合を時間給に直せば、かなり大きな格差があるわけです。だから、パートタイムで就労している限り、賃金収入あるいはその収入では生活できないというのが明らかなので、そこをどう補てんするのか。つまり、100%年金なのか100%就労するのかではなくて、中間的な働き方しかできない人たちが相当数いるわけで、これは別に障害者だけではなくて、ワーキングプアの問題あるいは長期失業者の問題とも共通するわけですけれども、そこの補てんをきちんとするための仕組みをつくることが極めて重要だと思います。そこをどういうふうにとらえていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
○ 藤井議長代理 お答えをお願いしますが、まず現状の説明は余り要りません。それから、言い訳も要りません。ピンポイントでかみ合ったお答えをお願いしたいということが出ていました。それから、同時に事態の好転に向けて、こうだという構えを含めた答えを是非お願いします。
まず奈尾課長に少し関係がありましたから、先に就労関係のことに答えてもらってから福祉関係の方にいきます。奈尾課長、いいですか。
○ 厚労省障害者雇用対策課長(奈尾課長) 最初に精神の話がございまして、精神障害者の方の障害特性を踏まえますと、最初からフルタイムが難しいというのは御指摘のとおりでございます。例えば最初は週10時間とか十数時間から徐々に延ばしていくという話がございますが、そういった取組みについては私どももモデル的に事例を収集して、その上でどういった取組みがあるのか。最初は短時間からいって、あとフルタイムにいく場合にはいいのかということでこの辺は私どもで事例を収集して、それを今後事業主さんの方に申し合わせしていこうと考えております。
○ 藤井議長代理 あと、松井委員の御発言は両方にまたがりますが、フルタイム働けない場合の補てん問題は労働行政からも関係があると思うんですが、どうでしょうか。
○ 厚労省障害者雇用対策課長(奈尾課長) 労働行政の原則からいたしますと、賃金というのは労使の間でそれぞれの能力に応じて決まるという原則でございます。先ほどの社会的事業所の話も少し関わりますけれども、これをどのように考えていくかというのは、今後かなり慎重に考えていくべきではないかと思っております。
○ 藤井議長代理 慎重という意味がよくわかりませんでした。やらないという意味ですか。それとも研究しようということなんですか。
○ 厚労省障害者雇用対策課長(奈尾課長) 雇用か福祉かという両方の見方がございますけれども、雇用の面から見るとかなり困難な面が高いと思っております。
○ 藤井議長代理 雇用からはしないということですね。
それでは、福祉関係は障害保健福祉部の方でお答えいただけますか。
○ 厚労省障害福祉企画課長(藤井課長) 障害保健福祉部の企画課長をしております藤井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
いただいた質問が多岐にわたってございますけれども、時間の関係もございますので、ざっとお答えをいたします。
初めに北野先生、竹下先生からございましたけれども、地域生活支援事業の関係でございます。私どもは役所でございますので、基本的に現行の制度をベースにした考え方を書かせていただいております。これから総合福祉部会で、まさに総合福祉法の体系全体を御議論いただくことになってまいるわけでございますけれども、私どもとしても地域生活支援事業で行われてきたさまざまな事業、実際にどれぐらい地域格差があるのかとか、あるいはどれぐらいの給付が行われているのかとか、そういったことを現在しっかりと調査しているところでもございますし、そういったことも含めまして、改めて総合福祉部会の方で御議論いただければありがたいと思っております。
ただ、先ほど必須事業云々というお話もございましたけれども、確かに地域生活支援事業の中でも必須事業と任意の事業がございます。ただ、ここの個別給付費が地域生活支援事業かという違いにつきましては、ここにも書かせていただいたとおりでございますけれども、従来国が一律の基準を示して全国一律に進めていく方がいいのか、それとも実際の運用の面の事業をやっていただくにしても、実際の運用の面はかなり自治体に自由度を与えた方がいいのかといった違いでございました。ですから、そこら辺は先ほど山井政務官からもございましたけれども、地方分権、地方主権といったような1つの国全体の大きな流れとの関係も十分に勘案しながら検討していかなければならないと考えております。
竹下先生から難病患者の改善でございますけれども、ここは既にマニフェスト等々におきましても、制度の谷間をなくすための制度をつくるんだと明確に示されております。ただ、それは難病患者を含めてではありますが、どんな範囲まで対象を拡大すればいいのかというところは、私ども事務方としてはなかなか難しい課題だと思っておりますし、実際に制度を運営していただく自治体の方でどのように日々の運用を行っていくのかということも含めて、これは相当議論をしていかなければいけないと思っております。この辺りもこれからの総合福祉部会の議論を十分にお聞きしながら、私どもとしても検討してまいりたいと考えております。
○ 藤井議長代理 その前にコミュニケーション障害のところがあったのではないですか。
○ 厚労省障害福祉企画課長(藤井課長) 先ほどの地域生活支援事業の関係と併せてお答えしたつもりでございまして、申し訳ございません。
私どもといたしましては、障害程度区分を既に何年間運用してまいりましたけれども、さまざまな御批判があることは承知しております。実際に昨年提出いたしました政府提案の一部改正法におきましても、障害程度区分のコンセプトは残しつつも名前を変えたり、定義を変えたり、更には運用ベースで程度区分そのものをゼロから見直すという方針を明確に打ち出しておったところでございます。障害と一言で申しましてもいろんな障害があることは十分に承知してございますので、更に障害の範囲を拡大していくということであれば、いろんなニーズのある方について、どんなものをつくっていけるのか、適用して行けるのかということも、これから総合福祉部会で御議論いただけるものと考えておりますので、そこら辺の議論を十分にお聞きしながら、私どもとしても検討してまいりたいと考えております。
それから、大谷先生の幾つかの御指摘は、申し訳ございませんが、難しい御質問でございまして、医療のところにつきましては、正直私どももここでこういう御質問に対してどう答えたらいいのかよくわからないところがございました。医療のところは先ほど藤井議長代理からもございましたように、この後、足立政務官が来られまして、医療に関する具体的な論点を別途御質問としていただいておりますので、もしその中でお答えできるのであればそこでお答えいたしますし、もし漏れがございましたら、また御指摘をいただければありがたいと思います。
25ページの自立支援協議会のメンバーでございますけれども、ここで特別支援学校の教員というものを例示したことにつきまして、特段のあれがあるわけではございません。学校サイドと連携をしていく上での1つの代表的な例として挙げたということでございます。そこはまさに地域の実情によってと申し上げると、またいろいろ御反論もあるかもわかりませんけれども、地域ごとに実際に協議会に入っていただくことが必要な方というのはそれぞれにございますでしょうから、この辺りはまさに柔軟に運営していただければありがたいと思う次第でございます。
37ページの虐待防止の関係でございますが、全体的に法制度の中身という意味では抽象的なことしか申し上げられていないんですが、ここは先ほど山井政務官からもございましたように、虐待防止法制と申しますのは、児童虐待防止法、高齢者虐待防止法いずれもそうでございましたが、議員立法ベースで立法府の方で御検討していただいているという経緯がございますので、その中身につきまして、厚生労働省でお答えをするというのは正直難しいものがございます。したがいまして、こういった書き方しかできていないということを御理解いただければありがたいと思います。
中西委員からの御指摘で介護が介助ではないかというのは、申し訳ございません、私ども質問の言葉をそのまま余り考えることなく引っ張ってきたところでございますので、ここは介助の方が適切だということであれば、また修正をすることは何ら問題ないかと思います。
地域移行を今のやり方のままで十分に達成できるのかどうかというところは、本当に難しい御質問でございまして、先ほど奈尾課長の方に障害者雇用に対する課題が何かというお話がございましたけれども、私ども保健福祉サイドの立場に立ちますと、何が最大の課題かと問われますと、やはり地域生活への移行、地域生活の支援というのがまさしくここ数年の障害保健福祉の最大の課題でございました。自立支援法を始めとしてではございますけれども、自立支援法もいろいろと御批判をいただいておりますので、廃止して新しい法制度になりますけれども、恐らく新しい法制度におきましても、そこら辺の基本的な方向というのは間違えなく変わりないというか、更に押し進めていくような方向でなければいけないと私どもも考えておりますし、皆様方とも意思が統一できているのではないかと思うところでもございます。にわかに更に何をやればというところまで、今お答えできるものは私の頭の中にございませんけれども、これもこれから総合福祉部会の中の一大テーマとして御議論いただければ、大変ありがたいと思う次第でございます。
ピアの参加というところも相談支援あるいは支給決定のプロセスの中で、具体的にどんな位置づけをしていけばいいかというところまで、まだ省内で固まっておりません。あるいは昨年一部改正法をつくる際に、審議会でも支給決定のプロセスにつきましてはいろいろ御議論いただきましたけれども、その中でもピアの具体的な位置づけというところまで議論が至らなかったと私どもは承知をしております。したがいまして、今回、総合福祉部会の中では更に一歩、二歩進めた議論を私どもとしてもお願いできればありがたいと思う次第でございます。
早口になりまして申し訳ございません。しかも、時間を超過いたしまして、申し訳ございませんでした。以上でございます。
○ 藤井議長代理 藤井課長、松井さんがおっしゃった所得保障で労働行政とまたがるんだけれども、この辺の中間的な点において福祉サイドから何か見解はございますか。
○ 厚労省障害福祉企画課長(藤井課長) そこら辺の福祉サイドと労働サイドの兼ね合いというのはまさに難しい議論でございまして、私どもも厚生労働省になってから奈尾課長のところといろんな議論を重ねてきているつもりではございますけれども、まだまだ制度としてどんな区切り方がいいのかとか、どんな整理の仕方がいいのかというところは、これからの議論でございますので、是非さまざまな角度から御助言いただければありがたいと思います。
○ 藤井議長代理 もう10分オーバーしていますので、手が挙がっていますが打ち切ります。
次の第2コーナーの序盤は、厚労省の後半の方の医療を中心に議論をしてまいります。
これから3時まで14分ですけれども、休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 時間がまいりました。3時を回りましたので再開いたしますが、よろしいですか。
お断りしておきますけれども、少し時間が食い込んで、先ほど東室長の予定でいいますと後半の方でもう15分とありました。一番最後は障害の表記のことなんですが、時間の案分を考えて、できればこのまま残り2時間をと思っているんですが、もし門川さんたちの御了解、あるいは久松さん、新谷さんの御了解、ほかの方たちの御了解が得られれば、ノンストップでと思っているんですが、いかがでしょうか。渋々やむを得ないというニュアンスとして受け取ります。
○ 久松委員 久松です。私は大丈夫です。
○ 藤井議長代理 新谷さん、どうぞ。
○ 新谷委員 大丈夫です。
○ 藤井議長代理 門川さん、申し訳ありませんが、いいですか。
○ 門川委員 結構です。
○ 藤井議長代理 それでは、第2コーナーは最後の障害の表記を入れまして、4つ続きます。
まず厚労省の後半の医療であります。同じく厚労省の政務官から10分間お話を伺って、これは10分間が終わった後に20分間、3時30分をめどにこの部分は終わりになります。合わせて30分です。10分間の意見表面と20分間の質疑、あるいは意見を出すということにします。
改めて足立信也厚労大臣政務官より御発表をお願いいたします。
○ 足立厚生労働大臣政務官 私から説明させていただきます。
その前に急遽ではありますが、参考資料として7ページからなるものをお配りいたしました。これが基本の部分といいますか、現状の認識ということで出させていただきましたけれども、その都度、必要に応じてごらんいただきたいと思います。
まずヒアリング項目の精神医療と福祉に関わる法体系ということで、これは医療法体系と福祉法体系に分けられると思いますが、結論としては、その質問の趣旨は、精神保健福祉法という特別な医療法体系を見直すべきではないかということだろうと思います。この点につきましては、次の項目、更にその次の項目と重なっていくわけでございますけれども、ざっと申し上げる形になると思います。
先ほど申しました参考資料の中でも、ほかの3障害と違う考え方と申しますか、歴史と申しますか、身体障害者福祉法、18歳を境として、児童福祉法から身体障害者福祉法、知的障害者福祉法というものがあるわけですが、精神に関しては精神保健及び精神障害者福祉に関する法律ということで、その中でも18歳未満の方を障害児という形で分けておる。精神保健福祉法の歴史といたしましては、もともとスタートが昭和25年の精神衛生法からスタートして、この部分で特に医療と福祉を分けて考えますと、医療の方からスタートしてきた。措置入院制度の創設等から始まり精神保健法と変わり、今の精神保健及び精神障害者福祉法に関する法律に変わってきて、昭和62年の精神保健法のときに福祉の部分が加わってきた。そういう体系になっております。関係上、医療分野あるいは保健分野のところがそこに入ってきている。
その中で特別な法体系が必要なのかということについてでございますけれども、このことは言わずもがなではございますが、精神障害者の方の福祉の増進を図ることを目的としている法律であります。入院措置の手続に際しては、指定医による診察や入院措置等についての本人の書面告知が義務づけられております。つまり、人権への配慮は十分にされていると考えます。措置という形のものが必要かということにつきましては、必要性があると考えております。
時間の関係上2番目にいきますけれども、これからは精神障害者に対する強制入院についてどう考えるかということでございます。強制入院というものにつきましては、措置入院と医療保護入院、医療観察法に基づく入院というものがございます。
措置入院は自傷他害のおそれがある患者に対する医療の提供や保護を通して、その利益保護を図るという観点に立脚しております。勿論任意入院が原則でありますので、限定的に運用されるということになっておりますし、手続も厳格に定めておって、むしろ人権に配慮している形になっております。
医療保護入院につきましては、入院の必要性について本人が適切な判断ができない場合に適用されるもので、あくまでも本人の医療及び保護を図ることが目的で、保護者の同意があるときになりますので、医療保護入院についても自由の剥奪ではないと考えております。
3番目の医療観察法に基づく入院でございますけれども、精神障害を持った方のうち心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者ということに限定されておりまして、入院決定に当たっては、裁判所と精神保健判定医の合議による審判を経ることになっております。ですから、本人の利益保護を目的としておりますので、自由の剥奪には当たらないと考えております。
ちなみに、入院措置をとっている外国はフランスやオランダなどが挙げられます。
そのような中で、医療観察法につきましては、私たち民主党はこの法案の審議の際に反対したわけでございますけれども、それは精神保健福祉法の中で人権に配慮して、そして本人の意思を最大限尊重する中で、これが存続しておれば医療観察法をとりわけそれで定める必要性が薄いのではないかという審議過程であったと記憶しておりますが、十分に人権に配慮した形でございますので、ここで精神障害者福祉法そのものの考え方、人権に配慮した部分を除外すること、医療観察法を更に必要がないものと判断することについては矛盾が生じてくるのではないかと考えられます。
次に精神障害者に対する強制入院のことでございます。質問といたしましては、特別な強制的医療制度を設けることを見直すべきかということについてどう考えるか。現状、一般医療においては当然本人の意思の確認がある場合でございますけれども、しかし、意識障害があるなど本人の意思の確認が困難な場合には、治療の必要性に応じて第三者が推定し、手続をとることになっております。ということが一般的な医療において行われているわけでございまして、措置入院や医療保護入院については、人権への配慮からむしろ厳格に手続を定めているということでございます。
続きまして、医療サービスにおける差別的取扱いの項目に移ります。例えばこの中で質問されているところは、人員配置基準がほかの病棟と比べて低過ぎる、あるいは一般病院への入院に規制が加わっているという御指摘でございます。精神疾患の多くがやはり慢性疾患であって、症状の急変が少ないと考えられるため、精神病床では一般病床に比べて緩やかな人員配置基準としております。しかし、精神科救急のような手厚い配置が必要な医療が増えていることも事実でございます。更に最近は身体合併症を伴う精神障害の方々が多く見受けられる状態でございますので、そのような方々に対しては臨時応急のため入院させるということがもともと可能でございますし、今回の診療報酬改定でも手厚い看護配置の精神病棟を高く評価するという新たな類型を設けさせていただきました。内容が非常に豊富ですので、それにつきましては、先ほど申しました資料の7ページに詳しく書いてあります。これを全部申し上げる時間はありませんので、それを参考にしていただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 残り1分でございます。
○ 足立厚生労働大臣政務官 わかりました。
社会的入院についてでございます。社会的入院を含めた長期入院患者の減少を図っていくということは勿論重要なことだと思います。22年度予算においても退院支援を行う地域移行支援員の増員、あるいは地域体制整備コーディネーターの活動の強化の措置を行いました。診療報酬改定でも地域生活を支援するための評価を高くいたしました。
次は医療行為一般についてです。社会参加を極度に制限されている現状と対策についてどう考えるか。これは3月のチーム医療の推進に関する検討会報告書において、介護職による一定の医行為の具体的な方策について別途早急に検討すべきとされました。今、検討しているところでございます。
重度障害児の在宅移行について申します。保護者の移行や障害のある児童の最善の利益を考慮しなければなりません。一方、できる限り家族で一緒に暮らしていきたいという希望に応えることも重要です。しかしながら、現実はなかなか家族と接する機会、接点というものが失われている状況にあることも承知しております。この点につきましては、私どもは国民全体が議論が必要な事柄ではなかろうかと考えております。
時間ですが、続けてよろしいでしょうか。
○ 藤井議長代理 どうぞ。お願いします。
○ 足立厚生労働大臣政務官 受診拒否のところでございます。発達障害等障害のある方が受診する際に治療行為が困難な場合も少なくない。これは私も現場の人間でしたから、そのとおりだと思います。平成20年度の研究事業で発達障害のある人の診療ハンドブックが作成されました。国立障害者リハビリテーションセンターのホームページに掲載して、自治体への周知も行っているところでございます。
自立支援医療の医療費についてでございます。ここでも項目が3つに分かれておりますけれども、現在、私どもとして取り組んでいるところは、治療研究事業の対象となっている疾患あるいは特定疾患、治療費助成事業とさまざまございますが、その枠組みを更に検討して、新たな難治性疾患対策の在り方検討チームというものを省内に立ち上げまして、検討を行う過程の中でさまざまな医療費助成制度がありますけれども、全体の大枠を見直すということを進めているところでございます。医療費助成制度は今たくさんございますけれども、それを一本化、統合していくということを直ちに行うことは極めて難しい問題だととらえています。小児慢性特定疾患に関するキャリーオーバーの問題も含めて、先ほど申しました在り方検討チームを設置して、省内横断的に検討しているところでございます。
続きまして、更生医療、育成医療、精神通院医療でございます。先ほど冒頭に申しました過去の経緯というものがまたございます。そして、障害者自立支援法の過程の中で、この部分がそのまま残ってきたという形になっておりますけれども、このように更生医療、育成医療あるいは精神通院医療という形で分けた検討というものが、そのままでいいのかどうか。これはまさに推進会議で議論していただきたいという項目であろうと思っております。
最後になります。障がい者制度改革推進会議との連携ということでございます。これは精神疾患に関してでございますが、この4月に当事者や家族の多くの方が参加されて、岡崎氏を座長とするこころの健康政策構想会議というものが発足されました。今月中にとりまとめが報告されるということをお聞きしております。それを受ける形で、その提言を基に厚生労働省の中に外部の有識者を入れた検討チームをつくりまして、その提言に基づいて施策を講じていくよう検討を進める。そのような予定になっております。勿論、今後障がい者制度改革推進会議との連携も必要であろうと認識しております。
多少時間をオーバーして大変申し訳ありません。簡単ではありますが、以上でございます。
○ 藤井議長代理 大変深刻であり、また膨大な内容を短時間で御発表いただきました。
時間がありませんので、引き続き今度は委員から質問、意見をいただきますが、既に4人の方から挙がってきております。関口委員、委員、大谷委員、堂本委員、中西委員からきています。まずここを優先してからと思っておりますので、残り20分弱でありますので、端的に質問、意見を言っていただければと思います。
関口さんからいいですか。
○ 関口委員 精神障害者の精神衛生法から始まった精神関係の法律というのは、すべて強制入院の担保法だと思っています。強制入院ということが規定されている一方で、それを福祉というふうに言い換えるのは矛盾があると思っていまして、したがって、総合福祉法と医療法に分離するべきではないかと思っているわけです。
1つお伺いしたいんですけれども、今、入院医療費は1兆4,000億円ですが、医療観察法の1人当たりの入院医療費は多分2,200万ぐらいですね。間違っていたら教えてほしいんですけれども、一般病床に入院している方が大体300~400万でものすごい差があるわけです。
今、イタリアではイタリア全土で閉鎖病棟がない、拘束がない、電気ショックもなければホームレスもない、そういう状態でいわゆる司法精神病院もあるわけですけれども、トリエステの方では年間0~1人です。ところが、日本では年間300件から400件申し立てられている。こういう現実を見たときに、日本の精神医療を本当に変えなくていいのかということを思うわけです。そのときに予算で聞きますけれども、社会的退院の促進のために幾ら使っていて、精神科救急のために幾ら使っていて、08年度には医療保護入院が史上最高になっているわけです。こんな状況で病院の病床が減っていくわけがないです。つまり、出した分だけ入れているわけです。ここのところをちょっとお聞きしたいです。
○ 藤井議長代理 もし正確にということだと後でということになりますが、今日わかる範囲でお答えいただきます。
委員、お願いします。
○ 精神障害者の家族会のです。
実は推進会議というのは今までの制度を少し改革して、新しい方向性を見出す会議ではないかと私は思っております。しかし、先ほど来からの御回答を聞いておりますと、やはり現状の報告にとどまっている感じがいたしてなりません。
ここで私は精神障害者の家族、当事者の立場といたしまして、精神保健福祉法の改正を提案いたします。といいますのは、先ほど御説明がありましたように、これは医療法から始まっておりまして、そこに福祉法がくっ付いたという感じで、十分なサービスが行き渡っていないのが現状であります。この中で改正の1つの目標として掲げたいのは、保護者制度を撤廃してほしいということです。人権を配慮した法であるという説明でありますが、保護者というのはほとんど家族が背負っておりまして、家族が毎日生きる権利を失われるぐらいの大変な中で当事者を支えているのが現状であります。これが人権を配慮された法であるのかと疑問に思っております。
これは関口さんと重なりますが、やはり医療法と福祉法は別にされるべきだと思っておりまして、医療法は一般医療に組み入れられるべきだと思います。それに関しましては、差別的な医療ということでヒアリング項目にありましたけれども、精神疾患の入院患者は慢性化しているから職員配置も少なくていいという回答であると私は認識いたしました。とんでもありません。これは全くの誤りであると思っております。精神疾患の多くの入院患者に対しましては、丁寧なコミュニケーションが必要であり、今、退院促進しようという中にあるのですから、入院時から退院後の生活を考えた入院生活を送ることなど、病状を重症化させずに入院生活を支援するための十分な人員配置が必要でありまして、精神医療の充実というのはベッドを減らして、病棟内の職員配置、特に多職種によるチーム編成をつくっていただき、退院後のサポートも含めたことが入院医療に必要ではないかと思っております。
入院のことで、先ほどの虐待にも関係するんですけれども、実は施設での虐待というのが外に出ておりません。関口さんが言われたように、拘束とか保護室などは虐待と言うべきものでありまして、現状では24時間、私の知っている方は5年間も拘束されているという非常に驚くべき事態があります。今回の虐待防止法の中には、今までの経緯からしますと、精神障害が対象になっていないと認識しておりますけれども、精神障害者も虐待法の対象にされるべきであるかと思っておりますので、この辺の御回答をいただきたいと思っております。
以上です。
○ 藤井議長代理 委員の質問としては、最後の件でいいんですか。虐待防止法に精神障害も入れるべしということですね。
○ それと福祉法を別々にするということです。
○ 藤井議長代理 医療法、福祉法を別々にするということですね。
○ そうです。
○ 藤井議長代理 大谷委員、どうぞ。
○ 大谷委員 医療支援が医療だということで、前の質問でお答えいただけなかったのでお答えいただけたらと思います。医療支援の在り方についてどのように考えるかということに関して明確なお答えがなかったのですけれども、とりあえずインクルーシブな方向でと我々は認識しています。地域での医療、精神障害者も含めて在宅、地域での医療を基本とするべしというのが権利条約の趣旨だと思っております。精神障害の医療においても、その在り方においては、地域医療、在宅医療を目指すということの基本姿勢を持っているのかどうかということは、医療支援との絡みでも確認しておきたいと思います。
もう一つ、全体を通じて人権への配慮をしているから違法ではないという回答ですけれども、医療もしくは保護を目的としているので人権への配慮があるんだということを全体としてお答えになっているようです。しかしたとえ医療であろうと、たとえ保護を目的しているものであっても、基本的には拘束的、強制的な医療がなされてはならないという趣旨で聞いているので、ここの辺も人権の配慮をしているから大丈夫だということもかみ合わないと感じています。やむを得ない強制的な入院措置をとることを必要なものと考えていると言われていますけれども、現実の問題として、医療とか保護の観点で拘束されるという実態が存在していることに関してどのように考えているのか。それは開放医療、在宅医療、地域医療を目指す立場として、どのように認識されているのかということも是非確認させていただきたいと思います。
それとの絡みで細かい論点で恐縮なんですけれども、やはり在宅医療を目指すということであるならば、障害のある子には、医療的ケアを要する子どもがいます。その子の在宅医療が保障されるということは、就学においても医療的ケアをもったまま就学が保障されるべきだと考えております。そのときに学校に看護師が配置されていなくても、やはりヘルパー等で就学が保障されていくべきだと考えております。その点は拡大する方向性で検討されているのかどうかということも併せて聞きたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 堂本委員、お願いします。
○ 堂本委員 医師で政治家の政務官に特に伺いたい。と申しますのは、アメリカで精神病院の開放をやったのはケネディーです。大統領です。私も現場を見に参りましたけれども、ニューヨークの州立病院は今ゴーストタウンみたいになっています。そこのドクターやナースは地域に出て、実際に活動している現場を見ました。
イタリアで精神病院を完全になくそうという決断をされたのも、時の総理だと伺っております。
今回この会議は初めて障害の問題について総理大臣の下につくられたのが、この会議でございます。そうしたときに、足立政務官にも政権交代というこのチャンスに是非とも精神の領域において、アメリカでもイタリアでもほかの国でも行われたような抜本的な改革をしていただきたい。そういったおつもりがあるか、ないか、まず伺いたいと思います。
なぜならば、グラフを見れば明確ですが、先進国のすべての国で入院は減っています。それに逆行して、Xの字を書くようにして、なぜ日本だけが入院数が増えているのか。日本人だけが心の病や心の疲れを多く持っているのか。そんなことはないと思います。そうだとすれば、何か制度がおかしいのではないか。大所高所からどのようなお考えかを是非伺いたい。
今、制度の丁寧な御説明をいただいたわけでございますけれども、まず幾つかに分けて質問をしたいと思います。
1つはこころの健康政策構想会議、厚労省の中につくられる有識者の会議とで政策を決めていきたいということを最後に御発言くださいました。今日、厚労省から出されました大変分厚い資料のお答えを見ておりますと、今の何人かの構成員の方から御発言があったように、例えば精神保健福祉法はなくして医療法に統合しようとか大変大胆な御意見が多く出ていて、そして、ここの構成員の過半数がそれに賛成ということで会議が進んでおります。そういたしますと、こころの健康政策構想会議と厚労省内にできる有識者の会議と総理大臣の下にあるこちらの会議との整合性はどういうことになっていくのか。そのところは是非とも政務官に調整をしていただく必要があると思いますけれども、是非そこのところを端的に伺いたい。
2番目です。社会的入院については減らした方がいいと政務官が御発言くださいました。しかし、先ほどの1兆4,000億という膨大な入院費がございます。イタリアの場合は入院費に使っていたものと同額を地域移行に使いました。そのような予算が組まれているのか、あるいはそういった制度ができているのか。それは情けないけれども、微々たるものです。
私が千葉県の知事をしておりまして、精神の方を地域移行しようとしました。しかし、厚労省の中には住宅に対しての補助すらも精神の場合はございません。知的障害の方たちが地域移行するための制度と予算はある。精神についてはないか、使い方が不明。そういったことで、先ほど政務官が言われましたように、地域への移行、自分が住みたいところでということで、どんなにそこを実現したくても、行政としてもあるいは本人として、家族としても、それができないようなからくりになっています。このことを是非とも改善すべきではないかと思います。
○ 藤井議長代理 堂本さん、時間が余りないので端的にしてください。
○ 堂本委員 最後にもう一つだけ申します。今、政務官が強調されたのは、人権は保障されているとおっしゃいました。しかし、先ほどさんも言われましたけれども、人権の視点だけではなくて、入院による重症化といったことが外国の例を見ましても非常に多くあります。強制入院をして実際保護室の中に入って、そこで本当に人間らしく回復するのかどうかということなんです。そして、単に人権の視点があればいいというものでは決してない。一人ひとりの方たちにとっては、回復して、人間として生きることが担保されることが一番大事なんだと思います。人権の視点だけではなくて、医療、福祉の総合的な視点からどのようにお考えかということを伺いたい。
よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 つい1か月半ほど前に、クラーク勧告のクラーク先生が亡くなられました。あれが42年前です。あの内容は、今、見ても斬新に感じるのは一体どうしてなのか。
実は今日この会があったものですから、私はずっと調べました。やはりこの25年間20本ほど審議会の報告書、答申、検討委員会の報告書が出ています。20回出ても何ら状況は変わっていない。その延長線上には答えがないということは明白だと思います。このことを足立政務官は感じていらっしゃるかということも含めて、一括してお答えいただけますか。
中西さんも手が挙がっていましたね。中西委員、済みませんでした。
○ 中西委員 中西由起子です。
最後に地域移行のお話が出ていますので、医療を必要な人の地域移行ということで質問させていただきます。ちょうど11ページ辺りになるのですが、地域移行は先ほど第1部でお話が出てきたように、基本方針として進めていると理解していますが、その際にも地域での自立支援サービスの不備が問題となっています。医療が必要な人の地域移行では、現在医療と自立支援のサービスが厳格に分けられていて、例えば医療の分野である痰の吸引など、今まで地域生活で非常に必要な行為でありながら、家族に限られていて、痰の吸引に関してはだんだんと介助者の手に委ねられるようになってきましたが、厳しい線引きが存在しています。
私個人の例でいいますと、呼吸器を使っていますが、実際に自分でどうやってそれを管理するか、またチューブ1つにしても変えることが許されないという現状に対して、明確な医療と地域でのサービスの間のディマケというものが本当に必要なものなのか疑問に思っています。もう少し緩和しなければ地域での医療が必要な人の自立というのは達成できないと思うのですが、どういうふうにお考えか聞かせていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 たくさんありましたので、十分な時間はありませんけれども、端的にお答えいただけますでしょうか。
○ 厚労省精神・障害保健課長(福田課長) 精神・障害保健課長ですけれども、予算関係とか事務的なことをまず簡単に御説明いたします。
先ほど関口委員からお話がありました入院医療費は約1兆4,000億で、入院外の医療費が大体年間5,000億という割り振りになってございます。そういう中で御質問のございました救急医療に関する予算額は、いわゆる診療報酬とは別に地域で精神科の救急医療体制を取るために補助しているものという形になりますけれども、これが年間約23億円という形でございます。これに伴って具体的な医療行為の部分は、先ほど申し上げましたように、入院外であれば入院外の医療費、入院した場合には入院の医療費ということで診療報酬から支払われるという形になります。
いろいろ御指摘がございましたが、地域移行に関する予算につきましては、ここ数年大体年間17億円ぐらいで推移をいたしてございます。全体のコーディネーションと個別に地域移行を進めるための経費というものを見ている形になります。
委員から御指摘がございました保護者制度の話、精神保健福祉法の位置づけの話でございますけれども、冒頭、足立政務官からもお話がありましたように、やはり現時点では精神障害者の方に対する人権的な配慮で特別な規定が必要だと事務的には考えておりまして、そういう中で精神保健福祉法というものを充実、強化してきたという流れになってございます。
一方、保護者制度につきましては、問題点をいっぱい指摘されております。少し前に厚生労働省で行いました検討会におきましても、将来に向かっては問題点を含めて検討すべしという形になっておりますので、今後こちらの方での御議論や今までの検討会での議論も含めまして、これからの具体的な検討課題の1つと考えております。
虐待につきましては、今、与野党の先生方の方で高齢者の虐待防止法の見直しに当たっての議論が進められておりますので、そこの検討の推移を注視していくという形になろうかと思いますが、それに当たっては医療関係者の御意見も含めて聞きながら、厚生労働として与野党の先生方の検討の推移を注視していきたいと考えております。
大谷委員からお話がございました医療支援の在り方、方向性ですが、これは厚生労働省としても地域精神保健医療を充実させるという形で、そこは何とかしたいと考えております。先ほどお話がありましたが、こころの健康政策構想会議でもそういった点を重点的に御議論いただいていると私どもは聞いてございまして、地域に帰ったときに、精神障害の場合は福祉的サービスと医療的サービスがそれぞれ地域に届く必要があるわけですが、そういった中で精神保健医療としてどういったことをきちっと地域に届けていく必要があるのかということを御議論いただいていると思っております。厚生労働省の議論としても、そこを参考にしながら御議論させていただければと考えております。
事務的な方は以上でございます。
○ 藤井議長代理 それでは、足立政務官からお願いします。
○ 足立厚生労働大臣政務官 日本は今3障害合わせて700万人ぐらいだと思いますが、人口から見ると6%です。欧米は障害を持たれた方というのは平均14~15%だと思います。これはいろいろ規制が強く、あるいは強制的な側面が強いから、それだけ少ない数にとどまっているのか、あるいは国民の皆さんの考え方が障害を持つということに対して非常にネガティブな印象を持たれているから、これだけ少なくなっているのか。そのどちらかだと思いますが、私個人は現場の感覚からいくと後者の方がむしろ強いような気がします。国民の皆さんがそのように受け入れられる、まさにノーマライゼーションであって、そういうことになっていかなければこのパーセンテージの問題、障害者を特別視する気持ち等が変わっていかないのではないかというのが私の根本的な考え方です。
そんな中で民主党政権になったわけですが、これは堂本委員の質問に対する答えになると思いますけれども、私どもは会議体の在り方そのものを変えようと思っているんです。当然第1の道、第2の道というものがありました。それを反省すると、やはり国民全体で議論して決めたことなんだ、そのことを行政として実行していくんだ、そしてチェックしていくんだ、また国民の皆さんがチェックして変えていくんだ。そういうコミュニティーソリューションといいますか、テーマごとに皆さんが参加して決めていく、そういう会議体が必要であろうと思っているんです。今回の在り方につきましては、先ほど国民会議的な大きな議論で提言される。そのことを行政にどう生かしていったらいいのかという2段構えで考えているんです。そのことと総理が主催されるこの会議との整合性をどう考えるか。そこで決断をしてほしいという話だったわけです。そのことは、会議体の中で私たちがこういうふうに決めていきたいという国民議論がそのようになっていったら、それに合わせていくのが行政の在り方だと私は思っておりますので、そこで意見が分かれた場合にどうなるかということだろうと思います。そのときは、そのことをテーマにやはり皆さんで議論すべきだろうと思います。それに忠実に従っていこうという考えです。
先ほど予算の話が出ましたが、医療と福祉を分けるべきだという意見もあり、あるいは精神のところで特別な医療法は制定すべきではないという意見もありましたが、ここはよく誤解されるんですけれども、医療というものはこの国の国民皆保険の中では診療報酬でいかに見ていくかということが基本だろうと思います。それに足りない部分、あるいはこの部分をもっと補わなければいけないという部分が予算でやられる部分だろうと思います。それを皆さんが分けて考えるべきだということをおっしゃるならば、先ほど人員配置の件がありましたけれども、10対1というものの要件を緩和したこともありますし、新たに13対1というものも設けて、厚い人員配置を評価するということです。
それから、急性期については、御案内のように30日以内のものはかなりの部分で評価を上げていきましたし、身体合併症を持たれている方も評価を上げていく。そして、児童や思春期の加算についてもしっかりしていく。外来については在宅あるいは通院医療ができるだけ可能になるように、外来で通院していても30分以上診察行為をされている方は評価をぐっと引き上げる、あるいは認知行動療法を新たに新設するということ等、私も友人が思春期の精神科疾患の病院をやられていて、退院を促進するんですけれども、やはり家に帰られた後に悪くなって戻って来られる。退院した後の臨床心理士や精神保健福祉士等の活用、まさにチーム医療だと思います。その部分を推進していかないと、外来あるいは在宅でできるものではないという認識を持っております。
大きくいえば、以上の話で大体の質問の答えになっていると思います。
○ 藤井議長代理 政務官1つ大事なことは、虐待防止法に精神障害分野を入れるべしという随分多くの意見が出ています。委員からも伺いました。この辺の見解はいかがでしようか。
○ 足立厚生労働大臣政務官 まず現状から話をいたします。
○ 厚労省精神・障害保健課長(福田課長) 先ほど早口で申し上げて申し訳ございませんでした。現在、与野党の先生方が高齢者の虐待防止法の見直しに当たって、医療機関を対象とするかどうかということについて検討されていると私どもは承知しております。
私どもとしては、医療関係者の御意見もよく聞く、さらなる関係者の御意見も聞きながら、いずれにしても、今、与野党の先生方に御議論いただいている検討の推移を見ていきたいという状況にあるということでございます。
○ 藤井議長代理 時間がきました。
○ 大谷委員 医療的ケアについてお答えいただいていません。
○ 藤井議長代理 大谷委員の御発言に対するお答えがまだ出ていませんでした。中西委員からもありました。
○ 厚労省障害福祉課長(中島課長) 厚労省の障害福祉課長の中島でございます。大谷先生と中西先生から、いわゆる医療関係者以外の方々、介護職などの方に対して在宅での生活を推進するためには、痰の吸引等の医療的ケアが実施できるようなことを考えられないのかという御質問がございました。
今日の意見書の11ページのところに書かせていただいております。一番下の○のところでございますが、この3月に私どもの省でまとめました検討会の報告書では、介護職による一定の医療行為について実施できるような方向で早急に検討すべきだということでございまして、現在、省内でも検討を開始しようと思っておるところでございます。
なお、検討に当たりましては、大谷先生からお話もございましたけれども、改めて文部科学省さんにもこういうニーズその他があるのかどうかということもお聞きした上で、可能であれば一緒に検討していきたいと思っておるところでございます。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 いろいろありますが、次の関係の政務官も来ていらっしゃいますし、これ以上は時間を取れません。やや中途半端ですが、厚労省の医療関係の意見交換を終わりにしたいと思います。
○ 関口委員 診療報酬について言いたいんですけれども、いいですか。
○ 藤井議長代理 時間がないので我慢してください。
○ 関口委員 診療報酬がよくなったというのはうそです。診療報酬は入院している人がほかの科を受けたときに7割減ったりとか、3割減ったりするんです。1日1回行くだけでね。例えばお母さんが薬を取りに行ってもほかの科を受けたことになりますから、病院にとっては7割減収なんです。そんなことをやったら、はっきり言って、ほかの科は受けるなということになります。当然ではないですか。
精神障害者というのは今までずっと足をふんづけられてきた人と同じなんです。今度の精神科の診療報酬の改定でほかの科を受けられないような形にしておいて、つまり足をまた蹴飛ばして、それでちゃんとやっています。冗談ではないです。そんなのはおかしいではないですか。
○ 藤井議長代理 おかしいものはいっぱいありましたので、それも含めてまた再度深めていくことにしましょう。
政務官、どうもありがとうございました。
続けます。次は総務省の情報バリアフリー関係であります。これはトータルで20分です。10分間程度御説明いただきまして、委員から10分間程度、恐らくは2名ぐらいになると思います。そのことを計算に入れて進行に協力してください。発言は多少短縮していただきたいと思っていますので、進行に協力してください。御発言をよろしくお願いいたします。
ちょっとお待ちください。手はずがうまくいかなくて、今、交代されます。
失礼しました。それでは、これから20分間程度行います。前半の10分弱は説明をいただきます。このテーマは、総務省が担当している情報バリアフリーに関してです。後半の10分間は質問になります。総務省よろしくお願いします。
○ 総務省情報システム管理室長(橋本室長) 総務省行政管理局行政情報システム企画課情報システム管理室長をしております、橋本と申します。よろしくお願いいたします。
総務省から行政情報につきまして御説明したいと思います。
政府は国民サービス、行政の透明性の向上、行政の効率化、合理化を図るため、情報通信技術を活用した行政の情報化、いわゆる電子政府の構築に取り組んでおります。その一環としまして、インターネットを活用いたしまして行政機関の諸活動に関する透明性を高めたり、開かれた行政を実現するため行政情報を積極的にインターネットを使って提供するという取組みを進めております。
具体的には行政機関に蓄積されております行政情報を各省庁のホームページや私ども行政管理局が整備運用しております電子政府の総合窓口、e-GOVといったものにより行政情報を電子的に提供しているところでございます。行政情報の電子的提供の推進に当たりましては、内容が統一的に充実し、わかりやすい情報提供が行われるように国として統一指針をつくっております。具体的には行政情報の電子的提供に関する基本的な指針というものでございます。
この指針に基づきまして、アクセシビリティーの確保の観点から、障害者の方々にも利用しやすいものとするために、ウェブコンテンツ、掲載情報につきまして、日本工業規格、JISを踏まえました情報の提供のための修正及びコンテンツの作成を行っているところでございます。
今後とも行政情報の電子的提供など、電子政府の推進に当たりましては、障害者のアクセシビリティーを確保することが重要と考えております。法制度化された際には、制度に沿ってアクセシビリティーの確保の取組みに的確に対応していきたいと考えている次第でございます。
以上でございます。
○ 総務省情報通信利用促進課長(平林課長) 続きまして、同じヒアリング項目の情報通信関連につきまして、御回答いたします。
○ 藤井議長代理 お名前をお願いします。
○ 総務省情報通信利用促進課長(平林課長) 総務省の情報通信利用促進課の平林と申します。失礼いたしました。
それでは、情報通信関連につきまして、更につけ加えさせていただきます。
障害者を含めただれもがICTを利用できる環境の整備のために、アクセシビリティーを確保することは重要であると考えているところでございます。総務省におきましても、障害者基本法であるとか、障害者基本計画あるいは身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律、あるいは放送法に基づく諸施策が推進されているところでございます。
ヒアリング項目のところで、法制度の新設といったお尋ねでございます。法制度の内容にもよるかと思っておりますが、民主党が野党時代に国会に提出した障害者制度改革推進法の第11条2項と同内容の法制度を新設するということにつきましてお答えしますと、情報格差の是正に向けた取組みの機運を高めるという点において有意義であると考えてございます。ただ、この法律の条文は非常に抽象的でございますし、また法案の中には国としても更に必要な施策を講ずるという規定もございます。そのように当該制度に基づいて、必要な施策を更に具体化していくことが必要だと考えているところでございます。
続きまして、ヒアリング項目がもう一つございます。放送事業者が提供する災害情報の格差是正についてのお尋ねでございます。緊急災害時におきまして、障害者に対して被害情報あるいは避難情報といった災害情報が迅速かつ的確に伝達されることは極めて重要だと考えております。放送は生活における重要な情報源でございまして、放送事業者はその公共性にかんがみて、障害者が健常者と同様に災害情報を入手することができるための措置を講ずるといったことが求められているところでございまして、総務省といたしましても、放送事業者の取組みを促すための働きかけ等を行っていく考えでございます。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 情報バリアフリーに関しましては、4人の方からあらかじめ質問がございまして、共通している点では災害時の情報保障がございます。次の副大臣もお見えになっていますので時間厳守でまいります。短い時間なんですが、代表して門川さんと土本さんと久松さんに発言をお願いします。
門川さんから発言をお願いします。
○ 門川委員 門川です。
総務省の方にお伺いしたいのですが、「視聴覚障害者向け放送普及推進事業に関する指針」の中の視聴覚障害者というのをどのようにお考えになっているのかということをお尋ねしたいと思っています。と言いますのは、一般的に視聴覚障害者と考えると、単一の視覚障害者、または聴覚障害者のことを言われているかと思いますが、その他にも私のような盲ろう者もいます。盲ろうは見ることと聞くことの両方ができないのです。放送関係については、このような盲ろう者が一番取り残されているというのが現状です。
テレビが見たくても見ることができない。来年から始まる地上デジタル放送にしてもそうです。これまで地上デジタル放送に関して審議会が行われてきていますけれども、この審議会の中には盲ろう当事者が入っていませんでしたから、盲ろう者にとってのアクセスしやすいテレビ放送利用について、意見を述べる機会もありませんでした。総務省としては、視聴覚障害者に盲ろう者も含めているのかどうかということ。5年後には見直しされるとのことですが、5年も待っていられないので、可能であれば盲ろう者にもアクセスしやすい放送事業を展開していくようにお願いしたいと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 後でお答えいただきましょう。
それでは、土本さん、いいですか。
○ 土本委員 土本です。
いっぱいあり過ぎて、どんなことかわからないところもあるし、本当に適切で必要な情報がほしいということです。わかりやすく伝えるということでは、テレビ、ラジオもそうですけれども、ゆっくりと伝えていくべきだと思います。
携帯を持っている当事者はメールを見て判断できると思うし、実際問題、今、話を聞いていたら、ホームページやインターネットをつなげるために支援をしてくださればできるけれども、支援がない人たちはそういうものは見られない。ホームページとかインターネット見られない。そういう情報がもらえない。そういうことになると、そこでストップしてしまうのが現状だと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 そうすると、土本さんのイメージは、そういう支援があるような情報保障、福祉サービスとつながっての支援になってくるんですか。どういう支援があれば、情報保障が得られますか。
○ 土本委員 これはずっと言っていた適切で必要な支援、説明する支援です。随時というところは難しいところもあるんだろうけれども、自分たちが要求するとき、こういう情報がほしいというときに説明してくれる支援があればいいと思っています。
○ 藤井議長代理 情報そのもののわかりやすさと、流れている情報を支援する体制です。恐らく総務省プラス厚労省とか、場合によっては今後は人まで考えるようなことはどうかうという質問かと思います。
久松さん、端的にお願いします。
○ 久松委員 ろうあ連盟の久松です。
私たちろう者にとって情報アクセスは命に関わるテーマですので、20分という時間の設定が、今、私たちが置かれている状況そのものだと考えています。
総務省の皆様、ありがとうございます。いつもお会いしている方々もいらっしゃるので、新しい感じがしないのですが、質問させていただきます。平林さんは御存じかと思いますが、この間、総務省の政務官が今の放送法には字幕放送、解説放送、手話放送という言葉がないので、手話放送という言葉を今後つけたいという話をされていました。けれども、平林さんのところには、前からお願いしているのですが、今のところ考えていませんというお話を繰り返し説明されていたかと思うのです。今後手話放送ということを法律の中に含まれるお考えがあるかどうかをお伺いしたいと思っています。
そして、今、放送法に関しては、字幕放送、解説放送、番組そのものは努力義務になっていますが、今後義務に変えるということを御検討していただけるかどうか。
次に災害時ですが、災害が起きたときの情報についてお伺いしたいのですが、今、平時における字幕や手話は何パーセント達成しましたとか、または解説放送は何パーセント達成しましたという報告はされていますが、災害発生時には情報がきちんとアクセスできない。災害発生したときのニュースに字幕をつけてほしい、手話をつけてほしいということを繰り返し要望しているのですが、そのつど検討しますという説明の繰り返しでした。命に関わる問題ですので、早急につけていただきたい。今回は検討しますではなく、具体的に変えられる方法について政策を考えていただけるのかどうか御質問をしたいと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 新谷さんがどうしてもということで手が挙がっていますので、お願いします。
○ 新谷委員 新谷です。
字幕の話ははしょります。
以前提案しましたけれども、電話リレーサービスについてです。情報通信アクセス協議会で消極的な議論しかされていませんけれども、例えば総務省に御連絡するときに、総務省の公開されている電話帳を見てほしいのですけれども、全部にファックス番号は載っていますか。恐らく。ファックス番号は半分以上載っていないと思います。そういうときに私たちは電話を使って総務省に御連絡するしか方法がないのです。だけれども、私たちはお返事を電話で聞くことはできない。だれかに聞いてもらって、書いてもらう必要があるわけです。そういうために電話リレーサービスというのが欧米では広く普及しているわけです。それで今は携帯電話という便利なツールができ上がっているので、この端末は声も画像も両方使えるわけです。だから、技術的には確かに難点があるのかもわかりませんけれども、日本の技術水準をもってすればすぐにできる。
次の問題は制度的な問題ですけれども、例えばドコモとかソフトバンクなどの情報通信事業者の方がオペレーターを設置する必要がある。アメリカではコミュニケーションアシスタントと言っていますけれども、こういう仲介者を準備しないといけない。そのためにはコストがかかる。それをどう負担していくのかということは制度的な大きな問題になると思います。海外ではそれを一般の通話料金に少し課金する、わずかなパーセンテージを課金するということで、一般の通話全部に広く負担されてテレフォンリレーサービスを普及させているわけです。そういう制度的な仕組み、意味のある試みがあるわけですから、技術的な開発、制度的な活動に取り組んで、私たちの緊急時の情報コミュニケーション手段として、電話リレーサービスというものをまじめに考えてほしい。日本では全く普及していない。こういうものはおかしいという認識から、検討してほしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○ 藤井議長代理 以上の4名の委員からの質問、意見であります。お答えいただけますか。
○ 総務省情報通信利用促進課長(平林課長) どうもありがとうございます。それでは、お答えできるものとできないものもありますけれども、逐次回答させていただきます。
まず門川さんからのお尋ねでございます。今の字幕放送につきましては耳の不自由な方向けに、解説放送につきましては目の不自由な方向けに行っているところでございまして、おっしゃるように盲ろうの方にとってみれば、テレビのアクセスに難があるということがあろうかと思います。その辺につきましては、確かに放送事業者も技術進展を待たざるを得ないと思っております。
ただ、1点御紹介させていただきますと、技術開発のレベルでは、字幕からそれを点字に変えるといったような技術の開発というものも何年間か行われていると承知しておりまして、そういったものを事業化するといったことになっていけば、少しでも皆さん方のアクセスが可能になってくるのではないかと思っているところでございます。それ以上の詳細は把握しておりませんけれども、そういう研究開発なりも行われていると聞いておるところでございます。
もう一つ、支援制度につきましてのお尋ねがございました。もしかしたら、質問の趣旨をちゃんと把握していないかもしれませんけれども、総務省としては個人に対する助成を行っているわけではございませんが、私ども放送や通信につきまして、障害者の方にとって利便の増進に資するといったものについての補助という制度がございます。そういった助成制度なりを活用していただいて、障害者の方にとってプラスになるような、利便を増進するような事業を展開していただくことは可能だと思っております。これは一般論でございますので、具体的にどういう支援が可能かというのはまた議論する必要があろうかと思っております。
放送法の関連でのお尋ねがあったかと思っております。現在の放送法の字幕放送、解説放送につきまして、御指摘のとおり、放送事業者に対しまして努力義務というものが課せられているところでございます。それを義務化するといった場合には、どうしても字幕費用に係るコストの問題であるとか、字幕のオペレーターの確保といった体制整備が必要になってくるのではないかと思っておりますし、また放送事業者にとりましては、放送法に基づきまして放送番組編集の自由といったことも保障されているところでございますので、放送番組への字幕付与等の義務化につきましては、慎重な検討が必要なのではないかと思っております。
また手話放送につきましては、御指摘のように現状は手話放送が普及していない。NHKの教育でも2%ちょっと、民放でも0.1%という現状にございますので、まずそういった点の普及を図っていくということが大事だと考えているところでございます。
災害発生時の字幕放送等は確かに御要望を何度もいただいて、非常に恐縮に思っているところでございます。放送事業者に対しましては、災害放送の充実あるいは字幕放送の充実といった点につきまして、引き続き働きかけていきたいと思っております。放送事業者にとりましては、災害情報には目で見てもわかるように、各種のテロップであるとか、L字スーパーといったような形で情報提供をしていると聞いているところでございますが、急遽字幕対応といった場合にはどうしてもオペレーターなりをあらかじめ相当数用意しておかなければならないといったような、体制整備の課題があると聞いておるところでございまして、その点も御理解いただければと思います。
最後にリレーサービスにつきましてお尋ねがございました。リレーサービスにつきましてはメールとかいろいろ普及しておりますけれども、おっしゃるように緊急時には音声電話いったものが有用であると考えているところでございまして、その点から私どもも既存の助成制度がございまして、リレーサービスに対して助成を行っているところでございます。お尋ね部分は、恐らくもっとこれを一般的にして普及させていきたいということかと思います。その点につきましては、今後いろいろ法制度等が新設されるようになったときには、その点について実効性なりも考えて、どういう課題を整理してどうしていくかといったことを考えていく必要があるのではないかと思っております。現状におきましては、私どもとしては、既存の助成制度を是非とも活用していただきたいと思っておりますし、またその助成制度についても今後必要であれば検討していきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 恐らくこれもいろいろあると思うんですが、時間がないので終わります。
この間ずっと同じことを議論しているんですが、これが進まない原因は予算なのか技術問題なのか、あるいは政治の後押しが弱いのか。何が主因かということを最後に一言言ってくれませんか。
○ 総務省情報通信利用促進課長(平林課長) いろいろとあるのではないかと思います。
○ 藤井議長代理 主因です。主な原因です。
○ 総務省情報通信利用促進課長(平林課長) 先ほど申し上げましたように、字幕であれば着実に体制整備というものがされてきているわけでございます。普及もしていますので、そこから先は恐らく体制整備、基本的には財政的な問題だと思っております。
それから、要員の確保という点はどこまで必要かということがありますけれども、体制整備というのは基本的に財政の問題だと思います。
先ほど盲ろう関係者からお話がございましたような盲ろう関係の場合であれば、かなり技術面が大きいかと思いますし、リレーサービスであれば制度面が強いと思っておりますので、それぞれの課題ごとにネックになる部分があろうかと思っております。
以上です。
○ 藤井議長代理 次回会うときはできないという理由を挙げるのではなくて、こうやればできる可能性があるというお答えを是非お持ち合わせください。
以上をもちまして、総務省の情報バリアフリーはおしまいにします。どうもありがとうございました。
入れ替わりますので、少し時間をください。
時間がもったいないので始めたいと思います。このコーナーは40分間程度になりますけれども、辻元清美国交省副大臣をお招きまして、交通バリアフリーを中心に行います。まず意見表明をいただきました後に、質問、意見を述べさせていただきます。
それでは、早速ですけれども、辻元副大臣よろしくお願いいたします。
○ 辻元国土交通副大臣 皆様こんにちは。国土交通省の辻元清美です。今日は関係いたします各局の担当者も一緒に参りましたので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
特に今回のように公開で、そして、当事者の皆さんが入ってのさまざまな御議論がなされるということに敬意を表したいと思います。今までは省庁交渉で私たちは皆さんと一緒に国交省に押しかける立場でした。今度は押しかけられる立場になっていますので、押しかけたときの気持ちと姿勢を忘れずに、一緒に考えて取り組んでいきたいと思っております。
そんな中で高齢化、更には障害者の多くの皆さんの移動の権利をどうしていくかということを中心に、今、国交省では交通基本法の議論も進めております。そして、すべての人が日常生活に活力持って日々を送ることができて、社会活動に参画して自己実現できるユニバーサル社会を目指していく。ところが、まだまだ日本はその実現に向けて始まったばかりといいますか、いろんな点でこれから精力的にやっていかなければいけないという問題意識は共有をしております。
特にその中で私は国交省を担当するようになってから考えることがあるんですが、今までの交通や建築物などの行政は事業者の皆さんにまずお話を聞くことが多かったと思うんですが、利用者の立場に立って、それも交通弱者、弱い立場であったり、移動が困難な人たちの立場に立って、そこを起点にして交通や建築物の構造を考えていく発想の立ち位置を変えていくことが根本的に大事ではないかと思いながら、このところ交通基本法づくりやその他の国土交通行政を少しずつ前に進めていきたいと思っております。
そんな中で、今日お手元に資料をお配りしております。皆様から事前に7点の質問をいただいておりますので、これにお答えするような形でまずこちらからの意見を申し上げ、その後は自由な意見交換にさせていただいた方がいいと思っております。
資料4を見ていただければと思います。事前にいただきました皆様のヒアリング項目の中で、1番目、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律等において、移動や建物を含む諸設備の利用に関する権利について明文化することの是非という御意見、御質問をいただいております。
先ほど申し上げました交通基本法、公共交通ですべての人が移動するための権利を含める明文化のことについては、この半年間ずっとヒアリングを多くの方々からさせていただいてまいりました。その中でやはりすべての人が移動したり、スムーズに生活していける権利を持つという方向でこれから基本法を策定し、ナショナルミニマムというものがどこにあるのかということを検討してまいりたいと思っております。
次に2番目なんですけれども、今、申し上げましたような観点からバリアフリーの整備の問題について、どのように交通基本法との関係性を持たせるのかという御意見、御質問をいただきました。
これに関しましては、交通基本法というのは野党時代に民主党と社民党で何回も提出したんです。けれども、いつも廃案で葬り去られてきておりました。既に法案というものがございまして、今これを更に深めて手直しをしていこうと考えております。そのために多くの皆さんからのヒアリングを続けております。
10分ですから、早口でごめんなさい。交通基本法の第18条に、国は高齢者、障害者等の移動に関し制約を受ける者が日常生活及び社会生活を営むに当たり安全で円滑で快適に移動することができるようにするため、移動制約者の移動に係る身体の負担の軽減に配慮された交通施設の整備及び輸送サービスの提供の促進その他必要な措置を講ずるものとするという条文を入れております。これは基本法です。基本法といったら、男女共同参画社会基本法とか環境基本法など、木で言えば一番大きな幹に枝がいろいろ出てくるわけです。ですから、諸施策についてはバリアフリー法が既にございますので、こちらを更に基本法の考え方に乗っ取って充実させていくという考え方になるかと思います。
先ほどから交通基本法のヒアリングを続けているということを申し上げたんですけれども、その中で特に福祉輸送とかバリアフリーをテーマにした当事者の皆さんや交通事業者の皆さんからも御意見を伺っております。この法律をつくるに当たってホームページでもパブリック・コメントを求めていますので、皆様の御意見をいただきたいと思います。
3番目なんですが、地方におけるバリアフリー整備の遅れを改善するという観点です。これをどのように取り扱うのかという御質問です。
交通のバリアフリーについては、目標を平成22年末までということで設定して進めておりますが、一斉に全国全部に行うということが今までできなかったために、利用者の数の多いところから進めていくという方針になっていました。そうすると、どうしても都市部の方が早く進むということで、地方が遅れてしまうという問題が表面化してきています。地方の駅などに行ったら階段しかなくて、私らが必死で荷物を持って行くときにもしんどいという駅がたくさんあるわけなんですけれども、大都市から進めたものを地方にどのように速やかに広げていくかということの検討を省内で行っております。
皆さん御存じだと思いますけれども、利用者の多いところというのは1日5,000人以上と決めました。そういうところから取りかかろうということになりました。実は1日5,000人以上の利用者がいるところというのは、全体の利用者数の9割を占めるんです。ですから、そこからやっていこうということだったんです。しかし、今、国交省の中の各局で実務者が精査をいたしまして、23年以降、5,000人という基準を引き下げていくということの検討を行っております。
次に4つ目、8ページです。地方におけるバリアフリー整備の遅れを改善する観点から、移動の円滑化の目標の対象についてどう考えるか。合理的配慮が確保されるよう仕組みを構築するためにはどのような方策があるかということです。先ほどから既に御指摘をいただいている、特に地方におけるバリアフリー化の遅れを解消していくことは、今、検討して鋭意やっていきたいという方向で進んでいますけれども、合理的配慮の確保についてはやはり国だけではなくて、さまざまな関係施設、業者、いろんな人たちに周知徹底をしていく。どういうことが合理的配慮で、それがなされていないということはどういう意味を持つのかということを周知徹底していく。そういうことをこれからも更に進めていきたいと思っています。
ちょっとした配慮をさまざまな施設や関係の業界にしていただくことで改善を見る。しかし、それがなされていないということも多々ありますので、事例集などをつくって、それを更に普及していきたいと考えています。多分、皆さんはまだまだ足らないということになるかと思いますので、こういう事例を入れたらどうか、こういうことが合理的配慮して欠けていて、このように改善したら合理的配慮がなされたということになるのでという事例などがありましたら承って、そういうものを国交省としては精査して、更に広めていく。そういうふうに進めていけたらいいと私は思っております。
5番目です。移動等円滑化基本構想について、市町村に作成を義務づけ、かつその作成に当たって障害者を参画させるべきとの考え方はどうかということです。これはお手元に資料をお配りしています。つづりの後ろです。後ろから3枚目、18ページです。
○ 藤井議長代理 20ページです。
○ 辻元国土交通副大臣 20ページですか。
○ 藤井議長代理 ごめんなさい、18ページです。
○ 辻元国土交通副大臣 18ページの基本構想の策定件数という資料をごらんになっていただきたいんですが、折れ線グラフがございます。基本構想の策定件数は確かに右肩上がりで増えていっております。しかし、これで十分だとは思っておりません。これを更にきちんと増やしていくということをしっかり働きかけていきたいと考えています。
ただ、義務づけについて、今すぐにするというのは難しいと思っています。特に地方分権ということで、地域主権戦略会議というところで地方分権の在り方を検討しているんですが、国からの義務づけはできるだけなくして、それぞれの地域に住む皆さんと自治体が一緒になってさまざまな自治体レベルでの取組みを決めていっていただくという流れになっております。しかし、今回の障害者の皆さんの移動等については、そういう流れはありますけれども、かなり強力に進めていくことが必要だと思っております。
○ 藤井議長代理 副大臣、時間が大分過ぎておりますので、少しまとめてお願いいたします。
○ 辻元国土交通副大臣 あと、障害者の皆さんの参画ですが、勿論参画をしていただく方向でまいりたいと思っています。
最後に6番目、7番目をまとめて行います。6番目は乗車拒否、利用拒否の実態調査、7番目は民主党が提出した法案についての義務づけ問題の2つをまとめて皆さんにお答えしたいと思います。
実態調査は行っているんですけれども、皆さんの立場からごらんになれば不十分な点もあると思います。これも含めて、こういう点をこうしたらいいという御提案をどしどしいただきたいと思っております。実態調査をして問題がある場合は速やかに指導したり、差別につながることはかなり厳しく対応してまいりたいと思います。これは法務局においても人権問題としての対応がなされていますので、連携をしてきたいと考えています。
最後は先ほどと同じように、義務づけというのはなかなかコンセンサスが得られないところなので、努力義務になっていますけれども、かなり充実させてまいりたいと思っております。
以上です。どうもありがとうございました。
○ 藤井議長代理 残りは25分間ほどになりますけれども、質問が4人から挙がっています。尾上さん、土本さんからもペーパーがきています。この辺から順番にいきましょう。
尾上さんからお願いします。
○ 尾上委員 どうもありがとうございます。
非常に力強い発言をありがとうございました。私どもDPIはバリアフリー法のときからずっと移動の権利、明記を求めてきた立場ですので、先ほど交通基本法の中に移動権を明記するという御説明があったので、非常に力を得た感じがします。そうだとすれば、交通基本法の移動権ということが明記されることを基本において、やはりバリアフリーのバージョンアップをしていく必要があるのではないかという立場から何点か質問をしたいと思います。
先ほど資料の説明にありました260の市町村で、今、基本構想がつくられている。全体の1,800の中でその1割強程度ということはあるんですが、今回5,000人以上ということがベースだとすれば、5,000人以上の駅を持っておられる自治体、少なくとも2010年度までにバリアフリー化をしていなければいけない自治体のうちのどれぐらいがこの260になるのかということを教えていただけないでしょうか。それが1点です。
もう一つは、特にこの10年間の間、都市部を中心にバリアフリー化が進んだ。これは確かに大きく評価するところなのですが、辻元さんがおっしゃられたとおり、地方の格差が大きくなったということが厳然としてございます。是非ともこの点を改善していただければと思っているんですが、その点から基本構想の義務づけ、地方のバリアフリー化の進展を進めていくような施策が要るのではないか。その点について、もう少しお聞かせいただければというのが2つ目です。
3点目は地域主権改革ということです。私ども別に地域主権改革に反対する立場ではございませんけれども、一方で移動の権利といったナショナルミニマムといいますか、人権に関わる部分については最低限確保されなければならないと思います。
地域主権改革の中でもう一つ言われているのが、せっかくバリアフリー法の中で当事者参画の仕組みや住民提案制度という非常に画期的な仕組みが入っていると思うのですが、そういったものの廃止もリストになっていると聞き及んでおります。そういう意味で、なぜ、今、国交省としてこういう基本構想への住民意見の反映や住民提案制度を創設したのか。その理由と意義をもう少しお聞かせ願えればと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 辻元副大臣、お願いします。
○ 辻元国土交通副大臣 まず事実関係をお話したいと思います。
○ 国交省安心生活政策課課長補佐(浦口課長補佐) 国土交通省の事務局から、最初の御質問の5,000人以上の駅がある市町村のうち、どのぐらい基本構想がつくられているのかという点でございますけれども、1日平均利用者数5,000人以上の駅がある市町村の数は515ございます。先ほどの260のうち、大部分が5,000人以上の駅のある市町村でございます。一部5,000人未満の駅のある市町村も入っております。ですから、半数弱程度でつくられているということでございます。
○ 尾上委員 5,000人以上の駅のあるところでも、まだ半分ぐらいしかつくっていないという事実があるということですね。
○ 国交省安心生活政策課課長補佐(浦口課長補佐) そういうことになります。
○ 辻元国土交通副大臣 それと今のナショナルミニマムとの関係が議論の1つの大きなポイントなんです。どこまでをナショナルミニマムと見るのかということと、公共交通の充実、バリアフリーも含めてですけれども、交通基本法にどう予算を流していくか。そのときに国が幾らでもお金があったらいいわけですけれども、国だけではなかなかやり切れないところがあるので、今のところは、例えば鉄道だったら事業者が3分の1、自治体が3分の1、国が3分の1になっているわけです。ところが、地方の鉄道の業者などは非常に利用者が少なくなっているものだから、赤字路線ばかりになってきているんです。そうすると、今までの業者も含めての費用の在り方そのものもこれでいいんだろうかということがあります。だからといって、皆さん御承知のように、全部を国がするのも今の財政状況で難しい。そこをどういう工夫でできるか。そこは頭を痛めているところですけれども、ここをクリアーしないと実現しないと思っていますので、いろんなお金の生み出し方も考えていきたいと思います。
もう一つ、地方に協議会みたいなものをつくることはできないかという構想もあるわけです。要するにそれぞれの地域に協議会をつくって、事業者、NPO団体、障害者の当事者の皆さん、高齢者の関係の人などにいろいろ入ってもらって、この地域の公共交通やバリアフリーの在り方をどうすればいいかというような、皆さんがお住まいの身近なところで公共交通の在り方をトータルに考えていくようなものです。予算などもそこに流して、そこからその地域で有効に使ってもらえるようにできないか。これは一案なんですけれども、今そういう議論をしております。
ナショナルミニマムとして、国としてどこまでやるのかということと、それぞれの地域には特徴がありますので、その特徴を生かしたものです。特徴には制約も必ずつきまとってくるので、その制約を克服するために、地域の実態に即した在り方というものをどう反映させていくか。今そういう議論をしている最中です。これは6月いっぱいぐらいで、ある程度の一定の方向を出したいと思いながら、今けんけんごうごうとやっているということです。
○ 藤井議長代理 先ほど副大臣が交通基本法の条項の第18条を読まれましたときに、負担軽減という言葉が入っていて、身体的な負担軽減はあったんですが、精神面は入っていないんですか。
○ 辻元国土交通副大臣 今、入っているのは身体的だけです。
○ 藤井議長代理 そこはあえて入れなかったんでしょうか。
○ 辻元国土交通副大臣 あえて入れなかったわけでもないと思います。
○ 藤井議長代理 あえて入れなかったわけではないけれども、原案では入っていないんですね。
○ 辻元国土交通副大臣 現実は入っていないということです。これは入れた方がいいということですか。
○ 藤井議長代理 知的障害、精神障害等の方もいらっしゃいますので、是非入れていただきいと思います。
土本さん、どうぞ。
○ 土本委員 土本です。
知的障害と言われている人は、交通機関には1人では難しいところがあります。何回か行っているところはわかるんですけれども、初めて行くところはやはり難しいところがあるし、自分が発言するのが難しいところもあります。駅名に振り仮名が振っていないものが非常に多くて読めないところもあるし、子どもと高齢者も関係するのではないかと思います。だれでも読めて、だれでも目的地に行けるような形があればいいのではないかと思うし、それぞれ達成感を持って交通機関を使っていけばいいのではないかと思いますし、身体的には階段は段差がいっぱいあるということもあるんだけれども、知的の障害と言われている人たちは振り仮名が振っていないところがあったら、そこがバリアであったりしていますので、そのところはそれぞれだと思うんですけれども、これからも言っていきたいと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 公共交通機関あるいは公共建造物等を含めて、振り仮名を振っていただきたいということです。
竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 短く終わります。竹下です。
報告書を見ていると、努力、指導、お願いということに一貫しているんです。それはなぜかというと、前提としての権利宣言がないからだと思います。
そこで、それを前提にしての質問ですけれども、各事業者が改善あるいはバリアフリー化できない、していないときに、それが適正な判断なのか、バリアフリー化できていないことが怠慢なのかの判断をすべき機関の設置について必要性は感じていないのかどうか。これについてお聞きします。
以上です。
○ 藤井議長代理 適正か怠慢かということを審査する第三者機関ですね。
とりあえず2つお答えいただけますか。
○ 国交省安心生活政策課長(小滝課長) バリアフリーの今後の施策を考える中で、まずどういった利用の在り方をイメージでいくかということについて、例えば乗車拒否などのお尋ねもいただいておりましたけれども、そうしたものを含めて事例の積み重ねの中で1つの利用の在り方の相場観というものをつくっていくことが非常に大事だと思っております。私どもとしては事例を集め、またそれを事例集的にものにまとめ、それを普及啓発していくということをまず一生懸命やらせていただきたいと思います。また、その上で将来的な発展があるものについて頑張ってまいりたいと考えているところでございます。
○ 竹下委員 質問に端的に答えていただけますか。
○ 藤井議長代理 質問への回答をお願いしたいと思います。
○ 辻元国土交通副大臣 例えばバリアフリーGメンみたいなものをつくって、全国をぐるぐる回って、ここはおかしいのではないかというような機関みたいなイメージなんでしょうか。
○ 竹下委員 そうではなくて、自分の居住地域においてバリアが存在するときに改善を求めても拒否されるわけです。そうであれば、その場合の拒絶そのものが妥当なのか、改善の余地があるのかということについて客観的な判断をする機関の設置があれば、申し立てによる審査は十分に開始できると思います。
○ 藤井議長代理 副大臣、お答えできますか。
○ 辻元国土交通副大臣 今そういう調停機関というか、第三者機関という提案もいただいています。今すぐにそれをつくろうということをここで答えることはできないんですけれども、その前にバリアフリーネットワーク会議というものを国交省の中に設置しています。仕分けなどで地方機関がどうなっていくのかということがあるんですけれども、これは本省と地方の出先機関にあります。そこでも同じようにブロックごとに会議を設置しています。ですから、方向性としては、この会議を充実させていく。さまざまな利用者の皆さんの御意見なども承って、そこでいろいろ議論したり、解決したりできるようなことは考えられるのではないかと、今お話を承りながら思いました。
○ 藤井議長代理 竹下さん、どうぞ。
○ 竹下委員 議論は置いておきます。
○ 藤井議長代理 久松さん、森さん、御発言を順番にお願いします。
○ 久松委員 ろうあ連盟の久松と申します。
先ほどの総務省の説明の中で、情報アクセスの権利の説明を受けましたが、今までできなかったのが非常に残念と思っています。
今回、国土交通省の説明の中に利用に関する権利ということがございました。非常に期待したいところがあります。私たち聞こえないあるいは見えない人、または盲ろう者、知的障害、発達障害者にとって、移動に関する情報にアクセスできないと移動ができないということにつながることが多いのです。移動に関する情報のアクセス権が保障されて、初めて移動に関する権利の保障があり得るという考え方を持ちたいのですが、その考え方について賛同していただけますでしょうかというのが1つです。
2つ目は、先ほどバリアフリーネットワーク会議に関して話が出ましたが、バリアフリーネットワーク会議の情報は私たちに全く伝わっていなかったのです。それは多分公開されていないかと思います。
私どもは全日本ろうあ連盟の機関紙にいつも出されるのですが、ツアーへの参加拒否を受けたり、フェリーの乗船拒否を受ける。そういう情報についてはいつも国土交通省さんに提供しています。具体的にどのような指導をして問題解決をしたのかということについての情報が結局こちらには伝わってこないのです。そういった事例がやみの中にうもれていく。そういったことを繰り返すようなことではよくないと思います。こういう情報がきちんと公開されれば、事業者が拒否するような差別的な事件は減るはずだと思います。こういうことが繰り返されないように、指導あるいは情報公開を進めてほしいということを要望したいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 引き続き、森さんから発言をお願いできますか。
○ 森委員 日本身体障害者団体連合会の森と申します。ありがとうございます。
国土交通省の方に考えをお聞きしたいと思っています。といいますのは、私たちの団体は車いすや下肢の具合の悪い人たちがたくさんおるわけで、バリアフリーについては長年いろいろな研究もしてきたし、国の会議等にも御協力してきた経過があります。そういう中で、私の知っている限り、バリアフリーの問題というのは40年の半ばごろから大分進んできた問題でありまして、おかげさまでバリアフリーは相当進んできております。
しかし、まだ手がつけられていないのではないかと思っているのは、同じ40年の頃から車社会のために安全という問題で歩道橋ができております。歩道橋は障害者の人たちも、これからどんどん増えてくる高齢者の方々もほとんど使えなくなってくる。そういう面で、これについてのバリアフリーについて何かお考えがあるかどうかお聞きできれば幸いだと思います。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 まずお二人の質問に対する見解をお述べいただけますか。
○ 辻元国土交通副大臣 まず全国バリアフリーネットワーク会議の件なんですが、私はこれをできるだけフル活用できたらいいな、更にできたらいいと考えています。実は久松さんもメンバーに入ってくださっていると思います。
○ 久松委員 入っていません。
○ 辻元国土交通副大臣 入っていませんか。メンバー表には入っています。
○ 久松委員 1年間に1回だけのセレモニーには参加しています。
○ 辻元国土交通副大臣 なるほど。
さまざまな障害者団体の皆さん、高齢者団体の皆さん、業者の皆さんに入っていただいているんですが、今、入っていただいていると思うんですがと言わなければいけない状況になっているということです。要するに形だけになっているのではないか。私が言うのも変なんですけれども、せっかくあるので、この中身をもっと充実させて、いろんな観点から実態のあるものにできたらいいのではないかと思います。これは今日皆さんとお話をして、こちらからもお答えをさせていただいた中で1つの具体的な形にできればいいと思っています。それぞれの地方整備局や運輸局があるので、これをフルに活用しないともったいないと思います。ですから、そこもこれからの話になりますけれども、活用していけたらいいと思います。
歩道橋の話は、事実関係をお伝えしたいと思います。
○ 国交省安心生活政策課長(小滝課長) 歩道橋のお尋ねがあったんですが、横断歩道のバリアフリー化ということにこれまで重点的に取り組んできたという実態になっております。歩道橋については必ずしも数は多くないんですが、それぞれの地域の実情の中で歩道橋のバリアフリー化に取り組んでいる例も見られるところではないかと思っておりますけれども、今後スパイラルアップという観点から、どういった取組みができるか、どういった取組みを進めていけるか検討をさせていただきたいと思っております。
○ 久松委員 済みません。久松ですが、情報アクセスのアクセス権についての話をお願いします。
○ 藤井議長代理 そうですね。そのお答えをいただければと思います。
○ 辻元国土交通副大臣 済みません。
○ 国交省安心生活政策課長(小滝課長) 情報アクセスという観点で私どもが今まで取組みをしてまいりましたのは、表示をわかりやすくするための案内標識などでございます。振り仮名というお話もありましたが、そのほかにピクトグラムによる表示でありますとか、いろいろなコミュニケーションハンドブックというものを作成しまして、駅員の方などが適切な応対をされる上での留意事項のポイントをまとめたような啓発を特に取り組んできたところでございます。今後もバリアフリー教室を積極的に展開していく中で、こういった交通事業者の職員の方への研修の充実などに取り組んでまいりたいと思って思います。
○ 藤井議長代理 交通バリアフリーと情報バリアフリーは非常に連結が強いんだということの認識を改めてお願いしたいと思います。
○ 国交省安心生活政策課長(小滝課長) 済みません。ほかに私どもが取り組んできた例としまして、エスカレーターの乗降口などによる音声案内でありますとか、緊急時の誘導に関して知覚に訴える形での情報提供、音声案内や電光掲示板の設置でありますとか、案内所での筆談用具の備え付けなどいろいろな取組みをこれまで工夫してまいっておりまして、今後とも一層頑張りたいと思います。
○ 辻元国土交通副大臣 あと、交通基本法のヒアリングの中でも指摘があったんです。例えばどこかへ行くときに、今はインターネットもありますし、音声によるインターネットの案内もできるわけで、その際に御自身がどのような移動困難であるかということで、どういうアクセスがいいのかということがトータルにわかるような情報を安易に入手できるような形ができないか、そういうような御意見も交通基本法のヒアリングの中で出てきました。それをすぐにどのようにすればいいのかというところまでいっていないんですが、そういう御指摘はいただいています。
もう一つは、国交省には観光庁もありまして、ユニバーサル観光というものがございます。日常生活だけではなく、いろんな観光であったり、交流であったりということについても考えてございます。
例えばバリアフリーネットワーク会議の中には日本ホテル協会などにも入ってもらっていますので、そういう意味でさまざまなアクセスの情報及び移動のバリアフリーの問題意識を共有するということから、実行できるところから実行していくという段階に移さなければいけないと思います。その問題の共有というのが、交通基本法をつくるという議論の中でどれだけできるか。
実現については、先ほど申し上げたように、財政の制約の中でどう知恵を使って実現していくかというところが一番頭が痛いですけれども、まず問題を共有して、そこでどういう克服の方法があるかということを今いろいろ交通基本法の議論の中で進めていっている段階です。
○ 藤井議長代理 まだ御議論はあるかと思うんですが、最後に東室長から一言ありますので、お願いいたします。
○ 東室長 担当室長の東です。
今日はどうもありがとうございます。建物の利用とか交通の利用については、差別禁止法の分野でも1つの大きなテーマになっているところなんです。アメリカでは1990年にADAという形で公共交通機関などの差別禁止が法定されたわけですけれども、それ以前に1986年にはキャリアアクトといった航空機の差別禁止、フェアハウジング法といった公正住宅法という建物の利用についての差別禁止みたいなものがあるわけです。
推進会議としては、今後差別禁止の部会などを設けて、公共交通機関とか建物の利用についての差別禁止を議論することになるわけですけれども、国交省のお立場としては、差別禁止の問題はそこでがんがんやってほしいと思われるのか、それはちょっと困ると思われるのか、率直なところはどうなのかと思っております。一緒にやっていただけるのかというところの方向性だけでも御見解を教えていただければと思います。
○ 辻元国土交通副大臣 がんがんやりましょう。
○ 東室長 わかりました。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 福島大臣、お願いします。
○ 福島大臣 どうもありがとうございます。
今日お話を聞きながら、バリアフリーネットワーク会議にもう少し私たち障害者の考えが出るといいと思いましたし、またいろいろな事例は当事者こそよく知っているので、有効にそれができればと思っています。
先ほど東室長ともちょっと話をしていたんですが、私たちが今回工程表も含めてまとめるところでもいいですが、差別禁止法などもありますが、もしまとめられれば、バリアフリー、情報アクセスと移動の自由に関して、国土交通省にこの推進会議として要望書を出したいと思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。
○ 辻元国土交通副大臣 わかりました。
○ 藤井議長代理 辻元さん、いいですか。
○ 辻元国土交通副大臣 はい。
○ 藤井議長代理 要望書を受けますということですね。
○ 辻元国土交通副大臣 それこそ当事者主義というか、当事者主権という言葉も出てきているようにいろんな事例や差別の話もそうですけれども、御存じの方々からまず聞いて、それをどう解決していくかというのが根本だと思います。
ただ、国交省で仕事をしながら、本当にいろんな問題を克服しなければいけないことがあるんだけれども、一つひとつやっていくしかないと思っています。一遍にどかんとはなかなか難しいというジレンマの中でやっておりますので、要望は承らせていただきます。
○ 福島大臣 よろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 障害者支援は遅れていますけれども、やはり不均衡発展といいまして、ある部分から発展するしかないと思います。
○ 辻元国土交通副大臣 そうですね。
○ 藤井議長代理 是非国交省には先頭を切っていただきますことを強くお願いしておきます。
○ 辻元国土交通副大臣 はい。
○ 藤井議長代理 時間がまいりました。本当はまだいっぱいあると思うんですが、以上をもちまして、国交省に意見表明をいただき、また質問をお出ししましたこの場を終わりにします。どうもありがとうございました。
○ 辻元国土交通副大臣 どうもありがとうございました。(拍手)
○ 藤井議長代理 少し時間が過ぎていますが、もう少し時間をください。障害の表記に関して、内閣府の齊藤企画官よりお願いいたします。
○ 内閣府(齊藤企画官) それでは、説明をさせていただきいと思います。
お手元に資料5を配付してございます。それに基づきまして、3月19日の会議以降の動き、内閣府において実施いたしましたアンケート調査の結果などにつきまして御説明いたします。
まず初めに1ページ目のスケジュールをごらんください。
4月23日の文化審議会国語分科会漢字小委員会の会合におきまして、改定常用漢字表の答申案の素案が「碍」を含めない形で了承されたところでございます。
今後は5月中旬の国語分科会の答申案決定を経て、6月上旬ごろの文化審議会において答申を決定する予定と聞いてございます。
その答申案(素案)の具体的な内容でございますが、資料の2ページ目をごらんください。既にお目通しをいただいておることと存じますので、該当部分の朗読は省略させていただきますが、一番下の段落でございます。結論といたしまして「碍」の取扱いについては、推進本部、つまりはこの推進会議における検討の結果に委ねられている格好となってございます。
そこで問題となってくるのが、この答申案(素案)に込められた意味でございます。資料の3ページ目以降に4月13日の漢字小委員会の議事録及び配付資料の抜粋を添付してございますので、要点だけを御説明させていただきたいと思います。出現頻度や造語力、単語の構成力などの字種選定基準に照らすと「碍」は入らないというのが漢字小委員会の議論の前提でございます。その上で何か特別な事情はないかということがこの委員会で検討されております。
そのため、まずは二度の意見募集に寄せられた意見について事実関係を検証してございます。その結果、大別して3つに整理できる意見のうち1つ目ですが、戦前は「障碍」を使っていたので、本来の表記に戻すべきであるとの意見。
2つ目ですが、戦前は「障碍者」を使っていたという意見につきましては、精査の結果、いずれも事実に反する部分があるのではいなかということになってございます。
3つ目ですが「障碍」と「障害」では意味が違う。「障害」は悪い意味だが「障碍」はそんなに悪くはないのではないかという意見についてでございますが、これについてはそれほど大きな意味の違いはないのではないか。また「障碍」はもともと「しょうげ」という読みで物事の発生、持続などに当たって妨げになること、転じて悪魔、怨霊などが邪魔をすること、障りなどという意味で、場合によるとより悪い意味のとらえ方もあり得るのではないかということが確認されてございます。
その結果、3つの意見のいずれとも字種選定基準に照らした結論を覆す理由にはならないというのが漢字小委員会の御判断でございます。
次に、現在障がい者制度改革推進本部が設置をされ、その中で障害の表記の在り方についても検討することとされていることが紹介されて、単に漢字の問題という枠を超える特別な事情があるとの御判断がなされてございます。その結果「障碍」は「しょうげ」としてこういう意味で使われてきたということをわかった上でも、なおかつ「障碍」という表記が望ましいんだという政府全体の合意が推進本部でなされるのであれば、その段階でもう一度「碍」の追加を検討するという対応方針が4月13日の漢字小委員会で了承され、先ほどの答申案(素案)のような書きぶりになってございます。
そういうことでございますので、以上のような考え方も踏まえまして、障害の表記の在り方について、本推進会議において御議論をいただければと存じます。
以上が1つ目でございます。
引き続きまして、障害の表記に関するアンケート調査の結果がまとまりましたので、資料の18ページの結果のポイントに沿って、本当にポイントだけを御報告させていただきます。
この調査でございますが、4月16日から18日までインターネット調査会社に委託をして実施いたしました。性別、年代、地域別のバランスに配慮して、合計9,000人分の回答を収集してございます。なお、回答者の中に障害があるという方が464人含まれてございます。
結果のポイントですが、第1問の障害の表記を改めるべきとの意見については、賛成が21.9%に対して、反対が約2倍の43%に上りました。
第2問、問1で改めるべきと答え方約2,000名にどのような表記に改めるべきか聞いたところ「障がい」が約4割で最も多く「障碍」は7.8%にとどまってございます。
第3問、障害の表記を改める必要はないとの意見については、賛成が42.6%に対して、反対がその半分以下の19.8%にとどまっております。
第4問、障害者の表記をチャレンジドに改めるべきとの意見については、反対が3分の2に上り、賛成は約1割にとどまっております。
最後の第5問ですが、障害者の表記として自分自身の考えに最も合っているものを聞いたところ「障害者」「障害のある人」「障がい者」などが多くの支持を集め「障碍者」や「チャレンジド」はごく少数にとどまってございます。
アンケート結果のポイントは以上でございますが、お手元の冊子に細かなデータなども収録してございますので、適宜御参照いただければと存じます。
最後に資料の47ページ以降に内閣府のホームページに寄せられた障害の表記に関する意見の抜粋、53ページ以降には前回の会議の際に文部科学省の高井政務官から御発言のあった障害の表記に関する4月21日の衆議院文部科学委員会の議事録の抜粋をそれぞれお付けしてございますので、御確認をいただければと存じます。
私からの説明は以上でございます。
○ 藤井議長代理 本件に関しましては、佐藤委員から御意見が挙がっていますので、佐藤委員からいただけますか。
○ 佐藤委員 日本社会事業大学の佐藤久夫です。どうもありがとうございます。
今、説明のあった資料も読ませていただいた上で、1枚裏表の意見を用意させていただきました。直前だったので点字のものなどは用意されていないと思います。申し訳ありません。
まず裏のページ「障碍」についてというところを見ていただきたいんですけれども、文化審議会の国語分科会の漢字小委員会では「障碍(しょうげ)」が平安末期から江戸時代にかけて、悪魔、怨霊が仏道、修業の邪魔をするという意味でしばしば使われたこと。明治になってからは心身の障害という意味や障害物競争などの障壁、バリアという意味、つまり非常に広い意味で使われるようになったこと。そして、戦後、当用漢字から「碍」が漏れたために「障碍」というのはほとんど使われなくって「障害」に一本化したことなどが紹介されていました。このことから「障碍」は必ずしも「障害」よりよい言葉だとは言えないのではないかという懸念も小委員会で示されたということだと思います。
私は「障碍」が悪魔による仏道への邪魔という意味で使われたことがあったとしても、それは大昔のことであり、明治以降は主に障壁の意味で使われてきたので、今日では偏見を生む危険性はないのではないかと思います。しかし、なお障害当事者が嫌だというのであれば「碍」は残して、つまりバリアという意味は残して「障」の変わりになる一字を工夫することがあってもよいのではないか。その一字というのは、漢字に素養がないので私はよくわかりませんが、意味としては受ける、被る、直面する、携える、担う、持つ、そういうもののどれかの意味を持つような言葉で、新しい言葉を造語したらどうかということも選択肢にあるのではないか。
いずれにしろ「害」は嫌だ、自分は社会に害を与えている存在ではないという多くの障害当事者の要求があるので、政府はこの要求に応えて「害」を使った障害という言葉を法律からなくす。何に変えるかということは今のところ決定打はないにしても、それを変えるということは政府の課題なのではないかと思います。
そういうことを総合的に考えると、具体的な提案としては2点ありまして、1つは文化審議会に「碍」を常用漢字とするように要望するということ。もう一つは、恐らく2年後になるであろう障害者権利条約の批准のときに法律上の用語の見直しを集中的に検討する。それまでは「碍」を含む障害という言葉の普及状況、障害当事者など関係者の意見を集約するような今後の2年間とする。推進会議としても継続的に検討する。ただ、いつまでものんべんだらりと検討するのではなくて、権利条約批准を1つのめどにしたらどうかということです。
それに関連する理由などを書いておきましたので、読んでいただければと思うんですけれども、検討の時期を批准時としたのは、この権利条約では障害の概念を変えているわけです。障害の見方を変えようという権利条約です。つまり、今まで一般国民の中では障害というのは本人が持っているものだ、本人に内在するものだ、目が見えないとか手足がまひしているとか、本人のものだという障害の考え方をこの権利条約は大幅に変えているものが条約ですので、特に障害というのは参加の障害であるということを明確にしているということと、もう一つその参加の障害は、本人の長期にわたる機能障害と環境の障壁との相互作用によって生み出されるものだということを示しているという点で従来の障害観を大幅に変えるものですので、その条約の批准とともに新しい言葉、その内容を表す新しい言葉を開発することが必要なのではないか。その合意に至るにはまだまだ時間がかかりそうなので、しかし、いつまでもということではなくて、権利条約の時点を1つのめどにしたらどうかというのが提案です。
長くなって失礼しました。
○ 藤井議長代理 もう一方、中西委員からも意見が出ています。中西委員、お願いします。
○ 中西委員 中西由起子です。
佐藤さんの御意見の常用漢字に入れるという点、また期限を決めてやる点につついてです。条約の締結に合わせてとおっしゃっていましたが、今、急な御提案だったのでいつがいいかわかりません。しかし、とりあえず一定のコンセンサスを得たものにしておくというのは賛成です。
ただ、その前提となるのが結局障害は悪いものだという、障害者本人、また先ほどおっしゃっていらっしゃった医療モデルに基づいた昔ながらの一般社会の考え方です。そうなると障害者という言い方を変えると同時に、障害がない人の呼称も討議すべきです。今回の総務省の文章では一番最後に健常者という言い方をされています。厚生労働省は巧みに障害のある者、ない者と使い分けていられます。また、内閣府のこの推進会議に寄せられた意見の中でも障害当事者自身が健常者という言い方を使っていますが、政府もそこにも焦点を合わせて、健常者という言い方自体も考えていかないと、障害が悪いものだ、だから、障害という表記を変えようという問題の根本的な解決にはならないと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 両者の御意見はかなり基本的な内容を含んでいます。東室長とも事前に調整があったんですが、このスケジュールからいうともう少し時間があるということなので、引き続き、今のお二方の御意見等も踏まえていきながら推進会議で検討していく。各委員にもまた考えてきてもらう。今日はこれに関して議論を打ち切りたいと思います。よろしゅうございますね。
今日の4時間にわたる議論を受けまして、福島大臣から感想等を含めて御発言をお願いいたします。
○ 福島大臣 皆さんどうもお疲れ様でした。もっと発言したいと全員が思っていらっしゃるでしょうが、4時間以上は無理です。本当にお疲れ様でした。いつも委員の皆さんにはいろんな場所から、場合によって遠路はるばる来ていただいたり、4時間精力的な議論、このための準備、本当にありがとうございます。また、傍聴者の皆さん、これを報道してくださっている皆さん、介助者の皆さんもありがとうございます。
今日は特に国土交通省と話をして、バリアフリーネットワーク会議というものがあるということがわかり、そこに障害当事者の皆さんの声をどう伝えることができるか。今日いい意味での建設的対話ができたと思いますので、先ほど申し上げましたように、推進会議から国土交通省に要望書を出す。あまり審議会はやらないのかもしれませんが、これは新しい審議会ですし、しかも総理大臣の本部長の下にありますので、国土交通省に対して皆さんのいい意味でのコンセンサス、大きな柱立てになるかもしれませんが、東室長を中心にまとめていただきいと思います。勿論皆さんのお声を聞いてまとめて、国土交通省に対して要望書をしっかり出していきたいと思っています。
また今日もそうなんですが、やはり役所との距離というものもあり、ここで私たちは推進会議である、社会を変えるためになぜ障害者施策が進まなかったのかという反省に立って、どこをどう変えれば改善ができるか。つまり、あるべき社会と現実の間の階段をしっかりつくっていく作業が私たちの大きな仕事だと思いますので、気合いを入れて、みんなで力を合わせて頑張っていきましょう。よろしくお願いいたします。(拍手)
○ 藤井議長代理 新谷さん、御意見ございますか。
○ 新谷委員 時間がないので簡単に終わらせますけれども、前回も質問しましたが、事前に質問を出せということで、今日の9時とか時間を切って出していますね。だけれども、時間の制限があって全部ここで発言できないので、その部分についてはどこかで回答をいただけるんですか。そうでないんだったら、余り出す意味がない。回答は全員に対して公開されるような回答でいただかないと、個人がもらっても仕方がない。今日の9時という忙しいタイミングで質問を出しましたけれども、回答がいただけないと、どうなったのかという感じがいたします。
○ 藤井議長代理 わかりました。東さんにお答えもいただきますけれども、実はあの質問用紙は私の方で非常に参考になります。進行役として共通の質問は省かせていただく。だから、とても役に立っています。ただし、今、言われたように、全部のお答えが出ていないことも事実です。前回の文科省に関してはお答えをいただきましょうとしたんですが、今回またお答えをいただきたいという意見もあったので、東さんこれは努力をする感じでいいんですか。
○ 東室長 東です。
あの質問票をいただきたいとお願いしたのは、専ら議事進行を助けるという意味でお願いしたわけです。その質問を必ず向こうにぶつけて返答をいただくという前提では必ずしもなかったんです。ただ、質問を出したが、聞く機会も時間もなくて宙ぶらりんというのはどうなんだという御意見はよくわかりますが、この前の文科省の場合は、途中の質問回答自体が中途半端に終わったためにまとめてという形にしたんですが、それ以外の部分については考えてなかったところです。今日午前9時までとしたのも厚労省からの資料の提出が極めて遅くなったので、質問を知らせてほしい時間を今日の9時までという形に限られていただきました。
状況としてはそういうことだったわけで、改めて質問をぶつけるということまでは考えていないところなんですが、どうしましょうか。
○ 藤井議長代理 新谷さん、今もありましたけれども、あの質問というのは大変私などには有効なんです。あれを基にして全体を立体的に考えていこう、進行の流れをつくっていく。ただし、今、言われたように、全部お答えできないということは皆さん方も覚悟していただく。恐らくそればかりか、今日発言したくてもできない人がいっぱいいるわけですから、全体としては不全感が残るんだけれども、大きな流れをつくっていく上で貢献してもらっていますので、そういうもので役に立っているんだという御認識でいかがでしょうか。
なおかつ、基本に関わるという場合にはまた特別に申し出をいただくということにして、一般的にここに出なかった質問で無回答は後でお答えいただくというふうにはしないとしておきましょうか。
○ 関口委員 それでは困ります。答えなくてもいいですから、少なくとも内閣府のウェブページに記録として残してください。
○ 藤井議長代理 質問があったということをですね。
○ 関口委員 はい。
○ 藤井議長代理 それは事務的にできるらしいので、そうしましょう。
企画官それはいいですね。
○ 内閣府(関参事官) はい。
○ 藤井議長代理 そんなことで多少我慢し合うけれども、やりましょう。
それでは、小川議長にマイクを渡します。
○ 小川議長 本日も長時間の討議お疲れ様でございました。
ここで東室長より今後の予定を含め報告すべき事項について簡潔に御説明をお願いいたします。
○ 東室長 担当室の東です。
次回は5月17日月曜日です。来週になります。議題としては、省庁ヒアリングの最後で外務省を予定しております。その後、内閣府から今後のことについての御説明と質疑応答みたいな形でやろうかと思っています。それ以降は中間まとめの第1次案というものをまとめていく作業になりますので、17日にはその骨子案みたいなもの、本当にペラ1枚の概要ですけれども、こういう大枠でまとめを出そうというものを提出できると思っています。
それに基づいて、12回目になりますが、5月24日、皆さん方の御意見を基にした推進会議としての意見という形で、ある程度のまとめをつくって、粗々のところを皆さんにお示ししたいと思っています。ただ、推進本部に上げて閣議決定してもらう事項として、各省庁が何をすべきだという部分は各省庁との交渉もあるでしょうから、そこまでの部分についてはまだできないと思いますので、24日は推進会議の大方の意見をまとめたものを皆さんに御提示して、これでいいかという議論をしたいと思っています。
その後、5月31日についてはまだ予定は申し上げていませんでしたけれども、13回目として5月31日にやりたいと思っています。そこで基本的にはまとめの案の全体像をお示しして議論をするという形になろうかと思っておりますので、5月31日を空けていただければ幸いだと思っているところです。
今後の予定としてはそんなことを考えておりますので、よろしくお願いします。
以上です。
○ 小川議長 ありがとうございました。
それでは、これをもちまして、本日の会議を終了いたします。
本日の推進会議の概要につきましては、この後この場所で記者会見を行い、私と藤井議長代理及び東室長が対応いたします。
本日はお忙しい中お集まりをいただきまして、ありがとうございました。御苦労様でございました。(拍手)