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第15回障がい者制度改革推進会議(2010年6月28日)
議事要録


議事 第一次意見に関する結果報告について


  • (東室長)推進会議の14回の議論を第一次意見としてまとめることができた。6月29日に、第2回障がい者制度改革推進本部が開催される予定であり、小川議長から菅本部長に手渡すことになっている。その際に、総合福祉部会で取りまとめられた障害者総合福祉法(仮称)の実施以前に早急に対応する課題の整理(当面の課題)も提出することになっている。その後、しかるべき時期に閣議が開かれ、政府の対処方針が決定される見込みとなっている。
  • (意見)前書きの部分は「事項ごとに関係各府省において検討を進め」となっているが、それだけでは十分ではない。少なくとも横断的な課題、重要な課題は、推進会議としても継続して議論することが必要になると共通理解になったと考えていたが、この点について補足説明をして欲しい。
  • (東室長のコメント)平成22年内の進め方は、「推進会議は、第一次意見を基に、障害者基本法の抜本改正を始め、改革が必要な分野について個別に部会や作業チーム等を設け、分野別課題の検討に着手する。」という文言がある。平成23年以降は、「推進会議は、改革集中期間内において、改革が必要な分野の制度・施策の在り方や次期障害者基本計画の在り方・方向性等を具体化するため、部会・作業チーム等の議論を踏まえ」とあり、推進会議並びに部会・作業チーム等での検討することになっている。第一次意見は、政府に求める事項に重点を置いていることもあるので、質問部分については書き込んでいない。
  • (藤井議長代理のコメント)質問は、当該省庁で検討すべきことと、推進会議として検討すべきことが、どのようにジョイントするのかということだろう。労働、医療、教育、その他にもあると思うが、双方で連携するということを共通理解にすることができるだろう。
  • (意見)第一次意見のロードマップ部分、工程表の部分は、閣議決定されるのか。
  • (東室長のコメント)第一次意見の政府に求める今後の取組みに関する意見の○の部分を中心に、閣議決定されるのではないかと思っている。工程表が中心になると思われる。
  • (意見)総合福祉部会からの意見を見ると、医療的ケアもあるショートステイ増設について、知的障害者、精神障害者、重度心身障害者にとっては必要であるとしている。精神の場合は、医療的ケアが必要だったら入院すればいい。推進会議では、医療付きショートステイについて、「医療付き」を削った経緯がある。部会では、知的障害者と重度心身障害者は医療付きショートステイが必要だというなら、精神は入れないでほしい。
  • (藤井議長代理のコメント) 6月7日の推進会議で、総合福祉部会からの文書について合意した。推進会議という親会議体と総合福祉部会との関係については、推進会議の方で議論したことを尊重するという確認ができた。

議事 今後、推進会議で検討すべき議題とスケジュールについて


  • (東室長)議論していない分野が3つある。1つは住宅の確保で、障害者基本法の第17条に条文がある。次に、文化・スポーツで、障害者基本法第22条に文化的諸条件の整備等という項目がある。3つめは発生予防で、障害者基本法の第3章に障害の予防に関する基本的施策、第23条に規定がある。
     この他、新たに検討を要する分野として、ユニバーサルデザインをあげている。廃案になった障がい者制度改革推進法案の第10条で、ユニバーサルデザイン等について規定があった。その他にも議論が薄かった分野等々いろいろあるが、少なくとも基本法改正に関しては、この4つの分野については議論したい。それぞれの議題について意見をアトランダムに出していただき、今後の議論の前提にしたい。

住宅の確保

  • (意見)知的障害のある人がアパートを借りるときに、親族の緊急連絡先が必要で、親族のいない人は借りられない。
  • (意見)住宅の確保について基本法では「障害者のための住宅」となっているが、これは障害者用住宅と解釈できる。障害者が住みたい場所で、自分で選んで暮らすことが大切ではないか。これは権利条約の第19条にも規定されている。
  • (意見)自治体によっては、高齢者とともに障害者の居住支援を不動産関係団体とも協力しながら取組むところがある。こうした点について関係団体のヒアリングや統計データを利用した意見交換をしてはどうか。事務局が入手している先行事例や困難事例を共有しながら検討してはどうか。
  • (意見)障害者基本法の第17条では「国及び地方公共団体は、障害者の生活の安定を図るため」とあるが「国及び地方公共団体は、障害者の地域で暮らす権利を促進するために」とすべきだ。「本人が希望する住宅を確保する」方向で、今後は議論していきたい。
  • (意見)知的障害の分野では、グループホームが地域生活における住まいの一つの形態として広く利用されているが、公営住宅の活用についてはかなり地域間格差がある。グループホーム自体が建築基準法で想定されていないため施設の扱いになってしまう。それで厳しい建築基準が求められ、グループホームの確保が難しくなっている。なお、先ほど意見のあった保証人については、公の機関が保証するような制度が確かあったと思うが。
  • (意見)その保証協会が審査の段階で緊急の連絡先は誰だと聞いてくる。そのとき親族でなければだめだということを言われる。その事を先ほどの意見で述べた。
  • (意見)東京23区の中で住宅サポートをやっているのは13箇所。そのうち保証人まで支援しているのは3つ以下になる。
  • (意見)推進会議では障害者が『権利の主体』である社会の一員であるということが基本認識になっているため、地域で生活する権利がまずあり、それを実現するための施策を規定する必要がある。日本の住宅施策は持ち家政策が中心で、それ以外は公営住宅ぐらいしかない。一方、重度障害者は施設中心に進んできた。いろいろな形の住まい方支援を書き込む必要がある。
  • (意見)住宅政策は国土交通省の管轄として進められてきてきた。多くの先進国では社会保障政策の中で居住権や住宅保障をしている。住宅の問題は社会保障政策の中に位置づける必要があるだろう。住宅基本法とのトータルな整合性も、この機会でないと議論する機会がない。ハードとして住宅を公的につくるというだけではなく、住宅手当などの社会手当で保障するという方法もある。

文化・スポーツ

  • (意見)スポーツジムに通う時に、療育手帳を見せたら拒否されたという例がたくさんある。このようなことは、全国でもあるのではないか。
  • (意見)文化とスポーツが一つのテーマになっているが、本来は分けて独立したテーマにするべき。障害者スポーツは管轄が厚生労働省、競技スポーツは文部科学省と分かれている。厚生労働省の方のスポーツは、最初はリハビリ的な性格のスポーツ振興政策だったが、最近はパラリンピックのように競技性を強く帯びてきた。スポーツは競技性の強いものと、みんなが楽しむスポーツの2つに分けることができる。しかし、実際にスポーツを楽しむ環境が整備されていない。競技スポーツは、パラリンピックと聾者のオリンピックと言われているデフリンピック、またスペシャルオリンピックの3つがあるが、練習環境がない。去年、台北でデフリンピックが開かれ、2,000人以上の選手が世界各地から集まったが、長期間仕事を休みにくく、やっと認めてもらった。職場の理解が得られずに参加を断念した選手もいた。スタッフやコーチも長期間休暇をとれない。障害者スポーツの理解が国民に浸透していない。環境整備と国民の理解を深めることが大きな課題だ。さらに、文部科学省のスポーツ政策と厚生労働省のスポーツ政策を一元化する体系や体制をつくるという課題がある。
    最近は障害者の社会参加も広がり、演劇、文化活動をしたいという障害者が増えているが、文化活動をする環境も整備されていない。支援も不足している。民間の演劇活動の団体やボランティアに支えられている現状で、国として支援することを検討していただきたい。ヨーロッパ、ロシアでは障害者の文化演劇活動を国が支援している例も多数ある。
  • (意見)この分野が、障害者施策で一番遅れている。在宅の重度の人への施策で言うと福祉サービスとしての支援は取組まれているが、文化という面では着手されていない。各地方公共団体でそれぞれ努力しながら、さまざまな形で取り組んでいると思う。同時に、NPOなどで障害者とともに実践しているところもあるので、今年の障害者週間のあたりをうまく利用して見つけてほしい。
  • (意見)障害者基本法は「障害者の文化的意欲を満たし、若しくは障害者に文化的意欲を起こさせ」となっているが、他の人と平等に、これらの文化・スポーツが享受できるようにすることが権利的視点から見ると第一だ。パラリンピックや障害者の芸術活動等が、他の人たちに対して刺激を与え、社会を豊かにするという側面も併記されなければならない。
  • (意見)権利条約第19条の地域で暮らす権利(c)項は大事だ。市民が通常利用する文化・スポーツ、レクリエーション等の設備や機関を障害者も自由に利用できるような施策を講じるべきだ。

障害の予防

  • (意見)障害の予防は、社会や国民の理解がないと進まない。特に、精神疾患は偏見のために早期発見や早期治療が進まない問題がある。
  • (意見)権利条約第3章第23条の障害の予防に関する基本的施策という項目自身を削除し、この中の残さなければならない施策については、別の場所に入れ込むべきではないか。

ユニバーサルデザイン

  • (意見)ユニバーサルデザインを階層別に考えると、一つは例えば高齢者と障害者の汎用性をもったデザインという取組み方で、これは強制力がなくても進む。次に、開発側に補助金が出るなど何らかのインセンティブを与えることで進むユニバーサルデザインがある。もう一つの階層は、法令で規定して強引に進めるユニバーサルデザインもある。ユニバーサルデザインを実際に進めるために障害者団体が意見を言っても、開発する会社は動かない。会社は社会に汎用性があるか補助金など法的な裏づけがないと、動かない。それでは私たちはどう取組むのか。法令で規定するのは良いが、デザインの創意工夫が出なくなる。やはり社会の意識が一番大事なので、PRの仕方を工夫する必要がある。
  • (意見)権利条約の中のユニバーサルデザインは、特定の障害者のためのバリアフリーを排除してはならないとなっているが、日本では排除されるということが結構ある。日本では、知的財産、国際標準、技術開発の関係で議論しているが、その中にユニバーサルデザインの話が入ってこない。内閣府の知的財産戦略本部会議でも取り上げるべき。今までユニバーサルデザインに関して、障害を持つ当事者は意見を聴取される側、体験を聴かれる側で、それを踏まえて企業などが製品開発することが多かった。今後は、障害当事者自身が開発する側になる体制づくりが大きな課題だ。
  • (意見)日本の場合、住宅の面積が狭いので、障害があってもなくても極めて使いにくいという実態がある。ユニバーサルデザインを建築基準法等にきちんと反映させるべきだ。大きなホテルでも1部屋か2部屋しかアクセシブルな部屋がない。入り口が一定の幅以上あれば、特別の部屋でなくても十分使える。また昭和40年代につくられた集合住宅は5階以下のものはエレベーターがないため、高齢者にとってはきわめて使いづらい。最近は、アクセシブルツアリズムとして観光に力をいれている市があるが、これはユニバーサルデザインと併せて取り組まれるべきだ。
  • (意見)今後は、第一次意見の「移動保障」「コミュニケーション保障」と「ユニバーサルデザイン」の連携を強めるべきだ。経済産業省あるいは国土交通省、総務省等で、「バリアフリー」だけではなく「ユニバーサルデザイン」を掲げた検討が進められており、こうした従来の検討の要点を推進会議でも共有する必要がある。障害者の会議で本格的にユニバーサルデザインについて議論して研究や実用化が進めば、国際貢献にもつながる。
  • (意見)ユニバーサルデザインでは、一つのデザインをつくって終わりではなく、それを評価し、更に次の改善に続けていくというスパイラルアップの仕組みが大切になる。バリアフリーからユニバーサルデザインになっても、素晴らしいデザインにはならずに、現実には、使いにくくなる事例がある。当事者が開発段階に参加すると同時に、つくった後も評価し次の改善へつなげるという、当事者参画の仕組みが必要だ。
  • (意見)北海道・東北では、冬になると車いすと点字ブロックが全く使えない。高齢者も、困難を抱えている。災害時は、車いすでの移動も困難になるといった問題がある。
  • (意見)ユニバーサルを理念として掲げることについて反対する人はいないが、便利さと他の要素が衝突しないようにするために相当な議論が必要になる。視覚障害者で問題になっているのは静穏車と言われる自動車。目の見える方にとっても後方から来る自動車の接近に気づかないのは危険だが、騒音規制との関係で促進されてきた。でき上がった後で議論が始まっているために厄介なことになっている。物をつくる過程で、ユニバーサルデザインについて検討するように機関が制度的に必要だ。また、でき上がったものを固定化せず、常に柔軟に変更できる仕組みが必要で、見直すためのシステムを盛り込んで欲しい。

その他の論点

  • (意見)5点提案したい。まず、障害者の計画策定への参加及び事業運営への参加というような項目を検討するべきではないか。特に市町村の障害福祉計画づくり、障害者計画づくりなどに、いろいろな障害、知的や精神の人たちも含めて参加することを基本法で促すことが必要なのではないか。目に見えるような形で当事者が登場し、市民理解が深まり、地域の力が強まると思う。介護保険では、グループホームなどに運営推進協議会の設置が義務づけられている。利用者と地域住民も参加し、運営について話し合う場が設けられるようになっている。障害関係でも、基本法で事業の運営に当事者が参加することを検討すべき。
     2点目は、障害者に関する情報の収集と活用を基本法の中で是非位置づけて欲しい。障害のない一般市民と比べて、障害を持った人がどういう社会参加の状態にあるのか、その格差がどこまで縮まってきているのか、総合的な実態調査とその活用ができるようにすべき。
     3番目は、権利擁護の条項を設けるべきだ。虐待防止とか差別禁止以外にも、成年後見制度を使いやすくし、権利擁護を補強する必要があるのではないか。
     4番目は、災害時対策を明確にすべき。災害時の情報の保障、避難所のアクセス、避難所での医療の保障等、検討すべきだ。
     5番目は、経済的負担の軽減に関する施策を整理し、障害者理解が深まるような方向での見直しをすべき。障害種別の格差をなくすべき。経済的負担の軽減については、基本法にあるが、推進会議でもきちんと検討することができればいいと思う。
  • (意見)今まで余り議論されてこなかったテーマとして、人材確保があると思う。障害者の権利を実現するための人材確保という議論が必要だ。障害当事者が社会や地域で生活することを支援する人材をどう養成するのか、ほとんど議論されていない。今の障害者福祉を支えているのが、ほとんどの場合ボランティアという現状がある。このような実情が続いていいのかどうか。給与保障も含め、人材確保をテーマとして議論していただきたい。
  • (意見)今、障害者も含めて新しい治療が始まっている。新しい治療に参画する平等な権利は権利条約第10条の生命に対する権利にも関わる。この他、権利条約第29条の政治的及び公的活動への参加、特に、公的活動への参加については、例えばNPOの団体などでの活動を公的活動の参加としてきちんと位置づけて欲しい。
  • (意見)権利条約では、女性障害者に関して第6条と第8条の意識の向上、第16条の搾取、暴力及び虐待からの自由、また、第28条の相当な生活水準及び社会的な保障においてジェンダーの問題が規定されている。推進会議での議論は、差別を受けた存在として女性障害者としての議論ではなかったので、障害を持つ女性の条項を一つ設けること、また、さまざまなところで適切にジェンダーの問題を規定するようにしなければならない。
  • (意見)基本法の第8条の施策の基本方針で、国及び地方公共団体が法の目的の達成のために必要な情報を公開し、情報へのアクセスを保障するべきだ。権利条約では第31条に統計及び資料の収集があり、条約の目的を達成するために政策を行い、適切な情報を収集するべきとしている。国及び地方公共団体は、既にさまざまな情報を持っているので、わかりやすく情報公開して欲しい。例えば、精神科病院の人員配置の実態、精神科病院の入院患者数、閉鎖処遇の実態、身体拘束の実態、自立支援法の支給実態や利用実態等、公開してほしい。

[以上]

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