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障がい者制度改革推進会議(第2回)
議事録

小川議長 定刻になりましたので、これより、第2回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。

委員の皆様方には、大変御多忙のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

本日は、福島内閣府特命担当大臣、泉内閣大臣政務官が出席をいたしております。

また、委員の出欠の状況でございますけれども、欠席者が中西委員、松井委員、遠藤委員でございます。

中島委員は、少々遅れて参加との連絡を受けております。それ以外の委員は、出席されております。

本日の会議は、一般傍聴者を含めまして、100名以上の方々がいらっしゃっています。

一般傍聴者の方々にも公開しておりますが、また、会議の模様はインターネットを通じまして、幅広く情報提供することといたしております。

なお、御発言に際しましては、お願いといたしまして、前回も申し上げておりましたが、発言を求めるときは、まず、挙手をいただき、指名を受けた後、御自身のお名前御述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言をいただくようお願いをいたします。

なお、本日の会議は、17時までを予定しておりますが、大まかな時間配分を説明いたしますと、全体を通しまして議事の時間を約70分程度取り、その後、約10分間の休憩を挟むという時間配分を基本といたして進めていきたいと思います。

これより、おおむね14時10分までを第1のコマ、その後10分程度の休憩をとった後、第2のコマとして15時30分ごろまで、更にその後10分程度の休憩をとった後、最後の第3のコマという形で進めてまいりたいと思います。

それでは、まず、福島大臣よりごあいさつをお願いいたします。

福島大臣 どうも皆さん、こんにちは。今日は午後中の大変長丁場の推進会議になりますが、どうかよろしくお願いします。障がい者制度改革を担当する内閣府特命担当大臣の福島みずほです。

内閣の下に置かれました、障がい者制度改革推進本部の本部長が総理、私が副本部長、官房長官が副本部長という形になっておりますので、このまさに担当している大臣です。

本日は、第2回の障がい者制度改革推進会議に、お忙しい中、御参集いただきまして、本当にありがとうございます。1月12日に、第1回の推進会議を開催し、我が国の障害者に係る制度改革の歴史的な一歩を踏み出したところです。

今日も傍聴の方も、本当にありがとうございます。

この推進会議が、全国の障害者の皆さんあるいは障害者を取り巻く多くの皆さん、また心を寄せる多くの皆さんの高い期待を担っているということをひしひしと感じております。非常に大きな期待と応援をいただいております。その声にきちんと応えていくべく、私も全力で取り組んでまいります。

さて、本日の推進会議の主な議題は障害者基本法です。お手元には皆さんから事前に提出いただいた資料を用意しております。私も全部読まさせていただきましたが、内容の濃いものとなっております。どうか、これから活発に御議論をお願いいたします。

この会議の状況は議事録の公開だけでなく、インターネットでも全国に配信されることになっておりますので、全国の多くの皆さんにできるだけ伝えることができるよう、私も心を砕いていきたいと思っております。

今後、推進会議の委員以外からも必要に応じてヒアリングを開催したり、内閣府のホームページを通じて意見をお聞きしたいと考えております。今でも是非自分たちの意見を聞いてほしい、自分たちの意見も是非取り上げてほしいという要請も、たくさん受けております。この推進会議が本当に日本全国の本当に多くの障害者の皆さんの声を集めて、エンジン部隊として頑張れるように、心から期待しております。

今日は衆議院の本会議が2時から始まりまして、フルに出られないことを、冒頭に、まず、本当に申し訳ないと申し上げ、1時間出席できますので、皆さんの議論をしっかり聞いてまた内閣としても頑張ってまいります。今日はまたよろしくお願いいたします。(拍手)

小川議長 ありがとうございました。続きまして、泉政務官よりごあいさつをお願いいたします。

泉政務官 皆さん、こんにちは。今日もこうして第2回の会議にお越しいただきまして、ありがとうございます。

前回の第1回の会議を受けて、皆様から多くの御意見をいただきました。政務三役、そして事務局、できる限りの努力をさせていただく中で、できる限り前例踏襲ではなく、この会議体の運営の仕方あるいは公開の仕方、そういったものを皆さんの御要望にお応えをしていこうということで、新たな取組みも幾つかスタートさせていただいております。是非、これから更に向上に努めていきたい。また、傍聴者の方々の、例えば手続の簡素化等も含めて一生懸命取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

そして、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、実は第1回の会合以前から今日に至るまで、本当に多くの、さまざまな分野の障害者団体の方々から推進会議のメンバーに加えてもらえないだろうかという御意見がございました。本当に、重い重い、それぞれ当事者の方からの御意見だったというふうに思います。

そういう中で、こうして今、委員の皆さんがなっていただいているわけです。どうか、それぞれの団体を超えて、先ほど大臣からお話がありましたように、障害者全体のことを一緒にお考えいただいて、また、いろんな団体の皆さんからもヒアリングをいただいて、また、精力的な御議論をお願いしたいと思います。

是非、また、本日もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

小川議長 ありがとうございました。次に、東室長より、障がい者制度改革推進会議の情報提供及び資材協力等について説明を願います。

東室長、どうぞ。

東室長 こんにちは、東です。よろしくお願いします。

お手元に資料1というものが配られていると思います。情報公開、傍聴、インターネットなどについての取扱い、前回、開催要項というものを決めさせていただいて、現段階ではこういう形で放送するということの資料でございます。

今日は、インターネットのオンデマンドという形で、この会議は放送されます。それに加えて、CS障害者放送統一機構様の御協力によって、全国24か所で傍聴する会が組織されております。聴覚障害の方、視覚障害の方、それ以外の方も多くお集まりだと思います。

検討中のところが7、それを見られる公共施設が24ぐらいありますので、全国60か所ぐらいで、これが見られるような状況になっているということになっております。本当に御協力いただきまして、ありがとうございます。

併せまして、難聴者の方のための磁器ループも、今回からは設置することができました。御協力ありがとうございました。

というところで大体の御説明です。

小川議長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、報告事項とさせていただきたいと思います。特段の御意見がなければ、これで進めさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいですか。

次に、東室長より、本日の議事の進め方について、どうぞ。

門川委員 門川です。皆さん、こんにちは。全国盲ろう者協会の門川です。盲ろう者です。

今回から、この会議が、インターネットのオンデマンド配信に加えて目で聞くテレビ、CS障害者放送などのいろいろなメディアを通じて、全国に配信されるというお話を聞いております。これは大変ありがたいことです。感謝しております。

こういうことによって、この会議が交わされた場の会議だけではなくて、公に広く公開されて、みんなと一緒に推進会議を進めていくものだとひしひしと感じております。傍聴者の皆さん方を含め、全国各地で、この会議に注目している皆さんの期待も大きいものと思います。

是非今後も、制約はまだまだいろいろあるかと思いますけれども、例えば、点字でのアクセスが難しいということであったり、いろいろ制約があるかと思いますが、今後は、この会議の様子が生中継されると、なおすばらしいと思っております。是非よいものにしていけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。

以上です。

小川議長 どうぞ。

長瀬委員 議長、ありがとうございます。長瀬です。

今の門川さんの発言とも大分重なるのですけれども、前回の第1回のときに、私たちの並ぶ机の形、これがなるべくお互いの顔が見えるようにという意見を私たちの方から出させていただきましたけれども、早速対応していただいて、本当にありがたく存じます。

やはりこの会議自体が、本当にモデルになっていく必要があると思います。今回も、例えば盲ろうの方には、指点字の通訳ということもあって、机の提供があるとか、そういう合理的配慮の提供が徐々にですけれども進んでいるということで、本当にありがたいと思います。

また、会議場の広さも、やはり透明性の確保ということで、先ほどおっしゃっていただいた、さまざまなインターネットでの配信ですとか、それに加えて、この場でやはりライブで見ていただける方もたくさん入れるような会場にしていただいたということ、本当にありがたく思います。

以上です。

小川議長 門川委員並びに長瀬委員からの御提言でございますが、室長一言だけ、よろしいですか。

どうぞ。

関口委員 全国精神病者集団の関口です。先ほど福島大臣の方からお話があって、大体それでいいのかなと思うんですけれども、実は、私精神の関係者、ネットワークがありますので、御意見等をお寄せくださいというのをやりました。そうしたら、やはり直接言いたいという声がありまして、それはこの次の会議で提言しますというふうにお答えしておきました。

ところが、いろいろメール等で寄せられてくるんですけれども、中には、個別案件等がありまして、今のこういう状況がこういうふうになって、こうだから、これを今すぐ解決してほしいとか、そういうような案件もありまして、それらを見ているうちに、これは受け付けるのは簡単だろうが、整理をする事務局というか、それはどういうふうにするんだろうか。ただし、実際に意見を聞くということは各種法律等でも行っている手続なので、それはそれとして別に構わないのかなと思いまして、先ほど大臣からも発言があったので、具体的にどういうふうにされる計画というか、企画があるのかということを、室長の方にお伺いしたいと思います。

小川議長 東室長、どうぞ。

東室長 情報保障という意味では、今が完全であるわけではあります。ですので、可能な限りいろんな知恵を使いながら、更に充実するようにやっていきたいというふうに思っております。皆さんからも、いろんなお知恵を拝借しながらやっていく所存です。

それと、先ほど関口委員の方からおっしゃいました、個別案件を含むような意見についてどうするかということですけれども、大臣からもお話がありましたように、ホームページ等を通じて意見を寄せていただくという形は、やっていきたいというふうには思っております。

それと、ヒアリングということも、今後日程の中に入れていくつもりでおりますので、そういう機会を通じて意見を上げていただければと思っております。

ただ、ここの会議の性格上、個別救済機関ではありませんので、それについての道筋を示すということまでは難しいかなと。

その個別問題にはらむ一般的な問題をこちらで学ばさせていただくという基本的な考え方でやっていきたいと思っております。

以上です。

小川議長 関口委員、よろしいですね。

関口委員 ありがとうございました。

小川議長 ありがとうございます。それでは、次に、東室長の方から議事の進め方について概略を説明願います。

室長、どうぞ。

東室長 お手元に第2回障がい者制度改革推進会議議事次第というものがあります。これを見ていただきますと、下の方に資料一覧というのはございまして、先ほど申し上げました資料1のほか、各委員の意見を並べ変えたものが資料2-1という形で配付されております。

次に、各委員の意見をそのまま移したものが資料2-2です。

資料3として、日本障害フォーラムの方でまとめました権利条約の訳並びにそれに対するコメントという形で出しております。これは、今回以降、皆様の方でずっと活用していただければと思っております。

それと、追加資料といたしまして、門川委員、大谷委員から別途文書が出されておりますので、それも今日添付しております。

以上の資料をベースに、今日は3つのコマの中で、最初のコマでは基本法の基本的な性格及び障害の定義という、この2つのテーマに絞ってやっていきます。

第2のコマでは差別の定義、基本的人権の確認というテーマです。

第3のコマではモニタリング及び障害者に関する基本的施策、その他の問題という3つのコマにわけてやっていきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。

小川議長 ただいま東室長の方からの進め方の説明がされたわけでございますけれども、そのような方向で進めてまいりたいと思いますので、どうぞ御協力をお願いいたしたいと思います。

御異議ございませんか。よろしいですね。

(「異議なし」と声あり)

小川議長 それでは、これより先の個別討議につきましては、藤井議長代理に議事進行をお願いしたいと思います。

藤井議長、どうぞよろしくお願いいたします。

藤井議長代理 議長代理の藤井でございます。どうぞよろしくお願いします。

是非、自由で、これまでの枠を超えた議論を期待しております。しかもその上で何とか一つの方向に向かってまとめ上げていこうという気持ちも是非ともよろしくお願いいたします。

繰り返しになりますけれども、ゆっくりと、そしてわかりやすく、そういう点についても配慮をし合いましょう。私自身も視覚障害者であります。是非、進行に協力をいただければと思っております。

今、出ましたように、今日の議題というのは、障害者基本法に関することを論じ合います。

それに関すること以外にどうしても今日お話をしておきたいということがありましたら、まず、受け付けますけれども、いかがでしょうか。

どうぞ。

森委員 日本身体障害者団体連合会の常務理事兼事務局長の森でございます。

福島大臣がいらっしゃる間に是非お願いしたいことがありますので、お願いしたいと思います。

このように、日本の障害者施策が変わっていく、あるいは理念も変わっていくというような大変大きな重い会議になろうかと思います。また、推進本部の方もこれを受けてやっていただくわけでございますが、是非、法律的な根拠をつくっていただきたいと思っておるわけでございます。

したがいまして、障がい者制度推進本部並びに推進会議の設置の根拠となる法律を、現在開かれている第174通常国会に提出して、速やかに成立させることをお願い申し上げる次第でございます。

以上です。

藤井議長代理 時間もありませんけれども関連して質問があれば、まず、清原委員から行きます。

清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。

今回、1回目に出された会議の開き方等々に関する要望への対応について、大変事務局が工夫してくださいましてありがとうございます。その上で、これから本格的な議論が障害者基本法を皮切りに始まるわけですが、今後、この会議の反映の仕方でお願いがございます。つまり、これがある程度まとまってから法律や制度づくりに具体的に動いていくこともあるかと思います。今回、福島大臣は内閣府の特命担当大臣としてこの会議をコーディネートしてくださっていますが、実際の障害者制度の改革については、例えば、本日配られました資料の中でも障害者の権利条約に関しては、外務省がこの間大きく関わっていらっしゃいます。あるいは特別支援教育であれば文部科学省が、勿論、障害者福祉の大いなる部分は、厚生労働省が関わってくださっています。

更に、例えば本日の情報バリアフリーの活用による会議の運営などについては、総務省や経済産業省の関連の団体等の活躍が求められます。

したがいまして、この会議で一定の結論が出てからではなく、当初からさまざまな連携やネットワークの意義が具体化しておりますので、大臣におかれましては、またこの会議の事務局におかれましては、府省を超えたさまざまな、今からの連携を図っていただけることが有効かと思います。

団体等からのヒアリング、ホームページでの意見聴取もお考えいただいているということですが、自治体関係者がこの会議の構成メンバーでただ1人であることも、一方で、私自身少し心細い点があります。実際に、障がい者の皆様に対する具体的な支援や、あるいは協働の取組みをしていく自治体現場の声を聴く機会を、ヒアリングの中には是非保障していただければありがたいと思います。

以上、会議を進めていくプロセスの中から、さらなる各府省の連携をはかっていただくとともに、自治体との連携協働の在り方について念頭に入れていただければということをお願い申し上げます。

以上です。ありがとうございました。

藤井議長代理 新谷さん、どうぞ。

新谷委員 全難聴の新谷です。先ほど、森さんから発言がございましたけれども、障がい者制度改革推進法ですか、名前はちょっとわかりませんけれども、とにかくこの会議の進め方全部が法的根拠を持った動きであるということ。それから、予算措置も非常に大切な問題になってくると思いますので、通常国会で是非この法案を上程、成立させていただきたいというのが、私どものお願いです。よろしく御配慮をお願いいたします。

藤井議長代理 ほかにございますか。関口さん、時間が余りないので、少し手短にお願いします。

関口委員 手短に申し上げます。福島大臣がいらっしゃるうちにと思いまして、この会議は確かにこういうふうに順番にやっていくのもそうなんですけれども、ダブルトラックで、つまり緊急性のあるものについてはどんどん手当していくということが必要だと思うんです。

2つあります。1つは自立支援法ですけれども、これが3年間生き残るらしいということなので、そうなると、いわゆる自立支援法下の事業所が50%ぐらいしか移行していないんです。

ところが、3年間生き残ると、全部移行しようという話になる。これは厚生労働省も、自治体もそれを前提にして動いていますので、それはちょっと困るかなということが1つ。

もう一つは、医療観察法ですけれども、これも4月に独立行政法人法が改正されて、施行されるわけですけれども、それに伴って厚生労働省が手当のための法律を出そうとしている。

この間、法務省の中村政務官に会ったときには、まだ法務省の方では承知していないということでしたけれども、共管の法律でございます。

これに関しては、大阪精神障害者団体連合会の方から、凍結してほしいという依頼のメールが来ておりますので、その辺もよろしくお願いします。

以上です。

藤井議長代理 清原構成員の御意見と関口構成員の御意見は、また承っておいて、推進法に関しまして意見が出ていました。

皆さんおわかりのように、本会議は閣議決定で動いている。これに対して是非設置法である根拠法令がほしいんだという御意見だったんですが、これは大臣一言御見解いただけますか。

福島大臣 清原さんの意見と関口さんの意見は、とりわけ府省の連携でどういう形で立ち上がりのときから他の省庁との連携を担保していくか、情報の共有も含めてということと、自治体現場の意見など、それは承りましたので工夫いたしますし、関口さんの意見ありがとうございます。

障がい者制度改革推進法については、本国会に出す法案として一応出してはおりますので、頑張っていきたいと思います。

藤井議長代理 大変力強い御発言がありましたので、非常に期待しておりますが、では、早速本論に入ってまいります。

東さんからありましたように、大きく6つプラス1、7つのセクションで分けて議論をします。すなわち基本法の基本的な性格、障害の定義、差別の定義、基本的人権の確認、そして、基本的な施策、6つ目にモニタリング、監視メカニズム、そして最後にその他。

どの委員からも全部ではなかったんですが、資料2-1、資料2-2、資料2-1は全体を見やすく一覧化しております。資料2-2は原文のコピーです。

まず、今から60分ほどなんですけれども、30分間ずつ2コマにわけまして、前段に基本的なこの法律の性格と、これを議論して、後半の方では障害の定義、それで休憩に入ります。

30分ですと、東室長に、まず冒頭に5分ぐらい論点のお話をしていただきます。その上で、恐らく5~6人の御発言をお願いします。基本的にはペーパーにある御意見は、ここに入っておりますので、それを補強する意見またはどうしてもペーパーを出せなかったという方についての御意見、この辺を中心に進めていこうと思っております。

この新しい基本法にどういう要素を、どういうものを入れるのか、なぜ入れるのか、現在の基本法では、これは要りません。こんなことをお話ししていただくといいかと思います。

では、まず最初に、障害者基本法に関する性格、理念といってもいいかもしれません。これに関して話を進めてまいりますので、まず、東室長から発言をお願いします。

東室長 各委員の方々から、多くの資料、意見をいただいております。簡単に御紹介を申し上げていきます。

まず、大谷委員の方からは、障害者基本法を障害者の権利章典として、権利条約に明記された人権を国内法レベルで確認して、それぞれの権利の根拠とするべきだということで、具体的には前文を設け、理念・哲学を指し示すこと。権利法とすること。権利の主体を明らかにするというようなことが提案されております。

大濱委員からは、基本的にはJDFの見解に賛同された上で、特に差別の定義を基本法に書き込むことや、権利条約の理念に基づいて、障害者施策を実施すべきこと。

各条項、障害者を権利の主体として書き直すことという御意見をいただいております。

小川委員の方からは、基本法は、条約の規定に基づいて、障害者を権利の主体と位置づけた抜本的な改正が必要である。障害者に関する法規、施策は条約の規定に沿った新法の規定に従って制定、実施されなければならないという趣旨を明確に規定することが必要だということをいただいております。

尾上委員からは、保護される対象ではなくて、権利の主体とした条約の趣旨を踏まえて、障害者を権利の主体として、どんなに重度な障害があっても、地域社会で差別を受けることなく、障害のない人とともに障害のある人が生きがいのある生活を送ることができるような法制度の体系の基本に、この基本を据えるべきだという御意見が上がっております。

川崎委員の方からは、障害者を権利主体者とした法の体系にすべきであるという御意見をいただいております。

北野委員からは、障害者基本法は、障害者権利条約を前提として、障害者基本法の修正すべき部分は修正し、足りない部分は新たに補足すべきだという意見をいただいております。

清原委員の方からは、障害者自立支援法、障害者差別禁止法、障害者総合福祉法、全体的な法制度の枠組みの中で、この障害者基本法を位置づけるべきであり、障害者に関する基本的な考え方、理念、障害の定義などを盛り込んだ中核的な性格のものになるべきであると。

したがって、障害者の権利条約の内容、項目と対応し、リンクした形のものにすべきであるという御意見をいただいております。

佐藤委員の方からは、障害者基本法の基本的な性格としては、障害者の権利法たるべきものであると、また、それを実現するために国・自治体の責務を明記すること。行政から独立した条約実施のモニタリング等、そのほか基礎の規定の修正や、新規規定の追加が必要であるという御意見をいただいております。

新谷委員の方からは、基本法も役割は、日本国憲法及び国連障害者権利条約の規定を障害福祉分野の法令・施策に具体化することにあるというふうに考えるという御意見をいただいております。

今回、基本法を見直すに当たっては、個別法に対する基本法の優越性を明記すべきである。そういう形で法体系の整合性を図ることが重要だというふうに考えますということをいただいております。

また、関口委員からは、障害者権利条約が人権条約であることにかんがみて基本法においては人間の尊厳の尊重、人権の実効的保障を担保する、そういうものであるべきであるという御意見をいただいております。

土本委員の方からは、ここに書いておりますけれども、現在の基本法は、当事者主体、自己選択、そういうものが権利として保障されていないと、そういう中で多くの仲間な入所施設に閉じ込められていて、地域で生活する上で適切に必要な福祉サービスが受けられない現状にある。ですので、そういう基本的な人権をきちんと保障する形で基本法を見直していくべきだという御趣旨のことだろうと思います。

久松委員の方からは、障害者権利条約を根拠にして行政政策の推進というものから、障害者の権利行使の実現に向けて抜本的に改正していく必要があるだろうという御意見をいただいております。

松井委員の方からは、総合福祉法が制定されるまでの当面の間は、基本法に障害者に関する総合福祉施策の根拠法としての性格と、障害者の権利保障法としての性格を併せ持つものにすべきだという御意見をいただいております。

以上が大体いただいた意見の概要でございます。

藤井議長代理 ありがとうございました。第1回目の折に、福島大臣から、当座、3つの大きな法律にみんなで着手していって、そして夏までに基本方向、基本方針を出していこうと。今日は基本法ですが、これに総合的な福祉法制、差別禁止法制、この全体の3つがあるんだということを頭に入れながら、この基本法で何をどう深めるか、あるいはどういう論議をするかということです。

今のこと、これ以上繰り返しません。この基本性格に関して発言を少しいただきます。いかがでしょうか。

竹下さん、どうぞ。

竹下委員 竹下ですが、私のペーパーの2番目の項目が差別の項目に分類されているわけですけれども、基本法の性格について触れた部分が、そちらに分類されていることは構わないんですが、この基本法の性格を論じるときに、私が書いたことで、ちょっと意識していただきたいのは、現在の基本法はどういう目的を持った基本法かということを押さえていく必要があるだろうと思っております。

現在の基本法は、ごらんのとおり、国、地方公共団体の義務・責務を定めるとともに、国民の義務も定めております。事業所の責務もです。そういう意味では、性格を定める上でわかりにくいあるいは混乱しているというふうに言わざるを得ません。

したがって、この基本法において国民の義務までを定めていることをどこに今後位置づけるかということも必ず議論指定をしておく必要があるし、基本法を権利法典にするということであれば、現在の国民に対する責務・義務というのはここに入らないということを指摘しておきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、続きまして、大谷さん。

大谷委員 大谷です。追加で、本日、資料を出させていただきました。障害者基本法の性格について、その2として出しました。事前に配られました皆さんの意見を見て、基本的に理念を確認するということはすべて共通していると受け取りました。これに対しては異論がないと受けとめました。その上で、竹下委員から出ている先ほどの意見が、分類が9ページの方にわたってしまっていますが、基本法の性格に関してはやはり施策に対して拘束力の持つものを提起するべきであると提案されています。

これが権利章典とするべきであるということと、どのように整合させるのかということについて、今日若干の意見を追加させていただきましたので、本日配付資料になりましたので、まとめには入っていないんですけれども、若干補足意見を出させていただきたいと思います。

まず、やはり一番現行障害者基本法に欠けているのは理念の欠落だろうというふうに思われますので、これは障害者権利条約にのっとって、やはり前文を設けた上できちんと確認していただきたい。

これを確認した上で、これを具体化するために国に対する基本政策、この枠組みを明示するということでは努力義務ではなく、基本的な指針を示すということを加えるべきだと思っております。

近く我々が経験したところでは、権利章典としての、我が国すれば最高の格調の高かった教育基本法、この改正を経験しております。教育基本法は戦後教育に対する基本理念を指し示すということで、憲法に準ずる法律ということで、最高の位置を占めていたと思います。それが近時、2006年に改正されたことは皆さんの御記憶にあるところだと思います。この教育基本法は、基本法のまさに先駆けとして権利を確認する、そして、国に対して、教育に対してあるべき位置を指し示したということはあるんですけれども、残念ながら権利法典とすれば、抽象性の高い法律だったんですけれども、行政に対する拘束力ということからすると、第10条教育行政という1か条を設けてあるだけだったということで、これを今回基本法の改正の中で、章立てを変えて、教育行政に対する、第3章、教育行政というふうに章立てにして2本立てにし、理念を確認しつつ、行政の責務を明らかにするということを、別章にして改正をしたという経験を直近でしています。これを我々も今回障害者基本法の改正に当たっては、参考にして、理念は理念としてしっかり前文を設けて確認していただきたい。ただし、理念に終わるのではなくて、やはりそれを行政に対する拘束力のあるものとして、章を別章に設けて、基本的な教育行政の在り方をきちんと明示するということを分けて考えたらいいのではないかと思います。

加えて、今、竹下委員の言った国民に対する責務というふうに述べたときに、やはり理念の中でも国に対して、まず、第一義的な負担、責任のある福祉、社会権に関わること、これに関しては、国が、まず、第一義的な責任を負っているということは明記してもらいたいし、明記するべきだと思います。国民がもし義務を負うとするならば、差別の禁止という、我々の日常生活における差別、これに対しては国民を挙げて差別をなくすようにするということを意識すべきだということで、そこも権利の中身を意識した形で、規定していく必要があろうかと思っております。

以上、若干長くなりましたけれども、補足意見を述べさせていただきました。

藤井議長代理 ここで大臣は、今日代表質問がありますので、退席させていただきますので、どうも大臣ありがとうございました。

福島大臣 よろしくお願いします。

藤井議長代理 大変大事な論議を、竹下構成員と大谷構成員の方から大変核心に触れる話があったんですが、これに関する意見があったらお出しください。

大濱構成員。

大濱委員 大濱です。今の関連で、実際に基本法を見ますと、4条で国の責務がありまして、それで8条が基本方針、それから12条以下に個別分野が挙げられています。具体的に12条では、医療とか介護のところで、何々をしなければならないということで、国の責務としてうたっているわけです。このリハビリテーションにおける責務については、しなければならないと、義務的なことになっています。しかし、現実的に現場でどういう状況が起こっているかといいますと、リハビリテーションにつきましても、十分なリハビリ医療が受けられないというような現状です。

従って、ここで基本法の中でこういう形で国の責務としてしなければならないという義務的な言葉でうたわれておりますが、実質的にはそれが相当乖離した形で現場では行われているということを踏まえますと、先ほど大谷委員が言われましたように、もっと具体的な章立てをして、これらをきちんと責任を持ってやるような形の文言にしていくような形のつくり直しということが必要なのではないかと思います。

藤井議長代理 もう少し意見が取れますが、いかがでしょうか。

関口構成員。

関口委員 関口です。ちょっと私が書いたのは短いので、補足させていただきますけれども、自由権、社会権というのは、一般的に言われていて、この自由権と社会権が密接不可分に絡み付いていて、分離不可能ということは条約の前文でも言っていることです。

ただ、条約の中で一番肝になっている人権の考え方というのは、やはり3条の一般原則、固有の尊厳とか、個人の自立です。あとは無差別、社会の完全かつ効果的な参加及びインクルージョンですね。

ですから、この条約に基づいて、それを担保するような形で基本法を考えるのであるとすれば、やはり条約の一般原則3条をきちんと担保できるような形でやらなければいけない。

その中には、当然差異の尊重ということも入っているわけですので、その辺も含めて基本法の中に入れていった方がいいのではないかと思っております。

以上です。

藤井議長代理 ちょっとタイムラグがありますので、久松さんや門川さんや新谷さん、御意見いかがでしょうか。

新谷構成員。

新谷委員 先ほどの大谷さんの御意見の補足です。今回の基本法の改正に当たってほかの法律に対して基本法が優先するというのは、法的な意味では非常に大きなポイントだと思います。例えば先ほどおっしゃいましたように、教育基本法は第18条で、この法律で規定している諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならないと非常に明確な書き方をしております。

それに対して、基本法の規定に近い環境基本法は、第11条で、政府は環境の保全に関する施策を実施するために、必要な法制上または財政上の措置その他の措置を講じなければならない。文言がかなり違っているわけです。

教育基本法は、かなりの強制力を持って、個別法を縛っている。だけれども、環境基本法は障害者基本法と同じように、理念法に終わるかどうかというのは、この文言の書き方が大きなウェートを占めているんではないかと思います。教育基本法はなぜこういうふうにきちんとできたのかというのは、文部科学省の範囲に全部限定された法律なので権限を持っているが、障害者基本法は、いろんな省庁、例えば厚生労働省の法律にも関係するというので、かなり権限的に弱くなっているという話を聞きましたけれども、そういうことが法律上現実にあるのか。こういう政府に設置された会議で決まる法案ができれば、やはり、全省庁に対して権限を持った法律という位置づけが必要ではないかと思います。その辺についてのお考えも議論をいただきたいと思います。

藤井議長代理 議論をしていきたいんですが、この項に与えられた時間をオーバーしています。したがって、どうしてもという方があれば発言をいただきますが、山崎構成員と、門川さんのお2人で一応は終わりますよ。我慢してください。

では、山崎構成員お願いします。

山崎構成員 山崎です。ありがとうございます。基本法の改正方向について、皆様方の御意見を拝聴していて、基本的には賛成でございます。理念法の部分が必要である。同時に権利法の部分も必要である。また同時に行政施策の根幹となる部分も必要である。全く賛成でございます。

実は、今、日本に基本法と名の付く法律は32種類あるんです。先ほどもお話があったとおり、教育基本法だけが少し異質というか、強いパワーを持っているように感じます。

私の見るところ、基本法というのは、世の中に新しい事態が生じたときに、とりあえず政府が寄って立つスタートラインとしてつくるというのが基本法というネーミングを持っている法律ではないかと思っております。

そのように考えますと、今、皆さん御議論されている基本法の改正方向、こうした重大なものを盛り込む名前として基本法というネーミングは、少し軽くなっているのではないかというのが率直な感想でございます。

ですから、これは非常に難しいことかもしれませんが、名は体を表すということもございますので、できれば障害者の権利に関する法律、障害者権利法というようなネーミングのものをつくって基本法を廃止するということも選択肢の一つとして御検討いただければありがたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 門川構成員。

門川委員 盲ろう者協会の門川です。私は、少し違った立場から発言をしたいと思います。

今回のペーパーは、締め切りに間に合わなかったために、ぎりぎりになって申し訳ありませんでした。ですが、目を通していただければうれしいと思います。

今回、この基本法について議論するに当たって、基本法を読んでみたのですが、それで感じたことを言わせていただきますと、この基本法というのは、理念法ということで、障害者が社会で生きていくための権利の保障であったりとか、そういった理念的な考え方、その中でも、特に情報保障ということでは、この理念法には書かれていないのではないだろうかと強く感じたんです。

特に、情報障害の人たちに対する配慮がこの法律ではなされていないのではないか。この世の中には情報障害ということでいろいろな問題が横行していまして、具体的な例を言いますと、例えば聴覚障害の運転手が、東京から大阪に行って、大阪で交通事故に巻き込まれた。それで、警察が来て警察とやりとりをするために、手話通訳を呼ぶことができない。大阪の人間でないために、手話通訳を配置することができないという問題が実際にあったりします。

このように、現実ではこの聞こえに対する保障がされていないと感じ取れるんです。これは5年前の法律ですから、そのあと障害者の権利条約が採択されて、変わってきているわけですから、障害者の権利条約を基本に改正していっていただければと思います。

そして、コミュニケーションや情報の保障ということで定義も設けて、手話は言語であるということは、明記しておくといいのではないか。

この基本法に従って、国はいろんな法律をつくっていくでしょうし、そういうことで、思ったことを言わせていただきました。

以上です。

藤井議長代理 今のお話は大変大事なことではあるんだけれども、少し次の後のところでも関係いたします。またそこでもオーバーラップさせていく点かと思います。

一旦、ここでこの点は打ち切りますけれども、今のお話というのは、トータルに考えてみますと、既存の基本法をいじるということよりは、もはや新しい法をつくっていくんだと、それは、山崎構成員がおっしゃったように、基本法という名前から、権利法という、あるいは権利法典という言葉が出ていますし、竹下構成員の方からもありましたように、国の義務、そして障害者の権利という関係、こういう点に置いて、1つ発想を変えていこうではないかという要素がおおよそ共通にあったと思うんです。

これを一応押さえておいて、また、議論はできますので、権利という問題、そして、国の責務、拘束力のあるもの、同時に名称変更も視野に入れられないか。なかんずく新しい法をつくるという感じでことができないかと、このコマではこういうまとめをしておきます。

次に進めさせていただきます。時間が大部分オーバーしています。東室長、少し簡単にしてください。

では、冒頭での論点をお願いいたします。

東室長 次に、障害の定義に関してです。

大谷委員からは障害の定義を社会モデル化することという提案があります。ただ、その際、国民に対する啓蒙という点を意識して、わかりやすく規定するべきだということが挙がっております。

小川委員からは、障害の社会モデルあるいは相互作用モデルを採用した条約という観点から、制度の谷間をなくし、すべて包括するような規定にすべきであると、機能障害がないような場合、例えば過去の経歴のような場合もくみ得るような概念にすべきであるという御意見です。

尾上委員からは、条約で示している障害の社会モデルに沿って、現行の極めて狭い障害の範囲を改正することが求められている。

それと、障害に基づく別の多様な実態からして、障害のみなしや過去の経歴、障害の範囲に含める柔軟な対応が求められているという御意見です。

川崎委員からは、重い、軽いの判定で決めるのではなくて、個人が何を望んでいるのか、どういうニーズを持っているのか、そういうことを基にサービスが利用できるシステムにできればよいというふうに考えておりますと書いてありますが、言葉としては使われておりませんが、要は医学モデル的な基準から考えるのではなく、社会モデルに立って考えるべきだという御意見だろうと思います。

北野委員からは、他の障害者関連法規が準拠すべき障害の一般的な定義として社会関係モデルを前提として、そういうことを明確にするという御意見が挙がっております。

佐藤委員からは、障害者権利条約の障害もしくは障害者の概念を反映させるという観点から、佐藤委員の定義として掲げてあります。これについては見てください。

新谷委員の方からは、障害以外の定義についても規定が必要だろうというふうにされた上で、障害の定義については権利条約に沿った形に見直すこと。障害の種類による谷間をなくしとともに、障害の程度による谷間もなくすという観点がその際必要だろうということが書いてあります。

関口委員からは、障害者基本法上の定義について、直接言及されているわけではないようですが、基本的には国内法でより広い、隙間のない定義を用いるべきであると。

そういう観点に立って、例えば精神保健福祉法上の手帳とか、知的障害の手帳などの現行制度を検討していく必要があるということをいただいております。

竹下委員からは、障害の範囲が狭過ぎる。または精神的、知的理由により社会生活において何らかの支援を必要とする者、あるいは社会構造が原因となって、社会参加が阻害、限定、障害されているものについては、すべて障害者ととらえるべきであるという意見をいただいております。

久松委員の方からは、障害の社会モデルの考え方に基づき整理する必要がある。

松井委員の方からは、障害者の権利条約の生涯及び障害者の概念を反映したものとすべきと。

基本法による障害者の定義は、具体的なサービスや給付提供を意図した個別立法とは異なるわけで、日常生活や社会生活上、何らかの支障を持つすべての人、難病なども含む、そういう包括的なものであるべきだという御意見をいただいております。

以上が障害の定義に関する御意見でした。

藤井議長代理 ここも非常に多くの点で共通点があります。それはもうおわかりのように、権利条約というベースがあったからです。

議論としましては、もし、この共通点以外で、特に今日のこのコーナーでは、12名の意見が出ております。

それ以外でもしあればというのと、是非意識すべきは、このメンバーには団体で入っていませんけれども、発達障害あるいは難病による障害、そして、高次脳機能障害、ユニークフェイス、こういった谷間と言われている障害の方たちもたくさんいるということも意識をしながら議論していきましょう。

いかがでしょうか。

佐藤構成員、どうぞ。

佐藤委員 先ほどから基本法が個別法に対してもっと力を持つべきだと、拘束力を強めるべきだという議論が出されておりますので、それをこの定義のところに当てはめて考えると、私は6ページのところに改正案を提案しているわけですけれども、これに付け加えて次のような表現をこの定義条項の中に入れることが望まれるのかなというふうに思っております。

それは「障害者とは」ということで、これこれという定義をした後に、障害者のための各分野の法律の制定に当たっては、その法律による支援を必要とする障害者が、漏れなく含まれるよう定義することとするというような表現を入れる必要があるのかなと思っております。

以上です。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

門川構成員。

門川委員 門川です。具体的に発達障害とか、高次脳機能障害とか、難病などのお話がありましたけれども、我々盲ろう者からも、今回添付資料として出させていただいておりますが、厚労省に対して出した要望書があります。この要望書の中に、盲ろうという障害を独自の障害として法的に盛り込んでほしいというようなことが書いてあります。

盲ろうというのも、障害の定義の中に入れてはどうかという考えなんですが、盲ろうというのは、国の調査によっても、人口としては非常に少ないですが、実際に盲ろう者もこの世の中にいるわけですから、盲ろう者も障害の一種として定義に入れるべきかどうかという議論が出てくるかなと思うんですが。以上です。

藤井議長代理 大変大事な議論なんですが、門川さんに確認しますが、今度の定義の中に盲ろう者あるいは盲ろうという固有名詞を入れた方がいいという意見ですか。

門川委員 門川です。はい。

藤井議長代理 そういう御意見だそうですが、全体を通していかがでしょうか。今の御意見に絡んでもいいし、別の見解でも結構です。

尾上さん、どうぞ。

尾上委員 尾上です。5ページに書いていることにちょっと補足をいたしますと、障害者基本法が1993年に成立し、その後、2004年に改正されたわけですが、やはりその中でも附帯決議等で、やはり制度の谷間の問題の解決がいわれていたのにいまだに残されています。そういう意味では、発達障害や高次脳機能障害、難病等を含めまして、その谷間をなくすというのは、やはり今回の基本法の抜本改正と言われるものの中の1丁1番地の課題だろうと思うんです。この問題については待ったなしであるということを強調したいというのがまず1点でございます。

その上でなんですが、やはりこの間の障害者基本法の成立と改正、さらに、その前進である旧心身障害者対策基本法から含めていいますと、制限列挙的にいろいろ挙げるというよりは、いかに包括的な規定をしていくのかという方向が基本的な方向かなと考えます。それが1つです。

その上で、佐藤委員の方から出されているものと、私の方から出させていただいたものというのは、ほぼ相互作用や、あるいは社会モデルということで共通しているんですが、あえてちょっと申し上げますと、佐藤委員の方の身体障害、知的障害または精神障害で括弧の中に発達障害や高次脳機能及び慢性疾患に伴う症状を含むということで括弧で入っているので、これで漏れなくということにはなるんですが、ともすれば、日本の今までの法律体系の中で身体障害というのは何々法にいう身体障害であるみたいな形の、やはりそういう規定が先に走ってしまうので、より包括的なものだということで、私どもの提案としては身体的障害、知的障害、精神的、知的精神、それぞれ的が入っているという形にしています。身体的障害というふうにすれば、よりそういう意味での包括性ということが示されるのではないかということが1点です。

もう一点が、この基本法の性格の中に、権利規定、そのための行政の責務ということに加えて、差別禁止ということも入れるとするならば、やはりその中にみなしや過去の履歴ということも含まれるべきではないかということを申し上げたいと思います。

藤井議長代理 大変大事な論点が、今、出ましたけれども、ほかにいかがでしょうか。

竹下さん。

竹下委員 今の尾上さんの意見にあえて付け加えれば、若干それは混乱した議論を持ち込まれていると思います。

といいますのは、障害の定義の中に、目的との関連づけで障害の定義をするとなったときに、そこは整理する必要があるという結論です。

といいますのは、アメリカのADAという法律の下で、三菱重工の出先企業だったと思うんですが、アメリカの女性が片腕の手首かひじ関節か忘れましたが、障害が若干ある方の配置を巡るADAの訴訟において、当該女性はADAの対象外であるという裁判例があります。

それは、何を意味するかというと、目的によって規定される障害というのと、それから、広く障害者とは何かということを議論するときとは、おのずとずれが出るということだろうと思います。

したがって、障害者基本法で障害の定義を考えようとするならば、何を目的とするかということを決めることが前提ということになるのであれば、禁止法との関係をどこで整理するかということになるし、そうではなくて先ほど理念とか、そういう話がありました。あるいは権利法典という話がありましたが、その点に主眼があるならば、目的からくる部分に限定されることのない定義という整理が必要になるんだろうと理解しています。

以上です。

藤井議長代理 竹下構成員は、参考までにどっちの方だと思っているんですか。

竹下委員 私は基本法で言うときには、やはり権利法や理念法でいくべきだから、目的から限定をしない方がいいと思っています。

藤井議長代理 清原構成員、これに絡む話ですか。

どうぞ。

清原委員 ありがとうございます。ただいま竹下委員からも問題提起されましたように、今回、障害者基本法における障害者の定義ということについては、理念的には総合的、包括的であるということが求められているのではないかと私も認識します。

そういう意味で、先ほど佐藤委員も提案されましたように、障がい者の定義の中に、個別的な障がいを列挙せざるとも、現実的に顕在化してくる多様な障がいのある方を包含できるような総括性というのは、あるいは包括性というのは求められると思います。

ただ、私は自治体の立場で、具体的に、障がい者の皆様を支援する取組みをさせていただいておりますので、基本法の場合には、そのように発言をさせていただきながら、実際には、このサービスについては、どの障がい種別の方の、どのようなときに支援するべきかどうかということについては、それなりの細分化された基準なり、要件なりが示されていくということがあり得ると思います。

例えば、1例として、難病の方に対して三鷹市では医師会と連携をしながら、長年にわたって総合的な医療相談を実施しておりますが、国で難病として指定されている病名もあれば、そうではない方もあって、難病と認定される方とそうでない方の谷間というのも経験をしております。

したがって、包括的には難病も含むというふうな方向性が望ましいと思いますが、具体的な医療であるとか、薬剤支援であるとか、各支援サービスを提供するときに、何らかの具体的な基準があったときに、すべての人を包含できるかどうかということについては悩ましい現実もあります。

それを認識しつつ、繰り返して申し上げますが、基本法の場合には、なるべく多様な障害のある方の権利や人権を尊重できるような定義というのが、今、求められているのではないかと、障がい者関係者の方からの問題提起からも認識しているところです。

以上です。

藤井議長代理 では、関口さん、時間が少しオーバーしているので、特別なければ、関口さんで一応打ち切りますが、よろしいですか。

では、関口さん、お願いします。

関口委員 関口です。まず、障害の定義をするのか、障害者の定義をするのかというところで分かれると思うんですけれども、障害の定義ということであるとするならば、やはり社会モデルに沿った定義、例えば身体的、精神的、知的状態が疾病障害その他の事情に伴い、そのときどきの社会環境において、他のものとの平等を基礎として、社会に完全かつ効果的に参加することを妨げると、障害者とは、上のような障害を持っている人で、継続的または断続的に相当な制限を、つまり日常生活、社会生活に参加することに伴うということですね。

なぜ、これを言うかというと、例えば精神保健福祉手帳のことは飛ばされてしまいましたけれども、実はあれは人格障害の方は入らないことがあるんです。つまり機能的にも問題ないし、能力的にも問題ないと、だけれども本人は社会との間との軋轢でもって本当に困っているんです。

これは個人に帰着させられてしまうと、社会モデルを取れば障害に入るんですけれども、そうじゃないと、障害者ではないということになってしまって、それは非常に困るということがあります。

もう一つ、何かを目的と障害のあれがごっちゃに論ぜられているみたいですけれども、目的は目的として、私は少なくとも権利というのは物すごく皆さんよく承知してるので問題ないと思いますけれども、やはり権利の基になっている人間の尊厳ということを、1条の中でも入っているわけですから、それは絶対に抜かしてほしくないと思います。

以上です。

藤井議長代理 堂本構成員から手が挙がっています。どうぞ。

堂本委員 ありがとうございます。今、清原委員がおっしゃったので、大体よろしいかと思うのですが、私も行政の立場から言わせていただくと、やはり社会的モデルの視点からの制度構築の必要性が現実の問題としてあるんです。

どうしても今までは現行法で定義されている障害者だけしか福祉の対象にならない。その枠の外の方が本当に悩み、現実的にいろいろと不便をしておられる場合があります。つまり定義が限定的で、定義されない人が大勢います。

今、関口さんからも精神障害の領域の問題が出ましたけれども、本当に定義が限定的であるために隙間に落ちた方、あるいはないがしろにされてきた方というのが、非常に多いということを現場では経験しています。

ですので、私は竹下さんもおっしゃいましたけれども、目的で限定しない方がいい、少なくとも何という名前の法律になるかわかりませんが、基本法あるいは障害者の権利法というような名前になったとしても、やはり社会的モデルの重要性を強調しておく必要があると思っております。

以上です。

藤井議長代理 この議論につきましては、まず、共通なのは、表現は幾つかありましたけれども、佐藤さんの方は漏れがないということを御自身の意見書に加えて、今日追加がありました。

尾上さんからは、やはり谷間をつくらないということを、まずベースに、その上でより包括的にという制限列挙方式に戻るまいということも言われました。

加えて、この法律の目的というものと、一番の障害者権利法あるいは障害者基本法の障害ということは関係が深いわけですが、ここのところのリンクという問題は詰める必要があるだろうということも出ていましたので、争点ということよりは、それを更に収斂していく方向でと思っておりますので、一応、この件に関しては、以上で打ち切りますが、よろしゅうございますか。

では、ただいま時間が17分ですか、では、時間もありませんから27分まで休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、時間がまいりましたので、着席していただけますか。第2コーナーに入ります。

これからは3時35分くらいをめどにして進行してまいりますので、この中で2つの分野を議論します。差別の定義、それから基本的人権の確認。

では、また、東室長から差別の定義に関する論点紹介をお願いします。

東室長 東です。差別の定義に関しては、大谷委員の方から、合理的配慮の欠如を含めた差別の定義を明確にする必要があると。ただ、裁判規範性を有する差別禁止法の制定の必要性については、別途意見を述べるということです。

大濱委員の方からは、差別の定義を障害者基本法に書き込むことということで、特に障害の程度が重いことを理由にした差別を禁止する必要があるということが書かれております。

小川委員の方からは、条約に基づいて、直接差別、間接差別、合理的配慮を行わないことの3類型を規定すべきだと。

なお、積極的差別是正措置あるいは特別の措置は差別に該当しない旨を規定すべきであるという意見をいただいております。

尾上委員からは、直接差別、間接差別、合理的配慮を行わないことの3類型が含まれることを明記することが必要であるということです。

それとの関連ですが、障害者欠格条項が現在も存在している。これも差別禁止に抵触するので、このことについても、この会議の中で検討するべきであるということが挙げられております。

川崎委員の方からは、差別の定義については当然あるべきだと考えるということがあります。

北野委員からは、差別の一般的定義、直接差別、間接差別、合理的配慮の欠如を明確にし、かつ社会生活分野ごとの差別の定義と救済に関しては、障害者差別禁止法によることを明確にするということが挙げられております。

新谷委員の方からは、3類型の定義を規定に入れることが望ましいという意見が挙がっております。

関口委員の方からは、差別の定義については規定すべきであると。積極的差別是正措置については、アメリカにおけるアファーマティブアクションの果たした効果を記すべきであろうということが挙がっております。

竹下委員の方からは、先ほど議論がありましたけれども、基本法の性格が不明確であるということもありまして、それを前提として、現在の33項は差別禁止を規定しておりますけれども、法規範性があいまいであるということで、差別禁止規定はあくまでも障害のある人の権利条約に沿って、別法、差別禁止法等において、より具体的に法規範性を具備したものとして規定すべきであるという御意見をいただいております。

したがって、委員の方からは権利条約の定義に基づいて合理的配慮を行わないことは差別であることを明確にする必要があるという意見をいただいております。

松井委員の方からは、条約の定義などを参考に、障害を理由とする差別について定義をすることが必要である。

積極的差別是正措置、例えば障害者雇用率制度などは差別ではないという規定も必要であると書かれておりますが、ただ、恒久的なものではなく、目的の達成と同時に廃止されるという旨の規定も必要かということで書かれております。

合理的配慮については、合理的配慮の規定自体だけではなくて、国もしくは行政の技術的、財政的支援の提供ということも規定する必要があるだろうということです。

それと、救済に関しては、別途制定されるであろう障害者差別禁止法または包括的な人権擁護法に委ねるのが適当であろうと。

こういう御意見をいただいております。

藤井議長代理 それでは、また、どうぞ御自由に御意見があればお出しいただきたいんですが、いかがでしょうか。

では、土本さんからいきましょうか。

土本委員 差別については、今、知的の入所者13万人も閉じ込めているというのは、一番差別ではないかということと、依然として虐待がなくならない。

今日の資料として、新聞とか、昨日も書いているんですけれども、改革推進委員会が終わった後の新聞で、兵庫県のパン工場で行なわれたものが文書とか新聞とかを見て知った。その間、だれも知らないまま過ごしていた仲間たちが虐待をされてきた。奈良の大橋製作所、札幌の三丁目食堂にも以前、事件があった最中でも虐待が行なわれていたこと。

それと、入所施設でも虐待、いっぱい仲間たちが訴えても、なかなか声が届かない。自分たちが出かけて、それでやっとわかってきたということも含めて、どうしてそういうことになるのか、まず、人としてのことではないかと思うし、いろんなことで人として見ていないことも含めて聞きたいと思っております。

本当に強い罰則でいかないと直らないんではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 土本さんのお話は、繰り返し、少し補足すると、入所施設等である現実問題、また虐待ということも差別と延長線上に関係が深いんだけれども、今の障害者基本法、これは竹下構成員の方から入っておりますが、第3条3項で何人も障害を理由として、差別、その他、権利利益をしてはいけない。差別禁止があるんだけれども、現実は差別がいっぱい起こっている。法の効力がないということですから、当然、これからの議論というのは、法の効力が出るように、そのときに改めて何が差別かということをきちんとこの国では考えましょうということだと思うんです。

そういうことで、12名の意見が出ていますけれども、8名の方が直接差別、間接差別、それから合理的配慮の欠如、3類型、これを挙げております。

議論としては、これ以外の議論があれば、少し伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

どうぞ。

竹下委員 竹下です。土本さんの発言に関連もしますが、私は差別と虐待は根っこが同じ部分があることは確かなので、それを前提で議論されていることでいいんですが、別の言い方をすると、やはり場面ないしは支援の仕方が違うということもありますので、ここに項目立てはされておりませんけれども、差別とは別個に、虐待について十分な立法が必要だと思います。

これは、社保審の障害者部会でも私は申し上げたんですけれども、我が国の社会的弱者と呼ばれる人たちの中で、虐待防止に関する立法がないのは障害者だけなんです。これは極めて重大な欠陥であります。すなわち子どもの虐待、高齢者の虐待、女性に対する虐待、これらについては立法化されているんです。十分、不十分はあります。しかし、障害者に対する虐待はありません。やはりこれは別個の体系が必要です。例えば障害のある人の虐待というのは、単純にほかの虐待と一緒にできないのは、極めて複雑な要素を持っているからです。施設における虐待、家庭内における虐待、社会の中での虐待、企業内における虐待、極めて複雑で異なる視点からの支援が必要でありますから、これは独自の立法が必要だというのが1点目。

差別の関係で、これは我々弁護士活動をしていて、非常に残念なことを経験しているので、ここで指摘をしておきます。

といいますのは、障害者基本法3条3項があるにもかかわらず、これまで国が裁判の中で残念ではありますが、国自らが3条3項は、言わば理念規定で、これによって裁判を判断することできないんだと、国自らがそういう見解を述べてきております。

裁判所もまた、3条3項が立法化された後で、差別に対する救済を求める訴訟においても、3条3項を根拠として救済は無理だと、具体的に何を基準として、何をもって差別とするかということについては、極めてあいまいだから、それ自身が残念ながら裁判規範性という言い方をしますが、それとしては不十分な規定であるということを、繰り返し裁判所の中で言われていることを是非念頭に置いていただいて、差別禁止規定のより具体的で明確な基準化された立法をということをあえて指摘しておきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 ちょっと川崎さん、待ってください。大事なことなので、今日は生中継をCSテレビでやっています。第3条を3項がどういう法律かちょっと読んでもらいましょう。私は目が見えないので、うちのアシスタントの多田から読んでもらいますので、よろしくお願いします。

介助者 3条3項。第3条は基本的理念ですね。その3項です。「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」。

藤井議長代理 こういう立派な文言がありながら、今の話を聞いていますと、理念規定という一言で効力がないということらしいのです。では、川崎さん、どうぞ。

川崎委員 精神障害者の家族会でございます。私がここに保護者制度ということを差別法であると明記いたしましたが、この保護制度がどんなのものかお分かりにならない方が多いのではないかと思いますけれども、これは現行の3障害の中で、精神障害だけに課せられた、精神保健福祉法による保護者制度でございます。この保護者制度によりまして、大変私ども家族は大きな負担を強いられております。精神障害者を医療につなげる努力や救急時の対応など、保護者の心労は言葉では言い尽くされません。保護者である家族が24時間安心した生活ができていないという、それが現状でございます。精神障害だけに課せられたこの制度はまさに差別法であり、撤廃されるべきと考えます。以上でございます。

藤井議長代理 わかりました。今の精神保健福祉法の保護者規定は、今、川崎構成員がおっしゃったように、精神障害だけにあるという意味の差別性と、保護者規定そのものは扶養義務制度含めた民法のいろいろな問題の中で生まれてきているという、多分二重の問題があると思うんですけれども、これもそういうことで問題提起がありました。

今、東室長から発言を求められていますので、どうぞ。

東室長 1点だけ議論のテーマとして書き忘れていたと思っていた点がありましたので、ちょっと考えていただきたいと思います。

今、基本理念の3項を読まれたんですが、それによると、何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することは云々かんぬんと書いてあります。

ここでは、障害者に対してとしか書いていないんです。しかし、実態は、今、川崎さんの話にもありますように、障害を家族に持つ人たち、親であったり兄弟であったり、そういう人たちも身近に障害者がいることによって差別を受けるという実態があるわけです。

ですから、何人も障害を理由として差別を受けないと、そういう形に変えるべきではないかという議論が実はヨーロッパの裁判所においても提起されているところなんです。この考え方をめぐって皆さんの御意見を若干いただきたいと思っております。

藤井議長代理 今のに関する御意見等はございますか。

関口さん、どうぞ。

関口委員 今のに関連して言うと、まさに東室長のおっしゃるとおりだと思います。例えば精神障害者ですと完治、つまり、完全に薬も飲んでいない状況になっても、昔、精神病院に入ったことがあるということが知られると、実質的に障害者ということになります。

ここで言っておきたいんですけれども、障害の差別の3類型ということでございますが、それはそれで結構なんですけれども、それはそもそも何かといったら人権侵害だというところを押さえておいていただきたいんです。

つまり、例えば、今、私のところに来ている相談なんかを見ても、任意入院というのは本人が望んで入院するわけですけれども、退院したいと言ったら、72時間とめ置くことはできるんですけれども、その後は何らか保護入院等の手続をしないととめ置くことはできないんです。退院させなければいけない。

ところが、なぜか72時間を過ぎてもだめとか、かつそれを精神医療審査会にいっても、保護者じゃないからだめとか、委任状をもらっていっているんですよ、そういうわけのわからない、これは障害による差別なのか、何なのかよくわからないんですけども完全に人権侵害であることは間違いないんです。ですから、法律にのっとってやっているのにそれすら破っているんですから、完全に人権侵害なんです。これをやはり差別の中に入れていただきたいと思います。

藤井議長代理 長瀬さん、お願いします。

長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。今、東室長から提起のあった点について申し上げたいと思います。

やはり、現行の基本法が障害者に対してというふうになっているのは、非常に足りない点だと考えます。

1つは、今、お話に出た家族、また、関連して介助者だったり、支援者だったり、そういう人たちも差別の対象になり得るということがありますし、あと、障害者であるとみなされる、実際には、例えばさまざまな障害を持っていない場合でも障害者とみなされてしまうことによって、差別の対象となるということがあるため、差別禁止法を含む一番の大本になる基本法の段階では、差別禁止行為の対象者を障害者というふうに限定するのではなくて、家族や支援者、介助者、また、障害があるとみなされている人、それも含んでいくべきだと考えます。ありがとうございます。

藤井議長代理 差別行為の対象者を広くというのが、今の論調だと思います。

新谷さん、いきましょうか。

新谷委員 新谷です。差別の対象の中に介助者も含めるというのはほかの国の法律でも書いてあったと思います。障害者に向けられたのではなくて、その保護者、介助者に対する差別行為も差別になるというのは、東さんがおっしゃるとおりだと思います。

もう一つの問題として、差別を基本法の中でいろいろ定義していくときに、それと差別禁止法との関連というのを押さえておかないと、差別禁止法で重複した規定を全部盛っても、それは法律的に非常にややこしい話なると思います。定義規定は全部基本法に盛るのか、救済規定は禁止法の中に設けるのか、法律的な分担を議論していかないと、定義の範囲が大分変わってくるというような気がします。以上です。

藤井議長代理 今の新谷さんの論点は、いかがでしょうか。

大谷委員。

大谷委員 新谷委員の意見に関して、若干個人的な意見を述べたいと思います。

あくまでも基本法は、やはり親法だと思います。憲法、基本法、そして各法律という順番に行くとすると、まず、この基本法で差別はしてをいけないということが何人に対してもということで、そういう意味では、必ずうたっておかなければいけないと私は思っております。

ただし、ここに具体的に差別の規定を細かく裁判規範性のあるものも含めて提起するということは、やはり基本法の性格からして無理があるということなので、やはりまず差別をしてはいけないということだけを明記した上で、具体的に差別とは何かということを各法律で明記していく。もしくは差別禁止法という新しい法律の中にすべてを盛り込んでいくという形にしていただきたいと私個人的には思っております。

もう一つ、やはり何人もということで、差別の禁止に関しては、国民全体、国民という言い方は余り好きではないですけれども、とにかく名あて人は可能な限り広く、そして差別の禁止というからには、障害を理由にしてということで、だれだれに対する差別をしてはいけないということではなくて、何を理由にして差別をしてはいけないということで、可能な限りやはり広く決めていく必要があると思います。私は東室長提案に対して全面的に賛成したいと思います。

藤井議長代理 新谷さん、少し、今の大谷さんの御意見とずれというか、少し差違があると思いますが、いいですか。

新谷委員 その辺は、差別禁止法の書き方、それから、具体的な文言の詰めになってくる部分だと思います。おっしゃるとおり、個別分野における差別規定というのはかなり具体的な書き込みが必要かと思います。

例えば労働の場面における差別、医療場面における差別、それぞれ差別の表れ方が、違ってきて、それ具体的に書く必要があれば、それはどの法律に書くのか、禁止法に書くのか、それとも個別分野の法律で別に補強するのか、いろんな複雑な問題が出てくると思うのですけれども、ただ、今出てきている差別禁止法の、いろんな試案みたいなものは、大体禁止法の中で、その辺を全部救済する方向と思いますが、その点は十分な議論が必要かと思います。

藤井議長代理 では、少し枠を広げていかがでしょうか。

森さん、どうぞ。

森委員 森でございます。1つお願いしたいということがあるんですが、実は、障害者自身に差別するということよりも、障害者関係の施設をつくるというときに、一般の人たちが反対運動をしますね。そういう問題についても踏み込んでもらいたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 どうぞ。

清原委員 ありがとうございます。今、森構成員が具体的なケースで障がい者関係施設を地域でつくるときの反対というか、拒否というか、そういう点についても検討してほしいという問題提起をされました。

私も自治体の関係で、よく現実的にそのような問題に直面いたします。今回、資料2-1の「その他」というところに整理をされていますが、資料2-1の29ページのところに、私も実際の現場で経験したことを書かせていただきました。

つまり、市民が生活する地域社会においては、障がい者問題について総論は賛成するんだけれども、各論や個別問題となると是々非々という現実に遭遇することが少なくありません。

最も端的な例は、障がい者施設整備に係る近隣の住民の皆様の反応です。こうした場合、障がい者福祉に理解を持つことと、実際に施設が近隣に設置されることを受け入れ難く思う心理との葛藤の中で、地域住民同士の良好な相互関係を持つことがなかなか難しいという悲しい現実もあります。

そうしたケースにおいて、ただし、この間、私も対立的な構造があったとしても、努力をさせていただく中で、対立構造は一時的なものとなり、やがては反対住民が一転して、強力な支援者になる場合も経験しています。

そういうわけで、今、差別ということを議論する中で、森委員がおっしゃったような、現実というのが具体的に表れてきた場合、それをどのように克服するかというときに、単純に罰則をかけるとかということだけではない、具体的な中での調和といいましょうか、やりとりについて柔軟であるとらえ方をしていく必要が現実的にはあると思っています。そこで差別に関して、原則理念的には、本当に差別をされたお立場の方から考えれば相当な罰則が必要であるというようなこともあり得るのですが、今後、各論に入っていく際に、この差別を禁止する条文が、本当に、真に地域の人々の相互理解に結び付けるような方向性が併せて議論されると幸いだと思います。

森構成員には、現場感覚に合って、重要な御指摘をありがとうございました。

以上です。

藤井議長代理 恐らく、もうお気づきのとおり、この議論というのは、次に控えている差別禁止法、実定法としての裁判規範としての差別禁止法と、個々の議論とオーバーラップしてくるんですが、親法として何をというときに、差別とは何ぞやということと、差別の対象をどこまでか、この辺はそれほど違いがないと思うんですが、なおかつほかにいかがでしょうか。

関口委員。

関口委員 先ほどの論議に付け加えさせていただきますけれども、土本さんの知的障害の問題ともオーバーラップするんですけれども、病院等に、要するに拘束率というんですか、病院に入院している率が、非常に日本は高うございます。知的の場合も施設に入っている率が高うございます。

このような場合、明らかに他国と比べてみると、率から言えば、人権侵害をしているわけなんですけれども、これを差別という、さっき言った3つの差別の類型で、どれに当てはまるんだと言われると、困ったということがありまして、でも明らかに人権侵害のわけですから、これをやはり何とかしていただきたい。考えていただきたいと思います。

藤井議長代理 久松構成員、まず、いきましょうか。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松でございます。私たちは、障害者の立場で日常的、また社会的な差別を受けるという立場であることを踏まえた上で、意見を述べさせていただきたいと思っております。

親法であるところの、当然国の責務、行政の責務を明確にするという考え方は大賛成でございまして、もっと踏み込んだ議論をしていただきたいのは国民の責務という言葉の定義から、国籍を持たない人も、いろいろな方がいらっしゃいますが、障害者は隣の人から差別を受けているということは日常的に現状としてありますので、何人も差別をしてはいけないということ、そのところを親法の中にどのように位置づけていくのかということの議論を是非ともしていただきたいと思います。

また、対象の範囲なんですけれども、私たちろうあ者の場合、聞こえない人の場合には、手話通訳がおりますが、手話通訳が排除されるということが往々にして起こりがちです。

私たちは手話通訳を排除されるということは、聞こえない人に対する差別である、また手話通訳者に対しての差別でもあるということ。支援活動をするときの部分も整理をして、差別の定義の範囲を明確にしていただくということもお願いしたいと思っております。

藤井議長代理 傍聴者の方、静かにしてください。

今の久松さんの御意見なんですが、これは竹下さんが先ほどおっしゃった問題と競合するという感じもするんですが、竹下さん、いかがでしょうか。

竹下委員 竹下です。久松さんが言われたことは、基本的にはそのとおりでいいと思うんですが、先ほどから出ていることで2つばかり整理してほしいと思うのは、確かに基本法において、言わば差別禁止法の根拠規定となるものを設けることについては、多分、今の議論からは皆さん異論はないんだろうと思うんですが、それであればあるほど、とりあえず基本法としておきます、基本法で差別禁止との関係で、何を規定すべきかという議論は、少し時間をかけて整理する必要があるだろうと思います。差別の定義なのか、差別の対象なのか、差別の救済なのかということになると全部またがってしまうわけですから、そういう意味では、親法という言い方をどなたかしましたけれども、親法としての基本法において何を規定し、差別禁止法には何を規定するかという住み分けについては別途議論をするということで整理して終っておけばいいと思います。

もう一つ、清原委員の発言に少し付け加えたいんですが、私はそのとおりだと思っています。すなわち現実に施設をつくるときの反対というのは、これは障害者施設だけに限らないんです。高齢者施設でもそうですし、病院ができる場合でも反対がおります。日本の社会というのは、土地との絡みでいうと、そういう福祉機関ができると、自分の土地の値下がりまでするということを平気で考える国の価値観でありまして、そういう点から、非常に問題があることは事実だと思うんです。

そのときに大事なのは罰則なのか、それとも法律による禁止規定だけで解決できるのか。私は結論もそうではないだろうと思っています。差別禁止法の規定を前提としながら、地域の理解を得るための言わばシステムというのか、あるいはそういう反対運動が起こったときの解決のための、言わば救済制度のようなもの、そういうものをつくっていくことが必要だろうと思っています。

ちなみに、参考までに申し上げれば、私は、京都で精神障害者のデイサービス機関をつくるときに、地域の商店から猛反対を受けた際、地域の人たちの妨害行為をやめさせる仮処分の申立の依頼を受けました。それに対し、私は仮処分の申立をしない方が良い、仮処分の申立がマイナスになるということで、非常に時間をかけて、地域との話し合いの場を、執拗に繰り返しました。それによって現時点では、反対者数はゼロではありませんけれども、地元に開かれたデイサービス機関として活動ができるところに来たことが、私は一つの参考になると思っています。

すなわち時間はかかるけれども、地域との理解を1つにしていくためのシステムなり、解決制度というものが併せて議論されるべきだろうというふうに思っております。

以上です。

藤井議長代理 時間が来ましたので、どうしてもという方はいますか。

では、大濱委員と尾上委員で、少し時間を短めでお願いします。

大濱委員 2点あります。1点目は、今の竹下委員からの発言の弁護士さんとしての介入の話がありますが、私が実際に昨年、帯広で精神障害の方たちが地域に出ている事例を見てきましたが、その場合かなり法律的介入云々ということではなくて、地域といろいろ話し合いながらじっくりと地域に出ていたというような事例を聞いております。そして今では、積極的に、地域の企業等からも受け入れられて、実際には精神障害の方たちがかなり地域に出ているという事例を実際に見てきました。

ですから、これは2とおり方法があると思うんですが、確かに、法律を盾にとってそういう形でやる手法と、このように時間をかけても地域と話し合いをしながらやっていく方法と2つあると思いますが、できれば、穏やかな方法で、後段の方でいければ一番いいのかなというような、地域社会の中でしこりを残すというような懸念がありますので、そんな思いがしています。今、竹下委員の話を聞いてこのように思ったということです。

2点目は、差別の、直接差別、間接差別、合理的配慮を行わないことと、この3類型がありますが、この中で、特定の生活様式を強いられないことということは非常に重要だと思っていますので、これをはっきりこの後どこかの法文中にきちんと「特定の生活様式を強いられない、特定の生活様式を強いることは差別だ」ということをきちんと踏み込んで書き込んでいただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 たしか、権利条約の19条の第1項、A規定だと思うんですが、そういう点で言うと、今のことも差別と関係があるということなんですが、尾上さん、いきましょうか。

尾上委員 資料2-2という別刷りの方の22ページの方に、一点資料を出させていただきました。

これは欠格条項に関連しての資料です。63制度の欠格条項について、日本政府はこの間見直しをしてきていただいたんですけれども、そのうち10の制度は全廃されましたが、まだ53は相対的欠格という形で残っていたり、あるいは例えば障害者向けの自治体の職員採用制度がありますが、そういう中で、例えば点字受験ができない。あるいは面接のときに音声にて面接ができる者みたいな形の規定、あるいは自力通勤、自立勤務が可能な者というふうな規定がごく当たり前のように、これまで進められてきたところがあると思うんです。

これは、差別の定義あるいは次の差別禁止法のところになるのかもしれませんけれども、差別禁止法と併せて現在既にある言わば差別的な法律あるいは差別的な制度、そういったものの改廃をどういうふうにしていくのかということ、特に今回の中間まとめはそういった今後の改革プログラムの中で是非差別禁止法を新しくつくるだけではなくて、今まで既に日本で当たり前に習慣化しているかのような差別的な、今までにある法律や制度の見直しといったことも今後の議論の課題に入れていただければと思います。

藤井議長代理 では、この件はこれで終わりますけれども、ただし、この件は、ありましたように、およそ3類型に関する方向、これは大体意見の一致が多い。ただし、関口さんがおっしゃったように、さまざま人権侵害、土本さんがおっしゃいました、一体これはどこに入ってくるのかという差別の定義と実態で受けている差別、これに全部入ってくるのか。同時に差別の対象を、この中には施設の反対運動、病院の反対運動もこれでどうするのかという関係、これに加えて救済という問題も絡んでくるんではないかという御意見もございました。

これにつきましては、今後、差別禁止法を論じるときに、もう一度基本法に入れるべきものと、そして実定法、差別禁止法(仮称)、これに入れるべきものと、この議論をもう一度やろうということにしておきます。

なお、今、尾上さんがおっしゃったさまざまな欠格条項、これは言わば言い換えれば、法律であるわけですから、公認の差別規定、官製差別規定と言ってもいいかどうかわかりませんが、これはやはりいち早く消さないといけないということもあるので、これも別個きちんと議論をしておく必要があると思うんです。

以上、この点については終わります。

続きまして、4つ目の柱に入りますけれども、基本的人権の確認に移ります。

では、東さんの方から論点整理をお願いします。

東室長 基本的人権の確認というところでいただいた意見を御紹介します。

大谷委員からは、従来、国内法では明記されていない権利について明文で保障することということで、3点ほど挙げられております。

1つは個人のインテグリティー(不可侵性)の保護ということです。2番目は自立した生活及び地域社会で生活する権利。3番目については、言語、手話に関する権利という3点が必要だということですが、その他として、権利主体という側面から考慮すべきだということで、特に障害のある女性、障害のある子どもという観点から規定を設けるべきだという御意見です。

次に、大濱委員の方からですが、2点挙げられております。その一つは地域生活の権利ということで詳しく書いていただいております。

2点目としては、リハビリテーションの保障ということです。これについても詳しく書かれております。医療という立て方ではなくて、リハビリテーションに障害者自身がどうアクセスするかという観点から規定すべきだという御意見だと思います。

小川委員の方からは、4点にわたって書いてあります。1つは自己決定等についての権利です。

2番目が個人そのままの状態で尊重すること。インテグリティーとも関連する内容だと思います。

3番目が地域生活を営む権利ということです。

4点目が言語及びコミュニケーションに関する権利、そういうものを追加すべきだということです。

尾上委員からは、4点ほど挙がっております。1点目としては障害者の自立と自己決定を権利として明記すべきだということです。

2点目は障害者の社会参加の権利性を明記すべきということ。

3点目は地域での自立生活について、やはり権利規定が必要だということです。

4点目としては、手話の公的言語化やコミュニケーション保障について書くべきであるということです。

次に、川崎委員からは、地域社会で自立して生活することは当然の権利として実現すべきことであるということが書いてあります。

北野委員からは、2点ほど挙げられておりまして、障害者が他の市民と同じ社会生活に参画する権利主体であるということです。

次に、すべての障害者が本人の希望する地域社会で、自立した生活を営む権利を有すること、これを明確にすることが書いてあります。

佐藤委員からは、障害分野の政策決定への当事者参加ということが書いてあります。それについては、いろいろと細かい説明がありますので、それはそちらの方を見てください。

それと、情報及びコミュニケーションに関する規定を設けるべきだということです。

次に新谷委員からは、基本的人権の確認のところでは、障害者であっても普通の人と同等の基本的人権を享有し、特別な権利を享受するわけではありませんので、日本国憲法の規定と人件規定を持っている他の法律との整合が必要と考えますという御意見が挙がっております。

関口委員の方からは、人身の自由の規定を設けるべきだということと、自己決定の権利とか差異の多様性の尊重に関しては、価値相対主義に基づく自己決定の権利と差異や多様性の尊重は書き込まなければならない。

地域社会で生活を営む権利については当然あることを前提にして、その権利を実現するのは国の義務であるということが書かれております。

土本委員からは、先ほど書いてあったところと同じところなんですが、趣旨としては当事者主体、自己選択、自己決定という、そういうことについての権利、もしくは入所施設に閉じ込められずに、地域社会で生活する権利、適正で必要な地域生活の福祉サービスを受ける権利と、そういうものを書くべきだろうということだろうと思います。

虐待のことについても書かれております。やはり虐待については、権利確認としてそもそも虐待を受けない権利、虐待から自由である権利、そういうものを書くべきだろうという御趣旨だと思います。

いかがでしょうか、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

久松委員の方からは、2点挙げられております。それは、手話ということですね。コミュニケーションと分けて書いてある手話という部分は、言語としての手話という意味でコミュニケーションと分けて書いてあると思います。

次にコミュニケーションということで、それに関する権利ということを挙げるべきだということです。

松井委員の方からは、基本的人権の確認として、あらゆる分野の活動に参加したり、地域において自立した日常生活を営むことが、障害者の基本的な権利として保障されているわけではないので、条約に沿って、基本的人権として保障すべきである。

また、それに併せて、手話その他の形態の非音声言語を言語の一種として規定するとともに、教育などが、盲人、ろう者または盲ろう者にとってもっとも適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大限にする環境に置いて行われることを確保するということが求められるだろうということです。

最後に、障害者が平等に法的能力を行使できるようにするために、成年後見制度の在り方も見直す必要があるという御意見もいただいております。

大体、以上でございます。

藤井議長代理 これを聞いておわかりのように、かなりこれは冒頭で議論した、基本的な性格をより裏打ちをするという意味合いと、あとで論じられる基本的施策につながっていく、それは入口という意味があるんだと。とても大事な分野、領域なんですけれども、大分共通点もいっぱいあります。

少し発言していない方を中心に、なおかつこれに加えて、こんなことがあるとか、もしあれば少し前もって意見を拾いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

どうぞ。

山崎委員 山崎です。非常に素朴な質問で恐縮ですが、4項目目の基本的人権の確認という論点整理の項目と、先ほどの3の差別の定義の関係なんですが、私は、単純に言うと、順番が逆かなと思っております。つまり、障害を持っている方々の人権を確認して、それが侵害されるということの一コマに、差別の禁止がある。先ほどそこの中に虐待が入っていないとか、あるいは制度的、構造的な、場合によっては、法制度に裏づけられているような侵害については、先ほどの差別の禁止の定義に入らないのではないかというような御指摘もありましたが、それはまさにそのとおりだと思うんです。

ですから、これはいろんな来歴があって、こういう順番、別項目になっているかと思いますが、率直に考えると、人権の確認の方が先で、それが侵害されたということで差別の定義等が続くのではないかと思っております。

以上です。

藤井議長代理 これに関しては、単に順番ということでもなさそうなので、東室長の方から、まず、お答えいただきましょう。

東室長 済みません。これは山崎先生のおっしゃるとおりでございます。実は、この論点表をつくるに当たって、十分な時間はなかったんです。本当にぎりぎりのタイミングで出させていただいて、アットランダムにわっと打ち込んでみて、後で整理しようと思っていて、整理を忘れた部分でございます。おっしゃるとおりでございます。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

北野構成員、お願いします。

北野委員 幾つか思っていたんですけれども、1つは、「障害者の権利と支援に関する基本法」というものをどんな中身にしていくのかということなんですけれども、そこで、いわゆる基本的な権利というものが、つまり、障害者が他の市民と同じ社会生活に参画する権利主体であるという部分はどうしても今回障害者の新しい基本法に入れてほしい。

しかし、竹下委員がおっしゃったように、もともと国・自治体がそのために必要な支援に関する責務を負うということは、これはこの法律で緩いですけれども、表現があったわけですから、ですから、まず、参画する権利主体であるという部分と、国がそのために必要な支援に関する責務を負

うということを明確にするという部分の、2つともきっちりうたう基本法にしていただきたいと思います。

実は、スウェーデンで1980年に、社会サービス法というものができて、自治体の方にサービスをする責務、義務を負わせたんですけれども、なかなか小さな自治体の場合には、財政制約上の問題で、この責務を完遂してもらえないという問題が出たために、1993年に障害者の支援法(LSS法)という権利性が非常に強い法律をつくりました。

ですから、2つは両輪であって、1つは、いわゆる国・自治体に責務を負わせるための条文、もう一つは、障害者が権利主体であるという条文、この2つが要るということなんです。

なぜかといいますと、権利の法律の方は、権利主体性を行使しない場合には、権利が実行されない場合もありますから、権利を実行するということを前提とした権利法と、一般的に法的にすべての障害を持っている方の必要な支援をサポートする、責務を負う法律として両方とも必要であると考えております。

もう一つは、私が気になっているのは、障害者基本法にある国民の責務という表現の中(第6条)でこう書いてあります。「国民は社会連帯の理念に基づき、障害者の福祉の増進に協力するように努めなければならない。」この表現は非常に気持ちの悪い表現でありまして、これは障害者を国民と認めていないとすら読める表現なんです。

なぜかといいますと、国民が協力するわけだから、障害者は協力されてしまうのかと、つまり障害者を国民に入れていないというふうにすら読める非常に危険な差別的な表現であると思っております。

ですから、私の方は、第5条は、「障害者も同じ市民として相互に理解と支援を創造する連帯の主体である」ということを明確にしていただきたいと。つまり、共につくっていく主体であるということを明確にすべきであると思っています。

もう一つは、第8条で、つまり、本人が希望する地域社会で、自立した生活を営む権利という部分は、例えばADAというアメリカの法律では、「最も統合された環境でサービスを受ける権利」ということが明確になっておりますけれども、これは裁判規範として、例えば1999年のオルムステッド裁判なんかでは、裁判規範として精神病院や施設から地域生活を勝ち取ることができています。

ですから、障害者権利条約の第19条の「特定の生活様式を義務づけられない」という表現がいいのか、あるいはADAのような、「最も統合された環境で生きる権利」という表現がいいのか、とにかく裁判規範性のある強い表現を是非とも権利として確立していただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 今の北野構成員のお話は、多分前段の基本的性格とも重なる部分があります。それぞれまた住み分けはあると思うんですが、3つの論点がありました。

では、大谷構成員からお願いします。

大谷委員 何回も発言して、ごめんなさい。この論点整理の仕方で、既に議長の方から出されていますが、やはり基本的な政策の確認の前に、権利の確認、人権の確認ということからすると、例えば従来国内法もしくは憲法に明記されているけれども、今回、権利条約に基づいて、改めて確認し直す、内容においても確認し直す必要があるものに関しては、きちんと人権としてとどめるという必要があると思います。その点では、教育もきちんと人権規定としてそこに明記し、従来、憲法にある人権もこの障害者権利条約に当たって、こういう形で確認されなければならないということも盛り込んでいただきたい。

それは、各施策に落とす前段としてきちんと理念の確認がされていなければいけないと思っています。

その点で、この論点表が、これは別に単純な問題だろうと思うんですけれども、私が教育に関して提案させていただいたことは、各施策に対するものということになっておりますので、私は基本的人権の確認という中で、教育条項はこうあるべきであると提起させていただいたので、その点は、是非そういう形で踏まえていただきたいなと思っております。

藤井議長代理 そうすると、大谷委員、憲法を引き合いにしたときに、では、その生活権だとか、労働ということの判定はどうなりますか。

大谷委員 ですから、従来、ちょっと今回意見を出させていただいたのは、従来、人権として確認されてこなかった、例えば先ほど来から出ている手話の権利とか、そういうようなことはきちんと盛り込む。

それから、従来、憲法等によって保障されていたということである雇用もしくは教育等々に関しても、きちんと例えば教育はインクルーシブ教育でなければならない。障害がある人は、インクルーシブ教育を受けることができるというような形で規定するとか、そういうことが、私は必要ではないかと思っているということです。

かつ、施策に関しては、確認された人権に基づいて、各施策はこうあるべきということを、章立てを別項にして設けていただきたいというのが、私の最初に申し上げた希望だったんですけれども、それは法の体裁の問題ですから、いかようにもできるのかもしれませんけれども、そういう二本立てになろうかということが意識されたものというふうにしていただけたらいいなと思っています。

藤井議長代理 大変大事な論点なので、東さん、論点整理をする過程で、今のことに関して、少しコメントがあったら、作成された立場でいかがでしょうか。

東室長 基本的人権の確認というところで、お聞きしたかったのは、憲法の中でも13条、14条という一番人権の中の総則的な部分があるわけですけれども、それに対応する障害者の人権の中での総則的な、極めて大事な部分というものを、ここに書くべきかどうかという御意見をいただきたかったわけです。

それとともに、各施策は、施策単位で書いてありますけれども、これを人権単位で、やはり各施策の中での最初に人権を挙げてこの人権を実効的に保障するために、どういう施策をすべきか、国の義務はどうなのか、そういう形で基本的人権の一番総則的な部分を、理念の後か前かに書いて、その後に各具体的な人権、それについての施策義務という、そういう並びで少し構想しておりましたので、質問の仕方もこういう形になったという次第なんです。

藤井議長代理 大谷構成員の問題提起から、これは大事なことなので、議長として、踏み込みますけれども、例えばインクルーシブというのは、教育以外にも全体にかぶってくる。自己決定もしかり、参加、参画もしかり。

そうすると、この基本的人権の確認というのは、ある分野ということよりも、もう少し共通性で出しておくということによって、更に次の基本施策で生かしていくと、多分この書きぶりは、こういう手法だったと思います。この辺りは、大谷さんは、いかがなんでしょうか。あえて教育、労働、幾つか憲法13、14、25、26、27辺りはやはりダブっても書くべきだという論調なのか。

大谷委員 すべてを整理していないんですけれども、従来から認められている権利だけれども、内容を権利条約と照らし合わせて確認し直す必要があるというものと、今まで憲法13条しか根拠規定がなかったもの、これがより具体的に明文化されたものというふうに、私は2つに分けられるだろうと思っています。

後者に関しては、きちんと勿論明文化されなければいけない。

それから、従来も明文規定はあったのだが、今度権利条約を踏まえた上で、内容を位置付け、返さなければいけない問題がある。これは、藤井議長がおっしゃっていただいたように、インクルーシブの問題が一番多いかと思います。

インクルーシブの定義さえしてしまえば、それを今まで確認されていた憲法上の人権規定に落とし込めば、権利ごとに内容を確認し直す必要がないのかについてはそれぞれ検討させていただいた方がいいのではないかと思っています。

藤井議長代理 枠を大きくしましょう。まず、門川さんから手が挙がっていますので、門川さんからいきます。

門川委員 門川です。2点あります。まず、1つは、先ほどろうあ連盟の久松さんから手話の定義についてのお話がありましたが、それに加えて、障害者の権利条約には、言語の定義の中に、言語とは手話、音声言語のほかに、音声ではない非音声言語も言語として提示されてあります。

これは、音声も持たない、手話もできないけれども、ほかにその障害特有の人の言語というものがあるので、盲ろう者、そのほかのいろんな障害者にも、このような非音声言語を権利として持っている方がたくさんいますので、障害者権利条約には、現に明記されてあります。ですから、これを付け加えていただきたいと思います。

2点目です。当然のことだと思いますが、労働の権利、基本法には雇用に関する規定がありますけれども、雇用と労働は別だと思うんです。労働するための権利ということで、例えば職場に通うためには、送迎とか介助が必要な障害者もいる。

また、職場で仕事を成功するためには、やはり介助が必要な場合もある。そういった合理的配慮とか、これも是非忘れないでおきたいと思います。

ついでにいいますと、視覚障害者のためのガイドヘルパーであったり、盲ろう者のための通訳介助制度であったり、こういった制度は、経済活動には利用ができない。これも何とか見直していかないといけないのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 それでは、長瀬さん、お待たせしました。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。先ほど山崎さんからの指摘とも関連する点だと思っていただきたいんですけれども、今、基本的人権というところで、話をしている内容というのは、障害者の権利条約ですと、3条の一般原則、例えばインクルージョンですとか、あとはアクセシビリティーや男女平等というところが入っているところなのですけれども、多分、そういう意味での基本的人権を理念として、基本法の中に盛り込む、そのことによって、他の法律にも影響を及ぼすという構造になるんだろうと思います。

その意味で、大谷委員の方からの、ここの論点に関して、障害のある女性と障害のある子どもを権利主体として、必要な条項を設けるというご意見に賛成したいと思います。

やはり障害者の権利条約でも、独立した条文として、6条で障害のある女性、7条として障害のある子どもというのが入りました。条約の第3条の一般原則の中に、男女平等と障害のある子どもの発達しつつある能力というのが入っていますので、基本的人権のところで入れておくというところに賛成します。

関連して申し上げますと、後で取り上げられると思いますが、東室長から出された論点整理の方では、施策の方で障害児に関するところが取り上げられていて、それは、多分また少し別の議論になるのかもしれませんが、基本法の中で、どこまで障害児支援に関して踏み込むのかという点があります。大谷さんが、今回の基本的人権のところで取り上げている、例えば障害のある子どもの意思表明権ですとか、そういう部分については、基本法で取り上げるべきだと思います。

ただ、具体的な障害児支援につきましては、一昨年の2008年の7月に厚生労働省の障害児支援の見直しに関する検討会で、基本的には児童福祉法の方で、言ってみれば、インクルージョンの方向の中でというのが出されていますので、そういう点も踏まえつつも、基本的な理念に関する部分というのは、この基本法のところで障害者の権利条約の第3条の一般的原則とも重なるところで盛り込んだ方がいいというふうに思います。

ありがとうございます。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。では、土本さん、いきましょうか。

土本委員 知的では、コミュニケーションと情報のことで支援がない。これには書いていないので、是非知的の場合には盛り込んでほしいということです。

今、資料がすごい膨大な量として来て、その中で、どうやって自分の中に入れていくというのは、この場では、ちょっとできないところもあったり、その後、支援として一緒にやらないと、このすごい量を見ていると、自分の時間でわかるものではないということで、何度もいいますけれども、時間がかかる。そして、コミュニケーションもかかるということを、やはりこれからの人権も含めて関わってくるんではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 この会の運営も含めて、大事な指摘だと思うんですが、わかりました。

それで、時間が大分来たんですが、3人手が挙がっていますが、久松さん、佐藤さん、関口さんで一たんこのコーナーは終わります。

では、久松さん。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松でございます。先ほど言い忘れてしまいましたが、一つ申し上げたいことは、差別をしてはいけないということの理念をという言い方は、少し抵抗を感じまして、これは整理をお願いしたいところです。

基本的人権の中で、意見を申し上げます。補足という形になりますが、言語とコミュニケーションの権利の保障をするという言い方の意見を出しましたが、それはどういう意味かということを少し補足説明申し上げたいと思います。

言語とコミュニケーション、どのような言語を選択するのか、どのようなコミュニケーションを選択するのか、これは選択権が保障されるということになります。

そういう考え方よりも、とりもなおさず、自己決定権という考え方に結び付くという考え方で、権利条約の中に、当事者の自己決定権という考え方に結び付きますので、是非それを踏まえた上で、その部分を強調したいと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、佐藤さん。

佐藤委員 当事者団体の参加、参画ということに関して補足をしたいと思いますけれども、障害者基本法の25条の2004年の改正だったと思いますけれども、多様な種類の障害者の意見が反映されるよう、中央障害者施策推進協議会の構成を考えなければいけないという規定ができて、中障協の30名のうち15名くらいは障害当事者、家族が委員になるというふうになって、この推進会議でも24名中14名が障害当事者という、そういう時代に中央レベルではなってきたと思います。

ただ、難病と発達障害と高次脳機能障害の委員が、この推進会議の中にいないのはなぜなのかというのは、ちょっと疑問な点でもありますけれども、しかし、いずれにしろ、そういう時代になってきたと。しかし、地方はどうだろうかというと、身体障害のある人たちが参加するということは当たり前になってきたけれども、まだまだ知的障害、精神障害は市町村のいろんな計画の策定委員会の中に、ほとんど入っていないというのは現状だと思います。

内閣府がよく調査をしてくれているので、内閣府の障害者施策のホームページを見るとわかるんですけれども、約1,800ある市町村の中で、策定委員会、障害福祉計画だとか、市町村の障害者計画などの策定に際して、策定委員会を設けているところが約700くらいで、大体平均すると、1つの委員会の中で、2人の障害者が参加していると。

1人は、恐らく、肢体不自由で、もう一人は、視覚障害か聴覚障害という感じで、700の中で50人の知的障害者、約50の精神障害者が参加しているというのが現状です。

ということで、これをもっと本格的に多様な障害者が市町村レベルで参加できるようにするということを法律で促す努力義務あるいは強制的な義務をかけるというようなことをすることによって、住民の理解なんかも広がっていくということにつながっていくのではないかという感じがします。

もう一点は、ヨーロッパなんかでは一般的なことなんですけれども、国にしても地方にしても障害者団体の活動に税金が投入されているんです。障害者団体が活発にその調査をして、政策提言をすることは、いい政策、いい計画をつくる上で非常に重要だということが社会的に認識されていて、そのためにお金を出しています。国際比較をしたり、調査研究をしたりするようなこともできる力がほしい。足腰を強くした障害者団体を育成することが大事だと、そういうことでやっています。勿論、どの団体に幾らお金を出すのかというようなことで、非常に難しい問題もあるようですけれども、そういうことを本格的に日本で実現できるようにしてほしいと思います。

障害者団体が生き生きと活発に活動するということによって、みんなが暮らしやすい社会になるんだと、そのために税金を投入することは必要なことなんだという理解を、そういう市民教育的な効果もあるんだろうと思います。

それだけに、障害者団体も気を引き締めて、信頼を勝ち取るようにしなければいけないということでもあるわけですけれども、そういうことをそろそろ日本でも考えていいのではないかと、国連のいろんな決議、宣言などでも、そういうことは、ずっと前から指摘していることなので、日本政府も賛成して決めたものであるので、是非、実現をそろそろしてもいいのではないかと思います。

藤井議長代理 今の件は、基本的な施策ではなくて、基本的人権の確認の中で触れるべきという御意見ですか。

佐藤委員 基本的な人権というのは、すべての人に保障される権利なので、団体が国・自治体の計画、決定に参加するというのが基本的人権なのかどうなのか、法律的によくわからないんですけれども、いずれにしろ、障害者の政策、法律、計画をつくっていく上で、非常に重要な当事者参加の保障の理念と制度、財政も含めたその仕組みをどうするか。

いい制度は一時的にはできると思うんですけれども、財政が苦しくなったから我慢してもらおうということで、後退したりなんかすることがあると思うんです。しかし、紙に書いたものは変わってしまう可能性があるけれども、障害者団体が地域に根を張って、非常に力を持っていれば、一時的に困難があっても、それを変えていくことができるので、紙に書いた法律よりももっと確かな障害者施策の改善の保障なのではないかと思いますので、是非、検討をいただければと思います。

藤井議長代理 済みません、位置づけは別として、実質的にそういう力がこの法が出せるような点というと、ここでも考えられなくはないという論調だと思います。

では、関口さん。これで、一応、このコーナーは終わります。

関口委員 全国精神病者集団の関口です。

実は、人権というのはよくわからないので、池原弁護士を呼んで講義を伺ったんですけれども、人権概念が進歩、発展してきたということをやはり前提に考えないといけないと思うんです。

先ほど長瀬さんがおっしゃったように、障害者権利条約においては、それが3条の一般原則に結実している。

その前に出た意見から言うと、私は、以前、別に池原さんに教わったわけではなくて、書いたことがありますけれども、要するに日本国憲法の中身を豊かにしている、それが障害者権利条約の規定だと思うんです。日本国憲法に違反しているわけではないただ、その中身を豊かにするものが障害者権利条約だと思うんです。それは3条の一般原則、A~Hまでありますけれども、それをきちんと守ること。

大きく分けると、尊厳と自立という問題、もう一つ平等とインクルージョンあるいは排除しないというその2つのテーマがある。

この2つに関しては、障害者権利条約で初めてTOPIXとして出てきた問題であって、日本国憲法にはそんなことは書いていないんです。ただ、日本国憲法の下にある基本法の中で日本国憲法を埋めていくような形で、日本国憲法を引用しながらきちんと実態化していくということは、すごく重要なことだと思います。

以上です。

藤井議長代理 どうしても発言したい方はいらっしゃいますか。もうこのコーナーは終わります。

川崎さんですか、では、短めにしてください。

川崎委員 短めに話します。実は、障害者が地域で生活するということで、やはり先ほど来から精神障害者の偏見とか、差別ということが地域社会でまだまだあるということで、現在、精神の人たちが地域生活で自立した生活をしている人は本当にわずかで、在宅者の多くは家族と一緒に家庭で生活しているというのが現状でございます。

それは地域の偏見がかなりありまして、アパート暮らしをしようとしても、精神疾患というと断られる、それは精神障害者が地域で生活する上の差別ではないかと思います。障害を持っていても、社会の構成員であるということを国民が理解し、そのような社会を構築していくことが必要で、この方向で施策を進めていっていただきたいと思います。ちょっと長くなりましたが、以上です。

藤井議長代理 でも不思議ですね。私は地域生活という言葉はとても大事だと思うんですが、障害を持っていなければ使いませんね。うちの息子は、大学を終わって、地域生活に入りますなんてだれも言わないわけで、障害分野だけがその言葉を使わざるを得ないということもおかしな感じがしますけれども。時間が来ましたけれども、少し大谷さんがおっしゃった非常に大事なことを、人件としても取るべしと、もう一方で、この部分というのはもっと普遍化した、もっと共通化したものにして基本施策で強化すべしというのは、今後、議論をもう少し深めた方がいいと思います。

堂本委員 藤井さんが、とても大事なことをいわれたと思うんです。「地域でどれだけ福祉サービスを具体的に受けられるかが問題」と。障害当事者は地域のことを問題にするが、普通は余り地域のことを言わない、とおっしゃいました。まさにそうなんです。

なぜ地域が問題になるかというと、それぞれの制度が分断されていて、高齢者と障害者とか、あるいは精神障害と身体障害、発達障害や高次機能障害など、いろいろありますけれども、そういった障害種別や年齢によって法律が分断されているのです。そのために都道府県よりもむしろ市町村だと思いますが、地域で実際に施策を総合的、あるいは横断的に実施しようとしても、縦割りが「壁」になって実施できない。「壁」との闘いと言っても過言ではない。ですから、そこのところをつき破っていかない限り、今、言われた、なぜ障害者の場合は地域が問題なのか。地域でやろうとしても、法律上できない、それでは地域で勝手にやればいいじゃないかと言われるかもしれませんが、補助金の制度も全部縦割りになっている以上、財政的な措置ができないわけです。障害者施策は様々な行政分野にわたりますが、これまで省庁や制度の縦割りが「壁」となり、地域で真に当事者のニーズに応える施策が実現できないことも多かった。省庁や制度の都合に、当事者の方が合わせることを強いられてきた。

それが、今度は、総合福祉法になれば、そういう「壁」がなくなるかもしれません。本会議が内閣府に設置され、私たちの提言を受け止める「障がい者制度改革推進本部」が全閣僚で構成されていることの意味は大きいと思います。一人ひとりの障害者に対して、生涯にわたって一元的なサービスが受けられるシステムをつくるべきです。

ですから、構造的な問題を全体としてきちんと整えていくことがとても大事だと思います。ありがとうございました。

藤井議長代理 それでは、幾つかここでは多くの共通のキーワードが出てきました。自立あるいは自己決定、そして参加、参画、それからインクルーシブ、自己の尊厳あるいはコミュニケーション、言語、これは広く情報を含めたアクセスビリティー、移動のアクセスビリティーはなかったけれども、多分、移動も入るでしょう。等々、これらを更に整理をしていきながら、次の基本的な施策と関係性も整理していきながら深めていくということ。

佐藤委員がおっしゃったように、今、堂本さんもおっしゃったんですけれども、法律上いかにスマートであっても、何も事態は変わらないんではないか。多少景気がどう変わろうが、政権が変わろうが、引き続き根を張るという点でいうと、どうしたらいいのかという辺りは、この辺のところの深め具合にも多分影響してくるんだろうという辺りを押さえておいて、一旦休憩に入りましょう。

では、4時まで休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、時間が参りましたので、着席をお願いいたします。

実は、本日は時間厳守を言われております。この全体論議は、残り50分間で終えていこうと思っています。恐らく大分お疲れでもあると思いますので、残りの見通しとしましては、モニタリングです。それから、基本的施策、そして、そのほか。そのほかの中では、少し今後の大まかな見通しも聞きたいという意見もあります。この推進会議の大きな方向です。それを含めて、そのほかになっていますので、したがって、おおむね1つのコーナーが20分と少しです。そういうことで進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

ただ、当然意見の漏れとか、今後どうするかということは、当然、今日これで全部終わりではありませんから、そういうことも含めて、後でまたお話しさせていただきますので、では、モニタリングに関して東さんの方から論点整理をお願いします。

東室長 東です。論点表とはちょっと順番が異なりますが、モニタリングの方から先に行きます。モニタリングについては、まず、小川委員の方から包括的な意見が出ております。条約では、33条の1項に実施の担当部局フォーカル・ポイントというのが挙げてあります。

2項に促進、保護、監視というところがあるわけですが、2項の部分について、まず、小川委員の方では、促進のための機関として、例えば障がい者制度改革推進会議、ここのための機関として、人権救済機関、監視のための機関として障害者権利委員会あるいはモニタリング委員会、このような割り振りというか整理がなされております。

4番目として、行政内の担当部局、フォーカル・ポイント等をコーディネーター機関として、例えば推進会議と、このように例を挙げながら、4つの機関の割り振りを考えております。

それについての具体的な指摘もありますが、問題はそれについての権限の所掌事務についてということですが、監視機関としては、まず、勧告等を行う権限を明示されております。勧告等という中には、評価する権限、意見を具申する権限、一定の期間に勧告する権限、もしくは提案する権限という4つぐらいの権限について書いております。

そのために、一定の独立性の確保が必要である。例えば監視機関に当たる委員会は、例で言いますと、最低限食品安全基本法に基づいて設置されている食品安全委員会が持つような機能が確保されるべきであるということが書かれております。

それとともに、調査権限、先ほどの勧告等の権限は、実態的な調査に基づかなければ科学的な判断というか、そういうものはできませんので、調査権限を監視機能に付与すべきであるということが言われております。

それと、独立性については別個に書いてありまして、権限的に独立であるということだけではなく、組織として独立的な運用を維持できるだけの組織体制というものが権限の前提となるということが書かれてあります。

次に、尾上委員からは、権利条約33条にはパリ原則というものが触れられておりますけれども、これは自らの権限を行使する基本的な方法に勧告が位置づけられていると。ですから、勧告権限を国内モニタリングに取り入れるということは、異例的な取扱いではなく、通常のことであるという趣旨のことが書かれておりまして、勧告を行う、そしてその勧告を行うためには独立性の確保は欠かせない前提であるということが書かれてあります。

北野委員からは、モニタリング機関は国連に報告し、国に勧告する機関としては障害者基本法に明確に位置づけることが必要である。

それとともに、都道府県レベルでの各種差別に関する行政型救済機関及び自治体レベルでの権利擁護支援機関は差別禁止法と虐待防止法で位置づけるべきだという御指摘がなされております。

佐藤委員に関しては、これは、先ほど言われたことと、少し関係するかもしれませんが、新たな条項として設ける部分ということで、総合障害者実態調査ということが書かれております。これは、監視という点から言っても、前提として重要な問題だと私どもは思っております。

次に新谷委員の方からは、モニタリング規定は、基本法の固有領域と考えます。救済機関については、権利性や手続規定が非常に重要ですので、差別禁止法に譲るべきではないかという御指摘が上がっております。

更に、関口委員の方からは、保護と監視は別の機関に一元化すべきであるという意見が上がっております。

監視機関にどういう権限があるかという点については、現行の公正取引委員会のようなものが考えられる。独立性についても同じだということが挙げてあります。

竹下委員からは、若干視点が違うんですが、行政が基本法に違反した場合の救済規定を設けるべきであるということで、救済の申立ての内容などが3つほど書かれておりますが、これは条約の推進、実施という観点からも、1つの方策ではないか。ここで書いてあるのは、決して個別救済の話ではなくて、政策自体についてどうなのかという観点からの救済ということだと思っております。

次に、久松委員からは、人権の保護及び促進のための調査権やあらゆる関係機関の長に勧告等の権限が付与される必要がある。

また、組織として独立した機関であり、人権を持つ当事者が運営・調査・勧告等に参画すべきであるということで、モニタリング機関の中身について意見が示されております。

最後に、松井委員の方からは、障害者施策の実施状況を実質的にモニタリングできるよう、中央障害者施策推進協議会の機能を評価すべきである。それには、関係行政機関に対する資料提供等の協力要請だけでは不十分であって、協議会として自ら調査し、必要に応じて改善勧告などを出しているだけの人的・財政的資源及び権限を協議会に付与すべきである。

そして、救済については別途制定される人権擁護法による人権委員会または障害者差別禁止法に基づく障害者権利委員会などで対応することになる。これらの場合はパリ原則にのっとり内閣府所管の独立機関と位置づけることと、このような意見がまいっております。

以上です。

藤井議長代理 時間がなくて、やや矛盾するんですが、何回かパリ原則という言葉が出てきました。

東さん、大変大事なことなので、少しだけ説明してもらえませんか。

東室長 この点については、金さんの方が詳しいので、事務局の金さんの方から説明させます。

藤井議長代理 では、金さん、自己紹介もしてください。

東室長 金さんの方から一応の説明をいただいて、山崎先生が一番基本的にはお詳しいので、山崎先生に補足意見をお願いします。

金政策企画調査官 どうも、昨日1日からこの制度改革推進担当室の事務局に入りました金です。よろしくお願いします。

今、急に御指名がありまして、少し戸惑っておりますが、パリ原則についての簡単な説明をということで、私のできる範囲での説明ですが、パリ原則自体は、各国に国内人権機関を置くときの、いわゆる指針です。ガイドラインというものを長年の国内人権に関するNGOなどが国際的な連携を図りながら、さまざまな国際会議、NGO会議で議論を積み重ねてきて、1980年代ぐらいから非常に多くの具体的な会議の議論を整理しながら、1993年に、パリにおける国際会議で、そういった指針を整理したものが、パリ原則という形でとりまとめられたということであります。

主にパリ原則のキーワードになっているのは、調査、提言、また参画については、多様な立場の当事者なり、民族なり、性別を超えて、多様な参加の主体がその原則に関わる主体として関わっていくべきだというような考え方に基づいて、各国の政府に対しての人権施策を、非常に提言をしていくような役割または調査、モニタリング、勧告などもしていく役割がそこで明確にうたわれているということがあるということが言われております。

これについては、お隣におられる山崎委員がより専門的な研究をされていますので、少し補足的な説明などもお願いできればと思います。

藤井議長代理 では、山崎構成員、お願いします。

山崎委員 山崎です。下請けを申しつかります。

パリ原則と申しますのは、今、金さんが適切に御説明になったことなんですが、仕事としては、人権政策提言、それから人権教育の総合調整機能、そして人権相談・救済、この3つを行う公の機関なんです。ただし、これは立法府でも、司法府でも、行政府でもない。三権分立の世界からは少し外れた、三権から均等に独立した、しかし、税金で賄う公的な機関、これが国内人権機関というものの定義でございます。

パリ原則によれば、これはその国の憲法か法律によって、きちんと設置するものとされています。たとえば、財団法人という設置形態ではだめということです。三権プラス市民団体からも均等に独立したものでなければいけません。独立しているからこそ、公権力による人権侵害あるいは民間で起きる私人間の人権侵害について、的確に提言し、そしてそれを解決することが可能となります。こうして、信頼性が生じるというものでございます。

現在、世界で116の国で既にできております。国連加盟国192ですから、過半数ではできていることになります。

アジアで、大御所でできていないのは、日本と中国でございます。現在、日本でもこれを設置するための市民運動がなされています。障害者の権利に限らず、あらゆる人権課題について人権政策提言、救済などができる公的な独立機関を設置すべきであるという運動がここ十数年進んでおります。

かつて人権擁護法案というものが2002年3月に国会に出ましたが、さまざまな背景から翌年廃案になって今日に至っております。

ただ、千葉景子法務大臣は、昨年の9月16日の就任の記者会見で、これを設置するために努力するということを第1の課題として確認されていますので、現在は障害者の権利に係る救済機関とともに、全般的な人権救済機関づくりが同時進行で、日本社会で進んでいるという状況にございます。

以上です。

藤井議長代理 そういうようなパリ原則というものをベースにモニタリング制度をつくる。実は、このことは、権利条約の批准にとって、非常に大きなハードルの1つだと思うんです。同時に、今おっしゃったように、人権擁護法、日本ではまだ少し距離があるという中で、障害分野が今、突出していこうという話をしているんです。非常に難しい課題でもある。

今日は、まず、これを学習して、特にそういう点で、しかしこれがないとさまざまな問題がしり抜けになりかねないというのがありますので、とても実質的な点で言うと、基本法か権利法かわかりませんけれども、特別機能と考えてもいいくらいに大事な要素だと思うんです。

少し御意見をいただきますが、これは今後また更に深めていきますので、今日、挙がっている御意見は大体異論はないと思うんです。更にそれに加えてどうしてもというのがあれば、1つ、2つ受け付けます。いかがでしょうか。

どうぞ。

佐藤委員 日本社会事業大学の佐藤久夫です。モニタリングの基礎としての総合的な障害者実態調査が重要だということは室長も、今、言われたとおりなんですけれども、同時に障害者権利条約の第31条は障害者がこの統計を活用できるようにしなさいと書いていますので、使いやすいように公表するということが是非必要ではないかと思います。

例えば、視覚障害を持つ女性がどのくらい働いているのか。男性と比べてどうなのか、一般国民の障害のない女性と比べて就労率がどうなのか。などなど、いろんな団体は、細かい細分化したトリプルクロスの集計などがほしいんだろうと思うんです。そういうものを自分たちの目的に応じて分析し直して、それを政策の見直し、モニタリングに使えるようにする、そういうような活用が保障されるようなデータの公表の仕方、これは、紙に印刷したものを配るというだけではなくて、生のデータをプライバシーに配慮しながら、再分析し直せるような形で返す。また、細かいクロスができるためには、相当サンプルの数多くしなければいけないので、そういうことも是非配慮しながらやるということが必要かと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、勝又構成員。

勝又委員 勝又です。ただいま、統計について佐藤委員の方から御提案がありましたけれども、私は総合的な障害者の実態調査よりは、基本的にすべての国民を対象にした調査の中で、障害を持つ方々がどういう位置にいるのかがわかるような調査を整備すべきだと思います。

そうしませんと、障害がある対象だけで分析をいたしますと、全体における障害者の状況というのがよくわかりません。

それから、去年、統計法が変わりまして、統計法の中では公的な統計を政策、それから研究などに使わせていこうという動きがあります。そういう状況の中で、プライバシー保護は非常に重要になっております。また、全体の政策の中で障害者をどういうふうにしていくべきかという全国民的な議論を起こすという意味でも、一般の全国民を対象にした調査の中で、障害者を識別できる調査が実施されるべきだと思います。

付け加えまして、現在、全国民を対象にした多くの公的調査がございますけれども、果たして調査の結果に本当に障害者が含まれているのかどうか。つまり、例えば調査が、郵送調査でございますと、その郵送調査に対して障害者はちゃんと答えているのかどうか。面接調査でしたら面接をうける人の中に障害をお持ちの方が入っているのかどうか、そういうことも併せて点検するという意味が、全国民を対象にした調査にはあると思います。

藤井議長代理 佐藤構成員、今の意見で何かありますか。

佐藤委員 難しいところですね。全国民を対象とした、例えば国勢調査などで、障害の有無を聞いて障害のある人とない人と比較して、就労率だとか、所得だとか、外出状況などを比較すると、参加の違いがどうなっているかということがよくわかる。権利条約では、障害のない人と比べて社会参加はどうなっているかということを見なさいというふうに言っているので、権利条約のモニターとしては、今、勝又さんが言われたような総合的な、障害者だけを対象にしたのではない調査が必要なので、そうなると国民生活基礎調査だとか国勢調査などに障害の有無を尋ねる項目を入れて調査をするということが1つ考えられるわけですけれども、だけれども、同時に、例えばどんな補装具が必要かだとか、障害独自のいろんな細かいことを聞こうとすると、やはり障害者実態調査が必要になってくるということがあるのかなと。

ですから、カナダとかニュージーランドでやっているようなスクリーニング調査的なもので、まず第1次調査をやって、そこで障害の有無を聞いて、障害のある人により詳しいフォローアップ調査をやるというような組み合わせとか、いろんな工夫があり得るのかなと思います。

藤井議長代理 どうぞ。

新谷委員 私もモニタリング機関の中の1つの項目として調査統計があるという理解はしていなかったです。ですから、佐藤さんのこれを見て少しびっくりしたのですが、私は、調査統計は障害者基本法に書き込む基本施策の1つとして挙げるもので、モニタリング機関の中の項目ではないと思っていました。モニタリング機関から、こういう調査をやりなさいという提言はあったとしても、実働部隊は、例えば統計局とか、そういうところのいろんな国家機関を使ってやらないといけない。それから、地方行政との関係もあります。

そういうことで、モニタリングという機関にとって本当に大事なものと、それから、全般的な国家施策の中でやるものと、そういう重なり具合が少しわからなかったので、私は基本施策の1つかなと思いました。

藤井議長代理 佐藤構成員。

佐藤委員 私もそのモニタリングのところにこの意見が含まれていたので、ちょっとびっくりしたんですけれども、モニタリングというのは、権利条約の実行のモニタリングですね。障害者施策、障害者に対するいろんな制度イコール権利条約の実行なのか。もう一つそこには権利条約の実行に含まれないようなものも含まれるのか。いずれにしろ、今、国の方で5年に1回身体障害者実態調査、知的障害者の実態調査をやっていて、精神のはない、勿論、難病もないというような、これで長期計画のモニタリングができるのかと思っていたので、この基本法の見直しの中で、より総合的な権利条約の実行ということだけに限らず、より総合的な施策の見直し、評価に実態調査を使うべきではないか。予算が増えたということでよかったでは済まないだろう、施策評価は生活実態の評価で行うべきという発想なんです。

ただ、権利条約のモニタリングにとっても、障害を持った人たちが働けるようになったのか、外出ができるようになったのか、好きなところに住めるようになったのかということをきちんと調べないとモニタリングにならないので、この実態調査は非常に重要だということは、東室長が言われたとおりだと思います。

藤井議長代理 これは、議論が食い違うというよりは、恐らくモニタリング機能に関して、もともと純化して議論をする。

ただし、実証的、エビデンス、証拠に基づいたモニタリングという点で言うと、この国は余りにも実態把握が弱過ぎるという点で、言わばモニタリングの裏打ちという点で関連部分としてこれは位置づける。今後、これに対して更に、今日はモニタリングの機能まで十分に深められておりませんから、機能の純化した議論と、同時に、この関係部分という点で31条、統計、蓄積、データ、更にそれは権利条約の部分だけなのか、政策、制度全般のチェックなのかというのも今後またしていくということ。この件に関しては、そういう課題を残して終わってまいります。

最後に、基本的な施策、その他一括しますので、また、東さんの方からお願いいたします。

東室長 まず、障害者に関する基本施策の部分についてですが、施策にわたるものですので、各意見ともかなり詳細に書いておられますので、かなりはしょった形での御紹介なりますので、あらかじめお断り申し上げます。

大谷委員の方からは、教育の部分が挙げられておりまして、これは先ほどの説明だと総論的な部分でというお話もありましたが、各論的に関係する部分ですので、ここで言わせてもらいますが、特に特別支援教育は権利条約の理念にのっとり再編成されるべきであるという部分が書いてあります。

次に、大濱委員ですが、権利条約の理念に基づいて障害者施策を実施すべきことということ。

小川委員については、現行規定は、例の17項目にそぐわない点があると。17項目や条約の規定から見た場合に構成やタイトルも含め、条約に沿った全面的な改廃が必要である。

例えば現行基本法第14条の教育、16条の雇用の促進等、条約に沿った全面的な改正が必要であり、第3章障害の予防に関する基本的施策は削除すべきであるということ。

それから、17行目の15番目、福祉予算に関しては、国際比較において低い水準にとどまっている我が国の障害関係予算を確保するための国や自治体の責務を明確にすることということ。

書いていない部分があります。ここでは、3から7と書いてありますが、これは論点表の番号でして、政治参加、主要参加、差別禁止法制の確立と施策、虐待防止法制の確立と施策並びに障害児施策、ここら辺については条約に基づいて新設すべきであるという御意見です。

次に、尾上委員からの意見ですが、既存の関係条文については、条約の関連条文を基に、何々を確保する。もしくは何々を行う。もしくは何々しなければならないなどの義務規定を基本とするべきだということ。

次に、地域での自立生活の権利を実現していくために、権利条約にあるパーソナル・アシスタント・サービスを含む支援を受ける権利を明記し、サービスの実施規定を設けることが必要であるということ。

それと、改革項目の6には、インクルーシブ教育を基本とするとともに、障害児またはその保護者が希望するときには特別支援教育を受けることを保障というふうにあるわけですが、この点からして、変更規定は、規定6に沿ったものに改めるとともに、入口を分ける学校教育法施行令第5条等での異別取扱規定の削除が必要だという御意見です。

それと、雇用に関しては、単に雇用の促進に関する施策を示すだけではなく、雇用に関わるすべての事項に関する差別の禁止と苦情手続等による権利の保護に関する措置の必要性を明記する。

そして、従来のように一般雇用と福祉的就労の縦割り的な制度を根本から改め、障害者の働く権利の実現という観点から見直しが求められている。

5番目については、政治的及び公的活動については、権利条約を踏まえて自ら選択した手段、方法によって、効果的に完全に参加することができるような適切な措置を確保することが必要である。

難病については、従来、難病等に起因する障害というふうに記載されているために、身体障害者福祉法の手帳所持者に限定されるという誤解が生じている。ですので、起因するという言葉は削除すべきであると。

それに関連して、差別の定義の話ですが、先ほど言いましたように障害のみなし規定や、過去の経歴を障害の範囲に含める柔軟な対応が必要である。

障害の予防に関する基本的施策については、基本的に削除すべきである。その上で、新たに保健サービスへのアクセスまたは保健サービスの利用を設けて、主体者である障害者の判断と選択によってアクセスし利用できる施策を行うことを明記すべきである。

障害者に係る予算です。諸外国と比べて余りにも低いということですので、財源の確保、充実を行えるような規定を設けることが必要。

次に、川崎委員からは、精神科病院に入院中の人は、多くの人は投票にも行けない。一人で外に出かけることができない精神障害者がいる。

このように、精神障害の方の政治に関する参加という面で配慮されるべきということが書いてあります。

佐藤委員の方からは、障害のある子どもを新設すべきということで、特別支援教育の部分については、全国障害者問題研究会というところでやっていた文献、先生、これを修正されたものですか。

佐藤委員 こういう方向で修正してほしいという意見です。

東室長 その中身は見ていただければいいかと思います。

それと、新谷委員の方から意識の向上という点が重要である。ですので、基本法には権利条約第8条の規定を最大限盛り込むべきだという点。

政治参加、司法参加などについては、障害者差別禁止法などの関係で変わってくるんであろうが、その権利性と救済の仕組みを明確にするために、差別禁止法の方に盛り込む方が適当ではないかと考えますということです。

関口委員の方からは、改革17項目との関係については、対応を検討し漏れのないようにすべきである。

権利の確認という点から、見直しの必要性については見直す必要がある。

政治参加、司法参加については、具体的な規定が必要である。

差別禁止並びに虐待防止の法制度については個別法の制定に向けた理念条項でもよい。これは、個別法をつくることを前提に基本法ではその部分ついての理念条項でもよいということでしょうか。

障害児及び難病についての施策については加えるべきという御意見です。

次に、竹下委員からは当事者参加の仕組みを規定すべきであるということです。新たな立法、施策の実施などに当たっては、過半数の障害者または障害団体が参加する審議会を経なければならないとする規定が必要であるということです。

土本委員からは、この部分は再掲の部分ですが、虐待の防止、入所施設をなくし、地域で適切な福祉サービスを受けるということの規定が必要だということだと思います。

久松委員からは、情報の利用におけるバリアフリー化について、情報の利用、伝達支援と関連しているが、情報・コミュニケーションの保障として位置づけるべきである。コミュニケーション手段の使用だけではなく、質的保障も含めていく必要があるということが1点。

2点目として、障害の予防に関する基本施策は削除すべきである。

3点目については、教育の中で聴覚に障害のある子どもたちに対しては、手話と日本語の両方を身に付けられる専門的な教育の場が必要であることを踏まえるべきであるということです。

最後に、松井委員の方からは、障害者の政治や司法へのアクセスについては、これを追加すること。また、障害者の差別禁止や虐待防止については基本法の目的が定義で規定するにとどめ、それらの具体的な対応は、別途制定される禁止法をもしくは虐待防止法などに委ねることとするということです。

その他についても一緒に行きますか。

藤井議長代理 一緒にやってください。

東室長 では、続いて、その他のくくりですが、大濱委員からは、障がい者制度改革推進会議での今後の審議についてということで、まず、推進会議で検討する政策分野の順番を検討することが重要だということが書かれております。

次に、精神医療だけではなく障害者医療全般の議論をすべきだということが書いてあります。

小川委員からは、中央障害者施策推進協議会並びに地方障害者施策推進協議会の規定については、今後の在り方の検討が必要であるということで、これはモニタリング機関との関連でもありますが、ここでも挙げてあります。

勝又委員からは、論点表から見て、法律の改正や成立が軸になっているように拝見しましたと。大事なことは権利条約の批准を1つの目標として、それに向けた工程表を作成することが重要であるということです。

それと、工程表に基づくわけですけれども、早期に部会を組織すること。そして、複数の部会でやるべきことを分担し、一定期間にそれぞれの部会に与えられた課題を達成することで、ゆっくりと急いでというスローガンが実現すると思いますということがあります。

それと、今回の会議の進め方の中で、従来になかった情報保障とか、いろんな意味での合理的配慮を実務的にやってきているわけです。それは十分ではありません。そういう点について、今後の会議のモデルなるであろうと、ですからそういうことをきちんとケースとして記録を残しておくことが非常に重要ではないかということです。

そういうマニュアルをつくった上で、皆さんからは事務局に積極的な要望を出していただいて、事務局としては、事務局に投入できる可能なマンパワーと財源についても開示していくということで、お互いが受け身ではなくて参加される方がもっと積極的な責任を果たしていけるんではないかという趣旨のことをいただいております。

川崎委員からは、これはその他ではなくて、新たにつくるべきところで、差別禁止・虐待防止法の法制度も確立と施策を加えるべきと思いますということ。

北野委員からは、当事者活動である本人活動や自立生活センター活動や、各種セルフヘルプグループ活動等に対する市民的理解・関心を啓発するとともに、広く国内や国際的な権利擁護活動やエンパワーメント活動に財政的及び社会的な基盤を提供するということが大事である。これは基本法の内部について、こういうことを提案されているものだと思います。

清原委員からは、理念として含まれるべき内容についてということで、これはもっと前の部分で挙げておくべきでしたが、ここで書いております。

理念としては、障害者の権利主体性、ノーマライゼーション、ソーシャルインクルージョン、スティグマの徹底排除などが挙げられるべきである。

現行基本法は、障害者を相対的に受動的な存在として位置づけているかのような文言がある、これは改める必要があということが理念の問題として書いてあります。

それと、自治体の立場から留意していただきたいということで、先ほどおっしゃったことが書いてあります。

佐藤委員からは、全体の論点項目に更に追加をということで何点か書いてあります。これも本来であれば、先ほどの前段のところで話すべき部分でした。失礼しました。

新谷委員からは、基本法に、調査・統計の実施について規定を加えるべきだと思いますとのことで、これも前段の部分の話です。

関口委員からは、欠格条項と差別立法の洗い出し。とりわけ、医療観察法と精神保健福祉法の改廃は必須であるということが挙げてあります。

土本委員からは、知的な困難が何であるのかということを、あるいはお互いにこの場で確認してほしいと、単にルビを振ればいいという話ではないんだということだろうと思うんです。

ですから、なるだけ自分の思いをわかりやすく伝えていく努力をしてほしいというような趣旨だとうかがいますが、いいですか。

土本委員 はい。

東室長 中西委員からは、障害児支援を追加項目として挙げるべきで、あと、難病対策、大きな課題ですけれども、日本の国際貢献についてというものが挙げられております。

予算編成・政省令に関わる緊急課題の検討ということで挙げてあります。

それと、中障協と審議会との関係整理、制度改革推進本部との関係というものが挙げられております。

長瀬委員からは、国際協力です。これについて、条文の新設を提案するということです。

松井委員からは、その他について、やはり国際協力について触れてあります。

簡単ですが、以上です。

藤井議長代理 それでは、私に与えられた時間が、あと6~7分しかありません。

それで、まず、決定的に抜けているところ、これはどうしても入れておきたいというのを、まず、優先させます。その上で、もし何かあればと思うんですが、あるいは発言されていない方、それも優先します。

まず、どうしてもこれは決定的に抜けているということでございますが。

大久保委員。

大久保委員 特に抜けているということではないんですけれども、最後の6番目の基本的施策のところで強調しておきたいと思います。条文がどのように整理されるかは別にして、特に雇用の促進や政治的、公的活動です。

1つは、先ほど尾上委員がおっしゃった雇用の際の欠格条項、成年後見制度と関わる欠格条項です。それと選挙権の剥奪、これも成年後見制度に関わりますけれども、この辺のところは、もっとも重要ですから、基本法の方でどうにか明確にその権利を示してほしいということがあります。

時間がないので、とりあえず、それだけ申し上げます。

藤井議長代理 長瀬構成員。

長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。私からは基本的施策のところでの国際協力の条文に関する新設についてお話をさせていただきたいと思います。

この点につきましては、非常に関心のある松井委員と中西委員が、今日もタイに国際協力の仕事のため、ご不在で、お二人からもしっかり発言しろと叱咤激励を受けていますので、発言させていただきたいと思います。

広い意味での国際協力というのは、本当にいろんな例があって、例えば95年にフィンランドやウガンダで手話が憲法に位置づけられたというニュースがあったときに、外国ではそんな例があるんだなと思って非常に刺激なりましたし、また、90年に米国でADAができたときにもやはりすばらしいなと感じました。そういう意味で、一番広い意味の国際協力というのは、1つのすばらしい実践を提示する、そういうモデルの提示だと思います。

ただ、この基本法の中での基本的施策としての国際協力は、例えば障害者の権利条約もそうですけれども、国と国との協力という枠の中に入ると思います。その中の重要な項目として政府開発援助、いわゆる先進国と呼ばれる国から途上国と呼ばれる国へのさまざまな技術や資金の移転、供与が含まれます。日本の政府開発援助予算は、来年度予算ではなは7.9%減ということになりましたけれども、それでもまだ6,187億円という予算があります。

ここの中に、日本として権利条約で新たに設けられた32条、国際協力というのが、人権条約の中で初めて設けられました。日本では、政府開発援助に関する基本法が結局実現せず、閣議決定によるODA大綱というもので決定をされている状態が1992年から続いております。特に、障害分野のみならず、日本の政府開発援助全般にかかって、インクルージョン、そして障害に基づく差別をなくすことを明確に、法的に規定する。そのために基本法の中での国際協力条項の新設というのを提示したいと思います。

この点につきましては、佐藤委員からもその御意見が出されておりますし、松井委員、また、中西委員からも同趣旨の提案がなされていることを申し上げたいと思います。

ありがとうございます。

藤井議長代理 中島委員、御発言ございますか。

中島委員 いいえ。

藤井議長代理 わかりました。そうしたら、いかがでしょうか。今後ここはまたプラスしていきますけれども、どうしても今日この場で言っておきたいということがありましたら、どうぞ。

関口委員と大濱委員の発言をもって、これは打ち切ります。今後のことは、後で触れますので、では、関口委員。

関口委員 全国精神病者集団の関口です。ちょっとはっきりさせておいた方がいいと思うことが1つありまして、条約は批准することは前提ですね。条約を批准すると、国内法の上に立った憲法のすぐ下ということになります。

そこで、必要になってくるのは、条約に書かれていることを担保する法制度ということ、それのまず最初が障害者基本法だということだと思います。

それと、当然条約に違反しているような法律なんかは直さなければいけないし、また、条約に書いてあるけれども国内法にないものについてはつくらなければいけないということが生じるんですけれども、その辺のことは、条約が前提でもって、その下に基本法があるときの基本法はどこからどこまでやるのかというお考えをうかがわせていただきたいんですけれども。

藤井議長代理 では、併せて大濱さんの発言をいただきましょうか。

大濱委員 その他の今後のことになりますが、今、発言してもよろしいですか。

藤井議長代理 どうぞ。

大濱委員 その他のところで、私が申し上げているこの項目なんですが、この委員会での会議の進め方なんですが、今回基本法で、この順番どおりいくと、差別禁止法になるわけですが、その辺の進め方の1つとして、私たちが懸念しているのは、先だっての原告団の訴訟の基本合意のことでもありますように、25年8月までに自立支援法を廃止して、総合福祉法を実施することとなっているわけでして、そうなりますと、実質的に24年の通常国会に提出しないと、総合福祉法というのを実施できないということになります。ですので、実際的に審議する期間が2年くらいしか時間がないということを踏まえますと、やはり、現在実際に動いている自立支援法に対する中身の検討をする別途部会を早目に、つくっていただいて、そこで審議していただき、総合福祉法にもっていくためにどういう形のものにしていくのかという議論をしていかないと、時間的にかなりきついのではないかと思っています。そこら辺を是非検討していただきたいと思っております。

藤井議長代理 それでは、いろんな御意見があるのはわかります。しかし、今日は時間が尽きましたので、更にこれについては、今日は始まりであって、一たんずっと総合福祉法問題と差別禁止法の議論に入っていきます。

そこで、今、出た2つ、関口さんからは、批准された暁の条約と基本法の関係、これはどういうふうにお考えかということ。

大濱さんからは、これからの憲法のこともあるんだけれども、とりわけポスト自立支援法、なかんずく総合的な福祉法制、この辺の議論を早目に、専門部会も早目にということがありました。

併せて東さんから、あるいはそのほかのことでもいいですから、含めて最後にお話しいただけますか。

東室長 今日は、どうもありがとうございました。ただいまの関口さんのお話、ちょっと確認しなければいけないところがありますけれども、まず、平成21年12月8日に障害者制度改革推進本部の設置が閣議決定されているわけです。その文書を見ますと、障害者の権利に関する条約の締結に必要な国内法の整備を始めとする、我が国の障害者に係る制度の集中的な改革を行い云々とあります。

ということは、当然前提として批准をするんだと、それに向けて改革していくんだということが閣議決定としてありますので、以上を前提とした議論をここでするということは、前提になるかと思っているところであります。

署名もしております。署名は、誠実に批准に向けて準備するという意味でもありますし、関口委員が言われたことは、ここにおいても確認されているかと思っております。

佐藤委員 基本法との関係は。

東室長 基本法との関係については、これで具体的に書いてあるわけではありません。しかし、従前の経緯から見て、やはり基本法がいろんな法律の中で実質的に一番上位の方だという位置づけであれば、やはり基本法をきちんとしたものにしていって、批准という流れになるのではないかと、これまでの流れからいけば、私個人として認識しております。

いかがでしょうか。

それと、緊急の問題を言われましたね。それは、総合福祉法だけではなくて、ほかの課題もいろいろあると思います。総合福祉法の部会については早期に立ち上げてくるという意見は、これまでいろんな立場の人から聞いておりますし、やはり、そういう事情に対応した動きをこの会議でもしていく必要があるとは思っております。

ただ、本当に具体的にいつからやるか、そういうことまで、まだ詰められている状態ではありません。制度の大枠として、新しい制度をどうつくっていくかという議論と緊急対策の問題をどう切り分けていくか、そこら辺の詰めが必要だろうと思っています。

例えばの話ですが、前半に緊急的な部分をやって後半から新しい制度の話をしていくというやり方もあるでしょうし、緊急的な問題は単に、単にと言ったら語弊がありますけれども、総合福祉法の問題だけではなくて、ほかの問題もありますので、財政的な点を考えて、緊急課題として挙げられるものだけを扱う1つの部会みたいな形も1つの案としてはあると思うんです。そこら辺は、本当に申し訳ないんですけれども、まだ、確定したものを提示できるだけの準備ができていません。その点については、早急に福島大臣、泉政務官、その他の人の御意見を聞きながら、皆さんの御意見も聞きながら、しかるべきに発表したいと考えております。

以上でよろしゅうございますでしょうか。

藤井議長代理 それでは、本日の私の方でも担当した分野ですが、まず、冒頭に推進法に関しては、本国会で提出をするという大臣からの言葉がありました。それ以降、ずっと基本法の6つプラスその他について議論してまいりました。

総じて、どうも大きな流れは、現行の基本法の修正ということよりは、相当つくり変える、あるいは新しくすると、名称もという意見もありました。多分、そういう論調で今後進んでいくんだろうと、ベースは権利条約があるということになると思うんです。

最後に、東さんが言われた大事なことは、こういう議論をしているんだけれども、しかし一方で、具体的に、そうすると2011年度の予算の積算が、もう4月から始まります。これに関しては、別途するかどうか、つまりこの中に特別チーム、特別チームの体制という話が出ましたけれども、これは少し相談もして、次回くらいにどうするかと。

恐らく東さんは言いにくかったかもしれませんけれども、例えば無年金障害者の問題だとか、解雇された障害者の問題とか等々、この問題と別個に進めるべき問題があるという点を考えたときに、これはこれで、大濱さんがおっしゃった総合福祉法制のみならず、関係する省庁の予算に絡む問題は、別途どうするかという点について検討させてくれと、この辺が最後のまとめだったように思います。

もう一点、東さんから、どうぞ。

東室長 東です。それと、議事録の要領の整理について、ちょっとお話をしておきたいと思います。

本日の議事の概要については、議事録とは別個に、後日、こちらの方で要点をまとめたものを皆様にお示しして、その上で御確認をしていただきたいと。そういう形で会議の要領、概要を皆さんと共有していきたいと思っております。今後、毎回そういう形にさせていただきたいと考えております。

それと、第3回以降の資料の提出方法なんですが、今日、私がまとめた部分は、随分まとめ方として妥当でなかった部分も正直いってありました。その点で、少し議論を混乱させてしまった面もあるんですが、いろんな意見をその文章を全部見てしか分類できないような形の意見書は、非常に事務的には困るんです。ですから、事務的に一番いいのは、論理的ではないかもしれませんけれども、一応、論点表に対応して意見を書いていただくと、中身を見ずに、そのまますとんと移せるわけです。中身を十分議論して、考えて、考えて移さなければいけないということになると、かなり大変なんです。

そういうこともあって、少し御迷惑をかけた面もあります。ですので、そういう意見の書き方とか、アプリケーションソフトによっては、非常にテキストデータに落とすのが難しくて、ウイルス作業とか、いろいろ大変な面もあります。ですので、できるだけ通常の一太郎とかワードとか、そういうものを使っていただきたい。pdfはしょうがない部分もありますけれども、pdfも避けていただきたいということ。

それから、パワーポイントも結構処理が難しいので、通常の文書でいただきたいということです。それについては、追ってまたメールで御連絡いたしますので、よろしくお願いします。

最後に、今後のスケジュールなんですが、次回、第3回は2月15日月曜日、13時から17時まで、会場はここです。議題は、自立支援法、総合福祉法、これと雇用ということで考えております。

その次、第4回は、3月1日月曜日です。このときには、議題として、差別禁止法、虐待防止法、司法手続及び政治参加という面で考えております。

以後、更に分野ごとにやっていきたいと思っていますが、それについては、団体ヒアリングも含めて行なっていって、一段落したところで、関係省庁からヒアリングを行なっていきたいと考えております。

日程としては、今、定まっているところでは、3月19日金曜日、第5回です。第6回が3月30日です。ですから、本年度は、この日程でやっていきたいと思っております。

4月以降は、基本的には、第2、第4の月曜日と考えております。国会との関係で議員さんとか、泉政務官とか出席できる可能性が高いのが月曜日だろうという判断で、原則として第2、第4、ただ、状況によっては、これが変わることもあり得るということなんですが、そういう含みで、一応4月以降の日程は空けておいていただきたいとお願いしたいところです。

以上でございます。

藤井議長代理 それでは、時間が少しオーバーしましたけれども、最後に小川議長の方からごあいさつをいただきます。

佐藤委員 済みません。次回に向けての資料の提出の締め切りはいつでしょうか。

藤井議長代理 失礼しました。では、これは東さんの方から。

東室長 具体的にはメールで早急にお知らせしますので、よろしくお願いします。

藤井議長代理 15番でも、ほぼ頭に入ると思うんですが、その日程がありませんから、大至急メールでいただきましょう。

小川議長 大変藤井議長に綿密な質疑応答、皆さん方の大変な御議論、今日は時間をオーバーいたしましたが、第2回の障がい者制度改革推進会議を閉会とさせていただきます。

誠に御苦労様でございました。ありがとうございました。

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