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障がい者制度改革推進会議(第3回)
議事録

小川議長 定刻になりましたので、これより第3回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。委員の皆様方には、大変御多忙のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日は福島内閣府特命担当大臣が出席をされております。委員の出欠の状況につきましては、本日は清原委員は遅れて参加の連絡を受けておりますけれども、それ以外の委員は全員御出席であります。

本日の会議は一般傍聴者の方にも公開しております。また、会議の模様はインターネットを通じても幅広く情報提供することといたしております。

なお、御発言に際してのお願いとして、前回も申し上げましたが、発言を求めるときはまず挙手をいただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただくようお願いいたします。

本日の会議は17時までを予定しております。本日は議事の時間を約65分程度とり、その後に約15分間の休憩を挟むという時間配分を基本として進めていきたいと思います。

それでは、まず福島大臣よりごあいさつをお願いいたします。

福島大臣 どうも皆さんこんにちは。障害者制度改革を担当する内閣府特命担当大臣の福島みずほです。

第1回目、第2回目と精力的に御議論をいただき、本当にありがとうございます。私もインターネットで見ましたが、手話の方、字幕が大きく出ていました。全国のいろいろな方たちが見て関心を持っていただいていることに大変感謝をしております。また、今日も傍聴の皆さん、本当にありがとうございます。

本日は、お手元の分厚い資料がありますが、大変濃い内容です。皆さんから御提出いただいた意見を参考にして、今日は障害者自立支援法、総合福祉法、障害者雇用という実に大きなテーマを御議論いただくことになっております。どうか委員の皆さん、本当によろしくお願いいたします。

やはりもう関心も高いですし、期待も大きいです。現実にあるいろいろな差別をどうやってみんなで変えて違う社会をつくっていくのか。これは役所ともいい意味で大いにけんかをして、大きく前進をさせたいと思っています。

ですから、もうそれは忌憚のない意見で、ここでやらなかったらいつやるんだと私は思っておりますので、どうか現実を乗り越えて、条約を批准するに恥ずかしくない社会をつくるんだという意気込みで、一緒に頑張っていきましょう。

前回に引き続き、よろしくお願いいたします。

小川議長 ありがとうございました。冒頭のカメラ撮りは、固定のムービーカメラのみといたします。

それでは、これより先の個別討議につきましては、藤井議長代理に議事進行をお願いいたしたいと思います。

藤井議長代理、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 議長代理の藤井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

今もありましたけれども、ゆっくりとわかりやすく、前回も外国語が多過ぎるという御意見も出ていました。少し質問、意見を言うタイミングをなくしましたという御意見もありました。みんなで協力し合ってやっていきたいと思っています。

まず冒頭に東室長の方から、今日の4時間に上る議事の概略の説明をお願いいたします。

では、東室長、よろしくどうぞ。

東室長 どうもこんにちは。東です。

今日の議事進行の概略は、まず総合福祉法を第1コマ、第2コマでやって、雇用の部分を3つ目のコマでやりたいと思っております。

第1コマでは、地域社会で生活する権利、障害の定義、適用範囲、法定サービスメニュー、支給決定のプロセスという4つの項目を行いたいと思っています。

第2コマでは、それに引き続き地域移行の問題、利用者負担の問題、医療支援、その他ということで総合福祉法の関係は終わり。

第3コマが一般就労、福祉的就労、シームレスな支援、雇用の創出、その他という形で進行していきたいと思っています。

よろしく御協力のほど、お願いします。

藤井議長代理 そういう3つの大きな枠で今日は進めてまいります。今ありましたけれども、途中で2回休憩をとりますので、大体70分弱、65分程度議論が進むと15分間休憩して、また少し気持ちを取り直して議論を進めていくことになりますので、よろしくお願いします。

では、今ありましたように、まず第一の柱、資料では資料1-1をお手元に御用意ください。地域社会で生活する権利の問題、障害の定義、適用の範囲、法廷サービスの在り方、支給決定のプロセス。ほかにもあるかもわかりませんが、主に4つの要素。まずこれに関してたくさん意見が出されています。

この意見の概要を引き続き東室長の方から、かいつまんで御紹介ください。

東室長 東です。まず最初に「権利規定を明文化する必要性についてどう考えるか」という論点です。これについては障害者の権利条約第19条では、社会で生活する平等な権利を規定している関係で、これに対応する総合福祉法では、この権利規定にどう対応すべきかという観点から論点を初めに持ってきた次第です。この部分について、19名の委員の方々から意見が提出されております。

この論点に関しては、ほとんどの委員が地域社会で生活する権利を明文化すべきという御意見でした。勿論、障害者基本法の総則的な権利規定との関係も考慮しなければならず、またどの程度詳細に書き込むかといった議論があるかと思いますが、それは専門部会の課題になると思っています。少なくとも事前提出の意見のほとんどは、一人ひとり御紹介は申し上げませんが、明文規定を書き込むべきという点において異論のないところだと思っております。

以上です。

藤井議長代理 先ほどありましたけれども、今の議論というのは自立支援法の問題性あるいは廃止すると厚労省、厚労大臣は発表しております。これに替わる総合的な福祉法制がどうあるべきか。今から第1コマ目と第2コマ目を議論するんです。

現行の自立支援法の枠を超えていろんなことがあってもいいと思うんです。ベースは権利条約であったり、大臣もおっしゃったように裁判での基本合意文書などを出発点にしようと。なおかつ前段の第1コマ目の議論というのは、特に権利規定をきちんと明文化すべしということについてどう思いますかという設問をしたところです。19名の方たちはほとんど明文化すべしと。

今、東室長からも意見がありましたけれども、これに関して文章にできるだけ載せていない、もしこういうことを付け加えておきたい、あるいはどうしても文章を出せなかったという方も含めて御意見があったら、いかがでしょうか。

なお、進行は、先ほど言った4つの要素を順番にやってまいります。65分間使って、大体十数分間ずつやっていきますので、機械的ではありませんけれども、そんなような段取りで進めますからあらかじめ御承知置きください。いかがでしょうか。

竹下委員、お願いします。

竹下委員 静かな間、時間がもったいないので口火を切ります。書いてあることなので繰り返しません。一言で言えば、地域での生活を権利として明確にすることについての共通認識でしょうが、問題はそれを実現するのにはどうするかという手続規定、またはそれを地域での生活が何らかの形で侵害された場合の救済規定が必要だろうと。

すなわち、地域での生活を実現するための手続保障であったり、それが侵害された場合が幾つかあると思います。例えば施設入所との関係での地域への移行を請求権の形で位置づけた場合の実現過程を手続的にどう保障するのか。あるいは地域での生活の中で何らかの生活を困難にする事情が生まれた場合の支援を求めることの請求権という形での位置づけをどういうふうに規定し、それを実現する手続を明文化するのかということが重要だろうと思っています。

以上です。

藤井議長代理 今のに関連してもいいし、これに関するほかの論点でも結構です。いかがでしょうか。ないですか。

中西委員、お願いします。

中西委員 中西由起子です。1回目、2回目、海外での仕事等が入って、今日初めて参加させていただきます。

藤井議長代理 自己紹介もしてください。今日、松井さんも来ているかな。では、後でお二方、前回休んでいますので。

中西委員 今の発言に含めてよろしいですか。

藤井議長代理 併せてやってください。

中西委員 専門は国際分野、特に途上国の障害者支援ですが、障害問題に関しましては、地域の自立生活センター等を通じてもいろいろ関わらせていただいています。今回は特に基本法の中にも国際的視野を入れたいという思いを持って参加しました。

地域社会での権利の発言に移らせていただきますが、ここで地域社会というと自分が生まれ育ったところという意味合いが強いかもしれないですが、自分で生きたいところで生きる権利という選択権の明記もこの際、私は発言の中に入れませんでしたが必要となってくるのかと思います。つまり、地域社会というのは何を意味しているのか議論も必要になるのではないでしょうか。

以上です。

藤井議長代理 では、松井さん、前回、前々回と、今日は初めてなので、自己紹介も併せて一言。

松井委員 法政大学の松井です。2周遅れでの参加で随分先を行かれたという感じがしますけれども、何とか頑張りますのでよろしくお願いします。

私は主に障害者の雇用・就労という分野で仕事をしてきましたけれども、先ほど中西さんがおっしゃったように、わたしもこの分野での国際協力活動にも関わってきましたので、そういう観点からも議論に参加させていただきたいと思っています。

ありがとうございます。よろしくお願いします。

藤井議長代理 では、この論点に関してほかにいかがでしょうか。

関口さん、どうぞ。

関口委員 精神障害者にとっては病院からの退院という地域移行があるし、知的障害者にとっては施設から地域へという移行があると思うんですけれども、その際に例えば長期に入院されている方は地域社会の生活と言われてもイメージが沸かないんです。選択肢も何も選択するものが何なのかわからないという状態があります。

このような場合には、やはり体験外泊とか、要するに体験的に地域生活をやってみるというような具体的な取組みをしないと、精神障害者の入院率の高さというのは減らないと思います。その上でもってなお病院の方がアメニティーがいいというのであれば、それは地域社会の方が資源が少な過ぎるという問題だと思いますので、その辺のことをそれぞれ調査研究しながら、地域社会できちんと暮らしていくための選択肢があるしそれが何なのかということを周知させる義務がここまで入院者を多くしてしまった国にはあるのではないかと考えています。

以上です。

藤井議長代理 ほかによろしいですか。そうしましたら、大変大事なことなので、皆さん方のお手元に権利条約はございますか。今も東室長からありましたけれども、短い文章なので第19条のa項とb項を読ませていただきます。これは是非全体のベースにしていきたいし、まさに権利の選択する意味合いということが書かれています。

では、私は読み上げられないので、代読していただきます。

「第19条自立した生活及び地域社会への包容。

(a)障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと。

(b)地域社会における生活及び地域社会への包容を支援し、並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(個別の支援を含む。)を障害者が利用する機会を有すること」。

c項と続きますが、aとbだけを見ましても、この国の現状というのは随分乖離している。特にだれとどこで住むかという問題というa項と、地域社会とも孤立をしてはいけないというb項と、これらを是非全体のベースにしていきながら今後このところを深めていく必要があると思いますが、とりあえず次に進んでよろしゅうございますか。

手話の関係とか、門川さんはいいですか。

門川委員 はい。

藤井議長代理 土本さんもいいですか。

土本委員 文章を読んでいる最中に手を挙げていたんです。済みません。

藤井議長代理 ごめんなさい。では、どうぞ。

土本委員 土本秋夫です。先ほどの関口さんと同じなんですけれども、知的の場合は想像が苦手、地域生活をどうやって過ごすのか。入所施設の中で20年、30年過ごしていた人がいきなり地域生活をするということで、どうやって地域生活するか想像が難しい。経験もないのになぜそれで地域生活すればいいといって、ただ放り投げるだけではただ地域で生きているだけでだめなのではないかなと思います。体験をしなければならないのではないかなと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、その辺は何をすればいいか。

久松さん、どうぞお願いします。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。地域生活を送る上で必要なことは、私たちにとってはコミュニケーションが非常に重要で大切なことだと思っております。

日本語をベースに言語共同体として地域で暮らしていくことと同じように、私たちのように手話で生活する人もいます。ほかのコミュニケーションの選択もできる、そのことが是非保障できるように地域社会の生活の中に取り入れていただきたいと思います。

地域社会の中であらゆるコミュニケーションが選択できる、かつコミュニケーション保障ができる社会であるという考え方ですので、その辺りを踏まえて定義づけていただければと思います。

藤井議長代理 この件はほかのとオーバーラップしますので、次にまた進めながら深めてまいりますので、権利性を明文化すると言うのはおおむねその方向についてはほとんど一致しているとしていきながら、次に進めてまいります。

次の要素は障害の定義、適用範囲。

東室長 自立の概念についてです。

藤井議長代理 こちらの方が間違っているか。ごめんなさい。

自立概念というところです。これは皆さんお手元の資料は一致していますか。いいですか。

では、東さん、お願いします。

東室長 次に自立の概念についてですが、その前に関口さんと土本さんが言われた地域移行に関するいろいろな体験とかというものは、後の方で地域移行の支援策という部分があります。そこに関連する部分だと思いますので、そのところでまた触れていただければと思っています。よろしくお願いします。

さて、自立支援の概念についてどう考えるかというのが2番目の論点として挙げております。自立をどのようにとらえるのか、総則的な問題として非常に重要な論点だと思っています。

自立支援法では能力と適正といった言葉が添えられておりますけれども、それでいいのかという問題だと考えております。

ここでは19名の委員から意見が提出されております。

多くの意見が自立と支援を受けることは矛盾はしないという前提で議論が出されていると思います。委員によっても言葉遣いの微妙な違いとかありますけれども、また自立が多元的に使用されているということの指摘もあるわけですけれども、ほとんど内容的には少なくとも障害者に関して言うと、支援を前提とした自己決定であるという点ではほぼ一致しているのではないかなと思っているところです。

以上です。

藤井議長代理 この件もそう多くの異論はなかったんですが、しかしこれも異論はないんだけれども、この国の実態からすると随分乖離のある話なんです。自立の概念、自己決定を含めていかがでしょうか。

佐藤久夫委員、どうぞ。

佐藤委員 自立イコール自己決定ということで共通理解が大体できているということで、私もそう思います。そういう使い方をするということによって障害者福祉がうんと前進するんだろうと思います。

そうであれば、自立という言葉は使わないで自己決定という言葉を使ったらどうかなと思います。自立という言葉は社会のほかの分野ではまた違った意味で、つまり、支援なしでやるという意味で使われていることが一般的だし、福祉の中でも例えば若者自立支援塾などは就労するということが自立という言葉で使われているので、我々が自立イコール自己決定だと思ってそうだそうだと言っても、実際の市町村だとか福祉サービスのいろんな現場では身辺自立が自立だと思って運用するような場面もまだまだあるので、混乱するのではないかなという感じがするんです。

身辺自立という部分については身辺自立という言葉を使えばいいし、自己決定という意味のところでは自己決定という言葉を使えばいいし、自立という言葉単独で、しかも定義なしで新しい総合福祉法の中に登場させるということが大事なことなのか、意味のあることなのか、混乱を生み出さないだろうかという心配があります。

藤井議長代理 これはかなり根本に関わる問題。恐らく方向としては同じなんですが、自立ということを使わないでむしろ一般に使われているイメージということもある中で、このことというのは果たしてきちんと社会に伝わるのだろうかというのだったら、もう自己決定という方でいいのではないかという論調があったと思いますが、これに関係してもいいしほかでもいいんですが、いかがでしょうか。

竹下さんから。

竹下委員 今の意見に反対するわけではないんですが、気をつけなければならない問題がそこにあると思います。自己決定というところの言葉によくくっ付けて必ず論じられるのは、自己責任であります。すなわち、自己決定を権利として行使したのだから、その結果について責任を持つのは当然のことであり、自分の決定したことに基づく、言わば責任を人に転嫁するなという形で、自己責任論とときには混同、ないしはくっ付けて論じられることは非常に危険だと思っています。

その限りにおいて、自己責任と自己決定との関係もきちっと論議をされておかないと、この自立の問題を論じるときに逆のとらえ方に結び付くおそれがあることだけは指摘しておきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、大谷さんまで議論を進めましょう。

大谷委員、どうぞ。

大谷委員 ほとんど竹下委員と同旨です。竹下委員が自立と自律ということを概念的に分ける必要があるかという意味合いでの意見も出されているように思います。

ですから、今後、自ら立つという意味での自立と、自ら律するという意味での自律、これもほとんどいつも並べられているんですけれども、その辺をどう考えるかということを意識するべきだと思います。また、自己責任と自己決定は必ずセットで言われてきている経過もありますので、その点に関しては竹下委員と同じ意見です。

加えて、日弁連の立場で紹介させていただきたいのですが、日弁連が2007年に発表した差別禁止法案の中で、自立生活と自己決定についての権利があります。これは、やはり支援を受けながら地域において自立した生活を営む権利となっているのですけれども、1つ特段意識して加えておいた方がいいということで述べたものがあります。

それは性を否定されることなく、個人として尊重され、障害を理由として、性、生殖、婚姻及び子の養育、並びにこれらに関する教育、情報提供、保健サービスに関して不利益な取扱いを受けない権利ということも自立生活、自己決定の中に含めるべきであるという意見も加えさせていただきます。これは特に副次的な差別を受ける女性の立場から、性を否定されることのないということを加えた方がいいということで加えさせていただいたものです。

加えて、これらの権利行使に必要な説明及び教育並びに権利行使の前提となる意思決定に対する十分な支援を受ける権利も自己決定の中に含めるべきだと日弁連として提案させていただいていますので、それも含めて皆さんに意見をいただきたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 尾上さんも手が挙がっていましたので、尾上委員の方からもまず御意見をいただきましょう。

尾上委員 尾上です。非常に大事な議論だと思っています。というのも、自立という言葉をめぐって、もう既に廃止が明言されている法律の名称が障害者自立支援法なんです。つまり、自立ということをめぐって21世紀になって非常に混迷をしてしまったのが、この日本の今の状況なんだろうと思うんです。

先ほど東室長から言われた通り、能力と適性に応じた自立ではなくて、むしろ一人ひとりの自己決定、自ら律するということを核に置いた自立という考え方をしっかりと押し出していかなければいけないのではないかなと思うわけなんです。そういう意味ではあえて言うならば自立生活という意味での自立かなと思います。

社会で一般的に使われている自立の一方、私たち権利条約が言っている自ら律する、あるいは自己決定を含む自立という考え方をどういうふうに社会に広めていくかということを工夫しなければいけないかなとは思います。この点はもう既に30年ぐらい前から国際的な障害者運動の中では例えば人の助けを借りて15分で服を着、外出し、社会参加できる障害者は自分で服を着て2時間かかるために家にいるほかはない障害者よりも自立をしているという非常に古典ともいえる定義があります。

つまり、支援を得ながら自己決定をするということです。人の手を借りないことが自立だ、自分で何からできることが自立だみたいな形に日本ではとらえられがちなんですけれども、むしろ国際的には、支援を得ながら自己決定をした生活が自立だということが言われてきました。権利条約やそれに基づく制度改革の中でしっかりと日本でも定着をさせていくような努力が必要ではないかと思います。

藤井議長代理 長瀬委員まで一旦発言を受けましょう。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。

今、尾上委員がおっしゃった点、つまり、支援付きでも自立だし自己決定だということがここ数十年の取組みにもかかわらず定着しなかったというのが佐藤委員の論点だと思います。そういう意味で必要な場合において自己決定という言葉を付け加えて、自立の意味を明確にしていくというのには賛成いたします。

ただ、自己決定、こちらは竹下委員や大谷委員もおっしゃった点だと思うのですけれども、もしかすると自己決定の方が自立よりも1人で決める、1人で責任を負うという側面がかえって強い場合もありますので、さまざまな支援があって自己決定する、必要に応じた支援があっても、自立であり、自己決定だということを強調する課題は、仮に自己決定という言葉を付け加えるにしても残るという点を申し上げたいと思います。

ありがとうございます。

藤井議長代理 もう一人、関口さんから挙がっていたかな。

時間がないので、関口委員、森委員までで一旦おしまい。では、関口委員からどうぞ。

関口委員 私は3行しか書いておりませんので、その中の前文n項というところを読ませていただくと、障害者にとって個人の自律及び自立、自ら選択する自由を含むが重要であることを認めとなっているんです。

ここで問われているのは、障害者にとっての自立は何だろうかということを問われていると思ったんです。だから、そうだとするならば、自分を律する、いわゆるオートノミーが入った選択権を含む概念だとお答えしたんです。

これは自己決定と言ったときに、例えば別添の資料で出しておりますけれども、国際育成会連盟のポジションペーパーですけれども、「支援つき意思決定制度の主要要素」というのを出していると思います。要するに意思決定をする際に支援を受けても、それは別に構わないではないかという趣旨でございます。その主要な要素は何かというポジションペーパーが出ているわけです。

そういう意味で言うと、自己決定ができない者は人間ではないのかみたいな話になると甚だややこしいので、そういうことはなしにしていただいて、まさに条約で言えばオートノミー、自律というのと自立というのとその2つ。その中にまた自ら選択する自由を含むというのが入っているわけですから、それでまとまりとして障害者にとっての自立なんだと定義していただきたい。あるいはそうでなければ言い換えるとしても、例えば自己決定の権利と言ってしまうとそのうちの一面だけが強調されてしまう嫌いがありますので、それはまずいのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 森委員、お願いします。

森委員 日身連の森でございます。

この自立という問題と自己決定と区別してしまうと、意味が変わったのではないかなという気がするんです。といいますのは、恐らく障害者問題で一番初めのときには、やはり軽い人たち、税金を納める人たちが対象になっていたんだろうと。ところが、今までもそうですが、40年代後半ごろから重度の人たちの問題が大分出てきた。そのときに自立とは何ぞやと。つまり、今までの経済的独立だとか1人で何でもできるとかそういうことではなくて、人間としてどう生きていくのかというも問題が出てきていろいろ違いが出てきたのだと思っております。

したがいまして、そのときには自分で物事を選んで自分で決定する。その行為のためにも支援が必要だということを含めても、これは自立ですよというところで最重度の人たちに対する施策というのを基本的に考えてきたと理解しております。

ですから、自立を変えて自己決定というだけになると、そういう考えはあるかもしれませんけれども、ちょっと意味が不足するのではないかという気がしております。

以上です。

藤井議長代理 門川さんからも手が挙がっていますので、では門川委員、お願いします。

門川委員 門川です。今までの議論を聞いていて、これはどうかなと思ったのですが、自己決定イコール自立というのは賛成できないなと思います。

自己決定をするためには、そのための支援とかがいろいろと必要となってきます。支援がないと自己決定のしようがないという障害者もたくさんいますから。例えば施設などに長く入っていて社会の動きとかがわからなくなってしまった人たち、この人たちが施設から出て地域で生きていこうと考えたときに、その社会の動きがわからない、どのように選択していいかがわからない。自己決定をするための判断材料がない。そういったこともあり得ます。

精神障害などの長期入院をされている方であったり、施設から地域へ移行しようとしている障害者も多くいます。そのためにはやはり自己決定を支援する何かが必要となってくるのではないでしょうか。

安易に自己決定イコール自立というのはどうなのかなと思いました。

以上です。

藤井議長代理 このことはここで一旦あれしますが、北野さん、大濱さん、我慢してください。

土本さん、やはり自立ということは多分いろいろな関心があると思うんですけれども、難しい話なんだけれども、どう思うかな。

土本委員 自分の思いを伝えるのが難しい仲間たちがいる。それと周りがどんなよい生活をするか一緒に考えるのが必要ではないかと思います。

自己決定というか自己責任もあるんだけれども、例えば料理をしていて自分の指を切った。それで学習をしてくる部分ではその責任もあるのではないかと思うし、自分もひとり暮らしをしていてどんな暮らしをするか相談しないとわからないところもいっぱいあります。そういうときにそういう情報が必要だと、単なる難しい文章の中で自立せよと言われても、そこが障害と言われているところ、困難を抱えているわけだから、やはり適切な支援が必要だと思います。

藤井議長代理 土本さん、自立したいという気持ちがある、あるいは自立をしなさいと言われたらどういうふうに思うかな。

土本委員 自由だ、解放されたと。今までは親とか自分たちの自由を奪っていた部分があるのではないか。今、措置制度から始まっている入所施設のことを含めて、どこにも自分で決めたことはない。自立もさせてもらえなかったということも含めてそういう考えではないかなと思います。

藤井議長代理 いろいろありましたが、佐藤さん、問題を発言したので最後に一言いかがですか。

佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 頭が混乱してきたのですけれども、自立イコール自己責任という時代がずっと長かったわけですね。自分でトイレも自立しなさい、働いて生活費も自分で稼ぎなさいという自立イコール自己責任という時代がずっと長かったので、それでは重度の障害者が生きていけないということで、そういう自立ではなくて援助を受けながら自分で自分の人生を考えるという意味の、自己決定イコール自立、あるいは自立生活という考え方が出てきたわけです。

ところが、自己決定ということに関して、今度はまた自己責任というのがかぶさってくるのではないかという竹下委員の発言もあって、確かにそういう面もあるなと。しかし、そういう面もあるけれども、自分で包丁を使って手を切ってそこから学習するという土本さんが言われたそういう自己責任も100%否定するべきではないということもあったりしてということで、今頭の中が混乱しているのでこの辺に。

藤井議長代理 なぜこれを時間とったかというと、これは新法の理念部分、先ほどの権利性という問題と並んで概念整理をきちんとしておくという時間をとらせていただきました。大濱委員に我慢してほしいといったのは、これは今後も続きますのでまた発言する場がありますので。

今日のこの段階では一応今後引き続き議論するという前提で、自立と自己決定との関係、更に自己決定と自己責任との関係、自立にはまた律する方の自律もここに加わってくるという関係性、おのおのが今言った概念。この新法にどんなふうに形づけていくのかということ。

議長代理として一言言っておきますと、言葉の概念というのは成長する、進化するものであって、例えば自立ということを数年前に辞書で引くと、人の力によらず自分の力で立つこととあったんですが、最近では大きい辞書では、人の力に頼りながら自立という言葉が入ってきています。

ですから、今後この辺では一般的な今の言葉を固定的に見ないで、私たち自身がこの自立という新しい自立観を社会に伝えていくということもあってもいいのかなということも含めて、更に引き続き今後につなげましょう。

次に移ります。次は、適用範囲の中で特に障害の定義に関して、また意見のポイントを室長からお願いします。

東室長 東です。

障害者基本法でも定義の問題は大きな問題としてありましたけれども、総合福祉法においても定義の問題で出てきます。障害者の権利条約ではあらゆる、もしくはすべての障害ということが強調されておりました。反面、自立支援法では制度の谷間に取り残された障害という形で議論されているところです。そういう意味でこの点は日本の障害者福祉の枠組みに関する重大な問題であるわけです。この点に関しまして、19名の委員から意見が出されております。

制度の谷間をなくしていくべきだという点は、全員一致だと言っていいと思います。その上で障害自体をどうとらえるか、その内容については多くは社会モデル、ないしはICFモデルに基づいて考えるべきであり、その観点から障害を定義づけるべきであるとする意見がほとんどだと思います。

ただ、障害の範囲というのは社会との関係で考えると変わり得る概念でもあるということが言えます。ですから、あえて定義化するべきではないという意見もございました。意見としては少数なんですが、考え方としてはあり得る考え方だと思っています。

以上です。

藤井議長代理 これも前回の基本法でも障害の定義ということが関係してくるんですが、改めて総合福祉法制あるいは総合福祉法(仮称)の中でこれをどういうふうにとらえるかということで、特に今の御意見に加えてどうしても言っておきたいことがあったらお出しください。

中西委員、どうぞ。

中西委員 中西由起子です。

いままでの議論を伺っていると、ICFというのが1つのよりどころ、もしくは欠陥のある分類として指摘されて出てきているのですが、ICFの成り立ちを考えますと、1981年の国際障害者年に間に合うような形でICIDHというWHOが提案した基準がありました。その障害分類は、もう既に国際障害者年のころには医療モデルに結び付いた欠陥のあるものとして指摘され、長い年月をかけて討議を経て今のICFに移ったはずでした。しかし実際にふたをあけてみると、その成立過程の議論自体が先進国中心であり、あくまでも医療モデルに基づいているのではないかという批判があって、またこの採択自体がかなり拙速にされた、つまり今までのICIDHが医療モデルに基づいてそれに代わるものを何か出さなければいけないという背景もあったと思うんです。

そういう経緯で出てきたものであるので、ICFの概念や利用にはかなり注意が必要であり、むしろ先ほどのお話から新しい概念に積極的に取り組んだ方がいいと思います。ICFに基づかないニーズに基づいたもの、医療モデルというか、片仮名はいけないと言われましたが、インペアメントモデルという言い方をするんですが、つまり、病気とか障害とかそういうものに焦点を当てないものをもっと追求していくべきだと考えました。

以上です。

藤井議長代理 これに関してほかに意見はありますか。

先に新谷委員からいきましょうか。

新谷委員 新谷です。繰り返しの論点になります。理念としての社会モデルは原点として押さえないといけないと思いますが、個別サービス分野、福祉サービス分野になって社会モデルをそのまま置き直したときに、現実の問題としてどういう解決策があるのかということを考える必要があると思います。

聴覚障害の場合には、あえて私はWHOの数値モデルを提案していますけれども、具体的な救済措置になると数値の世界というのは非常に明確になる。自分がサービスを受けられないか受けられるのかというのは数値的な判断になってくる。そこのところに社会モデルを持ち出す場合、社会モデル的な障害をだれがどのように判断するのかが問題になると思います。

例えば今は障害程度区分でいろいろ問題になっていますけれども、ああいう複雑な仕組みの中で福祉サービスそれぞれを判断するのか、それとも簡便な方法で福祉サービスを受けられるように判断するのか、そこは個別分野でかなり慎重な議論が必要だと考えております。

以上です。

藤井議長代理 大谷委員、どうぞ。

大谷委員 本当に1点だけ、全体としての障害概念の中で、とりわけ乳幼児について、いまだはっきりしない、未確定の障害もあるということも含めて認識していただきたい。にもかかわらず我が法は全部3種の障害別に法律が分かれている。そのことによって非常に乳幼児のサービス、ニーズが保障されていないという事態がありますので、特段小さいときのある種の特殊性を考えれば、ニーズに応じて支援が保障されるということを、そういうことも含めて知っていただきたいと思って意見を付け加えました。

藤井議長代理 ほかに。先ほど大濱さんが手を挙げていたから、大濱さんにいきましょうか。

大濱委員 大濱です。

この障害の定義、範囲についてですが、社会モデルを大前提として、本人がどのようなニーズを必要としているか、というニーズのある人を幅広く障害の定義とする。この必要なニーズに基づいて適用範囲を考える。ニーズのある人が障害だということで、ニーズのある障害者については漏れないようにしていく。それが障害者の社会モデル定義での谷間をなくすことに繋がって行くと考えます。

藤井議長代理 それでは、尾上委員、どうぞ。

尾上委員 尾上ですけれども、論点としていただいた質問が障害の定義あるいは適用の範囲ということだったので障害ということが議論になっていると思うんですが、そもそも前回、障害者基本法で社会モデルに基づく包括的な制度の谷間を生まない障害のとらえ方をしていきましょうということで大枠の一致をみたと思っているんです。

だとすれば、障害者基本法とは別に一つひとつまた障害を決めるというよりは、この法律のサービスを必要とする人はだれかということ、基本法で言う障害を持っている者でこの法律の支援を必要とする者はだれかということを定めていくことが必要なのかなと思ったりしています。

権利条約で障害が機能障害と相互作用によって社会への完全かつ効果的な参加を妨げられる者を含むと書かれている。そのことを引っ張ってきますと、他の者との平等を基礎として、社会への完全かつ効果的な参加の妨げられているものであって、この法律のサービスが必要であると支給決定において認められる者を対象とするという形にすべきです。もう1回障害者の定義をまた各法ごとに決めるというよりは、この法律の対象者という形での整理が必要なのではないかということが1つです。

もう一つが、とりわけ制度の谷間の問題というのは、2005年の自立支援法の国会審議のときにも付帯決議で発達障害、高次脳機能障害、難病等も含めて包括的に使えるような制度に見直していくべきだということを国会の意思として示していただきながら、またそこの部分はできていませんので、是非とも今回の総合福祉法の中でしっかりとやっていくべきです。同時にその法律改正を待たずして緊急措置ということで、例えば今手帳要件が課せられているわけですが、手帳を持っていない人であっても障害程度区分で該当になったりとかというような人に対しては、やはり緊急措置として支援を認めていくということも、少なくとも必要なのではないかなと思います。

藤井議長代理 森さん、一旦打ち切ります。どうしても言いたいですか。

では、森さん、簡単にね。

森委員 ありがとうございます。森でございます。

私は医学的モデルという形から社会的モデルという形でお話ししておるんですが、ただ1つだけ、先ほどから意見が出ていると思うんですが、こういう形でやったときに現在受けているサービスだとか体系だとかという問題について、具体的にどういうふうに整理していくのかなというのを私自身まだ頭の中で整理できないんです。その辺をちゃんとしていかないと、今までの制度で既得権の方々が受けられなくなってしまったり、そういう問題も出てくるのではないかな。慎重にこの辺はよく検討した方がいいのかなという気がしています。ただし、現在の障害の定義ではしようがないと思っています。

以上です。

藤井議長代理 では、佐藤委員の発言でもって一旦これは打ち切ります。

佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 日本社会事業大学の佐藤久夫です。ありがとうございます。

先ほど来、社会モデルという言葉がしばしば出てきているんですけれども、この言葉の意味も共通に使われているかどうかというのも不安になっています。

先ほど中西委員は、ICFは医学モデルの性格をまだ持っているという言い方をされましたけれども、この第1回、第2回の議論の中ではICFの環境と個人との相互作用という考え方が社会モデルだというような言い方で、そういう理解での社会モデルという、あるいはICFという言葉の使い方がなされてきたので、この辺の整理をきちんとしないといけないなという感じはあります。

その社会モデルに基づいて、ニーズのある人をすべて対象にすべきだいという議論なんですけれども、障害者の制度とするのか、障害者の制度であることを広げてより一般的な制度にするのかということの共通理解も余りはっきりしていないように思います。

私が書いたんですけれども、この法律の支援を利用して生活上の困難を軽減し、社会参加を促進できる可能性のある人はすべて対象したいところである。しかし、家事援助は母子家庭、父子家庭にも役立ち、就労移行支援などはニートの人々にも役に立ち、あるいは足をねんざしたので車椅子を1か月使いたいという要望には補装具の制度が役に立つだろうと思います。つまり、このサービスを使うことによって生活が改善する人をすべて対象にするということであればそういう人までも対象にするべきだと思いますけれども、これは障害者の総合福祉法であるとすれば、やはり範囲をそこまでは広げないような縛りをかけないといけないのではないか。

したがって、機能障害か疾患、症状があるということを一応確認した上でサービスの提供対象にするというような手続が必要なのではないかと思います。

藤井議長代理 さて、これを議論し出すといよいよ大変なんですが、堂本委員はまだ発言していませんでしたので、堂本委員の発言をもって一旦このところは収束しましょう。

では、堂本委員、どうぞ。

堂本委員 ありがとうございます。

佐藤委員のおっしゃったことと関連するのですが、今は社会的ニーズで広がる領域のことをおっしゃったんです。例えばニートの人やけがをした方でもいろいろいらっしゃいます。その逆で、障害を持った方が65歳になったときは、現行法でいきますと自立支援法から介護保険法に移行します。すると、それまで障害を持った方として受けていたサービスが逆に受けられなくなる。したがって、今の社会モデルという考え方でやった場合に、障害者の制度と高齢者の制度という両面から考えて、例えば65歳以上の障害者の皆さん本当にそれでいいのかという部分が残ってくるわけです。

なぜこれを申し上げるかというと、たまたま私が後期高齢者医療制度改革委員会の委員もしているものですから、両方の立場から考えているわけです。年をとったために障害をもつ、例えば車いすに乗る方、あるいは耳が聞こえなくなる方、目が見えなくなる方、これはいっぱい出てきます。それと逆に障害者が高齢化したときにどうするのか、両方の問題があります。ですから、現行制度との関連でこれは議論すべきことだろうと思っています。

以上です。ありがとうございます。

藤井議長代理 堂本委員はどうすればいいと思うんですか。

堂本委員 私はここで言ってしまっていいかどうかわからないけれども。

藤井議長代理 もう言ってください。

堂本委員 最初に申し上げましたけれども、社会保障制度を包括的にもっと考えなければいけないのではないか。まさに高齢者は障害者です。私も今日はひざが痛いですし、この間は車いすにも乗っていました。これだけ日本が長寿国になったのですから、障害者制度と高齢者制度も包括的に考える必要がある。

また、一番大きなことは、結局地域で実現できていないと云うことです。どんなに法律で明文化されても地域ではなかなか実施されない。実際に私の経験から言わせていただければ、その一番大きな弊害になっているのは、縦割りの行政制度だと思っています。そこのところをいかに包括的にするのかということを考えたときに、そのためには今度の総合的な障害者の法律というのはとても大事だし、同時に周辺の社会保障制度とどう関連付けていくかということも大変大事だと考えています。

以上です。

藤井議長代理 関口さん、一言いたいね。

では、よろしく。

関口委員 ICFの中にはICD10、つまり国際疾患分類も併用するとちゃんと明記してあるんです。だから、医学モデルを全く捨てたわけではないと思います。ただ、私が書いたのは、社会や身の周りとの関係で生じる困難も障害であり、その困難さは確認もしくは推認されるものを含むべきであると書きました。では、だれが確認もしくは推認するのかという問題になるんです。

例えば発達障害だって広汎性発達障害だって、ICD10に入っている疾患なんです。分類の中に入っているんです。だから、そういう意味では精神科領域の問題なんです。だけれども、それがわかっていても手帳が出なかったりするわけです。

そういうときにだれがどういうふうにというのがあって、例えば程度区分で言いますと、私はこの間程度区分の改定を受けたんですけれども、なんと2から3に上がりましてめでたく障害度は上がったんですけれども、そういうだれかが確認もしくは推認しないと障害者というくくりが本当になくなってしまうところがあって、それをどうするのかというところが一番問題なんだと思います。

藤井議長代理 この議論は大分尽きないんですが、堂本委員の方から切れ目のない、あるいは谷間のない、漏れがないという点で言うと、国民全般の社会保障、社会福祉の在り様ということは本当はあるんだと。

ただ、今日の、あるいは今回の議論というのは障害者の総合福祉法制ということになっていますが、その関係性をもう少し議論をとございました。

佐藤委員からは、やはり障害者総合福祉法制ということは障害者の枠がつくのであれば、基本障害、慢性疾患等あって、かつ環境との相互作用という視点が要るだろうと。もう一方で社会モデルの概念をもう少しメンバーの共通理解をという提起もありました。

しかし、ICFのとらえ方、医学モデルという点から脱却していこうではないかという点で言うとそれはどうなのか。

最後に尾上委員、大谷委員から、やはりニーズという点をそもそも前回の基本法の障害定義、議論を大分したわけですから、総合福祉法制にふさわしい対象はどうするのか。これはなかんずく総合福祉法制を求めるニーズということで整理できないのか。乳幼児もしかり、子どももしかり。

こんなことがあったので、いずれもこれは更に今後詰めて議論になると思うんです。この辺でとめておかないと、何ぼ時間があっても終わりませんから、次に進めてまいります。今、言った点は今後も議論を続けるという前提でいいと思うんです。

次は法定化すべきサービスメニューなんですが、この中に更に細かく4つのメニューが入っています。これは一括して室長の方から意見整理をお願いいたします。

少し時間が過ぎているんですが、門川さん、少しだけ延長をいいですか。手話通訳、要約筆記の新谷さん、久松さん。

東室長 遠慮なく言ってください。

門川委員 門川はいいです。大丈夫です。

藤井議長代理 大丈夫ですね。新谷さんも少しだけ大丈夫ですか。

新谷委員 はい。

藤井議長代理 OKね。それから、久松さんもいいかな。

久松委員 久松も大丈夫です。

藤井議長代理 もう1コーナーいって休憩に入りますので。

では、法定サービスメニューの件で、これは4つの要素について一括して意見整理をお願いします。

東室長 なかなか資料が多くて、一括でしゃべれと言われても大変なんです。大枠の議論なんですけれども、資料としては部会並みのものが出ていますので、紹介の仕方がうまくできないかもしれませんが聞いてください。

まず法定サービスメニューの中で「1.現行規定にない社会モデルの視点に立ったサービスメニューは必要か」という論点を立てております。

これは障害をどう把握するかという観点から、社会モデルの要素を入れ込むとすれば、単に障害者の範囲だけではなくて、当然それはサービスメニューそれ自体に大きな影響を与えるといった観点から論点として出させていただいた次第です。

ここでは17名の委員から多くの意見が提出されております。具体的にこうゆうメニューが必要だということで、アトランダムに言いますと、出された意見としては、教育における通学や就学中の支援、労働における通勤や職場介助、ジョブコーチといった支援、家庭生活における子育てなどの支援、政治参加における支援、病気、入院における支援、コミュニケーション保障の一環としての支援、施設から地域へ移行するための支援、権利擁護に関する支援、知的障害に応じた見守り、声かけ、理解を容認するなどの支援、精神障害に応じた24時間緊急相談といった支援、全身性障害者の24時間介護サービス体制の構築などの点が意見として出されております。

更に個々的な意見だけではなくて、そもそも法律で明文化されていないサービスであっても、これを必要な場合には明文化されていないものであっても提供することができるような法律上の仕組みづくりが必要だという御意見もありました。

次に論点としては「2.自立支援給付と地域生活支援事業の区分けは必要なのか」という論点を挙げております。地域社会で生活する権利といった視点から見ますと、自立支援給付は一応受給権という個人の権利という形で構成されております。また、これに係る費用も義務的なものとされているわけですが、他方、地域生活支援事業におけるサービスは、内容的は個別的給付でありながら個人の権利としてではなく、どちらかというと支援事業の反射的な効果によるものという位置づけがなされていたり、経費も裁量的なものとなっているわけです。しかも地域間格差も大きいという問題点もあります。ですので、地域社会で生活する権利の保障といった観点から、こういう二本立てがいいのかどうかという観点から出題させていただいております。

これについては16名の委員から意見が提出されておりまして、細かく言えば3つ、大きく言えば2つぐらいのグループに分けることができます。

1つ目のグループは、この区別を設ける合理性はないということを前提にして、少なくとも地域生活支援事業の中で個別給付になじむものは自立支援機給付に入れるべきだという意見だと思います。これが委員の中の4分の3ぐらいの意見だと思います。

残りは、地域生活支援事業には個別給付になじまないものもある。しかもその中で重要なものもある。だから、区別すること自体は一定の合理性があると。しかしながら、個別給付、特に移動支援やコミュニケーションの支援は自立支援給付の方に入れるべきであるという意見があるわけです。

大きく言うとこの2つに分けられると思いますが、実質はほとんど変わりないということだろうと思います。ですので、個別給付的な性格のものは権利性を与えるべきというのがここの大方の意見だと思っております。

次に「3.法定メニューの障害者の生活構造に沿った再編成のシンプル化についてどう考えるか」という論点であります。

現行、自立支援法上のサービスメニューは、利用者でもなかなかわかりにくい。そこに専門家が介在しなければ、本当に自分に必要なサービスが何か組めない。言わば、利用者の自己決定に基づく選択を阻害しかねないわかりにくい仕組みになっている。

また、必ずしも利用者の生活に即した組み立てにもなっていないのではないか。自立支援法以外の福祉サービスとの関連性はほとんど考慮されていない。むしろ縦割り行政の中で分断化しているという問題が発生している現状があるわけです。

このような観点から、生活に即したサービスの再編成の必要性とシンプル化についてどう考えるかという点で問題提起をさせていただきました。

ここでは14名の委員からの御意見がありまして、自立支援法上のサービスとそれ以外のサービスが縦割り行政によって分断されている状況とか、複雑な自立支援法上のサービスと報酬体系に関わる問題点がいろいろと指摘されております。

このような現状に対して、多くの意見を押しなべて言えば、障害者の生活構造やニーズに沿ってシンプルかつ切れ目のないサービスに再編すべきであるとか、人間の生活は身体介護、医療介護、家事援助などに分断されているわけではないんだと。したがって、切れ目のないものにする必要があるとか、目的機能で体系化を図り直すべきだとか、障害の程度、種類に関わりなく必要なサービスと障害の特性に応じて必要となるサービスの2類型で体系を組み直すというさまざまな御提案がなされている状況です。

次に「4.自己決定支援の必要性についてどう考えるのか」という大きな論点です。自立をどう考えるかという先ほどの議論がありましたけれども、支援を受けた自己決定という考え方もあります。その支援を受けた自己決定の必要性について論点として提出させていただきました。

障害者の権利条約の第12条には、法的能力に関する記述があります。判断能力が不十分な場合にこれを制限することができるかどうか、そこが問われました。その中で出された新しい考え方として、支援を受けた自己決定という考え方が出されてきたわけです。

自己決定そのものを支援するという形で、可能な限り本人の法的能力に制限を設けない。制限するかしないかという二者択一ではない新しいそのような支援の方法が模索されてきたわけです。

このような世界の流れの中で日本はどうすべきかということで、18名の委員から御意見がありました。この点に関して門川意見を参考に、自己決定に関して3つのレベルで考察しますと、第1に自己決定の前提として必要なのは、十分な選択肢が存在することということです。これは支援というよりもその前提での話なんですが、まずその第1条件がクリアーされること。

次にこの選択肢に関する十分な情報提供やわかりやすい説明がなければならない。この点が自己決定支援としてまず必要なことであると考えられるわけですけれども、これについての議論は改めてする必要はないと思います。当然のことである。

問題は第3のレベルなんです。判断能力が不十分な場合だけではなく、判断するだけの社会的体験を欠く場合、先ほど土本さんとか関口さんがおっしゃった点だと思いますが、そういう場合や、偏見・抑圧の中で心理的な抑圧を受けている場合の支援の在り方について、委員の方々から出された意見としては、ケアマネジメントに力点を置くか、それともセルフマネジメントに力点を置くか。もしくは後見制度に力点を置くか、それとも本人のエンパワーメントに力点を置くかという形で、自己決定への支援の在り方に若干の立場の、力点の置き方に相違があると感じました。

しかしながら、自己決定支援自体がとても重要であるという点についてはほぼ見解に相違はない。その中身をめぐってどうするか。この点は二者択一という議論では済まされない。やはりこれは両方ともいい面をとっていくというようなやり方がベストではないか。そこに向けて具体的にもう少し詰めた議論が必要な分野であろうと思っているところです。

以上、4つの点について御説明申し上げました。

藤井議長代理 それでは、10分ほど議論して休憩に入らなければいけないんですが、法定サービスのメニューの在り方という問題と、大きな支給決定プロセス、細かい4つのファクター、門川委員の書き方なども例に挙げながら説明がありました。

まず法定のサービスメニューの在り方、特に自立支援法で問題になったのは、自立支援給付事業と義務的経費、地域生活支援事業、裁量的経費の関係性、これが大きな問題になったわけなんですが、こんなことを含めて、まずこの法定サービスメニューのところについて少し追加意見があったら出してください。

佐藤委員、大濱委員の順番でいきましょう。

佐藤委員 佐藤です。たびたびで済みません。

今、この枠組みとして出されているのは、自立支援給付と市町村地域生活支援事業との関係はどうかということがメインになっていますけれども、自立支援給付の中でも介護給付と訓練等給付の区分けが適切なのかどうなのか。同じケアホームとグループホームというはどうしてこう分けるのかとか、そういうような検討課題がたくさんあるだろうと思います。

福祉的就労といわれる就労継続とかそういうものが福祉の中に入っているわけですけれども、この辺を社会的雇用というか保護雇用という形で福祉の中から外して、雇用の体系の中で働く希望のある者をすべて労働者として支援をするような体系が必要なのではないかというような議論も、この後半に今日出されるだろうと思います。

そうなってくると、自立支援法のサービスの体系そのものを地域生活支援事業との関係だけではなくて、総合的に見直す必要があるのかなと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、大濱委員、どうぞ。

大濱委員 今回の自立支援法から総合福祉法に向けて、問題点は制度間の縦割り、制度間の谷間などさまざまな課題があります。そこで新たな方向性として継ぎ目のないシームレスなアシスタントの制度、シームレスな介護制度をつくる必要がある。このことはパーソナルアシスタンスということで権利条約第19条に謳われているわけですが、現状を見ますと、文部科学省と厚生労働省の間で、あるいは厚生労働省の中でも労働と厚生の中で介護がそれぞれあります。学校への通学については文科省、通勤については厚生労働省の中の労働が管理している。

これらをシームレスな制度に再設計することが一番大きな論点だと思っていまして、そのほかに個々の問題として、医療的な問題でグレーゾーンのところでどこまで介護できるかという問題があります。これは海外その他先進国では普通に行われている現状なので、そのあたりのことも解決していかないといけないということ。

また、私などもそうなんですが、重度障害者が実際に病院に入院した場合、病院から介護者を付けてくださいという話が入ってくるわけです。このような場合、病院の中でも普段のヘルパーから介護を受けられる状況を制度的につくってもらいたいという、この問題が一番大きな課題かと思っています。それをきちんと制度の中につくり込んでいく。要するに、最初に言ったようにシームレスな介護をつくっていくということと同時に、この現在抱えている問題、医療的なグレーゾーンの問題、病院内での介護の問題、その辺をきちんと制度の中にどこまで組み込んでいけるかというのがこれからの問題だと考えています。

藤井議長代理 参考までに、この総合福祉法制で医療部門を法律上入れろという意見ですか。

大濱委員、どうぞ。

大濱委員 はい。これは医療的にどこまで介護していいかという問題があると思うんです。それをきちんと医者の指導などに基づいて介護者ができるとしてもいいというところまで、ここは踏み込んでいく必要があるという意味合いです。

藤井議長代理 では、法律上の扱いは幾つかあるけれども、受ける側からすれば切れ目があってはいけないということの趣旨ですね。

大濱委員 はい。そうです。

藤井議長代理 関口委員から手が挙がっていますか。どうぞ。

関口委員 まず自己決定について先ほど添付資料のことを言いましたので、もうこれ以上は申し上げません。実は、地域活動支援センターI型というのがございまして、精神の生活支援センターということになっております。

これは当初国が人口15万人につき1つつくりなさいということで、今は30万ということになっているみたいですけれども、つくられております。職員はPSWといって精神保健福祉士というのが主にやっておりますけれども、東京にいると実感がわかないんですけれども、例えば武蔵野市で18万人口があるんですけれども、ライフサポートを見るというのは1か所だけです。これが自治体によっては、ほかの自治体の住民の登録を拒否するというか受け付けないという自治体があるんです。

うちの場合はアウトリーチと言っていますように訪問したり何かする範囲は三鷹市と武蔵野市だけということにしていますけれども、一応基本的に受け付けているんです。こういう相互乗り入れがないとだめということが1つと、もう一つは15万と簡単に言いますけれども、過疎のところにいくと15万というと物すごい面積なんです。そんなところに1か所つくって来なさいという方が無理です。そんなものは来られません。

そうすると、どういうことをやっているかという具体的な例をお話ししますと、4人ぐらいの職員でもって、もうアウトリーチしかやらないんです。訪問活動しかしない。そういうことをやっているんです。だから、この辺は地域の実情に合わせて、実態に合わせたことが必要だと。その地域活動支援センターというのは、義務的経費ではなくて裁量的経費でやられているわけですけれども、これもおかしな話で、そういうことをやるから自治体によって勝手なことを言うわけです。うちが金を出しているのだからほかの自治体を入れるなとやるわけです。

そういうことをやらせないためには、もう精神障害者の権利として位置づけるならば国がちゃんと義務的経費を出すということをやらないとだめだと思います。もう一つ、地域の事情を勘案するということをやっていかないと、これは東京だったらそんなことは意識しません。例えば練馬に60万人住んでいるわけですけれども、1つと1.5ぐらいしかないんです。東京だったらすぐ行けてしまうからいいんだけれども、例えば杉並の人がうちに来たりのするわけです。だけれども、過疎のところでは人口15万といったらすごい広いんです。そこを考えていただきたい。

藤井議長代理 では、新谷委員、どうぞ。

新谷委員 新谷です。議論の立て方がわからなくなってきたのですが、この法定サービスメニューというのは現在の自立支援法の問題点だけではなくて、総合福祉法のメニューも視野に入れて議論するというテーマですね。

藤井議長代理 そうです。

新谷委員 私は現在の障害者福祉サービスに入っていない、アメリカで一般的になっています電話のリレーサービスの件を持ち出しましたが、これを持ち出した理由は、このサービスが必要かどうかという議論もあるのですが、つい先月議論された情報通信アクセス検討会の中で、情報通信機器のサービスマニュアルの中に電話リレーサービスを入れるということに委員が皆さん反対して、私たちの団体と早稲田大学の松本先生2人だけが必要だということを言った。ほかにもいろいろな業界団体の方が入っていますけれども、ほかの団体の方は何も言わないわけです。

障害者がここではいろいろ議論しているのに、全く無関係に障害者の問題を別の検討会とかで検討されているのではないかということが非常に気になります。

それで調べてみたのですが、今国土交通省では交通基本法を議論して、交通基本法を新しくつくろうという議論をしています。そこで東京の首都大学の秋山先生という方が最初の検討会で障害者施策、交通体系における障害者の問題というのを発表されています。そういう検討会とこの推進会議の議論というのはどうかみ合っているのか、そういう調整機能が果たされるのはやはり担当室であり、内閣府の方だと思います。全然別個の動きをしていたらまた改めて議論をまき直さないといけないですね。その辺についてのお考えはどういうふうになっているのかお聞かせいただきたいと思います。

藤井議長代理 では、ここでお答えいただきましょうか。

関参事官、いかがでしょうか。

関参事官 後ろの方から内閣府の関でございます。この推進会議は勿論内閣に設けられた全閣僚からなる本部の下での会議ですので、今後のスケジュールの中でも各省庁の方々に来ていただくヒアリングの機会も視野に入っているということもございますし、いずれにしても幅広く各省庁にわたる項目を立てて議論していくということでございますので、東室長の論点表の中で提示されている論点にもさらに追加していくことを含めて議論が進んでいくと考えておりますし、それをサポートしていくのが事務方の役割と思っておりますので、そのように対応していければと思っております。

東室長の方からもし何かあればお願いします。

藤井議長代理 東室長の前に、新谷さん、今の説明は私はちっともよくわからなかったんだけれども、わかりましたか。

新谷委員 問題はこの推進会議の政府の中の位置づけだと思います。障害者問題は基本的にここでいろんな分野にわたって議論していく。具体的な問題、例えば交通問題には障害者の問題も絡むでしょう。そういう障害者問題を交通問題に反映するという流れをつくられているのかどうか。

この推進会議と全く無関係に各省庁はそれぞれの課題を持ってどんどん進んでいる。その中に障害を議論しないといけない問題もいっぱいある。ここの議論が終わった後、改めて各省庁の問題に絡んでいくのか。ここの議論も前の会議のときに2つの方向で進めるという議論があったと思います。早急に自立支援法の問題を見直すという1つの課題と、長期的な総合サービス福祉法をどうするのかという議論とあったと思うのですけれども、今日の議論の立て方はその辺がごちゃごちゃになっていて、緊急課題と長期的な課題の区分けがどうなっているのかということも話を聞いていて疑問な点です。

藤井議長代理 では、少し整理しますと、今の件はもう一度休憩した後にお答えいただくとしておいて、とりあえずこの段階での議論というのは、先ほど室長から提案があった総合福祉法制に関する論点をやっていますので、今の新谷委員のお話は多分ほかの労働問題とか交通問題、情報サービス全部にまたがる話なので、他省庁の障害分野の審議の言わば権限とここの推進委員会の権限との関係性についてどうかという質問だと思います。

これは後でまたお答えいただきますが、もう一回論点に戻りまして、なお新谷委員、この今日の総合福祉法制の議論の終わりの方で、少し今後の緊急性の問題もありますので後でまた提案がありますので、そこまで少し聞いていただいて、また議論に加わってもらえばいいと思うんです。

竹下委員、これに関係する話ですか。

竹下委員 違います。よろしいですか。

藤井議長代理 いいですよ。

竹下委員 竹下です。

この議論を聞いていて少し気になる点が1つあります。それは今まで皆さんが言っていた意見に異論点はありませんけれども、疑問があるという趣旨です。例えば大濱委員からシームレスなサービスをということの立て方が異論があるわけではないですけれども、例えば入院時の付き添いの関係とか、通学時の支援の問題とかという話があった。これはそれ自身必要性も否定するわけではないんですけれども、ただ非常にうっとうしいのは、例えば入院時の関係というと裁判がまだ継続しているんだけれども、重度障害者が入院した場合の付き添い介助についての議論というのはどうなっているかというと、行政はすべて否定するんです。

理由は、現在の病院の成り立ちが今基準看護という言葉がなくなったけれども、看護基準の中ですべて看護に含まれているものであるから、入院中に特別の介護とかを付けることは必要ないんだという考えに立ってしまうわけです。

もう一つは、通学時の関係で言うと、我々は合理的配慮ということを差別禁止の中で論議してきているわけでありますけれども、合理的配慮として各場面ごとでのサービスの配慮がだれの手によってどのシステムの中で実現されるべきなのかということと、現在ここで議論している福祉サービス体系ということとの重畳的な問題をどう整理するのかということについて非常に悩ましい問題があるかと思っております。

その点で、この福祉サービス体系ということを議論するときに、縦割りイコール悪ではなくて、縦割りとの関係の調整ということについても必ず念頭に置いておいていただきたいということです。

以上です。

藤井議長代理 大変大事な提起だと思います。今後恐らくこれは医療関連法、また労働関連法あるいは児童と成人等々含めて恐らく個別法、しかし、その個別法間の連結、連携という問題も絡んできますので、縦割りを否定するのではなくて、縦割りをした上でどう連携するかという問題と、縦割りに絶対してはいけないという問題と多分こういうことは今後テーマになってくると思うんです。

このコーナーはここで一旦休憩に入ります。堂本さん、我慢してください。次にまたお話し願いますけれども、1つ出ていましたのは、自立支援法の言わば呪縛から解けて、それを超えた議論を本来すべきではないかという提案もありました。勿論、今日の提案というのはそこまで含めてだったんですが、今後そういうことで自立支援法にこだわらないで議論もしていただく。

先ほど出ていました御意見も重複を省きますので、なお、新谷委員の件につきましては後で後半の方でまた参事官の方から再度お答えいただこうと思っております。

それでは、32分なので、47分から。

福島大臣 藤井さん、私、50分ぐらいに予算委員会に行ってしまうので、ちょっと。

藤井議長代理 では、福島委員から、どうぞ。

福島大臣 関さんの方から正式にはあるでしょうが、私自身は皆さんの意見を出してもらうので私がしゃべる場面ではないんですが、先ほどの新谷さんの意見は、ここで一生懸命いい議論をしていても実際法案が出ていったり法律ができていくので、私たちがやっているこの過程の中でも出てくる法案に関してもっと意見を反映すべきだという御意見だと思うんです。

それは私自身も思っていて、例えば男女平等だといろんなところに目配りをしているつもりなんですが、もう一つこの間、子ども・子育てビジョンをつくるに当たっては、東さんにも相談をして、インクルーシブ教育というのを入れるとか、やはり障害のところを見てもらうということをやってもらったんです。

ですから、これから内閣の中で気をつけて、これはもともと推進会議の上は、総理をトップとした障がい者制度改革推進本部なわけですから、各役所が作成中の法案について私の方でも目配りをして、とりわけ新谷さんがおっしゃった交通基本法だとぱっと考えても障害者の皆さんに関係があることなので、できる限りそういう法案をつくるときも障害者の皆さんとどういう部門かわかりませんが、是非ここの推進会議の方と意見交換をやってほしいとか、今作成中の法案に関して障害者の皆さんの意見や思いや問題点が反映できるように工夫をしたいと思っています。

長くなって済みません。また。

藤井議長代理 大臣、大事なことなので。

そうすると、各省庁ごとの個別の論議が先行することではなくて、十分推進委員会の方で調整するとしていいわけですね。

福島大臣 というか、現に障害者の施策でどういう法案が考えられていて、どういう目配りが必要なのかをよく考えて、それは勿論この会議の中でも話をするけれども、時系列的にいうと別の法案の方が先に成立することもありますね。現に子ども・子育てビジョンなどこの間つくったわけだし。今度子ども・若者ビジョンをつくるときは文科省における教育はすごく論点になると思うんです。そういうときにうまく意見が反映できるように、各省庁ともどういうチャンネルでやったらいいかも含めて検討させてください。

長くなって済みません。ちゃんとそれは受け止めましたので、検討します。

藤井議長代理 では、検討をするというお約束なので、よろしくお願いします。

では、大臣いいですか。これで一旦休憩に入ります。では、改めて50分まで休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、これから今日の第2ラウンドに入りますが、少し時間が押しています。前段持ち越したものをここで入れてやりますので。なお、1つ私の方からお願いしたいことは、今日実は80地点でこの状況をライブ、生中継で見てもらっています。また、夜か夕方以降はオンデマンドで流れますけれども、その後に意見があったのは、電話が入りましたのは、藤井の方から各個別の名前を言うんだけれども、できれば各委員も名前を言ってほしいということで、自分の名前を言ってほしいということの希望が出ていましたので、もしできればそのように努力をしてほしいと思います。

なお、本論に入る前に、先ほどの福島大臣の発言も含めてそれを受けて、関参事官から新谷委員のお話であった他の省庁での障害分野の審議また検討状況とこことの関係に関して、では関参事官からコメントをお願いします。

関参事官 改めて内閣府の関でございます。新谷委員の御発言を契機に、特に他省庁で行われているいろいろな検討、制度の改正に関わる検討とのこの推進会議での検討との間の橋渡しはどうするかという問題かと思っております。

まずは内閣府の方で、各省庁で現在どういうような形で障害者に関わる制度に関する検討が行われているかということを調べてみたいと思います。日ごろから各省庁との連携を図っているところでありますけれども、改めてこの推進会議での検討がこういうハイピッチで進んでおりますので、こうした状況の中で、各省庁で今制度改正に向けて障害者に関わる関係する制度のことでどのような検討をしているか調べてみたいと思います。

その際には、この推進会議で行っている現在の検討の状況などについても、いろいろな形で情報提供しますしサマリーも示していきますので、そうしたなかでよくコミュニケーションを図っていきたいと思っております。その上でそれをこの推進会議の議論の中にどういうふうに取り入れていくかということについては、東室長や議長団とも相談の上、どういう形で取組んでいけるか検討していきたいと思っております。

とりあえず事務方としてはそのような考え方で作業を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 堂本委員、どうぞ。

堂本委員 実は先ほど我慢したことは、福島大臣がおっしゃったことだったんです。新谷さんが言われた、他の省庁でいろいろ議論されている中にどういうふうに位置付けられているのか。もうお一人、竹下さんも同じような、縦割りでの調整を求めるという言葉でおっしゃったんです。

ですけれども、この会議は少なくとも総理大臣をトップにして、全部の閣僚が入っておられる会議です。だから、今、参事官がおっしゃったことに大変感謝をいたしますし、是非頑張っていただきたいと思いますけれども、私からのお願いは、先ほど大臣がおっしゃったのでさすがと思ったところなんですが、あえて今手を挙げた理由は、個々に調査して検討するのではなくて、せっかく全部の大臣が本部のメンバーなのですから、あらゆる施策に障害者の視点、さらに、障害福祉の視点を入れながら検討していただきたいのです。そして、是非福島大臣からそういうことの目配り、気配りだけではなくて、しっかりとした指示を出していただけたらと思います。

例えば男女共同参画、先ほどから大谷先生とダブらないようにはしているんですが、障害の場合に女性が差別を受けたり、DVなどの暴力を受けたりすることで大きな被害を受けているというのが現実の問題としてあります。同時に逆に今は第3次の男女共同参画社会基本計画というのを同じ内閣府でつくっているところなので、そちらの女性の方に障害者の問題を是非入れ込んでいただきたいというようなこと。具体的にはそういう種類のことですが、日本の全部の政策に行き渡るように国土交通省をはじめとして、全部にそれを言っていただくのが今チャンスなのではないかと。大臣がおっしゃったのでフォローさせていただきました。ありがとうございました。

藤井議長代理 では、大臣が帰られていますので、また関参事官、松田政策統括官の方からまたお伝えいただければと思いますので、大変大事な御意見なのでよろしくお願いいたします。

さて、前段残ったのは支給決定プロセスです。これも今後との自立支援法、現行で幾つか問題点として言われた代表的な問題点の1つかと思います。

先ほど論点整理、意見の整理は終わっていますので、これに関してどうしても発言しておきたい方がいたら受け付けましょう。

土本さん、それから久松さんね。

土本委員 書き損ねた分があるので言います。制度やサービスの情報をきちんと仲間たちに知らせないために、役所に申告ができないという人がいるということです。というのは、制度のこととか情報とか知らない、きちんと伝わらなかったら知らないままに終わってしまうということは非常によくないなと思っています。

以上です。

藤井議長代理 では、久松委員、どうぞ。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松でございます。今回の法の枠組みの中にこだわらず自由に意見を言わせていただくということで、ここであえて申し上げたいと思っております。委員の中にはコミュニケーション支援、移動支援を個別給付にという考え方の意見も出されておりますが、誤解のないように申し上げたいと思っております。

障害者自立支援法もそうですが、総合福祉法も個人を対象にしているサービスという体制をつくるという考え方が基本になっていると思います。私たちはコミュニケーション支援事業といいますのは、個人だけではなく集団も対象となる。広域派遣もあります。コミュニケーションは対人関係の中にあります。今まで法的な位置づけにないものを運動として手話通訳の制度というものを構築してきました。

この制度に非常に不備が多いということがあります。今、障害者自立支援法の中の地域生活支援事業にありますが、これを自立給付の枠に入れるのは非常に無理があり、または不備が多くなってきます。ですから、個別給付というサービスの考え方に含むというのはかなり無理があります。これはなじまない考え方ではないかということを理解していただきたたく、あえて強調して申し上げたいと思っています。

ですので、皆様に御理解いただいた上で、個別給付の体制をつくるという中で、このコミュニケーションのテーマを検討していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

藤井議長代理 これに関して権利条約の21条のa項、b項、短いので、これは大変大事なことなのでこれも代読させていただきます。

「第21条表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会。

(a)障害者に対し、様々な種類の障害に相応した利用しやすい様式及び機器により、適時に、かつ、追加の費用を伴わず、一般公衆向けの情報を提供すること。

(b)公的な活動において、手話、点字、補助的及び代替的な意思疎通並びに障害者が自ら選択する他のすべての利用しやすい意思疎通の手段、形態及び様式を用いることを受け入れ、及び容易にすること。」

これも我が国でまだまだ単に個々に対する、個々に帰属する施策はなくて、やはり相手が集団であったり、集団から受けるということも含めてという定義もありましたので、参考までに言わせていただきました。

ほかにいかがでしょうか。

北野委員、どうぞ。

北野委員 最初に自立の概念について少し何も言わせてもらえなかったので、そこも含めて言わせていただきたいのです。

まず支給決定のプロセスに登場される方というのは、3者いらっしゃいますね。1人は御本人、あと本人に寄り添って本人中心の支援計画を一緒に立てる相談支援者、事業者です。あと自治体の側で支給決定をする際に、御本人と協議、調整をされる担当のソーシャルワーカーという3者が登場されるわけですけれども、私たちは仲間の研究者と一緒に支給決定のプロセスについて、いろんな国々の仕組みを調査研究してまいりました。

はっきり言いますと、ドイツの介護保険の仕組みで支給決定されている場合を除いて、税でやっている障害者サービスに関する支給決定の仕組みは、基本的に例えば我が国のように障害程度区分を決めて、その障害程度区分によって例えばどのサービスが使える、使えないという利用上の線引きであるとか、国庫負担上の制約というものが課されてくるということはありません。そんな国は全くないんです。

ですから、基本的に行政担当者は国及び自治体の独自のガイドラインに基づいて一定の裁量の範囲、これはアメリカのカリフォルニア州では2倍の範囲で決定をするということになっています。その際、決定に関しては2つの大事な問題があると思っています。

1つは本人中心の支援計画に基づいて、物事を決定されるときに御本人がどんな生活をしたいか、どんな社会参加をしたいかということを明確にすることが必要になってまいります。その際、御本人がどのような社会参加とか参画したいかということについての自己決定、自己選択に当たっては、今回障害者権利条約にあるように、御本人の年齢とか性別の一般的市民の社会参加というものを前提にして、その選択にふさわしい経験等を積み上げていくこと、あるいは選択して失敗した場合もやり直す権利を含めて、それらの経験を各種の支援等を通じて行いつつ、かつ自己決定、自己選択のときに必要な情報等を本人が理解しやすい、なじむような形でサポートする支援者等の仕組みが絶対に必要になってきます。

私は佐藤委員がこれについて、自立は自己決定であるということを基本的に定義としてそういうことを中心にすべきであるというのはそうなんですけれども、逆に言いますと自己決定の場合、例えば一部の身体障害の方中心の自己決定というイメージが強過ぎてしまうと非常に問題ですので、自己決定というときにこの自己決定というのは御本人に必要な支援が伴う自己決定・自己選択という意味で、それを逆に自立と定義すべきである。つまり本人に必要な支援というものが必ず伴っている自己決定、自己選択を自立とこの法律で明確に定義したらその方が明確になるのではないかなと考えています。まず1つはそれです。

もう一つは、支給決定に当たっては、ガイドライン化できるものと困難なものがあるということを明確にしていくべきだと思っています。

ガイドライン化しにくいものというのは、例えば同じ障害程度で、同じ障害の概念でかつ同じような環境にいらっしゃる方の場合でも朝飯を食べない人と、バナナ1本の人と、イングリッシュ・ブレックファーストみたいに焼きトマトとベーコンエッグとパンを食べる人は介護の時間というのは全く違うんです。一人ひとりの朝ごはんから整髪、ファッション、会社に行くのか、作業所に行くのか、移動の手段、移動の時間、帰宅後にどんな活動をするのか、お酒を飲むのかたばこを吸うのか、トイレのスタイルとか、個人によってお風呂の場合でも入浴のスタイルとかシャワーなのか浸かるのが好きなのかとか、一人ひとりにおいて同じ障害の形を持っていらっしゃっても必要な支援の時間というのは全く違ってきますので、一般的なパターンが想定できないのです。あるいは旅行に行くとか、他者が訪問してくるとか、冠婚葬祭があるとか。精神で言えば精神的に安定しているときと不安定なとき、身体の調子のよいとき、体調が悪いときとか、天変地異を含めてです。健康、気候も含めてかなり個人によって違ってまいりますから、そのことを踏まえたガイドライン化できるものとできないものということを踏まえて、全体としてソーシャルワーカーが裁量を持ってそれを調整するというのが世界の傾向ですから、そういう方向で物事を是非とも進めていただきたいというのが私の思いであります。

以上です。

藤井議長代理 ほかにこの件でいかがですか。

大谷委員、どうぞ。

大谷委員 大谷です。自己決定プロセスなのか、それとも今どちらの議論に入っているのか余り判然としないところなんですけれども、議長代理が権利条約を読み上げましたので、私は是非その点をもう一度再認識していただきたいと思いますので、障害のある児童も自己に影響を及ぼすすべての事項について、自己の意見を表明する権利というものを明文で保障されております。これは第7条で保障されています。

意見表明権というのは、子どもの権利条約にとって非常に重要な権利として保障されて既に15年経っているのですが、子ども自身に意見表明を与えているということを実定法で子どもの権利条約以外に保障されているのはほとんどないと言っていいぐらいです。

また同じような条項が今度の障害のある児童について入る。今度こそこれを具体的な権利として保障するものを是非入れていただきたい。これは支援を受ける権利の中の一環として、自己に影響を与えるすべての事項について意見を表明する権利ということになっていますから、支援を決定するときには当事者抜きには決めない、そのときには障害のある児童も意見を表明することができるんだということを意識したものを是非入れてもらいたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 大谷委員、これはもう成人期の障害者も同じなのかもわかりませんが、障害児の場合は、意見表明は例えばこんなイメージでという形態、方法ももし御意見があったらお話しいただけますか。

大谷委員 あらゆる法律に関わります。自立支援法もそうかもしれませんし、学校教育の段階でもそうかもしれない。自己に関わるすべてということになると、あらゆる法律にすべてに関わって規定するべきだということになると思います。

それをどこで規定するか。例えば障害者基本法にもう障害のある児童を1本ぼんと入れておけばそれで済むのか、個別法に自立支援法においてもしかり、特別支援教育を決定するときにおいてもしかりという形にするのか、個別のところでも私は具体的に保障するべきだとは思っています。

藤井議長代理 門川さんから手が挙がっています。今、門川さんにお話願うんですが、次の論点があって、大体先ほど東室長から門川さんの論点を例に出しながらかなり整理されているし、多くの今の北野さんの御意見などもここに収束される点は少なくないので、大体この議論は今日の段階では終わっていこうと思うんですが、とりあえず門川さんからで一旦議論を受けて、できれば次に進もうと思っていますのでよろしくお願いします。

では、門川委員、どうぞ。

門川委員 門川です。学者の先生はいろいろとお考えがあると思いますけれども、私は障害当事者の一人で、そういう立場から考えを言わせていただきたいと思います。

現在の自立支援法を見直して今後障害者総合福祉関係の新しい法律をつくるために議論をしているのだと思うのですが、自立支援法の問題点はいろいろとありますが、一番根本的な問題とは、自立とは何ぞやということよりは、何のための福祉サービスであるのかということだと思うんです。

自立を議論することよりも、何のために障害者はこの世の中に生きているんだ。基本的人権があってそれに基づいてほかの健常者やほかの人たちと同じように生きていきたい。そのためにこの障害者の権利条約に基づいて日本のさまざまな法律を改正していこうという基本的な考えがあるんだと思います。

障害者が生きていくためには、トイレにも行きたいし、呼吸がしたいし、情報にアクセスがしたいし、コミュニケーションもとりたいし、でもそのためには自分の力だけでは無理なんだ、支援が必要なんだ、その支援をどうしたらいいのか、お金を出して買わないといけないのか、そうではないはずなんです。これは国が当然の義務として提供すべき。みんな考え方は同じだと思います。

この推進会議ですが、推進本部の本部長に総理大臣がいて各省庁が関わっているのだから、福祉サービスをよりよくするためにはやはり予算的な問題が大きいのだから、ほかの省庁とも折衝しながら福祉関係の予算をたくさん取ってきてもらえるように交渉すべきだ。金がないとよいサービスもできませんから、是非これは何とかしていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 予算の問題等は後で入ってくるので、関口さん、少し我慢をしてもらって次のコーナーでお話ししてもらって、尾上委員の方からお願いしましょうか。

尾上委員 尾上です。意見ではなくて、今、進行がどこまでいっているかということの議事の確認をお願いします。先ほど東室長から説明をいただいたのは、支給決定プロセスとも関係するんですが、自己決定支援のところまでで、まだ支給決定プロセスに関わる説明はまだなんですよね。その部分の説明をいただかないと支給決定プロセスの議論がなかなかしにくいなと思って聞いておりました。

東室長 東ですけれども、北野先生が入れられたので、議論が混乱したんだと思います。

北野委員 失礼しました。

藤井議長代理 支給決定まで入っていないんですね。ここも全部4つの観点を合わせて今やっているんです。

どうぞ。

尾上委員 尾上ですけれども、数字で言いますと支給決定プロセスは42ページからになるんですが、先ほど東室長から委員からこういう意見が出ていますというのは41ページのところまでを説明いただいて、42ページ以降の委員から出ている意見はまだ説明をいただいていないんです。

藤井議長代理 では、東さん、ごめんなさい、私の方で勘違いしていたかな。

東室長 私が説明したのは法定サービスメニューに関する4項目だけで、支給決定プロセスの説明はしておりません。

藤井議長代理 わかりました。支給決定はこの後だそうですので、法定サービスメニューの部分で一旦議論は先ほど終わったはずなんですが、そうしたらどうしましょうか。では、支給決定のことが議論に入っていませんから、42ページの説明を先にいただきましょうか。

東室長 東です。

支給決定プロセスについて、御意見を御紹介申し上げます。まず、1項目「ニーズ把握の基本視点をどこに置くか」。例えば本人の障害の状況、本人の自己決定もしくは選択、置かれた環境及びそれらの相互関係ということで、4つの要素を挙げております。

現行自立支援法は、御存じのように医学モデルに力点を置いた調査項目に基づいて障害程度区分を設けております。しかし、障害を社会モデル的に把握すると、個人の機能障害や能力障害に力点を置いて本人のニーズを把握することとは大きな違いが出てくるわけです。ここで14名の委員から御意見がありました。

いずれも上記4つの視点の中で、積極的にどれかは不要であるという意見はないようです。4つの項目をそれぞれ視点の中に入れるということでしょうけれども、その4つの視点のうちで最も力点を置かれていたのは、本人の自己決定ないしは選択を基本に据えて、本人のニーズを把握するべきだという意見が多かったように思います。

次に「障害程度区分の廃止とそれに変わる協議・調整による支給設定プロセスのための体制構築についてどう考えるか」という論点があります。

前の論点でニーズの把握を本人の自己決定もしくは選択に力点を置くということになりますと、支給決定プロセスにおいても本人の意思とは無関係に一定の基準を機械的に当てはめて、支給内容とか支給条件を決めるというやり方ではなくて、本人の意思を支給決定のプロセスに反映する方法が模索されるという関係になると思います。それが協議・調整というやり方につながるわけですが、この点について15名の委員の方から意見がございました。

まず現行の障害程度区分に関して重大な問題点があるという指摘では、端的に廃止すべきであるという見解がほとんどでした。しかし、障害程度区分を廃止した上でどうするかという点については、一定の必要な支援を判定する客観的な基準を必要とするという見解がある一方、そのような客観的な見解とは別に本人の申し出を調整する当事者機関ないしは第三者機関の判断を要するという見解もあります。

全体的な状況としては、もう少し支給決定のプロセスについて、議論の積み重ねが必要かなという段階だと思っております。

3番目の論点として「セルフマネジメント・本人中心計画と相談支援機関、ピアカウンセリング・ピアサポートの役割についてどう考えるか」という論点があります。

この論点は自己決定支援とか協議・調整の支給決定プロセスと密接に関係してくる論点だと思っています。これについては18名の委員の意見がございました。

この中でケアマネジメントに力点を置く見解もありました。ただ、多くは本人のセルフマネジメントやエンパワーメントにおけるピアサポート、仲間同士のサポートということが重要だと、だから制度の根幹に据えるべきだという見解がほとんどでした。

プロセスの一番最後の論点としては、そういう協議・調整が不調に終わった場合に、不服の場合に異議申立てが出たときについてはどう考えるかという論点があります。

現状においても不服審査請求というものがあると思いますけれども、大方の意見としては余り効果は上げていないという現状の中で、この論点については14名の委員の御意見がありました。

いずれも何らかの現行とは違う効果的な異議申立ての仕組みが必要であるということについては、意見が一致していると思います。ただ、具体的な仕組みの概要、例えば異議申立てを受ける機関の性格とか権限とか、当事者参画、そういう点についてやはりもう少し議論が必要なのではないかという感じを受けております。

大ざっぱではありますが、以上が支給プロセスに関する論点に対する意見の御紹介です。

藤井議長代理 大変失礼しました。これが結構大事な今度の新法を考えていく上で現行法の総括というんですか、反省に立って新しい支給決定プロセス。そんなにずれはないと思うんですが、この4つの要素、最後の異議申立て、不服申し立て等も含めてここまで入って4つ一括してと思っていますので、なおここに補強しておきたい議論を中心に承ります。いかがでしょうか。

関口委員、どうぞ。

関口委員 これは前回も私が主張したことだったと思いますけれども、私は2行しか書いていないので補足させていただきます。

それらの相互関係と自己申告を基本として支給決定を勘案すべきであると書いてありますけれども、基本的に精神科病院の入院医療に関して自立支援法であるならば自立支援医療を適用すべきだと思っています。少なくとも任意入院の場合、つまり自分から進んで入院した場合。

それと同時に精神障害の場合は、薬を飲んでいれば症状が抑えられているわけですから、飲まなかったらどうなるのかなということを前提にして考えていただかないと、そこのところは誤ってしまう。今言ったことはすごく大きなことで、予算的にはかなりの予算が自立支援法というか総合社会福祉法の方に移ってくることになりますので、その辺は実を申しますと厚生労働省の方で、医療の問題で法律について部局でお話し合いを進めている最中だということも仄聞しておりますので、その辺のことも含めて実はちゃんと精神障害の場合医療との係わり合いが非常に深いので、きちんと議論していくべき問題だと思っています。

以上です。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。いいですか。

大久保委員、どうぞ。

大久保委員 育成会の大久保です。今、東さんから御説明いただいた中で、ケアマネジメントを中心にということが私の方の意見なのですけれども、この支給決定について自立支援法でもそうですけれども、障害特性というか障害によってはニーズが異なる部分があるわけです。そうすると、必ずしも同じ尺度というか同じやり方というか、この中ですべて押し込めてやっていくという形をとらなくてもいいのではないか。ですから、例えば、セルフマネジメントとケアマネジメントどちらかみたいな議論は避けてほしいということです。

あとここで本人中心計画と書いてありますけれども、恐らくここで書いてある意図とそんなに変らないのではないかと思うのです。決してケアマネジメントというのは、他人が勝手にやるということではないということです。本人を中心に行われるものがケアマネジメントですから、その辺は柔軟にこれから総合福祉法を考えていく上で議論していただければと思っております。

以上です。

藤井議長代理 恐らくここにいるメンバーはほとんどこの意見に論調は近いと思うんですが、今後財務省あるいは多くの国民、市民に対して我々が提起してくるときに、ニーズだとか自己申告ですと、それこそ青天井ではないかと、これでちゃんと基準がなければ大丈夫か。今日、この中にも客観的な基準はつくるべしということもあると思うんですけれども、今のような介護保険制度を前提にした程度区分ではなくて、新しい基準あるいは本人の申立てあるいは自己申告ということだと思うんですけれども、これに関してそういうふうなどんどん青天井で心配だという論調に対して何か御意見はありますか。

佐藤委員、いかがですか。

佐藤委員 勿論、青天井ではないんだろうと思います。天井は何かというと、障害者権利条約が示している障害のない市民の生活水準、社会参加の程度。機械的にそれを当てはめるのかどうかは検討を要すると思いますが、基本的には障害を持っていても、障害を持っていない市民と同じような社会参加ができるようにする、そのための支援が総合障害者福祉法だろうと。

したがって、例えば私は温泉旅行が好きなので毎週温泉旅行に行きたい。そのための介護も出してくれといった場合に、国民一般が毎週温泉旅行に行っているような時代になればそれもいいかもしれないけれども、今はそこまではいかないだろうと。そういうような考え方。その考え方を広く市民に理解してもらうということがすごく大事なことなのではないかなと思います。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

では、尾上さん、どうぞ。

尾上委員 先ほどのセルフマネジメントかケアマネジメントかということに関連しまして、言葉遣いの問題ではなくて、むしろエンパワーメントや本人のセルフアドボカシー、本人が自己主張ができる、あるいは自分がこうしたい、それは例えば顔の張りであったり目の輝きであったりいろいろな表現方法があると思うんですけれども、自分がこういうふうにしたいということを一緒に支援をしながら確定をしていく、そういう支援が必要なんだと思うんです。そういう意味でセルフアドボカシー型、エンパワーメント型の支援に切り替えていくというのが障害者権利条約の考え方ではないかと思うんです。

一方、これまで日本の場合、ケアマネジメントという言葉が手垢が付いたという感じがあるんですけれども、どうしても直接のサービス利用をパッケージングするのがケアマネジメントだみたいなイメージが強いと思うんですが、例えばサービス利用計画をつくることがマネジメントだみたいなふうになりがちです。その結果としてサービス利用計画をつくることも大事なんですが、そこに至るまでの一貫した地域で暮らしていくためにどういうことが必要か、その本人の自己主張や自己信頼やそのためにだからこそピアカウンセリングやピアサポートやピアアドボケートといったようなことが必要だと思うんです。セルフマネジメント対ケアマネジメントというよりは、単に出来合いのサービスにパッケージをするようなマネジメントではなくて、本人中心のセルフアドボカシー、エンパワーメント型の支援に切り替え、そしてそれを核に置いた支給決定の仕組みに切り替えていくというのがここの基本的な論点ではないかと考えます。

藤井議長代理 大久保委員、どうぞ。

大久保委員 大久保です。

誤解があるといけないので、私は今まで我が国においてケアマネジメントというのはほとんど行われてきていないと思っております。そういう体制もない。それとソーシャルワーカー制度もしっかりとないという中で、ケアマネジメントというのはほとんど行われてきていないという認識をむしろ持っております。

以上です。

竹下委員 竹下です。

藤井議長代理 これに関係する論議ですか。

竹下委員 佐藤委員の発言に関連して。

藤井議長代理 少し待ってください。

松井さんは今の問題に絡むんですか。

松井委員 今、大久保委員からも尾上委員からも、このケアマネジメントとセルフマネジメントに関してお話しがありましたけれども、私は教育の立場にいるものとして、特にケアマネジメントについては確かに既存のメニューを組み合わせるという側面がないことはないけれども、基本的な考え方としてはやはり本人の意思あるいは本人の自己決定をいかに適切にサポートするのかという観点から学生に対してどう支援すべきかというような教育をしているつもりなんです。

少なくともケアマネジメントについて、障害分野で言えば、本人の同意をサインで求めるというか、そういう意味では本人ないしは本人が自己決定できない場合については、その支援者がそこをきちんと納得した上でつくるというような形で制度はできるべきだと考えています。

藤井議長代理 一旦これに関しては、竹下さん、待ってくださいね。

関口さんはこれに関する絡む意見かな。お願いします。

関口委員 アドボケートという単語を私は使っていますけれども、支援者というふうに権利主張者とか権利擁護者とかということですけれども、あくまでも本人の立場に立って相談に乗り知識を分かち与え、本人の意向を聞き出すというのがアドボケートでございまして、これは今の日本の中には存在していない類型だと思います。これをどうしてもつくっていかなければいけない。それが一番重要だということです。

最初に藤井さんが青天井ではないかという話があったんですけれども、まず第一に政府はOECDの中くらいまでは増やすんだということは思っていていいのではないかということは1つ。

その点に関して言いますと、精神の入院患者は非常に医療費を食っております。病床が減れば通院医療費はそんなにかからないんです。地域で手厚くやるといっても、入院に比べればたかが知れています。入院というのは365日看護が付いて、医者が付いて、飯が出るんです。屋根が付いているんです。それを1日1万円でやっているんです。入院費自体が安いんですけれども、それについても実を言うと1.4兆円ぐらい入院費でいってしまっているんです。それを半分にすれば物すごい財源がこちらに転がり込んでくる。ということは、私がなぜ自立支援医療にしろと言っているかというと、今の精神の入院医療費の部分がこちらの財源に転がり込んでくる。こちらの財源に転がり込んでくればそこを削れば当然地域資源に当てられるんです。そういうことを言っているんです。

だから、まず最初にOECDの中くらいまではとにかく国民も我慢してくれよということが1つ。それから精神の場合はやりようがあるよということが2つ目。それからアドボケートということでございます。

藤井議長代理 済みません、OECDの中くらいは予算の分配率の話をしているんですか。国会の障害者関係の政策費の分配率をOECDの中間クラスまでと。

関口委員 そうです。今は下から4番目と聞いておりますので。

藤井議長代理 では、竹下委員、どうぞ。

竹下委員 竹下です。

今の発言に一言だけ触れておきます。私は先ほど尾上さんの発言で頭の中がくるくる回りました。片仮名がいっぱい回って私もついていけないんですけれども、ただ、気になるのは、セルフマネジメントの結果をケアマネジメントとアドボケートを完全的に分離することに私は反対です。もう少しその辺の持つ機能というものにきちっと本質から議論すべきであって、それに対する概念ではないと思っていることだけを付け加えておきます。

その上で青天井という議長代理からの問題について触れておきたいんですが、この問題はよほど国民のコンセンサスを得ないと必ず反撃を受けると思っています。現に前政権下で自立支援法が制定されるときにどういう議論が持ち出されたか思い出してほしいんです。

それはある障害者が1か月のホームヘルパーを一千数百万も使ったと。こんなふざけた者がおるから自立支援は必要だとはっきりと数字も上げて自民党の議員さんがあちこちで発言された事実があります。そうであれば、そのことが悪であるということを前提にされた議論がされたと言わざるを得ないわけですから、それは違うんだというきちっとしたコンセンサスが得られる議論が必要だと思うんです。

すなわち、先ほど佐藤先生が言われたように、温泉に毎日行きたい、私は余り好きではないから行きませんけれども、そうではなくて、日常活動において毎日出かける人と、現に一度しか出る必要性を感じていない人で比較すること自身がナンセンスなんです。あるいは障害の種類や程度によって必要とされるホームヘルパーの時間数を基準を持って決めようとすること自身がもう既に合理性を失っているわけです。そのことをきちっと押さえることが第1点目。

第2点目には、では現実に必要とするという第一次的な障害者のニーズやセルフマネジメントによって組み立てられたサービスをすべて是とするか、あるいはすべてそれを絶対とするかということまでをどこかで議論しておく必要があるというのが2番目の問題。その部分については、必要性の判断やあるいは適正というところに一定社会性を持った価値基準が出て来ざるを得ないというのが私の意見です。

その場合に本人の希望したサービス量というものを、支給量というものを、仮に削るという決定をせざるを得ないときのシステムが重要だろうと。本人が必要として考えた支給量を削るときにこそ適正な手続が必要なわけで、そのときにこそ第三者機関や適正手続というものが制度的に準備されてくることが必要だろうと思っています。そのことによって青天井ではないんだということ、しかもそれは無駄な支給量は決定していないんだということが社会的なコンセンサスを得ることにつながると理解しています。

以上です。

藤井議長代理 大分そういう点では論理が深まってきていますけれども、この件でよろしいですか。尾上さんも意見があるかもわかりませんが、我慢して。いいですか。

今の竹下委員の話を聞いて、かつて支援費時代に出たような議論を思い出しましたが、ニーズ爆発という言葉があって、だから新しい法体系ということになったんですが、改めて今の竹下委員、佐藤委員の整理も含めて、ここは今後多分専門部会等で進めていくと思うんです。

続きまして、地域移行、大分前段とも重複しますけれども、改めてこの論点について意見整理をお願いします。

東室長 東です。

地域移行については、まず1番目の論点として「重度障害者の24時間介護体制の構築についてどう考えるか」というのがあります。

最重度の人をめぐる支援の在り方はその国の人権のバロメーターだろうと思うんです。ここで17名の委員の意見が上がっておりますが、人権問題と位置づける委員が少なからずいらっしゃいます。多くの委員が24時間介護体制の必要性、重要性を訴えていらっしゃいます。ただ、財源問題の壁を指摘する委員もあり、この財源問題を突破する意味でも、この問題の重要性というのを今一度全員で確認する必要があるのではないかというのが私の感想です。

次に「地域移行プログラムの法定化と期限の設定についてどう考えるか」。藤井さんの方から権利条約の19条の条文を読んでいただいたとおりなんですけれども、障害者の権利条約は地域からの孤立と隔離の防止ということを19条に書いております。

日本ではノーマライゼーションが福祉のスローガンで終わって、人権にはならなかったわけですけれども、権利条約で改めて地域社会で生活する平等な権利という形で人権として認めているわけです。

このような条約を批准するに当たって、日本における地域移行をどう考えるかという観点から書きました。これに関しては13名の委員から意見が出ております。うち、9名は地域移行に向けたプログラム法定化の必要性を訴えておりますし、うち2名は法定化までとは書いてありませんが、効果的な施策が必要だと。うち1名は試行的事業を得た後に法制化の検討をと。うち1名は一律の法定化は妥当性を欠くという表現であったかと思うんですが、それは、一律のというところに力点があって、必ずしもそういう方向性を否定されたものではないと思っているところです。

3番目の論点として「地域移行支援策の法定化についてどう考えるか」。これは前の論点のある意味では前提として論点に挙げさせていただきましたけれども、ここに関しては16名の委員から意見をいただいております。

このうち本人の意思確認を前提として、もしくは試行事業を経た後にという条件付の意見を含めますと、大方の意見としては地域移行のための支援策の法定化が必要だという意見であると思っております。

というところで、利用者負担とか全部やりますか。

藤井議長代理 ここでいいです。

では、ここでは地域移行のことで3つの要素を併せてお話しいただいて、それを地域移行が真っ向からおかしいとか否定する論調はなかったんですが、ただ幾つかそこに行き着く方法というのは幾つか論があったりしていました。

最後の法定化という辺りもいろんな意見がありますけれども、もう少し意見が出そうなんですが、3つの要素を併せて地域移行。私は議長代理ではありますけれども、恐らくこの推進会議とか総合福祉法制の中で精神科病院の社会的な問題とか、知的障害者の入所施設変更政策に何らかの答えを出さないようでは、この推進会議は問われてくると思うんです。今までも実は厚労省サイドで何回も検討委員会、審議会でも出ています。しかし、結果はどうも余り芳しくないということを踏まえて、今までの論理のおかしさあるいはそれを超えた論理を含めて、補足意見があったら出してください。

川崎委員、どうぞ。

川崎委員 精神障害者の家族会の川崎でございます。

この地域移行に関しましては、精神障害者の立場で訴えたいことがございます。現在、地域移行がなかなか進んでいないという現状の中に、やはり基盤ができていないということが皆様も御存じのことと思いますが、特に精神障害者に関しましては、医療との関わりがなくては地域生活ができない。これは精神障害者だけではなく、医療と関わりのある障害者の方にも言えることと思いますが、やはり地域生活するためには、福祉サービスだけでなく医療のサービスも必要で、それも医療と福祉が連携して1人の障害者を支えていくというシステムづくりが是非とも必要と思っております。

以上でございます。

藤井議長代理 基盤整理を改めてもう一度言うと、どういうことですか。

川崎委員 基盤整備と言いますと、具体的には今は病院からの地域移行と言われておりますけれども、家族からの自立した生活も踏まえまして、住まいの確保、所得保障、身近なところで24時間相談できる相談支援体制の構築をお願いしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 あえて川崎さん、少し突っ込んで申し訳ないんですが、基盤整備に加えて、退院した場合などは家族負担が非常に増すのではないかと、今の民法からいっても相当家族の負担が重いんですけれども、これに関する政策提言は何かございませんか。

川崎委員 それは実は今日皆様のお手元にもお配りいたしましたけれども、精神保健福祉法によります保護者制度というのがありまして、これによりまして大変に退院後の障害者を治療につなげることなど、大変家族に負担が強いられているということと、もう一つは障害者の自立をも損なうものではないかと思いまして、この精神保健福祉法における保護者制度の撤廃を要望します。

以上でございます。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

土本さん、どうぞ。

土本委員 今の関連なんですけれども、入所施設をなくし、地域に福祉サービスを増やす。その入所施設のお金を地域に回す。今、自分も言っているんですけれども、親の生活がある、自分たちの生活がある。それを明確というかはっきりして、親が負担するのではなくて、自分はどこで住むか、だれと住むかということを含めて自己決定していって、いろんなことをしていなかければならないのではないかなと思います。

今も自分はひとり暮らしをして、ホームヘルパーサービスを使っています。親とは十数年前に離れて、仲間たちと生活してそれから1人で生活を始めたということです。親の生活は親の生活、自分たちの生活は自分たちの生活があるということをこれからも言っていきたいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 土本さんは、親とはたまに連絡はとっているんですか。

土本委員 親は両親とも亡くなりました。

藤井議長代理 兄弟などとは連絡をとりながら。

土本委員 兄弟とは電話とかしていますけれども。

藤井議長代理 でも自分で。

土本委員 はい。難しいところは適切な支援は受けています。

藤井議長代理 それでは、関口委員、どうぞ。

関口委員 この後、雇用があるんだと思うんですけれども、精神病院に入っている人の4割以上が60歳以上の方。こういう人を地域に出てきて働けというのは無茶な話。自立支援法などは結局最終的には働くのが目的みたいな法律で、そういうのは非常に実態を無視した話だと思います。

もう一つ重要なのは、認知症の方が精神病院のベッドの中の2割を占めています。これは確かに精神障害なわけですけれども、お年寄りになられるわけですから、若年性認知症というのもアルツハイマーというのがありますけれども、いずれにしろその辺のことを切り分けて考えるならば切り分けて考える、あるいは障害者と老人とが重なっているんだとみるのだったらそういうふうに見る。いずれにしても今の精神病院の思い浮かべる状況を見ますと、そういう御老人たちを精神病院に閉じ込めておくのは非常に御老人たちにとってつらいことというか悲しいことと思います。

藤井議長代理 この論点は恐らく論を争わないと思います。どうしてもここに書いていないことで、あるいは今までの日本の中で論議がなかった点でというのがあれば出してもらえますか。北野委員、どうしてもありますか。

では、北野委員と門川委員から一言ずつお願いします。

北野委員 今まで議論されていない部分で言うと、施設とか病院に関しては地域移行が進まない原因を明確にして、それをどうするかということをちゃんと議論すべきだと思うんです。といいますのは、1つは我が国の場合には、いわゆる待機者というウェイティングリスト、待機者がいっぱい入所施設や病院にいらっしゃるというのが一番大きな根拠でなかなか進まない。

2つ目は、病院や施設の職員さんが地域移行すると路頭に迷うという2つの論理が非常に強調されておりますね。これは明確にしておくべきであって、1つは川崎委員がおっしゃったように、どなたが待っているのかというと、それはほとんどが家族なんです。家族が施設や病院を希望されている。しかも家族の方全員に真剣に話を聞けば、別に本当は施設を希望していなくて、地域で当たり前に暮らせる仕組みと医療と福祉のサービスがあれば地域で暮らしてほしいというのが御家族の本音です。ですから、そこは施設の問題は施設を増やすのではなくて、地域で暮らす仕組みをどう作るかということが根本的に考えられなければこの話は進まないと。

この場合、アメリカではアメリカの育成会が1997年にウェイティングリストに関する問題という報告書を出していますけれども、はっきりしているんです。ウェイティングリストというのはアメリカでは施設から地域に移行することを希望される方のウェイティングリスト、ウェイティングが各州に何人いるかということと、もう一つは親元から地域で暮らすことを待っている方が何人いらっしゃるかということのウェイティングリストがある。ですから、施設に入りたい方のウェィティングリストなどという概念はこの国の独特の概念であるということをまず御理解していただきたい。

2つ目は病院や施設の職員さんが路頭に迷うという話なんですけれども、これも基本的にベッドの縮小と並行して、それに取組まれている病院、法人さんは優先的に職員さんの無償のリカレントトレーニングであるとか、地域サービスを優先的に展開できる仕組みを担保していって、必ずそれがうまく進める方向を検討していけば、それも必ずクリアーできると思っていますので、是非ともそういう方向ではっきり、地域移行で言いますと、「地域移行・定着支援推進事業法」のようなものを起こしてもらって、必ず一定の期間内にこれをやっていただきたいと思います。

藤井議長代理 門川委員、どうぞ。

門川委員 門川です。大変恐縮ですが、この機会ですので盲ろう者の問題をあえて少し取り上げさせていただきたいと思います。

盲ろう者というのは御存じかと思いますが、いわゆる目も見えない、耳も聞こえない。日本には2万人ほどいると推計されています。多くの盲ろう者がどこかの施設に入って生活をしていると思われます。自宅とかで暮らしている人もいますけれども、施設で生活している盲ろう者も割といます。そういう施設での生活はコミュニケーションの面で仲間たちとうまく情報交換ができず、施設ではつまらない思いをしていて、地域に戻って親や兄弟と一緒に暮らしたい、また地域でのお友達と一緒に交流がしたい、そういう人も実際にたくさんいます。

ところが、地域に戻ろうにも、家族とのコミュニケーションがうまくいかないために家族が嫌がったりするケースもあります。では、どうすればいいのか。これは社会基盤であるとか、社会資源であるとか、そういったものを整備して、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業というのがありますけれども、これをよりよいものにしていって、いつでもどんなときにでも時間の制限もなく利用できるようにするということも非常に大事かと思います。

また、盲ろう者は、大げさでなく8~9割の盲ろう者は職についておらず、収入もありません。つまり、年金のみでの生活を強いられています。雇用の開発とも関係があるのだと思いますが、その前に盲ろう者がまず自立して生きていくこと、ここが大事かと思うんです。

社会資源としての通訳・介助員派遣事業を充実させること、そのために今どうしたらいいんだということが議論しなければならない課題だと思うんです。あと情報保障ということです。これも是非忘れないで盛り込んでいただきたいです。

情報保障、コミュニケーションの保障については、権利条約では既に明文化されていますから、それを日本の法律にも盛り込むようにということです。

以上です。

藤井議長代理 手がたくさん挙がっているんですが、時計を見ながら進行に協力してください。30分ばかり遅れていますので、もうこのことは今後専門部会でも恐らく中心テーマの1つだと思います。今出た論理はもうおわかりのように、社会資源が乏しい、2004年の自立支援法の施行前夜、自民党の中での議論の中で社会資源の増設に関する時限立法という議論もありました。ただ、支援計画をつくれば否が応でも増えるんだという財務省側の意見もあってこれは消えました。

幾つかこういう点で言うと過去にもう一度思いをはせながら、法的な根拠、今ありましたように施設、病院を経営する側の論理、基盤の弱さ、家族の負担、あるいは加えて所得保障等も含めて条件の整備、こういった点で多分これは同時に言えることは、安全・安心がどうしても地域でやりにくくて、今出て行くとなれないという事実もありますので、こんなことを同時に議論していくということを付け加えてこの部分のコーナーはおしまいにします。

次は費用負担の在り方です。これについての論点が幾つか出ていますので、これもまた東さんからお願いします。

東室長 東です。

利用者負担に関してまず1番目は「応益負担の廃止についてどう考えるか」ということですが、現行自立支援法の大きな問題として提起された応益負担に関しては、15名の委員から意見をいただいております。うち13名の委員は明示的に応益負担を廃止すべきという見解であります。明示されていない委員も趣旨としては同じであるかと思われます。

次に「負担の有無についどのような原則と考え方をとるのか」という点ですが、これに関しては17名の意見が挙がっているわけですが、さまざまな意見があります。読まれるとわかると思いますが、言葉が違うだけで中身が同じなのか、全く違うことを言っているのか、判断もつかないような状況はあります。原則無償論から応益負担までさまざまな視点が提案されております。

必ずしも中身的に相反するものではないという感じもしますけれども、もう少し議論を詰めていくことが必要なのではないかなと思っています。

これは3番目の「新基準の設定についてどう考えるか」ということも同じです。新基準をつくる前提としてどういう原則とか考え方をとるのかというのが2番目の論点ですが、議論としてはダブっている議論もありまして、意見としては11名の方が挙げられているわけですが、同じようにもう少し議論を詰めていく必要があるという分野であろうと思っています。

以上です。

藤井議長代理 3つの要素が今紹介されましたけれども、これも今の応益負担について問題性は大分一致していますが、個々の在り様がさまざまで、今言われましたように書いてあることが一致か不一致かもまだ検証はできていません。それを踏まえて、今後専門部会にこれも主な柱になってきますけれども、どうしても今日この場で原理論として話をしておきたいという方がいらっしゃったら手を挙げてください。

松井さん、どうぞ。

松井委員 松井です。先ほどの議論の中で佐藤委員からも発言がありましたけれども、就労移行支援事業、就労継続支援事業等は本来ならば労働行政の方で対応すると問題が解決されるわけですけれども、現在のところ自立支援法という中で負担を伴うという形になっています。

労働法でいえば就労移行支援事業は訓練ですから費用は取らない、場合によっては訓練手当が出るというような形になっていますし、就労継続支援事業についても基本的には今就労ということが主目的になっているので、働きにいきながら費用を徴収されるというのは、普通の職場ではそんなことはないわけですから、労働行政の枠組みで整理をすることによって今の自立支援法の歪な形は修正していただきたいと思います。

藤井議長代理 ほかに。この後は医療問題とその他とあって、更には雇用に入っていくんですが、今日は5時に終わりますので、延長しませんから、したがって、場合によっては労働関係は一部、次回に回るかもわかりません。これからもしこれがなければ一旦休憩に入って、医療及びその他となってくるんです。要するに総合福祉法制関連のそのほかです。特にいいですか。

関口さん、どうぞ。

関口委員 もう薄々出ていると思うんですけれども、とにかく退院支援に関しては根拠法をばちっとつくって、精神病院解体という意見まで私のところには寄せられております。その意気込みでやらないとベッド数が減らないと思います。そこのところは確認しておきます。

藤井議長代理 関口さん、ごめんなさい。ここは今費用負担の話をしているんだよ。それは先ほどもう終わったの。それはわかったから、では記録に載せましょう。

この件は今後むしろ専門部会で新しい費用負担の在り様についてはいろんな意見があると思うので、これは議論をするということをここでまとめておいて、一旦休憩に入りましょう。

やはり15分ですね。4時15分まで休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、席に着いてください。最後のコーナーになります。

これ以降の進行に関する再提案になりますけれども、5時には本日終わります。その後の都合等もある方もいらっしゃいますので。この後、今残っている医療の問題と、併せてその他全体のところを論じる。その上で、前回の議論あったし今日も一部出ていましたけれども、総合福祉法制に関する専門部会の立ち上げに関する室長からの提案がございます。これはこの論議の終わりの方です。

こういうことで進めていって、恐らくというか時間が多分尽きますので、雇用に関する意見交換は次回に回す。したがって、次回は差別禁止、虐待防止等と併せて、少し時間を侵食するんですけれども、できれば次回そこで2つのことを終えておきたいと思っております。そのことを頭に入れながら、是非進行の方にも協力のほどをよろしくお願いします。

では、引き続き、医療に関する意見の整理を東室長からお願いします。

新谷委員、どうぞ。

新谷委員 利用者負担の関連ですけれども、所得保障の問題は別の論点として議論するのですか。

東室長 所得保障に関しては、論点表の後ろの方に独自の項目として挙げてありますので、所得保障はいろんな面で関係すると思うんですけれども、一括してそこで議論したいと思っているところです。

藤井議長代理 新谷委員、いいですか。

新谷委員 わかりました。

藤井議長代理 では、東室長、お願いします。

東室長 東です。最後の医療支援の項目とその他ということで書いてある部分について御意見を解説したいと思いますけれども、その前に医療問題が出てきましたので、実は論点としてはきちっと書いていなかったんですけれども、大きな枠組みの問題として、医療と福祉という、もしくは教育と福祉、教育と労働という形で、本来違う法領域を自立支援法という形で一部障害者だけ枠を広げているという体系になっているわけです。労働もそうですし、福祉的就労の部分です。

そういう法の枠組みというものを本来最初に議論しておくべきだったかなという感じを持っております。大濱委員の意見にもありましたように、医療の問題と密接に結び付いているという現実的な要素も一方でありながら、法体系として障害者だけを抜き出してやるということが一般化の医療との格差を生むという原因にもなりかねない。そこら辺のことを勘案して、本来あるべき法体系というのはどういうものなのかという議論が実は一番最初の前提問題としてあるのではないかということを医療の問題を考える前に少し問題提起をさせていただきたいと思っています。

これに関しては今日議論する時間はありませんけれども、今後どこかのコマでその議論についてはしなければならないなという感じを持っております。ということで、医療の方に入っていきます。

医療支援に関しては「医療支援の在り方についてはどう考えるか」という形で、言わば漠然とした形で論点の提示をしたために、焦点が絞りきれないというような感じがあるんですが、12名の委員から意見をいただいております。

意見の中には、現状の問題点ということでいろいろ挙げているものがあります。例えば障害を持つ人たちは一般と比べて医療の利用頻度が高いんだと。にもかかわらず障害を持つ人に対する医療の質そのものがおそまつであるというような問題とか、一般の医療に関してですけれども、障害を理由に適切な医療がなされないようなこともある。精神病患者に対する病院での人権侵害という問題もある。または、過度な入院医療費の支出を強いられる。そういう現状の問題点を指摘する意見が結構ありました。

そして、その上で制度論としていろんな提案がなされています。そういう不十分な点について、国による障害者医療の制度拡充とか、障害者だけに限定した議論から医療制度全般の中で議論すべき問題であるということとか、都道府県の重度障害者医療と自立支援医療なども総合体系化すべきだという御提案。もしくは、全国一律の医療保障と自立支援医療に限定されない包括的な医療を模索すべきだとか、自立支援法以前の支援費制度の時代、そういう旧制度の時代の在り方も含めて見直していくべきだというような意見が挙がっております。

ここでは前提として障害者医療を医療一般で考えるのか、福祉的領域で考えるのか、やはり医療の分野だけを見ても法体系の議論が前提として不足しているのではないかなという感を受けているところです。

次に医療関係の「負担問題についてどう考えるか」ということですけれども、これにつきましては、13名の委員から意見をいただいております。

これについても原則無償論から応益負担までさまざまな意見があり、議論を煮詰める必要があるのかなと思います。

以上が医療に関する御意見ですが、その他として3つの項目があります。

まず1番目に「現行の障害程度区分に基づく国庫負担基準の問題についてどう考えるか」という論点です。

これにつきましては、12名の委員から意見をいただいておりますが、例えば国庫負担基準が事実上の支給限度額の機能を果たしているということを理由にする意見。または障害程度区分と連動するものであるから、障害程度区分をなくすならば国庫負担基準もなくすべきであろうというような視点から、この国庫負担基準を廃止ないしは見直すべきだという意見が大半を占めていたと思います。

次の論点として「障害者の地域生活のための財政負担の強化についてどう考えるか」ということですけれども、これについては15名の委員からいろんな角度からの意見をいただいております。

例えばそもそも国際比較からして日本の福祉財源は少な過ぎる、だから、少なくとも先ほど関口さんの御意見、中ぐらいまでは増やしてとか、そういう観点からの御意見がありました。

次に現状の福祉予算の配分というところを問題にすると、地域生活に余り重点はない現状が見えてくる。だから、地域生活に重点を置いた財源配分をすべきだというような御意見。

先ほどの関口さんの御意見にも関係するところだと思うんですが、病院から地域へという地域移行の話はお金のことも同じで、病院から地域へお金を流せば金の流れも随分変わるのではないかという御意見がありました。

長時間の給付、重度の介護なども例に挙げて、市町村に負担がかかり過ぎないような国の措置が必要だというような意見が出されておりました。

これは3番目の「地域間格差をどのようになくしていくのか」という論点とも関係するものですが、この地域間格差の問題については13名の委員から意見をいただいております。

具体的な提案がいろいろあります。例えば国による地方自治体に対する指示権を設けろと。要するに地方自治体が極めて不十分なサービスしか提供しないような場合に、国から一定の指示を与えるような権限を法定化しろというような御提案。

出身地と居住地の負担関係を見直せと。出身地がお金を出すという仕組みを改めて、やはり現実にニーズの把握が容易な居住地でお金を出せと。もしくはそこで折半しろとかそういうような御意見があります。

同じ都道府県の中でも、都市部と山間部では財政力に差があるわけで、そういうことを前提に、都道府県単位で積立金による支出を平準化しろという御提案。一般的に国の財政上の責任を強化しろという御意見。もしくは、地方におけるサービスの確保と基盤整備、職員の専門性の向上を図ることによって地域格差をなくしていこうという御提案。

自治体の積極性とか運動の存在などに関わらず、サービスを確保するためには一定の審査機関というものを設置して、その格差をなくしていくべきだという御提案。

国によるサービスの水準の提示とそれ以下のところに対する財政支援というような御意見。広域的支援の仕組みの構築とかという御提案があるわけですけれども、そもそも実態がどういうものなのか、地域間格差と言われるものがなぜ起こるのか、そういうことについての調査が必要だろうと。その上で対策を講じるべきだというさまざまな御意見をいただいております。

以上が私の方で用意した論点に対する御意見の紹介です。大体これで以上です。

藤井議長代理 医療と今出た一連のそのほかの部分、しかしこれは大事なことです。前回もらったことも含め、例えば実態調査など。それ以外、またここにお手元資料があります。日額払いの問題などもここに入っていますけれども、等々を含めて併せてここは議論していきますので、そうは言っても先に医療からいきましょうか。医療に関するこれに載っかっていない意見があったら出してください。

清原委員、どうぞ。

清原委員 ありがとうございます。医療支援について3点申し上げたいと思います。

1点目なんですけれども、医療的ケアについてです。と申しますのは、重症心身障がい児・者や重度身体障がい者の皆様に対する医療的ケアが法的な位置づけを持つことが重要だと思うからです。

現状の重症心身障がい児施設や身体障がい療護施設等における医療体制の充実は勿論のこと、学校や通所施設等の地域の支援機関においても、医療的ケアを行う場合の人的、物的、財政的な支援の裏づけが必要だと考えます。

2点目、具体的な例なのですが、三鷹市民の皆様から寄せられる御意見の中に、自立支援医療の更新が2年に1回から毎年になったことで、更新に関わる事務手続が精神障がい者の皆様に与える負担が大きくなっているということです。

精神保健福祉手帳との連動や年金受給手続との整合など、制度の過渡期であることはやむを得ないとは思いますが、特に、「重度かつ継続的」な精神の疾患がある方にとって、複雑な更新手続を毎年行うことが負担になっているということで、こうした医療支援の中身として、事務的な負担の問題も論点になるかと思います。

3点目、最後の点ですが、先ほどの地域移行と関係するんですけれども、三鷹市の場合にも医療機関と障がい者の皆様との関係というのは密接なケースが多く、医療機関がそれなりに充実した医療サービスをしていれば、地域移行というのも進むということがありまして、そのような取組みをしているわけですが、その際、主治医と訪問看護師や、あるいは理学療法師や作業療法師等必要な専門職との間のコーディネートの支援というのが有効になってきます。

どういうようにコーディネート機能を果たす役割を持てるかということについては、先に飛んで恐縮ですが、28ページに佐藤委員が「病院から地域へという施策の方向は、お金の流れも病院から地域へと変えていくことを含むのである」という御指摘をいただいています。自治体の立場から大変心強い御意見を出していただいておりまして、是非、医療支援というのは、地域移行とも密接な関係もありますし、その際に病院から地域へというのであれば適切な財源の移譲がなされることによって、今申し上げましたようなコーディネートの機能なども果たす可能性も出てくるのではないかなと思います。

以上です。ありがとうございました。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

中西さんと久松さんと、もうこれで発言は終わります。では、堂本さんね。

これは40分には次の問題に移らないとだめなんです。では、中西委員からいきましょう。結論からこうだと言ってください。

中西委員 中西由起子です。貴重なお時間ありがとうございます。医療からのコーディネートのお話が出たのですが、地域医療に移る際に、やはり医師の側にきちんと障害を持って地域で生きるということの認識がないと、例えば私のように気管支切開を強要されて、気管を切開しなければ地域に戻れないと無意味な強制を受けた例もあります。実際には夜間鼻マスクだけで生活することが可能になってはいるので、そういう形で一方的な障害者の生活の質、つまりどれだけ介助が増えていればいいのか、どれくらいの生活の質の低下が防げるのかというような理解がないまま来ていたことを悲しく思うので、専門職の人たちが中心となる啓発活動、教育が必要です。

以上です。

藤井議長代理 では、久松委員。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。大谷委員の御意見を拝見しまして、今気付いたことなのですが、医療支援の対象者は障害者と思っていましたので、障害者の枠で意見を書きましたが、障害児についても障害を持つ子ども、特に乳幼児の医療支援の実態はどうなっているのかということについての議論は今までされていませんし、情報もありません。データもないという状況であります。

一例を申し上げますと、1歳6か月以上になった場合に、聴覚障害の子どもに対して人工内耳の手術をするという例があります。勿論、自分の決定をもとに人工内耳をするというわけではありません。間接的ですけれども、100人の手術の中で失敗例が4例ある、と聞いております。その失敗例というのは手術をしたときの失敗例であって、手術をした後の後遺症の話というのはほとんど情報がありません。多分その後、手術後の状況についての調査はしていないのではないかと思います。そういう話というのがなかなか表に出てこないというのが問題だと思いますので、障害を持つ子どもの自己決定という考え方を基にした医療支援についてあるべき姿が何なのかについて提案したいと思います。

藤井議長代理 では、堂本委員、どうぞ。

堂本委員 ありがとうございます。一番申し上げたいことは、この医療法の中で精神科特例があるんです。普通の病院は16人の患者に対して1人の医師が必要と決まっていますが、精神科については今伺ったんですが48人の患者に対して1人の医師が必要ということです。これをとにかく廃止してほしい。日本の精神医療の分野は先進国の中で最も遅れていて、長期的にしかも多数が入院しています。これはもう社会的入院ですからある種の人権侵害です。もし今度権利を明文化するのであれば、先進国のアメリカがやりイタリーがやったように、あくまでも国策として精神病院を開放するということを何としても打ち出すべきです。そのためにはまず医療法の改正から始めてほしい。

今はもう7万人から15万人が退院可能な状況にあるはずです。それでもずっと厚生省、それから厚生労働省になっても実際には退院が進んでいない。それはやはり地域での支援体制がつくられていないからだと思います。知的障害の方の方が移行のいろんな対策が出てきています。しかし、精神障害について全くない。家賃の補助1つ、そういうことすらない。

自立支援法でもそういうことが問題になったわけですけれども、たまたま千葉県では市川市が当事者と家族、福祉の専門家、医師、行政機関が一緒になってとにかく地域での受入れというのを実施しました。それがアメリカでやっているマディソンモデルという方式なんですけれども、それを日本全国でやるべきだと思います。

イタリーは入院患者が1万人切ったと言われています。人口は日本のおよそ半分、日本は32万人の方がまだ入院しておられる。もうこれは本当に日本の恥です。

もし私たちが権利条約をきちっと担保するのであれば、その19条には地域社会の支援策をとるということが書かれているわけですから、私は精神障害を国策として改善するためには、まず医療法の改正から始めてほしいし、医療法の改正だけではなくて脱病院、何としても本部長が総理大臣のときでなければできない、もう大胆な政策として展開していただきたいということをお願いしたいと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 繰り返しこの件は出ていましたし、また出ましたので、今度は国策としてという言葉を付け加えられましたので、この本部長は鳩山さんでもありますので、是非またこれを本部の方に上げていく。

大濱さん、短い時間でお願いできますか。いいかな。

大濱委員 ほとんどダブっているんですが、例えば北野委員の方からありましたように、今は日本ではそういうモデルはないということでしたが、堂本委員の方から発言があったように精神も日本に先駆的な事例があるわけです。帯広などもそうです。PSWと医者が一緒になって精神病院から出すというモデルがあるわけです。コロニー雲仙の事例のように、知的障害者が地域に出て行く、地域の町の中、長崎県全体に住んでいて、コロニーが解体したというところもあるわけです。ですから、やはりその先駆モデルをここできちんととらえて、先ほど堂本さんも言われたように、いわゆる国策としてどうやってそれを地域に戻していくのかということが大事だと思っています。

藤井議長代理 それでは、残った時間で大事な案件がありますので、一応総合福祉法制に関する論議は今日のこの段階では終わります。今後これは今日を皮切りに議論が始まるわけです。

1つ東室長から言われたことは、法体系の問題は全体にどうかと。言われたようにこれは堂本委員が先ほどおっしゃったんですが、国民全体の社会サービスと障害者総合福祉法との関係をどう見るのか。

障害者というかんむりが付いた場合に、障害者総合福祉法制と医療、労働、児童、これが法的にどんな関係にあるのか。更に現行の知的障害者福祉法、身体障害者福祉法、精神保健福祉法と総合福祉法制の関係性、この法体系全体の在り様については、これはかなり大きな議論だと思うんです。これはやはり今後、多分折に触れて議論が展開されるということが1つ。

今日は時間がなかったんですが、勝又委員などがまたどこかでお話ししてほしいんですが、予算の問題。今日もOECDの国の中で障害者政策費の占める割合が日本はどうもOECDの下から3か4番目と。これは中間クラスを持っているだけで多分数倍に増えるという辺りも出ていましたので、またこれは今日議論があったけれども、次回以降に持ち越します。

さて、時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、この総合福祉法制の論議は一旦今日の段階で終止符を打ちますけれども、これに関して東室長から発言を求められていますので、東さんらお願いします。

東室長 東です。

今日は本当に長丁場の議論でしたけれども、自立支援法、総合福祉法の大枠についてさまざまな御意見があったかと思います。私もこれだけの資料を読み込んでかいつまんで話すというのは非常に大変だったんですけれども、ありがとうございました。

労働の分野にまでいきませんでしたけれども、改めてこの分野における総合福祉法における分野における論点、もっともっと深めるべき点があるんだろうと思いました。御承知のように自立支援法違憲訴訟をめぐる基本的な合意の経緯もあって、関係者の方々の関心も非常に高いところであるわけです。

第1回でも第2回でも発言があったかと思うんですが、この分野における緊急課題をどうするんだというような問題提起もなされているわけです。これらの点も考えると今後効果的な議論を進めていくためには、この分野に限って特に先行的に部会を設けて、部会の名前は例えば総合福祉法部会、仮称ですけれども、そういう部会を設けていきたいと考えているところであります。

ただ、最初の方に1回目だったと思いますけれども、お話ししたとおり、推進会議は基本的には夏ごろまでに意見をまとめて中間的な報告を推進本部に上げる。その本部で一定の内容を持った閣議決定をしていただいて、そこから各論的な議論を始めていくというそれが基本的な方針ですので、そのほかの部会はその基本的な方針に従ってやっていきたいとは思っているんですが、特にこの総合福祉部会に関しては例外的ですけれども、早目に立ち上げたいなと考えているところです。そういうことですので、よろしくお願いしたいと思っております。

藤井議長代理 前回までの議論の中、で専門部会は一応基本的なこの議論が終わってから、夏ごろという表現がありましたけれども、いろんな状況からこれを先行させる。

ついては予算に絡むこともあるということなんですが、こうなりますと部員の選考だとか、そこでの柱立て等が直ちに問題になってくるんですが、今の段階でとりあえず先行させる点についてもし異議があるという方がいらっしゃったら。いかがでしょうか。いいですか。

(「異議なし」と声あり)

藤井議長代理 本当ですね。そうしますと、今後この部員に関しましては、議長、議長代理と東室長と交えて、加えて政務官等の御意見も踏まえて、早いうちに発足をする。恐らく3月になると思うんですが発足をするということで、これについては推進会議と並行して走るとなってきますので、恐らくこの中からも何人か入ってもらうとなると思うんですが、そういうことで並行して走るという点で言うと大変な日程になってくるんですが、よろしくお願いいたしたいと思います。

なお、今日できない雇用に関しましては、ここで大きく一般の雇用と福祉的就労という区分けがありますけれども、この点につきましては次回の3月1日の差別禁止法あるいは虐待防止法、一部政治参加等を含めてこの部分に乗せる。その後は教育とかが入ってきますので、極力大変大事なテーマであるんだけれども、次回、今日の分をプラスして追いつきたいと思っています。

もう相当無謀な感じもするんですが、そうしないと一般のカレンダーが待っていただけないということもあります。ただし、拙速はいけないということは相当言われていますので、この両方をバランスということを思っています。

次回の資料提出もありますので、これは室長の方からお願いできますか。

東室長 東です。

次回の資料の提出方法につきましては、基本的には今回と同じように詳しくは改めて別途メールで送信する予定です。円滑な運営のために御協力、よろしくお願いします。

今回は一応フォーマットに従って皆さんに書いていただきましたので、横串的な論点表がある意味では簡単にできました。それぞれの御意見をいただいたものは、配付資料としては皆さんにお配りしていませんけれども、そういう形でよろしゅうございますか。

藤井議長代理 中西委員、どうぞ。

中西委員 今回と同じようにということは、提出までの期日がすごく少ないという意味と理解したのですが。

東室長 今日が15ですね。あと2週間ということですね。

中西委員 そうすると、提出した資料に関して、例えばルビを振ったものと振らないもの、同じ時間に提出になっていますが、そこは例えばルビを振ったものは時間差を設けて提出というような、もう少し委員の都合を考えた方法を考慮していただけたらうれしく思います。

東室長 出す方の委員の都合もありますけれども、ルビがなければ読めない委員の都合もあるんです。

中西委員 その前に、皆様まとめてそれぞれの意見を送られますね。その際にそちらがまとめるのに必要なのは、ルビを振っていない分であり、振っている分もその後の作業でというような、時間差もそちらで作業を同時にはできないと思うんですが、そういうわけではないんですか。

東室長 ルビが振ってあるのはルビを振ったものをカット&ペーストでぽっと貼り付ければいいわけで、実は点字作業も同時並行的にやっているわけです。点字作業はそんな簡単にできる作業ではなくて、かなり時間、要するに本当に走りながらやっていくという作業が伴っているわけです。だから、非常に皆さんに御迷惑はかけるわけですけれども、やはり頑張っていただきたい。これらの議論は昨日今日出された宿題では決してないわけです。これまでずっと議論を積み重ねてきた問題ですから、頑張っていただきたいと室長としてはお願いするしかない。それよりも、やはり情報保障というものをきちっとしていきたいと思うんです。

ですから、なるだけフォーマットに従った形で議論も展開していっていただければありがたいんです。内容によってはこれはこのまま入れていいのかどうかというのがあるんです。これはここに書いてあると特に北野先生はよく使われますけれども、あれは困るんです。北野先生の文書だけもらえばそれはわかるんですけれども、こういう形では探すのが大変ですので、そういう場合は重複しても構いませんから、貼り付けておいていただければ非常にありがたい。

北野委員 了解いたしました。

藤井議長代理 中西委員、いいんですか。

中西委員 はい。

東室長 個別的なことは勿論考慮します。一応原則としてということで期限を切らせていただいているだけで、それから先は受け付けませんという話ではありませんので。

藤井議長代理 門川委員から手が挙がっていましたので、門川委員、どうぞ。

門川委員 門川です。資料の提出についてですけれども、点字作業のために皆さんの資料提出の期限が短くなっているということであれば、点字資料を用意していただけるのは大変うれしいことなんですけれども、2つほど困るんです。

それは何かというと、会議中は点字の資料は読めないんです。通訳を受けるだけでも100%、120%以上体力を消耗してしまうので、資料がせっかくあっても読めないんです。なのでこれは前もって読んでおかないといけないのかなと。

もう一つ、この資料を点字にすると物すごいボリュームになるんです。みかん箱1つ分ぐらい。持って帰れないんです。申し訳なくて、もうほんまにどうしようかなと。前回は宅急便で送ってもらいましたけれども、毎回こんなことをしていただくのも申し訳ないなと。

資料についてはテキストデータにしていただいて、メールで送っていただくのでよいかなと考えています。ワードではなくてわかりやすく言うとメモ帳などの「テキスト」データです。「テキスト」データを送っていただく。そうすると、文字処理は事前に何とかできるかなと思うので、そのようにお願いできないでしょうか。ワードと一太郎だと困ります。

藤井議長代理 では、東室長からお答えいただけますか。

東室長 わかりました。門川さんについては一番ベストなデータの送信を個別的に後で打ち合わせさせていただきたいと思います。ただ、竹下先生はどうなんですか。あった方がいいんでしょう。

竹下委員 結論は彼が言っているのは、前日までに欲しいということに尽きるわけです。それが技術的ないしは時間的に無理がある場合に、私の場合はここで点字がないと議論に参加できません。ただ、門川君の場合は、確かにそれは指点字をやっているからそれは困難、不可能だと私も思います。その辺の個別の対応については今後事務局と相談してもらいながら対応することでいいのではないかと私も思うのですが、余計なことは言いません。

以上です。

藤井議長代理 東さん、どうぞ。

東室長 点字作業は実はここに参加されている人のためということもありますけれども、今インターネットないしCSテレビでこの放送が全国に中継されているわけです。それに併せて、できれば点字処理をしたデータを全国の点字図書館とかそういうところに一応書類が確定した段階で送ってもらう形で全国の方に利用していただければということも考えているところです。まだ実行はしていませんが、そういうことも考えておりますので、そういう多くの人のことを考えれば、点字化するための時間を皆さんにいただきたいと思っている次第なんです。

藤井議長代理 それでは、久松さんから。

久松委員 全日本ろうあ連盟、久松です。先ほどの作業チームを発足して総合福祉法の話をするということは反対ではございません。やってほしいと思いますが、やるに当たり入れてほしいことが1つございます。

今回の論点には何もないので議論ができないのですけれども、実は韓国で差別禁止法がスタートしたときに間に合わなかったのが、介護者、手話通訳者の養成が間に合わなかったために効果的に実行できたのが2年、3年後になったということです。ですので、総合福祉法の議論の中に介護者、通訳者の養成システムも含めて議論していただきたい。法を作ってから人はいませんという話になっては困りますので、人がいる、養成をする必要があるということが1点と、もう一点は門川委員から話もありましたように、盲聾者の通訳者が非常に不足しています。手話通訳者が盲聾者の通訳支援に回っている現状があります。

昨日、全国手話通訳問題研究会の健康の分科会の場で、通訳者の健康が非常に大きな問題として起きている。全国各地で労災申請がされている状況があります。手話通訳者の数が絶対的に足りないということが今の福祉行政の不備の影響が大きいわけですので、総合福祉法というよい法をつくっても、人的支援をする人々がいないということでは制度があっても保障されないというような絵に描いた餅になってしまいますので、できるだけ人の養成も含めて議論を性急にしていただきたいということをお願いしたいと思います。

藤井議長代理 佐藤久夫さん、手が挙がっていましたか。

佐藤委員 意見を提出するのに十分な時間がほしいという意見が先ほど出ていたわけですけれども、今の時点で3月19日は何をするのか、3月30日は何をするのかくらいまで教えていただくと、ありがたいです。細かい枠組みやフォーマットはもう少し先でいいですので。

藤井議長代理 では、これは長瀬さんの話が終わってから、東さんにお答えいただきます。

長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 東京大学の長瀬です。資料の提出はなるべく早めに、それはこの会議の会議自体の重要な情報保障、情報アクセスにとって必要だということは十分よく理解しましたので、できるだけ守っていきたいと思います。

御提案させていただきたいのは、意見書の提出について、例えば次回の開催、定例のこの推進会議の丸一週間前の午後3時とか、そういうルールを決めていただくと私どもにとって非常に助かると思います。

前回の後も、たしか水曜日の晩に金曜日の午後3時という御連絡がありまして、木曜日の晩、徹夜した委員の方とその支援者の方がいらっしゃいました。私はしっかり寝ましたけれども、徹夜された方がいて、金曜日の午後2時になって月曜の午後になった、延びたという連絡があったので、徹夜された方は多分、がっくりしたのかなと思います。例えば定例でルールとして開催一週間前の午後3時なりというような形で決めていただくと、毎回毎回事務局の方が頭を悩ませる、また我々が心配する必要がなくなるのではないかというのが一点です。

もう一点は、先ほど御提案をいただいた総合福祉法に関する専門部会です。賛成ですけれども、第1回のときに資料でいただいた障害者自立支援法訴訟団の要望書の中に新法制定過程での私たちの参画、この訴訟団の方たちが推薦する方をこの専門部会に選任してくださいという要望をいただいていますので、その専門部会のメンバーの選考の際には是非この要望書にのっとった形で自立支援法の訴訟団の方からの選任というのも是非御検討いただきたいと思います。

以上です。ありがとうございます。

藤井議長代理 では、時間が来ましたので、2つのことを併せて東さんからお答えいただけますか。まず佐藤委員の見通し。

東室長 済みません。本当にばたばたとした運営で御迷惑をかけております。できるだけ先の先の先ぐらいまで、論点表を私が作ったんですが、本当にばたばたと作ってしまい、もう少しここを入れたらいいなとかがありまして、事前に全部このスケジュールでやりますということも言えない状況もあります。少しそこは検討して早めに出せるようにしたいと思っています。

長瀬さんがおっしゃったことはそのとおりで、当然考慮させていただくということで、どうでしょう。

藤井議長代理 長瀬さんが言われた、例えば今日ここで決めなくても1週間前とか時間くらいということ。曜日が何であろうと、もう1週間前ならば1週間前でいいのではないですか。

東室長 では、そういう形で。

藤井議長代理 では、原則1週間前。

東室長 休みとかそういうのを関係なく決めますか。もう無関係にとにかく機械的に1週間前の3時ということで。

藤井議長代理 では、先ほど長瀬さんから1週間前の午後3時という提案があったのでそうしておいて、できればその休みの場合には前日というように。

大谷委員 休みの場合はその次に。

藤井議長代理 強力な意見が出ました。休みのときは翌日の3時。

以上で、今日の議論は終わり。東さん、終わっていいですか。

東室長 済みません、東です。

大まかなあれですけれども、どこまで3月1日で終わるかわかりませんが、今日の積み残しと差別禁止法と虐待防止と司法手続、政治参加が終わることを前提にしますと、残るのは教育とか障害児の問題が来るのかなと思っているところですけれども、1日の状況次第で少し変るのかなと思っております。

藤井議長代理 19日、30日と続きますが、教育あるいは子どもの問題ということが考えられている。次回の進捗状況で多少変りますが、大まかに教育や子どものことが続くということを頭に入れてください。

なお、先ほど私は言い方を間違えまして、この自立支援法に代わる、あるいは総合福祉方に関する専門部会のところで、部員に関しては議長団並びに室長さんと、政務官と私は言いました。政務三役の皆さんとも協議して決めるというようにさせていただこうと思っております。

東室長 それと正式には専門部会と言わずに部会です。

藤井議長代理 そうすると、これはただの部会長ですか。専門は外して部会だそうです。部会ということで間違ったことでしたので、部会として名前、名称を読む。

本日はこれで終わりますが、小川議長の方に最後にマイクをお渡しして私の役割はこれでおしまいにします。

では、小川議長、お願いします。

小川議長 それでは、本日の討議はこれくらいにいたして、資料の提出などについては、ただいま室長の方から提出の関係、次回の予定の関係、皆さんの御意見を尊重するというようなことで進めさせていただきたいと思います。誠にありがとうございます。

ありがとうございました。それでは、大変激務の中、大臣がお見えになりましたので、一言だけ。

福島大臣 ありがとうございます。今日はどうもありがとうございました。毎回4時間という長い時間で体力的にも大変なんですが、やはり期待も大きいですし、ここから日本の障害者政策が本当にコペルニクス的に変わるということのために一緒に頑張っていきましょう。どうもお疲れ様です。またよろしくお願いします。(拍手)

小川議長 ありがとうございました。

それでは、これをもちまして本日の会議を終了いたします。本日の推進会議の概要につきましては、この後、この場所で記者会見を行い、藤井議長代理及び東室長が対応いたします。

本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

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