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障がい者制度改革推進会議(第7回)
議事録

小川議長 定刻になりましたので、これより「第7回障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。

委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりをいただきまして誠にありがとうございます。

委員の出欠状況でございますが、本日は清原委員が御欠席、中島委員が所用のため15時30分に御退席の予定、それ以外の委員は全員御出席です。

会議の公開、議事進行上の所要配分については、これまでと同様といたします。

御発言に際し、御自身のお名前を述べられる、それから、ゆっくりと御発言いただくということにつきましても、これまで同様、よろしくお願いをいたします。

本日の会議は17時までを予定しております。

それでは、これより先の個別討議につきましては、藤井議長代理に議事進行をお願いいたしたいと思います。藤井議長代理、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 藤井でございます。

議事に入ってまいりますが、東室長は資料に手違いがあって取りに行っていますので、東室長の議事の進め方から始まりますので、少しお待ちください。

なお、この時間を利用して、留意事項なんですが、発言者は、資料を使う場合には、全体フォーマットにしても、追加資料にしましても、資料のページを必ず言ってほしいと思います。特に聴覚障害を持った方たちが聞く場合に、手間取ることもありますので、資料ページは必ずお話しいただくというふうにしてください。

なお、ページ数が振っていない場合は、表題を言っていただいて、ちょっと間を置いてお話ししていただくと、資料を見ながら聞けますので、そういう点での留意もよろしくお願いいたします。

それでは、東室長より、本日第7回目の議事の進め方の説明をお願いいたします。

東室長 済みません。ちょっと忘れ物をして、取りに行っていました。

今日は、所得保障が一番分量が多うございますので、所得保障から始めて、交通アクセス、建物利用、その次に情報へのアクセス、最後に障害者施策の予算確保に向けた課題等について議論していくということになります。

最初のテーマであります所得保障については、70分ほど時間をかけたいと思っています。所得保障に関する基本的な方向性とか、障害基礎年金について、無年金障害者について、年金以外の手当について、財源について、その他という項目でやっていきます。

2番目のテーマは、交通アクセス、建物利用でございます。これについては45分を予定しております。基本的な考え方、いわゆるバリアフリー新法について、その他という項目です。

3番目のテーマは、情報へのアクセス、これについても45分ほど当てたいと思っております。情報へのアクセスの基本的な考え方、情報アクセスとサービスに関する法制化について、情報アクセスとサービスの実施について、著作権について、その他ということになっております。

最後のテーマは、障害者施策の予算確保に向けた課題ということで、35分当てたいと思っています。障害者予算の意義について、国と地方の財政負担について、障害者予算の確保について、その他ということです。

そういう形で進行していきたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 それでは、これから議事に入りますが、その前に、中西委員から、国際協力に関する発言の希望が出ております。東室長とも調整しまして、これについての発言を認めようとなりましたので、中西委員の方から御発言をお願いいたします。

中西委員 中西由起子です。

この推進会議では、今後もいろいろな議題、例えば、家族制度とか、扶養義務とか、統計とか、調査など取り上げねばならないことが多いと思いますが、国際協力の話が一度も出ておりません。国際協力はきちんと議題として討議してほしいという提案をさせていただきます。

国際協力に関しましては、3つの分野で討議をお願いしたいと思っています。1つが、障害分野の国際協力政策の明確化、2番目が、インクルーシブな国際協力の推進、3番目が、ESCAP、国連アジア太平洋経済社会委員会を初めとする国連機関への支援の強化です。

障害分野の国際協力の施策の明確化においては、障害者基本法に国際協力に関する条項を入れることをまず手始めに、ODA大綱にも障害を明示する。

また、インクルーシブな国際協力の推進においては、アクセスブルな規定を導入する、援助案件のメインストリーミング化、また、障害当事者団体などのNPO、NGOの活用。

3番目の国連機関への支援の強化に関しては、国連障害プログラムへの拠出金減額が行われていますので、その見直し。また、第2次アジア太平洋障害者の十年が今行われていますが、その後のプログラムへの支援です。

このように提案いたしました理由は、障害者の権利条約は国際協力に関する条文を初めて備えた人権の条約であり、その中で国際協力がきちんと挙げられているからです。32条をごらんいただきますと、例えば、32条、国際協力の1においては「締結国は、この条約の目的及び趣旨を実現するための自国の努力を支援するために国際協力及びその促進が重要であることを認識し、この点に関し、国家間において並びに適当な場合には関連のある国際的及び地域的機関並びに市民社会と連携して、適当かつ効果的な措置をとる。」としています。

実際、我が国の障害者においても、国際協力への関心は高まりつつあります。これは内閣府が平成21年度に行いました障害者施策総合調査ですが、それでは半数以上の障害者がアジア太平洋諸国の障害ある人の生活・活動・制度についての情報交換を希望していました。しかしながら、我が国の施策におきましては、基本法を初めとして、障害関連法には国際協力に関する言及はありません。現在の障害者基本計画、つまり2003~2012年までの10年間の中に国際協力が含まれていますが、これは単にアジア太平洋障害者の十年に関連して述べられているに過ぎないわけです。それが終わった後、何もなくなるのではないかという危惧もあり、このような事態を避けるためにも、ここで国際協力を強調した障害者の権利条約を私どもが認識し、障害者基本法での国際協力条項の新設に向けて議論を進めていただきたいと思います。

なお、これは、ここにおいでになる佐藤、新谷、関口、長瀬、松井の皆様と御一緒に作成した要望書ですので、よろしくお願いいたします。

以上です。

藤井議長代理 関連しては特にいいでしょうか。

松井さんですか。短時間でお願いできますか。

松井委員 中西さんから今、提案がありましたように、国際協力をなぜ今のタイミングで議論する必要があるかというと、実は、6月23~25日に、2013年以降、つまり、今のアジア太平洋障害者の十年が終わった後、具体的にどういう取組みをするのかという議論がESCAPであります。それに向けて、日本としてどういうスタンスで臨むのかということをできるだけ早く詰める必要があると思うんです。ESCAPでは、その6月の会議を踏まえて、10月19~21日に社会開発委員会が開かれ、そこで13年以降のことが決まりますので、タイミングとして、今を逃すと、日本としての貢献が非常に難しくなるということがあります。是非、この際、このこともテーマとして取り上げていただきたいと思います。ありがとうございました。

藤井議長代理 では、そういう日程情報等もありますので、東さんの方でも受け止めてもらって、考えていただくというふうにしましょう。

ほかによろしゅうございますか。

福島さん。

福島オブザーバー 福島です。

今の話とは違うんですが、推進会議も第7回を迎えまして、会議の運営の仕方について、思っていることを申し上げたいと思います。短く3点ほど。

1つ目は、恐らく皆さんも同じ感想だと思いますが、この推進会議は急ぎ過ぎていると思います。例えば、毎回の意見書の作成のための時間的余裕がほとんどないです。皆さん、土日返上でやっているわけで、会議のスケジュールも非常にタイトなので、非常に急いでいるなという感じがある。私たちはかつて自立支援法の議論について、急ぎ過ぎだ、拙速だと言って批判してきたわけです。しかし、私たち自身がこんなに急いでしまっていいのかという懸念があります。

2つ目は、議論がなかなかきちんとできていないんではないかという心配です。会議の時間に比べて重要な論点がたくさんあるということにもよるんですが、意見書は皆で書いて、たくさん出しているわけですが、いわば出しっ放し、言いっ放しになってしまっていて、共通部分については東さんが整理なさってはいますけれども、ニュアンスが違うところとか、異なる意見のすり合わせ、横の相互の議論が十分できていないんではないかという心配であります。

3つ目は、私たちが書いた意見書はどこに行ってしまうのかということです。皆さん、いずれも、ほかの活動とか、仕事とかをしながら、また、障害のある委員の中には、恐らく相当に心身のコンディションも悪い中で、必死の思いで意見書をつくった人が多いと思うんですが、そうやってつくった意見書は一体どこに行ってしまうかというのが非常に心配です。

夏の参議院選挙などもあって、全体的に急いでいるという事情があるんだろうと思いますけれども、国民へのPRのために使われるということではいけないんであって、私たちの意見書なり、ここでの議論が現実の制度の改革につながっていくということがないと、本当にこの会議もお祭り騒ぎで終わってしまうなという心配がありますので、この辺りを、まだ大臣はいらっしゃっていないようですけれども、東室長初め、現実に制度改革につながっていくような働きかけを是非お願いしたいなと思っています。

以上、僣越ではありますが、率直なところを申し上げました。

藤井議長代理 大変大事な御指摘でもありますので、東さんから少しコメントをいただきましょう。東さん、よろしくお願いします。

東室長 東です。

福島さんの御意見はもっともだというふうに私自身も思います。膨大な論点を、大枠という形ではあれ、このようなタイトなスケジュールの中でやっていくということは、皆さん、相当のエネルギーをかけられてされていると思っております。議論についても、時間がない中で、十分すり合わせといいますか、細かいところまで出ているかというと、そうではないと思っています。

ただ、大枠の確認という意味では、細かい議論は部会の方に一応、任せて、ここでは本当に大枠の議論を、骨格の議論をして、その共通項を国民に示していくというところでは大事な作業ではないのかなと思っています。この議論がお祭り騒ぎに終わらずに、実際の制度改革に結びつくと、それが最も大事な点であって、それがなければ、これをやる意味が全くないわけですね。

しかし、こういう場というのはこれまでになかったわけで、ある意味では本当に未経験の分野でもあるわけです。これを具体的にどう本当に政治に結びつけていくかという観点から、現実の政治の動きもにらみながらやっていく必要があるのかなというふうにも思っています。全く政治の動きと無関係に、きちっとした議論を続けていけば自動的に変わるというものでもない。現実の動きとの狭間の関係で、どういうふうにこの会議を進行していくかということは非常に悩みの多いところではあります。ですので、おっしゃったとおり、不十分な点も多々あると思います。でも、与えられた現実の中で、状況の中で、何が一番いいのか悩みながら、皆さんの意見を伺いながら、今後ともやっていきたいと思っているところです。

次回以降はヒアリングという形で、日程的には週に1度みたいなペースが何回か続くことになります。ただ、ヒアリングですので、意見書をつくるというテーマは若干省けて、少し余裕が出てくるんではないかと思っているところです。答えになったかどうかわかりませんが、そんなことを考えております。どうもありがとうございました。

藤井議長代理 今の福島さんの話は、司会の立場からしましても大変大事な御指摘だと思います。今の東室長のお話に加えまして、とりあえず、さまざまな問題点をまず挙げてみましょう。その上で、当然、今あったように、部会への持ち込み、また、来年度の国会での基本法改正への持ち込みというふうに整理していって、今日4つ終わりますと、第2回から第7回目まで、15の分野が終わります。中西さんからありましたように、ほかにもまだあるわけなんだけれども、とりあえず今日までが1つの区切りで、次回以降は、今ありましたように、団体及び主要省庁からのヒアリングとなっていきますので、まずは一旦挙げてみながら、今、お話があったように、少しまた整理をして、さまざま意見の違う点もあると思うんです。司会としましても、これはまたきちんと論議の場をつくっていこうではないかと考えていますので、是非、今のような御指摘を頭に置きながら、更に前に進めていこうと思っております。

関口さん、今のことに関係ありますか。もし関係なかったら、時間がないので。

関口委員 関口です。

国際協力討議の必要性に関してですけれども、6名の連名で出されているんですけれども、提案内容及び提案理由が示されております。実は、明日、NGO、外務省定期協議会の臨時全体会議があります。私はJDFの国際委員会に属していますので、それに出席しますけれども、ここで、この6人だけではなくて、制度改革推進会議の皆様の意見を持って、この内容でいいということであるならば、その決を取っていただきたいと思います。

藤井議長代理 それでは、東さん、お願いします。

東室長 済みません。今日出されたペーパーがあると思いますけれども、書類としては出ていますけれども、ルビも振っていないし、点字にするには時間が全くなかったわけです。その点を十分配慮した上で御提案願いたいと思うんです。

藤井議長代理 関口さん、今、決とおっしゃいましたか。

関口委員 決というか、つまり、反対の論点があるならばあるということで、ないならばないということで、一応、制度改革推進会議で話し合われたことですよということを私は言いたいんです。

藤井議長代理 今ありましたけれども、資料も、点字だとか、ルビもない中で、ここですぐ今の話でというふうには行きにくいような気がするんですが、どうでしょうか。この文章が出たという事実はいいと思うんですが、ここで全員が合意したということかどうかは論議してみなければわからない点もあると思うんです。東さん、どうしましょうかね。

中西さん、提案者。

中西委員 関口さんの御提案に関しては、これは6名の委員の提案という形で発表されたとまでは言えますので、その形で関口さんにお持ちいただいて、私が個人で第1回目に提出したODAに対する要望書もありますので、それと併せてお持ちいただけたらいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

藤井議長代理 関口さん、そういう処理で構いませんか。

関口委員 それでは、1回目に出されたODAに関するものと併せて持っていくということで。

藤井議長代理 では、今日の議事に戻ります。本日の議事につきましては、先ほどありましたように、大分時間が進んだんですが、ほかの方の時間の食い込み等も余りよくないので、所得保障は一応は2時15分までの時間帯で行います。それ以降は、交通アクセス及び建物の利用、情報へのアクセス、45分間ずつ、最後に障害者施策の予算確保の課題、これは35分間、16時50分には終わりますので、進行に協力をお願いいたします。

では、早速、第1点目の論点であります所得保障、東さんから、各委員の意見の凝縮点を説明願います。

東室長 東です。

所得保障に関しては、随分多くの意見をいただいております。まとめるのはなかなか難しいところで、説明が上手にできるかどうかわかりませんが、まず、現在の障害のある人の所得保障制度の課題について、御意見を賜りたいということについて、18人の委員から意見をいただいております。

大きく分けると、3つの点が指摘されていると思います。1つは、障害基礎年金、特別障害者手当の課題を指摘する意見。2つ目は、就労に関する所得の確保という点。3つ目は、制度そのものの課題という点があると思います。

障害基礎年金及び特別障害者手当の面につきましては、現在、1級の障害基礎年金をもらわれている方が約73万人、これは月約8万3,000円です。2級が89万人、約6万6,000円。特別障害者手当が約11万人で、月額2万6,000円ぐらいということが大久保委員から指摘されております。

かようなことを現状にして、最も多い意見としては、給付水準の問題であります。これについていろいろ書いてありますが、これだけで生活するにはとても足りないという現状認識がベースにあるものと思われます。少なくとも生活保護の水準で支給すべきとか、老齢基礎年金と同額にするには、資産形成が困難で、介助を必要とする障害者には当てはまらないとか、障害厚生年金、労働者災害保障保険と障害基礎年金には給付水準に大きな格差があるなど、以上の問題点が指摘されております。

次に、基礎年金の対象者の問題なんですが、特別障害者手当は対象者が限定されている。給付を必要とする対象者が除外されている。そういうことを前提に、対象を所得保障の必要度に変更し、受給者の範囲、等級に生かすという御提案もありました。

次に、就労による所得の確保ということで、最低賃金が適用されるべきであるとか、平均給与の7~8割をめどにし、障害にかかる費用の上乗せをする制度が望ましいとか、就労による賃金が得られないための所得保障と、障害による特別出資の補てんの区別を明確にすることとか、就労に視点を置いた御意見がございます。

最後に、制度そのものについての課題なんですが、所得保障全体の再検討と絶対的水準の引上げが必要不可欠であるとか、地域で自立するための所得保障の仕組みがそもそもないという御指摘とか、障害に起因する特別な支出の保障は現物給付か、手当支給か、その併用かを整理する必要がある。それとか、税制の在り方を含め、社会保険方式と社会扶助方式の統合等を抜本的に検討すべきである、そのような御意見が挙がってきております。

次に、障害者権利条約は、すべての障害のある人が地域で暮らすことができるようにすることを目指しているが、こうした観点から、どのような仕組みで、どの程度の所得を保障すべきなのか、御意見を賜りたいという点です。

この点について、18人の意見から御意見が挙がっております。まず、どのような仕組みかという点については、いろいろな意見が挙がっておりますが、障害基礎年金の引上げと、家賃補助、医療費補助の仕組みの組み合わせも必要であるとか、地域で暮らすことができるように、家賃やアパートの助成の仕組みを検討すべきであるとか、これは根本的な問題ですが、社会保険方式の所得方式を基礎にすべきではなく、税金による基礎的な所得を保障する制度を設けるべきであるとか、ユニバーサルな所得保障の構築で、全員を対象としてベーシックインカムを保障すべきであるとか、就労による所得保障を実現し、保護雇用制度の創設、特別障害者手当の額を増額するべきであるなどの御意見があります。

関連することですが、どの程度の水準を保障すべきかという点につきましては、生活保護法の基準を下回ることは許されない、生活保護の水準まで引き上げるべきであるとか、同世代の市民と同等の生活の基礎を補うことができる経済水準にまで引き上げることが求められるとか、障害者であるゆえに必要となるさまざまな支出を勘案して、生活保護給付レベル以上の水準であるべきとか、社会参加手当も加えるべきであるとか、そういう御意見です。ただ、障害のある人だから、ない人と比較して、これだけ追加費用がかかるというような指標をつくることは難しいという御意見もございました。

次に、現在の障害基礎年金の水準は生活保護基準にも満たないとして、改善を求める声が従前より挙がっている。また、障害基礎年金2級の支給額を1級に、1級をそれ以上に引き上げるべきとの意見もある。以上のことを踏まえて、障害基礎年金の水準についての御意見を賜りたいという点です。

なお、障害基礎年金は老齢基礎年金の早期支給とみなしているため、障害基礎年金2級が老齢基礎年金と同額に置かれていることも念頭に置かれたい。

これについては、18人の委員から御意見が出ております。水準の件に関しては、前の論点で多くの委員から出されているところです。それを前提に、その水準を引き上げる方法として、大きく分けると2つほどの意見があると思います。1つは、障害という問題をほかの問題から分離して、障害を持つ人たちの所得保障独自の議論として考えるべきだという方向での議論。それに対して、障害関連の年金制度だけを特段取り出して議論すべきではないんだ、全体の中で議論すべきだという方向の考え方。この2つに大きく分かれると思いますが、障害に特化して考えるべきとする意見が多数ではないかなというところです。

例えば、現在の障害基礎年金は老齢基礎年金をベースとして設計されているわけですけれども、その老齢基礎年金自体から切り離せという御意見。障害者の所得保障はセーフティーネットとしての年金制度を構築すべきという意見。ライフステージが老齢基礎年金とは異なる、日常生活の困難性と稼働能力の不十分さに対応しての所得保障という視点からすれば、老齢基礎年金と支給額が同等である必要はない、そもそも老齢基礎年金の場合は受給前に資産形成が可能であるという前提がある、しかし、障害者の場合は違うといった御意見。生活保護費の額を基本に制度設計するのが適切である、障害者基礎年金2級の額を生活扶助基本生計額に障害者加算を加えた額に引き上げるべきであるとか、そのように独自のものとして考えるべきという御意見。それに対して、国民年金の中にあるわけですから、老齢基礎年金とともに水準を上げていくべきだという御意見もありました。

次に、現在の障害基礎年金は、以下のような要因で無年金である谷間の障害者を生み出している。国民年金の任意加入時に学生、主婦が障害を負った場合。日本国籍を持たない人が障害を負った場合。海外に居住している日本人が障害を負って帰国した場合。所得保障による支援が必要であるにもかかわらず、障害等級が低いなどのために年金が支給されない場合。保険料を未納していたため、あるいは保険に未加入であったために年金を受け取ることができない場合このような現状についての御意見を伺いたいということで、18人の委員から御意見が挙がっております。

この中で、無年金になる原因としては、以上の場合だけではなくて、初診日の問題があるという御指摘が多うございました。初診日を基準にということになっておりますけれども、障害が発生したのはいつかという実質的な点で決めるべきだという御意見が多かったように思います。それとか、そのような情報を知らないで初診日が遅れるという場合もあることも言われております。

それと、障害そのものの認定についてですが、知的障害について、現在の認定基準と、実際の医師に委ねる認定の仕組みは地域によって異なる対応が見られるという御意見もありました。それとの関連で、就労したということで支給停止、減額される問題もある。

それとか、無年金については救済が一部に限られているという状況があるわけですけれども、理由のいかんを問わず年金制度の中に組み入れることで無年金障害者の解消を図るべきであるとか、谷間の障害者については、それぞれの必要性に応じて個別に救済措置を取る必要があるとか、谷間を生み出さないような包括的な制度設計と、谷間に置かれている層への早急な対応が急務であるという御意見のほかに、根本的には、障害基礎年金が保険という形式で運営されているわけです。その点を税金で賄う必要があるのではないかという御意見もございました。

次に、無年金障害者の問題を解消するためには、どのような手立てが必要か御意見を賜りたいということで、17人の委員から御意見が挙がっております。

制度の仕組みに関しては、仕組みを簡素化し、社会扶助としての制度とするのが望ましい。社会保険方式から税方式に改めるべきである。財源は全額税金で賄うよう制度設計を行うべきである。障害があるか否かにかかわらず、勤労所得が最低生活水準に満たないすべての者に対応する基礎的、普遍的な制度を確立することとか、ベーシックインカムの考え方を取れる方がよいなどの御意見があります。

ここでも初診日等の問題も若干書いてあります。発病日主義にすること、在日無年金問題は、ほかの無年金問題とは異なり人権上の問題であるから、速やかに現行制度で救済すべきであるとか、そういう御意見がございました。

次に、障害者が地域での生活を安定的に継続するため、または地域生活に移行するために、家賃を保障する「住宅手当」の創設が必要であるとする考え方があるが、このことについての御意見を賜りたいということです。

ほとんどの委員は必要があるという御意見でした。ただ、住宅手当が国民的な賛同を得られるかは疑問を感じるという意見もございました。しかしながら、民間住宅に入居する際の家賃補助は非常に重要であるというのが多くの意見であり、具体的には、民間からの借上方式、もしくは積極的なあっせんなどのサポートを含むべき、そういう仕組みをつくるべきだというものとか、借家、アパートの家賃補助、グループホーム、ケアホーム以外にも対象にすべきとか、低所得の人に限定した仕組みで、高齢者、ひとり親家庭など、障害のある人がいなくとも必要な手当であるとか、そのような御意見が多かったと思います。

次に、障害ゆえに特別に必要とする経費を補うために、どのような手当が必要だと考えられるか、御意見を賜りたいということで、14名の委員から意見が挙がっております。

まず、手当について、基本的な考え方を述べておられます。障害ゆえに必要な給付または現金給付の手当ではなく、サービスで支給されるべきであるという考え方。新しい手当を創設するのではなく、現行の制度の対象者、支給要件、額を見直すべきという御意見。それとか、障害に伴う特別出費の現状を明らかにすべきである、その上で追加的に必要とされるのはどの程度か、評価基準ガイドラインを当事者参画の委員会で話し合うべきだという御意見。生活にかかわる基本的な給付に含めるべき金額と単独給付に分ける構えが必要であるというような御意見。

それとか、具体的な手当について述べてある意見の中では、地域自立手当とか、ヘルパー対応にかかわる暖房費、上下水道、消耗品費とか、社会参加手当、コミュニケーション保障とか、特別食に関する手当、移動にかかわる経費など、いろんな手当が御意見として挙がっています。

次に、所得保障を拡充するための財源について、御意見を賜りたいということですが、基本的な考え方としては、ベーシックインカム実現に向けての税制改革が長期的に必要であるとか、コンクリート事業等の公共事業や防衛費などの支出を削り、社会保障費を優先する施策が求められるとか、税制改革が不可欠であるなどの意見が挙がっております。

次に、税金として、まず消費税の問題が掲げてあります。年金が消費税を財源に大きく制度改革するならば、障害者への所得保障も年金の加算項目として制度化するべきであるとか、福祉の充実を目的とした消費税の導入が大きな選択肢になるという御意見がございます。

次に、税金としては、所得税の問題なんですが、所得税の累進率のアップ、株式投資、家賃収入からの所得の課税強化が最初の財源、それとか、所得税を1990年代の負担に戻すべきであるという御意見がございました。

更に、財源論ですけれども、租税一般からの財源を与えるべき、課税単位を世帯から個人単位化するなど、課税ベースを広げる税制の改革が必要であるという御意見。拠出性の社会保険方式ではなく、税金で賄うべきであるという御意見などがございました。

最後にその他ですが、8名の御意見が挙がってきております。この中では、先ほども若干触れましたけれども、基礎的な最低限度の収入ということだと思いますが、ベーシックインカムについての御意見とか、就労による所得保障を強調する御意見。

最後に、土本さんが書かれているものを御紹介しますけれども、「これから 入所施設から でてくる 仲間たち しょうがいきそねんきん だけで ちいきで へやを かりて ひとりぐらしや グループホームで せいかつ すること むずかしい。さぎょうしょなどの こうちん も いっぱい もらえる わけでない。さいてい ちんぎんの じょがいも やめてほしい。ちいきで せいかつ できる お金を きちん していく べきです。」と、以上のような御意見が書いてあります。

所得保障については、簡単でありますが、以上のとおりです。

藤井議長代理 残り30分なんですけれども、この点は障害分野でとても大事なテーマだと思います。恐らく最大限大事なテーマの1つであろう。これは地域生活にしても、自立を図っていく上でも、基本中の基本である。考えてみますと、国際障害者年の5年後の1986年度から基礎年金制度が始まったわけです。あれから25年、この分野はほとんど変化をしていない。あのときはおわかりのように、拠出年金制度、社会保険でありながら、拠出をしていない者であっても、社会全体という視点から、障害を持った人たちに、20歳以下で障害に遭った場合にはこれを保障しましょうと、こうなっていった画期的な思想が伴った制度が出来上がった。その点で言うと、さて、今の話のとおり、給付水準を一体何を根拠にして、どうレベルアップするのかということ、多分これが一番大きい論点だと思うんです。当然、上げるということは多くの意見は一致しているんだけれども、何を論拠にして、しかも、どういう国民との合意の中で上げていくのか。多分、これが一番大きな論点だろう。

もう一点は、無年金の問題です。これはやはり深刻極まりない問題であって、これをどんなふうにして解消していくのか。2002年に出来上がった障害者基本計画によりますと、無年金問題については、福祉的な観点から措置を講じるというのが入っています。それ以来、その問題はずっと放置されていまして、余り変化を見ていないということもあります。

残り時間は、できれば、今、言ったように、給付水準のアップ、その場合、何を根拠に、どこを目標に上げていくのかという問題、そして無年金問題のことを後半に少し論議をしたい。

なお、本当は、この論議をしていく場合には、これに関する基礎データが欲しいんです。一体、障害者の多くがどういう暮らしぶりなのか、どういう生計、家計、個人の収支状況なのか。6万6,000円では生活できませんから、何によって応援をしてもらっているのか。こういうデータは全くないんです。今後、これに関しては、データ集積等も含めて、更に深い議論が要ると思うんですが、今日の段階ではそういうことを踏まえて、今の東室長の意見書の概要整理と、時間がそう多くありませんから、給付水準と、妥当な、説得力のある根拠という問題と、できれば無年金問題、これに論点を絞って議論をしたいと思っているんです。できれば前段の方は、今言った給付水準の問題に絞ってと思っているんですが、いかがでしょうか。

勝又委員、お願いします。

勝又委員 勝又です。

こちらに私が出した意見補足ですが、実際のところ、給付水準が低いと言っていてもいろいろな場合が想定できます。今、藤井議長代理がおっしゃったように、障害を持っているということの定義によるとおもいますが、例えば、厚生年金における障害年金とか、労働災害における障害年金など、その障害者がおかれたさまざまな状況によって、中には老齢年金以上に十分な所得保障を受けている人もいるわけです。ですから、初めから障害を持って生まれ成人に達すると障害基礎年金だけで暮らしていくことを前提にした意見が多いかと思われますがそれは違うとおもいます。したがって現状で、日本において、障害者をめぐる所得保障がどういうふうになっているのかということをもう一度見直す必要があるとおもいます。

それはひいては、障害を持っているか、持っていないかということにかかわらず、どういう問題があったときにどのくらいの保障を、日本人として、この国に生きているときに得られるのかどうか(いわゆるセイフティネット)ということを見ていく基礎資料ともなるのです。障害を持っているイコール、例えば、障害手帳を持っているから、こういう所得保障が受けられるという現行の制度の中でだけ議論をしておりますと、格差社会と言われる現在では、制度の適用がされずに生活保護を受けることができないのに生活保護水準以下の所得しかない人たちが多いという結果も最近の調査では出ておりますので、日本に生まれて育った人間のどのくらいがそれなりの人権を保障された生活を確保できるのかなどという観点から議論していく必要があります。このような厳しい格差社会の現実があるわけですから、仮に障害者は障害者に限定された所得保障の話だけしているの場合には、社会全体からの障害者の所得保障に関する理解は得られないと思います。

藤井議長代理 大変大事な問題意識といいますか、論点だと思うんですが、今の御意見に対して意見ございますでしょうか。国民全体の所得状況、せんだって発表があった相対的貧困率が15.7%、これはまた若干修正があるかもわかりませんけれども、全体の所得状況が厳しい中で、改めて、そういう大きな視点からの問題を深めていく。恐らくベーシックインカムなどはそういう論点につながっていくと思うんですが、いかがでしょうか。

関口さん。

関口委員 資料の27~28ページを見ていただけると、全国精神障害者ネットワーク協議会の行った調査でございますけれども、最低必要なのは幾らぐらいなのかというのを出しています。12.7万円と出ています。この中には勿論、かなり高額の22万以上という方もいらっしゃるわけですけれども、平均して、大体どれくらい必要かといったときに、それくらい。それは生活保護より上に行っているわけです。そこのところは事実として冷徹に見ていただきたいと思います。

藤井議長代理 勝又委員、今、関口さんから指摘もあったし、福島さんの議論にもあったと思うんですけれども、国民全体の所得状況を考えていくんだという非常に大きな論点と、そうは言っても時間がかかりますから、当座、この苦しい状況を何とかしなければいけない。そのときに、生活保護基準を下回ってはいけないということも含めて、当面の策を講じるという辺りのところはいかがお考えでしょうか。もし意見があれば。

勝又委員 勝又です。

今回の議論の中で、当面のという御提案ですけれども、今まで所得保障の問題を議論するときに、当面のということですべてが先送りされてきたと考えております。ですから、今回を期に当面のという考え方はやめた方がいいと思います。

藤井議長代理 そうしたら、順番に行きましょう。新谷委員。

新谷委員 新谷です。

今の年金制度、特に障害に関しては、私自身も非常に矛盾を感じているのですけれども、会社に勤めていて所得があっても、障害厚生年金、障害基礎年金が貰えます。所得、実収入とは関係なく年金をもらえます。基本的な問題として、賃金を貰っているのが労働という考え方、会社勤めなどをしていて、そこで収入をもらうのが労働なんだという形がずっとあって、私たちはその強迫観念に常にさらされている。障害を受けたから働けなくなった、お前は働いていないのだという強迫というか、トラウマ的なものを持っているわけです。そもそもの労働観念を変えないといけないのではないか。障害者とか家事労働者とか、いろんな方がおられるわけです。会社勤めとか、賃金労働だけの対価で設計した年金制度というのを、この際、やはり根本的に見直さないと、障害者に対する年金としてどうしてこれだけのものが必要なのか、理解を得られないんではないかという危惧が非常に強いんです。そういう意味で、ベッシクインカム的な、すべての人に対して、民主党の最低年金制度もいいかもわかりませんけれども、とにかく国民全体に一律年金保障して、その後の個別の問題については個別に考えていくという制度設計が必要ではないかという気がしております。

以上です。

藤井議長代理 佐藤委員、お願いします。

佐藤委員 当面の話はするなと言われたので、しにくくなってしまったんですけれども、ベーシックインカムが実現するのに若干の時間がかかるであろうから、とりあえず障害基礎年金の改善ができないものかという当面の話をさせていただくんですけれども、資料の21ページに私、書かせていただいたんですけれども、障害基礎年金の金額を見直す必要があるということが多くの人のコンセンサスになるためには、現在の6万6,000円というのがどういう根拠で生み出されたのかということ、それが適切な根拠に基づくものであるかどうかということを点検しないといけないだろうと思います。

そうすると、1986年ころ決まったわけですけれども、21ページの4行目ぐらいのところに書いたように、全国消費実態調査を基にして、65歳以上の単身、無業の高齢者の月々の基礎的消費支出、月々の消費支出を基にしたのではなくて、月々の基礎的消費支出を基にして、つまり、食べる物と、着る物と、住むところの住居費、この衣食住の3つが幾らかかっているかということで、当時、5万円だということで、これを基礎年金額にして、障害者にも同じものを当てはめようとした。

当然、基礎年金制度をつくるということは非常に画期的なことで、お金もかかることなので、そんなに金額はあげられない。死なない程度の額にしよう、衣食住だけは面倒見よう、旅行に行ったり、友達とつき合ったり、交通だとか、医療だとか、そういうようなものがなくても死なないだろうという、非常に基礎的な金額を基にしてつくったんだろうと思います。

多くの65歳以上のお年寄りは持ち家で家賃がほとんどかからない、それを障害者にも当てはめた。障害者の場合には、若くて、外出したり、友達とつき合ったり、学習したり、いろんなお金が社会参加には必要なんだけれども、とりあえず基礎年金を発足させなければいけないので、本当に基礎的なもので我慢してもらおう、一歩前進だから我慢してくれという感じでつくられたんだろうと思うんです。

その後、93年の基本法で、障害者の自立と社会参加が目的となって、今、権利条約で平等な社会参加が目指されている中で、この根拠自体が理念から大幅に掛け離れている。そうなると、社会参加の費用まで含めた生計費は、憲法25条の最低限度の文化的な生活を営むということで、生活保護の基本生計費にプラス障害のために余計な出費がかかるということで障害加算、こちらが理屈というか、根拠がはっきりしている、権利条約とマッチする考え方ではないかと思います。そういうふうにして、何とか障害者の生活を当面支えて、それ以外の国民の最低生活費を保障するようなベーシックインカムにつなげていくという戦略、当面の戦略がずっと続かないように願うわけですけれども、そういう改善、戦略が必要なんではないかと思います。

藤井議長代理 恐らく、たくさん議論はありますが、残り時間、無年金問題も含めて論議をしていこうと思っています。今のに関連してもよろしいし、無年金問題でも結構です。いかがでしょうか。

尾上委員。

尾上委員 尾上です。

意見一覧の34ページ並びに追加資料の46ページをごらんください。まずは無年金の問題ということで、さまざまな理由による無年金の発生があるわけです。先ほどから当面の話は控えようということなのですが、でも、やはり非常に大きな問題として残ってしまっている問題が現にあるので、当面の問題を申し上げます。

国籍条項を理由にした無年金の問題が、いまだに救済措置からも除外をされているという非常に不合理な差別の是正を是非お願いをしたいと思っております。御存じのとおり、無年金の障害者に対して、特別障害者給付金制度が2005年から始まりましたけれども、その際、国籍条項を理由にした無年金の人たちはまたも除外をされてしまいました。追加資料の46ページにありますとおり、これは無年金の方々の提言なのですけれども、給付金の対象からの除外が何ら合理的理由がないことと、抜本的解決がなされるまでの間、つまり、年金制度そのものの大きな改革で解決がなされるべきなのかもわからないですが、それまでの間、在日無年金の解消に加え、特別障害者給付金の対象に加えて支給を開始してほしいということです。

特に、難民条約の批准前に20歳になった人たちということなので、現在49歳以上の年齢の方々、そういう意味では、高齢に差しかかる、障害の場合、二次障害で色々な症状も出てきます。そういう意味で、高齢化が著しい重度障害者がいまだに放置されている、この問題の解決を是非お願いをしたいと思います。

特に、つい先週でしょうか、国会では、障害基礎年金の子ども加算の問題、つまり、あれは年金受給までに子どもさんを儲けられた場合、加算される制度なのですが、幼いときからの障害者の場合、20歳になって年金の受給を受けますので、20歳前までに子どもを生んでおかなければ子ども加算がつかないという非常に不合理な問題があったわけです。それが厚生労働委員会から委員長提案ということで、今週中にも国会で決議される。そういう目の前の具体的な問題については、政治の場でも議論していただいているわけですから、是非この特別障害者給付金の中で在日無年金の問題の当面の救済策をお願いしたいというのが1点です。

そして、先ほどからの議論に関連した点がもう一つですけれども、制度設計の前提に基礎調査がなければならない、調査なくして制度設計なしというのが基本なのかなと思うのです。意見一覧の52ページに記しましたけれども、今回、障害ゆえに必要な特別な支出がどんなものが考えられるか、そういう設問をつくっていただいたこと自身、これまでの議論からすれば非常に画期的なことなのかなという感じがしています。

勿論、介護等実際の必要なサービスは制度で保障されるべきだと思いますが、それ以外に、例えば、リフトつきタクシーのお金がすごくかかる、あるいは障害を持っていたら、汗をかいたり、はってズボンの膝がすぐ穴があくので、衣服代であったり、あるいは歩くのに困難がある人の場合、靴がすぐに消耗する、あるいは体温調整が必要な人の場合、エアコンの電気代が要る、あるいは呼吸器や、そういったものの光熱費や、あるいは聴覚障害で会話のときに書いてもらう場合のノート代や、本当に生活のいろんな場面で、障害ゆえに必要な特別な支出が、いわゆる制度のサービス外のところでいろいろ存在をしている。こういうのは私たち障害当事者の間ではいろいろと世間話の中では出てくるんですけれども、これをちゃんとしっかりとデータとして把握をして、今後の制度設計に生かしていくべきではないか。

そういう意味で、基本的な、障害のない人と共通する生活費プラスこういった障害ゆえの特別な支出、それに加えて、老齢年金の方の場合、日本の場合、今まで持ち家政策を中心にして来られた歴史があり、勿論、全員が家を持っているとまでは言わないですけれども、基本的には住宅費というものは発生しない世帯もたくさんあるわけです。そういう意味で、年金でカバーをしていく基礎的な生活費プラス特別な支出分、それと、もう一つ別に、地域生活手当といいますか、住宅手当のようなものが要るのではないか、そういうふうに考えます。

藤井議長代理 それでは、川崎委員、どうぞ。

川崎委員 精神障害者の家族会の川崎です。

無年金障害者について少し説明させていただきます。実は、精神障害者でかなり無年金障害者が多いということがデータに出ております。これは、精神障害、精神疾患の特性が理解されていないということだと思っております。そこで、4つほど、精神障害者がなかなか受給できないということを簡単に説明させていただきます。

先ほど来から初診日問題がありました。確かに初診と発病にかなり時間があるということで、初診日の証明が取れない。初診したときのカルテがないとか、医療機関がもうなくなってしまっているということもありまして、初診日認定ができないことが受給資格が取れない1つの原因なんですけれども、これは発病を初診と見直されるべきだと考えております。

それと、もう一つ、この受給の対象外になっている精神疾患の方がかなりおります。例えば、いわゆる神経系の強迫障害の人とか、不安障害の人などが対象外なんです。これは差別だと思っております。この方たちも同じように生活のしづらさを持っておりますし、就労もできずに、現在、大変生活困窮の状態に陥っている方が多くいらっしゃることを考えますと、このような障害対象外を設けるということは差別ではないかと思いますし、これは取り除かれるべきものではないかと思っております。

それと、年金未払いということは大きな問題と思いますけれども、実は精神疾患というのが20歳前後の発病ということで、病気とか疾病とか障害によって、これができなかった。例えば、20歳前後で入退院を繰り返しております本人、家族にとりまして、国民年金に入るということが頭から飛んでしまっているような状態の日々を過ごしている中で、入らないでいて、しばらくたってから障害年金を受けるときに、未払いで受けられませんという方が現在かなり出ております。このような、疾病とか障害によって未払いの場合には救済措置が取られるべきではないかと思っております。

もう一つ、4番目に、精神障害者の就労のことで、就労と言いましても、週2~3回のアルバイト程度なんですけれども、就労ができるということで年金がカットされる。例えば、今まで2級をもらっていた人が3級になってしまいますと、厚生年金に入っておりませんと年金がカットされる状態になります。アルバイトをすると言いましても、1か月3~4万だと思うんです。それで地域生活をしろというのは大変に無理な話だと私は思っておりますので、このような場合への救済措置も是非とも考えていただきたいと思っております。

以上でございます。

藤井議長代理 川崎委員、今、そういう実態の中で、精神障害者の方たちで言いますと、どんなふうにして暮らしているんですか。つまり、無年金であったり、年金をもらっても6万6,000円でしょう。稼得能力から言って3万ぐらいプラスだと。どういう暮らしぶり、つまり、家族が応援をしているのか、我慢をしているのか、そういうデータがあるんだったら、少し。

川崎委員 調査したデータを今度、皆さんに報告できると思いますけれども、やはり家族が大体5~6万を、同居している場合とか、あと、別世帯でいても、仕送りをしているというのが現状だと思っております。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

連合の中島様、お見えになっていないかな。発言してほしかったんですけれども、いらっしゃらないですね。

ほかにいかがでしょうか。今の2つの、給付水準に絡むことと、無年金のほかでも結構ですよ。

大谷委員。

大谷委員 大谷です。

2つのこと以外で意見を言わせていただきたいと思います。土本委員の最後のところ、「お金の かんりに ついては ひつよう とする てきせつな しえんをしてほしい。」となっています。所得保障ということとは若干違うんですけれども、自分自身で日常の生活費は勿論できるんですけれども、ちょっと大きな額になると管理が難しい方がおられます。例えば、1万とか2万でしたら自分でお金を使うことは十分できるんですけれども、桁が大きくなってしまうと、なかなか困難かなと思われる人は、やはり信頼のできる適切な第三者がそれを管理しなければいけないのですが、現在、成年後見人しか、それをやる制度上の保障がありません。

成年後見制度は、意義も勿論ありますが、ここでも若干議論しましたけれども、基本的には政治参加も含めて無権利になってしまいます。そこで、成年後見しないで、何とか地域できちんとお金を管理しながら生活していく、これは本当に支援が必要です。実際、今、どうやっているのかというと、地域のおじさん、おばさんとか、個人的なつてを頼ってやっている。それに対する使い込み的なケースも増えてきている。これに対する監督機関がないということで、生活支援センターみたいなところがきめ細かくやってくれるようなことがあればいいんですけれども、とてもそこまで至っていませんので、これも制度設計の中に是非入れていただきたいと思っています。成年後見の功罪も含めて、そろそろ検証する必要があると思っていますので、それも含めて制度設計をしていただけたらなと思いました。

藤井議長代理 土本さん、何か発言ございますか。

土本委員 最後に書いているお金の管理の支援が必要だと。金銭管理も支援をして、弁護士さんが最後に月々幾ら使ったということを見てもらっているんです。その役割も必要ではないかと思っているんです。成年後見もいいと思うんですけれども、そこまで行かない人たちもあるし、複雑な成年後見なので、なかなか入り切れないので、周りの支援者に金銭管理をしてもらわないと、どうしても使い込んでしまって生活ができなくなる状況になると、自分たちのお金をもらっているのに生活ができなくなる、それは困る。日常かかわっている支援者でないと、信頼度もあるけれども、かかわってくれる人が大きいんではないかなと思うし、自分のお金のことをもう少し知っていくべきだと。障害者基礎年金のことも含めて、まだまだ知らない仲間たちも含めて、親も含めて、知らないと、どういうお金なのかということも、少しでも入っていく、自分も全部は知らないんですけれども、そういうことを教えてくれる支援が必要だと。6回ぐらいの会議もそうだけれども、ずっと適切な支援が必要だと、どんな場面でも必要だということです。

藤井議長代理 では、時間が来ましたので打ち切ります。

今日のこの議論は、この意見書にいっぱい入っています。皆さんも言いたいことがいっぱいあったと思うんです。最も大事な問題ですから。勝又委員からありましたように、このことを議論し出すと、構造的に、また国民全体の問題が絡んでくる。したがって、より根本的に議論をする必要がある。もうそういう時期ではないか。民主党のマニフェストによりますと、平成25年までに年金制度を変えるんだと書かれています。こういう大きな政治の日程もあるようでありますし、それは基本的に恐らく一致すると思うんです。

ただし、そうは言っても、無年金問題を含めて、あるいはそこに行き着くまでにどうしても、地域生活の問題を離れた場合、のっぴきならない事情のこともいっぱいあるわけです。ただ、全体構造、あるいは大きな基本問題を方向づけられる中で、当座こうしようということは当然あってもいいわけだと思うんです。

そういうことも含めて、しかし、なおかつ急ぐ問題がありますので、これらは政治判断も含めて考えてほしいし、また、こうした部会でも、この推進会議でも意見を言っておく必要があるだろう。本件に関しましては、総合福祉部会は一旦立ち上がりますけれども、恐らく、これも含めて、今後、専門的に深めていくという場が必要かと思うんです。どういうような部会の数とか、まだわかりませんけれども、やはり優先される部会の分野に挙がっていく点ではないかと思います。

それから、土本さんがおっしゃった件に関しては、所得保障に絡む自己決定です。これは今、言われたように、お金の管理ということもあるし、今日は出なかったけれども、ダイレクトペイメントということもある。だから、所得保障というのは、給付収入や無年金に加えて、実質的に本人の生活内容をつくっていくという観点から、仕組みとか、仕掛けということも考えていく必要があるだろう。今日は十分議論できませんでしたけれども、こんなことを残しておきながら、今後、できれば、専門的に深めていく場が欲しいなということを確認しておいて、この点は終わります。

時間が18分ですので、33分まで休憩をして、次は交通アクセス、建物の利用の方に入ってまいります。では、休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 では、再開いたします。よろしゅうございますか。委員の方は着席をお願いします。

続きまして、これから45分間ぐらいになりますけれども、交通アクセス、建物の利用について、これも例によって各委員の意見書の概要を説明願います。東さん、お願いします。

東室長 東です。

テーマは、交通アクセス、建物の利用です。

まず、基本的な考え方として、移動や建物を含む諸設備の利用の権利について、障害者基本法等に明文を置くことの是非について、御意見を賜りたいという点です。

こういう論点に対して19名の委員が意見を挙げておられます。これについては、全員が基本法に明文化することに賛成の御意見です。反対論はありませんでした。その上で、例えば、交通基本法との整合性に配慮すべきであるとか、身体障害の負担軽減だけでなく、知的、発達障害の負担も軽減すべきであるとか、普通の市民が行う活動に障害者も希望すれば参加できる移動権、居住権を含む利用権、アクセス権の保障が大切である、そのような御意見もありました。

次の論点として、旧法も含めてバリアフリー新法が果たしてきた役割の中で、積極的に評価すべき点について、御意見を賜りたいという点です。

これについては18名の方から意見が挙がってきております。すべての委員の方が一定の評価をなさっておられます。主なものとしては、バリアフリーの取組みが広がり、障害者の生活にいい影響を与えた。新法ではすべての障害者が対象となっていること。バリアフリーの基本計画を市町村が定める際に当事者が参画できるようになったこと。数値目標を定め、整備を進めてきたこと。ないしはバリアフリーを社会全体が取り組むべき責務として明記したこと。そういうことが評価の点として挙げられております。

ただ、これに対して、課題としては、先ほども申しましたけれども、知的、発達障害のある人へ配慮した移動等の円滑化は手つかずであることとか、地域間格差が広がってきていることとか、整備ガイドラインが努力目標にとどまっている。また、聴覚障害にかかわる規定が少ないといった御意見。それとか、電光掲示板を設置しても緊急情報の提供がなされない、聴覚障害者に適確に情報を伝える体制を整備すべきであるとか、そのような御意見が挙がってきております。

次に、地方都市、農村における輸送機関の縮小やバリアフリー整備の遅れは、障害者及び高齢者の生活に与える影響が大きい。現行法適用対象外の既存建物、既存交通施設の段階的変更と支援策についてどう考えるかという論点につきましては、15名の方が意見を挙げておられます。

その中で、例えば、対象となる建築物の規模が大き過ぎる。これは、結果として地方の建物のバリアフリー化が遅れるという結果を生じるわけです。2010年までにバリアフリー化を図る駅は、1日の乗客数が5,000人以上の駅となっているが、すべてを対象とすべき。ちなみに、熊本は適用がある駅は2つか3つぐらいなんです。だから、ほとんど既存の駅は変わらないという現状があります。これは熊本だけの話ではないと思っていますけれども、そういう状況にあるわけです。地域間格差を是正するために、地方や農村の既存施設、交通機関への助成を実施すべき。それとか、地方都市、農村部に適合したバリアフリー化整備基準の創設及び目標数値と期限を設定すべき。現行法適用対象以外の建物や交通施設の改善を促し、そのための財政の仕組みを充実すべき。既存の施設も緊急度の高いものから改善すべきなどの御意見が多うございました。

次に、地域間格差を埋めるために、「移動円滑化等のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準等の各種基準」をどのように策定し、個人にとって必要となる合理的配慮が提供されるような仕組みを構築するべきか、御意見を賜りたいという点です。

これについては16名の委員の方が意見を述べられております。この点に関しては、多様な意見や提案がなされております。国の基準は最低基準であって、地域の実情に応じた基準を、例えば、条例で補強すべきという御意見とか、各種基準を細分化して、事業者の義務化を強化すべきとか、個人にとって必要な合理的配慮は各種基準で一律にはできないため、基準の谷間に漏れる人の声をいかに拾うかが大事であるといった御意見。地方で高齢者や障害者が円滑に移動するために、コミュニティバスや移動支援を公的に保障するべき。交通インフラは地域間格差を前提として基準を設定せざるを得ないなどの御意見がございました。

次の論点ですが、同法25条により策定される市町村の重点整備地区の基本計画の義務づけ並びに障害者の参画について、御意見があれば伺いたいということで、17名の委員から意見が挙がっております。

大谷委員が若干資料的なことを説明されております。それによると、平成21年9月30日段階で、市町村で基本計画をつくっているのは250市町村に過ぎないということが挙がっているわけで、多くのところで策定されていないという現状があるかと思います。それを前提に、ほとんどの御意見は、重点整備の基本計画策定、協議会の設置、当事者参画、策定からモニタリングまで義務づけるべきだという御意見が多うございました。その他、移動制約者は重点整備地区だけで生活しているのではないといった御意見とか、当事者の参画に当たっての話でしょうけれども、人選の公開と公平性が重要であるとか、障害者をバリアフリーアドバイザーとして予定し、雇用につなげるべきであるとか、当該基本計画と地域福祉計画や障害者計画などとの整合性を確保する必要があるという御意見とか、モデル的な整備を行うことは、地域住民の障害者理解の促進につながるとか、基本計画に精神障害者への配慮を位置づけるべきであるとか、そのような御意見。その他に、基本計画に対する監視・評価のメカニズムがない、だから必要だという御意見などがございました。

次に、障害者の権利に関する条約第9条第1項は、「施設及びサービス利用等の利用の容易さに対する妨げ及び障壁を特定し、及び撤廃する」ための適切な措置を取ることを規定しております。一方で乗車拒否、利用拒否があることに鑑み、このような事例の実態調査を行い、改善を図る仕組みについて御意見を賜りたいという点につきましては、18名の委員の方から御意見が挙がっております。

ほとんどの委員の方は、乗車拒否や利用拒否に関する実態調査は必要であるという御意見でした。また、同時に、乗車拒否などについての相談とか、救済とか、協議とか、監視機関などが必要であるという意見も多うございました。その他、当事者を半数以上とする委員会で、関連省庁において相互に情報交換しながら対策などを協議し、結果を公表するとか、乗車拒否は直接差別だから社会的制裁をするべきであるとか、実態調査は乗車拒否や利用拒否に限定せず、差別事例を広く集める必要があるとか、音声や墨字案内だけでは必要な情報を入手できないとか、関係者への研修の実態も調査すべきであるとか、そのような御意見もございました。

その他に関連しましては、11名の方から意見が挙がっております。例えば、公共施設や交通機関での絵文字や記号による案内が統一されていないため、知的障害者を混乱させることがあるとか、交通事業者の従業員の教育が進んでいないとか、公営住宅を初め、住宅のバリアフリーは急務であるといった御意見。それとか、乗り物の行き先や切符の買い方がわからない、やっと買い方を覚えても、また機械が変わってしまう。バスで療育手帳を見せたら、これは何ですかと聞かれたという例も挙げてあります。それとか、航空会社のスタッフの研修が不十分であって、航空搭乗時の診断書提出は見直すべきであるとか、日本の住宅のアクセシビリティはそもそも低い、一定規模以上の共同住宅など、バリアフリーを義務づけるべきである。それとか、建物には、情報やコミュニケーションのために必要な設備、機器が設置できるよう、あらゆる障害者のために考慮される必要があるなどの御意見が挙がっておりました。

簡単ですが、以上です。

藤井議長代理 この交通、建物に関しては、次の情報バリアフリー、アクセスとも関係して、社会参加を実質化していく上で基本的な分野である。一般的社会参加のみならず、通院、通学、通勤、すなわち医療、教育、労働と、こういった基本分野を受ける場合の基本的な条件にもなってくる。特に交通及び建物に関しましては、今度の権利条約の中身で言いますと、特に第3条の一般原則、それから、今出た第9条の施設及びサービスの利用の容易さ、第20条、個人の移動の自由というところ、今日は時間がありませんから読み上げませんけれども、これらにも裏打ちされているところであります。

残り30分弱になりましたので、交通アクセス、建物の利用に関しましては、1つは、基準がどういうふうにあるべきか、ここをめぐっての、今後、法律整備ともかかわってきますので、1つ論議をしておく点があるんではないか。及び何人かからありましたけれども、基準とは違って、個人のパーソナルな移動にしても、必ずしも基準化できにくい。しかし、個人からしますと非常に切羽詰まった内容を伴った移動、建物の利用という問題、これをどういうふうに、最終的には多分、制度化となってくるんですけれども、そこに向かう知恵も含めて、限りなく個人の交通及び建物の問題での支援をどうしていくのか。これを論点にして深めていこうと思っています。

55ページの意見書をざっと読ませていただきますと、ものすごく争点があったり、違った意見というよりは、多くの方向は一致していると思うんです。手順とか、ウェイトの置き方は各自まちまちではあったんですけれども、そういうことで、このことを補強し合うという観点で論議をして、しかるべき制度化、法制化に向けて力を身につけていくと、こういう論議をしていこうと思っています。

基準に関して、今後、交通問題、建物問題と、新しい法律、あるいは関連する法律の整備ということで、これに関して特に意見を言っておきたいという方がいらっしゃったら、挙手をお願いします。

では、中西委員、北野委員の順番で御発言いただきます。では、中西さん、お願いします。

中西委員 今の段階で、交通アクセス、建物の利用を障害者に焦点を当てて基準化してやってきて、その結果、高齢者、そして多くの人のために利用されているというインクルーシブな開発、それから、インクルーシブな政策が必要であるということの立証になっていると思います。実際に今、休日に新宿駅に行きますと、エレベーターの前は、高齢者の人、ベビーカーを押す母親、キャリーバッグを持った人と競争するような形で、障害を持つ車椅子の人や、杖の方が並んでいて、なかなかエレベーターに乗れないというような段階にあります。

今までのことを考えますと、例えば、立川駅などでは、駅の方が障害者団体に障害者に特化したエレベーターをつけたいと、駅のアクセスブル化を提言しました。けれども、障害当事者団体が、障害者だけに特化したものではなくて、すべての人が使えるものということで、10年間かけて運動して、その結果、今、立川駅で、駅の真ん中のすごく目立つところにきれいなエレベーターがついて、すべての人が使えるということがあります。

一定の基準の下にアクセシビリティがあって、その後の個々人のニーズを考慮したものに発展するという段階を経て、今までアクセスが進んできました。これが今、日本が世界的にアクセスブルが一番いいと言われているような評価を勝ち取っている理由の1つでもあるので、現在のバリアフリー法に至る、そのプロセスは大事にされて、もっと基準が広く全国に及ぶように実施されていってほしいと思っています。

藤井議長代理 大変大事な指摘で、障害分野から社会化、あるいは一般化をしていったと、最近のエレベーター、エスカレーターはそういうふうに言えるんではないかという御指摘ですが、その背景には、個別のいろんな運動があったということも申し加えた方がいいと思います。

では、北野委員。

北野委員 北野です。

私は3つぐらい、ここについては意見がありまして、1つは、障害者個人に合わせた合理的配慮と、今回の第9条のアクセシビリティの条項であるとか、あるいはバリアフリーであるとか、ユニバーサルな仕組みをつくる権利というものは全く違うと理解してほしいんです。なぜかと言いますと、個人に合わせた合理的配慮というのは、当然、過剰な負担、免責条項が出てまいります。しかし、一般的に不特定多数、あるいは特定多数の方が利用される移動であるとか、利用に関するアクセス権というものは、免責条項があってはいけないのでありまして、一般的、市民的なアクセスというのは権利でありまして、それを免責されるということはあってはならない。

なぜかと言いますと、前回議論されたように、奈良県の下市中学校で、小学校6年生の彼女が中学に入るときに、中学校は段差があるから車椅子の入学を拒否するなどということは、由々しき人権侵害でありまして、バリアだらけの建物を建て直すときに予算がかかるから無理だなどということは絶対にあってはならない。そういう意味で、合理的配慮を超えている一般的な、公的なシステムなり、特定多数、不特定多数の方が使われる仕組みというものは絶対に免責があってはならないということが1つあります。

2つ目は、我々の会議と並行して、内閣府で地域主権戦略会議が開かれておりまして、この地域主権戦略会議は、実はとんでもない議論がされていることがわかってまいりました。地域主権戦略会議の中で特に気になったのは、例えば、今日、出てきている3番の移動等の円滑化の促進に関する法律の基準の中身につきまして、第25条の移動等円滑化基本構想は基本的に義務化を外す、市町村の裁量にしてしまう、あるいは住民や障害当事者の方の参画、意見反映も要らない、市町村の自由裁量にするなんて、とんでもない意見をこの委員会で提案されておられます。

私は、今、言ったように、このアクセス権というものは市町村が裁量できるものではなくて、基本的人権として絶対に設置基準の最低基準は強制力を持たせるべきだと思います。あと、民間とか市町村のいろんな意見を吸い上げたり、いろんな意見を自由に出すべき仕組みとしては大事なものがありますので、それに関しては、誘導基準というものは強制ではなく基礎自治体が創意工夫をもってサポートできる、創意工夫できるような大きな仕組みとして誘導基準は大いに議論されるべきでしょうけれども、最低必要な権利としてのものは絶対、市町村の裁量にしてはいけないというのが2つ目です。

3つ目は、情報アクセスに関して、当事者の参画をどうすべきかということなんですけれども、私は、最低基準及び指針の策定に当たっては、当事者参画というものは絶対に避けて通ってはいけない、義務づけるべきものであると思っています。なぜかと言いますと、今、「地域主権」という言葉を使っておられますけれども、かつて私たちは「国家主権」ということに対して「国民主権」という言葉を使ったように、私たちが求めるものは地域主権ではない。これは当事者を含めた住民主権である。つまり、当事者を含めた住民が主権を持っているんですから、住民の方、特にそのサービスを使って社会生活をする方の場合には、そのサービスを使う住民の意見を聞かずに地域主権などという議論は成立しない。ですから、当事者の方の意見をきっちり聞くという仕組み、当事者参画を不可欠にするような、反インクルーシブではなくて、インクルーシブな地域住民主権の仕組みをつくっていただきたいというのが私の意見です。

以上です。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

松井委員、お願いします。

松井委員 松井です。

先ほど中西さんの方から発言があるんではないかと思って遠慮していたんですけれども、国際協力に関連してアクセシビリティ規定というのが中西さんのODAの提案の中に入っております。御承知のように、日本がODAを使った国際借款をかなり積極的にやっているわけですけれども、その場合に、日本国内では、新バリアフリー法などに基づき、アクセスの問題には相当程度対応ができているわけですけれども、国際援助の中では、そういうことが余り考慮されていない。現実に日本が協力した案件の中でも、つくったけれども、バリアが十分配慮されていないために、利用する障害を持つ方々が非常に不自由しているということがありますので、国内だけではなくて、対外支援においても、そういうことを踏まえた協力を考えるべきだということで、先ほどの国際協力に関連して、併せてこの視点を発言させていただきます。ありがとうございました。

藤井議長代理 久松委員、お願いします。

久松委員 カメラ撮影のため私に立ってほしいとの要望がありました。立たせていただくことをお許しいただきたいと思います。

藤井議長代理 どうぞ。

久松委員 交通アクセス、あるいは移動について、建物等の利用について、我々聴覚障害者の立場で、また、目の見えない方も同様だと思いますが、利用に関する情報のアクセスがなかなか保障されていないという、この現状の問題が非常に大きくクローズアップされております。バリアフリー新法の成果といいますか、これは皆さんが利用しやすいまちづくりという面でかなり大きな進展があったと考えております。審議会等に参加するときに、私も、ろう者の立場で参画しております。しかし、審議会に参加しているのはまちづくりの専門家であって、情報に関係する専門家ではないということです。いつも、会議は建物利用、交通関係の利用に関してのハードの面の整備が中心になっており、情報アクセスに関しては、努力義務、努力することを求めているということで、なかなか進展がないという現状にあると思っております。ですから、情報バリアフリーのテーマで審議するときに、建物の利用、交通の利用との整合性を図るということが非常に重要ではないかと思っております。こういうテーマでも議論が必要だということ、また、情報に関する専門家も含めた、当事者も踏まえた体制をつくるということを強く望んでおります。

もう一つ、今は平時です。平時のときの状況における建物利用、交通の利用ということが中心に議論されている例が多いと思いますが、実際に事故が生じたときの非常時、また、災害が発生したとき、地震、台風、津波等々、災害発生時における非常時にどのような状況で弱者である障害者が避難できるのか、まちづくりの基本的なところで問われる部分があると思います。緊急災害に対応するシステムを本当に聴覚障害者が利用できるのか。また、現状は知的障害者、精神障害者、発達障害者、すべての障害者が利用できる状況にあるとは到底思えません。緊急災害が発生したときに、聴覚障害者が逃げ遅れることも多々あり、ほかの障害者も同様に逃げ遅れる方が多い、そういう緊急対応できる体制についての議論も必要ではないかと考えておりますので、提案させていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 残り15分間ぐらいですけれども、さっき言いましたように、最低基準を離れまして、個人の移動、個人の利用に関することも含めての話に移行してまいりますので、よろしくお願いします。

門川委員、お願いします。

門川委員 門川です。

今の藤井議長代理からの点についてなのですけれども、交通と建物へのバリアフリーについて、ハード面においては随分よくなってきていると思います。ですが、1点だけまだ解決されていない問題が残されているかと思います。それは何かと言いますと、障害者が公共交通機関を含めて、いろいろな交通機関を利用したいと考えたときに、ともすれば、障害者が利用するのは危険だということで、乗車、乗船などの拒否をされる。特に単独での利用の場合がそうですね。それと、建物についても同じで、障害者団体や障害者個人がその建物を利用しようとしたときに、火災が起こったら危ないとか、いろいろな理由で危険だから、これもやはり危険だからということで拒否されることがあります。障害者が利用したくても、危険だ、危ない、このように断ってくるという問題を何とかして解決していく対策を考えないといけないだろうと考えます。そのためには、基本法であったり、差別禁止法であったり、そういった関連法律を見直すなどの工夫が必要ではないでしょうか。

以上です。

藤井議長代理 今、大久保委員から手が挙がっていますが、このほかに発言をしておきたいという方はいらっしゃいますか。

では、順番で、大久保委員。

大久保委員 育成会の大久保です。ちょっと申し上げたいというか、強調しておきたいのですけれども、平成18年に、現政権ですけれども、民主党と社民党で交通基本法案というのが出されています。これは、移動制約者、つまり、高齢者、障害者等で移動に関して制約のある方々について、交通施設や輸送サービスの促進というか、そういった措置を国は講ずるということであります。

先ほど東さんからもお話があったとおり、こういったところで移動制約者といったときに、身体障害の方々を中心に考えている部分がある。知的障害あるいは発達障害の方々において、人的支援ということがイメージとしてあるのでしょうけれども、その人的支援は必ずしも絶えずつかなくても、ご本人がちょっとした交通機関等での支援、つまり、わかりやすい説明などによって利用が可能になるということがあると思うのです。そういったところの配慮は必ずしも進んでいないということを申し上げたいということです。

それと、もう一点、障害者基本法をこれから当然検討していく中で、交通基本法案といったところともうまく整合性なり取っていく必要があるのではないかと思っております。

以上です。

藤井議長代理 では、関口委員。

関口委員 IDA-CRPDフォーラムという英文のメイリングリストがあるんですけれども、そこにフィリピンの方が書いております。これは重要だと思うんで、訳せるかどうかわかりませんけれども。権利条約は、主に人権にハイライトを当てている。すべてのサービスが人権への義務とみなされて提供されなければならない。だから、それにクレームする、クレームというのは、要求するんだと。つまり、人権への義務として与えられなければいけないんで、過大な要求かどうかということは、合理的配慮というのは、免責する事由になるのかどうかというよりも、基本法な考え方として、それはちょっと違うんではないかと私は思うんです。これは国際的な認識なので、お願いしておきます。

藤井議長代理 ほかにございますか。

新谷委員。

新谷委員 時間がありそうなので、一言発言させていただきます。今日のテーマでも、建物へのアクセスとか、情報へのアクセスとかということで「アクセス」という言葉が頻繁に使われるのですけれども、権利条約の中で「アクセス」というのは定義のところにはなくて、個別の第9条でアクセスについていろいろ書いているわけです。想像しますに、権利条約レベルでは「アクセス」というのはまだ定義できるほど硬い概念ではなくて、非常に広がりのある概念として「アクセス」をとらえているのではないかと思うのです。それで20条とか21条で、個別分野でアクセスを規定しています。

それから、司法手続へのアクセスとか、政治参加へのアクセスとか、「アクセス」という言葉をいろんな分野で使っている。北野先生はそれを「利用」「利用権」、また外務省の仮訳では「利用可能性」とか「利用権」というとらえ方をされていますけれども、そういう硬いイメージでアクセスを考えるのか、もう少し膨らみのある意味でアクセスをとらえるのか。例えば、合理的配慮の逆の考え方で、利用する側から見て、大きな負担がなく、そういうものを利用できるというような、利用可能性をかなり膨らませたイメージが「アクセス」にはあるのではないかと思うのです。それで、基本法の中に、例えば、建物へのアクセス権とか、情報へのアクセス権とか、分野別に書き出しますと、それから落ちる例えば行政手続はどうなるのか、そういう問題がいろいろ出てきます。私は個人的には「アクセス」という言葉だけで、翻訳はあえて必要ではないと思いますが、アクセスそのものが人権なんだという書き方を基本法ではしておいて、個別分野については、そのアクセスの中身について、建物についてはこういう問題がある、情報バリアについてはこういう問題があると、個別分野で書くための手がかりを基本法ではアクセス権としてきちっと規定しておけば、かなりいろんなところでも使っていける概念ではないかと思うのです。そういう意見です。

藤井議長代理 大変大事な角度からの問題指摘で、これはまた今後、深めていく必要があると思っておりますので、是非、記録にとどめておきましょう。

土本委員、お願いします。

土本委員 土本です。

意見としては、資料としては書いているんですけれども、全部が必要ということであるんですけれども、公的にはっきりと認められている支援、交通でも、わかりやすく説明する支援、これから話し合いをする議題もそうなんですけれども、説明する支援がはっきりと認められていないと、自分たちがそこでわからないということで、その場でストップかけられたら、次に移らないことも含めて、交通も含めてなんですけれども、そういうことをきちんと認めていかないとならないんではないかなと思うし、やはり全国一緒のお金というか、交通機関を使うんであれば、同じことをしてほしいなと思います。幾ら国に上げていても、JRにしてほしいとか要望を上げても、あっち行け、こっち行けとたらい回しされている状況であるし、自分たちも長年にわたって出している要求でも、なかなか答えられない。どうしてかと思うし、そういうところももう少しこれからの話し合いをしていきたいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 先ほど北野委員から言われた、分権という名の下に違った基準、そういう方向ではやはり困る。私も、例えば、関東は「スイカ」と言っていますが、民間鉄道とJRは微妙に改札の高さが違って、民間鉄道同士も違って、ちょっと困ってしまう場合もある。いろんな面でそういうことは言えるわけですから、最低基準における、まさにアクセス権として利便を高めていくということは大事な点だと思うんです。

1つ、恐らく、今日、インターネットで見ている方も思うと思うんですが、多くは地方に住んでいらっしゃる方たちだと思うんです。日本の国土の大半は非都市部だと思うんです。交通問題で言うと、ターミナルで5,000人以上についてはぐっと拡充、変わっていくんだけれども、格差がつく一方である、これをどう見るかということも今日の意見書にも入っているんですが、特に地方での格差という問題、これは交通、建物、大変大きいと思うんですが、もし意見があればお出しいただけますか。ここに書いてあることでいいですか。

交通、建物に関して、全体を通してございますか。

大濱さん。

大濱委員 大濱です。

発言させていただきます。地域格差の問題というのは、かなり大きな問題だと思っています。大都市の東京、名古屋、大阪は非常に整備されていますが、地方に行くと整備されていないというのは非常に重大です。特に格差が生じる大きな理由は、国家予算の在り方の問題だと思っています。鉄道がない地方などではノンステップバスをいかに整備するかなど、国がこの点に予算をつけていかないと、地方は整備できないと思っています。また、特に駅の建物などもそうです。せんだって延岡に行こうと思ったのですが、エレベーターがないということで行き損なって、途中で引き返してしまったんです。このあたりについて、どれぐらい国が責任を持ってやるか。先ほどの北野委員の話ではないですけれども、地域がきちんと責任持って整備するにも予算がないわけですから、国としてきちんと指針と予算付けを持たないとだめではないか。国策としてこれはやるべきだと、そう思っています。

藤井議長代理 では、本件はこれでもって終わります。

北野委員から3つの視点での指摘もあったし、新谷委員から、アクセスという概念を今後、我が国でもどんなふうに深めていくか、権利としてのアクセス、横文字のまま使うことも含めて、深めていこうという指摘もありました。意見書にいっぱい意見が入っていますので、当然、意見書については、またこれを深め合うということが前提ですが、こんなことも今日の意見の中で出ていましたので、このコーナーはこれで終わります。

そうすると、3時半まで15分間休憩ですが、その後はノンストップで約1時間半続けます。というのは、区切りが続きますと時間がもったいないので、情報アクセスの問題、障害者施策の予算確保に関する課題、この2つを続けてやりますので、ここでたっぷりと休憩をしておいてください。では、休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、時間がまいりましたので、委員の方、着席お願いします。

部屋の温度が低いということがありましたので、先ほどお願いしまして上げてもらうようにしています。本来、この時期は暖房が入らないらしいんですが、それもおかしな話なんで、体温調整ができない方もいらっしゃいますので、少し上げてもらうようにしていますので、もう少し上がってくると思います。よろしくお願いします。

では、これから5時に向かって2つのテーマを議論してまいります。1つは、情報アクセスに関する件。これと区分けをして、16時15分をめどにして、今度は障害者施策の予算確保の課題。改めて、この段階で意見の概要を述べてもらいます。

それでは、最初に、情報アクセスに関する委員の意見書の概要を東さんからお願いいたします。

東室長 東です。

情報へのアクセスということで、まず、基本的な考え方の御意見をもらっております。障害者の権利条約第21条は、「締約国は、障害者が、第2条に定めるあらゆる形態の意思疎通であって自ら選択するものにより、表現及び意見の自由(他の者との平等を基礎として情報及び考えを求め、受け、及び伝える自由を含む。)についての権利を行使することができることを確保するためのすべての適当な措置をとる」ことを明記しております。

同条約が明記している表現の自由、知る権利、平等に情報サービスを受ける権利について、障害者基本法等に明文化することについて、御意見を賜りたいという点です。

これに関して、20名の委員の御意見が挙がっております。例えば、佐藤委員、小川委員もそうだと思いますが、佐藤委員の意見書は4ページに載っておりますけれども、我が国は、世界をリードする技術基準をいち早く整備し、ユニバーサルデザインによる優れた携帯電話やデジタルテレビ放送の字幕対応、または障害者のための支援機器も多数開発されている。しかし、政府調達においても、障害者の差別禁止という点でも、強制力のある法制度や政策がなく、技術はあっても普及せず、利用できない状況があるという御指摘が挙がっております。これが大方の委員の御意見の前提にあるかと思いますけれども、全員がこの権利についての明文化が必要であるといった御意見だろうと思っています。

次に、いわゆる「バリアフリー新法」における基準の設定や基本計画の策定と同様に、情報アクセス分野のバリアフリー化を総合的に推進する法制度化が必要であるかどうかについて、御意見を賜りたいという点ですが、これについては19名の委員の御意見があります。

これについては、独立した法制度にするか、他の法律の中に書き込むべきかは議論が若干分かれているところではありますけれども、全員が何らかの法制度が必要であるという認識では一致していると思います。先ほどの佐藤委員の指摘から言っても、やはり法制度の必要性を全員が強く御主張なさっていると思います。

次に、情報アクセス(例えばテレビ放送における手話や字幕、電話リレーサービスなど)の最低基準及び指針の必要性についてどのように考えるか、御意見を賜りたいという点です。

これについては、20名の委員の方が御意見を挙げられています。これについても、さまざまな観点から、いろいろな意見が出ておりますけれども、最低基準、指針の必要性については争いのないところと思われます。いろいろな形で書いてありますけれども、それはお読みください。

次に、情報アクセスへのバリアフリー化に向けた最低基準及び指針の策定においては、どのような事項に留意することが必要か、特に当事者の参画はどのようにあるべきか、御意見を賜りたいという点です。

この点についても、当事者参画の必要性、重要性を訴える意見がほとんどでございました。また、最低基準及び指針の策定だけではなくて、モニタリングに関する仕組みが必要であるといった御意見などもありました。それとか、海外を含めた先進事例を基にガイドラインを作成することとか、費用負担の問題の検討が不可欠であるとか、そのような意見もございました。

次に、情報アクセスのバリアフリー化に向けた最低基準及び指針の実施において、その実施状況に対する監視を行い、必要に応じて改善を図ることができる仕組みについて、御意見を賜りたいという点です。

この点については、先ほどの論点の中にも御意見がありましたが、そのような仕組みが必要である、もしくは重要であるとする意見が18名の委員から挙がっております。例えば、情報コミュニケーションを保障する法律、仮称ですが、そういう法律に当事者参画の下でのモニタリングの監視を盛り込むべきといった御意見などがあります。ほかも大体同じような意見だと思います。ただ、一部には慎重論もありました。既存の仕組みを活用すべきであるといった御意見もございました。

次に、情報アクセスと著作権についてどのように考えるか、御意見を賜りたいという点です。

近年、著作権法が改正されておりまして、一定の緩和措置といいますか、障害者が利用できるような仕組みが広がってきていると評価する一方、さまざまな課題が指摘されているところです。そういう課題を前提にして、著作権法の改正か、個々の取組みかは別として、わかりやすい形での情報の提供が必要であるとか、著作権法自体において、権利制限の一般規定、フェアユース規定と書かれておりますが、公正な使用というような意味ですかね、そういうことにおいて、障害者が利用する場合の制限にならないような形にするという御提案が何人かの方から挙がっております。それとか、そもそも情報アクセスと著作権はぶつかり合う問題では決してないという御意見もあります。したがって、アクセス可能な形態へ変更するという自体は自由にすべきなんだという御意見です。次に、著作権自体にアクセスするような形での情報の提供を義務づけることが必要だという御意見もあります。それとか、先ほどのフェアユースということとも関連すると思いますけれども、著作物の利用における一般条項を設け、必要な変形を容易にする制度を設けるべきであるという御意見がございます。先ほどの情報アクセスへの権利というものが権利と認められるんであれば、それを制限するのが著作権という対立構造で考えると、基本的な人権を著作権が制限するという形の構造になるわけで、どういう形でその制限を外していくかということがここでの課題だと思っております。

最後に、その他ですが、12名の方から御意見が挙がっております。ここでは、1つ、大きな視点として、情報アクセスという形で議論を進めてきているわけですけれども、コミュニケーションというものが抜け落ちているというか、コミュニケーションという点での考察が大きな課題なんだと。だから、情報という場合には、コミュニケーションとセットで議論すべきであるといった大事な御指摘が挙がっております。

その他、土本さんからの御意見として、そのまま読みますけれども、「わたしたちは わかりやすい じょうほうが ほしいと ずっと いいつづけて います。

さいていでも ぶんしょに ふりがなを つけろと いいつづけて います。

しかし ふりがなを つけても りかい する ことが むずかしい ことばが たくさんあります。とくに えいごの ことばが むずかしい。

やくしょへ いろいろな ようじ で いっても たんとうしゃの いっている ことは むずかしい。

ふくし せいどや サービスに ついても なんど せつめいを うけても わからない ぶぶんも あります。

ちてきの 仲間たちが じょほうを えて いくうえで ひつようとする ぐたいてきな はいりょや サービスは まったく ありません。

しゅわ や ようやくひっき などと おなじように ちてきの 仲間たちに わかりやすい じょうほうを つたえる 支援サービスを つくって ほしい。

てちょうや ねんきん ふくしサービスを うけられる ことを しらされていない 仲間たち。

しらない と いうことで だまされ つづける仲間たち。

などなど じょうほう を うける しえん がない ために おおくの なかまが ひどいめに あって いる。」という御意見が書いてあります。

簡単ですが、以上です。

藤井議長代理 それでは、議論に入ってまいります。このコーナーは16時15分ほどをめどに進行してまいります。今、室長からもありましたけれども、このことを議論していく上での1つのベースになりますのは、やはり権利条約であります。権利条約は、特に第2条のコミュニケーションや言語の定義、第3条の一般原則、ここに大変大事なことが書かれています。そして第21条の表現及び意見並びに情報の利用の機会、30条の文化面でのサービス等に関する条項と、こういった条文にまたがっている内容であります。時間が余りないのでありますが、大事なことなんで、第21条のa~e項目を、短いので、冒頭に読ませていただきます。

介助者 公定訳案の2009年3月3日版です。

第二十一条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会。

締約国は、障害者が、第二条に定めるあらゆる形態の意思疎通であって自ら選択するものにより、表現及び意見の自由(他の者との平等を基礎として、情報及び考えを求め、受け、及び伝える自由を含む)についての権利を行使することができることを確保するための、すべての適当な措置をとる。この措置には、次のことによるものを含む。

(a)障害者に対し、さまざまな種類の障害に相応した利用しやすい様式及び機器により、適時に、かつ追加の費用を伴わず、一般公衆向けの情報を提供すること。

(b)公的な活動において、手話、点字、補助的及び代替的な意思疎通並びに障害者が自ら選択する他のすべての利用しやすい意思疎通の手段、形態及び様式を用いることを受け入れ及び容易にすること。

(c)一般公衆に対して、サービス(インターネットによるものを含む)を提供する民間の団体が情報及びサービスを障害者にとって利用しやすい、または使用可能な様式で提供するよう要請すること。

(d)マスメディア(インターネットを通じて情報提供するものを含む)が、そのサービスを障害者にとって利用しやすいものとするよう奨励すること。

(e)手話の使用を認め及び促進すること。

藤井議長代理 こういうことをベースにしていきながら、我が国においても、必要な法整備、障害者基本法を初め、情報及びコミュニケーションに関する法制度の見直しや創設と、こうなってくるんですが、ここもそれほど争点とか、意見が違うという対立ということは余りないように思います。全体を通して意見を伺うんですが、特に最後に東さんが強調されました情報ということのみならず、コミュニケーションという枠まで広げて、この分野は考えた方がいいという意見も出ている。特に久松さん辺りからそういう意見も出ております。こんなことも含めて、特に強調しておきたいこと、あるいはこの意見書に入っていないことで大事なこと等を中心に意見を求めようと思いますが、いかがでしょうか。

まず、門川さんから行きます。

門川委員 門川です。

意見書には入っていないのですけれども、例えば、聴覚に障害のある人が電話をかけたいけれども、かけられない。それで、通訳者に頼んで電話をかけます。それは緊急を要することであって、何とか電話で話をつけたいということなんです。例えば、銀行のキャッシュカードを紛失したとします。それで、電話をかけた聴覚障害者の人が男性で、通訳する人が女性、女性の声なので、オペレーターは、個人情報保護法を楯に、これは本人ではないからということで請け合ってくれない、そういうケースがよくあるんですね。この個人情報保護法がちょっと支障になるということがあって、これは何とかしてもらわないと困るかなということがあります。銀行のキャッシュカードを紛失したら、早く止めないといけないとか、そういう問題もありますから、これは何とか早急に解決していかないといけないことだと思うので、見直していってほしい問題です。

以上です。

藤井議長代理 門川委員、どういうふうにすればいいと思いますか。

門川委員 これは、個人情報保護法をちょっと見直す。通訳者であれば、それは認める。ただ、通訳者であるかどうかという確認の方法が問題になってくるかとは思いますが、これはどうしたらいいのかということは、当事者も含めての議論が必要かなと思います。例えば、通訳という身分証を提示するということであったり、こういった方法をちょっと考えないといけないのではないでしょうか。

以上です。

藤井議長代理 今後また検討、研究の必要があるということだと思います。

では、竹下委員。

竹下委員 今の門川君の発言との関係もあるので、それも含めて3点、なるべく短く。

1点目は、情報アクセスの関係で、基本法に権利規定を設けることは何の反対もないでしょうけれども、特に大事なのは、聴覚、視覚、門川君のように盲ろう重複、これらの障害について言えば、情報アクセスの問題は、障害者にとって大きな、本質的な問題だということです。例えば、雇用の問題であろうが、先ほどの災害時の情報であろうが、交通機関の利用であろうが、情報を正確に提供されないことによって、雇用につけない、交通機関を安全に利用できない、あるいは災害時に置いてきぼりを食らう、こういうことにつながるわけですから、極めて本質的な部分であって、こうした障害に対する特別の規定を設けることは絶対に早急にやるべきだというのが1点目です。

2点目に、今の門川君の指摘も含めて言えば、例えば、視覚障害者で言えば、代筆代読、私の場合で言いますと、銀行へ行って自分の貯金を下ろそうと思っても下ろせない。私がアシスタントを連れて、あるいはガイドヘルパーを連れて貯金をおろそうと思っても、だめだと言われることは日常的に起こっているトラブルです。だからこそ、千葉県でその解決方法が、条例の存在も含めて改善されたという事例も生まれているわけであります。障害のある人に対する、個人情報であろうが、あるいはそういう情報の利用であるにせよ、それらを解決するためのシステム、例えば、代筆代読を制度的にどういう形で保障するのか。例えば、門川君のような通訳介助者の場合の身分保証というものをどういう形で個人情報とのつながりにおいて制度化するのかという形で解決しないと、個別の対応ではトラブルは解消されないということだろうと思うんです。

最後に、3点目ですけれども、著作権の問題も含めて言えば、極めて不自然な部分として、本来、著作者にとってみれば、自らの著作物を利用することを促進することが権利につながるわけでありますから、その著作物の利用を拒むなどということは、著作権法の本質にも反すると言っていいはずなんです。そのことから言うならば、読書に対するアクセスというものを、誤解を招かないためにも、読書バリアフリー法といった考え方で整理しておかないと、個別の著作権者との対立、あるいは問題の解決にはならないと思います。

以上です。

藤井議長代理 竹下委員、2点目の代読とか代筆というのは、海外でこういう例があるという事例がございますか。

竹下委員 外国のことは余り知りません。

藤井議長代理 わかりました。

読書バリアフリーに関する法案が今、挙がっていたんですかね。

竹下委員 読書バリアフリー法に関しましては、非常に運動も広がってきておりまして、いろんな場面で、例えば、全盲の私たちのような場合に限らず、弱視の方、高齢者にとっても極めて重要な問題として、最近、バリアフリー化を制度化するための法案が、今、国会に上程までされようという動きがあることを、私の方で資料も出していたかと思うんですけれども、是非参考にしていただきたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 堂本委員、お願いします。

堂本委員 ありがとうございます。今、竹下さんもおっしゃったんですけれども、千葉県では、忘れられない場面がございましてね。やはり聴覚障害をもった方が銀行へ行ってもお金が下ろせないと言った。その場に私もいたんですけれども、どうしてそんなことがありますか、私たちはちゃんと障害者用にいろいろお世話をする方を配置されているし、障害をお持ちの方のための子会社も銀行が持っているんです。その後幹部の方が、聴覚障害の方と、どういう不都合があるのか話し合い、都合のいいやり方が実現したわけです。竹下さんは御存じなんですね。

今日の資料の19ページにも書かせていただきましたけれども、何が一番大事かというと、基本法とか、いろんな法律について、議論をしているんですけれども、それがそれぞれの市や町や村にどう実現できるかということなんです。千葉県の場合、条例をつくったものですから、そこでたくさんの御相談がある。その中で聴覚障害の方が、情報がないからつくってほしいということで、情報センターもできました。そのほかに、ここでつくったものが、障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン。これは、多分、全国唯一と言われていますけれども、発達障害の方、精神障害の方をも含んでのガイドラインになっています。私は、教育の場でも、作業ができるための教育だけではなくて、本当に知的欲求が満足されるような教育をして、できるだけ情報を得られるようにする。そのことが本当の意味での心のバリアフリーになるし、日本でやるべきことなんだろうと。そういう意味で、今、おっしゃった3つ、視覚、聴覚、盲ろうの方、それに加えて発達障害とか、知的障害とか、精神障害とか、そういった方たちも、それぞれに情報に到達できないということを、私はそのプロセスの中で知ったんです。ですので、理屈を超えて、私たちみんながそのことを知る必要があると思います。

私は推進会議に来る前に毎回ヒアリングみたいなものをさせていただいているんですが、毎回必ず通ってきてくださっているのは聴覚障害の方なんです。毎回、いかに不便なことがあるか、切符を買ってもお金が出て来ない、お釣りが出てこない、ベルを押しても相手は言葉で言う、自分は聞こえないから何もできない、そういう具体例をいつも教えていただいています。私たちは知らないので、もっともっと具体的な事例を知ることをまずやらなければいけないんではないかと思います。大変広範な意見なんですけれども、いかにして全国の市町村にそれぞれ条例ができて、そこで当事者の皆さんが地域での不便さを解決していくということが、トップダウンとボトムアップと、両方を合わせることがとても大事だろうと考えています。どうもありがとうございました。

藤井議長代理 ありがとうございました。

では、久松さんから手が挙がっています。久松委員、お願いします。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。

意見に書いていないことを3つお話しさせていただきたいと思います。現在、日本では、なかなか「コミュニケーション」という言葉が理解されない、受け入れていただけないということがあります。コミュニケーションの定義をもっとわかりやすくするための整理が必要だと思います。情報とコミュニケーションは分ける必要があります。その問題についてお話をします。意見書には、書くべきこと、基本的なことが書けませんでした。

人間というのは、話すこと、聞くこと、読むこと、見ることがあります。すべての面において、話す権利、聞く権利、読む権利、見る権利、この4つが権利として保障されるという考え方をもっと前面に出すべきだと思っています。コミュニケーションの権利と言っても、なかなか国民の皆さんには理解してもらうこと、また、説明しにくいところがあります。読めない、何が読めないのかというと、文字が読めない、なぜか、見えないからです。そういう人が指で読むということがあります。私たちは、耳で聞くことができない代わりに目で見る、目で読むということがあります。そのように、皆さんにわかるような言葉を使って論議をして、普及していくことが大切ではないかと思っています。読む権利、話す権利、それを保障するために点字があり、手話がある、また文字があるということ、そういう考え方を理解していただきたいと思います。

それから、2つ目です。デジタルテレビの問題ですが、いつも繰り返し民間の放送事業所、またNHKにも要望書を何度も出しているんですが、今のデジタル放送では、手話通訳を入れる機能がマニュアル化されていないという問題があるために、何年たっても手話通訳を入れるという技術的な問題が難しいと言われています。早急に解決していただきたい。総務省の審議会の場には、障害を持つ当事者が参加していないので、目の見えない人、耳の聞こえない人にとってテレビ放送とは何なのかということが全く議論がされていないということに大変大きな問題があります。この審議会に障害を持つ当事者が参加する必要があるということを是非とも要望したいと思います。

次に、竹下先生からの御意見、著作権の問題がございましたが、著作権、知的財産権を含めて、ほとんどの場合は、権利者を守るという考え方が基本になっています。著作権は、著作物についての権利を制限する、制限されるという考え方で、視覚障害者、聴覚障害者が利用できるようになると、いつも権利を守る立場から反対の意見が出されます。私から見ますと、見ることができない、聞くことができないという著作物は著作物ではありません。著作物に触れられなければ、権利者の持っている著作物とは何なのかということがわかりません。ですから、新谷委員がアクセスとは何かという整理をする必要があると言われましたけれども、著作物に対してアクセスができません。逆の発想が全くないということが問題ではないかと思っております。著作物へのアクセス権という考え方をどう整理していくかを今後の課題として議論していただきたいと思い、提起させていただきました。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

大久保委員。

大久保委員 大久保です。

知的障害という分野から強調しておきたいと思います。私どもの会の取組みの例として、皆さんにわかっていただけるのではないかと思い、今日、皆さんにお配りしたわけです。

1つは、それこそ、「わかりやすい障害者の権利条約」ということですが、権利条約そのものを見て、私どもも、何だかよくわからないという部分があるわけです。ですから、知的障害のあるご本人に、いくらかでもわかりやすく伝えようという1つの成果としてつくった本です。お陰様でかなり普及していますけれども、実際につくっていく中で、これは高齢者の方々にとってもおそらくいいものになっているのではないか。また一方で、テキストデータとして提供もしておりますので、ほかの障害のある方についてもご利用できるという配慮もしています。

もう一つは、「ステージ」という新聞があります。ちょうど土本委員が写っています。新聞、情報紙としてご本人にお配りしているものです。

これについても、先ほどの本についても、この編集にはご本人が参画しています。その中でこういったものがつくられているということです。ただ、こういった取組みはそんなに広く我が国で行われているわけでなく、一部、内閣府、厚労省などで、資料などを一緒につくるという取組みも若干されておりますけれども、まだ普及されていないということです。

それと、先ほど土本委員からありましたけれども、ルビを振ればいいということでなくて、いかに、わかりやすいかたちで伝えていくか、わかりやすくなるか。それは別に知的障害のある方だけでなく、高齢者の方、あるいはお子さんにとってもそうかもしれません。こういった研究は比較的できていないのではと思います。私どもにとっての情報アクセスの例としてお話ししました。

以上です。

藤井議長代理 新谷委員、お願いします。

新谷委員 今の大久保さんのお話に関連しますけれども、字幕についてなんですけれども、日本の場合には字幕問題と言えば、ほとんどが総務省扱いです。アメリカの場合には、勿論、FCCがかなりいろんなサポートをしながら字幕が広がっているわけですけれども、大きな団体として教育省があるわけです。アメリカの教育省は一生懸命、昔から、子どものための教育、それから、知的障害者のための教育ということで、字幕を普及してきて、それがPBSの字幕率の向上にものすごく大きな力を発揮しているわけです。

ということで、これから省庁ヒアリングがあると思いますけれども、恐らく文部科学省の字幕に関する関与というのは今、ゼロに近いのではないかと思うのです。だから、教育の問題でもちょっと触れましたけれども、聞こえない子どもとか、知的の子どもとか、発達障害の子どもに、いろいろな素材、ビデオ番組に字幕をつけたものを提供して教育するという効果が確実にあるということが確かめられています。アメリカではいろんな教材、市販しているビデオパッケージに字幕がついているか、ついていないか区分するマークがあると聞いています。マークのないパッケージを教師が見つけたら、その会社に電話するということをやって、その会社は、これは教材として採用されないので字幕をつけるという動きがあると聞いています。

それから、もう一つ驚くことには、日本のビデオ屋に行って、最近、洋画のビデオがわざわざ日本語に変わっているのです。字幕がついていない。字幕をビデオから消して日本語に吹き替えたものが多い。その方がわずらわしくなくていいのかもわかりませんけれども、もともとは字幕がついていたものを、わざわざ吹き替えて販売している。それだったら、同時に字幕あり、字幕なしの選択権ぐらい私たちに残してほしい。それは大人の意見ですけれども、子どもの場合にはもっと切実な問題だとして、ビデオ素材とか、いろんな番組に字幕をつける必要がある。それから、放送大学と教育テレビを調べたのですけれども、放送大学も字幕100%つけるとNHKは言っていますけれども、ついていないです。それから、第2チャンネルのNHK教育も見たけれども、子どもの見る時間帯に字幕はついていなものが多いです。字幕の教育効果をもう少し文部科学省もきちっと把握していただきたいと思います。

藤井議長代理 これはマスメディアとの関係で起こっている問題だと思います。

長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 東京大学の長瀬です。ありがとうございます。

先ほど育成会の大久保委員から御紹介のあった、わかりやすい障害者の権利条約ですけれども、私も編集に携わらせていただきましたので、一言申し上げたいと思います。

2点ございまして、1つは、大久保委員からお話がありましたように、これは知的障害のある方を念頭につくったものです。知的障害の方への情報アクセスや、情報バリアフリーということを念頭に置いたのですが、多分、ほかの面でも、先ほど中西さんからお話のあった物理的バリアフリーとも重なると思うのですけれども、特定の障害のある人たちを対象に、さまざまなことを変えていくことが社会全般にとってプラスになっていくユニバーサルデザイン的なところとも非常に関連していくと思います。障害者の権利条約について御説明するような機会があるのですけれども、そういう際には、知的障害でない方に対しても、これをテキストとして、教科書として使うと非常にわかりやすいというふうに好評を得ています。そういうユニバーサルデザイン的なところと、あと、具体的な知的障害のある方に障害者の権利条約を説明する際に、これを1つの手助け、合理的配慮として、こういうわかりやすい情報を使えるという二面性があるという点を申し上げたいと思います。

もう一点は、先ほどの久松さんや新谷さんのお話の当事者参画の重要性とも非常に重なる点だと思いますけれども、わかりやすい障害者の権利条約をつくる際に、知的障害のある方の参加がないと、絶対にいいものにならないという確信がございました。ですから、知的障害のある方自身を交えて、40回弱の会合、1年半ぐらいかけてつくったのですけれども、本当にわかりやすいものにするためには、知的な面での障害を持っている方たち自身の参加がなければ、こういういいものにはならなかったのだろうということを痛感しています。ですから、この推進会議自体もそういうことだと思うのですけれども、さまざまな面での障害、つまり社会的な障壁を本当に切実に感じている方たちが参画をすることによって、私たちが直面している社会的な障壁を解消していくために、そして財政的にも無駄のない、本当に有効的な政策にたどり着く一番の近道が、当事者参画が鍵なのではないかということを、わかりやすい障害者の権利条約づくりの過程を通しても感じたということをお話ししたいと思います。ありがとうございました。

藤井議長代理 では、佐藤委員の発言でこのコーナーを終わりにします。

佐藤委員 情報バリアフリー的なものを設けようという議論になっていると思うんですけれども、その際に、いろいろ指摘されているように、いろんなタイプの機能障害のある人に対応することは勿論ですけれども、障害者だけでなくて、日本語が十分理解できないで困っている外国人などを含めた総合的な情報バリアフリー、コミュニケーション保障的な法律にすることも是非検討されていいのではないかと思いました。

以上です。

藤井議長代理 では、少しタイムラグがあったと思うんで、久松さん、どうぞ。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。

たびたび済みませんが、皆さんにお配りした資料が2つあります。ルビを振っていないのですが、また、点字の用意もないので大変申し訳ありませんが、資料を2つ御紹介します。

まず、1つ、「目で聴くテレビ」ということがわからないという声が多くありましたので、資料、パンフレットをつくりましたので、お配りさせていただきました。是非ごらんください。私たちにとってコミュニケーションというのは生きることそのものです。「生きる権利」という見出しのパンフレットも、もう一つあります。皆さんのお手元に配付しましたので、参考にごらんいただければ幸いです。「コミュニケーションは生きる権利」というパンフレットです。

以上です。

藤井議長代理 これでこのコーナーは終わりますけれども、今もありましたし、竹下委員からもありましたが、この情報という問題は、障害を持った当事者にとっては、まさに生存権の基本である。もし目が見えなければ、情報障害及び移動障害と言い換えてもいいし、耳が聞こえない、あるいは聞こえにくければ、情報障害、コミュニケーション障害と、こう置き換えてもいい。社会モデルという観点に立てばですね。そういう点からいった場合に、この問題は、勿論、立法的な措置できちんと固めていく必要があるだろうというのは大体一致点だと思います。

同時に、コミュニケーションという概念です。先ほどのアクセスと同じように、コミュニケーションをもう少し深めていくということも今日、出ていたように思います。

その他、関係審議会等への障害を持った当事者の参画だとか、または、門川委員から、さまざまな障害から来る個人情報保護という観点と、障害当事者の情報保障というものの統一性、あるいはそれを超えた次元での権利保障、著作権と情報保障、双方とも権利なんだけれども、そもそも権利にぶつかるはずはないわけなんですが、どこかでおかしいんで、こういったものを乗り越えた権利としての情報保障と、この辺が今後、更に詰めていく必要がある。いっぱい宿題、課題が残ったテーマだと思いますので、一応、これを確認して次に移ってまいりたいと思います。

次は、残り時間になりますけれども、障害者施策に関する予算確保の課題について、まず、冒頭に、各委員からの意見の概要を述べてもらいます。東さん、お願いします。

東室長 東です。

まず、障害者予算の意義についてということで、1番目として、日本の障害者関係の公的支出(対GDP比)がOECD諸国の中でも低水準であるというデータもあることを踏まえて、障害者施策に財政を投入することの社会的意義や経済的効果について御意見を賜りたいという点です。

これについて、18名の方から意見をいただいております。すべての委員が障害者予算は社会的、経済的に意義があるとして、多くの委員が増やすべきだという意見を述べられております。その意義としては、主立った点は以下に述べるとおりです。まず、安定した社会や経済の形成といった新たな産業、雇用の創出という点に意義があるとか、重度訪問介護は雇用対策として優れているとか、重度者施策は、福祉、労働、教育、まちづくりなど、さまざまな分野にわたるので効果が大きいとか、社会の安定に寄与し、社会の持続可能性を高めるものであるとか、将来の社会的総負担を減らすものであるとか、障害者の視点に立った施策はユニバーサル社会につながるなどの御意見がございました。

次に、財政措置の水準は広い国民的な合意・理解・支援があるかどうかによって左右されると言われ、国でも自治体でも障害者施策への予算配分の強化には国民の障害者理解の程度が大きな意味を持つ。この点で、障害者理解を広げ高める取組みの改善についてどう考えるか、御意見を賜りたいという点です。

この点については、18名の委員から御意見をいただいております。すべての委員が国民への理解を広げることの必要性について言及しております。例えば、社会保障全般との関連の中で理解を求めることが大事であるとか、生活空間に障害のある人が生活し、ごく自然に触れ合うことで理解が促進されるとか、障害理解といっても、社会モデルへの転換が必要であって、そのための研修プログラムの開発が必要であるとか、高齢者も障害者福祉サービスが使えるようになると、国民の理解は得られるのではないかといった御意見。少し難しいんですが、オーナーシップとパートナーシップということで長瀬さんが意見を述べられておりますが、これは後で長瀬さんの方から解説をお願いしたいと思います。それとか、啓発活動は障害当事者団体を中心に企画、運営するのが望ましく、国や地方公共団体は財政支援を行うべきであると、このような御意見がありまして、推進会議の進め方の関連では、中間報告がまとまった段階でタウンミーティングを展開することなどの御提案もあります。

次に、国と地方の財政負担についてという点です。スウェーデンでは、個人が福祉サービスを利用した場合の費用を一定額までは地方が負担し、それを超える場合は国が負担するという仕組みを導入することで、長時間介護が必要な場合も必要なだけの支援を受けることができるようにしている。我が国において、地域間格差があるという現状を改善する上で、障害者施策に関する国と地方の財政負担の在り方はどうあるべきか、御意見を賜りたいということで、17名の委員から御意見が挙がっております。

すべてを義務的経費化することは望ましいとは思われないという御意見もありますが、国庫負担基準の範囲内での義務的経費化ではなく、要した費用の2分の1を国が、4分の1を都道府県が負担するという真の義務的経費とする必要があるという御意見があります。それとか、地域間格差を解消するために、国と自治体とで財政負担を分け合い、均等化すべきであるという御意見。人権にかかわる問題は、ある程度国が責任と財源をもって地方自治体を指導していく必要があるといった御意見。障害者の福祉サービスをどのように普及するかを出発点として、国と地方の在り方全体を考えるような検討が必要であるといった御意見。国庫負担基準という縛りをなくし、本来必要なサービスについては国が責任を持って財政負担を行うことが地域間格差解消に不可欠であるといった御意見。基本的な福祉サービスの経費は国で、それ以外のメニューは地方自治体の特徴を出せるようにといった御意見などがありました。いずれにしても、地域間格差をなくすという方向での御意見であることは間違いございません。

次に、障害者予算の確保についてということで、障害者施策の予算を確保するために、地域基盤整備の施策項目と達成期間を定めた総合的な福祉計画を、財源を明らかにした上で定めるべきという考え方について御意見を賜りたいということで、14名の方から御意見をいただいております。

ほとんどの委員が、施策項目と達成期間を定めた総合的な福祉計画を、財源を明らかにした上で定めることに賛成されておられます。中でも、例えば、脱施設化のための時限立法を設けて、順次地域生活に移行するような仕組みをつくることが必要であるとか、予算確保のための基準として2つある、1つは権利条約における平等な地域生活という視点、あと1つはOECD30か国の中の公的支出を引き上げることであるという御意見があります。

その他に関しては、8名の委員から御意見が挙がっております。この中では、消費税の問題が前の論議のときに出たと思いますが、これについての反対の御意見などがあります。

大体、以上でございます。

藤井議長代理 これは全部にかかってくる問題で、かつ国民、あるいは経済界のコンセンサス、合意がないということもあります。論点として幾つかあるんですが、やはり国の予算全体に占める障害者政策経費のありようをどう見るのか。最近よく言われていますように、OECDと比べると最下位クラスにあるというとらえ方です。もう一点の論点は地域間格差です。このことは、今日冒頭に北野委員からあったように、分権という名の下に、果たしてそれだけで進んでいっていいんだろうか。国と地方の予算の案分のありよう、義務的経費、または義務経費というものの持っている効力をどうやって拡充していくのか。このことが分権と本当に矛盾するんだろうかという議論等々含めて、この辺が多分、ポイントで、つまり、国家予算全体に占める障害者政策の経費のありようと、地方、地域との格差をなくしていくときに、どういう論拠が必要なのか。残り時間、この辺を中心に論議をしていきたいんですが、1点目、OECDでの比較は余り意味がないという議論も一部はありますけれども、それは別としておいて、国全体で妥当な障害者の政策経費というのは、説得力を持って論拠づけていくために、こんなふうなことを考えていこうではないかということがあれば、御意見等出していただければと思いますが、いかがでしょうか。

山崎委員。

山崎委員 山崎です。

根本的な質問で大変恐縮ですが、ここで語られている障害者施策の予算というのは、当然国の予算だと思われますが、これは単に厚生労働省所管のものだけでなくて、あらゆる省庁が所管するもの全体のことを意味するわけですね。もしそうだとすれば、それはどうやって把握できるのでしょうか。それができないと、OECDとの比較とかがなかなかできません。私の能力ではそれが把握できませんので、その把握の仕方をまず教えていただきたいと思います。

藤井議長代理 勝又委員、もしこの辺でサジェスチョンがあったら、いかがでしょうか。

勝又委員 勝又です。

今の質問ですが、OECDでは、それぞれの政策分野別に定義を決めておりまして、その定義に合った支出、今、予算という話があったんですが、基本的には、どのくらいがその政策に費やされたかという決算値をもとにまとめております。山崎先生がおっしゃったように、すべての国、国だけではなくて地方自治体もふくみます、その一国の中で費やされた障害者政策に対する支出をまとめることになっておりますが、すべての国がすべての支出について把握しているかと言いますと、行政上に準備されている統計がどこまで整備されているかによって変わってきます。国内においても例えば、各省庁において、障害に係る政策というものがどう定義されて、それに関する支出がどこまで把握できるか、集計の技術的な面で必ずしも統一したものができているということではありません。

藤井議長代理 山崎委員、更にいかがですか。

山崎委員 今、おっしゃるとおりだと思いますが、ここでの今後の議論、特に再来週以降の省庁ヒアリングのことを踏まえますと、例えば、今年度の国の予算書の中で、各省庁所管のものをすべて洗い出すという作業はいずれ必要かもしれません。その場合、例えば、厚生労働省とか内閣府であれば、非常に自覚的に、これは障害者政策、施策にかかわる予算であるということが言いやすいかもしれませんが、その他の省庁にとっては、場合によってはそうでないところもあるかもしれません。そうしますと、ここの会議の視点から、そのように特定の省庁が御理解されていなくても、これは障害者政策、施策にかかわる予算であるということをある程度把握していかないと、今後の詰めの議論が進みにくいのではないかと思っておりますので、伺った次第です。

以上です。

藤井議長代理 まず、これに関連したことでいかがですか。

佐藤委員、竹下委員の順番で行きます。

佐藤委員 今の山崎委員の懸念に関連するんですけれども、資料の38ページにOECDが公的社会支出についての情報を各国に統一した基準で報告を求めていまして、それに従って、各国は振り分けながら報告をしているわけです。もっと詳しいことがわからないと正確な比較はできないということはそのとおりだと思うんですけれども、一応、障害関連の給付の中では、在宅や施設の福祉サービス、リハビリテーションサービス、障害年金、労災給付、傷病手当など、障害に関連する現金、現物給付が含まれる。ただし、医療とか、障害者雇用とか、住宅というのはまた別なカテゴリーで分類しているので、障害関連給付の中には含まれていないというような定義をしています。ただ、日本ではリハビリテーションサービスというのが医療でもやっているし、福祉でもやっているということがあるので、それをどう区分けするのかとか、日本で障害者施策というと、障害者雇用が大事な領域に入っているんだけれども、OECDでは除いているとか、OECDを1つの指標として使うのであれば、そういうことをきちんと精査をしないといけないかなと思います。

藤井議長代理 竹下委員。

竹下委員 OECDに関しては、今、佐藤先生が言ってくれたんで、私はそれ以上詳しいことを言う必要はないんで、そこはカットします。ただ、社会保障政策費を諸外国と比べるときに、その国の福祉の構造と結びつけて考えないと大きく誤解を招くと思うので、その点で2つ。

1つは、例えば、スウェーデンと比較する場合、私の認識、理解の範囲ではありますが、スウェーデンでは社会保障の中でも福祉サービス、特に介護とか、そういうものは、第1次的には自治体の責任でやられていますし、それに対して、日本で言えば公的扶助が国の支出となっているので、位置づけそのものが違うわけですから、単純に比較することは誤解を招く恐れがあるだろうと思うんです。

それから、2点目に、消費税の関係だけ若干触れておきたいんですけれども、消費税の目的税化も含めて、障害者福祉予算をそこで確保するという考え方は、よほど慎重な議論をしないと誤解を招くと思うんです。例えば、北欧などでは、いわゆる直接税と間接税の比率の関係が日本とは全く発想が違うわけです。日本で言えば、消費税5%を20%、30%にする云々というときに、日本の消費税をヨーロッパのそれにそのまま当てはめたら大きな誤解を招くということです。例えば、ヨーロッパにおける消費税と類似の制度の下では、食料品であるとか、医療であるとか、福祉関係とか、そういうものにはもともと課税されていないわけです。そうした仕組みをそのまま日本の消費税に持ち込むとなると、多分、それは消費税の本質をも壊してしまって、いわば付加価値税とか人頭税とかに変化していくわけですから、日本の消費税を単純にそれを目的税化して障害者施策予算を確保しようとすることは大きな誤解を招くし、国民の理解を得るためにも、そういう単純な発想で議論すべきではないと思っています。

以上です。

藤井議長代理 今の山崎委員から始まった議論については、今後、慎重な検討をしていく必要があるだろう。1つの指標としては使える。その場合に、きちんとした項目の同列化という前提。しかし、今あったように、これだけですべてがわかるものとは言えない。しかし、一方で山崎委員おっしゃるように、各省庁ごとに障害者政策経費というものを推進会議としてきちんと認識をし合うということもこの時期、大事なことなんで、そういう作業はいとわない。わかりやすい厚労省、内閣府だけではなくて、関係する省庁、全省庁になると思うんですが、そこを見てくるということも考えていこうぐらいにしておいて、ほかの意見で今、尾上さん、松井さん、北野さんから手が挙がっていますが、順番に行きます。まず、尾上さんから行きましょう。

尾上委員 どうもありがとうございます。OECDのデータをどう見るかというのは、これからヒアリングとかをやりながら検討すればいいと思うのですが、基本的に3点あります。

1つは、先ほど言いましたとおり、OECDのデータとの関係でどう見るかというのは、具体的な部分はこれからにしても、どういうふうに見繕っても、余りにも低い水準であるということは事実なわけなので、それを大きく伸ばしていく必要があると思うのです。意見書の34~35ページに書きましたが、民主党は去年の選挙のときにマニフェストで改革17項目を掲げていますが、その15ということで、ちょっと長くなりますが、「障がい関係予算に数値目標を定めます」という非常にいい文章を出していただいています。ここにある意味で言い尽くされているところがあると思うのです。「わが国における障害者に係る予算は、諸外国との比較において、GDP比で低い社会支出と国民負担率となっているため、立ち遅れている社会的地域基盤の整備と経済的自立を促進し、障がい者福祉施策を推進するため」、これが基本方針ですね。そして、そのための方法ということで「施策項目と達成期間等を定めた総合的な福祉計画と財政的な数値目標を定める」という方法論が書かれていると思うのですが、是非とも、これからのヒアリングも含めてですけれども、この推進会議で議論をし、中間報告の中にこういった内容を反映ができればなと、そして、それを政府の方針として、閣議決定や、そういった形で取組み姿勢をはっきりしてほしいなと思うのです。その際、あとは政府の方でちゃんとやってくれと言うだけではなくて、なぜそれだけの予算を確保しなければいけないのかということも含めて、推進本部の皆さん、そして推進会議、あるいは推進会議担当室一体となって、各地で、この中間報告をめぐって市民へアピールをしたり、理解を広めていくためのタウンミーティングみたいなことができないかというのが1点目でございます。

そして、2点目が、意見書の28ページになりますけれども、特に長時間の介護をめぐって、この自立支援法で非常に大きな格差が生じたことになっていますが、それは構造的な問題なのです。追加資料の47ページにこういった図を載せていますけれども、自立支援法を制定するときのセールストークのように言われていたのは、在宅サービスも含めて義務的経費化しますということでしたが、あくまで障害程度区分ごとに決まる国庫負担基準の範囲内での義務的経費化なのです。ですから、それを超える分は市町村の持ち出しになってしまう。これを是非とも、まずは正真正銘の、文字どおりの義務的経費化、つまり、自治体が実際にサービスに要した分に対して、国や都道府県が負担をすることに加えて、4分の1の市町村の負担を緩和していくような仕組みがないと、どの地域においても安心して地域で暮らすということにならないんではないか。スウェーデンなどの仕組みも含めて参考にして、是非そういったことをしてほしいというのが2点目でございます。

そして最後、3点目ですけれども、そういった予算を大きくしていくといったときに、単に財政規模を大きくするというだけではなくて、どこに力を入れていくかということがあるかと思うのです。追加資料の48ページですけれども、地域生活を4分の1以下ということで、2005年度の段階のものまで載せています。もともとの予算が少ない上に、在宅サービスにかけられている予算は、その当時、わずか4分の1だったんです。ですから、権利条約では、第19条、自立生活や地域社会のインクルージョンということが言われているわけですから、施設から在宅への流れを飛躍的に大きくしていくために、是非、在宅の予算、地域生活の予算を中心にした基盤整備が進んでいくような仕掛けが必要なのではないか。

そして、その際、次の49ページですけれども、地域サービスについては非常に大きな地域間格差が生じているんです。つい2週間ほど前ですけれども、私どもJDFのセミナーの関係で沖縄に行ってまいりました。沖縄の離島の方々との交流を通じて、身につまされる話をお聴きしました。私か、私より少し重いぐらいの障害の人が施設から出られない。権利条約があと20年早ければ、今、自分は地域で暮らしているのにとおっしゃられたのが非常に印象的であります。どこの地域においても当たり前に地域で暮らせるという地域基盤がまだまだ整っていないということで、そういう意味での地域基盤や脱施設化を進めていくような時限立法のような仕組みが要るんではないかということと、そういう地域格差をなくしていく、どの地域においても一定の安心感が得られるということからしますと、最後ですけれども、先ほど北野委員からも御指摘のありました地域主権戦略会議の中での議論というのが、非常に私ども、心配をするところでございます。

勿論、私、地方分権や地域主権に反対するものではございません。中央集権主義者でも何でもないんですけれども、例えば、出ている内容の中には、障害福祉計画の義務づけを廃止するとか、あるいは最初の推進会議で障害者基本法の抜本改正ということが言われていますけれども、その障害者計画をつくるときに、当事者から意見を聞くという義務づけを廃止するといったことも、どうやら資料としては出ているようです。この制度改革、やっと、推進会議を何度も重ねて、これから中間報告をまとめようとしてきている中で、制度改革の中間報告がまとまったら、全然違う仕組みが別のところでできていて、どこでやったらいいんだろうみたいなことにならないように、今後のヒアリングや、そういった中で、この障害者制度改革と地域主権改革との相互関係、それとの兼ね合わせをどうしていくのかみたいなことを是非お尋ねしてみたい、そういう関係者からヒアリングしてみたいなと思います。

長くなりましたけれども、以上です。

藤井議長代理 時間が大分迫ってきたんですが、手がいっぱい挙がっているんですが、どうしても言わないといけないという人だけもう一回手を挙げてください。そうしたら、発言回数が多い人は我慢してください。今までと違った論点、あるいはどうしても補強しておきたいという方に限って、2分ぐらいずつ、順番で行きます。

北野さん。

北野委員 ありがとうございます。北野です。簡単にやります。

1つは、OECDのデータで、わが国がどうしても低い理由というのは、私は2つ考えておりまして、1つは、これまでこの国は、保護者、家族におんぶに抱っこだった、これが決定的に日本の障害者福祉予算を削っている最大の理由だと思います。特に精神保健福祉法みたいに、保護者制度などというのは典型なんです。社会的なケアではなくて、家族にすべておんぶに抱っこだった、これを変えていかない限り、仕組みは変わらない。

もう一つは、社会参加・参画をすることが障害者にとって当たり前の権利である。つまり、障害を持っている方が普通に社会に参加・参画するんだということについての権利性がなかった。このことが日本の障害者の方の予算をちゃんと組めなかった最大の理由だと思います。ですから、障害者の権利に関する基本法と、障害者の参加・参画を保障し、それに必要なサービスの受給権を明確にし、エンタイトルメントを保障する障害者の総合福祉法を制定したいと思います。

以上です。

藤井議長代理 堂本委員。

堂本委員 簡単に。資料の3ページを開けていただきたいんですが、大谷さんが表を出してくださいました。このJapanのお金が幾らかというと、前回も申し上げましたけれども、1兆4,535億と書いております。これだけの予算が病院に使われている、このお金を地域医療・福祉に逆に出してくだされば、脱病院、そして社会的入院が減るし、地域へ移行することができるはずだし、しかも皆さん、ハッピーで、元気になって、しかも財政的にはずっと余裕が出るはずです。その場合に、病院に対して国がどのような対策をとるかです。ほかの省庁でのいろんな会で、今、尾上さんおっしゃったように、ここと違うことが議論されているやに聞こえてまいりますので、それが一番心配です。ここの会議は何のためにあるのか。室長並びに座長、そして総理大臣に担保していただきたい。特に精神障害者問題については、そうお願いしたい。

それから、尾上さんおっしゃった、本当にすべて国の方が縛ることがいいのかどうかというのは、地方の方から言わせていただくと、ちょっと違う。それぞれ地方が違うのに、全部国が決めたメニューですと、沖縄と北海道では事情が違うわけです。それなのに自由に予算が使えない。ですから、もっとこれは福祉の領域で使うんだという予算を、地方の裁量権を大きくすることが私は大事だと思っています。

以上です。どうもありがとうございました。

藤井議長代理 かなり基本問題が入っております。

では、長瀬委員。

長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。

今回でひとまず宿題は終わりだと聞いて、非常に安心していたのですけれども、先ほど東室長からの課題の横文字のオーナーシップとパートナーシップについて御質問いただきましたので、宿題に答えたいと思います。

これは私が考え出したものではなくて、国連の事務局が障害者の権利条約を説明する際に使っている言葉で、オーナーシップは、障害者が中心であるということで、まさにこの推進会議もそういう枠組みだと思います。ようやく障害者自身が政策決定の本当に主人公になったと、そういうことを意味します。

もう一つ、オーナーシップが確立されて障害者が中心になればなるほど、この委員会にも既にそういう批判があるかもしれないのですけれども、障害者や、障害者の関係者だけが勝手にやっている、そういう政策立案ではないかという批判が生じかねないので、それを避けるために、障害者が中心になった枠組みであればあるほど、いわゆる非障害者関係のところとうまく協力をしていくことが非常に重要になる。それをパートナーシップという言葉で表現をしています。いろんな努力が必要だと思います。先ほど尾上さんがおっしゃった、いろいろなところでのタウンミーティング、堂本さんが千葉で条例をつくられたときに、まさにそれをやっていらっしゃいましたけれども、そういう努力も1つの形だと思います。パートナーシップは今、ここにいる推進会議の構成員全員の責任でもありますし、ここに代表を送っている各団体の責任だと思います。他の分野に協力を求めるだけではなくて、私たちの方から、私たちが持っている専門性や経験を積極的に他の分野の人たちに協力を求めていく姿勢が、この推進会議という枠組みが本当に機能することを証明するためにも必要だと思います。

お答えになったかどうかわかりませんが、ひとまず終了します。ありがとうございました。

藤井議長代理 ありがとうございました。

大濱委員。

大濱委員 大濱です。

何点かあるんですが、簡単なポイントだけにさせていただきます。竹下委員から消費税について提起がありました。これについて、この会議の中でずっと議論されていることは、すべて予算に関係してきて、相当量予算が増えないと実際には実現しないということがあります。したがって、予算の確保というのは非常に重要な問題だと思っていまして、これなくしては、この会議で幾ら一生懸命議論しても、やはり絵に描いたもちになってしまいます。予算確保の中の1つの手法として、消費税がどうあるべきかというのはきちんと議論すべきです。確かにスウェーデンなどですと、国の所得税の課税税率は3段階ぐらいしかなく、日本の累進課税とは全然違う制度になっているわけです。それと比べると違うだろうという議論が確かにありますが、消費税の逆進性をどうやって緩和して、きちんと日本の中に導入していくか、それを福祉目的税としてどうやって使っていくかということは非常に重要なことなので、これを抜きに議論はできないだろうと思います。

本日も経団連から遠藤委員がオブザーバーとして来られていますが、今日、12日に経団連の正副議長会議があって、消費税の在り方について提言を決定されたと聞いています。せんだって経団連がまとめられたペーパーですと、当面、11年度以降、10%ぐらいまで引き上げて、最終的には10%台後半にするという、段階的に引き上げるという議論も出ていましたが、やはり日本も将来的には消費税10~25%をきちんと視野に入れて、社会保障全体の財源をどうやって確保するのかということが非常に重要だということが第1点です。

あと、経済効果のことにつきましてですが、今後、コンクリートではなくて、介護の分野とか福祉の社会保障分野に投資することこそ日本の公共投資だということに投資の概念を変えていく必要があると考えております。

以上です。

藤井議長代理 では、松井委員。

松井委員 ありがとうございます。松井です。

OECDのことが議論になっているわけですけれども、OECDでは、積極的労働市場政策と消極的労働市場政策の両面から各国の取り組みを調査している。消極的労働市場政策というのは、所得保障であるとか、生活保障を重視したものですけれども、日本はそれも非常に低いわけです。OECD全体では、消極的労働政策に予算を圧倒的に費やし、働きやすい環境づくり、つまり積極的労働政策への予算充当は非常に少ない。

先ほど所得保障との関係で少し申し上げたかったのは、福祉的就労では非常に賃金が低いわけで、賃金補てんをすることによって、それらの就労に従事する人たちがその収入で生活できるようにすることが大切である。勿論、働けない人たちに対する所得保障はきちんとやる必要はありますけれども、それと合わせて、働きやすい環境整備ということに予算をきちんとつけていくことも検討すべきではないかと思います。ありがとうございました。

藤井議長代理 森委員。

森委員 日身連の森でございます。

実は私、今日はだまってようかと思ったんですけれども、大変ショックな話を今日傍聴している職員から聞きました。私と5年近く障害者施設で障害者の人たちの社会復帰のために一生懸命働いた職員が、ついこの間、2月だそうですけれども、自転車事故で、頸損で入院中だと、一体どうなっていくかということで、大変みんな心配しているというお話を聞きました。大変ショックを受けたわけでございます。

理念は理念といたしましても、私は今、こう思っておるんです。やはり予算が非常に少ないということ、あるいは障害者が一部の人たちの問題だということであると考えがちですが、このように、いつだれがそうなるかわからないということを国民のためにも理解を広げなくてはいけない、啓発しなくてはいけないと思います。そのための手段はいろいろあると思うんです。先ほどのタウンミーティングも勿論あると思いますし、こういう報道だって相当PRになっていると思います。これが第1点。

第2点は、やはり主体的に市町村に仕事が移りました。したがって、堂本委員からお話ありましたけれども、市町村は特色を生かした多くの施策はあるけれども、やはり何といっても、そこに財源がなければ、これはどうにもならない。そういう形で、地方自治体に財源をちゃんと与えることを考えてもらわなくてはいけない。そういう面から言うと、当面、私は、障害者自立支援法の地域生活支援事業について、裁量的経費ではなくて、義務的経費に早急に移してもらいたい、こう思っております。

3番目でございますが、尾上委員からも話がありましたけれども、日本の障害者施策というのは施設中心になっていたことは皆さんわかるわけでございます。今、この流れを変えようというわけです。流れを変えようということであれば、私は地域生活の施策を抜本的に再構築すべきだろう。それによって、サービスも含め、予算も含めて考えていくべきではないかと思っております。

以上でございます。ありがとうございました。

藤井議長代理 時間が来たので終わるんですが、せっかくなので、遠藤委員、この予算問題というのは、やはり経済界の理解を含めて、コンセンサス、国民全体の合意が要るんですが、御発言、一言いかがでしょうか。

遠藤オブザーバー なかなか難しいですね。

藤井議長代理 ではまた折があったら是非お願いいたします。

関口さん、最後に、簡単に一言。これで終わります。

関口委員 まず、民主党は4年間消費税をやらないと言っています。私は増税イコール消費税イコール目的税という考え方には反対で、何とか違う財源を見つけてほしい、お金に色はついていませんということを言いたい。

それから、もう一つ、地域間格差といったときに、同じ人口でも、税収の上がっている地域と税収の上がっていない地域が当然あるわけです。今、地方交付税をもらっていないのは東京都だけです。例えば、日本国憲法は日本全体を覆っているわけで、権利条約も批准すれば日本全体を覆うわけですから、ナショナルミニマムという考え方は必要だろうと思います。そのときに、税収の上がっている地域に国があげるお金は少なくて、税収の上がっていない地域に国があげるお金が多くたって仕方がないんではないか、そういうふうに私は思っている。勿論、財源の移譲ということも重要ですけれども、ナショナルミニマムを達成するために国が果たすべき役割は大きいということを強調しておきたいと思います。

藤井議長代理 それでは、これで各論の議論を打ち切りますが、これまで2月2日の第2回から今日の第7回まで、15の分野を論じてまいりました。しかし、中西委員から冒頭ありましたように、まだ残っているテーマがあります。今後またこれは推進会議全体の中で折り込んでやっていくということもあれば、また部会等もあると思うんです。したがって、残っているということは確認しておきましょう。

最後に、この件に関して、全体を通して、今日もありましたけれども、どうしても意識すべきは、地域、地方の格差が大きいという問題です。特に、先ほどあったように沖縄の離島、あるいは半島、過疎などは、都会で論じているのとは質が違うぐらい大きい問題がある。こういうことをどんなふうに考えていくのかということです。

それから、もう一つ、別な点で言いますと、急を急ぐ、もう待てないという問題。今日もありましたけれども、無年金問題や、あるいは精神科病院などでの社会的入院、これなどは一刻を争う問題で、基本論議をしている間はないんです、どうしてくれるんですかということ、こういうのもあるんだということも念頭に置きながら、更に進めていこうと思います。

あと数分時間をいただきまして、東室長から、先日決まりました部会の、まず、先行する総合福祉部会のメンバーと運営要綱等をお話をしていただきます。東室長、よろしくお願いします。

東室長 東です。

随分お待たせして申し訳なかったと思っていますが、ここに総合福祉部会のメンバー表と、開催の要綱を発表することができました。メンバーは合計55名で、本当に前代未聞的な多さだと思っております。ですので、どういうふうに会議を進めていくのか、非常に難しい面もあるかと思います。しかしながら、多くの人たちの意見を集めたいということもありまして、このような形になっております。一応、障害当事者ないし関係団体、学者・専門家、事業者という3つの枠の中から選ばせていただきました。名前だけ読み上げますが、肩書についてはまだ調整中のところもあって、変わる可能性もあるということで御理解ください。

朝比奈ミカさん、井澤雄一さん、石橋吉章さん、伊東弘泰さん、茨木尚子さん、氏田照子さん、大久保常明さん、大濱眞さん、岡部耕典さん、小澤温さん、小田島栄一さん、小野浩さん、尾上浩二さん、柏女霊峰さん、河崎建人さん、川崎洋子さん、門屋充郎さん、門川紳一郎さん、北浦雅子さん、北野誠一さん、君塚葵さん、倉田哲郎さん、駒村康平さん、近藤正臣さん、斉藤縣三さん、坂本昭文さん、佐藤久夫さん、佐野昇さん、清水昭彦さん、末光茂さん、竹端寛さん、田中伸明さん、田中正博さん、中西正司さん、中原強さん、奈良崎真弓さん、西滝憲彦さん、野澤和弘さん、野原正平さん、橋本操さん、東川悦子さん、平野方紹さん、広田和子さん、福井典子さん、福島智さん、藤井克徳さん、藤岡毅さん、増田一世さん、三浦貴子さん、光増昌久さん、三田優子さん、宮田広善さん、森祐司さん、山本真理さん。県の方から、県知事さんについてはまだ調整中ということで、現段階ではまだ決まっていないということで、以上55名の方になっていただきたいと考えております。

4月26日が推進会議ですけれども、27日午後から厚労省の講堂で総合福祉部会の第1回が開催される予定です。総合福祉部会の開催要綱について、お手元にありますので、これも読み上げさせていただきます。

障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の開催について

平成22年4月12日

障がい者制度改革推進会議決定案

1 障がい制度改革推進会議の開催について(平成21年12月15日障がい者制度改革推進本部長決定)第5項に基づき、障害者に係る総合的な福祉法制の制定に向けた検討(障害者自立支援法をめぐる論点に関する検討を含む。)を効果的に行うため、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会(以下「部会」という。)を開催する。

2 部会長は、構成員の互選により決定する。

3 部会の議事手続及び公開については、障がい者制度改革推進会議の例による。

4 部会の庶務は、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)その他の関係行政機関の協力を得て、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部において処理する。

5 前各項に定めるもののほか、部会の運営に関する事項その他必要な事項は、部会長が定める。

こういう開催要綱と人選において、総合福祉部会を開始したいと思っているところです。

藤井議長代理 以上、一部まだ決まっていないところは別として、決まっているメンバーはほぼ決まっていますが、そして、今、おっしゃった運営要綱、この推進会議での了解でと思っておりますので、長瀬さん、どうぞ。

長瀬委員 長瀬です。

大変恐縮です。こちらの推進会議と、この総合福祉部会、両方に入っている方には本当に大変な作業だと思いますが、是非頑張っていただきたいと思います。

1点、質問なのですが、我々、こちらの推進会議の委員が傍聴を希望した場合、毎回行くつもりは全然ありませんけれども、部会の方を傍聴させていただきたいときには、こちらの推進会議の事務局で便宜を図っていただければ幸いだと思います。こちらの会議とこの部会とのリンクも見たい気持ちもありますので。

以上です。

藤井議長代理 要望として受けておきましょう。

ほかにいいですか。では、これは了解ということにしておきますが、よろしゅうございますか。(拍手)

では、拍手をいただきましたので、了解とさせていただきます。

では、私の担当するところはこれで終わりますので、小川議長にマイクを渡します。

小川議長 それでは、交代いたしまして、小川議長でございますが、本日は長時間の討議、お疲れ様でございました。

ここで、東室長より、今後の予定を含め、報告すべき事項について、簡潔に御説明をお願いいたします。東室長、どうぞ。

東室長 東です。

次回の話に移る前に、少しおわびしなければならない点があります。資料の関係なんですが、1つは、追加意見の資料で、コピー機によってページ数が変わっているものがあることがわかりまして、そのずれをホームページ等で訂正した上で出したいと思いますので、御確認のほど、お願いします。

それと、予算確保に関する意見書の方で、最後が抜けている部分もありましたので、これも本当に申し訳なかったんですが、同じような形で訂正させていただくことになります。これらの資料について、先ほど福島オブザーバーの方から、どうなるんだということなんですが、これは本当にすごい財産だと思っています。これを基に、今後のあるべき方向をいろんな形で活用させていただきたいと思っていますので、決してこれは単なる積んでおく資料で終わるということではないと思っています。

それがおわびと御説明ですが、あと一つ、今度は御注文なんです。大枠の議論としては、今日をもって一応、終わりになるわけですけれども、推進会議自体は今後とも続いていきます。それで、意見書の問題なんですが、依然としてルビ振り版がない意見書もございます。ルビ振り作業は当然事務局がやるべきことなのかどうなのか、ここが議論の出発点だと思うんです。会議の仲間に知的障害の人がいることがわかりながらも、それをつけてこないということはどういうことなのか。あんた、わからんでもいいということなのかどうなのか。それは他人がすべきことなのか。そこをきちっと考えていただきたい。手間暇、お前らがやれと言われればやりますよ。でも、そんなに難しい手間暇、例えば、一太郎であれば数十秒で済む、その後の固有名詞などの確認をしていただく、それだけの作業で済むわけです。ですから、これは原則として提出者がするというやり方をここで確認させていただきたいというのが1点。

2点目は、意見書と添付資料の区分けですけれども、意見書はなるたけ点字版まで、きちっとしたものをそろえたい。しかし、意見書の中に、グラフ、その他の図柄的なものがいっぱい張りつけてあると、そこを点字化するというのは本当に大変なんです。だから、意見書本文自体は、簡単にテキスト化できるものに限らせていただいて、それ以外は添付資料に落とすということをまずやっていただきたい。

そして、その上で、添付資料はどうかということになりますけれども、グラフが多用されていると、藤井さんだって、司会しながら、どういう資料が出ているのかわからないんです。だから、グラフとか、絵柄的なものを全部テキスト化するというのは非常に難しいわけですけれども、提出される方も、それぞれ、この点を見てほしいという部分があると思うんです。だから、そういう部分の、ある意味で要約資料といいますか、テキストで、この部分はこういうことを言っているというものをできればつくっていただきたい。それを点字化したり、ルビを振ったりするベースにしたいと思っているんです。非常に大変なことだろうと思いますけれども、自分たちの問題だけ主張するのがこの場ではないと思います。どういう形の会議体として一番いいのかということを全体の問題としてつくり上げていくという点から、是非とも御協力していただきたい。これは強く主張したいところです。それがお願いです。

小川委員 どうぞ。

長瀬委員 たびたび済みません。長瀬です。

今、東室長から御指摘のあった点で、今日の会議の冒頭に配付させていただいた国際協力に関する提言ですけれども、あれも、私自身もさっき紹介させていただいたように、わかりやすいものを自分自身でつくっているということをしながらルビ版まで私自身が気が回らなくて、まさに情報アクセスや合理的配慮を欠いた形で提出させていただいたことを本当におわび申し上げます。後でルビ版もお送りさせていただきましたけれども、以後、気をつけたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

堂本委員 私もルビをなかなか出さなかった人ですけれども、実は、この年までコンピュータを余り使っていませんで、1秒でなされるというけれども、私の場合は人を頼んできて、頼めたらやっとルビになるというようなことなので、それは大変申し訳ないけれども、ルビにできないということをお断りして、今回はありませんよということでお送りしているんで、決してやらないつもりはないんですが、勉強させていただきますけれども、夜中じゅうかかって、朝3時ぐらいまでかかってもできないときはできないんですね。そういう事情があることだけは申し上げたいと思います。どうも申し訳ございませんでした。

以上です。

関口委員 関口です。

私は出せません。私は精神障害者なんで、はっきり言って、ルビの文字を見るだけでもうだめなんですよ。受け付けないんです。自分がそれをやるということはとても想像できないし、私の障害特性としてそれは無理です。やり方も送っていただいていますけれども、私は別に土本さんと仲が悪いわけではなくて、今度、札幌で一緒に講演をするんですけれども、そういう問題じゃなくて、私としては、ルビを振ってあるものは、DPIの会報が全部ルビ振ってあるんですけれども、それだけでだめなんです。それは勘弁してください。私は無理です。不可能です。

小川議長 今のお3方の御意見につきまして、東室長。

東室長 パソコンをみんな使えるわけではないということで、そういう場合にルビを振る作業をこちらでやるということは、当然それは私たちの仕事だと思っています。でも、一般的には、多くの皆さん、出せる状況にあるにもかかわらず出さない人が多いという判断で、そういうことをあえて強く言った次第なんです。ですから、そういう個別的事情がある場合には、案内文でも多分書いていたと思いますけれども、御相談いただければと思います。それは関口さんの場合も同じことだと思っています。そういうことも含めて、この会議でみんなでできる力を出し合いながら、いいものをつくっていくということについて、合意をいただきたいと思っております。いかがでしょうか。

小川議長 お三方、長瀬委員、堂本委員、関口委員、今の東室長のお答えでございますが、御理解いただきたいと思います。全体の委員さんも同様でございますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。よろしいですか。

どうぞ。

東室長 次に、次回の話なんですが、次回は4月19日です。団体ヒアリングの予定が入っております。ヒアリングに来ていただく団体について、一応、ここで御報告をさせていただきます。これまで内閣府ないしはこの推進会議にいろんな団体から御要望を伺っております。その団体の中で、総合福祉部会に選ばれていない団体などもございますので、特にそういう団体を中心に、推進会議のヒアリングで御協力いただきたいと思っているところです。

12団体ありまして、日本自閉症協会、全国知的障害者施設家族会連合会、難病をもつ人の地域自立生活を確立する会、全国福祉保育労働組合、障害のある子どもの放課後保障全国連絡会、全国遷延性意識障害者家族の会、全国肢体障害者団体連絡協議会、JDA(障害者差別禁止法)を実現する全国ネットワーク、「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会、年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会、在日無年金問題関東ネットワーク、学生無年金障害者訴訟全国連絡会、全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)、尼崎市内障害者関連団体連絡会、以上の12団体です。

このヒアリングを実施するに当たりましては、一応、意見書を出していただきますので、集まった段階で委員の皆さんには事前に配付したいと思っています。質問等があれば、事前に担当室の方まで寄せてもらうと、議事の進行上、ためになるかなと思っていますので、こういう意見を出したいという意見があれば、別に義務的ではないんですが、よろしければ、質問書みたいなものをこちらに送付していただければありがたいかなと思います。

小川議長 ただいま東室長から今後の予定を含めまして報告すべき事項を報告願ったわけでございますが、報告どおり御理解をちょうだいいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。

(「異議なし」と声あり)

小川議長 ありがとうございます。

それでは、これをもちまして本日の会議を終了いたします。御苦労様でございました。

本日の推進会議の概要につきましては、この後、この場所で記者会見を行い、私と藤井議長代理及び東室長が対応いたします。

本日は、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。誠に御苦労様でございました。

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