○ 小川議長 定刻になりましたので、これより第9回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。
前回は、12の障害者団体からのヒアリングをさせていただきました。今回は、省庁へのヒアリングをさせていただきます。
また、今回は一部のテーマにつきまして、関連する団体からのヒアリングも行うことといたしております。御協力いただく省庁及び団体の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、福島内閣特命担当大臣が冒頭に御出席されております。
大島副大臣は御欠席です。泉政務官も御欠席です。
委員の出欠状況でございますが、本日は中西委員、中島委員、松井委員が御欠席、勝又委員が15時30分以降に御出席、それ以外の委員は全員御出席です。
会議の公開、進行上の時間配分につきましては、これまでと同様といたします。
また、省庁及び団体の皆様、各委員におかれましては、御発言に際し、御自身のお名前を述べられてから、ゆっくりと御発言いただくということについても、これまで同様、よろしくお願いいたします。
本日の会議は、ヒアリングについて17時までを予定しております。
それでは、福島大臣、ごあいさつをお願いいたします。
○ 福島大臣 どうも皆さんこんにちは。いつも精力的な御議論を本当にありがとうございます。本当に皆さん方の精力的で熱心な議論にいつも感激しています。
今日は、省庁との交渉です。法務省、文部科学省、教育関係団体、総務省からヒアリングを行います。どうか役所の皆さんも、そして勿論ここにいる皆さんも、今までのこの社会とは違う社会をつくるために、ともに頑張りましょうということを申し上げたいと思います。
私たちは、障がい者制度改革推進会議で、推進したい、変えたいという気持ちを非常に持っておりまして、そういうことを省庁とともに実現したいと思っておりますので、本日もどうかよろしくお願いいたします。
そしてまた、介助者の皆さんも、傍聴者の皆さんも、いつも本当にありがとうございます。大変お世話になります。長丁場ですが、今日も精力的にやってまいりましょう。
私は、ちょっと申し訳ないですが、1時間だけいなくなって、あとで必ず戻って5時までおりますので、フルにいないことだけをどうか御容赦お願いいたします。必ず戻ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
今日もよろしくお願いいたします。(拍手)
○ 小川議長 大臣、ありがとうございます。
それでは、これより先のヒアリングの進行につきましては、藤井議長代理にお願いいたしたいと思います。
藤井議長代理、よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 議長代理の藤井です。これから先は藤井の方で進行をさせていただきます。
今日から関係省庁、障害分野からすると中央省庁とのヒアリングが始まります。
今日のヒアリングの全体の議事に関しまして、東室長から概略の説明をお願いいたします。
○ 東室長 こんにちは。担当室長の東です。本日は省庁ヒアリングということで、まず法務省、次に文部科学省、3番目に総務省からヒアリングをさせていただきます。順番は今、申し上げたとおりで、各10分意見表明をしていただいた後、委員との質疑を行いたいと思っております。
いつものとおり3つのコーナーに分けますけれども、質疑を含めて法務省関連が60分、文科省関連が90分、総務省関連が30分をとっていきたいと思っております。
なお、文部科学省のヒアリングに際しましては、関係団体からも御意見を伺うことにしております。特別支援学校長会、全国連合小学校長会、全国特別支援学級設置学校長協会、全国特別支援教育推進連盟、障害児を普通学校へ・全国連絡会、最後に障害を持つ子どもさんのお母さんからヒアリングをしたいと思っています。
なお、最後のお母さんにつきましては、これまで公共の場で発言をしていただいたときに、いろんな嫌がらせやいたずらの電話、ファックスがあり、とても恐ろしい思いをされたそうです。担当室としては、この方については匿名でお願いしたいということで、皆様にもその点を御配慮お願いしたいと思っております。
なお、3つの校長会と全国特別支援教育推進連盟は、文部科学省の御推薦で意見を伺うことになりました。その他の団体につきましては、担当室あてに御要望や御意見をいただいた団体の中から、1つを全国団体、1つを地域団体ということで御協力をお願いしております。
3つの校長会の皆様で合計5分の意見表明をお願いしております。その他の団体はお一人5分ということになっております。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 それでは、これから始めてまいります。
今日は各省庁の政務官に来てもらっていますので、時間の拘束は時間どおりにしてほしいということがありますので、これから約1時間、まず法務省がおよそ14時5分に終わります。
そして14時20分から文科省に入って、少し長いですが1時間半続きます。
15時50分に文科省が終わりまして、15分休憩して、16時5分から総務省になっていきますので、特に始まりは、今言った14時20分、16時5分を厳守しますので、是非進行に協力をお願いいたします。
今、大臣もおっしゃっていましたけれども、やはり今までとは違った、変わった社会づくりということを国民は期待しています。恐らく、今日ここにいる委員の方たちも、多分それを期待しておりますので、そういう視点から今日はじっくり話を聞きながら、各々10分間政務官よりお話を願って、その後に質問あるいは意見を委員から出してもらいます。あらかじめそれぞれ質問項目をお出ししてあって、これに対してお答えいただいていますので、これらを中心にかいつまんで10分間ほどの報告をお願いします。
では、法務省の法務大臣政務官の中村哲治さんからお願いいたします。
○ 中村政務官 皆様こんにちは。御紹介をいただきました法務大臣政務官の中村哲治です。
昨年4月に、私は野党議員の1人として、障がい者制度改革推進法案を参議院に提出いたしました。今日、改めて障がい者制度改革推進会議が実際に設置をされ、その会議の場に政府の一員として、私が皆様と意見交換をさせていただく機会を設けていただいたことに対しまして、心からまず感謝を申し上げます。
それでは、司法手続における障害者の方に対する配慮等について、述べさせていただきます。
その詳細につきましては、先日、提出いたしました意見書に記載しておりますが、その概要について御説明いたします。
まず、民事訴訟手続についてですが、民事訴訟法においては、障害者の方が当事者となる場合にも適切な訴訟行為が可能となるよう、法定代理人及び訴訟代理人による訴訟行為や保佐人等について規定されております。
また、民事訴訟においては、耳の不自由な方などが当事者や証人である場合に、手話による通訳人を立ち合わせ、あるいは筆談によって陳述等をさせるなどの措置を取ることができるものとされております。
このように、民事訴訟手続においては、障害者の方が当事者や証人となった場合の配慮が規定されており、実際の裁判実務においても、これらの法の趣旨を踏まえて、適切に運用されているものと考えております。
次に、刑事訴訟手続についてです。捜査段階においては、逮捕状の提示、弁護人選任権や黙秘権の告知、取調べ等の各場面において、発問をできる限りわかりやすく行ったり、手話通訳や筆談を利用するなど、障害の内容や程度などに応じて、適切な配慮が行われているものと承知しております。
また、障害者の方の事情聴取などを行う場合には、必要に応じて検察官らが自宅や病院などに赴き、保護者などに同席していただいた上で事情聴取を実施するなどの配慮も行われているものと承知しております。更に刑事訴訟法は、公判段階において、耳の不自由な方などが被告人や証人である場合には、通訳人に通訳をさせることができると規定されております。
このように刑事訴訟手続においても、障害者の方が被告人や証人となった場合の配慮がなされており、実際の裁判実務においても、これらの趣旨を踏まえて、適切に運用されているほか、各実務担当者において、捜査、公判を通じて、障害の状況や程度などに応じた適切な配慮がなされているものと考えております。
また、矯正の場面におきましても、心身または精神上の障害などを有するために、専門的な医療などの処遇を必要とする場合には、医療刑務所などに収容し、例えば精神的障害を有している方に対しては、精神療法、作業療法、薬物療法などの治療を行うなど、適切な処遇を行っているものと承知しております。
そのほか、一般に刑事施設においては、身体的障害を有している方に対して、身体障害者手帳の交付に関する便宜を図り、必要に応じて、車いすなどの歩行介護機器や補聴器などの補正器具を貸与したり、知的障害を有している方に対しては、教育や指導を行う際に平易な表現を心がけて繰り返し説明したり、視覚的に理解しやすい視聴覚教材などを積極的に活用するなど、障害の内容や程度に応じて、適切な配慮がなされているものと考えております。
以上、御説明したとおり、司法手続においては、障害者の方に対する法令上及び運用上のさまざまな配慮がなされており、これによって障害者の方がそうでない方と同様に司法手続を利用することが確保されているものと考えております。
今後も引き続き、このような適切な配慮等がなされるよう、法務省として可能な限り努めてまいりたいと考えております。
本日は、私たち法務省の事務を担当しているものでは気づかない、障害当事者の皆様ならではの御意見をいただけるものと考えておりますので、遠慮なく質問等をしていただければ幸いでございます。
ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 時間の範囲で終わっていただきまして、ありがとうございました。
まず、これから質疑に入りますが、その前に改めて、この委員の皆さんに、これに関する権利条約がどんなふうに書かれているか。司法手続を含めて、司法へのアクセスですね。権利条約の第13条には、今日の検討事項である司法へのアクセスということで、大変大事なことを書かれていますので、このことを共有していきながら質疑に入ってまいりますので、朗読をしていただきます。
○ 藤井議長代理介助者 障害者の権利に関する条約公定訳案、2009年3月3日付のものであります。
第十三条 司法手続の利用の機会
1 締約国は、障害者がすべての法的手続(捜査段階その他予備的な段階を含む。)において直接及び間接の参加者(証人を含む。)として効果的な役割を果たすことを容易にするため、手続上の配慮及び年齢に適した配慮が提供されること等により、障害者が他の者との平等を基礎として司法手続を利用する効果的な機会を有することを確保する。
2 締約国は、障害者が司法手続を利用する効果的な機会を有することを確保することに役立てるため、司法に係る分野に携わる者(警察官及び刑務官を含む。)に対する適当な研修を促進する。
○ 藤井議長代理 それでは、質疑に入ります。
まず、冒頭にあらかじめヒアリング項目をお出ししたんですが、これを少し凝縮しまして、東室長から、特に焦点化すべき点につきまして課題整理をしてありますので、東室長お願いいたします。
○ 東室長 担当室長の東です。今日は中村政務官を始め、担当者の皆様御苦労様です。
私の方から、2点ほど総括的な御質問をさせていただきます。
推進会議は去年の12月に立ちあがったわけですが、御存じのように、権利条約の批准というのが1つの大きな課題になっております。権利条約の観点から見て、司法手続、民事訴訟法、刑事訴訟法など、問題がないかということをここで検討するということが我々の使命になっております。
その観点から見て、包括的に言えば、法務省の御意見というのは、現場の運用もしくは、先ほど中村政務官が読まれましたように、現行の刑事訴訟法の規定に基づいて、裁判所の裁判長もしくは裁判所の指揮で適正にやっているということだろうと思うんです。
しかしながら、さまざまな配慮義務等については、義務規定はございません。それはあくまでも裁量でされるということにすぎないわけです。そういう点から見て、刑事訴訟法、民事訴訟法、条約の批准という観点から、改正すべき点はないという御見解と承っていいのかどうか。その点が第1点です。
第2点目は、この推進会議で当然議論になりますけれども、差別禁止法をどうつくるかという議論に当たっては、その差別禁止の具体的な内容として、司法へのアクセス分野についての差別禁止ということが検討課題になるわけですが、その際、手続上もしくは年齢に適した配慮ということを具体的にどう盛り込むかという議論の中で、やはり刑事手続上、必要な諸権利の規定に触れざるを得ない。例えば手話通訳についての選任権とか立会権、もしくは知的障害の人に対する理解をより容易にするような支援者の立会権、選任権。視覚障害の立場で言えば、判決書きの点字による交付を請求する権利とか、録音請求権とか、さまざまな障害者の権利、機会均等を図るための諸権利というものが議論になるかと思うんです。そういうものは現行刑事訴訟法には全く規定がないわけで、その点、何ら触れないということであれば、そういう差別禁止法の中に盛り込むことも考えられるわけですけれども、差別禁止法についてそのように書き込むことについて、法務省としての御意見があれば伺いたいということが第2点目です。
以上、簡単ですが、総括的な質問として伺わせていただきます。
○ 藤井議長代理 それでは、各委員から、恐らく実態に基づきまして、いろんな意見とか質問がありますが、今の2つの点は、全体にかかってくる基本的な事柄なので、一旦これに関して中村政務官からお答えいただいて、その後に委員からの質問等を受けます。
今の点は、刑事手続や民事手続に関して、今の中村政務官のお話というのは、総じてうまくいっているというニュアンスで受け止められるわけなんです。つまり、改善する点はないのかというのが1点目の質問です。
関係しますが、2点目として、差別禁止法という法律を近い将来制定していく必要がある。この中で、司法へのアクセスに関して盛り込むことも考えているんだけれども、これに関する差別禁止法の必要性も含めて、政務官としての見解をお話願える範囲で伺いたいという2点なんですが、政務官いかがでしょうか。
○ 中村政務官 質問をありがとうございます。
冒頭に申し上げましたように、私ども行政を担当している側の立場からすれば、気づかないこともあろうかと存じます。そういった意味で、皆様から指摘を受けて、初めて改善等をしなくてはならないと気づくこともあろうかと思いますので、その点に対しては、遠慮なく質問等をしていただきたいという趣旨で、冒頭に述べさせていただきました。
現状、刑事訴訟法や民事訴訟法の規定ないしその運用により、手続的な保障については、最大限努力をし、それについては保障をされているという認識が法務省の認識でございます。その点に関して、更にそれでは足りないという立法事実の提示をまずしていただきたいというのが、逆に私どもからの要望でございます。
それとともに、もし皆様がお感じになっているような手続保障と現行の運用等でなされている内容等に差があるのであれば、それはどういうふうに埋めていくべきなのか。その点についても提案をしていただきたいと存じます。そして、その上で、その差を埋めていくために、今の運用上のやり方では足りないということになれば、法令上の義務付け等の規定が必要になってこようかと存じますので、その点についても触れていただきたいと考えております。
○ 藤井議長代理 同じく差別禁止法に関して、一言いかがでしょうか。
○ 中村政務官 どの法律において、手続的な保障を行うのかということに関しましては、それはそれぞれ立法技術的な問題もございますので、それは議論の余地があろうかと存じます。
ただ、必要なことは、障害当事者の方々が実質的に手続保障をされるということが重要でございまして、その法律的な法典をどこで定めるかに関しましては、それよりも先にどのようなことを義務付けることなのかということを議論していただくことが先決なのではないかと考えております。
○ 藤井議長代理 大変大事な論点なので、東さんから更に追加質問はございますか。
○ 東室長 今後検討の余地があるという御意見でございまして、少しは安心しておりますけれども、立法事実に関しては山ほどあると思っております。ここにおられる委員からいろんな御意見が出ると思いますが、この点は、この会議において指摘したわけではなくて、既に以前からいろんな各方面で問題点は指摘されております。その問題点について、やはり事前に検討されて、一定の見解がいただけなかったというのは、少し残念だと考えております。
○ 藤井議長代理 それでは、今のお話は聞いていらっしゃったとおり、政務官としては、現状でうまくいっているという認識はあるけれども、しかし、事実をもっと聞きたいと。それによって今後どのように手直しをしていくのかということについては、方法論はまた考える必要があるということだったものですから、これから先は時間の範囲で、委員から意見、質問を受けたいと思います。
なお、あらかじめ今日のこのテーマに関しましては、事前に質問、意見を聞いています。最もこの件に熱心に書いてもらったのは久松委員であります。少し敬意を表して、久松委員から優先して御発言をしていただいて、後の方はまた順次手を挙げていただいて、質問を取ってまいります。場合によっては、久松委員の関連事項として伺うかもわかりませんから、各委員の意見をよく聞きながら、進行に協力してください。
では、久松委員、お願いできますか。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。
中村政務官のお話をいただきまして、本当にありがとうございます。また、ここの推進会議の設置法に関する御理解もいただき、御支援もいただくということで、改めてお礼を申し上げます。
4点ほどお聞きしたいことがございます。
今、障害を持つ当事者が手話通訳を依頼した場合、それにかかる通訳費用は自己負担をしなければならないということになっております。その訴訟費用について今後改正するかどうかということについて、御検討いただけるかどうか。今、人権条約等は、手話通訳は無償でなされなければならないと書いてあり、その考え方に沿って、権利条約も公平、対等な関係でのコミュニケーション方法を図らなければならないという考え方をもっています。手話通訳を保障することは、当事者負担ではなく、裁判所が負担すべきと私は考えております。訴訟費用の負担について考え方を変えることができるかどうかをお伺いいたします。
2点目です。
いろいろな配慮をするという記述が多くありますが、現に手話通訳を依頼しても、通訳がつかなかった事例がたくさんございます。法務省としてこの実態を御承知かどうかお伺いいたします。
3点目です。
ろう者に対する筆談による配慮と書いてありますけれども、実際にろう者に対しては筆談で配慮するということで十分だとお考えかどうかをお伺いしたいと思います。
4点目です。
手話通訳も含め、通訳を権利として保障するということを明文化する必要があると考えるか。今後、法改正の方針なども検討できるかどうかという点をお伺いします。
まず、この4点をお伺いしたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 聴覚障害者問題において、司法へのアクセスは大変深刻なんですが、今、言った4点ですね。
1つ目は、裁判における手話ですね。この場合の当事者というのは、勿論聴覚障害者は当事者なんですが、手話を使うという点でいうと、裁判所側も当事者なんだけれども、費用負担は、今はすべて聴覚障害者の方が負担をしている。これについては不公平感を覚えるんだけれども、どうですかということ。
2つ目は、捜査段階における手話ができる方について、派遣をしてくれない。要請しても来てくれない。これについては御存じですかということ。同時に、どのように思われますかということも入っていると思います。
3つ目は、ろうあ者に対しては筆談で事を終えている、あるいは事が終えられるというニュアンスなんだけれども、実はそうではなくて、本当にそう思っているのかどうかということの確認をしたいということ。
4つ目は、権利条約は、手話ということを権利として明文化しているんだけれども、あるいは手話は言語ということも明文化されていますが、改めてこの手話の権利化についてどう考えるかということですね。
これは手話というテーマだけれども、障害分野からしますと、司法アクセスの根幹問題にもつながる問題でありますので、少し丁寧にお答えいただければと思います。中村政務官、よろしくお願いします。
○ 中村政務官 それぞれ法的な根拠等々がありますので、まず民事と刑事のそれぞれ事務方から答えさせていただきます。
○ 佐藤参事官 法務省民事局で参事官をしております佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私の方からは、民事訴訟に関しての今の点について、お答えをさせていただきます。
まず、手話通訳の費用でございますが、これは確かに訴訟費用の一部として扱われてございます。ただ、訴訟費用自体は、民事訴訟法上は第61条という規定がございまして、当事者の負担ということになっておりますので、勝訴をした当事者の方の場合には、書記官がその額を定めて、相手方に請求することができるという形になってございます。
手話通訳の場合には、費用がいずれにしてもかかるという状況がございますので、更にこの敗訴者負担を超えて、裁判所なり国が負担するかどうかということは、訴訟制度全体あるいは公的負担をどこまでするかという中で検討をされる中の位置づけという形になるかと考えてございます。
2番目でございますけれども、筆談では十分でない場合という御質問がございましたが、民事訴訟法は第154条第1項に、その場合に手話による通訳を立ち会わせるという規定がございまして、この場合には通訳を立ち会わせることが必要と、民事訴訟法の中では明文化されてございます。
2番目といたしまして、手話通訳を依頼してもつかなかった事案という御指摘がございましたが、これについては民事事件の方でそのような事案が裁判所であったということは、大変申し訳ございませんが、私どもの方では把握しておりませんので、御指摘をいただければ、そのような事案があれば、また適切に対処したいと考えてございます。
以上でございます。
○ 加藤参事官 続きまして、刑事局参事官の加藤です。
まず、第1点目の手話通訳の費用が訴訟費用になる点でございますが、先ほど民事局から御説明のありましたことと同様、刑事手続におきましても、通訳の費用は訴訟費用となります。訴訟費用となるという意味は、被告人が有罪となった場合に、その費用を被告人に負担させる可能性があるということであります。ただ、もとより、その被告人が無罪となった場合には、訴訟費用の負担はさせられません。
加えまして、有罪判決の場合でありましても、裁判所の適切な裁量によって訴訟費用を負担させない、あるいは免除するということも可能でございます。現実には、そのように費用の負担がない事例が多いのではないかと認識しております。
これを訴訟費用から除いて、どのような場合でも国の負担とすべきかどうかという点でありますが、検討すべき課題の1つであろうとは思います。ただ、これはほかの訴訟費用、例えば国選弁護人の費用との関係などを考える必要がございます。国選弁護人に支払われる報酬等も訴訟費用でありますが、有罪となった被告人に負担させるというのが原則でございまして、このようなものとのバランスなど、慎重に検討すべき問題は多いのではないかと考えております。
続きまして、手話通訳を依頼したけれども提供されなかった事例についてでありますが、これは誠に申し訳ございませんが、現在手元の資料では把握しておりません。どのような場面で、どのような形での依頼がなされたにもかかわらず、通訳が手配されなかったのかということについては、改めて御教示をいただければと思います。
これとの関係で、通訳を権利として保障するという点についてでありますが、ただいまのような現状の運用がどのようになっているのかという点を十分に踏まえまして、どのような場合、どのような要件の下で通訳を権利として保障する必要があるのかどうかといった点を検討すべきであろうと思われます。その要否を含めて、検討させていただきたいと思います。
それから、ろうあ者に対する筆談による配慮につきましても、当方の認識といたしましては、必要に応じて適切な配慮がなされているものと考えておりますが、なお不十分な点があったとすれば、それらの点について御教示をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 今のお答えは大変わかりにくかったんですが、つまり手話というのは訴訟費用なんだとおっしゃったわけですね。
その次におっしゃったのは、裁判所等においては、適切な判断もあって、免除もやっているんだとおっしゃって、検討もする必要はあるんだということをおっしゃったわけですね。
中村政務官、今の流れを聞いていてわかりましたか。これに関して、政務官から一言いかがですか。
○ 中村政務官 今、御説明させていただきましたように、民事においても、刑事においても、通訳に関しては訴訟費用に含まれることになっております。訴訟費用については、敗訴者負担という形になっておりまして、それについては障害当事者が原告の場合、被告の場合如何であろうとも敗訴者が負担をするという形になっております。
今、お話をさせていただきましたように、法務省としては、民事訴訟、刑事訴訟どちらにおいても、適切な場合には手話通訳者をつけていると認識しております。しかしながら、障害当事者の皆様にとっては、こういった場合にはついていなかったではなかったかという実例をお持ちであろうかと存じますので、その点については皆様からまた事務的にでも結構ですので、伝えていただければと考えております。
そして、次の段階として、訴訟費用の負担をいかにしていくのかということでございますが、特に刑事の場合は、裁判所の裁量に関わる部分がございます。例を挙げさせていただきましたように、国選弁護などもその費用に入ります。実質的な運用に関しましては、被告人の資力なども含めて、負担能力等を判断して決めておりますので、その範囲内で適切な負担をしていただけるものと考えております。
○ 藤井議長代理 今、手が挙がっているのは、新谷委員と清原委員ですね。
では、新谷委員からお願いします。
○ 新谷委員 全難聴の新谷です。手話通訳の方に論点が絞られたので、手話通訳の話になってしまっていますが、聴覚障害者の中で手話をもっぱらコミュニケーション手段とされている方は、身体障害者手帳をお持ちの方の中でも20%ぐらいしかおられない。ほとんどの聴覚障害者の方は、文字利用、筆談などでコミュニケーションしてます。
先ほどのお話ですと、通訳という用語がたくさん出てまいりますけれども、通訳の中には要約筆記者が含まれていると理解してよろしいのでしょうか。それが1点目の質問です。いただいた回答の中では、要約筆記という言葉は一切出てきていない。だから、法務省の認識として、聴覚障害者のコミュニケーションの仲介者として、要約筆記者が存在しているということを認識されているのかどうかということが1点目です。
2点目の質問は、先ほど刑事局の方が簡単に筆談で対応されているとおっしゃっていましたけれども、公判場面とかは筆談ということはあり得ないわけですね。内容については全員に公開されるはずですね。捜査段階では筆談ということはあり得るとしても、「ろうあ者に対して」という表現はおかしいと思いますけれども、公判になっても聴覚障害者に対する配慮を筆談でやっていますということはあり得ないわけです。そういうお言葉を聞くと、聴覚障害者のコミュニケーション手段に対してどういう認識をお持ちなのか疑問を感じざるを得ないのですけれども、御回答をお願いいたします。
○ 藤井議長代理 まとめてお返事をいただきますので、清原委員、お願いします。
○ 清原委員 ありがとうございます。清原です。
本日は、中村政務官を始め、法務省の皆様ありがとうございます。私からも2点質問をさせていただきます。
1点目は、捜査及び公判段階における原告、被告、証人等である障がい者への配慮について、聴覚障がいのある方、視覚障がいのある方以外への配慮について伺います。具体的には、例えば知的障がい者の方へはどのような配慮がなされているのでしょうか。と申しますのも、捜査や裁判というのは、最大限公正性を確保しなければなりません。そのことと障がいのある方への配慮、その両方を保障するということが必要です。捜査及び公判段階における知的障がい者の方への配慮の現状と課題について、認識をお聞かせいただければ幸いです。
2点目は、刑事施設における専門家の配置と更生保護制度の連携について伺います。刑事施設において、医師等の配置によって障がい者への配慮があるということからは、ただいま法務省から御報告がありました。医師以外にも、社会福祉士が配置されていることも承知しています。私は再犯を防ぐ観点から、専門家には、施設内における障がい者への配慮という側面だけではなくて、出所後の更生保護制度との連携も視野に入れることが求められていると思います。
そこで、刑事施設における医師、社会福祉士、精神保健福祉士等、専門家の御活躍が必要だと考えておりまして、現状と課題について伺えれば幸いです。
以上、2点でございます。
○ 藤井議長代理 では、引き続き、大谷委員からお願いします。
○ 大谷委員 大谷です。正直申し上げて、立法事実の存否に関して、法務省が承知していないという最初の答えに関して、驚きを禁じ得ないという状況です。とりあえず我々が認識している立法事実を少なくとも今日共有してもらいたいと思いますので、知的障害者の刑事手続及び処遇に関して、3点質問させていただきたいと思います。
法務省の回答に、知的障害、精神障害のある方については、障害のある方との十分なコミュニケーションが可能な保護者等の同伴を求め、必要に応じ取り調べにも同席されているとの御回答があります。これに関して、具体的に何らかの基準を有した規定もしくは内規などが存在しているのでしょうか。もしこれがないとすると、現場においてはかなり恣意的な運用、もしあったとしても、非常に恣意的な運用がなされているように思います。
それから、弁護人の立会を認めるという趣旨での御回答なのかどうかもお聞きしたい。
それに引き続き、取り調べ段階の可視化について、これは検討しているということなんですけれども、障害のある方、特に知的障害のある方は、やはり誘導されやすいということが障害特性として共有されてきていると思うんですが、少なくとも障害のある方、特に知的、精神障害がある方に関しては、全面可視化をするということを議論されているのかどうか。その辺の可能性も含めて、回答していただきたい。
もう一つだけ、知的障害の方に関して、これは本当に浦安での知的障害のある子の性的虐待事件について、刑事事件で無罪となり、民事事件でやっと賠償が認められているということが2006年から、つい最近の2010年3月までの間で明らかになっている我々の重要な立法事実だろうと思っております。特に刑事手続において無罪になったときに、やはり障害のある子どもに対する性的被害に対しては、具体的な支援の方法が捜査段階及び公判段階での支援が必要ではないか。そうでなければ、立証がほとんど不可能になってしまうということも、マスコミも挙げて指摘されてきた経緯があると思います。これは4年前のことですから、この4年間に何らかの形での取組み、取扱いが進行したのかどうかということをお聞きしたい。
もう一点だけよろしいですか。もう一回発言の機会がありますか。
○ 藤井議長代理 では、かいつまんで言ってください。
○ 大谷委員 知的障害者の刑務所の処遇に関して、重要な御回答がありました。CAPASという能力検査においてIQ70以下であることは、刑事施設における処遇に役立てるために開発された検査であると説明されております。ならば、具体的にこの検査によって、IQ70以下の人に対してはどのような処遇がされているのか。例えば刑務作業を平易な作業として工場等に出さない、そして、居室において内職的な刑務作業に従事させてしまうとか、それによって昼夜独居拘禁に結果としてなってしまうという実態があるのではないのかということに関して、法務省はどのように把握されているのかに関しても、是非お答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 では、関連でどうぞ。
○ 竹下委員 知的障害者、精神障害者の場合の立会の問題に関連しまして、必要に応じてというところの中身が極めてあいまいです。だれにとっての必要に応じてなのか。捜査当局にとって、あるいは捜査官にとって必要に応じてということでしか読めないと思うんです。
すなわち質問としては、知的障害者または精神障害者及びそれらの保護者によって立会人の必要性を指摘して、立会人を要請した場合に受け入れているかどうかという質問が1点目です。
併せて立会人に関連するわけですが、通訳の関係で、先ほどの要約筆記もそうなんですけれども、とりわけ手話通訳に関しては、これも捜査機関にとっての必要に応じて配置しているにすぎないのかどうかという懸念があることからの質問でありますが、聴覚障害者の立場から求めた場合、つまり聴覚障害者が自らのために手話通訳士を取り調べ等に立ち会わせてほしいと希望した場合にそれを認めた事実があるかどうか、これが2点目の質問です。
3点目は、それらすべてを含むことになるかと思うんですが、回答書によれば、障害者に関する研修を実施しているかということの回答ですが、人権に関する研修としか書かれていません。よく中身がわかりません。そこで質問です。
障害者の理解を深めるため、あるいは各障害の特性を理解するための、あるいはもっとわかりやすく言えば、障害者のハンデを理解するための研修として、どのようなものが実施されているかについてお答えいただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 お二人手が挙がっているんですが、時間もありませんから、関口さんと土本さん、手短にお願いできますか。
では、関口さんからいきましょう。
○ 関口委員 まず第1に、立法事実の問題ですけれども、視覚障害者の方が家宅捜索を受けて、普通押収物のリストというものを渡すわけですけれども、カーボン紙を渡されたという事件がありました。これはつまり、裁量に任せていてはやはりだめであって、義務化しなければいけない。適正な手続に関しては、一定程度義務化しなければいけないということを示しているんだろうと思います。
次に、医療の問題に移ります。これは第6回の資料でもって付けてありますけれども、精神科医が非常に矯正施設に少のうございます。今、医療刑務所ということをおっしゃいましたけれども、医療刑務所に行くと満期でございます。つまり仮釈放はありません。これは今、精神障害者ではなくて、知的障害者に関しては早めに出して、社会資源に結び付けるという試みが行われているようですけれども、精神障害者で完全責任能力があるという場合は、当然刑務所に行くわけですから、薬が必要なわけです。苦しいけれども、仮釈放を求めて医療刑務所には行きたくないと。薬で我慢する。その薬も非常に貧弱なものです。なぜならば、刑務所の医療は厚生労働省管轄ではないからです。医者を管理しているのは厚生労働省だと思うんですけれども、刑務所というのは、どうも法務省が医者まで管理している。
これは当然国民として、たとえ罪人であろうと同じ医療を受ける権利があると思うので、これを厚生労働省管轄にするお考えはないかお聞きしたい。
○ 藤井議長代理 では、土本委員いいですか。
○ 土本委員 土本です。知的の障害を持っております。
この間、先ほど言ったように、適切な配慮をしているのは、だれが判断をしているのかということと、もう一つは、裁判では、弁護士だけでなく、わかりやすい説明をしてくれる支援者が必要です。というのは、やはり知的の障害と言われている人には全然配慮がされていない部分が大きいです。
以上です。
○ 藤井議長代理 土本さん、だれか友人など、そういう配慮がないということを聞いたことがありますか。
○ 土本委員 実は札幌市三丁目食堂で、刑事告発をして検察官に出したけれども、不起訴処分とされたと。自分たちの障害のことは理解されていない、聞いていないのではないかということがありました。
○ 藤井議長代理 手が挙がっていますが、時間切れです。恐らくこれを全部繰り返しますと、今、新谷さんから始まって、土本さんまで、かなり共通するテーマもあるかもわかりませんけれども、おのおのの個別の深刻な質問であります。
これは言うまでもありませんけれども、聴覚障害者というのは、今日この場にも全日本ろうあ連盟の耳が聞こえない方、全難聴者の団体、目が見えなくて、耳が聞こえないもうろう者、私たちは少なくともこの3つの団体さんには、聴覚に障害があると思います。したがって、そういうことも含めてお答えいただきたいと思います。
中村政務官、いかがでしょうか。
○ 中村政務官 まず、多くの御意見を賜りまして、本当に感謝をしております。恐らくこの時間内ですべての示していただいた論点について、皆様に納得していただける回答をすることは困難かと存じます。そのため、また不足部分につきましては、東室長と法務省の事務方とまた協議をさせていただく中で、事務的にもしっかりと詰めた作業を今後させていただきたいと考えております。
個別の案件につきましては、後ほど事務方から個別に回答させていただきますけれども、最初に新谷様から御指摘いただいた聴覚障害者というのは、手話がわかる人ばかりではないと。この御指摘は非常に重要な指摘だと私も野党の時代から認識をしておりました。
手話がわかる人が全体の20%しかいない。そういった話につきましても、すべての職員が理解しなければならない課題だと思っておりまして、そういったさまざまな障害をお持ちの方がさまざまな境遇に置かれている。しかし、それを組織全体がすべての場面において把握し、その教育が徹底されているかといえば、それは対外的な法務省の行政を見る立場の人たちから指摘をしていただかなければ、そのことについて私たちがなかなか自分のことを認識できないということもあろうかと存じます。
そういった意味では、今後、事務方同士の指摘も通じまして、委員の皆様から、また事務方を通して、こういう立法事実があるという提示を個別していただければ、具体的な改善策を考えていけることがあろうかと存じますので、そのことについて、まず皆様にお願いをさせていただきます。
それでは、事務方の方から順次答えさせていただきます。
○ 中村参事官 法務省刑事局参事官の中村でございます。政務官のお話にもありましたとおり、こちらではできるだけお答えをさせていただきたいと思っております。
まず、聴覚障害者の方における筆談の重要性については、私どもも十分認識をしておりまして、こちらからお出しした意見書にも手話通訳だけでなく、筆談の活用についても書かせていただいておりますし、また要約筆記についても私どもは認識をし、実際に現場でも使われておるところでございます。
また、公判では筆談があり得ないというお話がありましたが、これは刑事訴訟法の175条「国語に通じない者」までのレベルに至った場合には、通訳人に通訳をさせなければならないという規定ですとか、176条「耳の聞こえない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせることができる」という規定に基づいた適切な運用がなされていると考えております。
それから、知的障害者の皆様方への配慮についてでございます。この点につきましては、やはりいわゆる取り調べにおける配慮ということになろうかと思いますが、検察当局全体として、被疑者の方といいますか、取り調べをする相手方の状況をよく踏まえた取り調べを行うこと。そして、またそのお話の内容を慎重に検討することなどについては、明確な文章による指示がもう既に出されておるところでございます。
そうした中で、弁護人などの立会いについてはどうなっているのかというお話でございましたが、これについては、弁護人の立会い、取調室の中に弁護人が入る形での立会いということではありませんが、御案内のとおり、接見ということで相当な配慮をしておるところでございます。この点は平成21年5月から、捜査段階の国選弁護の対象事件が大幅に拡大されまして、殺人や強盗といった重大事件だけではなく、窃盗や詐欺事件のような事件でありましても、捜査段階から国選弁護人が選任されることになっておりまして、刑事訴訟法第37条の4によりまして、裁判官が精神上の障害、そのほかの事由により、弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難である疑いがある方については、必要があると認めるときは職権で弁護人を付すことができるとされております。
検察当局におきましては、捜査段階における弁護人の被疑者との接見については、格段に配慮しておりまして、被疑者もしくは弁護人から接見の申出があった場合には、取調中でなければ、直ちに接見していただき、取調中でありましても、早期に接見してもらえるような配慮をいたしておるところでございます。
○ 藤井議長代理 中村さん、申し訳ありませんが、現行法の説明は時間もありませんから、少し質問に焦点を当ててお答えいただけませんか。
○ 中村参事官 それから、いろいろな配慮を行う際に「必要に応じ」というのが、どのような観点からかということでございましたが、これは例えば取調べの場面でいきますと、取調べというものの性質上、取調べを担当する側におきまして、コミュニケーションがどのようになっているのかというのは十分に考えていく。その過程の中で、例えば障害のある方との十分なコミュニケーションが可能な保護者等の同伴を求めるということもあり得るものと考えております。
それから、障害者の理解を深めるための研修をどのように実施しているのかというお尋ねでございましたが、これは例えば検察官、検察事務官の関係でも、多数の研修をやっておりますけれども、その中で新任検事に対する実務教育の場面ですとか、検察事務官の研修という場面におきまして、障害者の方々のさまざまな状況、あるいはテーマを取り上げて研修を実施しておるところでございます。
○ 加藤参事官 刑事局参事官の加藤から、1点だけ補足いたします。
大谷委員の御質問の中に、知的障害者の方についての取調べの可視化についての御指摘がございました。その中でもお話がありましたように、取調べを可視化する問題につきましては、現在、法務省の政務三役を中心とする勉強会等におきまして、精力的に検討中の問題でございます。御指摘のあった、例えば被疑者によっては、誘導されやすいといったような特性があるといった点についても、十分考慮に入れて検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○ 法務省矯正局(松田) 矯正局担当の松田から、いただいた御質問について回答させていただきます。
まず、清原委員から、刑務所における福祉スタッフに関連した御質問がありました。御存じのとおり、刑事施設では福祉支援が必要な受刑者の人たちに対する支援を促進するという観点から、社会福祉士及び精神保健福祉士を順次配置してきております。
社会福祉士については、平成22年度現在、官民共同で施設運営に当たっているPFI刑務所の4施設を含めて、71施設に配置をしております。
また、精神保健福祉士については、医療刑務所を中心に配置しておりますが、平成22年度現在、同じくPFI刑務所4施設を含めて、12施設に配置をしております。
これらの福祉支援が必要な受刑者に対する支援を推進するために、法務省矯正局、保護局、厚生労働省が連携して、刑務所出所者等に対する円滑な支援といった施策を展開しているところであります。具体的には、各都道府県に設置予定の地域生活定着支援センターとの連携を考えておるんですが、今後も新しい施策が円滑に実施されるよう、努力していく所存であります。
2つ目、大谷委員からのお尋ねがありました。いわゆるCAPAS検査能力におけるIQ60以下の受刑者に対する処遇であります。お手元の資料には、IQ相当値60以下をもって直ちに知的障害があるとは考えていないということを書かせてはいただいているんですけれども、さりとて知的障害の受刑者がいないというわけではありません。そういった意味で、この知的障害を有する受刑者に対して、どのような処遇をしているのか、委員の御懸念は、昼夜独居拘禁になっているのではないかということだったんですが、そうではなくて、一般受刑者と同じ工場に出て作業をすることが困難といった受刑者については、例えば養護工場に出して働かせる。この養護工場というのは、刑務作業の時間を短くしたり、あるいは軽作業、例えば組み立てパーツの袋詰めだとか、洗濯ばさみの組み立てとか、そういった簡単な作業なんですけれども、そういった作業をやっておりますし、医療刑務所などでは、窯業、いわゆる土をこねて、窯で焼くといった窯業とか、園芸、同じく紙細工のような作業をやらせておりまして、決して部屋の中に閉じ込めておけばいいとは考えておりませんし、実際もそのような処遇をやっているところであります。
3つ目、関口委員からいただきました刑務所の医療を厚労省に移管してはどうかと、それに対する考え方ということであります。
実は、刑務所の方は、平成17年、18年に監獄法改正ということで、大きく法律が変わったんですが、その際の議論においても、刑務所医療を厚労省に移管してはどうかという議論がありまして、そこの場では、とりあえず刑務所に置いておいてやらせようという結論にはなったんですが、刑務所においても、勿論医療法の適用がありまして、法律にも社会一般と同等の医療水準を確保するようにという規定になっております。仮に厚労省に移管することになるのであれば、相当な議論と検討が必要だと考えております。
矯正関係は、以上です。
○ 中村政務官 民事の方は特にないということですので、以上でございます。
○ 藤井議長代理 それでは、人権救済機関について、山崎委員から質問が出ていましたので、山崎委員から特に発言を認めましょう。
○ 山崎委員 ありがとうございます。山崎でございます。
先ほど、中村政務官がお触れにならなかった人権救済機関の設置についてお伺いさせていただきます。御案内のとおり、障害をお持ちの方が人権侵害・差別された場合でも、一般的な政府から独立した人権救済機関があれば、ここに駆け込むことは可能でございます。長年、法務省におかれても、この立法化に向けて検討されていることと思いますので、現時点での検討状況をお聞かせいただきたいと思います。
2点目は、これに関連いたしますが、障害者権利条約第33条第2項によれば、国内モニタリング機関を設置するということが義務付けられております。この場合、一般的な救済機関とともに、個別の障害者の権利関係の救済機関を独自に設置することも可能でございます。現時点で法務省におかれては、この両者の住み分け等、どのように検討されているかお聞かせいただければと思います。時間の関係でたっぷりお話しいただきたいところですが、場合によって時間がないときには、追加的な御説明を文書で当会議にお示しいただければ大変ありがたく存じます。
○ 藤井議長代理 時間を6分過ぎていますので、これに関するお答えをまずいただきましょう。中村政務官、よろしいですか。
○ 中村政務官 人権救済機関の設立につきましては、法務省では私の下に勉強会をつくり、今、鋭意検討させていただいているところでございます。
また、障害者の皆さんの人権侵害に対する救済の手続につきましては、今、一方で法務省の人権擁護機関が人権侵犯事案に関しまして、一般的に対応させていただいているところでございますので、それを利用していただくというのが1つの方法としてはございます。
ただ、これにつきましては、どういうところに相談に行ったらいいのかということが、なかなか障害当事者の皆さんに知られていないということもありますので、こういうところを周知徹底していくところから、しっかりとさせていただければと考えております。
○ 藤井議長代理 政務官、突っ込んで申し訳ないんですが、人権救済機関に関する法案の出す時期の大まかなめどが、もしわかっていらっしゃったら、お教えいただけませんか。
○ 中村政務官 皆さん御存じのとおり、法務大臣政務官は、大臣から個別の案件について指示を受け、それを検討するという職務でございますので、法案の提出時期等に関しましては、閣僚委員会等での議論を待たなければなりません。私たちとしては、できるだけ早期に論点を詰め、そしてその閣僚委員会でかけていただけるような状況までいち早く持っていけるような努力を鋭意続けていきたいと考えております。
○ 藤井議長代理 ただ、4年も5年もかかるという話ではないんですね。
○ 中村政務官 そこまでかからないように、努力したいと考えております。
○ 藤井議長代理 では、2、3年のうちにということだと思います。
時間がまいりました。全体に現状認識と随分ギャップがあるなという印象を受けました。それと同時に、やはり障害に関する合理的配慮という点では、これはどの省に関しても共通なんですが、いずれもこの点でまた詰めた論議が今後とも必要だと思っています。
今日は全部の質問に答えてもらっていないということもありましたので、また文書等をもって、室長の方に御提出願えればということを申し加えて、法務大臣政務官とのヒアリングをこれでおしまいにします。どうもありがとうございました。
○ 中村政務官 ありがとうございました。(拍手)
○ 藤井議長代理 そうしましたら、少し時間を押しますが、14時25分から、次の第2項に入ってまいります。少し時間は短いのですが、進行に協力をお願いいたします。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、時間がまいりましたので、大臣もお見えになりましたので、再開いたします。よろしいですか。
では、第2コーナーに入りますが、今度は教育の分野であります。
まず、文部科学大臣政務官の高井美穂さんからお話をいただきますけれども、その後に、厳密に言いますと6団体4人の代表の方から御発言をいただきます。その後に、やはり東室長から、特に問題を焦点化して、文科省の方に意見、質問をさせていただきます。その後に、各委員から質問、意見をいただきます。各委員の何人かから、あらかじめ質問の文書が来ておりますので、その辺を優先しようと思っています。
では、発言者に対して申し上げておきますけれども、1分前になりますとブザーが鳴って、あと1分ですよという合図が入ります。それが鳴りましたらおよそ1分間でおやめいただく。政務官には10分間です。あとの方たちに対しましては、5分間ずつの発言時間をお願いしていますので、時間厳守でお願いいたします。
なお、各委員におかれましても、大変貴重な時間なので、端的に、むしろ結論から言ってもらったり、質問はこれですということを言ってもらったりして、その辺を少し端的にお話願えれば、進行上助かりますので、御協力をお願いいたします。
それでは、改めて、文部科学大臣政務官の高井美穂さんから御意見をお願いいたします。
○ 高井政務官 御紹介いただきました高井美穂です。今日はお時間をいただきましてありがとうございます。私の方からは、できるだけ短めに端的に申し上げて、あとは現場の皆さんがお越しですので、是非お話を聞いていただきたいと思います。
まず、我々の現在の考え方を含め、申し上げたいと思います。
政府の基本的な考えとしては、福島大臣の下に、1月に閣議決定をされました子ども・子育てビジョンにおいて、インクルーシブ教育システムの構築という障害者の権利条約の理念を踏まえて、学校現場における体制整備を進めるとともに、教員の専門性の向上等により、特別支援教育の推進を図るということとされておりまして、文部科学省としても、こうした考えの下、特別支援教育等の推進にも取り組むと考えております。
インクルーシブ教育システムについては、障害者権利条約において、この定義について、各国の解釈に委ねられているところがございますけれども、私どもといたしましても、障害者権利条約の趣旨というものをしっかりと踏まえた上で、このインクルーシブ教育を前向きに進めていこうということは、皆さんとともに意識を共有しているものだと考えております。
しかし、インクルーシブ教育システムと特別支援教育というのは、私どもは相反するものだとは考えておりませんで、障害をお持ちのチャレンジドの皆さんが、さまざまな、自分が求める教育体制を得られるということは、とても大事なことだと思っておりまして、この理念とともに、やはり人的、物的条件整備が必要であると思っています。子どもの能力を可能な限り最大限度まで発達させるという障害者権利条約の目的を損なうことなく、しっかり取り組んでいきたいと思っています。
これに関しても事前に意見書を出させていただいておりますが、改めて時間の関係上、要点だけこちらの方から申し上げたいと思っています。就学先決定の仕組みについての考え方でございます。
この現行の制度は、皆様よく御存じだと思いますけれども、この市町村、教育委員会において、特別の事情があると認める場合には、認定就学者として小中学校に就学することとされているということについては、さまざまな御意見があると承知をしております。この現行制度について見直しを検討しておるところでございまして、文部科学省の特別支援教育の推進に関する調査協力研究者会議というものの中で、平成21年2月の中間とりまとめにおいて、原則特別支援学校、例外小中学校との考えを改めて、子どもの障害の状態及び教育的ニーズ、保護者の意見、専門家の意見、学校、地域の状況等を総合的に判断して決定する仕組みとすることが適当であるという旨の提言をいただき、この就学先の決定に当たっては、保護者への十分な情報提供、きめ細やかな就学相談、個別の教育支援計画の作成プロセスの充実強化などによって、保護者との共通認識を醸成することが大事だと思っておりまして、そのような法整備について検討してまいりたいと思っております。
保護者の選択権の保障についても、保護者の意見を十分に尊重することは、私どもにとりまして大変重要でございますが、全面的に選択を委ねるということについては、この障害者権利条約にうたわれた本人にとって、その精神的、身体的な能力を最大限まで発達させるための教育という観点から、慎重に検討していくことが必要ではないかと考えておるところです。
このほか、項目に係る見解について、意見書に記載したとおりでありますが、必要な人的、物的条件の整備についても、参考データとして記載したものを別添資料として提出させていただいております。これらについては、後ほど事務方から具体的に説明申し上げるということにしたいと思います。
本日ヒアリングに、私どものほか、関係団体からも出席をいただいておりますので、教育に関しましては、子どもたちに与える影響が大きく、慎重な丁寧な議論の検討が必要と思っておりますので、今後とも学校関係者、保護者、その他の関係者からの御意見を聞く機会を十分に設けていただいて、より現場の意見を踏まえた上で、この制度改革推進会議における議論、検討を進めていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
繰り返しますが、インクルーシブ教育と特別支援教育は相反するものではないと、同じ方向を向いたものであると私どもは考えております。そのときどきの状況に応じて、不断に進めていく。より適切に進めていくことが重要と考えておりますので、私どもとしても前向きに努力をいたしますので、どうかこれからも御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。
最後になりましたけれども、本日のヒアリングとは直接関係はございませんが、4月21日水曜日の衆議院文部科学委員会におきまして、馳浩議員から、本会議の検討課題でもあります「障害」の表記に関して、漢字の語源を説明した上で「碍」という字を常用漢字に追加すべきではないかという質問がございました。川端大臣からは、この「碍」という字は、出現頻度や造語力といった選定基準に照らして、現時点では常用漢字表に追加をしないけれども、障がい者制度改革推進本部の検討結果によって、改めて検討を行うという文化審議会国語分科会の考え方を説明いたしたところでございます。
大臣から、馳議員の説明については、推進会議で議論を行う際の参考にしていただきたいということで、詳しいやりとりについては、追って、各委員の皆さんに議事録をお示しさせていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 大変大事な問題ですが、高井政務官は時間もないということで、途中でとおっしゃっておられたんですが、何時ぐらいまでおられますか。
○ 高井政務官 3時から三役会議が入っておるもので、2時50分までということで、大変申し訳ございません。ぎりぎりまでおります。
○ 藤井議長代理 そうしましたら、これから団体の方に御意見をいただきます。
○ 斎藤課長 すみません、文部科学省の方から若干の補足をさせていただけないでしょうか。
○ 藤井議長代理 どうぞ。
○ 斎藤課長 文部科学省特別支援教育課長の斎藤でございます。今、高井政務官からの発言に、若干補足させていただきたいと思います。
お手元の意見書に別添<1>がございます。2ページ目に、就学先決定の仕組みとか、保護者の選択権の保障に関する見直しという項目がございまして、そこに具体的な方向性、検討例などを記してございます。これが言わば改革について、今、検討している具体的な事例ということなんですが、例えば地域の小学校、特別支援学校への体験入学等の機会を拡大する。そういったことにより、保護者の方々への十分な情報提供を行う。更に、これを踏まえて、きめ細かい就学相談を実施するために、例えば今までよりは早い時期から相談とか支援を実施したり、よく市町村教育委員会が中心になっておりますが、県教育委員会ともより緊密に連携をしていきまして、いろいろな専門家の意見も含めて、必要な検討をしていく。
例えば就学委員会につきましても、これまでは福祉、医療関係の方々が入っておりましたけれども、更に障害当事者の団体の地域支部の方、あるいは親の会の代表といった多様なメンバーの参画、意見反映を求めていくといったことによりまして、就学移行期、義務教育移行段階の個別の教育支援計画が大変重要な保護者の移行反映のためのツールだと思っております。その作成プロセスというものを保護者の積極的参画というものを得て、充実していくといった方策が考えられるところでございます。
先ほど、一方で政務官から申し上げましたコスト試算につきましてですが、今回お示しいただいた論点の中に、合理的配慮の具体化ということに関して、専門知識を有する教員の充実といった人的体制の整備とか、必要な学校施設、設備の充実といった環境整備を問われておりましたので、これを受けまして、詳しい御説明をする時間はないんですが、別添<2>に示しております。
まず、想定Aというケースについては、居住地の小中学校の通常学級への就学を原則として、希望する場合のみ特別支援学校に就学する。この場合、例えば中軽度のお子さんは通常学校に入ってまいりますし、重度の障害があるお子さんについても、3分の1ぐらいが小中学校を希望するという想定になってございます。これが想定Aということでございます。
想定Bにつきましては、漸進的にインクルーシブ教育システムに移行しながら、保護者への十分な情報提供ということを前提に、その希望を踏まえながら教育委員会の総合的判断という、今、文科省の方で提言が出ておりますような想定ケースでございます。これが想定Bでございます。
Aにつきましては、結果としては、教員等の人件費が毎年2兆円強、施設設備が総額10兆円弱という想定が一応されております。
Bにつきましては、教員の人件費が毎年1,000億円強、施設設備が1.2兆円ということになりますが、この試算は大臣からも指示がありまして、限られた準備期間の中で仮にということで行ったものでございます。大まかな試算にとどまっておりますので、今後詳細な検討を要すると考えております。特にバリアフリーといったハード面で多額のコストが予想されるわけですが、これを補うものとして、特別支援教育支援員といったマンパワーの面、コミュニケーション支援を始めとしたICT機器とか、技術の活用というソフト面からの取組みが大変重要だと考えておりまして、こういった面も含めまして、これからこの推進会議の御議論も十分踏まえながら、教育関係者、学校関係者も含めて、精査をしていく必要があると思っております。その中で必要な制度改正をきちんと見定めていくということで、是非委員の皆様の御検討、御議論をよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
○ 藤井議長代理 それでは、議長代理として判断をしまして、高井政務官がいらっしゃるうちに、本推進会議として、東室長の方でいろいろな御意見を少しまとめて、焦点化して、質問を幾つかさせていただきます。それは是非、高井政務官にも聞いてほしいと思っておりますので、順番を入れ替えまして、その後に団体の方の御意見をいただきます。
では、東室長、お願いいたします。
○ 東室長 担当室長の東です。御回答は質問に対する答えという形で、端的に示されていない部分もありまして、少し私の方から、前提の認識辺りを伺わせていただきたいと思っています。
特に総論と項目<5>と項目<8>です。就学先の仕組みの決定の問題なども含みますが、その辺りを中心に何点か聞きます。
まず、総論では、インクルーシブ教育については、理念だけではなく、人的、物的条件整備とセットでの議論が必要として、別添<2>でインクルーシブ教育システムを構築するための2通りの想定の基に財源の必要性を訴えておられますが、その財源として挙げられている数字の適否については、いちいち触れませんけれども、要は財源があれば、インクルーシブ教育システムは実現可能であるという御意見だと伺ってよろしいかどうか。これが1点目です。
また、それとの関連ですが、別添<2>の想定AとBは、前提が違うお話だと思いますけれども、仮にAのように、即時的にインクルーシブ教育を実現するという前提から見て、現状はかかるAもしくはBと大きく隔たっているということをおっしゃりたいのかどうか。これだけお金がなければ、権利条約が求めるものには達することができないということが、反面として現状は障害者の権利条約が求めているものとは、大きく隔たりがあると御認識されているかどうかということが2点目です。
次に、政権交代前の民主党から出された制度改革推進法案の9条には、義務教育制度について「障がい者が障がい者以外の者と共に教育を受ける機会を確保することを基本とし」と書いてあって、その後に「障がい者又はその保護者が希望するときは、特別支援学校又は特別支援学級における教育を受けることができるようにするものとする」ということが書いてあります。
この推進法案に掲げられている内容と文科省が今回出してきた意見書は、矛盾するものなのか、しないものなのか。そこについてお伺いしたいと思います。
次に、文科省が出された意見書の7ページの2つ目の○ですが「保護者に全面的に選択を委ねることについては慎重な検討が必要」とした上で、3つ目の項目では、就学先の「決定主体は義務教育の実施責任を有する教育委員会とすることが法制度上必然であると考える」とされています。
更に8ページの2つ目の○で言うと「就学先の決定を含めた就学事務については、義務教育の実施責任を有する教育委員会が最終的に判断すべきものであり」とされております。
これからすると、就学先の決定権はあくまでも教育委員会にあるんだと。その結果として、保護者には選択権がないという、要するに行政の決定権と保護者の選択権は両立し得ない。片方が成立すれば、片方がだめになるという関係と御認識なのかどうなのか。特にフランスとかアメリカの事例を意見書の中で引っ張っておられますが、そこではそういう両立し得ない関係という仕組みではないと理解しているわけですね。しかしながら、文科省としては、これは両立し得ない関係なのか。どのように御認識されているのかどうか、その点を、先ほど挙げました推進法案の第9条の関係でも御説明願いたいと思っております。
それと、7ページの1つ目の○ですが、就学先決定に係る現行の考え方を見直すことを検討しているという御回答がありますが、8ページでは、就学先の決定を政令で規定することに特段の問題点はないという御回答もあるわけですね。これを合わせて読むと、法改正ではなくて、施行令の改正として検討しているのかどうか。法改正の予定はないのかどうか。その点の御回答をお願いします。
それと、教育基本法に関してですが、教育基本法において障害に基づく差別禁止条項がなくても不都合がないという御意見だと思いますが、逆に障害に基づく差別の禁止を明文化することに特段の支障があるとお考えなのかどうか。この点をお願いしたいと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 そうしましたら、高井政務官が、あと事実上6、7分しかいらっしゃいませんから、今の件で、まず高井政務官がお答えできる範囲で見解をお示しいただいて、あとは補足をお願いする。特に、先ほど政務官のお話によると、保護者の希望と行政が決定するという話ですね。選択権と行政決定権の関係性。多分これが争点かと思うんですが、高井さんからお願いできますか。
○ 高井政務官 それはどちらかというものではなくて、やはりきめ細かく話をした上で決めることができると思っておりまして、一義的に最初の受付は教育委員会でいいんですね。しかし、必ず決定は話し合いの上でということで、きめ細かく対応はできると思っているんですけれども。
○ 東室長 プロセスの問題ではなくて、法的な意味での決定権というレベルで言えば、結論的にはどうなのでしょうか。
○ 高井政務官 決定権という意味が、通知を出すという意味で取っていいのでしょうか。そうしたら、設置者が通知を出すので、最後の法的な意味での決定権を出すということでは、多分設置者にあるということになるのではないかと思います。
○ 東室長 その点では、アメリカもフランスも変わりはないと思うんですね。行政としてサービスを出すわけですからね。しかしながら、その行政が決定する要件として、保護者の同意ないしは選択というものを行政権限の発動の要件として組み入れることが可能なのかどうなのかという質問です。
○ 高井政務官 恐らく話し合いの上でそれを組み込むということは勿論可能かと思うんですが、決定権の中に法的にきちんと組み込むことが求められるというお話で理解していいですか。
○ 東室長 一般的に、いろんな行政決定をする場合に、その法律上の要件というのがあると思うんです。その中で、例えばこういう処分を出すには保護者の同意が必要だとかいう形で組み込めば、保護者の選択権もしくは同意見と法律上の決定権というのは、必ずしも両立し得ない関係ではない。そういう仕組みをとっているものが外国にはあるということなんですね。それも引っ張っておられますけれども、日本の場合は、あくまでも両立し得ないものと考えられているのかどうかということをお聞きしたいんです。
○ 高井政務官 そうではないと思います。保護者の意見を必ず聴取するということは、組み込まれているのではないかと思っております。
○ 東室長 意見ではなくて、同意ということです。
○ 藤井議長代理 大臣が発言を求められておりますので、福島大臣お願いします。
○ 福島大臣 せっかく障がい者制度改革推進会議ができたので、文科省にお願いなんですね。
ここがやはり争点で、差別とは何かといったら、自分はそっちに行きたいのに、お前は来るなと言われることが差別だと思うんです。これは女性差別でも、黒人に対する差別でも、男性のみ募集と、やりたい、行きたいと言っているのに来るなというのが差別だと思うんです。だから、自分はそうしたくないというのはいいんですよ。しかし、行きたい、そうしたいというのに、お前は来るなというのが、結果的には分離を強制される。それが差別だと思うので、インクルーシブ教育といったときに、この試算を見ると、確かに何兆円というのもありますが、ただ、文科省の方で、やはり本人や親の選択権というものを最大限尊重するというふうに、せっかくこの推進会議ができ、権利条約を批准しようとするときは、それを明言してほしい。転換してほしい。どうですか。
○ 藤井議長代理 高井政務官、どうぞ。
○ 高井政務官 私はそのように理解しておりましたけれども。
○ 藤井議長代理 今のと同じ意見でいいですね。
○ 高井政務官 最大限尊重するということは。
○ 藤井議長代理 奉仕者の意向に同意をする。行政手続上、それは事務的には、それを決定した文書を出すにしても、同意が前提だというのが、多分大臣の意見だと思うんですよ。意見というのは、希望とか、そういうことですね。同意というのは、完全に意思に沿うということですから、事実上、保護者の意思に沿うのかどうかというのが今のお話だと思うんです。
福島大臣、どうぞ。
○ 福島大臣 最大限尊重はするが、やはりお金がかかったり、いろいろ問題があれば入れないとなるのか、最大限尊重するので、例えば極端な場合を除いては、ほぼ親の同意で、あるいは親、子どもの選択権が通用するのか。それはやはり違うので、是非親及び子どもの選択権の権利を保障すると踏み出していただきたい。どうですか。
○ 高井政務官 私どもも前向きに考えておりまして、勿論話し合いの結果、丁寧な話し合いをして、最も親御さんや本人の意思に沿うような方向を取るべきだと思っていますし、それがそういう方向で頑張っているつもりなんですが。どちらかにどういうふうにしろと決めているわけではございません。
○ 藤井議長代理 福島大臣、どうぞ。
○ 福島大臣 ただ、今まで障害児を普通学級や、いろんな裁判があり、みんなが行きたいけれども排除されるということがあるので、高井政務官がおっしゃっているように、やはり変えてほしいという要望です。
○ 高井政務官 そのように制度改正をどこかの部分でする、わかりました。ちょっと検討させていただきます。私も、保護者の同意を基に話し合いの上で決めていると理解をしていたので、そうなっていないという御指摘であるならば、いろいろと検討していきたいと思います。
○ 東室長 室長からですけれども、法的な意味で、プロセスをどういうプロセスにするかという問題と、同意の有無というのは違う次元の問題だと認識していただきたい。だから、最終的には、保護者の意見も判断の1つの材料にするという前提だろうと思うんですが、そういうレベルの問題と、極めて原則的には、保護者の同意がなければ、それと違った決定はできないというのが同意権の話なので、それは法的には違うということを御認識の上、検討いただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 高井さん、時間がまいりましたので、もうこれ以上拘束してはいけませんから、高井政務官は恐らくこの雰囲気の中で、自分はそう思っていたとおっしゃっていたと思うんですよ。またお持ち帰りいただいて、検討いただくということでよろしいですか。
○ 高井政務官 わかりました。
○ 藤井議長代理 では、どうもありがとうございました。
(高井政務官退室)
○ 藤井議長代理 この先は、また元に戻しまして、佐藤委員、どうぞ。
○ 佐藤委員 どうもありがとうございます。私も今、室長が言われたような、親の選択権を原則として尊重するという仕組みには賛成なんですけれども、ただ、それは原則であって、すべて親が決定できるのと同じように仕組むことが適切かどうか。
例えばこの資料の中でも、イギリスなどの場合で、行動障害が非常に激しくて、ほかの児童に危害を加える可能性があるとか、あるいは親が虐待目的でどこかに入れようと選択するということの親は、本当に例外だと思いますけれども、100%親の選択でやってしまって、ほかの子どもも含めて、本当に子どもの最善の利益になるのかどうなのかというのは、詰めた議論をしないといけない残された部分があるのかなという感じがします。
○ 藤井議長代理 東室長、どうぞ。
○ 東室長 その議論で少し誤解が生じやすいのは、権利を認めた上でも例外はあるということなんですね。権利がないままに行政の方で判断する仕組みというものと、基本的に権利というのがあるんだと。しかしながら、権利は無制約の権利というのはありません。抽象的に言えば、公共の福祉とか、昔から言われていた議論なんです。しかし、公共の福祉の議論も、それはすべて権利があるという前提で、権利の相互の調整作用としてどうするかという議論なんですね。
ですから、権利があれば、100%すべて拘束されるということでは決してないわけですが、やはり原則権利があるというのと、権利自体がないままに行政が判断するというのは、全然違うレベルの話なんです。そこは混同しないでいただきたいと思っています。
○ 藤井議長代理 佐藤委員、大事なことなので、いいですか。
○ 佐藤委員 ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 それでは、元の流れに戻しまして、最初に、全国特別支援学校長会の尾崎祐三さん、全国連合小学校長会の田中誠さん、全国特別支援学級設置学校長協会の瀧島順一さんの3人を代表して、大変恐縮ですが、御発言を5分間でお願いいたします。
○ 尾崎氏 全国特別支援学校長会は、全国に1,000校ある特別支援学校の校長を会員としています。今回、障がい者制度改革推進会議におきまして、意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。総論と具体的な要望の3点について意見を述べます。
まず、総論ですけれども、特別支援教育は、障害のある幼児、児童、生徒への教育にとどまらず、障害のあるなしや、その他の個々の違いをお互いに認識しつつ、さまざまな人々がそれぞれの地域で生き生きと活躍できる共生社会の実現を目指すものであります。我が国の現在及び将来の社会にとって、とても重要な意味を持っています。
そして、特別支援学校は、障害のある幼児、児童、生徒一人一人の教育的ニーズを把握して、適切な指導及び必要な支援を行い、その持つ力を高め、自立する力を育て、共生社会に参画し、地域での豊かな社会生活ができることを目指す教育を行っています。
このような共生社会の実現を目指した特別支援教育は、インクルーシブ教育システムと相反せず、同じ方向を向いていると考えています。
また、一人一人の教育的ニーズにきめ細かく応じ、一人一人の持っている力を伸ばす特別支援学校の教育は、障害者の権利条約の趣旨である、能力を可能な最大限まで発達させるにも合致していると考えています。とりわけ、肢体不自由や病弱の特別支援学校は、障害の重い児童、生徒の教育も担うなど、特別支援学校は障害者権利条約の趣旨にのっとっても、極めて重要な役割を果たしています。
インクルーシブ教育システムについては、必要な人的体制や物的条件の整備を進めることを前提として議論、検討すべきと考えていますので、インクルーシブ教育システム実現に向けて行う議論に当たっては、今後早期に全特長を始め、多くの教育関係者、専門家を加えた教育部会を設置し、必要な条件を整っていない制度改革によって、学校への重大な影響、弊害が生じないよう、学校の実態等を十分踏まえた慎重な検討、議論を行っていただくよう、切にお願いいたします。
具体的な要望を3点述べます。
1つ目は、学籍の一元化についてです。全員が地域の学校に在籍することを前提にした場合、学籍の一元化に伴う教員等の予算の算定方法が、希望によって他の学校において教育を受ける場合などには、複雑に異なることになります。そのため、通常の学校においては、障害の有無に関わらず、児童、生徒一人一人のニーズに応じた教育内容と方法を実現するための支援体制、教職員定数及び学級編成の在り方を十分検討する必要があります。また、特別支援学校に必要とされる機能や役割などについても、十分に検討する必要があり、その際には、現在、児童、生徒の居住地にある小学校、中学校に副次的に籍を置いて、交流及び共同学習を進められていること。特別支援学校に児童生徒の学籍があることによって、学級が認可され、在籍する児童生徒の障害に対応した施設設備が整えられ、特別支援教育の専門性のある教員が配置されているということに、是非御留意してください。
2つ目は、児童、生徒などの当事者のための制度改革を進めていただきたいことです。インクルーシブ教育システムにおける人的体制の整備、施設、設備などの物的条件の整備の検討が十分でない場合には、例えば自閉症や知的障害のある児童、生徒の場合、障害の状態により、通常の学級の集団に入れなく、結果的に適切な教育が受けられないという弊害が起こる可能性があります。また、特別支援学校の教育課程は、個々の障害の状態に応じて弾力的に編成することができるようになっていますから、通常の学校の教育の内容と障害のある児童、生徒の教育内容の整合性などについても十分検討が必要です。
3つ目は、保護者の意向が十分尊重された支援を充実していただきたいということです。障害のある幼児、児童、生徒にとっては、保護者の理解の下、幼児期から学校卒業後まで、一貫した教育的支援が必要です。とりわけ、視覚、聴覚に障害がある幼児には、早期の対応が必要です。就学期においては、どの障害においても、これまでより一層個別の教育支援計画の作成プロセスへの保護者の参画を進め、結果として、保護者の意向を十分反映して、実際の指導、支援の在り方が決定できるようにするというシステムが大変重要だと思います。
以上です。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 ありがとうございました。
○ 田中氏 全国連合小学校長会の田中でございます。お時間がないので、1点のみ。
通常の学級に在籍する発達障害等の支援を要する児童、生徒の数は、今、年々増加の一途をたどっており、指導、支援に必要な人的措置や施設設備の整備が追いつかないまま、現在、児童、生徒一人一人の障害の状態に応じた十分な支援ができないという憂慮すべき状態にあります。是非教育現場の実情等をとらえないままの性急かつ拙速なインクルーシブ教育への転換に向けた検討ということでなく、是非学校現場等の意見を取り込んで、御検討をいただきたい。
以上でございます。
○ 瀧島氏 続きまして、全国特別支援学級設置学校長協会会長の瀧島順一と申します。
意見書につきましては、提出をさせていただいたとおりでございます。
1点目は、本協会の説明でございます。なぜここで説明かというのは、全国小中学校に設置されている学級の校長は、障害がある子どもたちに対し、未来に生きる力、自らを自立させる力を培う教育を長年にわたって努力し、推進してきたということをお読み取りいただきたいと思って書かせていただきました。
2点目は、意見でございます。全国小中学校に設置されております障害のある子どもたちの学級、教室は、障害者に対する差別や差別を助長する学級、教室でないと考えて、私たち校長は常に教育活動を進めております。そのためにも、学級、教室の意義や存在性を是非とも御視察いただきたいと考えております。
次に、障害のある子どもたちの教育の制度、在り方、方法について御検討、審議は、是非とも教育関係者並びに保護者、行政、医療関係者、そして本委員会の推進委員のメンバーの皆様が交わり、障害のある子どもたちの真の教育について、十分に時間をかけ、御討議、御審議されることを願っております。今、設置されている学級、教室は、子どもの学びの場として、意義深く定着しております。教育は人なりと申しますように、これからは指導をする教師の専門性の向上がますます重要となってまいりました。その専門性をいかに高めるか。校長会としても課題であります。
貴会議において、教育分野についての今後の御検討を御審議の際には、是非とも教育の理念、方法を包括いたします教育の人的、物的条件の双方を御検討、審議をしていただければ幸いでございます。
以上、全国特別支援学級設置学校長協会の意見とさせていただきます。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 以上、関係3団体からの御意見でありました。
続きまして、全国特別支援教育推進連盟の佐竹京子さんから、5分間で御意見の発表をお願いします。
○ 佐竹氏 ただいま御紹介をいただきました全国特別支援教育推進連盟の加盟団体であります、全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会の佐竹京子と申します。本日は、推進連盟の加盟団体としてまいりました。お時間をいただきまして、ありがとうございます。
推進連盟は、加盟19から成る団体でございます。校長会、PTA連合会、親の会、福祉関係団体の集まる民間団体になります。私は肢体不自由の女の子の親でございます。こういった場面は不慣れでございますので、うまく説明ができないこともあろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
では、皆様のお手元にございます資料の17ページをごらんいただけますでしょうか。推進連盟の加盟団体の皆様の意見をうまく表現したいと思いまして、まずレジュメの1枚目に、皆様からのいろいろなお話の中の、端的にこれだけは申し上げたいというところを7項目つくりまして、結論だけ端的に載せさせていただきました。大変言葉がきついのかもしれませんが、この後、18ページには、推進連盟としての意見が載っております。19ページには、この7項目に対して各団体さんのそれぞれの意見があります。加盟団体が19もありますと、それぞれ皆さんお立場が違いますので、いろんなことを話し合う場面で意見が少々事情によって変わることがありますが、今回はおおむね皆様と御意見が合いました。こういった端的な表現もさせていただいております。
では、お時間が限られておりますので、親としていろいろ経験を踏まえたお話をさせていただきます。
ホームページから会議の議事録を見まして、大変親として驚きました。特別支援学校の廃止または段階的廃止。特別支援学校は差別分離である、インクルージョン教育に反するような印象を受けましたが、私たち親は実はそうは思っておりません。私たちは子どもの通っている学校はどんなところなんだろうと、ちょっと考えさせられる場面もございました。特に盲・聾特別支援学校、特別支援学級は、私たち親は必要だと感じております。そのことは最初に申し上げたいと思います。通常の学級に通学していなくとも、特別支援学校に通わせているということは、私たち親にとりましては、子どもたちにとりましても、生活の一部でございます。皆様が朝起きて、顔を洗うように、特別支援学校へ通うわけです。
準ずる教育のことなんですが、子どもたちの力に合わせて教育課程を幅広く工夫ができる、親たちはそう感じておりましたので、このことが権利というところに何か触れるということは、想像がつきませんでした。私たちPTA連合会は、校長会とかいろいろな団体とともに、長い間、重い子どもたちも含めて、障害のある子どもたちに合わせた教育をお願いしたいということで要望を重ねてまいりました。そういう意味では、教育に子どもが合わせるのではなくて、教育が子どもたちに合わせてきたと私たちは自信を持っておりました。特別支援学校には、大学受験に向けて履修課程をほぼこなす子もいます。今年、御存じの方も多いかと思いますが、都立光明特別支援学校で高等部から2名、大学に進学いたしました。準ずる教育とは、重い子どもさんにも教育がなされると私たちは考えています。準ずるということがなくなると、困ります。
もう一つ、学籍の一元化も困ります。通っている学校に学籍がないということは、学校ではあり得ませんので、多分予算がつきませんね。教職員、看護師、専門職の確保ができません。ブザーが鳴っておりますが、もう5分でしょうか。
○ 藤井議長代理 あと1分ぐらい大丈夫です。
○ 佐竹氏 すみません、では、言いたいことがたくさんあったんですが、もう少しだけお願いいたします。
かつて養護学校、私も含めて親御さんたちは養護学校というものが何だかわからなくて、行くのが嫌だったんです。これは正直申します。ですが、それはなぜかというと、子どもたちの将来が特殊教育、当時特殊教育でしたが、それによってどうなるのか、親にはわからないんです。親には障害がありませんので。当時は、養護学校も子どもの教育は学校の中の問題と考えていたと思います。でも、今はちょっと違うんです。子どもたちを保護して、地域社会に守られているという学校ではないんです。特別支援学校が地域社会に出ていて、社会を啓発して、社会に貢献することが望まれています。特別支援学校では、障害児本人だけではなくて、私たち家族、兄弟といった相談支援体制といったことも担っているのが現状でございます。
教育、医療、福祉、就労、IT機器の活用、さまざまな専門指導員の活用、子どもたちの周りには、支援のネットワークが必要です。これは社会全体が支えるものであって、特別支援学校だけが支えるものではないというところで、何が言いたいかといいますと、特別支援学校は、そういった社会全体の中のネットワークのひとつだと私たち親は考えているからです。
また、私たち親は、そういう学校になってくださいということの要望を重ねてまいりました。保護者の私たちは、現時点の特別支援教育に満足しているわけではありません。まだ整備途中だと思っております。ただ、インクルーシブの理念を教育だけに持ち込み整理するのではなくて、ともに生きる共生社会、社会全体の在り方を目指していただきたい。その社会全体の中にも、当然特別支援学校がなくては、重い子どもから、また障害があって、大学を目指したい、高校を目指したいというお子さんが救われないと思っております。
ごめんなさい、もうちょっとだけ。
最後にちょっと違う視点からお話しさせてください。
ボストンマラソンで日本の土田選手が優勝しました。土田選手は、御自分の障害に配慮したトレーニングを積んで、優勝という結果につながったのではないでしょうか。パラリンピックは、障害に応じて細かく競技が分かれております。パラリンピックにインクルーシブ理念がないとおっしゃる方はいないのではないかなと思っています。特別支援学校、特別支援学級は、パラリンピックとお考えいただけるとわかりやすいのではないかと思います。私たち親は、自分の子どもの障害に合った工夫、障害に配慮した教育を受けて、子どもたちが社会に出ていく生きる力を付けるんだと思っております。
すみません、お時間が長くなりましたが、以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、もう二つ続けます。
今度は、障害児を普通学校へ・全国連絡会の徳田茂さん、お願いします。
○ 徳田氏 障害児を普通学校へ・全国連絡会代表の徳田です。今回、このような貴重な機会をいただき、大変ありがとうございます。全国連絡会は、1981年の発足以来、子どもと子どもを分けない教育、どの子も地域の学校で受け止められ、ともに学び、育ち合っていける教育の実現を願って運動を続けてきました。
また、私自身の長男がダウン症で知的障害を持っていますが、私は彼とともに37年間、地域の中で生きてきました。今回はそうした私の経験も踏まえながら、4点について提言をさせていただきます。
まず1つ目は、障害児の就学、進学に関する問題です。インクルーシブ教育の理念を我が国の中で現実のものにするためには、子どもの就学先を地域の学校の普通学級に一元化することを原則とすることが何よりも大切だと考えています。本人及び保護者が希望する場合は、特別支援学校への就学もあっていいだろうと思っています。
また、同世代の子どものほとんどが高校へ進学している現状を踏まえ、障害児も含め、希望者の高校全入を法律で定めること。この2つのことをまず就学、進学のこととして提言します。
2つ目として、障害児学級の設置ですが、同じ学校内で別の場所に席を固定することになる特別支援学級については、これを廃止する方向で考えていただきたいと考えています。交流とセットにして、特別支援学級の設置を考える人たちもいらっしゃいますが、私たちの長年の経験で考えると、交流で子ども同士が仲間意識をつくっていくというのは、非常に困難だと考えています。普通学級に席を置きながら通級をしながら学ぶ、そういう通級教室の設置は、場合によっては必要だろうと思っています。ただ、これについても注意深く、慎重な姿勢が求められると考えています。
3つ目として、合理的配慮の問題を挙げたいと思います。障害者権利条約の中で合理的配慮を行わないことは差別であると規定されたことは、画期的なことです。現在、残念ながら私たちの国では、この規定が法律の中で位置づいていません。そのために、多くの子どもたちが学校の中で随分辛い思いをしています。それは添付資料をごらんいただければ、いろんな例が出ているので、わかっていただけると思います。
私たちは、障害のある子をただ普通学級に入れておけば、それでいいと考えているわけではありません。普通学級の中で必要な支援などを受けながら、多くの友達と一緒に学び、一人一人がその子らしく育っていってほしい。そういう教育を是非実現したいと願っています。
それから、この合理的配慮の中に医療的ケアを必要とされる子どもへの問題も是非含めて考えていただきたいと思っています。
4つ目として、就学前の障害児の家族への働きかけの見直しを挙げたいと思います。現在行われている早期からの振分けにつながるような行政や専門家の関わり方を是非改めていただきたいと思っています。障害児の親が、我が子を安心して地域の学校へ通わせることができるための情報提供や相談などの支援がこれから求められると思っています。
なぜこういう提言をしたかということについて、少しお話をさせていただきます。
私は、ダウン症の息子知行と一緒に地域の中で生きていこうと考えた時に、地域の学校へ通わせることしか考えることができませんでした。そこへ通わせないことには、地域の中で生きていくことは難しいと考えました。幸い9年間は大変実りのある、充実したものになりました。ただ、分離教育が前提の今の教育制度の中で、随分苦しい思いをしました。障害のある子が地域の学校で教育を受けることがきちんと権利として保障されていない。その中でいろんな差別的な出来事にも遭いました。これは私だけではなくて、いろんな人たちがそういう経験をしています。これも資料を見ていただければおわかりいただけると思います。
私はどうしてもこのような特殊教育、あるいは特別支援教育がインクルーシブ教育だとは考えられません。私たちは今、インクルーシブ教育の理念に出会い、大変勇気づけられています。このインクルーシブ教育は、障害のある子とその家族を差別から解放する教育だと考えています。私や多くの人たちも、平等にどの子も地域の学校に通えて、ともに学び、ともに育ち合っていけるような学校教育を是非実現させたいと願っています。
以上で私からの提言とさせていただきます。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 ありがとうございました。
今日はもう一名御意見発表を準備しています。実はお母さんでありますが、これまでも意見発表の場があったのですが、その発表後、どうも心無い人でしょうか。大変あらぬ暴言とか、大変迷惑をかけられてしまったということがあって、今日はCS放送で生中継をしています。夕方以降はインターネット中継に入ります。是非名前とかお顔は今日は遠慮させてほしいと。ただし、委員の方々や傍聴者は紳士ですから、多分そんな変なことはないだろうというので、そこにお顔を見せることはいいでしょうと。しかし、お名前は控えさせてほしいということでありましたので、少しついたてをしてありますけれども、マイクを通して声を聞きたいと思います。
では、お母さん、よろしくお願いします。
○ 保護者A 本日は大変貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。私は障害のある中学一年生の息子を持つ、ごく普通の母親です。今、言っていただきましたように、本来ですと、住んでいる地域、名前を申し上げるべきですが、これまで息子の学校生活のことで公の場に出たことにより、幾度もバッシングを受け、今日も正直この場に伺うことを悩みました。
ですが、今こそ分離教育をやめ、障害のある子もない子も地域の学校でともに学び、育ち、生きるための制度改革を進めていただく声を直接お届けできるまたとないチャンスと思い、意を決してまいりました。それゆえ、匿名の失礼をお許しいただければと存じます。
息子は身体障害のため、全介助が必要です。障害の種類や程度にかかわらず、何ができても、できなくても、当たり前にありのままの姿でみんなの中にいたいというのは、基本的人権に基づく願いです。その願いのとおり、公立保育園では、「よくぞ私たちの園を選んでくれた、ありがとう。息子さんに出会えて本当に嬉しい」と迎えてくださった園長先生の下、息子は分け隔てなく保育され、親の付き添いなしで楽しい園生活を過ごしました。
そして、小学校も地域の普通学級で普通教育を受けることを望み、やっとのことで入学通知を手にしました。しかし、待っていたのは、親の付き添いが条件の学校生活でした。2年生からは、補助員が配置、3年生からはエレベーターも設置された、バリアフリー化された校舎でしたが、小学校では最後まで校外学習、プールは勿論、給食介助等のため、日常的に6年間付き添いを強要され、親子で大変な苦労をしてきました。
勿論、この6年間、親の付き添いなしの学校生活を求めて要望し続けました。ですが、教育委員会の回答は、現行教育制度が想定していない通常学級を選択したのだから、保護者にも当然児童の養育介護の義務があるというものでした。つまり、現行法の下では、障害児は教育委員会から入学通知を受取っても、想定外の子、ここにいるはずのない子、いてはいけない子であり、ここにみんなと一緒にいたいなら、保護者が付き添えと言われているのです。
息子の場合、その際たるものは、5年生の宿泊学習でした。私はできる限り協力はするが、補助員配置のある中、全行程への付き添いはお断りすると言ったところ、息子は当日の朝、一人だけバスに乗せてもらえず、置き去りにされたのです。事前学習で班やバスの座席も決まり、大きな荷物を持って心弾ませて登校し、お友達も早くバスに乗りなよと息子の名前を呼んでくれたのに。
そのとき、私が撮った写真があります。そこには無情にも出発する2台のバスと、独り取り残された息子が写っています。息子は、自分も乗せてほしいと、去っていくバスに向かって手足を必死にばたばたさせました。このとき私がどんな思いでシャッターを押したか、わかっていただけるでしょうか。余りにもむごい学校の仕打ちに、私もその場に泣き崩れました。このとき息子が受けた深い深い心の傷は、決して消えることはありません。同じ子ども同士なのにどうして、どうして息子だけこんな辛く悲しい思いをしなければならないのでしょうか。そして、この衝撃的な出来事は、私たち親子のみならず、周囲の子どもたちを始め、多くの人たちが今なお心を痛めています。
このように、親の付き添いの件で苦しんでいる親子が全国でどれぐらいになるのか、調査さえされていないのが現状です。実際、私も6年間付き添いを余儀なくされ、先日は腰痛で動けなくなり、息子の中学進学に当たって、もう心身ともに限界で、付き添いはできませんと訴えていますが、教育委員会は、補助員配置がある中でも、付き添いを続けるよう求めています。中学校の先生は、息子のことを心配してくれていますが、私が付き添えないため、息子は大好きな学校を休まざるを得ず、登校できずにいます。
ですから、勿論法改正もお願いしたいのですが、現行制度の中で今、苦しんでいる子どもたちにも、是非お力をお借りしたいと切に願っております。そして、法改正を進める上で、一番お願いしたいのは、障害の克服を障がい者自身に求める特別支援教育は、どんな形であれ、やめていただきたいということです。それは、私たちの願う教育とは対極にあるからです。
具体的に申しますと、これは知人のお子さんの実際の話ですが、体育のリレーでは、みんながバトンをつないで走っている間、障害のある子は自分の足で歩くことを求められ、独り離れて歩行練習をさせられたそうです。
また、私の息子は水泳授業で、私が付き添いを拒否したところ、ずっと見学を強いられました。しかし学校からは、お子さんをほかの子と違う特別な子どもと認めて、特別支援教育を受け入れるなら、付き添いをしなくても学校側でプールに入れるとまで言われました。普通学級で特別支援教育を断ると、子どもは教育を受ける権利さえ奪われてしまうのです。普通学級の中で障害のある子も一緒と言いながら、そこでは特別支援教育と称して、さらなる分離や差別が進められるということです。
宿泊学習に置き去りにされるなど、辛いことがあるのに、なぜ普通学級にいるのかと尋ねられたら、みんなの中にいるときの息子の笑顔が答えですと、私は胸を張って言い切ることができます。障害者権利条約の批准に向け、今こそ分離教育でなく、特別支援教育でもなく、障害のあるなし、そして障害の種類や程度にかかわらず、地域でともに学び、育つ教育への改革を進めていただきたいと心よりお願い申し上げ、以上、私の訴えとさせていただきます。
ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 以上で政務官、文科省の補足意見、6団体の意見の発表を終わります。
なお、教育に関しましては、たくさん何人かから質問があらかじめあったのですが、この内容とまずかみ合う点でいいますと、門川委員、尾上委員の発言から始めたいと思います。
冒頭に言いましたように、質問、意見をできるだけ端的にお願いできればと思いますので、門川委員からいきましょうか。
○ 門川委員 門川です。文科省の高井政務官がいらっしゃらないので、残念ですけれども、文科省からの答弁を伺っていると、障害者権利条約が推進しているインクルーシブ教育について、ほとんど触れられていないような印象を受けました。
私は、このインクルーシブ教育は、障害者権利条約でも推進されていて、また、私たちの住む社会においては、インクルーシブ教育、つまり障害のある子どもたちも、障害のない子どもたちも、みんな一緒に教育を受けることがベースにあるのではないかと考えているのですけれども、これがベースになって、その上、特別支援教育があるのではないかと思うのですが、文科省は、インクルーシブ教育の推進に力を入れる理由として、人的、物的整備ができないと言われていますが、どうも言い訳にしか聞こえないのです。何か理由があるのなら、是非教えていただきたいと思っています。
また、私自身の経験からすると、私は小さい時から盲ろうの状態にありまして、小学校から高校3年まで、今で言う特別支援教育、盲学校に通っていましたけれども、最初から盲学校を選択したのではなくて、親は勿論地域の学校に入ってほしいと考えていました。私には妹がいて、妹も同じ学校にと考えていましたけれども、教育委員会から、盲学校を勧められたという経緯があります。
その妹は、地域に歩いていける学校に通っているのに、自分はスクールバスに乗って、1時間かけて学校に通っていた。そして、そこには障害のある子どもたちしかいなかった。障害のある子どもたちを集めて教育をする、それこそ分離教育にすぎない。それでは一般社会に出ても、ほかの障害のない子どもたちと交流もうまくできない。この世の中は、健常者が大多数を占めていますから、その障害のあるなしを越えて、一緒に教育を受けるということは、基本中の基本だと考えているので、文科省がインクルーシブ教育を推進しようとしないということが、ちょっと納得ができないと感じています。これについてお聞きしたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 先ほど、東室長の質問にもあったんですが、お金のことが解決をすれば可能なのかという質問にダブってきますけれども、今の門川委員のお話は、本当にインクルーシブ教育について、お金のことと何か別の理由があるんですか。あるいはこの原則インクルーシブをどう思いますかということの質問がもう一度あったと思います。後でまたお答えいただきます。
では、まず尾上さん、いきましょうか。
○ 尾上委員 先ほど、お母さんのお話を聞いて、気が動揺して、本当に辛い思いをされたと思いますが、改めて、今のお話を高井政務官に是非聞いてほしかったなと思います。
というのは、先ほど、政務官は、「自分の求められる教育を得られることが大切だと言われた」と思うんですが、先ほどのお母さんのお話や、私たちがほかにいろいろ聞いているお話の中でも、今はやはり自分の求められる教育を得られない制度になっているんですね。
3月19日の推進会議でも、私は報告をさせていただきました。追加資料で新聞記事を入れております。
○ 藤井議長代理 尾上さん、ページ数を言ってほしいと全日本ろうあ連盟が言われています。
○ 尾上委員 分かりにくくて申し訳ないです。1枚ものの新聞記事が裏表であります。「12歳の思いと拒否する理由」と、その後3か月後の「やっと会えた」という新聞記事です。
○ 藤井議長代理 わかりましたか。
では、どうぞ発言してください。
○ 尾上委員 去年、こういう入学拒否事件のことがあったということを以前の推進会議でお話しした後、御本人からインターネットの動画配信を見られてメールをいただきました。本人の了承を得て紹介いたしますと「明花です。こんばんは。私も会議の様子をパソコンで見せていただきました。このパンフレットを使ってくださっているのを見て、とても嬉しかったです。明日は修了式。1年生としては最後の日です。2年生はみんなと一緒に4月からスタートできるので嬉しいです。これからも頑張ります。」ということなのですが、なぜ2年生はみんなと一緒に4月からスタートできることで嬉しいかというと、実は去年3か月間、地域の学校に行きたいという思いをずっと持っていながら、学校に行けなかった。これが21世紀の日本の現実なんです。
先ほど、保護者の意見の聴取ということが2007年以降されるようになったと聞いていますけれども、事実、その意見の聴取、先ほどのプロセスと権利ということに関して、保護者の意見の聴取のプロセスはあるかもわからないけれども、保護者の希望、選択の権利、あるいは地域の学校へ行く権利ということが定められていないために、こんなことが起きているわけなんです。
12歳の女の子が、3か月遅れの入学の中で、本当にこの後どうなるんだろうと、そのときどんな気持ちで過ごされていたのかと思うと、本当にたまりません。こんな辛い思いをさせてしまう、障害のある子とない子を分ける現在の仕組みを、現状の役割をインクルーシブのものに変えていく必要があるのではないか。こういう事態が起きていることについて、文科省さんとしてはどう思っているのかということをお聞きしたいのが1つです。
そしてもう一つですが、先ほどの保護者Aさんのお話でも、ぎりぎり何とか地域の学校に入れても、必要な支援、合理的配慮が得られないということにやはり問題があるのだろうと思うんです。合理的配慮というのは、先ほど東室長と高井政務官のお話の中ですごくクリアーになったと思うのですけれども、1つは、プロセスも勿論重要です。でも、その前提に、権利としてそれが認められているかどうかが重要だというお話でした。合理的配慮というのは、本人や保護者が請求できる権利ということがやはり確認されなければいけないということと、その中で例えば合理的配慮の中には、すぐにエレベーターができなくても、2階の教室をみんな1階に移すということも含めて、いろんなやり方ができると思うのです。
今回の文科省さんの添付資料<2>というのは、やはりいただけない。あたかも地域の学校に行くことを権利として認めたら、今までよりも10倍以上のお金がかかるんだという形で、取って付けたような形で、ためにするような資料ではないのかという思いがします。
やはりここら辺、是非とも先ほどの門川さんの質問とも関係しますけれども、文科省さんはインクルーシブ教育、あるいは障害のある子が地域の学校へ行くことに対して、なぜそんなに嫌がっておられるのか、その理由をお聞かせ願いたいと思います。
○ 藤井議長代理 一旦ここで質問を打ち切ります。
恐らく、今日ここにいる方たちは、共通の点があると思うんです。それは恐らくすべて障害を持つ子どものためにということは、だれしも多分反対ないと思うんです。これは文科省にしても、今の尾上さんたちの意見にしても、障害を持つ子のために。
多くは特別支援学校という形態は、否定はしないと。これもやはり多くの共通項だと思うんです。その上で、余りにも今日、普通学校に行く道が狭いと。しかも、その基をたどると、保護者の選択権ということが制度化されていないという問題に起因するという点。こういったことを踏まえて、一方で権利条約が示した原則インクルーシブという大きな方向性は、世界中で日本政府を含めて、これで一致したわけです。
これを合わせて2つ質問がありました。先ほどの東さんの質問にもお答えになっていない点もありますから、つまり、お金の問題なんですかという問いかけと、改めてインクルーシブを文科省はどう思いますかという問題と、今の尾上さんの提起ですね。一旦ここでお答えいただいた上で、更に議論を深めていこうと思っていますので、政務官はいらっしゃいませんから、文科省の方からお答えいただけますか。
○ 斎藤課長 御質問ありがとうございます。幾つかございましたけれども、それぞれについて1対1のお答えにならないかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 お名前をお願いいたします。
○ 斎藤課長 文部科学省特別支援教育課長の斎藤でございます。
まず、インクルーシブ教育システムの実現に向けて、文科省は何もやっていないというお話がございましたけれども、実際には、小中学校における体制整備ですとか、教員の専門性向上と、教育関係のリソースに限りがある中で、一生懸命担当課としては努力をしているつもりでございます。勿論十分ではないと思っております。
今後更に目指していく上で、インクルーシブ教育と特別支援教育は矛盾するという観点のお話が多かったんですが、これについては先ほど政務官からもお話をしたとおり、むしろ進め方のペースの問題があるかと思っております。具体的には、民主党の法案でも提案されていましたように、第9条の1で選べる仕組みをつくると同時に、2で、その必要な体制整備とか、学校施設整備を充実していくということが、言わばセットで書かれていたと思っております。逆に言いますと、今までいろんなケースがございまして、中には奈良県下市町のケースもそうだったと思いますけれども、残念ながら保護者の方の意向とかみ合わない部分があって、最終的には裁判になってというケースもあったかと思います。これは1つには、ここで言われている通常学校における教員の確保とか、人的体制、施設整備、環境整備という前提がちゃんと満たされていなかった点に理由の一端があったのではないかと認識をしております。
その上で、インクルーシブ教育システムの構築を目指す上では、やはり先ほど申し上げたように、専門性のある教員の確保、人的体制の整備等々が必要ですが、更にそのための財源確保を前提とした上で、実際にインクルーシブ教育システムの構築を図っていくためには、もう一つ考えていくべき課題は、先ほどの学校団体のところでもありましたように、例えば知的障害のある児童生徒さんの教育を始めとして、教育の課程とかカリキュラムをどうすべきか。とくに権利条約にもうたわれた発達を最大限に達成するという目標が一方で失われてしまっては、何のための制度改革かわかりませんので、それをいかにして実現していくか。そのために必要な教員の専門性をどう担保するか。更には、今の特別支援学級とか、通級指導等を行ってございます。これについてそれぞれまだ不十分だという御指摘もあろうかと思います。これを例えば特別支援教室構想という形で、更に柔軟かつ色々なきめ細かい支援ができるように変えていくという構想の具体化の検討など、いずれも長期的視点から検討していくべき課題がたくさんあると思っております。ただ、だから何もしないということではなくて、リソースを少しずつ拡大しながら、漸進的にやっていこうというところで、今、頑張っているわけでございまして、あくまでも試算A、Bというのも、これがないからできない、ということで出したつもりはございません。AとBの間で、現実的にどこまでできるか。これは政治の御意思もあろうと思いますけれども、それを踏まえた上で、一番いい制度改革の在り方を、要するに制度は作ったが、全く魂が入らなくて、むしろ奈良県のような事例がどんどん増えてしまうということではいけないと思っておりますので、その点は努力をしていく必要があると思っております。
奈良県の事例について、若干触れさせていただきますと、御指摘の事案は大変文科省としても心配をして見ておりました。具体的には、安全確保というのが前提でございます。これを大前提にしながら、お子さん、明花さんの教育的ニーズに応じた適切な指導、支援がなされるというのが、まず何より大事だと考えて、奈良県教育委員会から報告をいただきました。3月近くだったわけですが、この生徒さんの教育を受ける権利というのが確実に保障されるように、関係者の間で十分な調整を行い、奈良県教育委員会、下市町の教育委員会において、適切に対処するようにという指導を行ってまいりました。
ただ、これは現行の仕組みで意見聴取の義務があったにもかかわらず、こうなったという御指摘がありましたけれども、更にこの先の改革として、就学先決定のプロセスについては見直しますということを先ほど申し上げました。障害者権利条約の趣旨を踏まえまして、これから就学基準に照らして、原則特別支援学校、特別な事情がある場合に小学校、中学校という仕組みを変えましょうと申し上げております。具体的な見直しの方向性の中にも、保護者への十分な情報提供、より早期からの相談支援というプロセスを含めて、プロセスだけの改定だとおっしゃるけれども、そこはまずプロセスが伴わないと、幾ら立派な制度をつくっても、実際の現場での対応はなかなか進まないと思っております。ただ、勿論制度については、先ほどから御指摘のあるような権利の担保という意味で、保護者の方の実質的な選択権をいかに担保できるかという点を、これから制度改革において詰めていく必要があると思っておりますが、ただ1点、資料にも書かせていただいたとおり、イギリスのケースを考えても、やはりほかのお子さんに危害が及ぶ場合がある。保護者の意向というものが適格にとらえ切れない場合がございます。これは虐待の場合もそうかもしれませんし、あるいは例えば就学前健診が全く受けられなくて、障害の状態がわからない。どう支援していいか、場合によると普通学校へ入ったものの、命の危険が生ずるということでは、全く大変な事態が生じますので、その点についてはやはり留保というものを考えざるを得ないかと思っております。その辺りをどう制度化するかという点について、これからこの会議の御議論も踏まえて、文科省において検討していきたいと思ってございます。
幾つかお答えの漏れている点はあるかと思いますが、時間の関係で、また必要があれば、後ほどお答え申し上げたいと思います。何か学校の方からございますか。
○ 尾崎氏 特別支援教育の方は、児童、生徒がとにかく学校に行きたいと。保護者も是非教育を受けさせたいと、そういう保護者と特別支援学校の連携で、初めてその子の教育ができるものだという認識をしております。ですから、保護者の意見を最大限尊重するような制度、仕組みについては、是非実現をしていただきたいなと思っています。
○ 藤井議長代理 発言していない方はだれですか。長瀬さんですか。
では、竹下さん、大谷さん、長瀬さん、関口さん、清原さんの順番で行きます。時間が大分迫っているので、端的にお願いします。
○ 竹下委員 非常に短く、竹下です。
まず、連盟の意見を見ておりますと、その3番目に、選択権は保障されるべきであると明確に書いておられます。しかし現実には保障されていないと思うんですが、この点を連盟はどうお考えなのでしょうか。これが1点目の質問。
2点目は、特別支援学校における専門性ということをほぼ皆さん一律に強調されました。ところが、流れは、特別支援学校における専門性が否定されている流れを事実として指摘せざるを得ません。私は盲学校出身ですけれども、盲学校の先生で点字を知らない先生が半分以上です。これをもって専門性と言えるのでしょうか。
したがって、特別支援学校における専門性の担保とか、専門性の確保というものは、現実には確保されていないという、現在の学校の情勢をどう受け止めておられるのか。これが2点目の質問。
最後に、学籍一元化については、お金の問題や教員配置の云々を指摘しておられますが、それらの指摘は、学籍一元化をすれば、特別支援学校の危機だとも書いてあります。そのことは、何か特別支援学校を守るための話から出発しているとしか聞こえないので、聞きたいのは、学籍一元化は間違っているということが必要なのか。学籍一元化は正しいという前提があるのか。それについての的確なお答えをお願いします。
以上です。
○ 藤井議長代理 質問相手は、3点とも文科省ですね。
○ 竹下委員 文科省で結構です。
○ 藤井議長代理 それでは、佐竹さん、連盟の方からお答えいただきましょうか。
では、大谷さん、時間がありませんから、できれば1人1問でお願いします。
○ 大谷委員 では、文科省に関して伺いますけれども、原則分離を変えて、総合的な判断にするとおっしゃいました。ただし、具体的にそちらで挙げているケースは、原則分離を変えるといいながら、こういうケースのときには親の意向を尊重しないと言われている添付資料の中の4つのケースなんですけれども、親の障害受容が得られていなくて、個別支援計画の作成が認められない場合には、保護者の意向を尊重することは困難であると言われています。
一方、個別支援計画は非常に大事だと認めておられますけれども、要するに、保護者が個別の教育支援計画の作成に応じられないような場合には、結果として障害受容をしていないのであると。だから、保護者の意向を尊重することはできないんだと例示したとしか思えないのですが、今回、徳田さんとか今日来ていただいたAさんなどは、障害受容がされていないという見解として例示されたのかどうか、伺いたいと思います。
○ 藤井議長代理 長瀬さん、どうぞ。
○ 長瀬委員 東京大学の長瀬です。貴重な機会をありがとうございます。私も質問を選ばせていただきます。
最初に、この条約交渉のプロセスの中で、文科省としてもインクルーシブ教育に最終的に乗ったということは、障害者の機会均等化に関する基準規則(基準規則)からの歴史的なプロセスを見たときに、本当に大きな方針転換をされたということで、非常に歓迎したいと思います。そして、別添の予算の水準を見たときに、これは数字で潰すのかと最初に誤解をしましたけれども、そうではなくて、条件闘争に移られたと考えます。ですから、これからインクルーシブ教育を実現する文部科学省を応援していきたいと思います。
私の質問ですけれども、資料の11ページで、日本の特別支援学校、聾学校だと思いますが、手話が保障されているという記述があって、非常に心強く拝読しました。昭和8年の鳩山一郎文部大臣の訓辞以来、手話を否定してきた日本の聾教育を明確に転換するという意思表示だと思います。これを具体的にどう聾教育の中で実践されていくのか。言語である手話を用いた聾教育をどう実現されていくのか、それを具体的にお伺いさせていただきたいと思います。
今の質問は文科省ですが、もう一点だけ、全特連の佐竹さんにお願いします。
先ほど、パラリンピックのたとえを使われました。本当にそのとおりだと思います。北京オリンピックのときに、義足の選手がオリンピックに参加しようとしました。その方がパラリンピックの場を選ぶ、しかし、オリンピックにも参加できる。その方がすばらしいと思います。それと同じことを教育の中で、特別支援教育も選べるし、地域の学校も選べる。そういうことを障害者の権利条約は述べていると思います。それをこの推進会議でも実現しようとしているのだと思いますが、先ほどのパラリンピックのことについて、やはりその方がパラリンピックにも出られるし、オリンピックにも出られる方が望ましいという考え方について、御意見を伺えれば幸いです。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 全国「精神病」者集団の関口です。資料の4ページ、学校教育法第80条で、都道府県が特別支援学校を設置しなければならないと設置者を義務づけていて、第78条で寄宿舎を設けなければならないと書いてあるんです。これについて、もれ聞くところによると、東京都は6つ新しいものをつくるそうです。
先ほど、文科省の方になかなかいいことをおっしゃっていただいたように思うんですけれども、実際に行われている政策は、こういう特別支援学校、つまり分離する学校をつくり、そして寄宿舎をつくり、前の養護学校時代には、平均年齢27歳まで寄宿舎にいたなんていうことが起きているわけですよ。こういうことというのは、言っていることとやっていることが違うのではないかという疑念がすごくあって、ちょっと信用できないかなというのがあって、その辺はどうなんですか。
○ 藤井議長代理 清原委員、どうぞ。
○ 清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。今日は皆様本当に御報告ありがとうございます。私は1点に絞りまして、就学先決定の仕組みについて質問をさせていただきます。できましたら、小学校の校長先生、佐竹さん、徳田さん、可能ならAさんにもお答えいただきたいと思います。
就学先決定の仕組みについて、文部科学省では資料の別添<1>にありますように、見直しを進めているという御報告をいただきました。三鷹市でも乳幼児期から発達障がいを含む、支援が必要な子どもたちの早期発見、早期療育の健康福祉施策を進めることによりまして、早期からの子どもたちへの支援と保護者に寄り添った丁寧な相談を行うことに努めています。そのことが小学校入学時の就学相談につながってきたことが挙げられます。言わば教育委員会だけではなくて、行政の健康や福祉施策と連携した取組みの有用性を認識しているところです。
その意義というのは、これからもあると私は思っておりますが、今日の御報告で、徳田さんやAさんは、むしろこの就学相談そのものに問題があるという問題提起をいただきました。私としては、一人ひとりの障がいの種別や状態に応じて、教育の保障をしていくことが望ましいと考えているわけですが、しかも文部科学省は見直しをしていく方向を示されているわけで、私としては、就学先決定の仕組み、プロセスというのは、引き続き重要だと思っているものですから、教育委員会と市長部局がより一層、特に障害福祉部門が連携していきたいなと思っています。意見が分かれるような御報告をいただいたものですから、この点について、加えて御発言がありましたら、していただければありがたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 北野委員、端的にお願いできますか。
○ 北野委員 端的にと言われても、言いたいことはいっぱいあるんですけれども、1つは、文科省の最初の総論の中で、インクルーシブ教育の理念ということの説明が非常に不足しているといいますか、インクルーシブ教育の理念というのは、実は私たちの障害者権利条約には、3つ書いてあるんです。そのうちの1つだけを取り上げておられまして、どうもそれでは足らないのではないかと思うんです。
1つ目は、人権及び基本的自由、人間の多様性の尊重を強化する。つまり、ともに生きるという人間的な多様性を尊重するということが1つです。
2つ目は、最大限の発達。
3つ目は、本人の効果的な社会的参加というのが教育の目標になっています。
つまり目的は、大切なものが3つあって、1つだけを強調されていることに少し不安を覚えまして、やはり社会参加と、ともに生きるということは、教育の目的であるということを明確にしていただきたいと思います。そのことが全体のゆがみを生んでいると思っています。
私の質問は2つあります。
1つ目は、本人の教育に関する計画の問題なんですけれども、本人教育支援計画を権利として明確にするということを明確に考えておられるかどうかということなんですが、これが権利として明確にならない場合、どうしても一人ひとりの合理的配慮というものが権利になりませんので、まずこれを権利化するということを明確にできるかどうかということが1つです。
もう一つは、一番気になっているのは、やはり学校教育法施行令の第5条の、原則として特別支援学校で、特別な事情のある場合は普通学校となっていますが、これをはっきり原則としてインクルーシブ教育ですので、原則として普通学級で、特別な事情のある場合というのは、アメリカなどの場合は、それをすることが必要なことを立証する責任というのは、教育委員会側にあるんですけれども、教育委員会側がそれを立証する責任を負ってする場合には、特別な場合には、その他の学級・学校という方向までちゃんと明記する気があるかどうかということを明確にしていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 本当は時間がまいったんですが、お答えをいただきましょう。
まず、特別支援教育推進連盟の佐竹さんですね。3つ質問がありました。竹下委員からは、保護者の選択権ということで、明確に認めているんだけれども、今はそうなっていない。保護者の選択権について、どう見ているのかということ。
長瀬委員からは、パラリンピックあるいは一般のオリンピック両方にということであってもいいのではないか。この辺をどんなふうに考えるかという問題。
それから、清原委員から、就学相談の現状の点ですね。
これは佐竹さん、お答えできる範囲でお願いできますか。
○ 佐竹氏 私は親でございますので、知識のないところは、後ろに大南副理事長が控えておりますので、そちらにヘルプを頼みたいと思います。私が答えられる範囲でお答えいたします。
最初の就学権の決定が、親の意見、要望に沿って行われているかというところです。私はまだ養護学校時代の就学相談を経験した人間として、先ほどAさんが今、普通学校で大変辛い思いをなさっているというお話がございましたが、私も保育園は普通の保育園で、地域のところに入れておりました。そこに入れるのがまた大変で、電話をかけること三十数件、実際に見に行くこと十数件、お話しをすることも多々ありましたが、やはり最後にはなかなか歩けない子を受け入れるのは難しいという回答で、待ちに待って、たった1年ようやく行かせることができました。そういう経験では、多分Aさんと気が合うのではないかなと思っております。
何が言いたいかといいますと、就学決定に関しましては、親が折れない限り、一方的に通知を送られてくるということは、その時代でもございませんでした。ただし、3月31日の夕方5時の便で届いたという例は、お友達にはあります。そういう意味では、親の意思がかなり固ければ、就学決定は親の意思どおりになされています。ただ、これはまだそれはそれで問題であるとして、決定をなされるまでのプロセスですね。説明と学校の現状と階段しかないようなところ。スロープもない、エレベーターもないところに受け入れるよといって、その後どうなるのかというところですね。これは1人の親が要望しても、なかなか改善はされません。
ただ、皆さんやはり同じ教育者ですから、例えば二分脊椎のお子さんのお友達なんですが、ウォシュレットが養護室の方まで来ればあるんだけれども、そちらを使ってもいいよとか、例えば体育の時間、別の先生が一緒について、体育の授業は難しいが、また別の楽しみを与えてくれたとか、そういった工夫はあります。
だから、悲しい結果のところにつながるところというのは、やはり親御さんと学校側と教育委員会と第三者がもし可能であれば入って、いろいろな場面で相談をし、親御さんも子どもに、極端な例で申し上げて、もしかして失礼になるかもしれませんが、発語ができないお子さんに弁論大会に出せと言われても、学校も困るわけですね。そういったいろいろな事情を加味して、やれること、やれないことを親御さんもしっかりと把握する。
それから、話が反れますが、先ほどのバスに置いていかれた話とか、いろいろ辛い思いがございましたが、これは特別支援学校でも、親は必要に応じて介助に入っているんです。誤解のないようにお願いいたします。特別支援学校に行ったら、親は丸投げではありません。私も3年生まで子どもの介助に学校についておりました。先ほどは時間がなくて話せなかったんですが、医療的ケアのお子さんについては、親御さんたちは学校にいる間中、つい最近、2、3年前までは、法整備が進むまで、要するに医療的ケアの介助員が外れたのは、特別支援教育が推進されたことによって、初めて医療的ケアの親御さんは学校から介助を外れることができたわけです。これは普通学校にいても、養護学校にいても、親御さんの苦悩というのは、多分一緒だと思います。先ほどのAさんは、大変辛い思いというお話をなさいましたが、私も同じでございますので。
○ 藤井議長代理 時間が余りないので、少しまとめてお願いできますか。
○ 佐竹氏 済みません。
それから、パラリンピックの話でございますが、長瀬委員から御質問がありました。パラリンピックと表現させていただきましたのは、そういう競技もあっていいのですねという思いでございますので、オリンピックに出られる選手、パラリンピックを選ぶ選手があってよろしいのではないかと思います。
もう一つは何でしたか。
○ 大南氏 特別支援教育推進連盟の副理事長の大南ですが、先ほどの清原委員の御質問の中で、早期からの問題がありましたが、これは全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会の意見の中に、障害の早期発見、療育の充実は早急に取り組まなければなりません。発見が遅れたことが理由で、多くの児童、生徒の障害の状態が悪化しています。そのためには、早い段階から特別な支援を受けられる環境をつくらなければなりませんという御意見がございます。
最近では、各地で支援ノート、いろいろ名前が付いておりますが、そういうものがつくられていて、かなり早い時期から、障害のあるお子さんについての相談が、医療、保健、福祉、更には教育というところで行われておりますので、このことは今後も、制度が変わる、変わらないではなくて、障害のあるお子さんにとって、保護者の方の支援も含めて大事なことではないかと思います。
どうもありがとうございました。
○ 藤井議長代理 清原委員の質問にお答えですね。
○ 徳田氏 私は就学前の障害児の保育施設で働いています。もう36年間やっていますが、障害のある子どもたちのお母さんたち、お父さんたちは、ひまわり教室という施設なんですが、そこへ来る前、子どもが、2つ、3つのときにもう既に「うちの子はみんなとは別の学校に行かなければならない」と思い込んでしまって来るわけです。多分そういうふうに思い込まされているんだろうと思うんです。
私たちのところでは、毎月1回個別相談をするお母さんとゆっくりお話をしながら子どもの育ちについて相談をする、ということをずっと続けてきました。そしてその一方で、障害がどんなに重くても地域の学校でやっていけるんだよ、地域の学校に入っていくことはできるよ、という情報を提供するようにしてきました。
そういう中で、非常に多くの親御さんたちが、寝返りもできないような随分障害の重い子がいたりするんですが、そういう子の親御さんたちも、できることならたくさんの子どもたちの中で育ててやりたいと思うようになっていくわけです。ところが、いざ教育相談に行ったりすると、今の制度の中で対応される。教育委員会の方々は、本当にまじめに考えて、「おたくのお子さんには、丁寧な教育がいいから、特別支援学校がいいですよ、養護学校がいいですよ」ということで指導されるわけです。そのときに、親御さんが、「うちの子はみんなの中にいて、とても楽しい、いい顔をするんです。それを私は見たんです。だから、みんなの中に入れてあげたいんです」ということを言っても、「お母さんの理解がまだ十分に得られない」と思われてしまうわけです。「この子の成長のこと、将来的なことをよく考えて、本当は特別支援学校に行くべきなのに、そう考えることができない。まだこのお母さんは、十分に自分の子どもの障害を認識していない、受容していない」とみなされてしまうわけです。そうすると、ますます丁寧な指導ということで、2月、3月になっても就学先が決まらないということが起こってくるわけです。
実際に何とか3月ぐらいまでで決まって、地域の学校へ入っていくという例が、我々のところでは随分あるんですが、実際に入ってみると、教育委員会の方々が考えていた以上の、とてもいい生活ができるということを皆さん見ているわけなんです。見ているんだけれども、ではそういう経験を次の教育相談に生かすかというと、残念ながら、各地方行政の教育委員会の方々は、制度に縛られているために、どうしても制度に乗っかった指導をしてしまいます。
ですから私は、どういう障害を持っている子でも、権利として地域の学校に就学することができるんだ、普通学級にきちんと席が保障されるんだということを大前提にしなかったら、今、幾ら丁寧な教育相談をしたり、あるいは親御さんの意見を聴取したりしても、結果として振り分ける方へ進んでしまうような気がします。ここが特別支援教育の持っているとても大きな問題だと思っています。この辺を変えていかないと、インクルーシブ教育が提案しているような、本当に一人一人が地域の中で大切にされて、ともに学び合っていくような教育が実現できないのではないかと思っています。
○ 藤井議長代理 匿名のお母さんは、何かございますか。
○ 保護者A よろしいでしょうか。保護者Aです。
今、徳田さんがおっしゃいましたように、私も就学時健康診断は廃止していくべきと、今日の資料の35ページにも、(4)で書かせていただきました。その理由といたしまして、乳幼児健診から始まって、各種幼児健診がございます。小学校までの入学までありますが、このような健診で障害が見つかりますと、当たり前のように分離が始まります。発達支援センター、療育施設等への紹介がなされ、親子とも地域の人々と離された空間で訓練を勧められて、少しでも早く障害を克服することが子どものためであると言い渡されます。それによる早期分離にそれがつながっていくと考えております。
子どもはみんな違ってみんないい。特別な子どもではなく、1人の子どもとして見てほしいと思っております。子どもは子どもの中で育つと思っております。私の子どももそうですが、専門家の先生にさあ訓練だといって、こちらを見てごらん、顔を上げてごらんと言われても、顔が1回しか上げられない。でも、保育園に入ったときどうだったでしょうか。お友達が何々ちゃんと呼んでくれると、すっと顔を向ける。本当にこれがみんなの中で育つということなんだなと思いました。
就学時健康診断ですけれども、ですから、これは障害児を見つけ出したり、子どもを分離するためのものの以外、何ものでもありません。就学時健康診断を受けることは、義務でもありませんし、小学校に入学すると、すぐにより詳しい健康診断がございます。本当にこれは税金の無駄であると思っております。
でも、このことは、小学校に入ったらすぐ健康診断がありますよということは、一切知らされません。就学時健康診断は、廃止していくべき。これは今回法改正にしていくに当たっては、必ず必要なものと考えております。
○ 藤井議長代理 実は今日、この後の政務官の時間をかなり拘束していますので、これで終わらせないといけないんですが、文書にて、先ほど東さんが冒頭部分で、大事な質問をして、一部はお答えいただきましたけれども、あとはお答えいただいていません。今、竹下委員で始まって、ずっと大事なことが続きました。
これは斎藤課長、どうしましょうか。文書でいただけませんか。
○ 斎藤課長 承知しました。たくさん質問がございましたけれども、2、3分いただければ、盲学校と聾学校の専門的な教育につきましては、今日まいりました特別支援学校も交えて、ポイントだけお答えをしてみたいと思います。
個別の教育支援計画についての御質問は、大変重要な御質問でございました。きちんと権利として明示すべきという御指摘もあったのですが、現在、個別の教育支援計画というのは、学習指導要領において明記をしております。これは特別支援学校の方も義務になっておりますので、必ずつくります。
通常の小中学校につきましては、必要に応じて作成ということでございまして、これは作成率がまだ低い状況であります。これをきちんとつくることが、言わば保護者の方の参画という意味でもそうですし、支援に関する合理的配慮をきちんと見定めていくという点でも、大変重要なツールになっておりますが、いかんせん、指導要領を改訂いたしましたのは、一昨年から昨年にかけてで、まだ現場に十分浸透していない面もございます。これをきちんと徹底していきたいと思っております。
ただ、大谷委員からは、逆に保護者が教育支援計画を受け入れないケースについての御質問もあったのですが、これについては、受け入れた後の個別の教育支援計画とは区分けしまして、言わば移行期ですね。就学段階への移行期における教育支援計画という位置づけになるかと思います。これについては、まだ文部科学省の協力者会議の提言で出したばかりの状態で、まさにこれから制度をつくっていく段階にございますので、権利条約の趣旨も踏まえながら、どういう計画づくりが望ましいかという点をよく考えていく必要があると思っております。
それから、寄宿舎に関して一言だけ申し上げますと、あくまでも当初の趣旨は、通学の便宜のためということでございます。分離のためというのは、全く考えておりませんけれども、ただ、最近は交通の便が発達してきて、東京都の場合、我々が承知しているのは、むしろ数が減ってきているのではないかと思っております。そのかわり、新しい使命として、やはり社会生活実践の訓練とか、そういう新しい機能とか役割も重要だという声もございまして、その点については、むしろ残してくれという要望がございますので、それも踏まえた上での対応が必要かと思っております。
その他については、また別途、文書なりでお答えを申し上げようかと思います。ひとつよろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 少し深まった部分と、しかし、相変わらず並行線の部分とあります。
しかし、私が言いましたように、本当に障害を持つ子どものためにということの視点がしっかりしていれば、恐らくこれについては方向性が出ると思うんです。是非、今後また検討してください。
とりあえず、今日の御意見については、文章をもって近々お答えいただくということで、まだ議論の半ばでありますけれども、時間がまいりましたので、これで終わります。団体関係者の皆さん、御発言ありがとうございました。これでもって教育関係のお話を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
それでは、時間が10分ですので、15分間休憩して、16時25分から開始しますので、休憩に入ってください。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、第3コーナーに入りますが、着席をしていただけますか。いいですか。
先ほど、文科省の質問の折、私の方で質問を制約してしまいました。大谷さんを始め、後の人は2つも質問したではないかということがあったものですから、明後日までで結構ですが、手を挙げなかった方も含めて、これはやはりお答えしてほしいという質問があったら手短に、東室長に、メールなりファックスで文書を送っていただく。それを含めて文科省の方には文書回答を求めますので、そういう配慮をさせていただきます。よろしいですか。
新谷委員、どうぞ。
○ 新谷委員 先ほどから気になっていたのですけれども、質問書を出した意味というのは、質問書はその場では回答いただけないとしても、後日文書回答はあると理解しているのですが、そうではないのですか。質問書を出すよう依頼を受けて出したわけですから、それに対する回答は何らかの形でいただかないと困ると思うのです。時間がないので、その場で質問ができないのはよくわかりますが。
○ 藤井議長代理 お答えがなかった点についても、東さんからまた追加質問していただいて、きちんと文書でいただこうと思っています。新谷さん、いいですか。
○ 新谷委員 改めて追加質問が必要ですか。出しているのだから、受取っておられて、質問内容を理解されていると思うのですけれども。今日は質問も出来ていませんし、回答もいただけていないので、その分は改めて質問書を出す必要はありますか。
○ 藤井議長代理 それは今日正式な文書回答が入っていない点については、もう一度突っ込んだ方がいと思うんです。
○ 竹下委員 新谷さんが言っているのは、今、質問したことと同じで、回答がされていないと認識しているから、その分について改めて回答をもらってくれませんかと言っているんですよ。
○ 藤井議長代理 そうですね。それは回答をもらうということです。
新谷さん、いいですね。
○ 新谷委員 はい。
○ 藤井議長代理 では、第3コーナーは、総務省関連です。総務大臣政務官の階猛さんから、意見表明を10分間お願いいただいて、その後にまた質疑に入ってまいります。
なお、階政務官は、本来35分で終わる予定だったものですから、その後に予定も入っているらしいので、途中ちょっと抜けるかもわかりませんとおっしゃっていますので、あらかじめ御了承ください。
では、階政務官、お願いします。
○ 階政務官 どうも皆様お疲れ様でございます。総務大臣政務官の階と申します。本日はヒアリングの場にお招きいただきまして、ありがとうございました。
以下、座らせて説明をさせていただきます。
お手元に、総務省から出させていただいている「ヒアリング項目に対する意見書」というものがあるかと思います。こちらに沿って、10分間をめどに説明させていただきます。
まず、1つ目の項目です。選挙広報などの行政の提供する情報というテーマでございます。
総務省としましては、視力に障害のある有権者が投票しやすいように、候補者の氏名、政策等を点字で記載した選挙のお知らせ版を視覚障害者に配付することと加え、音声コード、テープで作成された選挙のお知らせ版の活用についても、各都道府県、選挙管理委員会に依頼してきており、今後とも障害者団体等とも連携しながら、視覚に障害のある方の投票環境の向上に努めてまいりたいというのが、視覚障害者向けの対応でございます。
2ページは、政見放送などの選挙に関する情報というテーマでございます。
政見放送につきまして、今、私どもで検討しているのは、字幕付きの政見放送。これは参議院の特に比例代表の選挙にこういったものが導入できないかということを今、検討しているところでございます。NHKとの間で、今、交渉中ですけれども、NHKの方はなかなか消極的でして、スタッフが足りないので、なかなか対応できないということなどを申していまして、原口大臣もこの字幕付きの放送については、何とか参議院の選挙から導入してほしいということで、今、NHKと詰めの交渉をしているという状況でございます。
3ページは、選挙権、被選挙権に関する欠格条項(成年被後見人であること)ということで、成年被後見人に対しては、選挙権、被選挙権に関する欠格条項が設けられているということについて、どう考えるかということです。
私どもとしましては「事理を弁識する能力を欠く状況に在る者」というのが、成年被後見人の定義でございますけれども、こういった方たちに対して選挙権を認めることについては、慎重に検討すべきものと考えるが、いずれにせよ、選挙権及び被選挙権を有する者の範囲をどのように定めるかについては、選挙制度の基本に関わる問題であるので、各党、各派において十分御議論いただくべきという書き方になっております。
ただ、これは役所の書いた文書でございまして、私が考えますのは、そもそも成年被後見人のような精神状態の方であっても、後見人が選任されていない場合、こういった方が投票所に来た場合に、あなたは精神能力が低いから投票してはいけませんということは言えないわけです。実際上は、形式的な後見人が選ばれているかどうかで決めているわけでございまして、だとすれば、そういった形式的な基準で、場合によっては精神能力がこれに満たない方でも、投票を認めている以上は、もはやこういった制限を設けている実益はないのではないかとも考えられ得ると思います。そういったことも踏まえながら、この論点については、これから検討していきたいと考えます。
5ページは、投票所への移動支援というテーマでございます。
総務省の考え方ですけれども、総務省としては、投票所への移動が困難な有権者に対する投票機会をどのように確保していくかは、重要な問題と認識しており、その手段を検討してまいりたいというのが結論でございますが、より具体的に申し上げますと、下の2つ目の○にありますが、現在、中山間地域など、投票所から距離のある地域では、巡回バスを運行する市町村もあるそうです。こういったことも踏まえまして、総務省としては、投票所への移動が困難な方々の投票機会を確保するための市町村の取組みを支援して、選挙の公正確保との調和を図りながら、今後ともその手段を検討すると書かせていただいております。
この支援という中には、今回、参議院選挙では、ある程度の財政的な支援もしていこうと考えているところでございます。
6ページは、投票所の物理的バリアーというテーマでございます。
こちらの総務省の考え方ですけれども、総務省においては、投票所の選定に当たっては、高齢者や歩行が困難な身体障害者等の便宜を考慮して、適切な施設を選ぶことのほか、エレベーター等、昇降設備のない2階以上の室に設けることは避けること。段差がある場合には、スロープを設置すること。視覚障害者や歩行が困難な身体障害者の誘導等について、十分な配慮を行うことなどを助言しているところであり、今後とも身体障害者との便宜を考慮した投票所の設置に努めるよう、助言してまいりたいということでございます。
7ページは、投票所内での障害に応じた必要な配慮ということでございます。
私どもの考え方は、投票所内での障害に応じた必要な配慮については、総務省においても点字による候補者名簿等の備え付け、投票所の段差解消の措置、障害者に配慮した投票所の設備、備品の用意等について助言しているところであり、投票所を設置する市町村選挙管理委員会において、適切に措置されているものと考えているが、今後とも身体障害者等の便宜を考慮した投票所の設置に努めるよう助言してまいりたいということでございます。
8ページは、投票所内で投票できない場合の現行の代替措置(郵便投票など)というテーマでございます。
こちらについては、引き続き検討してまいりたいということでございますけれども、投票所内で投票できない方をどうするかについては、各党、各会派においても御議論いただきたいと書かせていただいております。
この各党、各会派において御議論いただきたいというのは、こういう選挙の問題についてはよく出てくるフレーズでございます。なぜこういう政府がやらないで、各党、各会派に任せるのかということが気になるわけでございます。
これは公職選挙法というのが、一面では投票する方たちの投票の自由を確保するという目的もありますけれども、一面では、政党、その他、候補者サイドの選挙活動の自由というのにも関わってくるわけでございまして、その制度の在り方によっては、特定の政党、特定の候補者にとって有利になるというケースも考えられるわけでございまして、そういったことから、この選挙制度の改正について、各党、各会派で合意が必要だということから、先ほどのような表現があるということでございます。
ただ、役所の説明はそういうことなんですが、やはり選挙運動の自由に関わる問題と、投票の自由に関わる問題は分けて議論すべきではないかと考えます。投票の自由に関わる問題、すなわち投票所へのアクセスであるとか、投票のしやすさとか、こういうことについては、政府として取組むべきではないか。そうしたからといって、政党あるいは候補者の平等を損なう、選挙運動の自由を損なうという問題は、必ずしも生じないのではないかと考えますので、この辺は考え方を改めていきたいと考えております。
10ページは、点字投票の場合における投票の秘密ということでございます。
点字投票の場合における投票の秘密は守られているというのが総務省の書き方でございますけれども、これもまたちょっとそっけない回答になっていますが、これは多分問題意識としては、実際、各投票所において、点字投票をしている人はごくごくわずかであるから、点字投票の投票用紙があれば、もう事実上、だれが投票したかというのがわかってしまうということだと思うんです。実際は、投票所ごとに開票するわけではございませんので、ある程度まとめて、それを全部シャッフルした後で開票しますから、ごくごくわずかな人の中で点字の方が特定されるということは、必ずしも言えないわけでございますけれども、確かにこれは点字投票される方にとっては気になることだと思いますので、よりよい方策がないかどうかということも検討していかなくてはならないと思っております。これも貴重な御意見だと思います。
最後でございますけれども、これは問題提起のところから読ませていただきます。政治活動について、障害者が候補者として政治活動や政党の活動等に参加する際に必要な支援(たとえば、手話通訳や移動介助者は選挙運動員とは別枠で、介助者として保障する)について、今後の対処方針も含めて、どのように考えるかということです。
こちらはまさに選挙運動の自由ということに関わる問題でありますので、各党、各会派において十分御議論いただくべきということでよろしいのではないかと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 総務省といいますと、情報保障もあったり、恐らく消防とか救急車とかいろいろあるんですけれども、次回5月10日に情報保障関連は一括して意見交換をしますので、今日の段階では、選挙制度の仕組みの問題と政治参加ですね。主に権利条約で言うならば、第29条ですね。今日はここをメインについて、話し合いを進めてまいります。
なお、あらかじめ意見、質問、特に久松委員から随分出ていましたので、久松委員から口火を切っていただいて、順次発言を求めてまいります。
久松さん、準備がよければ、御発言をお願いしたいと思います。
○ 久松委員 ろうあ連盟の久松です。藤井さんに御指名いただきました。
御説明いただき、大変ありがとうございます。役所の書いた文書よりも踏み込んだ発言、御説明をいただきましたことに対して、改めて心から御礼申し上げます。
できますならば、役所の回答文をチェックした上で回答いただければと思いましたが、役所の回答文を踏まえた上での私の質問文書提出ということになりましたことを御理解いだいた上で、改めて御質問したいと思います。
1つ目は、欠格条項について、多くの外国においても選挙権及び云々と書いてありますが、具体的にどの国か、権利条約を批准している国であって、実情はどうなっているのかについて、具体的に御説明いただきたいと思います。多くの国で認められているから、日本でもしようがないという感じになっているのかどうか。そういう話では困るわけですので、国名をお示しいただきたいと思います。
また、投票所の移動支援について、非常に重要な問題だと認識していると書いてありますが、私たちが伺っているのは、知る権利とその情報アクセスについて、権利として保障されているかどうかを伺いたいと思います。改めて私たちは知る権利を奪われていると受け止めております。十分でないという認識、知る権利の保障は十分保障されていないという説明と理解してよろしいでしょうか。
○ 藤井議長代理 そこがちょっとわかりにくかったので、もう一回端的に言ってくれますか。
○ 久松委員 久松です。私たちは、知る権利が保障されていないと思いますが、今の役所の回答は十分でないと書いてある。知る権利が保障されていないと受け止めていいのでしょうか。
次に、役所の回答に「公正・公平」という言葉を多用されていますが、それはだれにとっての「公正・公平」であるのか。障害者、耳の聞こえない者の立場で知る権利が保障されていないという状態は公正・公平ではない状態です。公正・公平という面から問題を考えなければならないとおっしゃいますが、それはだれにとっての公正・公平であるのか。私たち障害者も、国民としての権利が保障されなければならないということについて、その点、はっきりと主語を明確に説明いただければありがたいです。その辺も踏まえて御説明をお願いします。
以上です。
○ 藤井議長代理 質問は3つでいいんですね。
○ 久松委員 はい。
○ 藤井議長代理 では、これは階さんに対して、今日は言わば総務省としての文章上の見解があったんだけれども、階政務官の方がよほどよかったと。もう一回書き直してもらえないかという話があったんですが、それに関するコメントがあったらお答えいただいた上で、今、言った3つですね。順次お答えいただけますか。
○ 階政務官 それは少し私にとってお褒めの言葉と理解してよろしければ、大変ありがたいことでございまして、実は私、この世界に入るまでは、福島先生と同じく弁護士をしておりまして、法律の条文をよく読みます。それで公職選挙法の第1条に目的規定がございます。そこには「この法律は、日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明且つ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発達を期することを目的とする」と書かれております。
私がこの中で着目したのは「選挙人の自由に表明する意思」という文言です。この「自由に表明する意思」が確保されなければ、この公職選挙法の目的は達成されたことにならないのではないかと考えまして、そういった観点から、先ほども私なりの考え方を述べさせていただきました。
そこで質問の答えに移らせていただきますが、1つは、欠格条項が諸外国でどうなっているかということでございます。選挙権で見ますと、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスが、精神的に能力が低いような方について、選挙権を制限しているところでございます。
また、イタリア、カナダ、ロシアといったところは、今、見たところでは、精神的に能力が低い方に対して、選挙権を制限してはいないとなっております。
そして、移動支援ということと、知る権利との関係ということで、済みません。移動支援と知る権利というのがどういう関係に立つのかというのがちょっとわからなかったので、もう一度御説明いただきたいと思います。ただ、知る権利ということについて言えば、まさしく障害者の方にとって、障害のない方と同じように情報が提供され、そして情報が確実に受け取られなくてはならないということは、この公職選挙法の趣旨からしても明快ではないかと思っておるところでございます。
あと「公正・公平」の意味は、先ほどの説明の中で私が申し上げたように、公職選挙法が選挙運動の自由という候補者側の権利と、投票の自由という有権者側の権利と、2つの側面があると思っておりまして、公正・公平というのも、その2つの面から考えなくてはならないと思っております。
ですから、今、具体的に、公正・公平というどこの部分のところを指しているかによると思いますので、どのページのどの部分の「公正・公平」というところを指しているのかを教えていただければと思います。
○ 藤井議長代理 久松さん、今、移動のことをお話しなさって、知る権利ということを関係づけられたんですけれども、その関係性をもう少し突っ込んでほしいということと、公正・公平はどの部分か具体的な指摘をしていただくと答えやすいということですが、いかがでしょうか。
○ 久松委員 移動支援については、役所の回答が十分でない書き方をされている。ですから、十分でないということは、政治に参加する権利が保障されているのかどうか。それについて保障されていないと思ってよろしいのかという質問です。
2つ目、ついでに言いたいのですが、今までこの問題に取り組んで、30年、40年やってまいりました。あらゆる政党にお聞きしても、手話通訳は必要です、字幕は必要ですという説明を受けます。通訳が必要ないとか、字幕が必要ないとか、そういう回答をいただいた政党はありません。
そういう状況の中で、政党の審議に委ねるという言い方での回答をいただく、総務省の考え方に対して理解ができません。手話通訳や字幕をつけるといつも「公正・公平」の面から問題があると言われます。具体例をいいますと、手話通訳は運動員とみなされます。聞こえない人が議員に立候補し、手話通訳者を設置するとすれば、運動員としての扱いになります。報酬を払えば運動員の扱いとなります。
私たちが、通訳を頼むと、それは運動員という扱いになりますので、障害を持つために選挙運動に制約があるということです。耳が聞こえないため電話ができず、ファックスを使っての選挙運動は認められていない。私たちが使える手段がありません。こういう状況がありますで、公平でないという認識を持っております。障害を持っているため、非常に選挙運動、つまり政治参加が制限されていると認識しております。この認識が同じ認識かどうか御質問したいわけです。
○ 藤井議長代理 新谷さん、関係がありますか。もしあったら、併せて発言いただきましょうか。
○ 新谷委員 久松さんの意見に関係しますけれども、先ほどの総務省の御説明ですと、次の参議院選挙に向けて政見放送への字幕付与については、NHKと交渉しているが、リソースがないので難色を示しているという御説明ですけれども、先ほどの選挙運動の自由と政見放送への字幕付与の問題は全く別の問題だと思うのです。移動のバリアーをなくすのと同じように、すべての国民が政見放送にアクセスできるというのは、政府が持っている責任だと思います。
参議院選挙の政見放送に字幕付与が付いていないとか、衆議院の比例選挙区に字幕付与ができないという理由は、政党間の合意があって、それは政に任せているので、官としては手出しができない領域なので、総務省としてはそこが限界なのだというお話を伺っていました。先ほどのお話ですと、それも政府が責任を持ってやるということであれば、すぐにでも決着できて、次の参議院選挙から実施できると理解できるのではないでしょうか。
○ 藤井議長代理 では関連して、清原委員、どうぞ。
○ 清原委員 ありがとうございます。政見放送及び選挙に関する情報提供につきまして、本日一部の報道で、次回の参議院議員選挙からインターネットを、選挙期間中にも候補者が情報提供手段として利用できるようにするということがありました。
私も被選挙権を行使させていただいている立場から、選挙に投票していただく皆様に適切な情報を多様に伝える手段として、放送以外にインターネット等も有効だと考えておりまして、そのような多様な手段が有権者に対しても、あるいは被選挙権を行使する候補者の立場にも保障される時期というのをいつぐらいに総務省としてはお考えなのか。それについても併せて教えていただければありがたいと思います。
ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 関連でちょっと待ってください。
階さん、実はこの会議が始まってしばらくしてから、やはり情報保障について議論をしたときに、この推進会議は、議論だけではなくて、やはりいろんな面で実行に移しましょうと。とりわけ参議院選挙が近い中で、ひとつ字幕問題を解決できないかということは、この推進会議の合意でもあったんです。もし今、挙がっている中で、今日の前半は選挙の仕組みということなんですけれども、参議院選挙で間に合いそうだ、あるいは可能性があるという点を挙げれば、今の字幕のことを含めていかがでしょうか。お答えできる範囲で結構です。
○ 階政務官 字幕の点については、総務省の権限でやれれば一番いいんですけれども、まず前提としては、法律の改正は必要ないです。総務省の行政権限でやれるかということですが、これは放送局との関係ですので、報道の自由という問題があるかと思います。ですから、行政権限を行使して強制的にやらせるということはできないという問題がありますが、原口さんは、この問題について是非やりたいということで、今、鋭意NHKと交渉しているという状況です。
インターネット選挙につきましては、民主党、自民党、公明党でほぼ合意されたと私も伺っておりまして、多分この参議院選挙から導入されるのではなかろうかと思います。これは議員立法で出されます。政府から出す法案ではなくて、議員立法で出されまして、議員立法で与野党間で合意がまとまれば、速やかに成立すると思っております。
○ 藤井議長代理 福島推進副本部長、恐らくこの中間報告は6月上旬になってまいりますので、この参議院選挙は6月中旬で、中間報告には間に合いませんけれども、少し先行させるということは、推進本部としても検討をお願いできますか。
○ 福島大臣 わかりました。
○ 藤井議長代理 ということで、関連して、竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 回答の1番目なんですけれども、点字の選挙広報の問題です。わざわざここに選挙のお知らせと書いています。これは選挙広報ではないことを総務省自身が認めているという記載なんですね。すなわち、視覚障害者に対しては、選挙広報が現在保障されていないことを総務省は前提とした回答なんです。この努力は高く評価したいと思うんですけれども、現時点でも、現実には47都道府県のうち44都道府県でしか選挙のお知らせも実施されていません。
そういうことも踏まえて、参議院選挙では、せめてこのお知らせという選挙広報の若干弱まっている内容で、不完全ではありますけれども、これを47都道府県すべてに実施されることを参議院選挙では是非実現していただきたいと思います。
あと言いたいこともありますが、時間がないので終わります。
○ 藤井議長代理 大久保委員から手が挙がっていますので、大久保委員、堂本委員の順番でいきます。
○ 大久保委員 話がちょっと戻りますが、欠格条項の件です。先ほど政務官の方から、前向きなお話をいただいて、ありがたいと思っておりますけれども、ここに出ている回答の方は、役所の方がつくられたと思うのですが、この温度差を是非とも埋めていただきたい。これから一丸となって取り組んでいただきたいということも含めて、役所の方にお話を伺いたい。いわゆる選挙権を認めることについては、慎重に検討すべきものと考えるとおっしゃっているわけですね。この根拠というか、この辺のところをお聞かせいただきたい。
私は法律の専門家ではありませんけれども、成年後見制度における身上監護とか契約行為、財産管理といったことと選挙権とどういう関連があるのかということ。つまり、事理を弁識する能力を欠く状況にある者、こういう方々がいわゆる選挙権を持てない。この辺のところはどういうふうに解釈されているのかということを確認させていただきたい。
先ほど政務官がおっしゃった公職選挙法のいわゆる自由な意思ということであれば、その意思があればいいわけですね。そうすると、その意思そのものについてどういうふうにお考えなのかということを確認したいということです。
以上です。
○ 藤井議長代理 関口さん、時間がオーバーしているので、簡単にお願いします。
○ 関口委員 簡単に申し上げます。
成年後見制の場合、これは法務省の問題で言うべきことなのかもしれませんけれども、法定後見を申立てると、補佐とか補助とかで済むというか、そのつもりで申立てているのに、完全後見が付くという問題があります。これは法的能力とも関わるし、法務省で、今回は第13条の問題で主に司法手続の問題をやりましたけれども、そこでも幾つか聞き残していることがあるんですが、若干補足でもってその辺のことも聞いてみたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○ 藤井議長代理 堂本委員、どうぞ。
○ 堂本委員 政治家として政務官への質問なんですけれども、私が国会議員をしていた時には、堀さんという目の見えない議員さんがおられたし、車椅子に乗っている議員さんもいらっしゃいました。今はほとんどそうした議員さんがいらっしゃらないと思います。
ここの障がい者制度改革推進会議は、当事者の方が半分以上です。今日は政治家として、役所とは違った立場でお話しになりましたので、あえて政治家である政務官に伺います。私自身もこの会議に出ていてつくづく思ったことは、司会者も当事者、大変多くの発言も当事者の方たちがなさっている中で、県知事としても聞かれないような実態をたくさん聞かされました。そこで思うのですが、たしかノルウェーは障害者のクォーター制がありますが、日本でもそうした制度を作ったらいいのではないでしょうか。障害を持った人が選挙に勝つのは大変です。日本は700人も国会議員がいるわけですから、その中で3議席ぐらいは障害者のための議席にして当事者が意思決定の場に参画できるようにするとか、そういった発想を政務官はお持ちになっておられないでしょうか、それが伺いたくて手を挙げました。
○ 藤井議長代理 新谷委員、どうぞ。
○ 新谷委員 簡単に。政務官にもう一度確認したいのですけれども、政見放送への字幕付与の問題をNHKと交渉していただいているのはありがたいのですが、論点になっているのは、候補者の持ち込みビデオが政党間の合意で禁止されているという問題なのです。だから、それは政党間で合意すればできるという総務省の話があったわけです。政党間の話が難航しているので手をつけられないと。だから、これは政治が解決すべき問題で、法改正を待たなくてもできる話であれば、政党間ですぐ合意して、NHKの力を借りないで、候補者の方が自前で字幕を付けたビデオを持ち込めば解決する問題ではないかと思います。
○ 藤井議長代理 ちなみに、衆議院の比例区は今、そのようになっているんですね。
○ 階政務官 小選挙区の方はそうなっています。
○ 藤井議長代理 それと同じ方式を取れないかということですね。
時間もこれで大分オーバーしていますので、政務官の拘束もこれ以上できませんから、まず、参議院選挙までにできることを含めて、もう一度最後に政務官及び法務省のほかの役人さんだったけれども、政務官は代表していますのでいいと思うんですが、階さんからお答えいただけませんか。
○ 階政務官 今、御指摘のあった持ち込みビデオを解禁すればいいのではないかということですけれども、私もそれは思いました。ただ、今、役所から聞いている話では、一部極端なことを言って、公序良俗に反するようなことを表現するような政党が出てくることを懸念するということで、制限しているんだということですけども、引き続き、持ち帰って検討してみたいと思います。
それから、点字の話と成年後見の話については、役所の担当者から御説明させていただきます。
○ 総務省 それでは、説明させていただきます。
成年被後見につきましては、従来、禁治産者制度がございまして、この禁治産で事理弁識能力がないという方については、諸外国等も踏まえて、選挙権を制限してきたという制度の経緯だと聞いております。
この後、民法の改正時におきまして、この禁治産が成年被後見人制度へそのまま横にスライドするということが法務省の方から説明されまして、それに伴って形式的に公選法が改正されているというものでございます。
そうでございますので、もともとは諸外国との並び、また法務省においての成年被後見人制度というのは、禁治産者制度をそのままシフトするものであるということ。
あとは、事理弁識能力がないといった場合に、それを選挙管理委員会の方で随時判断するというのは非常に難しいだろうということで、民法上の制度をお借りして、公選法の方ではその仕組みを使わせていただいているということが、現行制度の考え方となっております。
以上であります。
○ 藤井議長代理 質問は、事理弁識という問題と、自由な意思という問題で質問がありましたが、そこら辺はどのように考えていますか。
○ 階政務官 今ぐらいの話しかできないというのが、今の総務省の実態です。
はっきり言って、本質的な理由で制限しているのではないということが明らかになったと思いますので、私の方でしっかり検討していきたいと思います。
○ 藤井議長代理 点字関係はいかがですか。
○ 総務省 点字の広報についての御質問がございましたので、お答えをさせていただきます。
御指摘のとおり、現在選挙のお知らせ版として配布をお願いしておりますものは、正式な選挙広報ではございません。この点字及び音声での選挙広報の発行を制度化することについては、従来からの課題としては、現在、選挙広報は候補者並びに政党から出された原稿をそのまま印刷をして配布をするという制度になってございます。そのときに、限られた選挙運動期間中に、この点字広報の作成、配布を調整することができるかといった技術的な問題がございまして、現在その実現には至っていないというところでございます。
以上でございます。
○ 階政務官 あと、最後に堂本さんからお話があった点ですけれども、障害を持たれている方に限らず、少数の方の意見をどのように国政に反映していくかということは、本当に大事な課題だと思っています。私自身も、国会議員は国民の代表であると憲法第41条に定められておりますので、そこでいう国民というのは、特定の力の強い、あるいは声の大きい者ではなくて、すべてあまねく幅広い国民のことを指していると考えていますので、そのような立場でこれからも皆さんの声をしっかりお聞きしてまいりたいと思っております。
○ 藤井議長代理 先ほどの竹下委員の点字の質問というのは、点字のお知らせを、不十分だけれども、今度の参議院選挙から47都道府県に出せないのかという話だったんですけれども、それへのお答えはどうなりますか。
○ 総務省 点字の選挙のお知らせ版の配布につきましては、これまでもすべての都道府県にお願いをしてきているところでございますけれども、今回の参議院選挙におきましても、できるだけすべての都道府県で実施がされるように、強くお願いをしてまいりたいと考えております。
○ 藤井議長代理 森さんと土本さんから手が挙がっているので、このお二人で終わりにします。
では、森さんから簡単にお願いします。
○ 森委員 ありがとうございます。日身連の森でございます。
4ページの「選挙権及び被選挙権を有しない者」というのが出ておりまして「第十一条 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない」「一 成年被後見人」と書いてあります。二~五は略されておりますが、この二~五はどういう人でしょうか。よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 これは総務省の方でお答えいただけますか。
○ 階政務官 二が、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者。
三が、執行を受けることがなくなるまでの者とか、二~五は、刑に処せられて執行が終わるまでとか、刑に処せられて執行を受けることがなくなるまでの者とか、そういう刑罰を受けた方に関わることでございまして、多分御質問の方は、それはわかった上でのことなんだと思います。その中で成年被後見人というのを交えるのはどうかということなんだと思います。おっしゃるとおりだと思います。
○ 藤井議長代理 森さん、それでもういいですね。
○ 森委員 結構です。
○ 藤井議長代理 土本委員、どうぞ。
○ 土本委員 土本です。漢字に振り仮名が振っていない。知的と言われている人たちには、振り仮名が振っていないのに、それでわかれということは難しいのではないかということです。
以上です。
○ 藤井議長代理 それは何に関してですか。選挙広報ですか。
○ 土本委員 選挙広報もそうだけれども、選挙の葉書というか、お知らせにも何も振り仮名が振っていない。小さく書かれています。
○ 藤井議長代理 立候補者には振り仮名が振ってありましたか。
○ 土本委員 振ってあると思うんですけれども、選挙へ行く場所もわかりづらいということもあるので、そういうところはもう少し配慮すべきではないかと思います。
○ 藤井議長代理 では、全部というではないにしても、せめてということだと思います。そういう点では、選挙にまつわるすべての文書に関してはルビを振るという配慮を特にしてほしいということだと思いますので、よろしいですか。
○ 階政務官 はい。
○ 藤井議長代理 時間が大分オーバーしましたが、最後に福島大臣の方から御発言が求められていますので、お願いいたします。
○ 福島大臣 どうも今日も本当にありがとうございました。また、時間がオーバーしましたが、総務省の階政務官、本当にありがとうございました。(拍手)
まず、いつもトライアスロンのようなタイトな精力的な議論に参加していただいている委員の皆さんと介助者の皆さんと傍聴者の皆さん、全国で参加してくださっている皆さんも本当にありがとうございます。
今日は3つの役所と交渉いたしました。大変深まったところと、ちょっと並行線のところと両方あったと思います。しかし、障害者の施策に関して、障害者の立場から前進していこうということは、やはり共通項として出てきたのだと思っております。
やはり、アウフヘーベンというか、いい具合に前進をしながら問題を解決していきたいですし、私はとりわけ、インクルーシブ教育については、教育で差別を受けると、どうしても雇用の面でハンデキャップを大変持ってしまうので、生まれたときからのインクルーシブ教育等、包摂的な教育については、やはりこの推進会議がエンジン役として頑張っていきたいと思っています。これは障害のある人だけではなくて、いわゆる健常者にとっても、大人になって障害のある人に会うと、障害者問題という形でどうしても考えてしまう。でも、A子ちゃん、B子ちゃん、Cさんという形で一緒に育てば、それはまた違う展開があるだろうと思っています。
とにかく、今日は総務省の皆さん、最後までありがとうございました。また、次を続けてやっていきましょう。また、法律改正までしなくても、運用面でできることもたくさんあることを私たちは確認していると思います。また一緒に頑張ってやりましょう。
今日は本当にお疲れ様でした。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 では、ここで小川議長の方にマイクを渡します。
○ 小川議長 本日は非常に長い時間の討議、お疲れ様でございました。
ここで東室長より、今後の予定を含め、報告すべき事項について、簡潔に御説明をお願いいたします。室長、どうぞ。
○ 東室長 ありがとうございます。
最後になりますけれども、次回の予定は、5月10日です。省庁ヒアリングとしては、厚生労働省、総務省、国土交通省を予定しております。総務省は、今日は政治参加のことについてのヒアリングでしたが、情報アクセスとコミュニケーション等のお話になるかと思います。
次々回は5月17日ですけれども、ここにおいても省庁ヒアリングを引き続きやっていく予定です。
予定としては、以上です。
○ 小川議長 ありがとうございました。
尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 もう時間が過ぎているところ、申し訳ありません。
17日のヒアリングの予定がまだ決まっていないので、是非お願いをしたいのは、3月の最後のときの推進会議の討論のときにも私の意見書の中でもふれましたが、同じ内閣府で今、地域主権改革大綱をおまとめになられる作業をされているとお聞きしています。私どもは、今、解明をしているところなんですが、あのときにも申し上げましたが、例えば障害者基本法の中に書かれている障害者計画であったり、あるいは現行の自立支援法の障害福祉計画であったり、あるいは交通バリアフリーの基本構想の部分、そこら辺の部分が今、義務付けになっていたものが、義務付けの廃止であったり、努力義務化という、結構この障害者制度改革とも関連する項目が御議論されているように、インターネット等で資料を見る限りは感じるんですが、是非こちらは内閣府になるのか、総務省になるのか、どちらが関連省庁になるのか、私は不勉強でわかりませんけれども、是非その関係の方々からも、この推進会議、障害者制度改革との関係でどうなるかという論点について、ヒアリングの機会をお願いできればと思います。
○ 小川議長 東さん、ただいまの御意見についていかがですか。
○ 東室長 御意見として承っておきます。重大な問題であることは変わりませんし、やはり議論の必要はあるかと思いますが、時期的にできるのかどうかとか、いろいろありますので、検討いたします。
○ 尾上委員 よろしくお願いします。
○ 小川議長 御理解いただきたいと思います。
誠にありがとうございました。それでは、これをもちまして、本日の会議を終了いたします。
本日の推進会議の概要につきまして、この後、この場所で記者会見を行い、私と藤井議長代理及び東室長が対応いたします。
本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。御苦労様でございました。(拍手)