第6回資料 各委員からの意見

目次

(50音順)


新障害者基本計画骨子(案)分野別施策の基本的方向に対する意見

財団法人 全日本ろうあ連盟
理事長 安藤豊喜

「新障害者基本計画」を策定する上での基本的な方針、特に「障害の特性を踏まえた施策の展開」に、下記3点を特に位置付けてください。

  1. 「手話」の言語的な認知が国民的に広がってきた現在、政府としての統一的な手話の法的位置付けに取り組み、ろう者の言語的権利を尊重しての「手話通訳制度」確立による各省庁の施策充実を推進してください。

  2. 知的障害を持つ聴覚障害者など、「身体」・「知的」・「精神」の種別を越えて重複する障害をあわせ持つ国民の実態とニーズを掘り起こし、それに対応できる福祉制度と社会資源の整備を推進してください。

  3. 国際生活機能分類(ICF)に示されるように、「障害」は「障害者」本人においてではなく、社会との関連において捉える視点が国際的に求められてきています。この視点に立脚しての「障害」・「障害者」の定義と基準の見直しと浸透を図ってください。

以下、分野別施策の基本的方向に対する個別的な意見です。
【生活支援】
 「身近な相談支援体制の構築」についての現状を見ると、「障害者のケアマネジメント」は言葉としてはあっても、実効的かつ具体的には機能していません。聴覚障害の特性を理解している「ろうあ者相談員」の必要性を認め、相談支援体制構築におけるピアカウンセラーの導入と位置付けへの取組みを強化してください。
 「専門職種の養成・確保」では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士に加えて、手話通訳士の養成と確保にも数値目標を設定して強力に取り組んでください。

【生活環境】
 「防災・防犯対策の推進」は「障害者が利用する施設等及びこれらが立地する地域」に限定されてはなりません。全国どこでも緊急時に対応できるよう、広域的かつ計画的な観点からの緊急時情報保障体制の構築を図ってください。「メール110番」などインターネットの活用及び、CS放送受信機など自宅での個別発受信の可能な通信・放送体制の確立など具体的施策に取り組んでください。

【教育・育成】
 聴覚障害者の「社会参加に向けた教育・育成施策の充実を図る」ためには、情報機器の整備などの「施設のバリアフリー化」だけでなく、特に早期教育支援に際しての専門家による相談体制の確立、手話通訳・要約筆記者の養成・派遣体制などの整備、という人的環境も含めたバリアフリー化が求められます。医師・薬剤師・看護士の欠格条項を撤廃した最近の法改正の「付帯決議」に基づいて、教育・職場環境を整備し施策に含めてください。

【雇用・就労】
 上に述べたとおり、欠格条項改正に伴う職場環境の整備に取り組んでください。「雇用率制度を柱とした施策の推進」について、「除外率の縮小」と記載されていますが、「除外率の撤廃」を強く求めます。

【保健・医療】
 「保健・医療サービスの適切な提供」は医療現場従事者の「障害者観」によって大きく左右されます。医学的な障害観に偏ることのないよう、当事者団体の推薦する専門家を加えた早期支援体制確立などの施策を徹底してください。それとともに、「専門職種の養成・確保」においては「障害」の捉え方の多様性を視野に入れてのカリキュラム開発に取り組んでください。

【情報・コミュニケーション】
 聴覚障害者情報提供施設は全国で26自治体でしか設けられていない現在、数値目標を設定しての取組み推進を図ってください。
 「コミュニケーション支援体制の充実」は「手話通訳者等の養成・派遣を推進する」のでなく「手話通訳者の養成・派遣制度を確立する」としてください。冒頭に述べたとおり、手話の言語的な認知は国民に広がりつつありますが、政府による法的な位置付けが未だにされていません。医療・司法・教育・職場などあらゆる場面での手話通訳のニーズに対応する各省庁の施策を推進するためには、ろう者の言語的権利を尊重しての「手話通訳制度」確立が絶対不可欠です。

以上


新障害者基本計画策定に対する意見書

日本障害者協議会
代表 河端 静子

 「新しい障害者基本計画に関する懇談会」(懇談会)の議論も5回を終了し、問題点や課題の共通認識も深まってまいりました。
 去る10月2日、懇談会事務局が「新障害者基本計画骨子(案)」を提示されました。いくつかの点で新たな方向が示されていますが、全体としては懇談会席上で出された意見の扱いは不十分であり、不本意な感を覚えるものです。
 このままの形で、わが国におけるむこう10年間の障害者施策を規定する新障害者基本計画(新基本計画)、それに基づく新障害者プラン(新プラン)が策定されてしまうことに危惧感を強く抱くものです。障害者団体及び関係団体の参加に基づく実質的な政策立案こそ今日的課題であります。
 以上の認識に基づき、大詰めの段階ではありますが、本協議会として下記の諸点について強く要望いたします。
 後世に誇れるような新基本計画及び新プランとしていくために、特段の配慮をお願い申しあげます。

○基本的事項

  1. 国連ESCAPによる「びわこミレニアム・フレームワーク」の精神や障害者権利条約の採択にむけての動向を踏まえ、新基本計画及び新プランの策定にあたっては、引き続き障害者団体及び関係団体の意見を十分に反映させた内容のものとすること。
  2. 新プランについては、その水準が注目されるところである。とくに、安定かつ質の高い地域生活が可能な目標値の設定が求められ、これら目標値の内容や具体的な方策についても懇談会や障害者団体及び関係団体との協議の対象としていただきたいこと。
  3. 長引く不況の影響は、障害のある人とその家族に重くのしかかっている。中長期視点で論じている懇談会ではあるが、当面の対応策として、新基本計画及び新プランの初期段階で特別策を講じていただきたいこと。

○具体的事項
 本協議会としての重要事項については、これまで提出した意見書で示した通りであるが、懇談会事務局より発表のあった「新障害者基本計画骨子(案)」にはほとんど反映されておらず、ここに改めて再掲するものである。
 少なくとも計画期間中(2003年度~2012年度)の検討への着手を含め、なんらかの形で新基本計画及び新プランに反映されるよう、重ねて要望するものである。

  1. 障害者の権利、障害を理由にした差別禁止の法制化を図る。それらは理念的にとどまらず、実効的かつ具体的なものとすること。
  2. これまで、身体障害・知的障害・精神障害というように、障害の種類別に法・施策が展開されてきたが、障害の種類別ではなく、総合的な「障害者福祉法」(仮称)の制定を具体的に検討し、公平でニーズが反映されたサービスが提供されるようにすること。

  3. 昨年5月、WHOICIDH(国際障害分類)を改定し、ICF(国際生活機能分類)としたが、現行の障害認定基準は、日常生活動作の状況などに偏りすぎ、社会的障害や職業的不利益を的確に反映するものとはなっていない。したがってICFの考え方に基づき、障害認定基準の見直しを早急に図ること。
  4. 地域での自立生活を実質化するために、所得保障制度の確立ならびに成人した障害のある人の独立を尊重する視点からの扶養義務制度の見直しを図ること。また、知的障害者の入所施設偏重政策や精神障害者の社会的入院問題についても、明確な打開策を示すこと。

以上


「新しい障害者基本計画」への意見

社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会
会長 兒玉 明

 ノーマライゼーションの理念に立ち、障害者が地域で暮らすことを実質的に保障するために、以下の点について、新しい障害者基本計画の中に盛り込まれることを要望いたします。

  1. 法の整備
    • 障害者差別禁止法の制定
    • 障害の統一、障害者福祉法の制定
    • ICFに基づき、障害者認定基準の見直し
    • 民法の扶養義務の全面見直し
    • 市町村障害者基本計画策定の義務化(数値目標の明確化を含む)
    • 欠格条項の見直し(条例、規則等を含む)
    • 障害者権利条約制定への日本政府の努力
  2. 在宅・地域生活の充実
    • 所得保障(障害基礎年金の大幅改定、無年金障害者問題の早期解決等)
    • 障害者雇用に関しては、民間企業に対する障害者雇用率の順守の徹底及び精神障害者を対象として加えること、並びに、除外率制度の縮小
    • 福祉機器センターおよび障害者ICT(情報通信技術)センターの機能を含んだ新たな障害者団体活動の一大拠点となる、全日本障害者センターの建設
    • 当事者本人の活動を中心としたも障害者団体への支援策の一層の具体化
    • バリアフリー施策の一層の促進
    • 住宅対策の推進
    • 障害者ケアマネジメントの制度化
    • 第三者評価機関、福祉オンブスパーソンの設置の推進
    • 施設サービスの再構築(「入所」から「通所」への流れの加速。及び施設の開放)
  3. 国際貢献・交流活動の推進