障害者に係る欠格条項見直しに伴う教育、就業環境等の整備に関する取組状況(平成16年3月)

1.資格取得試験

  • 欠格条項見直しの対象となった63制度のうち、資格取得試験を行っている制度は40制度であり、そのうち資格取得試験の実施にあたり、用意又は試験実施機関へ要請している受験者への配慮の主な内容は以下のとおり。
    1. 試験等を受ける際の申し込みに必要な書類の変更【3制度】
    2. 試験会場、校舎等のバリアフリー化【8制度】
    3. 試験問題の拡大文字、点字、読み上げ等の配慮【25制度】
    4. 試験会場への手話通訳者、移動介助者等の配置【22制度】
    5. 試験時間の延長【21制度】
    6. 実技試験における福祉用具等の補助的手段の活用【21制度】
    7. その他(座席位置の配慮、別室での受験 等)【23制度】

2.教育・養成

  • 大学入試におけるガイドラインである「大学入学者選抜実施要項」や各大学向けの入試説明会において、障害者の受験機会等を確保する観点から、障害の種類に応じた 配慮を行うことを要請。
  • 各大学等において、募集要項に事前相談するよう記載、試験時間の延長、点字・拡大文字による出題、特定試験会場の設定、介助者の付与等の措置等実施。
  • 障害を有する学生が、円滑な学生生活を送れるよう学習支援体制の整備を図るための次のような措置を講じている。
    • 国立大学については、各大学の障害者の受入人数等に応じた運営費交付金の措置やエレベータ、スロープ等施設面での整備を進めている。
    • 私立大学についても、各大学の障害者の受入人数等に応じた経常費補助金の増額措置や施設のバリアフリー化を推進するための補助を行っている。

3.就業環境

  • 業務遂行・職場定着を援助する者や障害を補う補助機器の配置、職場のバリアフリー化などを促進するための施策の充実を行った。
    • 就職、職場適応が困難な障害者に対して、就職前後にかかわらず障害者のいる職場にジョブコーチを派遣することにより、きめ細かな人的支援を行う職場適応援助者(ジョブコーチ)事業を実施。
    • 事業主が障害者を雇用することに伴い、作業を容易にするための設備の設置等を行う場合に支給する助成金について、職務の再設計等の結果として障害者が必要とする場合には、市販の機器等についても助成の対象に加えるなど事業主の利便性を高めるとともに、職場のバリアフリーに配慮した見直しを行った。また、障害者の雇用に係る経済的負担の調整を図ることを目的とする障害者雇用調整金及び報奨金について、平成15年度支給分より月額単価を引き上げた。
    • 障害者についての知識や雇用経験が乏しいため、障害者雇用に躊躇している事業主に対して、短期間の障害者の試行雇用(トライアル雇用)を通じ、今後の障害者雇用のきっかけづくりを与え、試行就業期間終了後に常用雇用への移行を進める障害者試行雇用事業(トライアル雇用事業)を実施。
  • ノーマライゼーションの理念に沿って、雇用率制度における除外率を引き下げ、除外職員制度については原則廃止とし、縮小を行った。
    • 障害者の雇用義務を軽減する措置である民間企業における除外率制度並びに国及び地方公共団体における除外職員制度について段階的に縮小することとし、平成16年4月1日より、一般の民間企業に設定されている除外率を全ての業種において一律10%ポイント引き下げるとともに、国及び地方公共団体における除外職員制度を原則廃止し、除外率に転換しつつ障害者雇用義務の軽減割合を縮小した。

4.障害及び障害者の機能を補完する機器の研究開発の促進

  • 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいては、毎年研究課題を定め、身体障害者に関するリハビリテーション支援技術、福祉機器の開発及び補装具の試験評価等に関する研究を計画的に実施。
  • 「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」の規定に基づき、同法に規定する指定法人である(財)テクノエイド協会が、障害者の自立の促進とこれらの者の介護者の負担の軽減を図る福祉用具の研究開発を行う民間事業者に対し、独立行政法人福祉医療機構からの交付金を財源に助成を行う「福祉用具研究開発助成事業」を実施。