障害者差別解消法に基づく対応要領改定案及び対応指針改定案に関する合同ヒアリング(5月9日)
金融庁

  • 日時:令和5年5月9日(火)16:05~17:15
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階講堂及びWeb会議を併用し開催
  • 出席者:別紙のとおり
  1. ヒアリングの概要
    障害者差別解消法の改正に伴い、当庁及び預金保険機構の対応要領、当庁の対応指針の改正案について障害者団体等とのヒアリングを行ったもの。
  2. 対応要領
    (1)
    金融庁改正案(秘書課服務係)
    • ○:DPI日本会議
      ⇒ 相談体制について、電話リレーサービスをぜひとも導入していただけるとありがたい。また、実習等について、安全性の確保の観点から別の実習を設定するということは理解しているが、障害者本人との建設的対話を行い、対応いただきたいと思う。
    • ●:金融庁
      ⇒ 相談体制については、第6条第2項にも記載しているとおり、対面のほか、電話、ファックス、電子メールについても対応している。建設的対話が行えるよう、様々な手段を用意して対応してまいりたい。
    • ●:預金保険機構
      ⇒ 相談は、電話、メールなど多様な手段で対応することとしている。
    • ○:全日本ろうあ連盟
      ⇒ 合理的な配慮の提供について、障害者本人から配慮を必要としている旨の意思表示をしなければならない。基本方針では合理的配慮の提供だけでなく、環境の整備についても記載されているので、対応要領においても環境の整備をする旨、明記いただきたい。難聴者にとっては配慮をしてほしいという意思表示をすること自体が難しいということを理解いただきたい。
      ⇒ 合理的配慮の提供は行うというだけではなく、障害者本人にとって満足できる内容・対応であったかが重要である。例えば、金融庁のヒアリングで手話通訳者の通訳が障害者本人にとって分かりにくかったという事例がある。障害者にとって満足できる対応を提供するものであることを明記すべきである。
      ⇒ ホームページ上で動画などの情報発信を行うことがあると思うが、字幕をあらかじめつけておいてほしい。また、会議、研修会、講習会、相談を行う際は手話通訳を配置してほしい。手話通訳を配置してほしいという要望を出しても、予算措置がないとして断られるケースが多い。予算を確保しておいて、必要と分かっている会議などには、手話通訳を配置しておいてほしい。
      ⇒ 改正案中に「望ましい」という文言があるが、そのような言葉を逃げ道として対応を行わないとするのではなく、対応を行うものであると明記していただきたい。また、建設的対話というのは、障害者本人と対応者とが対等な立場で意思疎通ができることであると明記すべきである。
      ⇒ 基本方針では、障害者から話を聞く機会を設けるべきとの記載がある。当事者から講義を受けることについて要領に明記してほしい。
    • ●:金融庁
      ⇒ 手話通訳の予算については、財務省との折衝が必要であるものの、必要なものには予算をつけていけるよう善処していきたい。
      ⇒ 当庁で行われたヒアリングにおいて、障害者本人にとって理解しにくい内容となってしまったことは承知した。手話通訳に係る契約内容について、質の面からも検討できないか、担当課に伝えることとしたい。
      ⇒ 改正案中の「望ましい」という文言について、第2条のなお書きでも記載をしているとおり、「できるだけ取り組むもの」であると理解している。取り組むものである旨、職員には啓蒙してまいりたい。
    • ●:預金保険機構
      ⇒ 頂いた意見を踏まえて、どういう事ができるか検討させていただきたい。
  3. 対応指針
     金融庁改正案(監督局総務課法務係)
    • ○:DPI日本会議
      ⇒ ATM関連の事例を追加いただき、ありがたい。対応指針の改定に向けて、我々も事例を募集したが、ATMの操作を代行してもらえないとの声が散見されたので、事例については、本人の求めに応じて操作の代行を行うなど適切な対応を行うと、具体的に記載いただきたい。
      ⇒ 代筆対応について、「書類の内容や取引の性質等に照らして特段の問題がないと認められる場合に、~代筆対応する」と記載いただいているが、現場からは代筆対応してもらえなくなったとの声も散見されるので、条件を入れるのではなく、シンプルに「代筆対応する」と記載いただきたい。
    • ●:金融庁
      ⇒ 当庁としても、ATMが利用しづらいとの声があることは認識しており、事例として「障害者から支援を求める申出があった場合には、求めに応じて窓口への付添い、電話・電子メールでの対応等の必要な支援を行う」と記載している。
      ⇒ 代筆・代読については、毎年、金融機関に対してアンケート調査を実施しており、内部規程の策定は進展しているものと認識している。他方で、代筆・代読の手続が現場に浸透しておらず、代筆・代読を拒否されるとの声も聞いている。当庁としては、金融機関の取組状況を把握しつつ、一層の対応を促してまいりたい。事例への追記については、関係部署と協議し、検討してまいりたい。
    • ○:全日本ろうあ連盟
      ⇒ p4「意思の表明」について、他省庁の対応指針では、単に「通訳」と記載しているが、金融庁は「手話通訳者、要約筆記者、盲ろう通訳者等」と具体的に記載している。他省庁も同様に記載いただきたい。
      ⇒ 意思の表明のためには情報の取得ときちんとした意思疎通が必要である。情報の取得と意思疎通の大切さについても記載いただきたい。
      ⇒ 金融機関が顧客に対してさまざまな説明を行う場合、きこえない者・きこえにくい者に対しては、障害のない者と同じ説明をせず、まとめて簡潔に説明したり、説明を省略したりする場合がある。また、金融機関への連絡先が電話番号のみとなっている場合がある。これらも不当な差別に当たるということを明記いただきたい。
      ⇒ 「合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例」として、ATM関連の事例を追加いただき、ありがたい。その上で、無人店舗だけではなく、夜間・休日の場合の連絡についても記載いただきたい。
      ⇒ クレジットカードについて、電話リレーサービスには対応しているが、高齢者の中には電話リレーサービス自体を利用できないという方々もいる。そうした方々は、手話通訳者を通じて電話するが、そういうときにもきちんと対応するということを記載いただきたい。
    • ●:金融庁
      ⇒ 当庁としても、意思の表明にあたっては情報の取得が重要だということは認識している。
      ⇒ 事例への追記については、関係部署と協議し、検討してまいりたい。
      ⇒ クレジットカード自体は当庁所管外であり、キャッシング部分のみ当庁所管となっているが、金融機関の取組に遅れがみられる場合は、対応を促してまいりたい。
    • ○:全国手をつなぐ育成会連合会
      ⇒ 最近、金融機関、とりわけ銀行において、預金の引出・預入や口座開設にあたって支障があったとの声が多数寄せられている。具体的には、本人に知的障害があることがわかった段階で、窓口対応において、成年後見人を立てなければ手続できないと、杓子定規に対応し手続が止まってしまう。中低度の知的障害者で、一定程度窓口での対応が可能な場合であっても、一律に対応している。
      ATM関連の事例や代筆・代読の事例を追加いただき、ありがたい。その上で、こうした場面は、知的障害者であっても発生しうるので、知的障害があることでATMの利用が困難な場合には、窓口で分かりやすい説明をして入出金対応を行う、代筆・代読の対応を行うといった踏み込んだ記載をお願いしたい。
      ⇒ 銀行だけでなく、保険、貸金についても、本人が理解できるよう分かりやすく説明した上で、契約の締結を行うということを、対応指針に記載いただきたい。
    • ●:金融庁
      ⇒ 当庁としても、一律の対応は不当な差別的取扱いに当たるものと認識しており、必要に応じて対応を促してまいりたい。
      ⇒ 事例への追記については、関係部署と協議し、検討してまいりたい。
    • ○:全国盲ろう者協会
      ⇒ 最近、タブレット端末による処理が増えているが、それにより銀行口座を開設することができなかった。口座を開設するために、タブレット端末上で規約を読む必要があるので代読していただいたが、代読の声を聞くことができないので、触手話通訳を間に入れた。それが認められなかった。その場で点字の規約も準備されておらず、口座開設に必要な書類を自宅に郵送するので、記入して返送いただきたいとのことだったが、やはり点字の規約がなく、口座開設できなかった。視覚障害の場合は、代読により耳で聞いて規約に同意できる。聴覚障害の場合は、自身で規約を読んで同意できる。しかしながら、盲ろう者は、見ることも、聞くこともできず、タブレット端末への対応が困難。代読が、通訳者を介しても認められるようにしていただきたい。
      ATMには点字で「カード」などと記載されているが、受話器による音声ガイドは使用できないため、サポートがなければ、盲ろう者はATMの利用が非常に困難。例えば、コンビニATMを利用するときには、店員に暗証番号を入力いただいて、お金を下ろさなければならないが、店員によって対応いただける方と対応いただけない方がいる。また、日本語があまり得意でない店員もいる。盲ろう者は、遠方の銀行には一人で行けなくとも、近所のコンビニであれば一人で行けるということもあるが、ATMを利用するのにサポートを受けられないことも多い。
      ⇒ クレジットカードについて、電話で触手話通訳を通じて聞くと、自身で聞かなければ認められないとの場合が多い。また、カードの利用に当たっても、暗証番号を自身で入力しなければ支払いができないこともある。店舗でカードの暗証番号を店員に伝えるのも憚られ、対応に悩むところ。
    • ●:金融庁
      ⇒ 当庁としては、金融機関の取組状況を把握しつつ、一層の対応を促してまいりたい。
      ⇒ クレジットカードについては当庁所管外であり、回答を差し控えたい。
    • ○:全日本ろうあ連盟
      ⇒ 銀行カードを紛失し電話することがあるが、通訳者を介した場合に本人確認ができないからとの理由で、拒否されたという事例がある。また、高齢者の中にはデジタル端末を使用するのが得意ではなく、インターネットや電話リレーサービスを利用できない者や、そもそもろう者の中には日本語が得意ではない者もいる。そのような者でも意思疎通が図れるようなツールを検討していただきたい。また、文章を手話に変換して、通訳してもらわなければならない者がいる中、これは認められないのかお伺いしたい。
    • ○:全国盲ろう者協会
      ⇒ ろう者も、盲ろう者も通訳者を介したコミュニケーションが必要だが、通訳者を介した場合は認められない、本人確認は自身が行わなければならないとの現状があり、さまざまな金融サービスにアクセスできていないということを確認させていただきたい。
    • ●:金融庁
      ⇒ 当庁としては、どのような対応が可能か検討してまいりたいが、通訳者を介した取引について一律に認めないのではなく、障害のない者が利用できる手続については、等しく障害がある者も利用できるようにすべきと考えているので、金融機関の取組状況を把握しつつ、一層の対応を促してまいりたい。

(以上)


(別紙)

  • 出席者:(先方)
    • 社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会
    • 一般社団法人日本発達障害ネットワーク事務局
    • 公益社団法人全国脊椎損傷者連合会
    • 公益社団法人全国精神保健福祉連合会
    • 一般財団法人全日本ろうあ連盟
    • 特定非営利法人DPI日本会議
    • 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合
    • 一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会
    • 社会福祉法人全国盲ろう者協会
    • 一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会
    • 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会
    (当方)
    • 総合政策局総務課調整係 矢野総括管理官
    • 総合政策局秘書課服務係 伊神補佐、和田係長、東山係員、渡邊係員
    • 監督局総務課法務係 図師補佐、松下係長
    • 預金保険機構総務部人事課 坂東課長、小城調査役

(以上)