第7章 住みよい環境の基盤づくり
第1節 障害のある人の住みよいまちづくりと安全・安心のための施策
4.公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化の推進
(1)官庁施設のバリアフリー化
ア 法令等に基づく公共交通機関のバリアフリー化の推進
<1> 「バリアフリー法」に基づく公共交通機関のバリアフリー化の推進
公共交通機関のバリアフリー化については、平成12年11月に施行された「交通バリアフリー法」に基づく取組が行われてきたが、「バリアフリー法」においても、公共交通事業者等に対して、鉄道駅等の旅客施設の新設、大改良及び車両等の新規導入に際しての移動等円滑化基準(「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準」(平成18年国土交通省令第111号))への適合を義務付けている。既設の旅客施設・車両等についても移動等円滑化基準に適合させるよう努めなければならないこととしている。
<2> 旅客施設に関するガイドラインの策定
公共交通機関の旅客施設のバリアフリー整備内容等を示した「公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドライン」(旅客施設編)を平成25年6月に改訂し、整備のあり方を具体的に示すことで、利用者にとって望ましい旅客施設のバリアフリー化を推進している。
<3> 車両等に関するガイドライン等の整備
公共交通機関の車両等のバリアフリー整備内容等を示した「公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドライン」(車両等編)を平成25年6月に改訂し、整備のあり方を具体的に示すことで、利用者にとってより望ましい車両等のバリアフリー化を推進している。
また、平成19年8月、「旅客船バリアフリーガイドライン」を策定し、障害のある人等をはじめとした多様な利用者の多彩なニーズに応え、すべての利用者がより円滑に旅客船を利用できるようなバリアフリー化の指針として、その望ましい整備内容等を示している。
イ 施設整備及び車両整備に対する支援
<1> 鉄道駅等旅客ターミナルにおけるエレベーター等の施設の整備に対する助成及び融資
都市鉄道整備事業補助及び地域公共交通確保維持改善事業において、鉄軌道駅等のバリアフリー化に要する経費の一部補助を実施している。
また、地方公営企業の交通事業のうち、既存の公営地下鉄のバリアフリー化に係る事業に対する財政融資及び地方公共団体金融機構の融資制度が設けられている。
<2> 障害のある人にやさしい車両の整備についての助成及び融資
ノンステップバス、リフト付きバス、福祉タクシー、低床式路面電車(LRV)等の導入に対して、地域公共交通確保維持改善事業において経費の一部補助を行っている。
障害のある人のための車両整備に対する低利融資制度として、リフト付きバス・タクシー、スロープ付きバス・タクシー及びノンステップバス等に対する日本政策金融公庫の融資制度が設けられているとともに、地方公営企業が行うバス事業及び路面電車事業においても同様の融資制度が財政融資及び地方公共団体金融機構において設けられている。また、低床式路面電車(LRV)に対する固定資産税の特例措置が講じられている。
<3> 地域公共交通確保維持改善事業及び共有建造における国内旅客船のバリアフリー化の推進
地域公共交通確保維持改善事業において、高度バリアフリー化船の建造及び船舶のバリアフリー化のための改造に要する経費の一部補助を実施している。
また、バリアフリーの高度化・多様化に資する船舶(車いす対応トイレ、エレベーター等障害のある人等の利便性及び安全性の向上に資する設備を有する船舶)を建造する場合に、「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の共有建造制度が活用されている。
(2)歩行空間等のバリアフリー化
ア 福祉のまちづくりの推進
障害のある人が自立して生活し、積極的に社会参加していく上で、まち全体を障害のある人にとって利用しやすいものへと変えていくことの重要性が、近年、広く認識されるようになっている。このため、幅の広い歩道の整備や建築物の出入口の段差の解消、鉄道駅舎のエレベーターの設置、音響信号機等の整備等による障害のある人の円滑な移動の確保、公園整備等による憩いと交流の場の確保等、福祉の観点も踏まえた総合的なまちづくりが各地で進められている。
国土交通省においては、「バリアフリー法」に基づき、公共交通機関、建築物、道路等の一体的・連続的なバリアフリー化を推進している。
このほか、福祉のまちづくりへの取組を支援するため、以下のような施策を実施している。
<1> 公共交通機関の旅客施設等を中心としたまちのバリアフリー化の推進
障害のある人が介助なしに外出し、公共交通機関を利用できるようにするためには、歩行者交通、自動車交通、公共交通が連携し、一連の円滑な交通手段を確保することが必要である。このため、駅等の交通結節点において道路・街路事業等により駅前広場やペデストリアンデッキ、自由通路等を整備するとともに、エレベーター、エスカレーター等の歩行支援施設の整備や沿道の建築物との直接接続を行っている。
また、障害のある人等の交通弱者の移動の利便性を確保するため、次世代型路面電車システム(LRT)等の軌道系公共交通等の整備及び利用促進を推進している。
さらに、障害のある人等に配慮した活動空間の形成を図り、障害のある人等が積極的に社会参加できるようにするために、快適かつ安全な移動を確保するための動く通路、エレベーター等の施設の整備や障害のある人等の利用に配慮した建築物の整備等を行う「バリアフリー環境整備促進事業」を実施している。
<2> 農山漁村における生活環境の整備
農林水産省においては、障害のある人に配慮した生活環境の整備を図るため、「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」により支援している。
この交付金を活用して、農山漁村地域においては、広幅員の歩道整備、農業施設のバリアフリー化の整備等が行われている。
<3> 普及啓発活動の推進
最近における地方公共団体の動きとしては、総合的なまちづくりを効果的に進めるために、福祉のまちづくりに関する条例の制定など制度面の整備が行われるとともに、事業面においても、ユニバーサルデザインによるまちづくり(すべての人にやさしいまちづくり)が行われている。
総務省では、地方公共団体が行う高齢者、障害のある人、児童等すべての人が自立していきいきと生活し、人と人との交流が深まる共生型の地域社会の実現に向けた取組を支援するため、ハード・ソフト両面から必要な地方財政措置を講じている。ソフト事業として、ユニバーサルデザインによるまちづくりやNPO等の活動の活性化を推進する地方公共団体の取組に要する経費に対して、普通交付税措置を行うとともに、ハード事業として、ユニバーサルデザインによるまちづくり、地域の少子高齢化社会を支える保健福祉施設整備、共生社会を支える市民活動支援のための施設整備等に対して、地域活性化事業債等により財政措置を講じている。
また、国民一人一人が、高齢者や障害のある人の困難を自らの問題として認識し、その社会参加に積極的に協力する「心のバリアフリー」社会を実現するため、国土交通省では主に小・中学校生を対象としたバリアフリー教室を開催している。
イ 都市計画等による取組
都市計画における総合的な福祉のまちづくりに関する取組としては、適切な土地利用や公共施設の配置を行うとともに、障害のある人に配慮した道路、公園等の都市施設の整備、土地区画整理事業や市街地再開発事業などの面的な都市整備を着実に進めていることが挙げられる。
中心市街地等における面的な都市整備に当たっては、社会福祉施設の適正かつ計画的な立地を進めている。
市町村が具体の都市計画の方針として策定する「市町村の都市計画に関する基本的な方針(市町村マスタープラン)」の中に、まちづくりにおける高齢者や障害のある人等への配慮を積極的に位置付け、都市計画に反映することもできる。
全国の都市の再生を効率的に推進する観点から、地域の創意工夫を生かした個性あふれるまちづくりを実施するため、都市再生整備計画に基づく事業(都市再生整備計画事業)に対して、社会資本整備総合交付金による支援を行っている。本制度の活用により、全国各地において、地域住民の生活の質の向上と地域経済・社会の活性化に向けた取組が進められており、その一環として、バリアフリー化等を通じて、安心・快適に過ごせるまちづくりが多くの市町村で実施されている。
市街地再開発事業等においては、再開発ビルに一定の社会福祉施設等を導入するものを「福祉空間形成型プロジェクト」と位置付け、通常の助成対象に加え、共用通行部分整備費、駐車場整備費等を助成対象とするとともに、社会福祉施設等と一体的に整備する場合の整備費に関する助成額の割増を実施しており、これにより、再開発ビルへの社会福祉施設等の円滑な導入を促している。
また、バリアフリー化等に対応した施設建築物を整備する場合に生じる付加的経費について、別枠で補助を行っている。
ウ 歩行空間のバリアフリー化
移動はあらゆる生活活動に伴い発生する要素であり、また、就労、余暇を支える要素である。したがって、その障壁を取り除き、すべての人が安全に安心して暮らせる道路交通環境づくりを行うことが重要な課題となっており、信号機、歩道等の交通安全施設等の整備を推進している。
平成18年12月には、「バリアフリー法」の制定を受け、従来の移動円滑化基準と比べて歩道幅員、歩道の設置についての選択肢が広がった「移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める省令」(18年国土交通省令第116号)を制定した。
平成20年12月には、「バリアフリー法」に基づき、移動等円滑化が特に必要な道路として、駅、官公庁施設等を相互に連絡する道路のうち、多数の高齢者、障害者等が通常徒歩で移動する道路の区間を特定道路として国土交通大臣が指定し、だれもが安心して通行できるよう、十分な幅員が確保された歩道等の整備、歩道の段差・傾斜・勾配の改善、無電柱化の推進、立体横断施設へのエレベーター設置等を実施している。整備に当たっては、「バリアフリー法」を踏まえて、駅構内、病院など公共的施設のバリアフリー化やノンステップバスの導入等と連携して整備を行っている。
「バリアフリー法」の重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路に設置されている信号機等については、平成32年度までに、原則としてすべての当該道路においてバリアフリー化を実施することを目標として、障害者等の道路横断時の安全を確保する機能を付加したバリアフリー対応型信号機や、歩車分離式信号等の整備を推進している。
冬期の安全で快適な歩行空間を確保するため、中心市街地や公共施設周辺等における除雪の充実や消融雪施設の整備等の冬期バリアフリー対策を実施している。
エ 路外駐車場のバリアフリー化
自宅から交通機関、まちなかまで連続したバリアフリー環境の実現を目指し、高齢者、身体に障害のある人等を含むすべての人々が安全で快適な社会生活を送ることができるよう、路外駐車場のバリアフリー化を図ることが必要である。
「バリアフリー法」に路外駐車場のバリアフリー化が位置づけられ、同法の規定に基づき、「移動等円滑化のために必要な特定路外駐車場の構造及び設備に関する基準を定める省令」(平成18年国土交通省令第112号)を制定し、バリアフリー化を推進している。(平成24年度末現在の特定路外駐車場のバリアフリー化率:約51%)
また、同法の規定に基づく基本方針において、路外駐車場のバリアフリー化の目標を定めており、引き続き、目標達成に向け、地方公共団体及び関係団体等に対して周知・徹底を図り、路外駐車場のバリアフリー化を一層推進していくこととしている。
(3)移動支援
ア 福祉タクシー等の普及促進
障害のある人等の輸送をより便利にするため、地域公共交通確保維持改善事業により福祉タクシー車両の導入等に対して経費の一部補助を行うなど、福祉タクシーの普及促進を図っている。
また、バス事業者やタクシー事業者によることが困難であり、地域の関係者が必要であると合意した場合にNPO法人等による福祉有償運送を可能とする登録制度を創設し、平成18年10月1日より施行された。今後、福祉タクシーとNPO法人等による福祉有償運送がそれぞれ多様なニーズに応じた輸送を提供することにより、障害のある人等の外出が促進されることが期待される。
平成24年度末における福祉タクシーの導入状況は、13,856両となっている。
また、屋外での移動が困難な障害のある人について、外出のための支援を行うことにより、地域における自立生活及び社会参加を促すため、「障害者総合支援法」に基づく地域生活支援事業において、各市町村が地域の特性や利用者のニーズに応じて、個別支援型、グループ支援型及び車両移送型など柔軟な形態で、ガイドヘルパーの派遣などのサービスを提供する「移動支援事業」を実施している。
イ 移動支援システムの研究開発
経済産業省では、障害のある人等がITを活用して社会・経済に積極的に参画できる環境を整備するため、平成22年度に「高齢者・障害者配慮設計指針―移動支援のための電子的情報提供機器の情報提供方法(JIST0901)」として規格化している。
ウ 障害のある人に対する運賃・料金割引
鉄道、バス、タクシー、旅客船、航空等の各公共交通機関では、身体障害者手帳の交付を受けた身体に障害のある人・療育手帳の交付を受けた知的障害のある人及び常時介護を要するこれらの人の介護者に対して運賃・料金の割引を実施している。
有料道路では、身体障害者手帳の交付を受けた身体に障害のある人が自ら運転する場合や、身体に重度の障害のある人又は重度の知的障害のある人の移動のために介護者が運転する場合において、通行料金の割引を実施している。
また、精神障害者保健福祉手帳については、平成18年10月1日より身体障害者手帳及び療育手帳と同様に写真貼付を行うこととし、本人確認を容易にし、手帳の信頼性を向上させ、各自治体における公共施設の入場料や公共交通機関の運賃に対する割引等の支援の協力を得やすくしている。さらに、発達障害者及び高次脳機能障害者について、手帳の交付の対象であることを明確化するため、平成23年4月には、手帳の診断書の様式及び判定基準を改正した。
エ 駐車禁止の除外指定
各都道府県公安委員会が認める一定の身体障害のある人については、本人に対して駐車禁止除外指定車標章を交付し、駐車禁止規制の適用が除外されるよう措置しているところである。
オ ICTを活用した歩行者移動支援の推進
国土交通省では、ユニバーサル社会の実現に向けて、高齢者や障害者をはじめ、誰もが積極的に活動できるバリアフリー環境の構築をソフト施策の面から推進することが重要であり、バリアフリー経路案内等にも活用できるICT(情報通信技術)による歩行者移動支援の推進を行っている。
特に、平成25年度は、サービスのベースとなる歩行空間ネットワークデータを安価で整備するための簡易計測手法の検討などの技術開発や地方公共団体等がサービスの導入を検討できるガイドライン案のとりまとめを行った。
(4)ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光の促進とバリアフリー情報の提供
観光庁では、平成24年3月に閣議決定した「観光立国推進基本計画」に基づき、障害者が安心して参加できるユニバーサルツーリズムを促進するための取組を行っている。
平成25年度には、障害者を含む誰もが旅行を楽しむことができる環境を整備するため、地域の受入体制を強化するための取組やユニバーサル旅行商品の供給促進に向けた検討を実施した。
平成26年度には、地方公共団体、NPO等の幅広い関係者の協力の下、地域の受入拠点づくりを進めるほか、旅行商品の造成を促進するための取組を実施し、更なるユニバーサルツーリズムの促進を図る。
さらに、財団法人交通エコロジー・モビリティ財団では、高齢者や身体に障害のある人等の移動支援のため、インターネットによるバリアフリー情報「らくらくおでかけネット」を運用している。当該ネットでは、約6,800の駅・ターミナルのバリアフリー情報を提供し、平成26年3月末時点で約1,211万件(平成14年1月の運用開始時からの累計)のアクセス数となっている。
(5)公園、水辺空間等のバリアフリー化
ア 公園整備における配慮
都市公園は、良好な都市環境の形成、地震災害時の避難地などの機能を有するとともに、スポーツ、レクリエーション、文化活動などを通じた憩いと交流の場であり、障害のある人の健康増進、社会参加を進める上で重要な役割を担っていることから、利便性及び安全性の向上を図ることが必要である。
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」により、一定の要件を満たした園路及び広場、休憩所、並びに便所等の特定公園施設について、新設等の際の「移動等円滑化基準」への適合義務、既存の施設等に対する適合努力義務を定めている。
都市公園のバリアフリー化については、障害のある人を含むすべての人の利用に配慮した公園施設とするため、園路の幅の確保や段差・勾配の改善、車いす使用者を始め、多くの人にとって利用可能な駐車場やトイレの設置など、公園施設のバリアフリー化を行ってきており、都市公園移動等円滑化基準の運用等により、今後一層推進していくこととしている(平成24年度末現在の公園施設のバリアフリー率【園路及び広場:約48%、駐車場:約44%、便所:約33%】)。
また、平成20年1月には、バリアフリー化のための整備の具体的な指針として、「都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」(平成24年3月改訂)を策定し、公園管理者へ通知したほか、社会資本整備総合交付金により、都市公園のバリアフリー化を推進している。
全国の国営公園においては、身体等に障害のある人や介添する人に対する入園料金を免除することにより、野外活動の機会の増進や経済的負担の軽減を図っているほか、国営昭和記念公園等においては、障害のある人も楽しく安全に遊ぶことができるバリアフリー化した遊具等を設置している。
環境省では、国立公園等において、利用拠点のユニバーサルデザイン化を推進しており、ビジターセンターや園路、公衆トイレ等の公園利用施設のバリアフリー化などを進めている。
イ 水辺空間の整備における配慮
河川、海岸等の水辺空間は、公園と同様に、障害のある人にとって憩いと交流の場を提供するための重要な要素となっている。このため、河川利用上の安全・安心に係る河川管理施設の整備により、良好な水辺空間の形成を推進している。
ウ 港湾緑地・マリーナ等における配慮
港湾緑地は、誰もが快適に利用できるよう、計画段階から周辺交通施設との円滑なアクセス向上に配慮するとともに、施設面においてもスロープ、手すりの設置や段差の解消等のバリアフリー対応が図られるよう取り組んでいる。また、マリーナ等については、障害のある人でも気軽に安全に海洋性レクリエーションに参加できるよう、マリーナ等施設のバリアフリー化を推進している。
エ 森林・施設の整備における配慮
森林は、心身の癒しや健康づくりの場等として、幅広い国民に利用されている。このため、年齢や障害の有無等にかかわらず多様な利用者に対応できるよう、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた森林・施設の整備を推進している。
1日当たりの平均利用者数3,000人以上の旅客施設数 | 平成24年度末 | 1日当たりの平均利用者数3,000人以上かつトイレを設置している旅客施設数 | 平成24年度末 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
段差の解消 | 視覚障害者誘導用ブロック | 障害者用トイレ | |||||||
鉄軌道駅 | 3,457 | 2,829(81.8%) | 3,229(93.4%) | 3,236 | 2,561(79.1%) | ||||
バスターミナル | 52 | 43(82.7%) | 44(84.6%) | 41 | 26(63.4%) | ||||
旅客船ターミナル | 16 | 14(87.5%) | 9(56.3%) | 14 | 10(71.4%) | ||||
航空旅客ターミナル | 33 | 28(84.8%) | 32(97.0%) | 33 | 33(100.0%) | ||||
|
車両等の総数 | 平成24年度末移動等円滑化基準に適合している車両等 | ||
---|---|---|---|
鉄軌道車両 | 52,669 | 29,385(55.8%) | |
バス | ノンステップバス | 45,495 | 18,672(41.0%) |
リフト付きバス | 13,499 | 485(3.6%) | |
旅客船 | 706 | 173(24.5%) | |
航空機 | 537 | 479(89.2%) | |
(注):「移動等円滑化基準に適合している車両等」は、各車両等に関する移動等円滑化基準への適合をもって算定。 資料:国土交通省 |
オストメイト対応トイレ
直腸がんや膀胱がんなどが原因で臓器に機能障害(内部障害のひとつ)を負い、手術によって、人工的に腹部へ人工肛門や人工膀胱の「排泄口(ギリシャ語でストーマ)」を造設した人を「オストメイト(ostomate)」と言います。国内には約20万~30万人のオストメイトがいるといわれています。
オストメイトの人は括約筋がないため便意や尿意を感じたり、我慢することができないため、便や尿を溜めておくための袋=「パウチ」を腹部に装着しています。パウチに溜まった排泄物は一定時間ごとに便器や汚物流しに捨てる必要があります。このときに、パウチや腹部を洗浄する必要があります。
そのため、シャワー等の特別な設備を備えたトイレが、最近では設置されるようになってきました。オストメイト対応トイレについては、公共交通機関を中心に下図のようなマークが表示されています。
「バリアフリー法」基本方針における目標設定
バリアフリー法に基づく基本方針では、原則平成22年までのバリアフリー化の目標値を設定し施策を推進してきましたが、目標期限が到来したため、これまでの各施設等におけるバリアフリー化の状況等を踏まえ、基本方針を改正し、新たな目標値を設定しました。
(平成23年3月31日告示)
1 旅客施設
平成32年度までに、1日当たりの平均的な利用者の数が3,000人以上の原則としてすべての鉄軌道駅、バスターミナル、旅客船ターミナル及び航空旅客ターミナルについて、
- (1) 段差の解消
- (2) 視覚障害者誘導用ブロックの整備
- (3) 障害者用トイレの設置
等のバリアフリー化を実施します。
鉄軌道駅については、地域の要請及び支援の下、鉄軌道駅の構造等の制約条件を踏まえ可能な限りの整備を行うこととします。
ホームドア又は可動式ホーム柵については、車両扉の統一等の技術的困難さ、停車時分の増大等のサービスの低下、膨大な投資費用等の課題について総合的に勘案した上で、優先的に整備すべき駅を検討し、地域の支援の下、可能な限り設置を促進します。
2 車両等
平成32年度までに、以下のバリアフリー化を実施します。
車両等の種類 | 車両等の総数 | バリアフリー化される車両等の数 | |
---|---|---|---|
鉄軌道車両 | 約52,000 | 約36,400(約70%) | |
乗合バス | ノンステップバス | 約50,000 | 約35,000(約70%) |
リフト付きバス等 | 約10,000 | 約2,500(約25%) | |
タクシー車両 | (約28,000台の福祉タクシーを導入) | ||
旅客船 | 約800 | 約400(約50%) | |
航空機 | 約530 | 約480(約90%) |
3 道路
平成32年度までに、原則として重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成するすべての道路について、バリアフリー化を実施します。
4 都市公園
平成32年度までに、以下のバリアフリー化を実施します。
- (1) 園路及び広場 園路及び広場の設置された都市公園のうち、約60%
- (2) 駐車場 駐車場の設置された都市公園のうち、約60%
- (3) 便所 便所の設置された都市公園のうち、約45%
5 路外駐車場
平成32年度までに、特定路外駐車場の約70%についてバリアフリー化を実施します。
6 建築物
平成32年度までに、2,000m2以上の特別特定建築物の総ストックの約60%についてバリアフリー化を実施します。
7 信号機等
平成32年度までに、原則として重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成するすべて の道路において、バリアフリー対応型信号機等を設置します。
視覚障害者用誘導案内用設備
「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン」において、視覚障害者誘導用ブロックと音案内についてのガイドラインが示されています。
(1)視覚障害者誘導用ブロック(絵)
(2)音案内(標準的なもの)
- <1> 改札:「ピン・ポーン」又はこれに類似した音響案内
- <2> エスカレーター:「(行き先)(上下方向)エスカレーターです」などの音声案内
- <3> トイレ:「向かって右が男子トイレ、左が女子トイレ」などの音声案内
- <4> ホームからの階段:鳥の鳴き声を模した音響案内
- <5> 地下鉄の地上出口:「ピン・ポーン」又はこれに類似した音響案内
LRT(Light Rail Transit)システム
LRTシステムとは、従来の路面電車から走行空間、車両等を向上させたもので、道路空間、鉄道敷等の既存インフラも有効活用し、高い速達性、定時性、輸送力等を持った、人や環境に優しい都市公共交通システムです。
低床で車内に段差のないLRV(低床式車両)の導入や電停へのスロープ整備等の段差解消の取組によりバリアフリー化を図り、高齢者や障害のある人も安心して利用できるようになります。
福祉空間形成型プロジェクト
〔福祉空間形成型プロジェクトの要件〕
- ●社会福祉施設等の再開発ビルへの導入が市町村が定める福祉のまちづくりに関する計画に位置づけられていること。
- ●当該社会福祉施設等の延べ面積の合計が保留床の延べ面積の10分の1以上又は1,000m2以上であること。
らくらくおでかけネット
公共交通機関(鉄軌道駅、バスターミナル、空港ターミナル、旅客船ターミナル)のバリアフリー情報をインターネットや携帯端末により提供しています。また、駅・ターミナル情報については一部英語版での提供もしています。
国営公園の取組
国営昭和記念公園では、平成9年度より「誰でも安心して楽しむことができる公園づくり」を基本理念とし、JRに直結した西立川口を中心として、園路や遊具、トイレ等のバリアフリー化など、ハード面の整備を進めるとともに、ソフト面でも、障害者や高齢者の方々に公園をより楽しんでいただくようガイドボランティアの育成を実施しています。