第7回産学官連携推進会議

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産学官連携功労者表彰

大学、公的研究機関、企業等の産学官連携活動において、大きな成果を収め、また、先導的な取組を行う等、産学官連携の推進に多大な貢献をした優れた成功事例に関し、その功績を称えることにより、我が国の産学官連携の更なる進展に寄与することを目的とし、平成15年度より毎年一回行われているもので、今回が6回目となります。
 
内閣総理大臣賞

■ 超高密度HDDのための高性能トンネル磁気抵抗素子の開発

湯浅 新治 独立行政法人産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門 研究グループ長
鈴木 義茂 大阪大学 教授
ジャヤプラウィラ ダビッド キヤノンアネルバ株式会社 エレクトロンデバイス事業本部 部長

[受賞理由]
産業技術総合研究所において、酸化マグネシウム(MgO)を用いた新型のトンネル磁気抵抗(TMR)素子を開発し、磁気抵抗200%という画期的な高性能を実現した。キヤノンアネルバは同社製の製造装置を用いたMgO-TMR素子の量産法を開発し、大阪大学は同素子のノイズを低減する手法を確立した。三者共同で開発されたMgO-TMR素子とその製造技術は速やかに富士通等の生産ラインに移管され、研究開発開始後わずか3年で、1平方インチ当たり200ギガビットを越える超高密度ハードディスク駆動装置(HDD)の磁気ヘッドとして製品化された。本成果は「スピントロニクス」と呼ばれる新しい学術分野の発展にも大きく寄与し、テクノロジーとサイエンスが共鳴した極めて優れた成功事例である。

内閣総理大臣賞
MgO-TMR素子量産用スパッタ装置(左)と
それを用いて製造された超高密度HDD磁気ヘッドのウエハ(右)
(提供:富士通)
科学技術政策担当大臣賞

■ 完全養殖クロマグロの産業化

熊井 英水 近畿大学 理事、教授
大原 司  株式会社アーマリン近大 代表取締役社長

[受賞理由]
近畿大学の熊井教授は、クロマグロを完全養殖することに世界で初めて成功、商品サイズにまで育て上げ、同大学発ベンチャーのアーマリン近大は、このクロマグロを「完全養殖近大マグロ」として販売した。本件は、研究とビジネスを大学と大学発ベンチャーが分担して連携することにより、研究成果を市場・社会へ効率的に還元するとともに、クロマグロの低水銀化という市場ニーズを研究現場へ素早くフィードバックし、新技術の開発とその産業化を的確に行うことができた好事例である。完全養殖技術の確立、餌料コントロールによる完全養殖クロマグロの低水銀化、及び完全養殖クロマグロ種苗(稚魚)の大量生産・普及に成功したことで、食の安心・安全の確保と天然クロマグロ資源の保護への貢献が期待される。

科学技術政策担当大臣賞
近畿大学水産研究所いけす内を泳ぐ養殖クロマグロ(左)と
その水揚げ(近畿大学水産研究所にて)(右)

■ 周波数解析法を用いた生体認証装置の開発

梅崎 太造 名古屋工業大学 教授
中央発條株式会社
株式会社ディー・ディー・エス

[受賞理由]
周波数解析法を用いた指紋認証技術は、指紋断面の凹凸を一次元の波形とみなし、その波形の周波数成分に含まれている指紋らしさの成分を除去して個人固有の特徴を強調するアルゴリズムを用いており、高速・小記憶容量・高精度という特徴を持つ。アルゴリズムの原理上、指紋画像の保存が不必要のため、それが流出する危険性が無い。名古屋工業大学の梅崎教授が本解析法を考案し、中央発條が重要施設や家の入退出用セキュリティシステムの開発と販売、ディー・ディー・エスがモバイル機器用セキュリティシステムの開発と販売を担当し、この三者の連携により、迅速な開発・販売と顧客ニーズをフィードバックする体制を実現した。本技術が、企業や行政機関等における情報セキュリティ対策等の社会的ニーズに大きく貢献した点も評価できる。

科学技術政策担当大臣賞
入退室用指紋照合装置例
総務大臣賞

■「超高速インターネット衛星通信システムのコア技術」の開発

立居場 光生 有明工業高等専門学校 校長、九州大学 名誉教授
日本電気株式会社 航空宇宙・防衛事業本部 宇宙システム事業部
三菱電機株式会社 鎌倉製作所 

[受賞理由]
超高速インターネット衛星「きずな」の通信システムの技術は、立居場教授の知見や同教授を中心とした衛星ミッションの検討結果を開発に反映させつつ、日本電気と三菱電機が共同で開発した。搭載再生交換機、Ka帯アクティブフェーズドアレーアンテナ、Ka帯マルチビームアンテナ及びマルチポートアンプ等の開発により、世界最高速レベルの通信速度(1.2Gbps、交換機ベース:155Mbps)と広いカバレッジをもつ衛星通信システムの構築が可能となった。成果の一部は、最先端技術の商用通信衛星中継器の製品として海外に販売するなど、国際競争力向上に貢献した。

総務大臣賞
超高速インターネット衛星「きずな」
文部科学大臣賞

■「高分解能三次元電子顕微鏡装置」の開発

陣内 浩司 京都工芸繊維大学 准教授
日本電子株式会社

[受賞理由]
コンピュータトモグラフィーと透過型電子顕微鏡を組み合わせ、三次元ナノ構造を直接観察できる三次元電子顕微鏡を開発した。さらに、ロッド状に試料を加工する新しいナノ加工技術を開発し、これと本装置を組み合わせることで0.5nmという世界最高の空間分解能を達成した。京都工芸繊維大学の陣内准教授が確立した顕微鏡観察の技術を基に、日本電子株式会社が大学と共同で本装置の実機の開発・製造を行い、平成16年から毎年研究機関や分析会社等に納入している。本装置はナノスケールの三次元構造を解析する際に大きな威力を発揮し、新規ナノ材料の創成等に大きく寄与するとともに、生命科学やエネルギーなど広範囲な分野への波及効果が期待される。

文部科学大臣賞  
三次元電子顕微鏡(3D-TEM)  
  文部科学大臣賞
燃料電池電極の電子顕微鏡像:二次元(左)から三次元(右)へ

■ 自立歩行を可能としたアクティブ歩行器「ハートステップ」の開発

小林 宏  東京理科大学 教授
入江 和隆 株式会社ハートウォーカージャパン 代表取締役
佐藤 裕  神田通信工業株式会社 開発技術部応用機器開発室 室長 
      (元株式会社日立メディコ マッスルケアプロジェクトリーダー)

[受賞理由]
空気圧駆動式人工筋肉を用いることにより、正しい姿勢で手が自由となり、全身の制御が出来ない障害者も、家庭内で安全に歩行することが可能となる歩行器を開発した。障害者が本装置を用いて歩行訓練を行うことにより、関節稼働域が広がり、自分でステップが出せるようになるなど、短期間で顕著な効果が上がっている。東京理科大学の小林教授が装置の開発及び施設への技術の普及、ハートウォーカージャパンが人に装着する装置のノウハウの提供、日立メディコが制御システム及びデザイン全般の指導等をそれぞれ行うことにより、臨床試験にスムーズに移行することができ、製品化に結びついた。本装置は、全身の制御ができない障害者の自立歩行へ向けた大きな支援となった点でも評価される。

文部科学大臣賞
7歳の二分脊椎症のお子さんの歩行訓練の様子

■ 函館マリンバイオクラスター形成の推進

米田 義昭 財団法人函館地域産業振興財団 副理事長
山内 晧平 愛媛大学 社会連携推進機構特命教授、南予水産研究センター センター長
     (元北海道大学 副理事、創成科学共同研究機構 副理事長)
宮嶋 克己 公立はこだて未来大学共同研究センター 産学官連携コーディネーター
     (元北海道立工業技術センター 研究開発部長)

[受賞理由]
函館市では、平成15年に「函館国際水産・海洋都市構想」を策定し、豊富な水産資源を有する特性・優位性を基盤にして、産学官連携により地域水産資源の付加価値向上を図るための研究開発を実施してきた。その結果、平成18年度までに、商品化70件(利用価値の乏しい「ガゴメコンブ」の資源化、函館活〆スルメイカ等)を実現するなど、これまでにない大きな経済効果(1,763百万円)を生み出すような特色あるマリンバイオクラスターの基盤が構築できた。函館地域産業振興財団が中核機関となり、元北海道大学山内教授が研究を統括し、北海道立工業技術センターが地域内外の企業の連携を促進している。産学官連携によるネットワークは拡大を続けており、地域活性化の優れた事例と言える。

文部科学大臣賞
函館マリンバイオクラスターで生み出された商品群
厚生労働大臣賞

■ 血栓性疾患関連酵素ADAMTS13の活性測定法の開発

宮田 敏行 国立循環器病センター研究所 病因部 部長
小亀 浩市 国立循環器病センター研究所 脈管生理部 室長
常見 雅彦 株式会社ペプチド研究所 企画開発部 部長

[受賞理由]
血栓性血小板減少性紫斑病は、類似疾患が多いため、早期診断が難しく、かつ、急速進行性・致死性の特定疾患であり、迅速な診断による早期治療が必要である。近年、血中酵素ADAMTS13の低活性が発症要因となることが明らかとなり、世界的に活性測定が重要視されている。従来の測定法は煩雑な操作を要するため、臨床検査項目として普及せず、迅速に診断できなかったが、国立循環器病センター研究所が、迅速かつ簡便な測定法を開発し、ペプチド研究所が、ADAMTS13活性測定用試薬の製品化に成功した。測定キットとしての販売も始まり、海外を含めて多くの医療施設に普及することで、人々の救命だけでなく、医療費の軽減効果も期待される。

厚生労働大臣賞
ADAMTS13活性測定試薬「FRETS-VWF73」
(血中酵素ADAMTS13によって切断されると、蛍光を発する)
農林水産大臣賞

■ 食品残さを活用した発酵リキッドフィーディングの開発

川島 知之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所 研究チーム長
佐伯 真魚 日本大学 専任講師
高橋 巧一 株式会社小田急ビルサービス小田急フードエコロジーセンター 顧問

[受賞理由]
畜産草地研究所を中心とする産学官連携により、多様な食品残さの分別と混合の後、選抜した特定の乳酸菌を用いて発酵調製を行う「発酵リキッドフィーディング」に関する技術が確立され、飼料成分が安定化し、保存性が向上した飼料を安価に製造することが可能となった。日本大学は、発酵リキッド飼料調製技術の高度化を図り、小田急フードエコロジーセンターは、実際に養豚現場での給餌システムを開発し、ブランド豚肉の生産・販売に活用するなど、本技術の効果検証と確立に貢献した。本技術の導入により、我が国の飼料自給率の向上、飼料コスト低減による畜産経営の改善、食品リサイクルの推進、二酸化炭素排出量の低減、抗菌性飼料添加物の使用低減による豚肉の地域ブランド化が図られることが期待される。

農林水産大臣賞 農林水産大臣賞
発酵リキッド飼料の給餌 多様な食品残さの分別と混合の後、
選抜した特定の乳酸菌を用いて
発酵リキッド飼料を調製
経済産業大臣賞

■ 岡山リサーチパークインキュベーションセンター(ORIC)を拠点とした地域の一体的連携支援事業

松尾 彰  岡山リサーチパークインキュベーションセンター(ORIC) 
      センター長兼インキュベーションマネジャー
横田 尚之 財団法人岡山県産業振興財団 経営支援部 中小企業支援センター センター長
窪田 真一郎 岡山県工業技術センター 機械系技術部 研究員

[受賞理由]
ORICは、新技術・新製品の開発や創業を図る企業・個人を支援する拠点として、隣接する岡山県産業振興財団や岡山県工業技術センターと連携した一体的な取組みを展開している。その結果、短期間で将来性の高い起業家を多数発掘し、成長させ、県内の新産業・雇用創出の優れた成果をあげることに成功した。株式会社日本ステントテクノロジーを始め、平成19年度までの5年間で、26社の企業を創出している。各機関の特長を活かした連携のもと、創業希望者の発掘、入居企業の技術開発、資金や販路の経営支援などを民間の活力・ノウハウを活かしつつ、包括的・効果的に行っている成功事例として高く評価できる。

経済産業大臣賞
岡山リサーチパークとインキュベーションセンター

■ 高精度がん放射線治療装置の開発

川田 則幸 三菱重工業株式会社 医療機器事業統括室 主席技師
平岡 真寛 京都大学 教授
小久保 雅樹 財団法人先端医療振興財団 先端医療センター 放射線治療科 部長

[受賞理由]
本装置は、患部にピンポイントで放射線を照射することにより、放射線障害を極力回避でき、また、患部への位置合わせ時間を半減するなど、患者への負担を軽減し、体力が衰えた高齢者にも適用可能等の特性を有する。三菱重工業が本装置の事業化を推進し、京都大学の平岡教授が患部判定法を実用化レベルにまで向上させた。先端医療振興財団は、製造販売承認において臨床側の知見の企業側への提供・支援を行った。専門分野が異なる人材が相互に交流することで、研究シーズが実用化に結びついた好事例である。正確な放射線照射により外科手術を伴わない治療範囲が広がり、入院期間の短縮、外科手術による2次障害の回避が図られるなど、医療現場への負担軽減等の効果も期待される。

経済産業大臣賞
最新型高精度放射線治療装置 線形加速器システムMHI-TM2000
(承認番号:22000BZX00028000)

■「宮崎公設試発SPG技術」を活用した地域活性化

鳥越 清  宮崎県工業技術センター 材料開発部 部長
中島 忠夫 コントロールリポテックス株式会社 代表取締役 
      (元宮崎県工業技術センター 所長)
中島 昇  エス・ピー・ジーテクノ株式会社 代表取締役社長

[受賞理由]
南九州に広がる火山灰土壌のシラスから機能性材料「SPG(Shirasu Porous Glass、シラス多孔質ガラス)」を開発し、多様な連携スキームを利用して SPG 膜、はんだ微粒子、肝ガン治療用エマルション製剤等の製品開発に成功した事例である。宮崎県工業技術センターは,SPG膜の開発等の研究開発とともに、産官学連携による技術移転を推進し、企業の新規立地や雇用創出等、SPG技術を活用した地域活性化に大きく貢献した。エス・ピー・ジーテクノは、地域資源を活かしたベンチャー企業を立ち上げ、SPG技術の新規市場を開拓した。農地に適さない台地から有効な資源を生み出す公設試の研究開発成果を特許化し、産学官連携による新たな産業を起こした点は高く評価される。

経済産業大臣賞
シラス多孔質ガラス SPG 膜(左)とこれで造られた
直径100μm以下の 微細な次世代マイクロハンダボール(右)
国土交通大臣賞

■ 繊維質固化処理土「ボンテラン」による高含水比泥土の再資源化技術

高橋 弘  東北大学 教授
森 雅人  株式会社森環境技術研究所 所長
益子 恵治 ボンテラン工法研究会 会長

[受賞理由]
東北大学の高橋教授と森環境技術研究所は、建設汚泥・浚渫土(ヘドロ)・浄水発生土の再資源化をはかるため、繊維質物質である古紙破砕物と高分子系改良剤を添加し、高含水比泥土を十分な品質特性を有する盛土材料や緑化基盤材として再資源化する繊維質固化処理土(ボンテラン)工法を完成させた。また、ボンテラン工法研究会は、当該工法の施工技術の向上、普及活動を通じて建設汚泥等のリサイクル率向上と建設コスト削減に貢献した。ボンテラン工法研究会には全国74社が入会し、本工法の実績は、321件、24万m3に達成している(平成20年2月現在)。ボンテラン工法は、従来に比べて、安価でかつ容易に地域社会で利用でき、環境面にも配慮している点で高く評価できる。

国土交通大臣賞 国土交通大臣賞
高分子改良剤 池のヘドロをボンテラン工法で改良し、
親水公園の造成盛土材に再利用
環境大臣賞

■ 準好気性埋立構造(福岡方式)及びクローズドシステム処分場の開発

花嶋 正孝 財団法人福岡県環境保全公社 リサイクル総合研究センター センター長、
      福岡大学 名誉教授

[受賞理由]
準好気性埋立構造(福岡方式)は、福岡大学と福岡市の協力により開発され、メタンガスの排出を抑制し、優れた環境性能と地盤の速やかな安定化を低コストで可能とする日本初の技術である。国内の多くの最終処分場に取り入れられているほか、国際技術協力により開発途上国を中心に世界的規模での広がりを見せており、日本の環境技術の高さを国際的に示した好事例として評価できる。また、周辺自治体及び民間企業57社の参画により、その発展形として、処分場の高度制御(「コントロール」)と上部空間の利用(「コミュニティ」)を実現するクローズドシステム処分場が開発・実用化され、全国に事例が増えている。花嶋センター長は、これらの開発を推進するとともに、その普及・実用化に貢献した。

環境大臣賞
クローズドシステム処分場
日本経済団体連合会会長賞

■ 高圧枯渇法による高品質微結晶シリコンの高速製膜技術の開発

近藤 道雄 独立行政法人産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター センター長
山内 康弘 三菱重工業株式会社 長崎造船所 太陽電池事業ユニット 主幹技師
竹内 良昭 三菱重工業株式会社 技術本部 長崎研究所 プラズマ光技術研究室 主席研究員

[受賞理由]
高圧、狭電極間隔において、原料ガスのSiH4を枯渇(不足)させ、VHF(超高周波)電力を使用することで、高速(5nm/s以上)かつ高品質の微結晶シリコン薄膜の作製に成功した事例である。このVHF高圧枯渇法は、微結晶シリコンを用いた薄膜シリコンタンデム型太陽電池の生産に大きく貢献した。産業技術総合研究所が高圧枯渇法を開発し、三菱重工業は高速製膜のための新電極の開発、装置の改良を行い、事業化に結びつけた。従来の結晶シリコン太陽電池に比べてシリコンの厚みが1/60〜1/100程度(2〜3μm)と、大幅な省シリコン化に成功したことで、低コスト化による太陽光発電のさらなる普及促進が期待される。

日本経済団体連合会会長賞
微結晶タンデム型太陽電池
日本学術会議会長賞

■ リアルタイム3次元顕微撮像システムの開発及び細胞内分子動態リアルタイム可視化研究

中野 明彦 独立行政法人理化学研究所 主任研究員、東京大学 教授
御厨 健太 横河電機株式会社 技術企画本部 原価企画センター長
谷岡 健吉 日本放送協会放送技術研究所 所長

[受賞理由]
NHK放送技術研究所が保有する「HARP撮像管技術」と、横河電機が保有する「マイクロレンズ付きニポウディスク技術」を組合せ、理化学研究所の協力のもと、新しいレーザー顕微鏡の作製に成功した事例。1本のレーザービームで観察領域をスキャンする従来方式に比べ、圧倒的に高速で細胞画像の取得が可能となった。HARPカメラの高感度を生かして1秒間に180枚の画像情報を取得し、数学的処理と組み合わせ、光学顕微鏡の限界を越える3次元空間分解能50nmを備え、生細胞内で起こる生体分子の動的変化を観察する世界最高性能を実現した点は画期的である。生物学研究者のニーズとエンジニアの技術シーズをマッチングさせ、有用性の高いシステムを開発したことで、さらなる学術成果が期待される。

日本学術会議会長賞
国産の技術を組み合わせて開発されたリアルタイム3次元顕微撮像システム
(3色の蛍光で3次元画像を高速(30立体/秒)で観察することが可能)

 

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