戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
「IoE社会のエネルギーシステム 」研究成果の発表について
~ワイヤレス電力伝送(WPT)システムの実現に向け、受電部の高効率化を達成~


令和2年9月28日
政策統括官(科学技術・イノベーション担当)
プレスリリース

 戦略的イノベーション創造ブログラム(SIP)第2期「IoE社会のエネルギーシステム」では、産学官連携体制の下、再生可能エネルギーが主力エネルギー源となる社会のエネルギーシステムの設計について検討し、その実現に必要となる共通基盤技術の開発に取り組んでいます。
 共通基盤技術のうち、マイクロ波を用いたワイヤレス電力伝送(WPT)システムの技術開発おいて、カギとなる「受電部」の効率向上に関する成果が得られましたのでお知らせします。

 SIP第2期「IoE社会のエネルギーシステム」では、産学官連携体制の下、再生可能エネルギーが主力エネルギー源となる社会のエネルギーシステムの設計について検討し、その実現に必要となる共通基盤技術の開発に取り組んでいますが、その一つがワイヤレス電力伝送(WPT)に関する技術であり、電源ケーブルを必要としない電力供給技術として注目されています。
 現在、WPT技術は非接触の充電器などで利用されています。この技術が一般的になり、電力を送る距離が延びると、屋内に分散している機器やセンサーの電源コードや電池交換が不要になり常に充電状態にできる、屋外の稼働中の移動型ロボットや自動輸送機器、飛行中のドローンなどに電力を送ることが可能になり搭載するバッテリーを小さく軽くできる、など電子機器、電気機器の使い勝手が良くなることが期待できます。
 このWPTの手法の一つとしてマイクロ波を用いる技術がありますが、従来は受電した電力を直流に変換する際の電力変換効率が低く、また受電できる電力が小さいという課題がありました。
 そこで本SIPではこれらの課題を解決すべく研究開発を進め、電力変換効率の向上については金沢工業大学を含む研究グループがアンテナ・回路・デバイスを一体設計した新たな構造の受電レクテナを開発し、世界最高の電力変換効率92.8%(マイクロ波電力1W入力時、従来の効率は70%程度)を達成しました。
 また受電電力の大電力化については、名古屋大学を含む研究グループがマイクロ波電力の受電に適したノーマリオフ型HEMT を基本とするGaN 整流素子を開発し、大電流高電圧への対応を可能とし、従来のGaN WPT用素子に対して3倍の高パワー化を実現しました。
 今後、SIP終了(2022年度末)までに、開発した二つの技術を組み合わせることで、世界最高効率の10 Wクラスのマイクロ波帯WPTシステムの受電部の開発を目指します。

●研究成果の詳細資料

マイクロ波電力の受電に適したノーマリオフ型HEMT を基本とするGaN 整流素子(名古屋大学)(PDF形式:1648KB)PDFを別ウィンドウで開きます

アンテナ・回路・デバイスを一体設計した新たな構造の受電レクテナ(金沢工業大学)(PDF形式:1813KB)PDFを別ウィンドウで開きます

●参画機関プレスリリース

・名古屋大学ホームページ(移動ページ)

・金沢工業大学ホームページ(移動ページ)

問合せ先

内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付
エネルギー・環境担当 伊藤、岩井
電 話:03-6257-1337