第27回市場開放問題苦情処理推進会議議事要旨


1 日時 平成12年12月7日(木) 15:00〜16:25

2 場所 経済企画庁官房特別会議室436号室

3 出席者

(OTO推進会議)

大河原議長、片田委員、佐々波委員、谷村委員、豊島委員、眞木委員、槇原委員、八城委員、山本委員、金森委員、兼重委員、本田委員、宮智委員、村上委員、權委員、デュボワ委員

(所管省庁)

厚生省 中垣生活衛生局新開発食品保健対策室長 他

(OTO対策本部、OTO事務局)

経済企画庁 中名生経済企画事務次官、河出調整局長、薦田調整局審議官、坪内調整局貿易投資対策官 他

4 議題

(1)第14回苦情処理部会における審議状況について
(2)平成12年度海外派遣ミッションの結果報告
(3)第6回OTO推進会議報告書フォローアップについて
(4)その他

5 議事要旨

1.中名生経済企画事務次官挨拶

・OTOの活動は、経済構造改革を推進していく上で、実際の経済活動から生じている具体的課題に則して市場アクセスの改善を図る、極めて重要な活動であると認識している。
・一月に中央省庁の再編が行われるが、OTOについては、新設される内閣府の事務として法令上も明確に位置付けられており、従来にも増して、市場アクセスの改善に積極的に取り組んで参る所存である。

2.審議の概要

(1)第14回苦情処理部会における審議状況について

平成12年4月28日に開催された第14回苦情処理部会について、部会議長を務めた豊島委員より以下のとおり報告。


・第13回苦情処理部会以降の苦情の受付・処理状況について、事務局より報告があり、それに対する委員からの意見・質問があった。
・議長総括として、所管省庁においては、それらの意見を踏まえた形で一層の対応を図って頂きたい旨、発言した。
・部会直前に解決に至った案件として、並行輸入自動車に関する案件を紹介。

引き続き、OTO事務局より、第14回苦情処理部会後の個別苦情の状況について報告。

(2)平成12年度海外派遣ミッションの結果報告

本田委員より、本年4月8日〜16日にかけて、ニュージーランドのウェリントン、オークランドとオーストラリアのメルボルン、シドニーを訪問し、政府関係者や経済団体関係者等と行った意見交換の結果について以下のとおり報告。

・OTOでは、各国大使館等からの問題提起、苦情申立を受けて、非関税障壁の解消に努めてきていること、最近においても、重要な問題に関する提言を行ったことを説明した。
・前回(平成8年)の両国へのミッション以降、それぞれの国から提起された事項の処理状況について説明した。
・いずれの訪問国においても、OTOは有意義な組織であるとの認識のもとに、日本市場へのアクセスが高まるようにOTOに期待するとの意向が示された。
・ニュージーランドでは栄養補助食品を始めとしてOTOの提言を受けて、日本政府が規制の緩和に努めていることに対して評価する旨の発言があり、オーストラリア外務省から、中央競馬における外国産馬の出走枠の拡大及び海外居住者の馬主登録が可能となったことに対して評価する発言があった。

(3)第6回OTO推進会議報告書のフォローアップについて

ア.平成12年3月16日に取りまとめられた第6回OTO推進会議報告書を受けて、同月21日にOTO対策本部により対応が決定された案件に関し、現在までの政府としての対応の実施状況について、OTO事務局より報告。

イ.引き続き、「栄養補助食品に関する規制緩和」に関し、政府としての実施状況及び栄養補助食品のカテゴリーのあり方について、厚生省より以下のとおり報告。

・本制度については、規制緩和推進計画、OTO決定及びMOSS協議でも取り上げられており、厚生省としては、「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」を開催し、本年3月に報告書がとりまとめられた。
・今回、具体的な制度化に向けて、食品衛生調査会の食品規格、乳牛水産、表示特別、添加物及び毒性の5部会の合同分科会として栄養補助食品等分科会を設定して6月以降5回にわたって審議を行い、10月24日にその報告書がとりまとめられた。この報告書に基づき、食品衛生調査会の合同部会を2回開催し、11月20日に合同部会の報告書がとりまとめられた。
・この間、各国大使館への説明、ホームページ掲載による意見募集を行った。
・現在、パブリックコメントを募集するとともに、WTOへ通報しているところである

ウ.委員の主な意見及び事務局等の回答は以下の通り。

1.高麗人参は韓国では健康栄養食品として販売されている。高麗人参は苦味を持つためカプセルに入れて日本で販売することを考えたが、手続上複雑になるとのこと。本件に関する規制が緩和されるのはいつ頃になるか。

(厚生省)

現在、食薬区分における形状規制は撤廃したことから、高麗人参をカプセルに入れて食品として販売すること自体は可能である。しかし、薬効等を表示して販売したいのであれば医薬品としての承認を受けねばならず、これを行わなければ薬事法違反となる。

2.ポリソルベートを食品添加物として使用が認められるよう要望しており、厚生省に対し安全性に関する資料を提出している。その後の検討状況をお伺いしたい。

(厚生省)

本件については11月22日に、提出された資料の不備な点等について韓国側にお伝えしたところ。回答があれば検討を先に進めることができる。

3.「食品検査機関の民間への開放」について、信頼性と中立性についてはある程度合理的に定義を設定できるが、公正性については定義の設定が難しいのではないか。営利を目的とする民間企業では公正性に反する蓋然性が高いと説明していたが、これでは恣意的な行政が成り立ってしまう。検討に当たっては公正性にこだわらないほうがよい。

(事務局)

意見があったことを所管省に伝える。

4.「港湾業務への市場原理導入」について、運輸政策審議会の答申によると、「港湾運送事業者は事業規模を拡大し必要に応じてターミナルを借り受け体力強化を目指していくこと等により、欧米アジアの主要港に対抗しうる港湾運送の体制をとること」を将来像としてのべている。その次に港湾運送事業の特性として「極度の労働集約的産業であり、業務の波動性が高いので悪質な暴力労務手配師の参入の余地がある」と指摘している。今回の法改正によってこの問題を解決していないとすれば、欧米・アジアの主要国の港湾運送事業に勝てるような優良な企業の新規参入は難しい。もし既存業者の統合程度でお茶を濁していると差は益々広がる。まだ法改正後1ヶ月では変化を調べるのは無理だが、新しい潮流の芽が認められるのかどうか、いずれ事務局として調査を検討していただきたい。

(事務局)

調査することが可能かどうかについて検討したい。


なお、港湾運送事業法の一部を改正する法律には、事業参入規制、運賃・料金の見直しとともに、悪質事業者の参入や過度のダンピング等を防止することを目的とした港湾運送の安定化策を設けることが含まれている。今回の改正にあたっては、委員ご指摘の件も踏まえているのではないかと考えられる。

5.保健機能食品のカテゴリーの対象は、外国で流通している同様の製品がほとんどカバーされるのか、それとも半分くらいは怪しいということか。

(厚生省)

現在、食薬区分における形状規制は撤廃されたことから、錠剤やカプセル状の栄養補助食品も、食品として輸入できるが、この場合、効能表示をすることはできない。機能表示を行いたい場合、来年4月からの実施を予定している保健機能食品制度によると、安全性に関するデータ等一定の条件をクリアしたら、特定保健用食品として保健機能の表示をすることが可能となる。

6.委員の質問の意図は、OTO対策本部決定にあるように、通常海外で栄養補助食品として流通・販売されているものが、我が国でも医薬品としてでなく食品として取扱いができるような仕組みとなっているのかというものではないか。

(厚生省)

新しいカテゴリーに入らないものもある。ただ、食品として販売できないわけではない。

7.海外で無事に通用しているものが、日本でも障壁なく流通すれば良い、ということである。運用上よろしくお願いしたい。

8.「栄養補助食品に関する規制緩和」について、保健機能食品というカテゴリーは分かりにくく、使用する消費者は勉強が必要との印象がある。健康食品で被害が出たケースもあり、国民に正しく理解されるよう啓蒙活動をすべきでないか。また、特定保健用食品に関するマークは今後も存続するのか。

(厚生省)

制度が分かりにくいという面があることは認識している。規格基準型は届出の必要はない。厚生省としては、事前の規制から事後チェック型の行政にしようということである。
啓蒙は重要と認識しており、今年度から来年度にかけて、パンフレットの作成や都道府県の担当者への説明を行っていきたい。特定保健用食品のマークについては存続させたいと考えている。

9.前回の推進会議においては、官では年度で期間を区切りがちだが、民間では四半期で期間を区切ることが当たり前という意見があった。そのおかげか、第6回報告書において年度で区切った案件は2件しかなかった。今後は、もっと早く対応していこうではないか。

10.薬効等を表示すると薬事法の規制対象となるとのことだが、恣意的な判断を防止するため、薬事法に反する表示等の基準を明確にすべきではないか。

(厚生省)

保健機能食品の表示については基準が必要であると考えている。表現は際限なくあるものだが、可能な限り明確な形で基準を作成したい。

エ.議長からは、以下の総括があった。

・フォローアップについて、前向きの対応が図られつつあると思われるが、関係省庁におかれては一層の改善をお願いしたい。
・栄養補助食品については、これまで何度も取り上げられるなど関心が高く、制度の運用上、本日の意見を十分に尊重して対応していただきたい。

(4)その他

ア.議長から以下の発言があった

・本年度、外国人事業者等から問題提起された20件程度の案件については、今後、個別苦情として、必要に応じて苦情処理部会で審議し、精力的に処理することとしたい。関係省庁におかれてはご協力をお願いしたい。


・苦情処理部会における審議状況については、来年春頃推進会議を開催し、報告していただくこととしたい。

イ.事務局より、省庁再編関連事項として、内閣府の組織編成、内閣府の事務体制、経済財政諮問会議の役割、OTO事務局の再編後の体制等につき説明。


− 以上 −

(速報のため事後修正の可能性あり)

[問い合わせ先]経済企画庁調整局市場開放問題苦情処理対策室
TEL 03-3581-5469(直通)