開催挨拶「高齢社会フォーラム・イン広島」松井広島市長

松井 一實
広島市長

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皆様、おはようございます。平成24年度高齢社会フォーラム・イン広島の開催に当たりまして一言ご挨拶をさせていただきます。

 まず、この広島でのフォーラムにご参加いただきまして、広島市118万市民の代表として歓迎の言葉を述べさせていただきたいと思います。本当にありがとうございます。また、皆様には日ごろから社会参加の実践的な対応をされているという中で、今日もこのフォーラムに参加されております。今日の議論を通じて活動のための情報を得られて、ますます社会参加への意欲を高め、活動を活性化させていただければと思います。

 このフォーラムは、内閣府と高齢社会NGO連携協議会、そして広島市の主催になっております。皆様がこういう場に参加していただくということの意義は非常に大きいと思います。

 ところで、いろいろな形で社会参加する時に、もちろん自分の希望や考え方に沿って社会参加することはとても重要でありますが、もう一つの側面として、その社会参加を通じて人のためになる、助けになるということもとても重要なことだと思います。そして、人間というのは、自分のやっているいろいろなことが人のためになり、助けになった時、自分の存在を人に認知していただくことで、この世に生まれてよかったという深い喜び、満足感が得られると思います。社会参加というのは、自らの希望をかなえると同時に、大きな社会の枠組みの中で多くの人を助けて、人のためになるという喜びを理屈抜きで感じる。それを実感するということを多くの方がやっていくことが、この超高齢社会の中をうまく生きていく時にとても重要なことではないかと思っています。

 ご存知のように、世界全体で高齢化が進んでおります。日本もそうです。広島市の場合もご多分に洩れず高齢化は確実に進展しています。数字でご紹介いたしますと、今年の3月31日現在、60歳以上の方が約33万人という数字です。これは市民の人口の約28%に当たります。65歳以上の方まで、少し年齢を上げましても約24万人おられ、約20%。そして70歳以上が約17万人で約14%、さらに75歳以上でも約11万人おられて約9%という状況であります。こうした数字を見ても、ある意味でこの広島市の人口構成の大きな部分を60歳以上の方が占められておられ、この方々の思いや社会への参加の仕方が市の在り様に大きな影響を与えるというような状況になってきております。

 厚生労働省時代に高齢者雇用対策課長などをやっていまして、定年が徐々に延びて60歳に近づいていく中、いきいきと働いている時代の職業対策をしておりました。企業などに雇われて雇用関係で働いていくという時代を過ごして、退職しひと安心して、これからは自分の好きなことをやりたい、また社会参加をしたいという方々が多くおられる中で、社会参加するための方法は何があるだろうと考えた時期がありました。そんな中でシルバー人材センターという仕事に携わることができた際、やっぱり一番重要なのは雇用形態に関係なく、とにかく社会の中で役に立つという参加の仕方をする、また、最近であれば労使という関係ではなくて、自分が自らの力と資源などを参加させて、経営者であるとともに労働者でもあるという、協同労働というようなことも出ており、そうした状況になってきているのを実感してきました。

 とにかく自分自身がこの社会参加そのものに意義を見出すというようなことが、とても重要な状況になってきていると実感しております。皆様は、すでに社会参加という実践の中でそういった対応をされているのではないかと思っております。

 そして、今何より重要なのは頭の切り替えであります。支えられている存在から、社会を支える存在に切り替えていくことが求められているのではないかと思っております。そして、この高齢社会の中でもう一つ重要なことは健康であることです。長生きする中で健康寿命が延びるということも何より重要なことであります。こういった意味で健康に留意しながら、しっかりと社会参加していただきたい。そして、頭の中で「支えられる存在」から「支える存在」になっていただいて、社会全体の活力なりにぎわいを皆さんの手でつくっていただく時代になってきていると思っております。

 本日お集まりの皆様は、そういった社会参加を経験されている方々であります。そして、本日の基調講演あるいはパネルディスカッションを通じ情報を得ていただいて、新たな手法、工夫なりをここで考えていただき、持ち帰っていただいて、その社会参加の仕方を広めていただければと思っております。そういう意味で成果が期待されるフォーラムではないかと考えております。

 終わりに、お集まりいただきました皆様方の今後の益々のご活躍、ご健勝をお祈りいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。
 本日は、本当に多数ご参加いただきましてありがとうございました。