福島県における社会参加活動事例の紹介「高齢社会フォーラム・イン福島」

福島県において、過去に表章された事例の中から、2団体の取組を紹介しました。

福島県南方部サザンクロスクラブ(白河市、平成21年度表章)

吉田歌様の写真

  • 「たのしい歌声クラブ」の紹介
    白河市からまいりました吉田歌です。私は現在、福島県社会福祉協議会管轄の、高齢者の生きがいと健康づくりを推進する、愛称「県南方部サザンクラスクラブ」の運営委員長と童謡・唱歌などを楽しむ「たのしい歌声クラブ」を担当しております。
    歌声クラブは、平成5年に発足し、21年目になります。毎年県南方部サザンクラスクラブの行事に積極的に参加し、むしろ推進力になっていると思っております。
    歌声クラブの平均年齢は76.6歳、最高齢が92歳です。80歳以上の方が18名、現在の会員数は76名と大世帯ですが、和気あいあい、皆若々しく元気で名称どおり楽しいグループです。4日前の9月29日(日)に、福島市音楽堂の大ホールで開催された「オパールコンサート」に参加し、まだその感激が覚めやらぬところです。

    たのしい歌声クラブの写真

  • 「たのしい歌声クラブ」の活動
    元気に歌える幸せを皆にも分かち合いたいとの思いから、歌をとおしてのボランティア活動も積極的に行っており、平成17年に「福島県いきいき長寿県民賞」団体の部で県知事賞を受賞しました。
    今年度の活動の一端をご紹介しますと、去る5月に県南方部サザンクロスクラブと共催で、介護老人保健施設へ慰問に行ってまいりました。
    その内容は、「春から夏へ」というテーマで、季節が移行する自然の様子をナレーションの流れに沿って演技をしながら「どこかで春が」、「春の小川」、「さくらさくら」そして「ちょうちょう」の歌を歌い、見ている方を楽しませるというものです。
    各グループがそれぞれの曲を分担しました。まず「どこかで春が」を受け持ったグループは、皆で相談して、掲示板の陰から歌詞の出てくる絵を出しましょうということにしていました。ところが、歌詞の2番の「どこかで水が流れ出す」というところで、はたとつまずいてしまいました。そしたら、また皆で相談して、「それでは、野原の絵を描いて、水色のテープを貼って、細かく揺らしたら、川の流れが表現できるのではないか」ということになりました。「どこかでひばりが鳴いている」という箇所では、歌詞と一緒にひばりと野山を描いた切り絵の型紙を、画面の上方にかかげてからすっと下げることでひばりが降りていくところを演出しました。「どこかで芽の出る音がする」というところは、絵でツクシやフキノトウなどを表現しました。
    次に、「春の小川」を担当したグループですが、皆、水色のハナチリを手の甲につけて、さらさら、さらさらと川の流れを表現したり、それから、すみれの花やたんぽぽの花を頭につけて歌ったりと、楽しく取り組みました。たんぽぽの花をつけた人の中には92歳の方もいまして、そういった高齢者の方を周りの人が助け、一方92歳の方は笑顔でその親切を受け入れており、とてもいい雰囲気でした。男性も、途中で、エビとかメダカとかの絵を頭につけて出てくるのですが、それも楽しい場面でした。
    「ちょうちょう」を担当したグループは、皆それぞれが黄色い一色の花を持って、ちょうちょうになって、童謡・唱歌「ちょうちょう」を歌いながら、この施設にいらっしゃる観客の皆様のあいだを歩きました。「ちょうちょう ちょうちょう 菜の葉にとまれ♪ 菜の葉に飽いたら 桜にとまれ♪ 桜の花の 花から花へ とまれよ あそべ あそべよ とまれ♪」の中の「…とまれ♪」というところで、クラブの人たちそれぞれが観客の皆様それぞれに黄色い花を差し上げました。クラブの人たちは、すっかりちょうちょうになり切って、自分たちも楽しんでいるし、お花をいただいた人たちも嬉しいし、というように、ここでも和やかな雰囲気になりました。そして、会場が黄色一色で埋められた感じでした。そこで、その黄色いお花を揺らしながら、皆で「朧月夜」を歌いました。慰問する人も慰問される人も皆一体になって、いい雰囲気を醸し出してくれました。
    そして、今度はだんだんと夏が訪れてまいりまして、「夏も近づく八十八夜」の童謡・唱歌「茶摘み」を謳いました。「茶摘み」を歌って、その次の「夏は来ぬ」と続いていきましたが、入所者とクラブ員が一体になり、楽しい雰囲気が会場いっぱいに広がりました。
    その日の帰り道、クラブ員の皆さんは達成感に頬を紅潮させて満足気でした。しかし、この日を迎えるまでには、皆様に少しでも喜んでいただこうと、皆で知恵を出し合い工夫を凝らして準備を進め、童心に帰っていきいきと練習に励む姿は、まさに健康長寿の生き方のお手本だと痛感しました。
    この後も、明後日、10月5日(土)・6日(日)に、公民館の発表会に参加することになっておりまして、その後、11月2日(土)・3日(日)には、白河市民会館にて開催される「しらかわ音楽の祭典」と参加行事が続きます。歌声クラブは、健康で生きがいのある毎日を心がけています。
  • 共に手を携えて役に立つ活動を
    昨年、こういうことがありました。浜通りから白河の仮設住宅に避難されている方々に呼びかけて、「みんなで楽しく歌おう」をテーマに、7月11日に行事を行った時のことです。
    皆で、歌ったりゲームをしたりして楽しく過ごしましたが、終わった後で、一人の方が私のところに来られて、歌集の中の「われは海の子」の挿絵を指さして、「うちのお父さんもこうして漁をしていたんですよ。懐かしくて、涙がこぼれました。できればこの絵を拡大して欲しい。」とのことでした。早速拡大してお届けすると、「この絵を貼っておきます。皆にも分けてあげます。」と、大変喜ばれておられました。何もかも流されてしまった、被災者の苦しみや悲しみはいかばかりかとつくづく思い知らされました。私たちは、まだまだ思いやりが足りないんだなあということを反省させられました。
    これからもクラブの会員一同、多くの皆様方と手を携えながら、少しでもお役に立てる活動を行ってまいりたいと思います。私も90歳の高齢者です。お聞き苦しいところがあったかもしれませんが、ご清聴ありがとうございました。

大成ペタンク愛好会(郡山市、平成18年度表章)

松本セツ子様の写真

  • 「大成ペタンク愛好会」の紹介
    私は、大成ペタンク愛好会代表の松本セツ子です。
    大成地区は、郡山市の西部に位置し、閑静な住宅街に広がる地域です。平成3年に、大成公民館が主催したニュースポーツ学級で、ペタンクという競技を受講しました。ペタンクは、フランス生まれで同国の国技とも言われ、目標球(ピュット)に金属製のボール(プール)を投げ合って、相手より近づけることで得点を競うスポーツです。
    講習を受けた後、ペタンク競技の面白さに魅かれ、早速仲間を募り、33名で「大成ペタンク愛好会」を結成しました。現在、会員数は16名で、最高年齢は86歳、平均年齢は78歳となっています。
  • 「大成ペタンク愛好会」の活動
    結成間もない平成3年の「第11回福島県レクレーション選手権」に出場し、初優勝しました。また、平成5年には、福島県代表として「第5回全国ねんりんピック京都大会」に出場し、最優秀賞をいただきました。これらが活動の励ましとなり、その後、「県レク」、「市レク」、「ねんりんピック」と競技に参加する度に、チームの結束を強め、出場を重ねてまいりました。
    春は桜の花が咲き誇り、秋は彩り美しい花々に囲まれる郡山市静(しずか)公園で、週3回の練習を行っています。競技としての活動に加え、会員は、ペタンクをとおして、子ども、親、お年寄りなど三世代交流行事や、昔遊びなどを行い、老人会の方々とも楽しく遊んでいます。
    また、地域の交通安全協会と協力して、「交通安全ペタンク大会」を開催し、交通事故撲滅運動にも取り組むとともに、学童を犯罪から守るために、登下校時の見守り隊の活動にも積極的に参加し、安心・安全のための地域づくりに取り組んでおります。
    このような活動が評価され、平成18年に内閣府から「社会参加章」の表章を受けました。
  • 大成ペタンク愛好会の写真 「社会参加章」表章後の活動
    社会参加賞の受章が励みとなり、年々会員の高齢化が進んではいますが、年を重ねるごとに意気も盛んになり、毎年「ねんりんピック」をはじめとした各種大会に参加し、本年も6月に行われた「すこやか福島ねんりんピック ペタンク交流大会」で優勝を果たしました。今月26~29日に「ねんりんピックよさこい高知2013」(第26回健康福祉祭こうち大会)に行く予定でしたが、ちょっと事情がありましてこの全国大会を欠席することになり、残念です。
    また、震災が起こる前までは盛んだった児童たちとの交流は、福島第一原子力発電所の事故による屋外活動の制限の影響等により交流する機会がなくなってしまい、残念に思っております。
    最後に、今後もペタンクを通じて会員相互の交流と親睦を図るとともに、大成地区老人会の皆様のご協力を得ながら、地区の皆さん、特に児童とのふれあいを復活させていきたいと思っています。ですが、何事においても健康が第一ですので、健康に気をつけながら、引き続き地域の皆様とともに大成地区が明るく元気になるよう、さまざまな活動を行っていきたいと思います。
    以上で、活動事例の発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。