開会挨拶「高齢社会フォーラム・イン東京」麻田審議官

麻田 千穂子
内閣府大臣官房審議官

麻田 千穂子 内閣府大臣官房審議官の写真

ただいまご紹介いただきました、内閣府の麻田と申します。7月の初めに異動し、高齢社会対策を担当することとなりました。

今まで行ってきた仕事は、主に労働行政で、雇用対策や労働問題、女性の活躍に関わることを担当してきました。直前は、健康寿命日本一(平成22年調べ)の静岡県の静岡労働局で、今日のテーマに関係の深いことで言えば、今年から希望すれば誰でも65歳まで企業の中で働ける仕組みが新たに導入されまして、それがきちんと実行されるようにするという仕事をしました。

私事になり恐縮ですが、官民の異業種交流会に以前から参加しておりまして、ちょうど昨日暑気払いで集まりました。メンバーは皆同じぐらいの年齢で50代です。その会合では、40代の頃は、自分はどういう仕事をしているか、とか、上司や部下、組織の話ばかりしていたのですが、50代になったら話題ががらりと変わりました。健康づくりや、なかには、いま失業中で仕事を探している人、あるいは、転職をした人、長年勤めた組織でお互いそろそろ先が見えてきて、これから最後のご奉公という人などがいて、仕事を辞めたら何をして生きていこうかというようなことを語り合いまして、久しぶりに会合がバージョンアップしたような感じがしました。

そのようなことで、ようやく自分自身が高齢期のスタートラインに立ったというわけではありませんが、そのようなステージにおりまして、自分のこととしても、この課題がとても大事なことに感じられるようになりました。人生90年時代と打ち出されましたので、まだまだ先は長いわけですけれど、どうぞよろしくお願いいたします。

本題に戻ります。平成25年度 高齢社会フォーラムの開催に当たりまして御挨拶を申し上げます。このフォーラムは、少子高齢社会で求められるシニアの社会参加活動を促進しようということで、内閣府と高齢社会NGO連携協議会との共催で開催しております。今日は少ししのぎやすい天気ですが、暑い日が続く中、多くの皆様にご参加をいただきまして、ありがとうございます。

我が国は、世界に例を見ないスピードで、高齢化が進んでいると言われております。そして、昨年から、昭和22年から24年に生まれた団塊の世代の方々が65歳を迎え始めました。平成26年まで毎年100万人ずつ高齢者人口が計算上増加することになります。これだけの数の増加は、単なる数の増加ではなくて、質的にも量的にも世の中をすごく変えていく力があると、私は思っています。

民間企業の方から聞いた話です。今、企業では株主総会のシーズンです。今年は、どの会社でも株主総会に出席する株主がすごく増えているのだそうです。皆さん、これは何故だと思われますか。それは、団塊の世代の個人株主の出席が増えているからだそうです。株主総会は、一昔前は総会屋がいたりしましたが、最近はそのようなことはなくなって、むしろ企業の法務部の方々が一生懸命準備をするのは、個人株主の方々からの非常に真摯な企業経営についての質問に返答するためだそうです。「この会社の成長戦略はどうするのだ」といったことを個人株主が「はい」と手を挙げて質問するようなことが始まっているのだそうです。昔はお年寄りというと、「お金がない」、「ものを言わない」というイメージでしたが、むしろ今は反対ですね。「株主としての権利を行使する」、「お金を持っているから株を持っている」、そして、「時間があるので株主総会に出る」。こういう人たちが企業経営に物申し、それを正すという時代が来ているというので、非常に感慨深いものがあります。

後ほど、宮本から紹介いたします『高齢社会白書』では、この団塊の世代の意識を取り上げまして、その中身をご紹介しております。少しだけ紹介しますと、団塊の世代の方々は、就労や社会参加についてとても積極的です。調査結果では、半数以上の人が65歳を過ぎても働きたい、それから4分の1の人はとにかく身体の続く限り働きたい、そして7割の人が地域の社会活動への参加意向があるということでございます。働くことを含めて社会参加というのは、突きつめれば、人とつながったり、関わったり、支え合ったりすることだと思います。つながるとか、関わるとか、支え合うことについての前向きな気持ちを、実際に一人ひとりの方の活躍につながるように、政府としても一生懸命環境づくりをしなければいけないなと思っています。

本日お集まりの方々は、そのような意味では、つながり、関わり、支え合う活動で、もう既に先達としてご活躍をされている方々で、その長い積み重ねに対して本当に心強く思い、また感謝の気持ちを持っております。今後ますます、異次元の高齢社会になることが予想されますが、それをよいものにするためには、皆様方の活動が本当に不可欠なものだと思います。ますますのご活躍を期待しているところでございます。

さて、本日のフォーラムは「シニアの社会参加で世代をつなぐ」をテーマにしており、後ほど樋口恵子先生から、ピリっとわさびの効いた講演が聴けるのではないかと期待をしております。また、午後からの分科会も大変興味深い、いろいろな角度からの社会参加について議論をしていただけるということで、それぞれの分科会で日常のご経験を踏まえて、活発な議論が展開されることを期待しております。

最後に、皆様方の積極的なご参加によりまして、今日のフォーラムが有意義なものとなることをお祈りいたまして、簡単でございますけれど、開会の挨拶とさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

開会挨拶の写真