開会挨拶「高齢社会フォーラム・イン東京」堀田共同代表

堀田 力
高齢社会NGO連携協議会共同代表

堀田 力 高齢社会 NGO連携協議会共同代表の写真

おはようございます。麻田審議官より、大変柔らかくて、味わいのある挨拶を頂戴いたしました。ありがとうございました。

これだけの皆様方が今年もおいでいただいて、本当にありがとうございます。

私の挨拶はもう何回目になりますのか。見慣れた顔で申し訳ありません。毎回、言いたいことは同じなのですが、それを違うように言わなければならない。同じことは言えない。これはなかなか呆けていられないわけです。

ただ時代が本当に一年一年動きが激しい中で、新しい動き、新しい問題、新しい対応の仕方が生まれてきております。これをしっかり時代に沿って探り当てて、運動に変えていかなければならない。基本は同じです。元気を出してやろうということです。元気を出すにはやっぱり自分の一番好きなことをするのが一番だ。そのことが本人にとっても一番楽しい。しかし、ただ本人が楽しいだけではなくて、折角いろいろな能力をそれぞれにたくさん持っておられるのだから、社会のニーズに合わせてその能力をいかしたほうがたくさんの人が喜んでくれる。多くの人が喜んでくれることはまた、元気になれることだから、だからご同輩、頑張ってやりましょう、と大体言っていることはいつも、いつもそういう話なのですが、これを違うかたちで時代時代に合わせて申し上げております。

ここのところずっと、変わってきている流れは、地域、そして地域活動だろうと思います。これまでは、大体NPOを頭に置きながら、飛び出して自分の好きなNPOを選んで、その中で自分の能力を大いに発揮しましょうというようなラインの話であった。具体的にNPOを考えながら、話をしてきていました。

でも、NPOのような活動も一つ大切だけれども、家の周りで皆と仲良くして、そこで困っている人がいれば困っている人を助ける、子どもたちに元気になってもらうなど、その地域で自分の能力をいかすという流れがここ2~3年強まっています。NPOが必要なくなったわけではないのですが、NPOも大体出そうなところまで出揃い、大変な数が揃いました。その中には、結構いんちきなNPOが出てきて、ちょっとNPOもいっぺんここで見直さなくてはいけないという一種の反省期の段階に入ってきました。

これはこれで大事なのだけれども、地域にはいろいろな問題がある。それを地域の人たちと手を組んで解決して、住みやすい地域にする。地域で自分の能力をいかして、気軽な仲間を増やしていこう。そのように地域課題にも目を向ける、そういう動きがここのところ出てきております。

私も、神奈川県のコミュニティスクールのカレッジマスターをやらせていただいています。ボランティア育成、NPOの団体づくりをずっとやってきた中に、少しずつ地域で自分をいかす、そして、地域をもっともっと温かい、住みやすいものにする、そちらのリーダーをつくり、そちらの運動も広めるように、少しずつそういうカリキュラムも入れてもらっております。

私も、地域講座で話をしたのですけれど、地域というのが案外難しい。

今日の分科会にもありますけれど、地域のリーダーはどのようなリーダーなのだろうか。NPOのリーダーは、しっかりした目的を持っていますから、割合イメージしやすい。こういうことをしたいという夢、目的、ビジョンを持って、それをしっかり人に説明して、「さあ、一緒にやろう」という人を募って、一緒にやるようにうまくリードしていく、そういうリーダーシップを持った人材ということで、NPOのリーダーは割合はっきりしています。

一方、地域のリーダーと言えば、これがあまりビジョンを持って極めつけてもらっては困るのですよね。地域の中には、子どもからお年寄りまでいろいろな人がいて、地域の問題もいろいろなものがあって、それを上手に皆で拾い上げながら、皆で力を合わせて、いい地域にしていく。そして楽しい活動をする。びしっと一つの方向を決めるのではない。いろいろな問題に柔軟に対応しなければいけない。この柔らかい対応、誰でも受け入れて、包容力を持って、上手くいろいろな力を引き出していかしていくという、この能力はNPOのリーダーよりももっと広い。だから、地域のリーダーは、結構我慢強くもなくてはいけないですよね。人の話も結構聞かなくてはいけないし、聞いてももらわなくてはいけない。結構違う能力が要るのですよね。

問題もこれと決めつけられない。地域、地域によって違う。運営の仕方も、NPOですと組織として運営するやり方が決まっていて、テキストも結構あるのですが、地域は皆違います。草の根封建おやじですか、これががーんとおって、動かないですよね。しかし、この草の根封建おやじをどうするのか。放り出すのか、抱き込むのか、そのあたりの対応から考えなくてはいけないし、自治会の中でやるのか、地域協議会でやるのかも考えなくてはいけない。この頃は、結構地域協議会方式も出ています。地域の問題にこれ使いなさいよ、とぼんとお金を出してくれる行政も出始めている。

だから、地域の動かし方は千差万別です。地域にはいろいろな姿があり、元々古いものがありますから、これと上手く折り合いをつけながら、時には喧嘩をしながら引っ張っていかなければならない。これは大変な力が要り、しかもやり方がNPOの場合と違って、決まっていない。リーダー像は幅広い人ということだけ。地域の引っ張り方なんて、定石がない。本当にNPOと違って、組織運営のやり方が決まっておりません。だけど、そこまでいかないと、本当に温かい地域社会はできないし、そこでこそ、いろいろな力を持っている高齢者の力が一番いかせるのではなかろうか。これからは流れが地域に向いつつある。その中でも、素晴らしい皆様の力を存分に発揮して欲しい。それにはどうすればいいのか。それも、私たちが考えて、生み出していかなければいけない。のんびりしているわけにはいきません。やることは一杯ある。皆で頑張っていきたいと思います。今日はご参加ありがとうございました。