開会挨拶「高齢社会フォーラム・イン神戸」久元神戸市長
久元 喜造
神戸市長
皆さん、おはようございます。神戸市長の久元喜造と申します。
今日は、平成26年度の高齢社会フォーラムを神戸で開催をしていただきましてありがとうございました。内閣府の小野田壮審議官、そして宮本悦子参事官を初め、皆様に御礼を申し上げたいと思います。そして、神戸市内、兵庫県外からもたくさんの皆様に御出席をいただきました。主催者といたしまして心より御礼を申し上げます。
来年の1月17日で、あの阪神淡路大震災から20年になります。兵庫県内では6,402名、神戸市内では4,517名の皆さんが犠牲になられました。神戸は、あれから市民が互いに助け合いながら、協力しながら街を復興させてきました。借り上げ住宅の問題や新長田など、この再開発をしたビルの中のにぎわいがまだ十分戻っていないという問題を残されていますけれども、全体として神戸の街は復興し、街の再生が可能になりました。
神戸市民は互いに助け合いながら、復興に取り組んできたわけですけれど、その一方で、神戸の街の中にあっても、お互いに地域の中で顔がわからない、誰が住んでいるのかわからない、そしてひっそりと一人暮らしのお年寄りが亡くなると、こういう無縁社会が広がってきているということも事実です。私たちはそういう事実に真正面から目を背けることなく向き合っていかなければならないと思います。
同時に、神戸のそういう社会の進行の中で、お年寄りの皆さんの見守りや、そしてお年寄りだけではなくて子供たちの登下校の見守り、いろんな形でのその地域の活動を支えている皆さんがたくさんおられます。そして、そのような皆さんの多くは高齢者の皆さんです。高齢者の皆さんが情報交換をして、いろいろな知恵を出しながら地域社会のために貢献をしていただいているということは大変ありがたいことだと思っております。今日は、そういう中から、後ほどエイジレス・ライフ実践事例や、あるいは活動事例などで御紹介もあると聞いております。そういうことを通じて、世代を超えた助け合いということが大変重要ではないでしょうか。
時々、年金の議論などを見ておりますと、何年生まれの人はこれぐらいしか保険料を払っていないのに、これだけの給付が受けられると。若い世代は、将来これぐらいの年金給付しか受けられないのに、これだけ保険料を払わせるというような議論が経済学者の中からありますけれども、寂しい気がいたしますよね。やっぱり世代を超えた助け合いというようなことにもっと目を向けるべきではないかと思います。
そして、高齢社会というのは経験豊かな皆様の知識、そして経験をどういうふうにして後に伝えていくのかということが求められる時代だというふうに思います。そして、それが可能になっていく時代ではないかと思います。
神戸市役所でも、あの阪神淡路大震災のときに行政対応を経験しなかった職員がもう4割を超えています。歳月が経つのを止めることはできません。しかし、私たちは先人の経験や、そして知識を後に伝えていくことができると思います。それらに学んでいくこともできると思います。そういう努力をどうして続けていったらいいのか、そして後に続く世代が、先人の皆さんの知識や経験を頭だけではなくて体で受けとめて実践をしていくためにはどうしたらいいのか。現実に、神戸もあの東日本大震災の被災地に神戸市役所の職員もたくさん行っておりますけれども、経験をした職員と、そして新人がペアを組んで、そして被災地の現実に学ぶというような取組も行っていますし、そして民間の皆さんもたくさん被災地に行って、今なお被災地の復興に汗を流しておられます。そのような経験を通じて、今後の高齢社会における地域社会のあり方ということを考える一つの契機としていただければ大変ありがたく思っております。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。