高齢社会に関する行政施策の説明「高齢社会フォーラム・イン津」
「安心して歳を重ねられる地域にするために」
田村 学
津市健康福祉部長
皆さん、こんにちは。御紹介いただきました津市の健康福祉部長の田村でございます。
堀田先生のすばらしい御講演の後、ちょっと私の退屈なお話をおつき合いいただく形になります。どうか御容赦いただきたいと思います。
私からは、津市の高齢者の現状と、それから、今私ども津市のほうの、どういうふうな施策に取り組んで進ませていただいているかということを簡単に皆さんに、このお時間をお借りして御説明をさせていただきたいと思っております。
何分こういうふうなところでお話をさせていただく機会というのはあまりないものですから、皆さんに本当にわかりやすくお伝えできるのか、ちゃんとお話しできるのか、私自身が一番不安を感じております。それが皆さんに伝わらなければいいかなと思って今ここに立っております。わかりにくい点等がありましたら、ぜひ温かいお心で見ていただければというふうに思います。
○津市の高齢者を取り巻く現状
まず、津市の高齢者を取り巻く現状についてでございます。面積とかこういうのはよく言われるんですけれども、全体で711.11平方キロメートルということで、これは平成18年1月1日に近隣の10の市町村が合併いたしまして、このような大きな市域を持つ現在人口28万3,000人あまりの市になりました。
この面積というのは、よく申し上げるんですけれども、大体、外国の国土でありますけれども、シンガポールの国土面積とほぼ一緒ぐらいと。ある意味1つの国を担当させていただいているというレベルでもあるということも申し上げていいかと思います。
○高齢化率27.5%
2番目の要介護とか要支援という認定を受けていただいている方、こちらのほうがこのほやほやの10月1日現在では20.5%になります。1万5,952人ということになります。ちょっと前後しますけれども、よく言われる人口全体に占める65歳以上の方の割合、高齢化率ということになりますけど、こちらのほうは27.5%という状態ですね。
今日一番最初に副市長の挨拶の中でもありましたけど、年々津市におきましても少しずつ高齢化率というものが増加の傾向になります。
それから、3番目にちょっと上げさせていただきましたのが、保健、医療の向上とか、福祉の増進を包括的に支援するという役割を担っております地域包括支援センターというのがございますが、こちらのほうが市内に今委託という形で9か所ございます。
次に、もう少し高齢者の皆様の人数の推移についてでございますけれども、数字を具体的にさせていただいていますのが、26年度のところの棒グラフに当たるんですけれども、これは27年3月31日現在の数字で、65歳以上の方の人口は約7万7,200人、この時点での高齢化率は27.3%ですから、先ほど申し上げた10月1日現在で見ると27.5ということで、わずか半年の間に0.2%上がっているという状況でございます。これは今現在の介護保険の事業計画なんかで将来の推計も行っているんですけれども、こちらのグラフではそれを27年度以降、それから大きく離れて32年、37年と、ちょうど10年後までの状況の推測値を出させていただいております。
大体18%になったあたりから20%までに至るまではなだらかに推移してきておりまして、今ちょうど先ほどの御講演でももう間もなく6,000円になるよというふうに堀田先生がおっしゃってみえましたけど、既に津市はもう6,000円を今年度から頂戴しているという状況でございます。それのときの予測が、この27、28、29の3年間では認定を受けられる方の割合はこうなるであろうというふうな予測をしておりました。これらに基づく保険料の給付を受けていただく分を保険料で頂戴するという構造から上がってきてしまうと。
ちなみに、旧津の一番最初にスタートした3,152円、このときは県下で一番高い保険料を頂戴しておりました。今6,167円とおよそ倍近く上がったわけですけれども、今現在は県下で比較しますと大体7番目の高いところ、1位の座は明け渡しておりますが、高い保険料を頂戴していることには変わりはない。
冒頭申し上げました認定の状況、予測したときには今年度は20.8%ぐらいになるだろうと思っていたのが、幸いにも20.5%、10月1日現在ですので、少し我々が見込んだよりは認定を受けていただいている方が少ないというふうな状況になっております。
さらに、実際の人数でこの認定を受けていただいている方の状況を申し上げますと、27年3月ですから26年度の末の数字で申しわけないんですが、これは大体1万6,100人ということですね。
○高齢者意識調査
介護保険の事業の推計をいろいろさせていただきますときに意向調査、意識調査をさせていただいております。
その中で出てきました結果で、1つ象徴的に皆様に御紹介申し上げたいなというのがこちらなんですが、「もし体が衰えてきて介護が必要になったときに、どのようにして暮らし続けたいか」という問いに対して、これは第1号被保険者ということで、65歳以上の方で市内在住で、さらに在宅にいらっしゃる方に、抽出調査でありますが、させていただいたところ、もう御覧いただけるように「サービスを使いながら自宅で生活したい」と。
内訳を細かく入れていますけれども、大ざっぱに申し上げますと、これから話題になってきます要支援の方々というのは大体4,500人をちょっと下回るぐらい、要介護の認定の方が1万1,700人程度ということになります。やはり住みなれた地域、おうちでの生活、これを継続していきたいという御意向を示された方が全体の6割、中には約1割ちょっとの方がもう特別養護老人ホームなんかへ入ってしまいたいという方もいらっしゃいます。これはやはり介護の負担を考えると御家族にあまり世話にならずに、もう動けんようになったら老人ホームかなというふうな御意向かなと。しかし、6割の方はやっぱり慣れたところにずっといたいと。必ずしも11%の特養の希望という方も本心からそうなのかということは考えないといけないなというふうに思っております。
○津市高齢者福祉施策体系
ここからは、では、私どもの行政のほうでどういうふうに高齢者の方々の施策というのを考えているかということで、一番の基本になりますところを今お出しさせていただきました。
こちらは、津市の現行の総合計画の後期基本計画の中で上げさせていただいております高齢者福祉施策の体系でございます。基本として、高齢者福祉の充実というところでは、今御覧いただいております5本の柱で政策を推進していこうということでお示ししております。
1点目は、高齢者が安心して生活できる地域社会の推進ということで、高齢者が適切なサービスをお使いいただきながら、先ほどもありましたように可能な限り自宅で生活を継続したいという方をいかに応援していくか、また地域で支えていくかという施策を推進していくという考え方でございます。それから、高齢者の介護予防、健康づくりの推進、こちらは今のお元気な方にその元気な状態を長らえていっていただこうということで、具体的な取組といたしましては、介護予防教室を開催させていただいたりとか、元気アップ教室、転倒予防であったり栄養、食生活改善なんていうのもこういう中で進めていく施策として具体的には上がってまいります。それから、高齢者の生きがいづくり、生活支援の充実、これは1つの地域での出会いの場とかそういうふうなことで、一番象徴的に申し上げられるのがふれあい・いきいきサロンという、そういう活動を推進させていただいております。
それから、地域包括ケアの推進、これはこれからもますます重要になってくると思われますが、医療、介護、福祉、この連携をいかに築いていくかという取組でございます。
最後は保険として、保険料も頂戴しているわけですので、きちっと提供できるサービスを確保していくということ。これも保険者としての津市の責任として取り組んでいくということで上げさせていただきました。
○地域包括ケアシステム
横に大きな矢印で、地域包括ケアシステムの構築ということを書かせていただいておりますけれども、これから全体の高齢者施策を推進していく中で最終的に目指していかなければならないのがこの地域包括ケアシステムの構築と。先ほど堀田先生は、これからは地域での支え合い、助け合いが大事になるよということをおっしゃってみえましたけれども、この地域包括ケアシステムというものの考え方の中にはそういう要素も含んでおります。
次にお出しさせていただいたのは、ちょっと戻るんですけれども、先ほど堀田先生も触れていただいておったところをさらに繰り返し説明させていただく形になるかと思いますが、これが要支援の方に対する予防給付の見直しということですね。
○介護予防給付の見直し
何がどう変わるのか、ちょっと簡略化した図ではありますけれども、この介護予防給付と言われるものが要支援1、2の方に提供させていただいている介護保険の保険としての給付になります。この中には、訪問看護であったり福祉用具の貸与というもの、それから皆さんが一番なじみが深いと思われます訪問介護、通所介護、これはホームヘルパーさんに来ていただいたり、デイサービスに通っていただくというものになります。
○日常生活総合支援事業
それと、今もずっと、今までも取り組んでおるんですが、介護予防事業として、そこまで至らない方々に予防に役立てていただくための事業というのを、現行と書いてありますけれども、今の津市は今も現行の状態で変わっておりません。これが昨年の法改正によりまして介護予防給付という、中から見ていただくとわかると思いますが、訪問介護、通所介護というのがなくなっております。これが下の介護予防・日常生活支援総合事業と、こういう中へ入ってくる。
これは何かといいますと、市町村がそれぞれの地域の実情において、市で、例えば津市なら津市がどういうふうにサービスを提供させていただくか。簡単に申し上げますが、ホームヘルパーを要支援の方が使っていただくときにどのように使っていただくか。また、御負担はどういうふうにしていただくかということを市が決めていくという考え方の制度になってくると、そういうものでございます。もう1つ、一般介護予防事業というのは従来の介護予防事業、基本的にはそのまま引き継ぐようなものですね。その新しい総合事業と言われるものがこの介護予防・日常生活総合支援事業で、これがよく大きく変わる、大変だ、要支援の人が今まで行っておったデイサービスへ行けんようになるぞ、ホームヘルパーが来てもらえんようになるぞというふうに勘違いされて伝わった部分がここの部分で、決して今申し上げたように要支援の人がサービスを使えなくなるということではありませんので、その点だけはよろしくお願いいたします。
○地域支援サービス
やはり一番の課題としては、地域支援サービス、これですね。特に地域での助け合いの関係であったりとか、いろんなものについて、まだまだ時間をかけていろいろと地域の皆様ともお話をしていかんならん。その時間が足りないと判断しましたこととか、サービスの利用者とか関係者にもまだまだちゃんと伝わっていないじゃないかということで、この2年間を使っていこうというふうな判断でございます。
○実務者会議の推進
ただ2年間ぼっとしているわけにはいきませんので、下にありますように実務者会議というのをつくりまして、この4月から取組を行っているところです。この2年間の取組ということで、ちょっと実務者会議のことを申し上げますと、これは第1回目を4月17日に開催させていただいているんですが、ここにございますように訪問部会、通所部会、居宅介護部会という3つの部会、それとそれをまとめて全体で行う合同会議、こういう2層構造で今はさせていただいています。それぞれ見て大体御想像いただけるかと思うんですが、訪問部会というのは訪問介護、ホームヘルパーさんの関係を中心に議論していただく。それから、通所介護はデイサービス、居宅介護部会というのはケアマネジャーさんに入っていただいて、これがそれぞれの今現在実際にサービスを提供している事業所さんとか、先ほどもちょっと冒頭で触れました地域包括支援センター、それと市と、これはみんなが一緒になって考えていこうという場を設けたということでございます。
○市民との意見交換会
それと、事業者とか市とかだけで話をしていただけではいけませんので、ある程度の整理ができた時点で、意見交換会という形で市民の皆様にもその辺を御報告申し上げてまた御意見をいただいたり、地域でもいろんな考えもお聞かせ願う機会を持つということで意見交換会をやっていくと。これは実は8月20日に1回させていただいて、なかなか全体で1つにまとめてというのではやりにくいよねというふうな御意見もありまして今調整中なんですが、それぞれもう少し小さな地域の単位でこういう意見交換会というか、懇談会みたいな形で場を設けていくような予定をしております。
それらを踏まえまして、来年にはモデル事業という形で1つでも2つでも何か実証、検証できるような事業ができないかなということもあわせて検討しております。それで、28年度にはそれを実施した上で、29年4月には移行をしていくと。2年後には変わっていますということなんですが、私どもの目指すところはあまり大騒ぎして世の中ごろんと変わるということじゃなしに、特に今現在サービスを利用していただいている方が、何かえらい騒いでおったけど、知らんとおったら変わっておったね。
別に今までどおりでうまくいっているし、それよりもいろんな地域の助け合いの活動とか、そんなものが出てきて選択肢が増えたねと言っていただけるような形にしていきたいと思っています。
同時に下段のほうですけれども、まだまだわしは頑張れる、私はもっと社会に貢献できるんだという方々もいっぱいいらっしゃいますので、そういう方々が地域で活躍いただけるような場を、それらを通じて提供することができないかとか、それからますます元気に介護予防というものに取り組んでいっていただけないかとか、そういうふうなこともこれからの地域の皆様との話し合いも通じてやっていけたらというふうな考えでございます。
○在宅医療と介護の連携
もう1つ、地域包括ケアの推進ということで、これはもう既に今年度4月から一部始めております。簡単に申し上げますと、在宅医療と介護の連携ということで、従来から医師会の皆様を中心にいろいろ多職種の連携ということもやってまいりました。これをさらに進めていくという取組です。
それから、認知症施策につきましては、この10月からですけれども、津市の高齢福祉課の中に認知症初期集中支援チームというのを発足させまして、認知症の初期段階の方に集中的に支援していくような取組、これをスタートさせていただいております。それと、地域ケア会議、こちらは地域包括支援センターを中心に今までやってきておるんですけれども、さらにこれを充実していく。
それから、地域生活・介護予防という、こういう中ではこの4月から、まだ市全体を担当する形ですけれども、生活支援コーディネーターもお願いして今4月から活動をいただいているところで、これをさらにもう少し小さな単位のコーディネーターさんとか、そういうのも広げていけたらというのが来年度以降の取組になってまいります。ちょっと先ほど申し上げた在宅医療、介護連携のところ、ちょっとこんなものがあるよということで御紹介させていただいております。
○地域を見る力とつなぐ力
ちょっと時間の関係で飛ばしますけれども、こちらは初期集中支援チームのことですね。このような形で専門職3人と嘱託の専門医の方の御協力をいただきまして動いているということです。
これは最初に申し上げた安心して生活できる地域社会の推進ということですね。ちょっと皆さんに期待することということで書かせていただきましたけれども、地域を見る力とつなぐ力、それを動かす力、これはやっぱり市民の皆さんの力を直接お借りしないと行政だけではどうしようもできない部分もございます。これは一緒になってやっていかなければならないというふうな考えでございます。
○ふれあい・いきいきサロン
とはいうものの、何から何まで頼るわけではございませんし、私どもはちょっとここに上げさせていただいたふれあい・いきいきサロンの推進ということで今までやってきておりますが、かなりその点では土台ができておるというふうに思っています。制度が変わるので新しいことを1から始めてくださいということじゃなくて、今までやっていただいてきたことを継続していっていただく。それをできれば少し広げていただければそれだけでも十分かなと。 現に全体では私どもで把握しているだけでも、1,132回市内で開催されて、延べ1万5,540人の方が参加いただいている。担い手もみんな市民の方がやっていただいて、参加者もその地域の方々が出ていただいている。手づくりのサロンというのが結構市内にはいっぱいございます。
○生きがい推進事業
それから、生きがい推進事業の取組、今まで介護のこととか、ちょっと暗いことばかり申し上げましたけれども、いろんな地域での取組、今、地区社会福祉協議会というのが、市内に大体自治体などの単位を基本として43の団体をつくっていただいています。こちらのほうで毎年行われている敬老事業なんかは担い手となってやっていただいている。
あとは従来からあります老人クラブのほうですね。こちらも最近クラブ数とか会員数はちょっと残念ながら減少の傾向にはあるんですけれども、でも今日も表章を受けていただいた美杉地区の下之川の老人クラブさんのように、いろんな新しい取組を入れながら活発に活動いただいている方、こういう活動そのものが地域の生きがいづくりであり、これが健康寿命を延ばしていく1つの秘訣にもなるのであるというふうに考えられます。
○シルバー・人材センター
もう1つ、私どもの高齢者施策の中で上げられますのがシルバー人材センター、これはやはり現役としての企業人を引退されておりましても、まだまだ能力をお持ちで十分お力がある。体力もあるという方はいっぱいいらっしゃいます。そういう方々に活躍いただける場をということで、従来からシルバー人材センターのほうがお取り組みいただいています。
残念ながら近年会員数が減少傾向にあるということで、団体さんのほうでもいろんな工夫を凝らして、会員獲得であったり魅力アップには取り組んでいただいておるんですけれども、これといってV字回復というところには至っていないと。
その分、今の世の中、私がこんなことを申し上げるのもあれですけど、いろんな選択肢が増えている中で、どれを選ばれるかというのが実際の高齢者の方にとってもいろいろあるのかなと。そういう中で、シルバーに必ずしも行っていなくても生き生きと生活しておられる。あるいは別のステージで社会貢献いただいているような方もいっぱいいらっしゃると思いますし、社会活動に参加していただいている方もいっぱいいらっしゃるんですけれども、その選択肢が増えてきた反面、先ほどの老人クラブさんなんかでもそうかと思いますけれども、1つ1つの歴史ある取組の中ではだんだん減ってきておると。市としましても、このような取組は支援させていただきながら未来につなげていきたいというふうな形でございます。
ちょっと雑駁な説明で申し訳ございませんでした。駆け足になりましたけれども、ちょうど私の持ち時間が来たようですので、この辺で終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。