第3分科会「高齢社会フォーラム・イン東京」

「認知症になっても日常を 「フツウ」 に続けられるコミュニティを考える」

コーディネーター
澤岡 詩野
(公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 研究部主任研究員 工学博士 専門社会調査士)
パネリスト
毛利 悦子
(武蔵野市役所 高齢者支援課 課長)
牧 壮
(牧アイティ研究所 代表) 
守谷 卓也
(株式会社ウィンドミル・DAYS BLG!はちおうじ 代表取締役)
中田 哲行
(メンバー 認知症と向き合う本人)
澤岡 詩野 公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 研究部主任研究員 工学博士 専門社会調査士の写真 第3分科会の写真

【澤岡】 皆さん、こんにちは。今日は第3部会、『認知症になっても日常を「フツウ」に続けられるコミュニティを考える』というタイトルで、今日は、こちらの分科会を開始させていただきます。今日は何かいきなり雪が降ったりという、このような悪天候の中、皆さまおいでいただきまして、どうもありがとうございます。今日は、こういったテーマで皆さんで考える場、そして皆さんで課題を共有できる、そんな場にしていけたらと思っております。では早速、始めさせていただきたいと思います。

 まずは私から、なぜこのようなテーマで、この分科会を企画させていただいたかということを簡単にお話しさせていただこうと思います。皆さんの手元資料、こちらまず、ご確認をいただけたらと思いますが、白い袋の中に4種類スライドが入っているかと思います。まず最初にスライドの確認をさせていただきたいと思います。一つ目、上に載っていますのが、認知症になってもという、この澤岡詩野と書いてあります、こちらの資料。そして、次の資料載ってますのが、前とこちら、武蔵野市の毛利さんのご報告資料。そして、こちらA4ビラになりますが、こちらがお二方目の牧さんの資料。そして最後にご報告をいただきます、DAYS BLG!はちおうじの資料ということで、この4種類の資料が、もし入っていない方いらっしゃいましたら、今、お声掛けをいただけたらと思います。大丈夫でしょうか。

澤岡 詩野氏の資料スライド1:認知症になっても日常を「フツウ」に続けられるコミュニティとは?

 では早速、始めさせていただきたいと思います。まず、今日皆さんに一つ視点としてというわけではないんですが、知識として良かったなというよりは、自分なら、こういうことに対して何ができるんだろうか。

 そしてもう一つ、認知症ということを考える上では、誰もがなり得ること。じゃ、自分だったら、自分がその当事者という言葉がよく使われますが、自分が当事者なら、どう生きたいのかな、そういったことを自分視点、そして身近な人を思い浮かべながら、一緒に考えていけたらと思います。

澤岡 詩野氏の資料スライド2:人生100年時代、急激な『長寿命化』がもたらしたこと

 これはもう恐らく皆さん、いろんな部分で認知症の方と関わり合ってらっしゃる方が多いのかなと思いますが、まずちょっと今の状況、共有させていただきたいと思います。今、テレビなど、新聞などを見ましても、人生100年時代、人生100歳時代ということで、一昔前、ちょっと昔は人生80歳というお話がある中で、急に人の寿命というのは、延びつつあります。この数値も追っていただければと思いますが、この寿命が延びた中で、いろんなことが地域社会、家族の中では起きていると思います。親を虐待、介護で疲れて虐待してしまうお子さんとか、それから地域のつながりが希薄なところで孤独死、孤立してしまう方、いろんな課題が出できています。

澤岡 詩野氏の資料スライド3:長寿命化と共に増加する「認知症」の有病者数

 で、その中の一つ、これが長寿命化だけの課題とは言えませんが、皆さん、今回の一つのテーマになります認知症を有病する方、そういった方も、どんどん増えていくといわれています。で、下のほうに書かせていただいていますが、2025年には、65歳以上の認知症患者数が、約700万人に増加というようなデータも出ています。で、これは65歳以上人口の5人に1人、こんな数字を見て、ああって、どう皆さんが感じられるかなと思うんですが、ちょっと最近、認知症の方、そしてテレビ、新聞、そういったところで認知症に関する記事って、どういう記事が思い浮かびますか。こういった記事も一つありかなと思うんですが、何か暗い、なんか認知症になったらおしまいなんじゃないか、そんなような投げかけが、すごく多いなっていうのは、私の一つの感想です。

○老年学者として感じた疑問

澤岡 詩野氏の資料スライド4:老年社会学者(私)が出会った「疑問」

 私、こういった企画をさせていただいているんですが、実は私、認知症の専門家ではありません。私の専門は老年社会学という、高齢期に人のつながり、社会とどうつながっていけば人は豊かに年を重ねられるか、そういった視点で研究をしている研究者であります。

 今までたくさんのアクティブシニアといわれる、元気にいろいろ地域で活躍されてるシニアのかたがたと、お付き合いをさせていただいています。その中で10年、20年とお付き合いをさせていただきますと、その中には1人、また2人、自分は実は、ちょっと認知症になったんですよね、自分で教えてくださる方、ほとんどいらっしゃいません。あれ、あの方、最近見掛けなくなったな、周囲がなんとなく教えてくれます。それも気になりますのは、なんかかわいそうな人、あの人、駄目だよね、もう終わっちゃったよねみたいな声をひそませて、あの人ね、実は認知症になったんだよね、そんなふうに伺いました。

 なんかそういうことを経験する中で、私、老年学者として感じた疑問というのが、なんか認知症イコール見守られる側、何もできない人、なんか人生のお客さま、なんかそんな雰囲気がありありと感じられて、これってそもそも本当なのかな、さらに認知症になっても趣味とか働くとか、誰かと出掛けたり、自分だったら飲みに行くっていうこともやりたいなと思いますが、認知症になっても可能なかぎり、それまで生きていた毎日を続けたい、これって当たり前のことですよね。

 でも、そういう視点で今の社会を見ると、なんとなくそれができていない人のほうが多いんじゃないかとか、それから、身体的な困り事、そういったことを支えるヘルパーさんの仕組みなどがあっても、その社会とのつながりとか、趣味とか、ボランティアとか、働くとか、そういう社会的な自立、人として当たり前の部分を支えるための支援って、ほとんどないんじゃないのかな、そんなことってすごく感じました、素人なりに。

 そして、したいことを選択できるとか、会いたい人と気軽に会えたりとか、人のために役立てたり、こんな普通が奪われたら、自分だったら認知症、多分生きるの諦めちゃって、もう明日から1人で部屋に閉じこもって、どんどん重くなっちゃうんじゃないかなっていうことを強く感じました。

○高齢期は社会との「つながり」の縮小期

澤岡 詩野氏の資料スライド5:そもそも高齢期は社会との「つながり」の縮小期

 そもそも高齢期とはというふうに書かせていただいているんですが、認知症の人に限らず、高齢期とは、人のつながり、それも大事な人間関係が1人減り、2人減り、縮小していく時期といわれています。特に友達とか家族というのは、年代が近いですので、だんだんだんだん会うことが難しくなる、縮小する時期といわれています。

 その中で、やはり重要だよね、高齢期になって重要だよねと言われるのが、他者のために何か役立つ部分がある。それが非常に生きがいになり、そしてここの研究データ、ちょっと後で見ていただけたらと思いますが、他者のためにボランティアであり、有償労働であり、家事であり、そういうことをしている人のほうが、してない人よりも、より認知症になりにくいとか、死亡のリスクが少ない、高齢期はそんなことを研究として、よく言われています。で、これって高齢期だけでかかわらず、認知症になっても、これってすごく重要なことなのかなと感じています。

○英・蘭の後期高齢者の語りから見えた本当の「自立」

澤岡 詩野氏の資料スライド6:英・蘭の好機高齢者の語りから見えた本当の「自立」

 もう一つ、視点として重要なのかなと思うのが、やはり認知症になったら社会のお荷物とか、終わりだよね、何もできないよねって言うところに違和感を感じた一つの、私のこれはポイントなんですが、イギリスとオランダ、そういったいろんなことをやってらっしゃる高齢のかたがたにインタビューをさせていただいた、これがひとつあります。

 で、自立って何なんだろう、そんな視点で見ていかせていただいたんですが、例えば、障害を持ってサービス提供を受けるAさん、日本では恐らくこの人は、何もできなくてお世話をされるだけの存在、どうぞ、おうちにいてください、なのかもしれません。でも、イギリスでインタビューさせていただいたAさんは、サービスを受ける側と与える側の境界線、曖昧でいいんだよね、自分が助けてもらうことが、ちょっとずつ増えていくかもしれないけど、毎日の中に自分ができることが、できる場、誰かのために何かすることができる場っていうものもあることで、自分は毎日生きていけるんだよねとか。

 それから在宅で寝たきりのサービスを受けるBさん、これ言われてました。本当に日本って寝たきりになったら、もう終わりだよねみたいな発想になりつつありますが、この方は今でも、寝たきりになった今も震える手で、季節の手紙を書く、1人暮らしの高齢の方に季節のお手紙を書くボランティアをされていたりもします。で、この方がおっしゃるのは、人はどんな状態でも最後までできることがあるよね、それが実現できるのが自立っていうことだよねっていうことをおっしゃっていました。これは寝たきりであったり、それから、これは身体障害の方ですが、きっと認知症になっても、これって同じことなのかな、私の感じた違和感ってこういうことなのかなということで、きょうは皆さんに先駆的な取り組みをされているお三方、そして認知症と今、向き合って生きていらっしゃる方にご報告をいただきます。

○どんな取り組みが可能性があるのか皆で考えましょう

澤岡 詩野氏の資料スライド7:まずは皆で考えましょう

 そして、今日は、そのご報告からみんなで考えましょうということで書かせていただいています。できないこと、確かに増えてくるのかもしれません。できないことを支えられつつも、今までの日常を普通に続けられるコミュニティの在り方って、どんなものなんでしょうか。認知症になったら何もできないという偏見がコミュニティにある限り、本人がいかに頑張りたい、そう思っても、それって一方通行なままですよね。多分、地域とか社会が変わる必要があるんだと思います。

 そして、今までの当たり前の日常生活、社会とのつながりを維持するためには、本人や家族だけでも、そしてそこが頑張っても限界があります。周囲の人間、周囲の人たちでは何ができるんでしょう。そして、きょうの視点の一つとありますが、今、認知症になっているかたがたでも、インターネット、スマホ、パソコン、そういったもの普通に使ってらっしゃる方、どんどん増えています。そういった中で、今までインターネットを使ってきた人が、認知症の人にも増えていく中で、使うことを前提にした支援、どんな取り組みが可能性があるんでしょうか。こういった視点で、今日はみんなで考えていただけたらと思います。

 では私の話、ちょっと長くなりましたが、まずは、こういった課題を考える上で、やはり認知症と向き合って、今を生きていらっしゃいる方に、今の生活、そして認知症になったときに、何が変わってしまったんだろうか。そして、こんなことがあれば、もっともっと豊かに生きられるのに、そんな思いを、今日は最初にお話ししていただこうと思います。

 中田さん、こちらメンバーというふうに書かせていただいているんですが、きょうお三方目に報告をいただきます、デイズブログで、DAYS BLG!で、このメンバーとして一緒に活動をされている中田さん、認知症と向き合って生きていらっしゃる中田さんに、今からお話をいただこうと思います。では、中田さん、よろしくお願いいたします。

パネリスト 中田 哲行氏のお話

○認知症になって変わった日常生活について

中田 哲行 メンバー 認知症と向き合う本人の写真

【中田】 皆さん、こんにちは。中田哲行と申します。よろしくお願いします。私は、図らずも認知症になりましたけど、前を向いて、笑顔で生きる日々を送るポリシーを持っています。それは、人生が続くからです。本日は認知症と向かいながら、生活してる私から、皆さまにお伝えさせていきたいと思います。認知症の人は何も分からないと思わられている、認知症への偏見を払拭したいと思い、講演の依頼はできるだけ受けています。私はスムーズに言葉が出ないので、原稿を読むことでお伝えさせていただきます。

 まずは、認知症になって変わった日常生活についてお話しいたします。私の日常生活とは、会社に行き、仕事をすることが当たり前の日常生活でした。一番大きく変わった日常生活といえば、今から3年前に認知症の診断を受けて、2016年3月で仕事を辞めることになりました。社宅で生活していたため、仕事を辞めることにより社宅のある練馬区から多摩市に転居することになりました。そして、仕事の仲間の付き合いがほとんどなくなってしまいました。

 今まで数十年続けていた日常生活が認知症になったことにより、180度変わってしまいました。私が日常生活を続けるために求めることは、認知症と診断をされる前と同じ生活を送りたいので、いろいろと工夫しながら生活しています。一番に求めるのは、認知症になっても雇用が継続されることです。認知症の診断をされても、会社を辞めなくても済む社会になることを求めます。認知症なっても、できることはあります、新しくできることもあります。私の場合、お会いした方の名前とお顔は覚えています。一度行った場所も行き方も覚えており、ほとんど行けます。認知症という病気で言葉が出にくい、頭が疲れやすいなどがありますが、それ以外は何も変わらないと思っています。認知症は、私のほんの一部であり、ほとんどの機能は今までと変わりません。薬の飲み忘れ、スケジュール管理は携帯電話のアプリを使って工夫をしています。仕事も同じように工夫をして、配置転換や周りの人たちの少しのサポートが必要かもしれませんが、今まで勤めてた会社で、そのまま勤務できたら良いと思います。

 それと、生活するための工夫とは別に、仙台市の丹野さん、長崎県の福田さん、名古屋市の山田さん、広島県の竹内さんたちの、他の認知症の当事者の講演会に聞きに行き、勇気をもらっています。そして昨年、多摩市で開設した当事者の会みらいの会です。私と同じ認知症で悩んでる人たちが、元気になってもらいたいための活動を継続することです。

 最後にDAYS BLG!で、当事者の仲間たちと一緒に活動することです。認知症の仲間たちと会うことで、孤独ではないと思えるようになりました。当事者が自分のことは自分でするという気持ちを持ち、工夫を考えることで、生き生きと暮らしを、自分の、他の人と変わらず考えることができることを思うことで、前向きになりオープンできます。当事者がオープンにすることで、周りの人たちも、今までの認知症のイメージが間違ったということが、気付くことができると思います。これから自分自身、進行していっても、皆さんと触れ合い、笑顔で自分の気持ちを伝えていける当事者になりたいと思ってます。このように考え、発言することも大切なことかなと思い、終わりにしたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

パネリスト 毛利 悦子氏のお話

毛利 悦子 武蔵野市役所 高齢者支援課 課長

【毛利】 皆さま、こんにちは。武蔵野市高齢者支援課、相談支援担当課長をやっております毛利と申します。私の高齢者支援課というのは、60人からなる大所帯でして、私と、もう一人課長が、高齢者支援課長というのがいるんですが、私のほうの主幹としては、直営の地域包括支援センターを市役所の中に持っておりまして、そこの管理者であるとともに、それから、いわゆる介護保険外のサービス、認知症のこともそうですし、それから1人暮らし高齢者の支援であったり、また家族支援であったり、そういったサービスを担当している部署になります。どうぞ、今日はよろしくお願いいたします。

○ 武蔵野市の概況

 本日は武蔵野市で平成20年からやっております、認知症高齢者見守り支援ヘルパーという取り組みについて、ご紹介をさせていただきたいというふうに思っております。それの前に、資料に沿ってご説明をさせていただきますが、武蔵野市の概況なんですけれども、武蔵野市というのは、東京都区部23区と市部のちょうど真ん中に位置していまして、駅でいうと、吉祥寺という駅が大変有名な所になりますが、市としては、面積が10.98平方キロメートルと、大変小さい所になります。自転車に乗ると、30分でもう市外に出られちゃうぐらいの、そういった所になります。そこの中に人口が14万4606人、今ですね、ちょっとマンションとかできて、微増傾向にあるんですが、世帯としては、7万5768世帯ということで、相当狭い地域に密集して住んでいる、当然土地もないというような、そういった感じの所になります。

○武蔵野市の高齢者人口

毛利 悦子氏資料スライド1:武蔵野市の概況

 その中で、高齢率については、下の表を見ていただいても分かりますように、現在は22.0パーセントになっていますけれども、着々と増えてきているということがあります。また、東京都全体そういう傾向にありますけれども、これから75歳以上の方が、65歳以上の方の、また割合として増えていくというところがありますので、認知症というのが、高齢化に伴って発症も多くなってくるということを考えると、これから対応といいますか、いろいろ施策も進めていかなければいけないというところだと思っています。

○武蔵野市の認知症高齢者数

毛利 悦子氏資料スライド2:武蔵野市の認知症高齢者数

 そして、その認知症の高齢者の数、ざっとになりますけれども、こちらが29年7月1日に出した、要介護認定を受けた方における人数ということになります。この日常生活自立度1以上というのは、いわゆるMCIの方、認知症すごく軽度の方も含めてになりますけれども、ほぼここでサービスの対象ということで言うと、この自立度2以上の方が対象になってくるのかなというふうに思っています。現在、65歳以上ですと、8人に1人以上、75歳以上ですと、5人に1人以上が、何らか認知症で生活に支障が出始めているというような状態かと思います。ただこれも、あくまで要介護認定を受けられた方の中の数ですので、なかなか認知症ですと、介護保険のサービスでは、マッチするものがないというような現状もあると思っていますので、恐らくご家族が対応してとか、独居で、お一人暮らしで、ご自分は必要性感じられなくてっていうような方で言うと、もっと潜在的にはいらっしゃるのかなと思っています。

○武蔵野市の認知症施策

毛利 悦子氏資料スライド3:武蔵野市認知症高齢者ケア体系図

 そして武蔵野市では認知症施策として、この相談事業の充実ということと、普及啓発の推進ということと、在宅生活の支援という、この三つを大きな柱として、長年施策を組んできているところがあります。簡単に言うと、相談事業の充実というのは、認知症の専門の相談を従来もやっていたんですけども、なかなか生活面の相談は受けても、医療とつなげられないとか、そういったこともあったり、逆に市内で開業しているお医者さんがたが、自分は高血圧の治療をしてきたんだけれども、どうも認知症状が出てきて、お薬もちゃんと飲めてないかもしれない、ご飯も結構いいかげんになってきちゃってるかもしれないっていうようなことから、先生がたが、専門医ではないんですけれども、物忘れについても相談を受けますよというような形で標榜されて、その先生がたと地域包括支援センターの職員が一緒に相談を受けるような形での、認知症相談というのも行い始めたようなところがあります。

○在宅生活の支援

 そして、今日お話しするのは、在宅生活の支援ということで、認知症高齢者見守り支援ヘルパー、これ詳細また後ほど申し上げますが、それから、いわゆる介護保険外の、財源的には介護保険使ってるものあるんですが、保険外のものとして徘徊高齢者探索サービス、GPSを持っていただいてとか、それから火の扱いに心配が出てきた方のために、電熱器をお貸ししたりとか、そういったような事業がございます。

 それから今は、いわゆる介護保険のデイサービスではない、住民主体の取り組みと言いますか、これも平成11年からですね、テンミリオンハウスという、空き家などを使って、そこを地域の方たちのグループが運営して、そこに年間1000万円まで補助をするので、テンミリオンハウスっていうストレートな名前なんですが、そういったミニデイサービスみたいなものをやっていて、そこは介護保険とは関係なく使えますので、また認知症であっても、その地域の方たちとの関係で、そこに通える間は通っていただこうというような、そういう趣旨で、地域包括なんかと連携をしてやっているものがあります。

○普及啓発の推進

 そして三つ目に普及啓発の推進ですが、実はきょうのお話も最終的には、ここは一番大きいんじゃないかなと思っていまして、ここではサポーター養成講座のことを書いてありますけれども、今、サポーター養成講座とか、キャラバンメイト養成講座などをやっていますが、恐らく地域の理解とか地域の支えなくして、認知症施策というのは、どんないい施策を作っても成り立たないだろうというふうに思っていますので、ここがすごく重視しているところではあります。

○認知症高齢者見守り支援ヘルパーの背景

毛利 悦子氏資料スライド4:認知症高齢者見守り支援ヘルパーの背景

 それでは、認知症高齢者見守り支援ヘルパーですけれども、これが平成20年の7月から実証しているんですが、これは全くの市の単独施策になります。これが出てきた背景というのがですね、先ほど認知症高齢者の方の数を、データをお出ししていますけれども、どこで生活をされているかっていうデータも合わせて取ったときに、半分以上はおうちで生活されているんですね。そういったことを考えると、やはり地域で、おうちで生活していけるサービスをきちんと作っていかなければいけないということがあります。

 その中で、介護保険のサービスだけでは、やはり生活をカバーできないことがある、それは使いたいサービスがないとか、使いやすいサービスがないとかいうことがあります。ちょっと時系列的には、逆転してしまうんですけれども、平成21年の7月に、国が訪問介護員等の散歩運動同行への見解というのを出しまして、これがいわゆる目的がある散歩であれば、ヘルパーは介護保険のヘルパーとして同行してもいいけれども、目的がないお散歩っていうのは、その場合、自立支援とかそういったみたいに、ヘルパーの仕事として算定ができないみたいな、そういった、すごくざっくりした説明なんですが、そういった見解になっています。

 あとは介護保険サービス等あっても、これすごく、ご本人の拒否等によりって、私、書いたときにすごく迷って、これご本人の拒否って、この表現がいいのかなっていうの、すごく思うんですけれども、例えば、デイサービスに家族は行ってほしいけれども、ご本人はデイサービス行く意味が分からない、だから、行きたいくない、そんな所、行きたくないっていう話によって、家族が抱え込まざるを得ないような状況っていうのも、生じやすいのかなということがあります。

 また、介護保険のサービスが、あまりこう、それ自体は使えないかもしれないので、要介護認定も受けていない、で、武蔵野市は要介護認定を在宅で受けられる場合は、必ず地域包括支援センターの職員が認定調査に同行をして、そこで台帳を作らせていただいて、それすると安否確認のときなども容易なので、台帳を作らせていただくんですが、要介護認定も受けていらっしゃらないと、なかなか地域でこう把握ができないというようなこともあります。

○認知症高齢者見守り支援ヘルパーの内容

毛利 悦子氏資料スライド5:認知症高齢者見守り支援ヘルパーの内容

 そこで、認知症高齢者の方や、介護するご家族を支援する、介護保険外の在宅サービスが必要ということで、その中の一つとしてできたのが、見守り支援ヘルパーになります。

 制度の内容的には、介護保険の保険給付の対象サービスにならない、例えば本当に見守りとか、話し相手とか、散歩の付き添いとか、要は割と何でもやっていいですよというサービスなんですけれども、それをヘルパーさんが週に4日まで、4回まで、1週当たり最長4時間まで、おうちに伺えますよというような形でヘルパーを派遣する、そういうサービスになります。

 原則、身体介護とか家事支援というのは、行っていないんですけれども、当然一緒にいる中での、排泄の介助みたいなものが必要に迫られて出てくれば、それはやってくださいっていうようなことで、お願いをしているところです。使える方は、おおむね65歳以上なので、おおむねで結構広く取ってるのかなと思うんですが、また認知症状を有している、要介護認定の有無は問いませんけれども、先ほどの自立度でいうと、1から3ぐらいの方ということになります。それから利用にあたっての、日常的な身体介護は必要とされない方ということで使っていただいています。1回、1時間のご利用については500円、ちょっと介護保険よりは高くなりますが、500円の自己負担をいただいて、また生活保護世帯の場合には、それは利用料の免除をさせていただいてるとこです。

○この認知症見守り支援ヘルパーを利用するにあたって

毛利 悦子氏資料スライド6:認知症高齢者見守り支援ヘルパーの利用には・・・

 この認知症見守り支援ヘルパーを利用するにあたっては、まず在宅介護地域包括支援センター、地域包括支援センターなんですが、地域包括支援センターというのは、介護保険法の中での制度なので、武蔵野市では、老人福祉法にこだわって、在宅介護支援センターというのを、もうずっと平成5年ぐらいから、ずっと置いているんですけれども、そこが市独自のサービスの申請書というのは、全部アセスメントした上でいただいてくるような仕組みを取っていますので、そこからまず、おうちに訪問調査をします。そして申請書をお受けして、そこで生活歴とか趣味とか生活状況とか、ご本人とかご家族の希望とか、そのアセスメントをしてきて、サービスの利用の決定は市がやるわけですけども、そこはほぼ並行ということで、実際に在宅介護支援センターとホームヘルプセンター武蔵野という、ヘルパーを派遣しているのが、外郭団体のヘルプ事業所になるんですが、そことで実際に、じゃ、どんなプログラムをやりましょうか、どんなことを支援しましょうかということを決めて、ご家族に提案をします。

 そしてそこで、じゃ、それでやってみましょうということであれば、利用開始となるわけですけれども、この支援内容については、今、住み慣れたその場所で、自分らしく過ごしていただけるためにできることということに対して、思いがあるというか、そこをくんだサービスということになってきます。とは言っても、なかなか今、ご家族の状況等も、家族構成とかそういったことも変わってきている中で、なかなかこう、こちらが思っている理想通りにサービスが組まれるかというと、そうではない部分もあるんですが、そういったことは後ほど課題の所で、またお話しさせていただくとして、比較的、理想的に動いているケースについて事例を報告させいただきます。

○事例1

毛利 悦子氏資料スライド7:事例1 Aさん(79歳男性)

 まず事例、一つ目なんですが、Aさんという79歳男性の方になります。この方は、もう数分前に話したこととか、出来事は忘れてしまうので、同居のご家族が何度も同じ説明をしたりとか、目が離せない状況になります。介護保険も申請はしたけれども、デイサービスの集団の中で何かをするというのは、性に合わなくて、かたくなに、もう行くのは嫌で、デイサービスの利用、サービスの利用には至らないので、家に閉じこもって、ご家族と一緒にいる状態というのが続いておりました。

 そこで、まずご家族からご相談があって、集団は合わないけれども、散歩という形で外に、ずっと家の中にいるので、外に出られないかっていうような、ご本人も外には行きたいっていうような、そういうお話がありましたので、ヘルパーが付き添って、お散歩ということで、この辺案内してくださいみたいな形で導入をしたところがあります。ただ、数回ヘルパーと一緒に散歩をしたAさんが、「用事もないのに散歩する意味が分からない」って言って、ヘルパーさん来ても、「なんで来た」みたいな話になってしまって、そこでまた職員とご家族で、Aさんは何が好きだったかっていうようなお話から、趣味であったゴルフをちょっと絡めてみましょうということになりました。

 そして、ヘルパー導入した後に、最初は「ゴルフの練習場を見に行きませんか」って言って、ヘルパーさんと一緒にバスで練習場まで行って、そこのロビーでお茶を飲んで帰るっていうようなことから始めて、そのうちにAさんが、打ってみたくなって、「打ってみたい」とおっしゃったので、ご家族に相談して了解を得て、打ちっ放しに行くことが散歩の目的となって、最初は1球、2球から、こうヘルパーさんがセットして、1球、2球からですね、そのうちだんだん1箱とかっていう数になってきました。

○事例1:ヘルパー導入後の効果

毛利 悦子氏資料スライド8:事例1 Aさん(79歳男性)2

 そして、それがすっかり毎週お楽しみになって、30分の道のりを歩いて行けるようになります。それである日、ヘルパーさんが行ったときに、「先週息子と一緒に回ってきたんだよ」っていうお話がありました。そういった意味では、ご本人にとって気持ちに響くサービス、支援であったのかなと思うんですけれども、それからもヘルパーのことを玄関で迎えてくださるようになって、現在は、ちょっとだんだん進行もされてはいるんですけれども、このヘルパーも使いながら、今はデイサービスに行くということも、比較的抵抗がなく、人の中に入る、お話しするとかっていうことも抵抗がなくなってきて、行ってゴルフの話されたりしてるわけですけども、そういう使い方もできているというところがあります。ご家族はこのサービス利用時間には、買い物とか病院に行ったりとか、そういったこともできるようになったっていうことがあります。全体的に人が入るとか、介護サービスに対する抵抗感っていうのも、ご家族もご本人も含めて減ってきたというような、そういう事例がございます。

○事例2

毛利 悦子氏資料スライド9:事例2 Bさん(70歳女性)

 そして、もう一つの事例で、こちら70歳の女性ですが、お一人暮らしで不安感が高まると、今、娘さん2人が交代で泊まりには来ているんですけれども、何回も電話をしてしまったりとか、大声を上げたりとか、そういった症状が見られるようになりました。で、デイサービスを行ってみるんですが、それもまた不安要素になってしまって、おうちに帰りたくって、なかなかそれが通えない原因になってしまったということがあります。

 これも娘さんからヘルパー利用についてご相談があって、そこのお話の中で、以前はおしゃれで、行きつけの喫茶店があって、コーヒー飲みながらケーキを食べるのがとても好きだったのよねみたいなお話があったので、じゃ、週に1回、ヘルパーさんと一緒に、ムーバスっていうコミュニティバスがあるんですが、それでその喫茶店まで行って、お話ししながらケーキを食べて帰ってくるっていうのはどうですかっていうような、そういうプログラムを組みました。

○事例2:ヘルパー導入後の効果

毛利 悦子氏資料スライド10:事例2 Bさん(70歳女性)2

 そして、それをやる中で、お一人だと道を歩いていても声を上げてしまったりとか、とっぴな行動を取ったりとか、道に迷ったりっていうこともあったんですけれども、ヘルパーと一緒であることで、本人も不安が減るし、ご家族も安心して外出がさせられる。それから、なじみの喫茶店なので、ああまた何とかさん来てくださったのみたいな、そういった以前と変わらぬBさんの居場所ができるということがあります。そして、毎週決まったその楽しい時間を持つことで、だんだん不安行動というのが軽減されてきている、その行く日を楽しみに待つことができるようになってきているというようなことがあります。

○その他エピソード

毛利 悦子氏資料スライド11:こんなエピソードも・・・

 他に、こんなエピソード、ちょっと事例まではできなかったんですけれ、例えば、武蔵野、井の頭公園がありますので、井の頭公園、毎回1週回ってくるような方もいらっしゃったり、雨の日は図書館でDVDを見て帰ってくるとか。

 それから、このケースは割と私いいなと思ってるんですが、以前働いていた飲食店のお店に行って、その日はヘルパーさんが付いて出勤をする形で、できることをやらせてもらう。お皿洗いであったり、注文を取ったり、その中でできることをやらせてもらって、ヘルパーさんのお迎えで、2時間ぐらいしたら、じゃ、きょうお疲れさまって言って帰ってくる、そういう事例もあります。

 また、お話し相手としては、おうちの中でアルバムを見ながら思い出話をしていて、そこに普段介護をして、キーッてなってしまうようなご主人も、その場に一緒に入ることによって、ご主人も息抜きの場になる、吐き出しができているというようなケースもあります。

 それから、お料理好きだった方であれば、一緒にホットケーキとか蒸しパンを作ったりとか、以前はご家族の夕飯を、ヘルパーは作れないんですけど、本人だったら家族の夕飯作ったっていいんじゃないのみたいな話もあって、そういうプログラムを検討した方もいらっしゃったんですが、そういうことをやったり、あとピアノの弾けるヘルパーさんがいて、ある日、連弾をしてきたら、すごくそれが、なんか本人うれしそうだったので、じゃ、連弾って言って、しばらくそういうプログラムを組んで、そのうちに地域ケア会議なんかで、ピアノが弾ける地域の方を見つけて、じゃ、その人に週1回来てもらって一緒に連弾したらみたいなふうにつながっているケースもあります。

 あとはヘルパーが体操の先生として入って、週に1回、一緒だったら頑張れる、動けるとか、クロスワードなんかをして、ヘルパーのほうが負けちゃったりもするんですけども、そういうことをやったりしています。

○認知症見守り支援ヘルパーの養成状況

毛利 悦子氏資料スライド12:認知症見守り支援ヘルパーの養成状況

 このヘルパーについては、いわゆる初任者研修、旧ホームヘルプ2級ですけれども、その終了をしている方ですので、もうプロのヘルパーさんに、また武蔵野市として、認知症ケアヘルパーの認定研修というのを行いまして、内容的には6時間の座学と、1日の認知症デイでの実習なんですが、それを経た方にお願いをしています。

で、最近、座学の内容としても、ユマニチュードケアの話でしたり、それから当事者、それこそDAYS BLG!さんからも講師に来ていただいて、お話し伺ったりとかもしています。それと、あと年数回スキルアップ講座を行って、現在は84名のヘルパーさんが登録をして、実働としては60名ぐらい扱っています。で、利用者さんも、もしかしたら支えられるのは、認知症状が進行していく中での、いっときの場合もあるんですけれども、ただ利用者さんは入れ替わりもありながら、今74人から80人ぐらいが使っていらっしゃるということになります。

○認知症見守り支援ヘルパーの養成効果

毛利 悦子氏資料スライド13:認知症見守り支援ヘルパーの効果

 ヘルパーの効果として、これはまず一番には、認知症の方ご自身のQOLの向上ということがあります。その人の状態とか性格に合ったプログラムっていうのを、ヘルパーも様子を見ながら、場合よって変えていきながら対応していくので、その中で不安行動が抑えられたりとか、それから楽しみができたりとか、また定期的に訪問することで生活サイクルが整ってくるとか、そういったこともあると思っています。それから介護する家族の身体的、精神的負担の軽減ということで、ヘルパー派遣中は、ご家族が安心してご自分の時間を持てたりとか、それからヘルパーを交えて会話をすることで、気持ちの吐き出しができていたりとか、また何よりもご本人が落ち着くということが、家族も会話にしても介護にしても、楽になってくるというところがありますので、それから、ヘルパーさんが来るっていうことが、じゃ、何かあったときに言える相手ができるっていうこともありますので、そういう効果もあるのかなというふうに思っています。

 そして、あとニーズに柔軟に対応できるサービス検討体制ということで、市の独自サービスですので、介護保険にあまりうるさいこと言われずに、提供内容の範囲ですとか、それからヘルパー派遣事業所とか、提供内容の範囲とか、それから先ほどのバス代をどうするとか、喫茶店一緒に行ったコーヒー代どうするとか、そういう話も含めて、市のサービスなので、そこはご家族も含めて、いろいろ意見調整をしながら、意見交換しながら、作りやすいように調整していくことができるということがメリットかなと思っています。

○認知症見守り支援ヘルパーの課題

毛利 悦子氏資料スライド14:認知症見守り支援ヘルパーの課題

「関係者間の課題や支援目標、情報等の共有化」

 そして最後、課題になりますけれども、これが、今すごく悩ましいところで、先ほど澤岡さんのところでもあったんですが、ご本人の声を聞く機会、ご本人のニーズをくむ機会というのは、やはりこの制度をやっていても、どれだけできているんだろうかっていうところは、反省も含めてありまして、やっぱりご家族に対峙しているときに、だんだんご本人じゃなくて、ご家族のほうと話をしてしまうみたいなことがあったり、そうすると、本人の困り事の解決とかQOLの向上なくして、家族介護者の困り事は解決しないっていうふうには思ってるんですが、実際、家族寄りのサービス提供になってしまってることがあるんじゃないかっていうような、そういうことが課題として上がっています。

今、デイサービスから帰ってきて、家族が帰ってくるまでとか、次のヘルパーさんが入るまでのつなぎに、このサービスを入れたいっていう相談がすごく多くて、それの善しあしというか、やっちゃ駄目って話じゃないんですけども、それってご本人としては、どうなんだろうかっていうところは、すごく悩ましいところなのかなっていうふうに思っています。

「 日常生活の状況をタイムリーに共有できる仕組みづくり」

 それから、認知症に関しては、日常生活の状況をタイムリーに共有できる仕組み作りということで、このサービスだけじゃないんですが、ICT、きょうはご本人の支援のICTの話あるんですが、専門職もICTを持って、そこにご家族も入って、きょうはこんな状況でしたとか、きょうはこんなことがあったらこんなでしたとか、それが共有化できるっていうことも大事なのかなということで、そこの今、普及が、事業所によってやっぱり持てないっていう所もあるんですが、そこの普及とか使い方の向上というのが課題になっています。

「認知症の人が「地域で自分らしく暮らす」ことの理解・協力」

 それから、認知症の人が地域で自分らしく暮らすことの理解、協力ということで、これは最初に申し上げたように、どんなサービスを作っても、生活の基本は、やはり地域であって、地域の方たちが理解して協力して一緒に暮らしていかなければ、このサービスも、例えばヘルパーさんとご本人だけのものになってしまう、そのだけの世界になってしまうので、そういうところでは、例えば一つは、今、地域を細かく回って、認知症になったときのために、ご自分はどんな準備をしますかっていうような講座を始めているところです。サポーター養成講座もいいんですが、なかなかやっぱり支えてっていう視点から脱却できない感じがしていて、なので、今、認知症になったらどうしますかっていう、そのためにどんな準備しますかっていう投げかけをしているところです。

第3分科会の写真

「介護保険制度との整合性」

 そして、後は介護保険制度との整合性で、この認知症見守り支援ヘルパーも市独自で、1500万ぐらい使ってやっているんですが、これも介護保険でできなくはないんですけれども、介護保険の財源でできなくはないんですが、保険料に影響が出たりとか、いろんな制度もこれだけころころ変わる中で信用できないみたいなところもあって、そういったところの整合性っていうのはあるのかな。

「ヘルパーの人材確保」「予算の獲得」

 そして今、大きいのは、ヘルパーの人材確保。ヘルパーも高齢化していく中で、なかなかいい人材を確保していく、しかもこういう細かい所に気付ける人材を育成していくっていうのが、結構課題になってくるのかなと思っています。

 あと市としては予算の獲得ですが、今のところは議会等からも、とても好意的に受け止めていただいているので、これから認知症の方、増えていく中で、軽い方にも提供していくところも含めて、どこまで行けるかということありますが、これも課題になるかなというふうに思っています。以上です。

 ちょっと長引きましたけれども、ご清聴ありがとうございました。

パネリスト 牧 壮氏のお話

牧 壮 牧アイティ研究所 代表の写真

【牧】 ご紹介いただきました、牧でございます。今日は、こういうテーマでちょっと話させていただきたいと。いただいたテーマが、『認知症になっても日常を「フツウ」に暮らせるコミュニティ』、普通に暮らせるっていうこと自体が、非常に難しい定義なんですけども、やはりこういう高齢化社会が、どんどんどんどん進んできて、普通に暮らせない方が増えていく。

 で、一方で情報技術っていうのが、どんどんどんどん進化してくるわけですけども、私自身が、今もう80を超えてまして、リタイヤっていうか、定年で辞めてから17、18年たつわけですけども、その間、何が一番心配だったかっていうと、一体自分は何歳まで生きるんだろうと。で、何の保証ないわけですけれども、いつ死ぬかも分かんないかもしれませんけれども、とにかく目いっぱい余生を楽しみたいのが一つと、さわされどですね、余生を楽しむんだけども、社会との絆が切れたら、孤立、孤独の生活になるんじゃないかと。これは非常に困るなということで、私自身は高齢化社会と情報化社会を、いかに融合していくかということを、私自身が高齢化していく課程において、ずっとトライしてきた結果が、今日現在になるわけでございます。

 私の背景ちょっと言いますと、私は63歳でリタイアした後、13年間、海外マレーシアで過ごしまして、75になって戻ってきたんですけども、あっと気が付いたら、高齢者社会、日本に来るよと言われてたのが、実際はもう超高齢化社会になっていたと、これが実際で驚いたわけですね。75というのは、ご存じのように後期高齢者だっていうことで、そういうカテゴリーに入ってしまったわけです。

 そのときに、たまたまの出会いなんですけども、去年7月に亡くなられた、聖路加の日野原先生、日野原重明先生ですね、彼が100歳で、当時100歳で、私言われまして、「おい、このシニアの世界もネットを使えないと駄目だぞ、SNSを入れてくれ」、突然こういう話があって、どうやったらいいかって。

 日野原先生の新老人の会っていって、新老人の会っていうのがあるんですけど、ここは平均年齢が71歳で、全国に当時1万人を超えた会員がいたんですけども、地域ではいろいろ活動してる。日野原先生自身は、もうこれからは地域を超えたコミュニケーションがないと、やっぱり駄目なんじゃないかということでSNS。ところが、それやってくれって言うんですけどもね、考えてみたら、平均年齢70歳を超える人たちが、どうやってSNSを安心安全に使えるかって、誰も前例がないんですよ。で、みんな聞いてみたら、怖いから嫌だって、インターネット怖いんだ、そういうのが実際でございまして、その中で、いろいろトライアルをやりまして、シニアが安心安全に使えるネットを構築しようじゃないかということで、若い方とのサポートも得ながら、それをトライして5年半たちました。おかげで、今、無事故です。

 よく新聞記者とか雑誌とか、よく取材に来るんです。なんか、炎上起こしてるんじゃないかとか、けんかしてるんじゃないかと、そういう事例紹介してくれって言うんですけどね、ないんですよ、うちは。そういう事例がないようにするには、どうしたらいいかという取材に来てくれるならいいんですけどね、そういうのはあまり記事にならないって言うんですよね、炎上になった事例を教えてくれ。

 しかし、そういうことをやりますと、きょうの午前中のセッションにもございましたけれども、やっぱりシニアっていうのは、そういう事例が、怖いという事例が発表されますと、すぐ身の周りに怖いっていうふうになるわけですね、これが怖いんです。ですから、われわれとしては、ずっとやってきたことが、シニアにはフレンドリーで、やさしい。

 で、おかげさまで時代が、だんだんそういうものになじめるいろんな仕組みが出てきまして、その延長上に、きょうの話題、この認知症との関係というのが出てまいります。ですから、きょうのお話は、先ほど認知症の方のお話しございましたけども、これをちょっと今度は受け皿側から見たら、どういうことになってたか。

○人生100歳時代への道

牧 壮氏資料スライド1:人生100年時代への道

 で、人生100歳時代と、先ほどの澤岡先生の話ありました。まさに私、まさにもう80も超えていますと、人生100歳時代というのが、まんざら遠い世界じゃないかもしれないな、一体自分は何歳まで生きるんだろうかと思ってたら、止まらない高齢社会、どんどんどんどんやっぱり高齢者社会が増えてまして、これは困ったことに、どっかで飽和するのかと思ったら、この曲線、政府の曲線は止まるとこないんですよね。これは大変なことなんで、これに対して対処ができなかったら、これ困るなと。これだけ長生きすると、やはり何が問題になってくるかっていうと、われわれの年代で今、仲間が集まってやると、二つの話題しかないんです。一つは終活の話です、どうやったら死ぬのかって。

 もう一つが、この認知症の問題ですよ、やっぱりぼけないようにするには、どうしたらいいんだ。で、やっぱり高齢化社会っていうのは、新聞でどんどんどんどん、これは世界一日本は高齢者社会だって言いますけども、一方で孤独な高齢者、認知症のリスク、交流少ないほど発症率、どんどんこういう記事が出るようになると、人ごとじゃないんですね。これやっぱり、長生きしていいな思いつつも、長生きがアンハッピーになる、長生きしたらアンハッピーになるような状態にならないようにしないと、長生きの意味がない。そういうことで、私どものこの年代になると、とにかくやっぱり認知症の問題っていうのは、最大の関心事で。と同時に進化するインターネット、今、世の中はもうインターネット、要するに世の中のインフラは、今、インターネットベースなんですよね、いい悪いは別として。もういろんな情報は全部、全部ってほとんどインターネット、買い物もそうですよね、いろんな意味でインターネットは社会のインフラの基本にあるわけです。

 今までこの記事は、正月の、この1月の日経新聞のある日の、今年の日経新聞の正月の特集は、こういう情報社会と高齢化社会というのは、やはり、今までは今年の経済はどうなるかとか日経新聞のトップを飾ったんですが、今年はちょっと変わってきまして、暮らしの中のデジタル革命、こんなのがやっぱり新聞で取り上げられるようになってきましたね。

 やっぱり世の中がデジタルなんですよ、今。ところがデジタルで一番弱いのはシニア、これはいかに27パーセント以上が65歳といえども、例えばスマホはどのぐらい使えてるか、タブレットはどのくらい使われてるか、こういうのを調査しますと、日本は世界の先進国の中で一番遅れてるわけですね。

○SNSをはじめたきっかけ

第3分科会の写真

 今日は、そういう中で、先ほど認知症の中田さんのお話ありましたけども、今度、私のほうから認知症の方の対応と、それのわれわれ社会がどういうふうに対応してるか、あるいは、しようとしてる。実はこれは、先ほど5年半前に始めた日野原先生のシニアの中にSNS入れようという会合を始めて、で、100歳が始めたもんですから、勉強会始めたんですよね。

 したら、なんと100歳が始めました、90歳で、80歳だ、みんな勉強しないと駄目だ、遅れるっていうことで、勉強来て、で、どうこういうタブレットとかFacebookを使うと、どういう効果があるの。いや、これ使うと認知症にならないよ、そうだよね、始めてたさなかに、実はこの方から、これメールが来たんです、このメールが。で、私、本当言うとびっくりしました。私、認知症なんですけども、この会に入れてもらえますでしょうか、勉強会に入っていいでしょうかっていうものなんです。

 で、最初に、この方が言ったことは、9年前、この方が50歳の始めのころ認知症に診断された、で、会社も辞めた。どん底の生活を強いられたって、もう気が落ち込んで一時田舎に帰られた。で、お医者さんに聞いたら、「あなたは5年もたったら何も分かんなくなるよ」と言われたんだそうです。もう人生、先行きに希望がないということで田舎に帰られたんですけど、この方が思い付いたことは、ちょっと待てよと、認知症と診断されたけども全てが駄目になったわけじゃない、先ほどの中田さんのお話でも、全てがなくなったわけじゃない、残されたものがあるはずだということで、それをどう生かすかというために、いろんなことをチャレンジしてきました。

 で、この認知症になると何もできなくなると思われがちだけども、決してそうじゃない、先ほどのお話にもありました。何にもできなくなるっていうのは偏見です。偏見という言葉は、先ほど中田さんからも出てくる、偏見。確かにできないことは増えるが、できることがまだまだあります、大切なのは気力ですと。気力があれば克服できるんです。新しいことを覚えるのに、人の何倍も時間がかかるけども、必ずできると信じてやればできるんです。新しいことを覚えるのに時間がかかる、もう本人も即効性を求めてるんじゃないです、営々と自分の人生をつくっていこう。で、適切な支援があれば、認知症になっても普段の生活が楽しめるよ、要は失った機能を嘆くのではなくて、残された機能に感謝して、新しいことにチャレンジしたい。

○SNSと認知症の出会い

牧 壮氏資料スライド2:SNSと認知症の出会い

 よって、そこの勉強会に入れてくださいというメールが、私の所に飛び込んで、私もびっくりしたわけですね。で、どうぞということで、勉強会に呼んだんですけども、この方、埼玉県に住んでて、都心でやってる勉強会、「ここ会場まで来れますか」って言ったら、最初は、「電車来れない、乗って来れない」。最初は、うちのサポーターの方に迎えに行ってもらう、最初はそういう状態だったわけですね。

 そこでSNSと認知症の出会いというのが、私ありまして、そこで認知症の方がFacebookを使う、あるいはiPadの勉強会、普段はFacebookでコミュニケート取れる。Facebookで、この認知症の方が訴えたこととは何か、認知症は不便であるけど不幸じゃないんだ。要は、こういう言葉を認知症の方から聞いたのは、僕はFacebookを通じての話、初めてですね。失われた機能あります、確かに、あれ、これうちの覚えが悪くなりました。残された機能があります。ところが、やっぱり認知症ですよ、いうことで言うと、患者自身もなんか思い込みがある、偏見がある。

 一方、社会もあるんじゃないか。で、自分自身の中に偏見は何かっていうと、認知症に、お医者さんから、あなた5年もたったら何も分かんなくなりますよと言われて、それ信じ込んでしまうと、認知症になると何もできなくなると信じ込んでしまうと、もうそれだけで気力がなくなる、生きる希望がなくなる、これは偏見だ。世間の偏見、認知症になると、あの人、認知症となると、一人の大人として扱ってくれないという、要するに社会が持つ認知症に対する偏見。で、彼はこの二つの偏見にチャレンジしてます、今でも。

○シニアのインターネット活用がシニアライフを変える

 シニアのインターネット活用がシニアライフを変える。彼はインターネットの活用、われわれの勉強会来て何を勉強するか、まず最前列に座ってiPad持ってきて、片っ端から質問をするんです。「牧さん、これ教えて、地図の使い方教えて、カメラの使い方教えて」、なんでかって、迷子になったとき、これで自分が帰る道を覚えるわけですね。ものを忘れたときに、これがカメラ機能で持ってますから、パチャパチャ、パチャパチャ撮って、それを全部整理してるわけです。だから、ご飯も食べる前に必ず撮ります、薬も飲む、全部記録に残すわけですね。

 

 で、こういうことと同時にインターネットを使って、人とのつながり、これが最高に広がる。今までは半径500メーターが、家の周り半径500メーターが行動範囲です。これネットを使いますと、半径何百キロ、何千キロまで行きます。

 で、人のつながり、友達が増えます。この佐藤さんという方も、今、どんどん友達が増えてます。で、私が気が付いたのは、医学的な認知症、これは要はお医者さん所に行くと、こう検査して、あなた認知症あれですよね、いや、あんた健常児、これは確かに医学的な判断ですから、これを否定することはできないんですけども、じゃ、医学的な認知症と生活上の認知症っていうのが、全く違うっていうことがよく分かるんですね。

 で、われわれは、認知症とは、まだ幸いなことに判定されてないですけど、そのオン・ザ・ウェイですよね、要するに急患の予備軍、要は当てはまるわけです。ですから、認知症患者さんが困ってることと、われわれ健常人が日常困ることっていうのは、極めてよく似てるんですね、忘れ物をするとかチェックする。ですから、要は医学的な認知症ということを、今まで認知症に対する本というと、お医者さんが書いた本ばっかりだったんですよ、私も読んだ、最近ですよね、認知症の方が書いた本が増えてきてる。で、さらにインターネットで情報発信が出てきた。

 これは佐藤さんが書いた本ですよね。『認知症になった私が伝えたい』、佐藤さん。この頃の佐藤さんの顔は、やはりちょっと暗い顔なんですね。ところが本を書いたら、彼には友達が増えましてね、いや、私も認知症なんですよ、一緒になってやりましょう。で、本が出てきて活動したら感謝状が来たと、そういう活動いいですね。社会から認定されるっていうか、存在が認められ始めた。

 そうなってきたら、孤独、孤立、孤独だと思っていた佐藤さんが、そうやって表彰されると、にこっとしてくるわけですよね。やっぱり社会から接点が出てきた。これ1人暮らしのときのですね、その佐藤さんですけども、今はこういう顔になってる。もう本当に生き生きとした顔になってるわけですよね。やはり、こういうふうにやっぱり接点ができてきて、閉じこもらずに、社会との接点ができ、あるいは自分が生活に困ってることが、何かの失われたものにこだわるんじゃなくて、残された機能をうまく使うということに慣れてくると、すごい世界ができる。

○認知症を復活させたICTとは

牧 壮氏資料スライド3:認知症を復活させたICTとは

 で、認知症、いろいろ復活させる、先ほどの散歩一緒にするとか、いろんな活動、これは非常に大事だと思いますが、もう一つは、やはり今までにない技術、今までにない発想で、いわゆる情報技術というものを使ったら、新しい世界が広がるんじゃないか。

 一つはタブレットの活用ですよね。やっぱり昔のパソコンは難しかったけども、今のタブレットは非常に簡単になってます。認知症関係なくシニア、ものすごく簡単になってますね。で、それを使って、失われた機能を補填していく。

 それからもう一つは、ネット。ネットというものを使って、社会とのつながりを広げていく。要するに、この二つの情報技術、最新の情報技術っていうのが、非常に使い勝手が良くなってきまして、今までそういうものに縁がない世界の人、いわゆる今までですと、インターネットって、若者の流儀じゃないか、情報技術、若者のためのもんじゃないかと言われてたのが、そうじゃないということが分かってきたわけです。

○「Facebook」で語られていること

牧 壮氏資料スライド4:新老人の会「Facebook」で語られていること

 一番大事なことは、しかし、リアルの世界を広げるバーチャルの世界、要するにリアルの世界に立脚したバーチャルの世界であることが大事だと。このFacebookで何を、じゃ、語られてるんだって、よく質問が来るんですけどもね、たいしたことないんです、たわいないことが日常対話をネット上でやる、日常の生活情報、それから技術的な相談、タブレット、それからパソコンどうやって使うんだ、それから、こんなイベントやるけども出てこない? 誰と誰が出てるわよ、それから、いろんな支部活動。

 で、シニア活動には、いろんな地域で老人会はじめ、いろんな活動があるんです。今までどういうわけか横がつながってないんですね、全く孤立が多いんですね、もったいないんです。ですから、そういうものが、もしネットでつながると情報交換できるし、活動同士が、新しい活動をクリエイトすることができる。それから、認知症健康状況、こんなのに困ってるんだと、するとすぐ誰かに。今でも佐藤さんは夜、寝れない。今晩、夜中眠れないけど、どうしたらいいなんていうメールとかFacebookが来るんですよね。

 そういうことで、やっぱりお互いに理解し合うみたいに、なんかちょっと簡単にコメントをしてあげるということだけでも、孤立、孤独から脱却できる。

 で、そのFacebookで語ることは、要するに認知症の私に残ってる機能に感謝してますと、機能が残ってることに感謝してます、こういう言葉っていうのは、認知症の方から出てくるとは、私も想像してませんでした。それから先ほど申し上げました、不便ではあるけども、不幸じゃないんです。で、適切な支援があれば楽しめます。で、記憶に頼らず記録に残す生活に切り替えました。

○「 Internet of Seniors IoS 」 を世界に広げる

牧 壮氏資料スライド5:全てのシニアをインターネットで繋ぐ「Internet of Seniors」(IoS)を世界に広める

 私も、こういうことで、シニアがネットにつながる意味、重要性、役割っていうのが、この5年半になりましたもんですから、じゃあということで、このInternet of Seniors IoSという言葉を、ぜひ世界につなげたいと。

 これ何かっていうと、全てのシニアをインターネットでつなごうじゃないか、で、今まではインターネット怖い、あるいはそんなことやめてよっていう娘、息子からもいろいろな意見聞いて、そうじゃない、みんなで社会全体がシニアのために、そういう環境を作ってあげたら、シニアは孤立、孤独にならない、失われていく自然機能、人工知能が、AIが今、はやってますけども、別に自動車の無人を作るのがAIじゃないんですよ。失われた知能を、人工的な知能で、どうやって回復させていくか、補完していくか。これ最高の人工知能、AIのテーマではないでしょうか。

○まとめ

牧 壮氏資料スライド5:まとめ

 結局、インターネットが基本的な問題になるということで、私どもとしては、シニアライフを変える、そして社会を変える、そして、そのためにシニアのインターネット活用を推進していこうと、全てのシニアを、まずインターネットでつないでいこうと。これには、いろんな道具の使い方もあるだろうし、アプリもあるでしょう。

 ただし、共通のフラッグをつくりたい、こういうことをやるんだ、うちの企業はこういうことに賛同して、こういう活動をやるんだ、あるいは、こういう開発をやるんだ、あるいは、うちの町はこういうことをやるんだ、うちの組織は、こういうことをやるんだ、シニアをなんか訳の分からない相手じゃなくて、シニアを取り込んで一緒になって高齢者社会、これが未来の高齢化社会につながるんではないでしょうか。

 そういうことで、世代を越え、地域を越え、こういう活動をつなげていきたいし、それには、もう本当に若い人から、私のような、もうまさにシニア社会の中にどっぷりつかってる問題、全部入ってですね、こうして新しい、今までにない社会を、新しい方法でつくっていったら、日本は世界一の高齢者社会といわれています。日本が世界一の高齢者社会が、こうやってハッピーな長生きにつながっていけば、世界はその後、全部付いてきます。

 ですから、そういう意味で、われわれの活動は、世界に対して将来役立っていくような高齢化社会にしていきたいというふうなことで、私も、これやっぱり気が付いたのは、認知症の方と一緒に、いろいろ社会の基本的な問題を考えたという、一つのプロダクトと言いますか、成果でございます。どうも、ご清聴ありがとうございました。

パネリスト 守谷 卓也氏のお話

第3分科会の写真

【守谷】 はい、DAYS BLG!はちおうじを運営しております、守谷と申します、よろしくお願いいたします。中田さん、これからは、インターネットですって。難しいですよね、そんなことないですか。

【中田】 うん、分かんないけどね、まあまあチャレンジします。

【守谷】 じゃ、覚えたら教えてください、僕に。よろしくお願いします。そんなわけで、中田さんと一緒にお話しさせていただきたいなと思います。われわれの取り組みを写真も合わせて、皆さんにご覧になっていただきたいなと思います。

○DAYS BLG! はちおうじ とは

守谷 卓也 株式会社ウィンドミル・DAYS BLG!はちおうじ 代表取締役の写真

 DAYS BLG!ですけども、こんな意味があります。障害があってもなくても、豊かな生活をみんなで集まって感動的なものにしようという意味があります。BLG!に通われてる方は、ほとんどの方が認知症です。現在49歳から84歳の方、大体平均年齢が67.4歳ですね。男性が17名、女性が5名ということで、大半が男性なんですけども、そんな方たちが、働きたいとか、役に立ちたいとか、分かんないけど、なんかしてえなっていう、そんなこう思いを持った方たちが通われております。

○DAYS BLG! はちおうじ のコンセプト

 BLG!のコンセプトとしましては、『想いをカタチに』するということを大切に活動をしております。そして、はちおうじでは、仲間と一緒に輝き続ける、ここから始めようという、そういったポリシーも持っております。

○DAYS BLG! はちおうじの特色

守谷 卓也氏の資料スライド1;DAYS BLG!はちおうじの特色

 これがBLG!の特長なんですけども、ハブ機能というふうに言ってるんですけども、皆さんの思いがありまして、そんな方たちがBLG!に集まります。で、そこから地域、社会、企業へ飛び出して行くわけなんですけども、普通のデイサービスというのは、そこのデイサービスに行って終わってしまう、そこのデイサービスでみんなで脳トレとかですね、体操だとか、トランプだとか、そういったことをして終わるのが、今までの従来型のデイサービスなのかなと思うんですけど、BLG!の場合は、BLG!に来て、そこから何かしようという、そんな道具という役割かなと思います。

○具体的な取組み

守谷 卓也氏の資料スライド2:「働きたい」「役に立ちたい」等という想いをカタチにして具体的な活動に取組んでいます。

 で、働きたいとか役に立ちたいとか、そんな思いを形にして、具体的な活動に取り組んでおります。働くというキーワードなんですけど、それを漢字と平仮名と片仮名に分けてます。

「働く」

 1番目は対価としての謝礼や報酬が発生する労働。車洗ったり、新聞のポスティングがあったり、企業との商品開発、包丁も研いじゃってますね、看板作ったり、あと内職的な仕事もあります。

「はたらく」

 2番目のはたらくですけども、ボランティア的要素、社会に役立つ、そういった労働です。デイサービスで駄菓子屋をやってまして、そこに子どもたちが買いに来て、子どもたちの居場所にもなってるんですけど、そんなこともしてます。あと畑の仕事があったり、障害者施設でのボランティアがありましたり、あとは小学校、学童での紙芝居の読み聞かせということもしてます。

「ハタラク」

 3番目のハタラクですけど、これは所属する場所のためになる労働という、お互いさまというような、そういった活動になります。

○自己決定

守谷 卓也氏の資料スライド3:自己決定

 BLG!で大事にしてることなんですけども、自己決定ということなんですけども、これは厚生労働省が言う、これからのデイサービスの在り方という中で、自己決定、社会参加ということが取り上げられていますけども、われわれは当たり前に自己決定をしてるわけなんですけど、その日のメニューが、みんなで何しようという、そんな形で決めていきます。意図的に仕事を二つ、三つ用意して、そこから選んでいただく場合もありますけども、皆さんがそのときの気持ちや体調によって、こんな仕事をしたいということで、その日のプログラムを決めています。で、お昼ご飯も。

【中田】 そうですね、弁当もね、皆さんで、自分の食べたいものを決めてます。

【守谷】 自分でどうにかしないと、お昼ご飯ありつけないというね、変なデイサービスですよね。それも、われわれと一緒ですよね、普段、何が食べたいか。

【守谷】 それが、なかなか大変なときがあって、ほぼ毎日カレーが食べたいという人もいたりして、さすがに、きょうはやめようよっていう、自己決定なんですけども、たまにちょっと気分変えてみようかなみたいな、そんなちょっと誘導をしちゃうときもあったり。あとはスーパーでご飯買ってくるときがあるんですけど、おはぎを買ってくる人がいて、で、BLG!に着いたら、「いや、これ俺選んでないよ」って言って、これ、おはぎどうしようかなっていうね、そんなこともあったり、みんなで楽しく。そんなときはね、一応話し合いをみんなでして、いい大人なので、そこはこう、もめ事もなく、じゃ、俺がおはぎ食べるみたいな感じで、そんな感じでやっております。自己決定をすることにより、そういったご飯一つにしても、やっぱ楽しく生活できるんじゃないかなと思うし、そんな自己決定ができる、当たり前な社会になるといいなと思ってます。

○水平の関係

守谷 卓也氏の資料スライド4:水平の関係

 あと、われわれ介護する側、される側という区別がありませんで、水平の関係というふうに言ってます。

中田さんとも、決して介護者であったり利用者という関係でなく、バディっていうか、そういったふうに呼ばさせてもらってるんですけど、パートナーですね、分かりやすく言うと。お互いが信頼し合って支え合ってるという仲なのかなと思うんですけども、ちょっとサポーターとは違いまして、中田さんとは、その人と何ができるかということを一緒に考えて、楽しさをね、第一に考えたりしてます。

 ちょっと前までは、その人に何ができるんだろうかという専門性が問われていて、間違っちゃいけないという感じだったんですけども、今はこう楽しければいいじゃないっていう、そういった関係性になってるのかなと思うし、そういうふうになっていかないといけないのかなと思います。

 で、その水平の関係という中で、さっきご紹介あったメンバーというふうに、みんなを呼んでます。これは職員も、そこに来る、俗にいう利用者さんという方もメンバーっていうふうに呼んでます。で、BLG!に遊びに来る子どもたちもメンバーというふうに呼んでます。そこでは、みんながメンバーっていうふうに言われてまして、誰が社長なのか、当事者の人なのかというのは、もう全く関係なく、逆に分かんないですね。よく言われるんですよね、誰が誰だか分かんないという。

そんな関係性の中で日々活動をしております。

○前を向いて生活している方の事例

 で、これは、なんかあれですね、遺言みたくなっちゃってるんですけど、この方、元気です、元気に生活されてるんですけど、こんな熱い言葉がありまして、1人、新規のメンバーさんが見学に来たときに、何やっていいか、まだ分かんないっていうような思いの方だったんですけど、この福田さんが、その人に、昨日のことなんか思い出さなくていいよと、今、何かやりたいことあるのと、ここに来たら見つかるよ、俺たちと一緒にやりたいことを見つけようぜっていうね、これアドリブですね。これ当事者の人なんですけども、そんなことを言ってまして、その方の心を一発でつかんだという、こういう思いの方もBLG!にはいまして、とても何ていうかな、熱いというか、本当に前を向いて生活をしているという方が多く集まっています。

○仕事(働く)活動事例

「洗車」「ポスティング」

 そんな方たちが、こんな活動をですね、写真を見ていただきたいんですけど、これはHondaの洗車をしております。もう余裕ですね、ピースとかしてますね。これは地域の新聞のポスティングをしています、すごい笑顔ですね。この人は毎回、この後アイスクリームを食べに行くという、それがすごく楽しみで頑張ってるようで。

 で、やはり地域の方たちからも、なんかご苦労さんとか、ありがとうっていう、そんな言葉を掛けてもらえるようになって、メンバーさんたちも、きょうこんなこと言われたんだって、すごくうれしそうに帰ってくるっていうのは、すごく私も見れて、うれしいなと思います。日々の頑張りなのかなって思うんですけども、すごく地域の方たちにも支えてもらってるという思いはあります。

第3分科会の写真

「箸置きのニス塗り」

 これは、最近始めた仕事ですね、これ千葉市の団体さんから依頼されている箸置きのニス塗りをしている様子ですね。もう皆さん、かなり集中されて、毎日やってるわけなんですけど、何か外国の方にこれを配るということで、みんな、どこの国の人にこれが渡るんだろうなんて、こう思いながら、一つ一つ丁寧に思いを込めてニスを塗ってます。ただ、ニスなんで透明なので、どれ塗ったっけって言って、またこう塗ったものを、また塗り返すとか、そんな失敗もしながら、みんな頑張っています。

「Tシャツの配送」

 これはですね、RUN伴という、認知症を啓発する駅伝というかマラソンがあるんですけど、そこのTシャツの配送を、まちだのBLG!と、はちおうじのBLG!で、1500枚ずつ、この夏にしたときの作業ですね。一応こうなんか、あいさつ状みたいなの作りまして、もう間違って送ってるという体で送り状を作って、なんかありましたら何とかしますみたいな、そんなコメントが書かれていまして、これを皆さんの1500枚、BLG!のメンバーが送りました。

○仕事(はたらく) 活動事例

守谷 卓也氏の資料スライド5:仕事(はたらく)

「包丁研ぎ」「看板製作」「畑」

 これは、ちょっと地味な仕事なんですけど、包丁研ぎと、これ伊藤さんという方なんですけど、看板製作をしております。

 これは畑ですね、これもなかなか皆さん、一つの作業にしても細分化しないと、うまくできないこともあったりして、われわれは穴を掘る係、苗を植える係、土をかぶせる係、水をかける係みたいに、そうやって細分化することによって、結構ね、細かい仕事もできたりするので、それも工夫なのかなって思うんですけども、みんなそうやって役割分担して、一つのことをやったりしています。

「駄菓子屋」

 これが駄菓子屋ですね、こんな子どもが来るときがあります。これタカノさんっていう人、これスタンプカードですね、なんか1回来ると1個シールを押してるんですけど、どんどん押しちゃうんですよ、欲しいだろう、シール欲しいだろうって、もう赤字です。

「折り込み作業」「読み聞かせ」

 これは地域のボランティアですね、ボランティアセンターと、あと包括支援センターで、これはケアパスのなんか折り込みを入れる作業を手伝ってます。

 これは、読み聞かせ、紙芝居の読み聞かせ、ちょっとこれは大きな場所だったんで、スクリーンを使っての読み聞かせだったんですけど、これは一番近くの小学校、6年生150名に対しての読み聞かせでしたね。もう普段、駄菓子屋でメンバーさんのこと、子どもたちは知ってるので、もう大興奮で大盛況で大変だったですね。

「子どもたちのお手伝い」

 そんな子どもたちが、お手伝いをしてくれるようになりました。メンバーさん帰った後、洗いものしてくれたりだとか、掃除をしてくれたりだとか、あとメンバーさんと一緒に、これ新聞の折り込みをしてるところです。洗濯をしてくれたりだとか、そんな子どもたちの居場所にもなっています。これが、その例の紙芝居になります。実話を基にしてメンバーさんとストーリーを考えまして、地域の子どもたちが絵を描いてくれました。みんなスタイルが良くなって描かれているので、結構、本人が、これ誰だみたいな感じで言うんですけども、すごく上手に描かれています。

「認知症サポーター養成講座特別講師」

これ、中田さんいますね、これ中田さんが、小学校の認サポで講師役をしています。一つそのときのお話でね、ロールプレイを子どもたちにしてもらったんですけど、設定として顔見知りのおじちゃん、近所のおじさん、で、道にちょっと迷って家に帰れないよという設定があって、そのときに中田さんが、「ちょっと道に迷って帰れないんだけど」って言われたときに、その6年生の女の子が何て言ったんでしたっけ。

【中田】 「今日は一緒に家まで行きましょう。次は地図を作りましょう」って言われました。

【守谷】 もうすごいですよね。何にも練習もなしでアドリブだけで、そうでしたね。もうまた間違っちゃうからってね、そこがね、なかなか大人だったら言えないんですけど、子どもって結構ストレートに言ってくるんですけど、でも全然ストレスがなく、納得しちゃったんだよね、あっ、そうだなって。で、その子どもと一緒に地図を作るという、すごく私もそのとき鳥肌が立ったんですけど、そこまでなかなか大人もね、言ってくれない中、子どもがそういうふうに言ってくれたっていうのは、すごくうれしかったなという、そんなことがありました。

「ドライブ」

 仕事だけでなくてドライブもします。八王子から江の島行ったり、富士山の近く、富士宮まで行ったりとか、そんなこともしています。これは、リハビリですね。よくデイサービスで、折り紙をちぎったりするレクリエーションがあると思うんですけど、「そんなのしてらんねえよ」って言って、「ちぎるんだったら、ナンちぎらせろ」って言われて、カレー屋に行って、ナンをちぎるリハビリをしています。で、その隣は、自分の弁当、自分たちの弁当を、メンバーさんがお弁当屋さんに電話をして注文しているという、ここまで自分たちでしないとありつけないという、そんな感じなんですけども、もう最近、電話慣れて、どうもいつもお世話になりますっていう感じで電話をしてくれてます。で、これが仲間たちですね。仲間がいるから楽しいんだ、仲間がいるからBLG!に行くんだっていう、そんな言葉を皆さんから聞くことがあります。結構いろんな所に行っていますね、みんなで

○現在の課題・カタチにしたいこと

守谷 卓也氏の資料スライド6:現在の課題・カタチにしたいこと

「認知症の人は何もできない」

 そんな活動を通じてなんですけども、今、課題というか、これから形にしていきたいなって思うことがありまして、まだまだ認知症の人が何もできないんじゃないか、そんなイメージが残っています。

 先日も八王子市のシルバー人材センターに、ちょっと仕事を分けてほしいという、そんな交渉に行ったんですけど、なんと返ってきた答えが、健康な人じゃないと駄目ですと。とてもショックで、そこに行ったのが、うちのデイサービスの管理者が行ったんですけど、かなり落ち込んで帰ってきまして、「守谷さん、そんなこと言われちゃったよ」っていう、そこもね、これからどうしていこうかっていうふうに考えいかないといけないんですけども、決してね、そんなことはないということを、他の仕事を通して分かってもらえるように活動していきたいなと思います。

第3分科会の写真

「最低賃金958円」

 それと、今、東京都の最低賃金が958円ということで、BLG!のメンバーさんの時給が大体200円から300円なんですね。で、月、働いても大体3000円、少ない人は本当に200円とかっていう方がいるんですけど、それをもうちょっと上げられたらいいななんて思います。

「企業への雇用」

 あとは、企業への雇用ですね。なかなか認知症になってしまうと、やっぱり仕事が続けられないという、そんな社会であって流れで来ていますので、ぜひですね、今、中田さんが実は就活で一般企業に雇用されるようにと、いろいろと今トライをしている最中なんですけども。

【中田】 なかなか決まりませんね。でもね、就職できるまで継続する予定です。

【守谷】 何とか、われわれもサポートしていきながら、そこの道を切り開いていってもらえれば、すごくいいなと思うし、これから認知症になる、私も含めて、その辺がやはり心配なので、ぜひ一緒に道を切り開いていけたらいいなと思っております。

「市町村の圏域を越えた広域利用」

 それと、あと地域密着型デイサービスというところの、ちょっと制度的なことなんですけど、市町村の圏域を超えた広域利用っていうのが、できないというのが現状でありまして、今、隣にいる中田さん、実は八王子市の方でなく多摩市の方なんですね。で、介護保険上だと、八王子市のBLG!には通えないという、そういった決まりがありまして、そこも何とかしたいなと。どうして行きたい所に行けないんだろう、行きたい所に行ってもいいんじゃないのという、ただ、それだけだし、あと、地域のくくりというのが、行政圏ではなく生活圏に、やっぱり移行していかないといけないと思いますし、中田さんの地域って家の周りだけじゃないと思うし、もっと広い地域があると思いますので、そんなわけで、認知症になっても行きたい所に行けるという、そんな意味も込めまして、ぜひ、これも市町村の圏域を超えた広域利用ということを、BLG!はじめ、賛同していただいている福祉の事業所と一緒にやっていきたいなと思っております。

 いろいろと課題もあったりするんですけども、ひとつ楽しくね、一緒に歩んで行くことが、まずは一番大事かなと思います。そんな仲間たちと一緒に、これからも認知症とともに歩んでいこうと思っております。ちょっと話が下手だったんですけども、これで終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

守谷 卓也氏の資料スライド7:未来の明るさを感じながら、認知症と共に歩んでいこう

パネルディスカッション

【澤岡】 では、後半入らせていただきたいと思います。今ちょっと多分、中田さんを送りに守谷さん行かれたのかなと思いますが、ここからは、こちらのパネリスト同士のディスカッションということで進めさせていただこうと思います。最初にまずは、当初の予定ですと、ご報告いただいた順番にそれぞれの取り組みについて、ご質問または感想ということでいただこうと思っております。

澤岡 詩野氏の写真 第3分科会の写真

 ただ、ちょっと守谷さんが戻っていらっしゃらないので、最初にちょっと私、質問をさせていただいちゃおうかなと思います。武蔵野市の毛利さん、私、最初、以前にもこれご質問させていただいたのかなと思いますが、恐らく武蔵野市さん、かなり自主財源も豊富ということで、今は、いわゆる自主財源でこの事業、取り組みをされていらっしゃると思うんですが、やはり人に、その認知症になられた方の気持ちになって何をしたいかを引き出してという部分では、先ほども触れられていましたが、スタッフとして働かれる方が、やはり人とのコミュニケーションをする能力とか、かなり介護ができるとか、そういう能力以上のものが求められてるように思います。

 その中で、これからニーズが増えていく中で、地域のちょっとそういったコミュニケーションにたけた、そして知識がある方に、いわゆるボランティアとか、有償ボランティアという形で、このサポーター事業に取り組んでいただくということを考えてはいらっしゃるんでしょうか。

第3分科会の写真

【毛利】 この見守り支援ヘルパー、そのものについては、やはり一定の何ですかね、やはりプロのヘルパーさんに認知症の方も、いろんな要素で状況が変わっていかれますので、基本的には、そのプロのヘルパーさんたちに研修を積んでいただいて、やっていただきたいというところはあるんですけれども、ただこれから、じゃ、認知症の方自身のニーズというのは、多分、先ほどのお話からも、いろんなことが増えていくのかなというふうにも思ってますし、それこそ地域で、地域活動をしたいとか、自分もボランティアやりたいみたいな方も出てくる中では、今その認知症サポーターですね、認知症サポーターたくさん養成してるんですが、なかなかサポーターにはなったけれども、オレンジリングいっぱい持ってるんだけども、次に何やっていいか分からないみたいな方も多くてですね、そこに対してフォローアップ研修とか、ステップアップ研修などをやる中で、DVDを見て、認知症の人の気持ちで、じゃ、今度それをシェアしてみようとか、それから施設見学に行ったり、デイサービスに行って、この中で自分は、じゃ、どんなふうな関わりができるか考えてみようとか、そういったことで、だんだんそこを仕掛け始めたようなところはありますので、もしかしたら、先ほどピアノの連弾のお話ししたんですが、ヘルパーさんが最初はピアノの連弾入ってたけれども、じゃ、地域の人が、やっぱりピアノできる方がいて、そういうことだったら、自分はその方のことも理解してお手伝いできるわっていう話だったら、そういうふうに地域につなげていく関係性をつくっていくっていうところも、多分、地域ケア会議っていうのも、そういうためにあるものなんだろうなって、ちょっと国もだいぶ迷走してますけど、そういうものなんだろうなとも思いますので、そういう形では、地域の力というのを、やっぱり借りていきたいなっていうふうには思っています。

【澤岡】 どうもありがとうございます。牧さんのほうにも、ご質問させていただきたいと思います。高齢の方が、iPad使う、Facebookをやる、それに関してもかなり偏見というか、使えないだろう、危ないから止めとけって、いろんな周囲の壁があると思うんですが、認知症の方ってなってしまうと、もっともっと壁が高くなるような気がするんですが、なんかそういった認知症の方も、活用するとこんなすてきだよねっていうような、偏見を取り払うために、どんなことがあればいいのかなっていうのを、アイデアとして伺えたらと思います、難しいとは思いますが。

第3分科会の写真

【牧】 はい、やっぱりシニアが、ある年代以上のシニアが、こういう新しいiPadとか、要するにタブレットとか、いわゆるスマートフォンとか使うときに、やっぱり初めてなんですよね。昔はなかったものを使おうっていうわけですから、70過ぎてから使おうとかですね、怖いのは当然なんですよ。ただ問題はね、一般論の、ここ学校じゃないんだよと、要するにカリキュラムがあって、まずスイッチ入れて何して何して、パソコンはそれで失敗したんですよ、キーボードの使い方から教えるもんだからね。パソコン教室で習っても家へ帰ると使えないっていうの。

 そうじゃなくて、新しい機器、目的が大事なんですよね。あたし、これに困ってるから、これ知りたいんだ。要するに技術論じゃないんです、目的論なんです。だから、技術を覚えようとしないで、困ってることを、これでどうやったら使えると、要するにアイコンがあれば、ぽんと、2歳の子どもから、赤ん坊からタブレットを使ってるわけです。文字も分かんない者が使いこなしてる、ある意味じゃ使いこなしてるわけですよ。

【牧】 ですから、100歳がやっぱり使ったわけなんですよ。ですから、そういうことをいくと、やはり難しい技術論じゃなくて、生活論、生活の中にちょっと困ってることを使っていく。で、それに限って使っていけば、安心、安全なんです。だんだん使い慣れてきたら、あるいは、友達が増えてきて、友達、あんた何使ってる、それどうやったらできるの、それあたしもやってみたいね。実際、施設に入るシニアの方にiPad持って入ってもらってるんですけども、何人かでね、やはりもう入って、個室に入って、夜な夜な孫とテレビ電話で話ししてますよ、生き生きしてます。

 やっぱり、それしかやらないんです。ある男性は、YouTubeで、カラオケで軍歌しか歌わない。やっぱり、それも利用法のエントリーなんですね。そうすると、これどうなってる、あれどうなってる。まず、そういうところから入っていっていただければ、怖さが少ないんじゃないかと思ってます。

第3分科会の写真

【澤岡】 どうもありがとうございます。ここからは守谷さん、戻られたということで、この発表いただいた順番で、パネリストの方に、他の方の取り組み活動、それから全体をふかんして何か感想を、それから、もし他のご発表に対して質問があれば、ご質問いただくという形で進めていきたいと思います。守谷さん、中田さん無事にお帰りなれそうでしょうかね?

【守谷】 はい、たった今、見送ってきて、皆さんには、すいません、雪がこういう状況なので、お先に失礼させていただきますということと、あと、就職が決まりましたら、皆さんにちゃんとご報告させていただきますという、そんなメッセージを残して多摩市に帰られました。

【澤岡】 ご報告の中に、非常に謙虚な方なので、おっしゃってませんで、30社以上受けられて、今も、とにかくいろんな場にトライアルされ続けてるということですよね。

【守谷】 そうですね、多摩市の方もバックアップしてもらいながらなんですけども、いろんな所、今もチャレンジされています。

【澤岡】 先ほど、ちょっとランチ、ご飯をしながら、みんなで話をさせていただいたんですが、そのときに、やっぱり面接に行ったときに、できないことばかりを聞かれるというか、あげつらって、それを引き出して、ああ駄目だよねって、そうじゃなくて、やはり自分が今、何ができるかっていうことを引き出してほしい、一緒に考えて、じゃ、この会社で何ができるんだろうね、どんな活躍ができるんだろうねって、一緒に考えていただけるような会社の面接にもなってほしいなってことを、ちょっとおっしゃって。

【守谷】 そうですね、企業も含めてね、優しくなってくれるといいかなっていうのは、本当に思いますね。

【澤岡】 企業の採用の担当の方、もし、お近くにいらっしゃいましたら、そのようにお伝えいただけたらと思います。では、ここからは、武蔵野市の毛利さんから感想と、それから、もしご質問があれば伺い。

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【毛利】 今日は、私もお二人のお話を聞いて大変勉強させていただきました。まず、牧さんのお話の中で、あたしもシニアのSNSっていうのは、関心がある限られた方がやってるようなイメージが、やっぱりあったんですけれども、今、さっきお話しあったように、やっぱり目的が分かれば、その目的のために使えるようになるっていうことであるとか、あと、最初の作り上げていかれる中で、何よりもやっぱり大きいなと思ったのは、佐藤雅彦さんと出会われて、一緒に考えながら作っていったというか、使っている姿を見ながら、使い方も含めて、ブラッシュアップされていったんだろうなというところが、どうしてもですね、行政がやる制度のようなものというのは、頭でっかちというか、当事者の声を聞く機会ってあまりなくて、できていってしまうようなところもありまして、そういう意味では、本当に認知症施策というのが、やっぱりご本人がどうしたいのか、どんな生活を望んでいるのかっていうところを、どうやって聞いていったらいいんだろうなとか、市のサービスを作っていくときに、どういうふうにご本人の意向っていうのを、くんでいったらいいのかなみたいなところでは、すごく参考にもなり、また難しい課題もいただいたのかなっていうふうに思っているところがあります。

 それで、一緒に考えていくっていうところでは、これが佐藤さんだからできたことなのか、やっぱり、たくさんの高齢者の方が参加されている中で、おのずから、そういうニーズみたいなものっていうのが、やっていく中で出てくるのか、その辺の雰囲気というか、その辺の動きを教えていただけたらなというふうに思いました。

 それから、DAYS BLG!さんについても、これもうち、町田のほうに職員が、うちの保健師1人参加をさせていただいて、本当にですね、本当楽しかったようで、もうその日のうちに、いっぱいLINEで、こんなでしたっていう報告入ったんですけれども、やはり自己決定っていうところをすごく大事にされていて、やはりこれも行政としての反省としては、認知症施策っていうのは、どのぐらい自己決定というところを支援できているのかなっていうところが、今、すごく感じているところです。

 それで、BLG!さんも、質問になってないような質問になっちゃうんですけれども、例えば、なかなかご自分の意思を言えない方への支援というか、その辺のスタッフの関わり方とかっていうのが、何か工夫していらっしゃったりっていうところがあれば、教えていただきたいなと思いました。以上です。

【澤岡】 牧さんからお答えいただけたらと思います。

第3分科会の写真

【牧】 今のご質問ですけどもね、やっぱりこういう高齢者社会とか情報社会、今まで経験がないんですよ、未体験ゾーンなんですよ、答えがないんです。だから、答え求めにいっても、多分出てこないと思うんですよね。特に行政は、非常に申し訳ないんですけど、前例主義っていうか、すぐ実施例持ってこいだとか、やっぱり実施例ないから大変なんですよね。

 だけども、結局、例えば高齢者に、じゃ、どうやって教える、今、各地区で私は関係しているある地区なんですけども、いわゆる市民活動のカルチャースクールにいっぱいあるんです、唯一ないのが、こういうタブレットとか教える、こういう情報機器の、新しい情報機器の使い方について、ないんですよ。いろんなサークルあるんだけど、ほとんどないんですよ。で、そこに対してどういうことを、私お話ししたかっていうと、関心がないのかったらそうじゃないんですよ、何人か住民で関心のある人に集まっていただいた。その人に楽しみ方を、まず勉強していただいて、その人が核になって、各地域で周辺の人を集めて広めようと。で、行政は、その核になる人を呼んできて、その核になる人の勉強会をアレンジしてくださったんですよね。

 そこで、みんながやはり、要は共通なのは、これから区民の中で必要だよね、みんながこうあるべきだよねっていうコンセンサスができて、それで今、動き始めてます。これがすごくいい動きなんですよね。ですから、もう全ての人を呼んできて、一斉に教室作ってやって、この企画を募集したら、わずか3日で30人、いっぱいになっちゃったって。他の企画で、それだけのものが集まった事例はないっていうのが、その行政の方おっしゃってました。そのくらいやっぱりニーズはあるんだろうと、私は。ぜひ、そういう仕組み作っていただければ。

 それでシニアがシニアに教えるのが一番いいです。でも、教えるのに、例えば認知症の方は認知症に教えるのいいと思いますよ。これ認知症の人じゃなきゃ教えられない面があるんですね。例えば、タブレットの使い方にしても。やはりそういう意味で、新しい仕事が生まれると思ってます、私。で、それを一般論で健常人と比較して仕事があるか、健常人の仕事と認知症の方の仕事の質は全然僕は違うと思います。

 ですから、スペシャリストですよ、僕、認知症の方っていうのは、これから。だから、そういう意味で、スペシャリティーを生かした認知症のビジネスをやることを考えていただければ。その上、そのツールとして、インターネットでいろんな情報を集めてほしい。集めたい、それから情報交換したい、それから、そういうふうな活動についての、お互いの助け合いをやれば、今までにない世界ができるんじゃないかと思います。

【澤岡】 ありがとうございます。では、守谷さん、続いてお願いいたします。

第3分科会の写真

【守谷】 意思を伝えられない人に、どのような工夫をということなんですけども、例えば、食事の部分で、われわれお昼ご飯を決めるんですけど、最初は何が食べたいですかっていうような質問をするんですけど、それだとなかなか皆さん答えられなかったりするので、だんだんとクエスチョンをクローズしていくような感じの方法を取りますね。

 和食がいいのか、洋食がいいのか、ご飯がいいのか、麺がいいのか、そんなような感じで、だんだんとクエスチョンをクローズしていくことによって、最終的には、もうイエス、ノーという段階になるかと思うんですけど、そんな感じで意思を確認するというか、聞く方法を取ってます。そうすると、ほとんどの方は何らかの反応はあったりするので、もちろん時間はかかりますけど、それはもう当然のことなので、逆に時間をかけて、何だろう、コミュニケーション取るということも、すごく大事だとは思うので、慌てず、答えも誘導せず、そんな会話ができる、対話ができるといいのかなと思います。

【澤岡】 どうもありがとうございます。伺ったときも、朝の朝礼というか、時間に、すごく時間をかけていらっしゃるというのが、すごく最初のカルチャーショックでありました。やはり、そういった意図があって。

【守谷】 そうですね、BLG!って、外で仕事をしてることを、よくメディアでも取り上げられるんですけど、実は朝の朝礼、あとお昼ご飯食べ終わった後の午後のミーティングと、あと帰る前に1日の振り返りということをするんですけど、そこが一番BLG!のコアな部分でもあったりするので。なかなかそこがね、メディアで取り上げられないっていうのが、ちょっと残念なんですけど、すごく時間を使って、なかなか言葉の出でこないメンバーさんもいるんですけど、出るまで待つということも徹底してやっています。

【澤岡】 どうもありがとうございます。では次に牧さん、よろしくお願いいたします、感想と、もしご質問があれば、お願いいたします。牧先生。

【牧】 私ね、こういう活動をやってて、いつも言ってることは、全てはリアルの世界っていうか、現場なんですよね。やっぱり現場が一番大事なんですけども、その現場の方と話ししたときに、やっぱり言葉が、使う言葉が違うんですよね、やっぱり。ですから、思ってることは一緒なんですけども。

第3分科会の写真

【牧】 それからもう一つは、行政のほうは、どこ行っても縦割りなものですから、なんで同じ話をあっちでもこっちでもしなきゃいけないっていうのが、いいですけども、やはりそこを、いわゆる過去の延長上 の未来を語るんじゃなくて、未来の姿を共有していきたい、話しできるように、ぜひならないだろうか。

 そのために、われわれは何をしたらいいんだろうかと、逆にですね。ですから、それをやっぱり行政の目から見たときのやりにくさとか、あるいは、われわれがお助けできる、何ていうかな、われわれ持っている知識とか知恵とか経験っていうのは、本当にどうやって生かしたらいいんだろうかって。なかなかこちらから言いに行くと、まず聞いてあげるよっていう、なんですけども、何か求められるものがあったら、いつでも言っていただきたいと思います。

 それから、もう一つあれですよね、守谷さんの話、あるいは中田さんの話で、やっぱり認知症というものに対する、われわれも感じるんですけども、誤った考え方って言うんですけども、共通の言葉で、これ語るとしたら、やっぱり認知症というのはこれから、今はもう認知症というのは、年取ったら自然になるんじゃなくて、生活習慣病だっていうふうな見方になってますよね、だから、生活習慣を変えたいと思っているんです。で、これがやっぱり予防医学の最たるものになるんじゃないだろうかと。

 それで、やっぱりいわゆる認知症になって情報発信できる方、中田さん以外にも、どんどんいられたらですね、それ結束しませんか。やっぱり一人一人が動いてもパワーにならないんですね。ですから、みんながまとまって、地域の行政がたも動いていただく、国の行政がたにも動いていただく、それから企業ですよね、企業、悪いですね、金もうけばかり考えてね。で、やっぱりそういう所に働きかけるには、もう結束しかないと思うんです。ぜひ結束するには、どうしたらいいか、何かありましたら、またお願いします。

【毛利】 大変難しいご質問をいただいたなというふうに思ってるんですけれども、やはりなかなか行政というのは、新しいことをやるっていうのは苦手なところがあるのかなというふうには思っています。そして、今すごく言われるのは、エビデンスということを言われて、本当にそれが、じゃ、どういう効果を生むのかというところが、かなり明確に出ていないと、なかなか押し切れないみたいなところがあるんですけれども、ただ一方で、きょう本当に情報化というところでは、今、武蔵野の中でも、それこそ部門縦割りなんですが、私のいる福祉の分野では、支援者の情報化っていうのは、すごく進んできているんですけれども、やっぱり、じゃ、当事者の方の情報化みたいなところっていうのは、多分、視点としても落ちていたところなのかなっていうふうにも感じました。

 本当に、今日ですね、こういうネットワークがあって、それも本当に地域に限らずっていうところで言うと、こういうものがあることによって、逆にできることが見つかる方もいるんだろうなというところでは、すごく参考にさせていただけるのかなと思いますので、少なくとも、多分、市内でも講座やっていらっしゃると思いますので、そういったところは、ぜひ見学させていただきたいなというふうに思っています。ありがとうございます。

【澤岡】 まずは、牧さんがさっきおっしゃってましたけど、現場、現場を見ていただくと、リアルなところを見ていただくということからかなと思います。では次に守谷さん、ご質問へのご回答お願いいたします。

第3分科会の写真

【守谷】 牧さんから、ぜひ一緒になってっていうお話なんですけども、今、BLG!のメンバーさんは、日本認知症本人ワーキンググループっていう組織に属していまして、今年、この間、法人化になったばかりの団体なんですけど、そこに東京都で月1回、小ミーティングというのが行われてるんですけど、そこに参加さしてもらって、国の施策とか、そこにちょっと助言というか一緒に考えたりだとか、そんな活動はしています。

 で、なかなか全国にいる方たちが集まれないというのがありますので、それこそテレビ会議っていうんですかね、そういったものを使用しながら、全国の当事者も参加できる団体、会議にしていこうという、そんな流れはありますので、地道ですけど、そういった活動をしていくことも、やはり大事だと思うし、あと、いろんな家族会とか、そういった全国規模でありますので、そういった方たちも、いろんな施策とか、そういったことを一緒に考えているのが現状ですね。ただ、なかなか接点がないのが現状なんですけども、それがこれからの課題になるのかなとは思うんですけど、今は皆さんが、それぞれの地域というか、所で仲間づくりも含めて、そういった活動をしているという感じです。どうにかしないといけないですね、それもね。

【澤岡】 ありがとうございます。恐らく、今日の牧さんとの出会いというのも、もしかしたら、新たな何かの起爆剤につながるのかなって勝手に想像して、ちょっとにやにやしておりますが、最後に守谷さんから感想と、それから、もしご質問があれば、よろしくお願いいたします。

【守谷】 はい、感想はですね、もうお二方、素晴らしい活動をされてまして、また、BLG!にも刺激になったかなと思います。いろいろ毛利さんの所もね、誰のためのサービスなのかという難しい問題があるのかなと思うんですけど、あくまでも本人のためというところかなとは思うんですけども、私、その当事者の人の目線で見ると、BLG!のメンバーさんもね、逆にヘルパーとして働けるんじゃないかななんて、ちょっと思ったりして、もし武蔵野市の、ちょっと物忘れしちゃうけど元気なおじさん、おばさんがいたら、ちょっと近所のね、おじいちゃん、おばあちゃんの家の電球を交換しに行ったりだとか、そんな仕事になるか分からないんですけども、本当は仕事になるといいなと思うんですけど、そんなふうに、ちょっと思ったりして、ぜひ武蔵野市でやっていただけると、八王子にも町田にも、PRしやすいかなと思いますんで、ぜひお願いしたいなと思いました。なんか質問じゃなくて、すいません。感想だけですいません。

【牧】 牧さんの取り組みも、今、仙台の丹野さんが、「やっぱタブレット使えるといいよ」って言ってますね。で、認知症になる前に、やっぱし使えるようになっていると、本当に生活が違うっていうふうに言ってるので、何とかわれわれも、認知症になっちゃったおっちゃんばっかなんですけども、いずれちょっとトライしてみたいなというふうに思ったりするので、そのときには、ぜひ、よろしくお願いしたいなと思ったりします。ちょっと質問がなくて、感想で終わっちゃうんですけど、すいません。

【澤岡】 どうもありがとうございます。ちなみにどうでしょうね、武蔵野市のほうで、ちょっと物忘れしちゃうかたがたが、地域のシニアとか、もしかしたら子育て世代とか、いろんな所の生活支援みたいなことが、ちょっとできるんじゃないかって、なんかそういったことって、行政の立場で、あんまり簡単にはお答えできないと思うんですが、可能性としては、こう何か。

第3分科会の写真

【毛利】 そうですね、なかなか今、本当に私も理想は、そこだと思うんですね。ただ、多分、そこも地域あってのことなのかなと。地域の理解があって初めて、じゃ、自分は軽度の認知症ですっていうことも言えるのであろうし、そういう方が、そういう所に入っていくっていうのも、多分そこの前提がないと、やっぱり、じゃ、認知症の人が働くことに協力してあげるために、うちに来てもらうみたいな、そういうものになってしまってはいけないと思うので、そういう意味では本当に、地域を変えていくってすごく難しい、永遠の課題みたいなところあるんですけれども、やっぱり、そういう制度を、制度っていうか、そういうシステムを目指して、やっぱり地域に理解をしていってもらう、認知症の人でも一緒に、一緒に本当に活動できるんだっていうところを目指して行かなきゃいけないんだろうなっていうふうに思いました。

【澤岡】 もしかしたら牧さんのような取り組みをされている、他の、まだ認知症になってないシニアのかたがたが、どんどんどんどんそれをFacebookなどにあげて、こんな可能性があるんだよって、こう発信するお手伝いをするっていうことも、もしかしたら、これからのシニアの一つの役割かなと、ちょっと今、感じて伺ってたんですが。どうでしょうっていうのは、なんか変ですが。

【牧】 今までね、シニアっていうと、シニアは社会から支えられるっていう概念が強いんですよ。これからはシニアが社会を支えるっていう基本概念を共有化していかなきゃいかんと思いますよね。そのシニアの中に認知症っていうのは、ワン・オブ・ワンなんですよね。だから認知症の方に、まず自信持ってほしいのは、もう認知症だから支えられる側だよっていうんじゃなくて、認知症だからできることもあって、やっぱり先駆者なんですよ、これから100歳時代の、もっともっと増えると思うんですよ。だから、そういう意味で、要するにシニアが社会を支える、支えられるシニアから支えるシニアになろうというのが、私の訴えたいことなんですけど、先生、駄目ですか。

第3分科会の写真

【澤岡】 いやいや、もうまさにまさに、やはり自分が年を取る上でも、やっぱり100歳のときに、なんかそういった地域で何か活躍できる社会に、何か自分が発信できるって、すごく、明日も生きていきたい、明日も楽しく笑いたい、おいしくお酒も飲めるんだろうなって思って、きょうも伺っておりました。ありがとうございます。

 なんか結局、自分ごとで、すごく考えてしまうんですが、やっぱり、じゃ私、認知症になったら、どうやって生きるんだろうな、何を最後まで、これって自分の生きていく一つの糧として、つないでおきたいのかなっていろいろ想像すると、意外にちっちゃいことだったりしていて。自分は水泳好きなんですけど、水泳、やっぱり今のスポーツクラブに、ちょっと聞いてみたんですね、「認知症になって、私、来れますかね」「ああ、そういう前例はないですね」って言われて、前例はないんじゃなくて、可能性を一緒に検討していただきたいなみたいなところで、多分一つ一つ、われわれ自身が、小さなことなんですが、自分だったら何これやりたいんだろう、何を残しておきたいんだろうっていうことを考えながら、そのちっちゃい、ちっちゃい一つ一つ声を上げる、話していく、それが大きな動きにつながっていくのかなっていうことを、今日皆さんのご報告を通じて感じました。

 で、今日電車、雪の都合もありまして、なかなかじっくりと議論する場にはならなかったんですが、恐らく、今日ご参加いただいたかたがた、皆さんそれぞれが何かご自身、それからご自身の今の取り組みに照らし合わせて、今日の課題を考えていただける、そんな場になったのかなと思っております。

 皆さんに、一つお願いがございます。これ、やはりさっきおっしゃってましたが、地域で、それから仲間が増えていく、社会が変わっていかなければいけないというお話、お三方からいろいろありました。そういう意味でも、まず一つ一つ、今日皆さんが、今日この場に来ていただいて感じたこと、あっ、こんなことが重要なんだな、あっ、こんな偏見が取り除いていかなきゃいけないんだな、そう感じたことを、まずは仲間に伝えていただけたらと思います。

 身近な仲間に、皆さんお一人一人がつなげることで、多分その方が、また誰かに発信してということで、そういうことから、もしかしたら社会というのは変わっていく、変えていくのかなと思って、今日の一つのこの分科会を終了させていただきたいと思います。まだ恐らく、お三方、あと10分ぐらいは残っていただけると思いますので、もし個人的に、今日質疑応答の時間取れなかったんですが、個人的に何かご意見がある方いらっしゃいましたら、前のほうに来て、お話をいただけたらと思います。

 今日は、こんな悪天候にもかかわらず、どうもありがとうございました。まず、ご報告いただきました、お三方、どうもありがとうございました。それから、今日、このようなお天気の中で残って、こちらに参加いただきました皆さん、どうもありがとうございました。お気を付けてお帰りください。