行政施策説明「高齢社会フォーラム・イン八戸」

中里 充孝
八戸市 福祉部高齢福祉課長

八戸市の高齢化社会の現状

中里 充孝行 八戸市福祉部高齢福祉課長の写真

 ただいま紹介いただきました、八戸市福祉部高齢福祉課の中里と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、私のほうから行政施策説明ということで10分間ほどお時間をいただきまして、当市の取り組みについてご説明させていただきたいと思います。まず施策の話をする前に、現状についてお話をさせていただきたいと思います。

 こちらは、全国の人口と高齢化率の推移についてでございます。棒グラフのピンクの部分が65歳以上の高齢者人口、そして上の青色の部分が65歳未満となっております。2020年以降は、推計値でございますが、先ほど藤原先生もお話しされていましたとおり、棒グラフの高さが年々低くなっていることから、今後も年々、人口減少が進み、その一方で、高齢者数は年々増加していくことが予測されております。人口減少といいましても、現役世代は減少しますが、高齢者数は2042年まで増加していく見込みでございます。

中里 充孝行氏の資料スライド1:現状について

 また、折れ線グラフは、総人口に占める15歳から64歳までの生産年齢人口の割合を緑で、総人口に占める高齢者の割合、すなわち高齢化率をオレンジで示しております。2015年には26.3パーセントだった高齢率が、2040年には36.1パーセントとなっております。

 続きまして八戸市の現状についてですが、先ほどの全国の場合と同様に、年々現役世代が減少し、高齢者が増加していく見込みとなっております。2015年に27.5パーセントだった高齢化率が2040年には40.5パーセントとなり、市民の約4割が高齢者という状況が予測されており、大都市に比べると、高齢化率は高い状況にあります。

中里 充孝行氏の資料スライド2:現状について

 続きまして、当市の要介護・要支援の認定者数・認定率ですが、棒グラフの緑の部分が、要支援1から要介護5までの認定を受けている高齢者、ピンクの部分が認定を受けていない高齢者となっており、折れ線グラフは高齢者全体に占める認定者の割合、すなわち認定率を示しております。認定率は2017年度までは減少傾向にありましたが、今後は年々上昇することが予測されております。ただそれでも認定率は10パーセント台ということで、高齢者の約8割は自立の高齢者と言えると思います。

中里 充孝行氏の資料スライド3:現状について

 続きまして、こちらの表は、65歳以上の高齢者である第1号被保険者の要介護度別の認定率を他の自治体と比較したものでございます。今年3月時点での比較ですが、全国や青森県の他、東北地方の中核地と比べても、八戸市の認定率は低いことが分かります。さらに要支援と要介護1のいわゆる軽度者の割合が低くなっている状況にあります。

中里 充孝行氏の資料スライド4:現状について

 続きまして、こちらは高齢者数の推移を折れ線グラフで表わしたものですが、2025年には、約800万人いると言われている団塊の世代全てが75歳以上の後期高齢者になり、さらにその後も高齢者数は増加を続け、2042年に高齢者人口がピークを迎えると予測されております。

中里 充孝行氏の資料スライド5:今後の見通しと課題について

 こちらは今後の課題を図で表わしたものですが、生産年齢人口の減少に伴う経済成長力の低下と、高齢者人口の増加に伴う社会保障負担費の増大、一人暮らし高齢者および認知高齢者の増加、介護を要する高齢者の増加、介護人材の不足などが挙げられます。これにより病院や施設が不足し、在宅での介護が必要となることが予測されますが、これらの課題を解決する手段として、地域包括ケアシステムを構築することが重要となってまいります。

中里 充孝行氏の資料スライド6:今後の見通しと課題について

 こちらが地域包括ケアシステムの構築、見慣れた図でございますけれども、団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制のことを言います。

中里 充孝行氏の資料スライド7:地域包括ケアシステムのこうちくについて

地域包括ケアシステム推進の取り組み

中里 充孝行氏の資料スライド8:八戸市の取組について

 次に、地域包括ケアシステムを推進するために当市で行っている取り組みについてご説明いたします。まずは、今年4月に市内12の日常生活圏域全てに地域包括支援センターを設置し、主任ケアマネージャー・社会福祉士・保健師の3職種の連携により、高齢者に関する相談や、高齢者虐待への対応、また要支援の方への介護予防ケアマネジメント等を行っております。当市では、この地域包括支援センターの名称を、高齢者支援センターとし、圏域内の高齢者を総合的に支援しております。

認知症施策の推進

中里 充孝行氏の資料スライド9:八戸市の取組について

 次に、認知症施策の推進についてですが、高齢者の増加に伴い、認知症の方も増え続けるものと見込まれております。そのため、地域全体で認知症を支える体制の構築が急務となっており、市民全体に認知症について正しく認識していただくことを目的に、認知症についての情報を掲載しました八戸市認知症ケアパスを、今月、市内全世帯に全戸配布することとしております。早ければ来週には皆さんのご家庭に届くこととなっておりますので、ご覧いただきたいと思います。また、認知症の人やその家族を温かく見守る応援者として、認知症サポーターを養成する講座を開催しており、県内で最多の1万6000人以上のサポーターを養成しております。このように、一般の方も認知症を支える一員として活躍していただくことを目指しております。

 その他にも認知症の初期の支援を行う認知症初期集中支援チームの設置や、認知症の相談支援を行う認知症地域支援推進員の配置、徘徊高齢者のためのあんしんカード事業を実施しております。また毎年、認知症について正しい知識の普及啓発のため、関係者や一般の方を対象とした認知症フォーラムを開催しております。

在宅医療・介護連携推進事業

中里 充孝行氏の資料スライド10:八戸市の取組について

 続きまして、在宅医療・介護連携推進事業は、医療と介護の両方を必要とする高齢者に対し、医療と介護のそれぞれの関係機関が連携し、在宅医療と介護サービスを一体的に提供できる体制の構築を図るものでございます。こちらにつきましては、国から示されたご覧の八つの事業がありますが、当市においてもこれら全てにおいて取り組んでいるところでございます。

生活支援サービスの体制整備

中里 充孝行氏の資料スライド11:八戸市の取組について

 次に、生活支援サービスの体制整備についてですが、NPOやボランティア、事業者等の生活支援サービスを担う多様な主体と連携しながら、高齢者の日常生活上の支援体制の充実強化を図っております。

地域ケア会議

中里 充孝行氏の資料スライド12:八戸市の取組について

 続きまして、地域ケア会議でございますが、こちらは高齢者の個別問題について、医療・介護の専門職や、地域住民といった関係者が検討を重ね、解決を図るとともに、関係者間のネットワークの構築や、地域課題の抽出、政策形成等を図ることを目的とした会議で、地域包括ケアシステムの構築に向けた手法の一つとなっております。

介護予防・日常生活支援総合事業

中里 充孝行氏の資料スライド13:八戸市の取組について

 続きまして、介護予防・日常生活支援総合事業は、介護事業所による既存のサービスに加え、NPOや民間企業、ボランティアなど、地域の多様な主体が高齢者を支援することが可能で、訪問看護や通所介護などの予防サービスを行っております。

その他の高齢者福祉サービス

中里 充孝行氏の資料スライド14:八戸市の取組について

 その他の高齢者福祉サービスといたしましては、高齢者の安心・安全な在宅生活を支援する緊急通報装置の対応や、健康づくり、生きがいづくりを目的とした高齢者バス特別乗車証の交付、また、高齢者の仲間づくりや健康づくり、趣味活動を応援する老人いこいの家、老人福祉センターの設置運営を行っております。また、紙おむつなどの介護用品の支給といった、高齢者を介護されている家族を支援するサービスも行っております。

今後の高齢者支援のあり方

中里 充孝行氏の資料スライド15:今後の高齢者支援のあり方について

 最後に付け足しではありますけれども、今後の高齢者支援のあり方につきまして、次のパネルディスカッションにつながると思いますので、少しお話しさせていただきたいと思います。皆さまのお手元の資料にはございませんので、こちらのスライドでご覧いただきたいと思います。

 まず、現状と課題についてですけれども、少子高齢化の急速な進展により、高齢者が年々増加しますが、その中でも核家族化の進展により、一人暮らし高齢者が増加しております。また地域のつながりの希薄化により、閉じこもりや孤立化している高齢者も増加しているような状況であり、このような高齢者をそのままにしておくと、心身機能が低下し、要介護状態になることが懸念されるところであります。

 そのため、今後の高齢者支援のあり方につきましては、行政サービスを充実させるだけではなく、地域や社会全体で高齢者が家に閉じこもらないように、また地域や社会から孤立しないように、生きがいを持てるように支援していくことが必要で、孤立させないための居場所づくり、仲間づくり、地域参加、地域貢献するための役割づくりの創出に取り組んでいかなければならないと思われております。

 そして目指す高齢者の姿としては、高齢者が人との交流の場・集える場があり、自分の役割・居場所があり、日常的に話し合える仲間がいる、地域貢献、社会貢献できるような環境にあり、趣味や楽しみなどの生きがいを持っている。今後はこれらのことを目指して、行政だけではなく市全体で取り組んでいきたいと考えております。以上で行政施策説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

中里 充孝行氏の資料スライド1:今日の内容