第2分科会「高齢社会フォーラム・イン東京」

「海外からみた日本の高齢社会」

コーディネーター
松田 智生
(株式会社三菱総合研究所 プラチナ社会センター 主席研究員)
パネリスト
メリッサ猪岡
(オーストラリア)
デウィプトリ・トレスナニングルム
(インドネシア)

〈要旨〉
 第2分科会では、冒頭にコーディネーターの松田さまより「輝く高齢社会、コミュニティーづくりをする」、「生きがいを持って暮らす高齢社会を目指す」そのためにはどのようにしたらよいかと問題提起され、「海外からみた日本の高齢社会」というテーマで、オーストラリア、インドネシアのパネリストの方とともに、あるべき高齢社会の方向性、これを世界が連携して考えるという狙いのもと発表が行われた。最初にオーストラリアクイーンズランド州政府駐日事務所商務官のメリッサさまからは、高齢化率が約16パーセントという現状で、クイーンズランド州が進んでいる点として、充実した公的医療と、さらに住宅購入からなる資産形成。さらにシニアの社会参加を促すシニア大学について発表された。次に、インドネシア出身のデウィプトリ・トレスナニングルムさまから高齢化率がまだ5パーセントという若い国ではあるが、国の全体的な考え方として、高齢者は家族皆で支えあっているという現状と、家族のおじいさん、おばあさんは、良きアドバイザーであると発表された。
最後にコーディネーターから「高齢者は社会のコストではなく資産、担い手である」、「高齢社会は高齢者だけがハッピーな社会ではなく、多世代が輝く成熟した社会ではないだろうか」、「産学官で施策を続けること、深めること、広めることが大切である」という意見とともに、「やる気はあるが恥ずかしいなどを理由に一歩踏み出せない潜在アクティブ層の増加が日本の大きな課題」という意見も出され、共通の課題は社会参加で、社会のつながりを持たせるために官民で頑張ることが必要との意見も出された。

松田 智生 株式会社三菱総合研究所 プラチナ社会センター 主席研究員の写真

【松田】 三菱総合研究所の松田です。きょう、第2分科会を担当させていただきます。よろしくお願いします。最初に、私のほうから問題提起を10分から15分でさせていただいた後に、きょう、お二人の方、オーストラリア、それからインドネシアから、すてきなパネリストをお迎えしていますので、それぞれオーストラリアですとかインドネシアの高齢化の状況、あるいは日本とのできる連携の可能性についてお話ししたいというのが、後半、そしてそれをパネルディスカッションしたいということでございます。お手元の資料、併せて見ていただければと思いますけれども、まず私の自己紹介ですが、高齢社会や地域活性化の研究をしている者でございまして高齢社会フォーラムは約5年にわたってお手伝いさせていただいております。 きょうのキーワードということですけども、これに書いてあります。きょうは輝く高齢社会、コミュニティーづくりをするんだという視点でございます。コミュニティーというと、きょう、ここに集った皆さんもコミュニティーの一つでございます。きょう、ここで隣になった人も、なんかの縁があるんで、お願いしたいのは、最初にお隣同士の方で握手をしていただきたいと。こちらとこちらで握手していただいて。いただけましたか? そうすると笑顔になりますね。こういう笑顔あふれる高齢社会をつくりたい と。さらにもう一つお願いあるのは、ハイタッチをしていただきたいと、立って、いえーいと。前後で恥ずかしがらずに。気付いたこと は握手よりもハイタッチのほうが笑顔になるということですよ。そういう高齢社会をつくりたいということです。そして、高齢社会のポイン トは生きがいということですね。生きがいを持って過ごすということが大切なことだということです。皆さんの生きがい、何ですか。プラ イベートでも仕事でも、あるじゃないですか。 何が生きがいでしょうか。

【参加者】 僕は元気にテニスをしていることが生きがいですかね。

【松田】 やはり健康で過ごしたい。

 この生きがいを持って暮らす高齢社会を目指しましょうということです。生きがいというと、きょう、ここで話す私の生きがいも大事なんですね。それから、パネリストの生きがいも大事なわけです。一番、講演者とかパネリストで生きがいを感じられないときっていうのはみんながしらあっと聞いているときね。これは結構、がっかりするわけですよ。なんか目つぶって大あくびしている人を見ると、結構傷つくものなんですよ。それから、講演中にスマホとかいじっている人を見ると、なんかむかついた気分になってくるわけですよ。だから、私やきょうのパネリストの方のためにもお願いあるのは、きょう話す中で、そうだなと思ったときは大きくうなずいてください。そうすると、生きがいが生まれると。本当にそうだなあと思ったら、2回大きくうなずいてくださいね。

 27パーセント、これなんの数字でしょう? きょうのテーマ。何でしょう、27パーセント? 先日、講演で話して聞いたら、体脂肪率ですって答えた人がいましたけども、これは日本の高齢化率ですね。65歳以上の人が人口に占める割合。これは、日本は世界で一番ですよ。オーストラリアが大体15パーセントぐらい。きょう、お話しいただくインドネシアは5パーセントですね、若い国。その27パーセントの世界で一番高齢化をしている国っていうのは、一体これからどうあるべきか。去年、イタリアに出張して、一昨年、ドイツに出張して、面白いことに日独伊、これは高齢化のトップスリーに入ってくるんですね。みんな日本のことを見ているんですよ。一体、日本はこれからどうなるか。今、世界は日本の高齢化に注目しているということです。

 60歳、これはなんの年かっていうと、定年が60から65に雇用延長されようとしてますけれども、実はある年の日本の平均寿命だったんですね。1950年、日本の平均寿命は60歳であった。それが今や80を超える世の中になったっていうのは、いいことだと私は思うんです。高齢社会は前向きに捉えましょうということです。10万時間というのはなんの時間かというと、これはリタイアした後にある自由時間。1日14時間、食事や睡眠を抜かして14時間掛ける365日を20年やると10万になると、それは9時5時で働いてきた人の労働時間に匹敵すると。この10万時間を元気で過ごすか、家でうつうつとしょぼしょぼ暮らすのだと、10万時間の価値は全く違ってくるということです。老後の10万時間を元気に過ごしましょうということです。

今日の論点

 これは、さっき申し上げた日本の高齢化率ですね。実は去年、全く同じテーマでここでパネルをやりまして、去年は日本とドイツとアメリカと中国。ドイツは高齢化率21パーセント、アメリカは15パーセント、中国は10パーセント。きょうはオーストラリア、約16パーセントインドネシア、5パーセントの高齢化の国のお話を伺いましょうということです。これは、数年前のEconomistに載った写真ですけどもこれは日本の高齢社会のイメージなんですよね。こういうふうに受け取られていると。Japan's burdenというのは、日本の重荷。子どもが日の丸を背負ってつぶれそう。これは何かっていうと、高齢者だといっている。日本の子どもたちは高齢者の重みでつぶれちゃいそうだと、高齢者が若年層の重荷になってるいというイメージの写真です。しかしですよ、こんなふうに思われていいんでしょうかと、悔しいじゃありませんかと。私は、高齢者っていうのは社会のコストじゃなくて、社会の資産だと思うんです。つまり、これから日本は課題の先進国から課題の解決先進国になるべきだというふうに思うんです。そう考えると、こういう元気の出ないものよりも、もっと前向きなことが必要。

前向きな共通理念

 今、日本は元気の出ない四字熟語ばっかりですよ。人口減少とか、老人漂流とか、介護難民とか、熟年離婚とか。これを言ったところで、何も解決しないわけですよ。もう課題は分かったと、これからは課題を解決すること。そして、何よりも前向きな共通理念が必要ということです。それを、プラチナ社会と呼ぼうじゃありませんかということです。シルバー社会っていいますよね。シルバーシートのイメージがある。しかもさびる。いぶし銀という言葉もあるかもしれませんけども、プラチナは一方でさびない、輝きを失わない上質な社会であると。ゆえに、これから目指すべきはシルバー社会じゃなくプラチナ社会。日本は、一番世界で高齢者が輝いている。そして、高齢者だけじゃなくて多世代が輝く国だというふうにしていこうじゃありませんかというのがプラチナ社会構想です。

 そして、きょうの分科会の進め方ですけれども、海外から見た日本の高齢社会ということで、オーストラリア、インドネシアのパネリストの方から、あるべき高齢社会の方向性、これを世界が連携して考えましょうというのが、このパネルの狙いです。最初に、オーストラリアのメリッサ猪岡さん。それから次に、インドネシアのデウィプトリさん。休憩を挟んでパネルディスカッションということにしたいと思っております。ご紹介しますと、メリッサ猪岡さんは今、クイーンズランド州政府の駐日事務所で商務官として働いているということです。ヘルスケアセクターはじめ、さまざまな分野で日本企業とのマッチング、あるいは海外進出の支援、直接投資の誘致を担当されてます。クイーンズランド州で生まれ育ちということですね。それから、デウィプトリ・トレスナニングルムさん。インドネシアから来られていて、ジャカルタの日本企業で勤務後、大阪大学で大学院を出られて今、三菱総研で町づくりですとか観光振興の研究の仕事されてるということでございます。

 きょうは、パネリストの皆さまから自分の活動の紹介、それから自分の国の高齢社会、それから日本の高齢社会のよい点や課題ということをお話しいただきたいと思います。それで、皆さんにお願いがあるのは、こういうのを聞くときに僕が思うのは、グッドとニューだと思うんですね。グッドっていうのは聞いてよかったこと、ニューっていうのは目新しかったこと。このグッド・アンド・ニューをメモっていただきたいと、一言、これはよかったと。それからクエスチョン、聞いてみたいこと。グッドとニューとクエスチョンを、ぜひ聞きながらメモっていただきたいということでございます。いいですか。グッド、よかったこと、ニューは目新しいこと、クエスチョンは質問ということです。では、それぞれお話しをいただきたいと思います。最初にメリッサ猪岡さん、よろしくお願いします。では皆さん、拍手でお願いします。

パネリスト メリッサ猪岡氏のお話

メリッサ 猪岡(オーストラリア)

【メリッサ猪岡】 ご紹介いただきました、オーストラリア、クイーンズランド州政府駐日事務所の猪岡メリッサと申します。本日、よろしくお願いいたします。きょう、短いお時間なんで すけれども、その時間をとおして充実した高齢社会を目指している、オーストラリア、クイーンズランド州は実際どういう取り組みを行っているか。それを、私、専門 家ではないんですけれども、長年、日本に住んだ経験から、日本とオーストラリアを比較した話をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。私の話は大きくこの三つに分けるんですけれども、まずオーストラリアのクイーンズランド州、はどういう所かを、ちょっとご紹介させていただいてから、クイーンズランド州と日本を比較しながら共通課題はどこにあるかという話をしてから、最後にちょっと楽しい話としては、皆さん、ぜひクイーンズランドの生活を体験してみたい、体験できるように話を共有できればと思います。

 私自身の自己紹介的なお話になるんですけれども、ご紹介にもありましたとおりオーストラリア、クイーンズランド州の駐日事務所でして、われわれの仕事がクイーンズランド州からの輸出を支援するとともに、投資を誘致するというのが大きな役目です。日本以外11カ国に15カ所の事務所がございます。私自身なんですけれども、16歳のときから、まずは福岡、その後に大阪、現在、東京、いろいろな所に勉強しながら、また生活しながら、日本には長年暮らしております。名前のとおり猪岡なので、主人が日本人っていうことでございまして、現在は子ども3人と一緒に日本に暮らしております。私が16歳のときから日本とうこうやって、もちろん東京みたいな都会でありながら、大阪のほうにいながら、ちょっとディープな大阪のほうだったんですけれども。ディープな所で、いろいろな日本と、昔の日本と今の日本のいろいろを見ることができまして、その経験をちょっとオーストラリ アに持って帰って、さらに日本の良さを気付くことが多かったかなと思います。

 クイーンズランド州っていえば、よく皆さんが想像するのは、世界的に有名なゴールドコーストだったりとかケアンズだったりとか、世界遺産のグレートバリアリーフです。そういう所、皆さん、よくご存じかと思うんですけれども、ただ一番下の、右下の写真なんですけれども、これは皆さんがいつも召し上がっているかと思うんですけど、オージービーフです。クイーンズランド州の田舎のほう行けばオー ジービーフが育つ巨大なアウトバックもございます。実は、クイーンズランド州の緑に接してる部分なんですけれども、日本の面積の5倍ある州でございまして、なのに人口がたったの500万人なんです。たったの500万人っていうのは、これは昨年の8月にやっとのやっとで500万人になったばかりなんです。ですので結構、人口が少ない割には、土地はとんでもなくありますというのが特徴的なところなんです。

クィーンズランド州といえば

 もう一つの特徴なんですけれども、気候です。広いので、上から下までは結構さまざまな気候なんですけれども、熱帯・亜熱帯の地域でございまして、大体、年300日以上、晴れている日が多く て、1日大体8時間、太陽が出ておりますので、いわゆるサンシャイン・ステートっていうところもございます。このサンシャイン・ス テート、クイーンズランド州っていうのは、これは豪州ともいえるかと思うんですけれども、多文化主義っていうところでございまして、現在、クイーンズランドに住んでいる住民の中で、5人に1人が海外に生まれた人でございます。

 ですので、クイーンズランドで住んでいると、実際海外から来られている方、220カ国から皆さん来られてまして、かなり多くの言語でしゃべっておりますので、海外から実際、暮らしやすいと、移住し やすいという所でございます。下の映像なんですけれども、私みたいに小学校から日本語を学ぶ子が本当に今、多くて、ただ、この学校が2014から開校した学校なんですけれども、英語だけじゃな くて日本語のバイリンガル小学校なんです。これは州公立の学校なんですけれども、地元の普通の親が、オーストラリア人同士なんですけれども、普通に1日の半分が英語で勉強する、残り半分は 日本語で勉強する。日本語で勉強することは、例えばそろばんを使ったりとか、日本の数学をやったりとか。あらゆる教育のやり方をやっているんです。

クィーンズランド州概要

 なぜこのクイーンズランド州で試しているかというのは、クイーンズ ランド州の住民が日本が大好きな方がかなり多いからですね。特にこの時期、多分、野沢温泉だったりとか、北海道のニセコ、白馬に行けば、オーストラリア人ばっかりだと思います。皆さん、日本が 大好きなので、自分が日本語できなくても、子どもにはこういうチャンスを与えたいって考えてる方が非常に多いかと思います。オー ジービーフ以外にもクイーンズランド州と日本の50年以上の関わりがございまして、主な産業なんですけれども、歴史的に、天然 資源、石炭と天然ガスが豊富な州でございますので、日本の商社だったりとか、歴史的には関わりがあるんです。

 日本のブランドが皆さん、本当に好きで、高く評価されるわけなんです。だから、地元よりも日本の物を、高く売ることができるんです。 皆さん、日本が大好き、日本の物は高品質っていうのはイメージがついているので、日本の方、日本のブランドは非常になじみやすいのではないかと思います。人口なんですけれども、先ほど松田先生のお話しにもあったんですけれども、日本と規模は違いますが クイーンズランド州でも団塊世代が、今後やっぱ増えているというところでございます。これから1年、これから60歳以上のかたがたが、 人口の15パーセントに増加するという見込みでございます。人口なんですけれども、現在はやっとのやっとで500万人目、生まれたと いう話をしましたが、これから20年ぐらいかけて、やっと800万人ぐらいに増える見込みなんです。クイーンズランド州の人口の内訳は ほとんど50パーセントが海外および違う州から、他の州から移住されている方が多いです。ですので、クイーンズランドおよび豪州に住むと、本当に親しみやすいっていう環境にあるのではないかなと思います。

多文化主義

○高齢社会に向けた3つの課題

 これから本題に入るんですけれども、高齢社会の実現に向けてどういう課題があるかと、私なりにいろいろまとめさせていただいたんですけれども、1番として、退職されてから自分の生活環境をどうしたらいいかっていう課題なんです。次が、地域社会とつながり。 3番目は、健康維持のための生活環境。これは共通した課題ではあるんじゃないかなと思います。ここは、私が考えた日本と共通点なんですけれども、みなさんもやはり政府に頼らずに自分の生活を維持するためにはどうしたらいいかって多分、悩む方が多いんじゃないかなと思うんです。これは、クイーンズランドと日本、全く同じ悩み、皆さん持ってるんじゃないかなと思います。あと、地域社会に貢献しながら、実際、先生の話にあったように、10万時間ですか、をどういうふうに過ごすかっていうのは、やっぱり大きな不安っていいながら、あるんですね。これ、共通課題なんですけれども、日本とオーストラリア、クイーンズランド、前提がちょっと違ってくるので説明させていただきます。

○国民年金と給料の9.5パーセントを貯金する義務

 オーストラリアのほうでは、定年退職の年齢が法律で定められてはいないんですけれども、実際、国民年金が送られるのは、現在は65.5歳になります。これから、これは67歳。現在の国会のほうでは、2035年には70歳に引き上げるという法案も、今ちょうど議論されてるところでございます。なので、国民保険が実際このぐらい、2週間置きに6万ちょっとですね。最低限は6万ちょっと、政府から頂くというのがあります。これ以外にも、豪州の貯金という制度があるんですけれども、皆さまが実際、仕事されてる時に、会社側が全てのスタッフの給料の、いま現在は給料の9.5パーセントを貯金する義務がございます。この貯金を50歳超えてから、実際使うことができるんですけれども、これはなんで重要かというと、自分で貯金せずに、働きながら自動的に自分の老後のお金が貯金され、ちゃんと利子も付くということなので、実際、国民年金じゃなくて、自分の退職年金基金っていうのはちゃんと保障されるという制度もございます。 日本もいろいろ、今、変わっていっているかと思うんですけれども、基本的には、どの世代でも共働きが非常に多い。やっぱり生活基準が高いというのは生活物価も高いということなので、共働きしないとなかなか生活が苦しいっていうところでございます。日本と大きく違うかなと思うのが、持ち家が重要な資産になるということなんです。大体、うちの親もそうなんですけれども、自分が長年住んだ家をじゃあ、ちょっと違う環境で住みたいとなったときには、自分の家を売れば、それはちゃんといいお金をもらえるっていうことなんです。そういうちゃんとした市場がありまして、大体、利益は出るっていう前提なんです。

○日本は定年退職してからの働き方や生活に対する不安が多いのでは?

 ここからはクイーンズランド州の視点から見る日本の課題っていうことなんですけれども、私の個人的な意見でもあるんですけれどもやはり私から見る日本のかたがたが、もう長年、国とか社会には一生懸命働いてきて、一生懸命国には貢献したと、私が本当に思って尊敬しているんですけれども、やはり定年退職してからの今後の働き方や生活に対する不安が多いんじゃないかなと思うんです。そして非常にアクティブであることは、これは世界的に有名であるかなと思うんです。日本の高齢者ってみんなアクティブなことは、いろんなニュースに挙げられているかと思うんですけれども、そういいながら、実際、社会に活用する場が少ないんじゃないか。また、社会に評価されてないかって、私の個人的な印象であります。これは、高齢者の暮らし方の選択肢が少ないんじゃないかと、私、個人的に思うんですね。私は専門家ではないんですけれども、間違っていたら大目に見てほしいんですけれども、やはり在宅ケアか、あるいは老人ホーム、どっちか、2選択肢しかないっていうふうに見られるので、自分の生活には選択肢は少ないんじゃないかなっていうのは思います。

 これから、クイーンズランドに比較する話に入るんですけれども。実際、高齢者は社会にどういう役割を果たすべきかというのは、疑問にあるんですけれども、クイーンズランド州の場合は、歴史的に日本ほど近所の付き合いがないっていう環境ですので、多分、日本という社会のように、地域とのつながりを持つことが難しいんじゃないかなと、個人的に思います。日本の場合は、本当に近所付き合いだったりとか、いろいろな活動をやってるので、多分、皆さん、つながりしやすいかと思うんですけれども、豪州の場合、特にリタイアしてから、シニアの方が自分の周りは友達がいない、新しい友達はつくれない。皆さん、私もそうなんですけれども、大人になってから、なかなか新しい友達をつくれないっていうのはあるかと思います。豪州のほうでは、こういった下の写真なんですけれども、実際、こういう場所に皆さんが来て、この道具とか全部そろえて、地域の病院とか学校のほうに、物を作ったりとか、こういう実際の交流の場をつくっているのが州政府の一つの仕事なんです。やはり地域社会に貢献しているっていうのは、もちろんボランティア活動っていうのもいろいろあるんです。こういう国際的なイベントだったりとか、学校でボランティアをしたりとか、地域の訪問だったりとかです。また、教育の現場に戻って新たなスキルを習得するっていう傾向が最近見えております。そこに書いてるUniversity of the Third Ageですけれども、これ実際、シニアの方の専門の大学になっております。これは皆さん、再就職するためのスキルを取得する、あるいは自分の趣味のための勉強をする、多目的の勉強の場でございます。こういう勉強をしたいと思った方は、政府が全面的にサポートしてるという環境です。政府が一つ大きく取り上げているのは、このSeniors WeekとGrandparents Day、実際その地域のつながりをどういうふうにつくるかっていうのは、これはやはり相互理解を図ることが重要でないかとは思います。このSeniors Weekをとおして、実際シニアの方はどういう方なのか。こういう方って皆さん、意見を持っているかもしれないんですけれども、政府としては、実際、このシニアの方は一つではなくて、皆さんはこれまでに社会に貢献してますし、実績もありますし、経験もありますので、もっとつながりましょうということを行っています。

○ニーズに合わせてさまざまな選択肢がある

高齢者の暮らし

 暮らしについてですけれども、クイーンズランドのほうではニーズに合わせてさまざまな選択肢があるという所でございます。現在、老人ホームではないRetirement Villages、この写真も二つの実例ですが、右の上のほう、一軒家もそうなんです。また、アパートもそうなんですけれども、自分たちのニーズに合わせて住める場所なんです。なんで、ここに住むかっていうのは、同じ年齢層のかたがたが、集まってるので、自分のニーズに合わせて健康維持もできますし、社会とのつながりもでき、生活の面もサポートいただける。 私の親もそうなんですけれども、もううちの親は70半ばなんです。 この間、彼らは自分の長年住んだ家を売り払って、海の近い所に引っ越したんです。彼らは、まだ自分たちはRetirement Villagesに、老人ホームもそうなんですけど、まだ入るのは早い、まだわれわれは元気でいけるかっていう感じなので、今、家は持っているんです。ただ、そうなったときには、段階としてはRetirement Villages入ってから、そして、本当に、Retirement Villagesのニーズで対応できないときは、もう老人ホームに入ると、考えている感じなんです。Retirement Villagesは、どういう生活をしているかというと、やはり元気な生活しているわけなんです。自分の趣味、もちろん満喫できる場所もありますし、友達と遊んだりとか、物を作ったりとか、地域社会といろいろつながりを持つ場所でもあります。もちろん、自分の趣味でこうやって皆さん集まったりとか、中でも、こういうレストランとかバーもありますので、外に行かなくても、随分、生活はできる。ただ、生活するためには、向こうも車社会ですので、外に行きたいときはバスもありますし、車もありますし、皆さん自由に楽しく生活できるような場所となっております。 また最近はこういう場所でも皆さん、新しいスキルを勉強するためには、市販のロボットも導入されています。

○医療機関も充実

 健康維持のための環境なんですけれども、クイーンズランド州は結構広い所でもありますので、病院の環境はかなり充実しているというふうに思います。また、国民保険がありますので、実際行くと病院が無料であったりとか、救急車も無料のものがあるんですね。だから、住んでいるうちは健康を維持しやすい。また、政府から健康維持できるためのサポートも受けられるというところなんです。ここ、救急車と書いているんですけれども、オーストラリアの場合、救急車はタクシー以上の非常に高い移動手段でございまして、クイーンズランド州の場合は無料なんですけれども、他の州では、自分の家から病院に移動するには、全部計る形で、最高金額が51万ぐらいかかるときもあります。なので、救急車が無料というのは結構大きなアピールポイントになるんです。

 最後に、皆さんぜひ向こうで生活することを検討していただければと思うんです。皆さん、いや日本にいながら無理ではと、思う方が多いんですけれども、実は永住権がなくても家を買うことが可能です。いろいろ条件はあるんですけれども、実際、日本からでも家を買うことができる。多分、皆さん、毎年のお正月に芸能人が海外に飛んでいくのを見てると思うんですけれども、ゴールドコーストに別荘を持ってるっていうのは、昔からあります。結構、海外のかたがたも住宅を買ってるわけなんです。やはり他の州に比べてクイーンズランド州の首都でありますブリスベンは、他の州に比べて、まだ手頃な住宅価格にはなっているっていうふうに思います。これは、さっきも住宅が非常に重要な資産であるということなんですけれども、毎年3パーセント上がっており、上がっていながらも、他の州と比べると、他の州は十何パーセント上がって、なかなか手が届かないってとこなんですけれども、クイーンズランド州ですと、こんな素晴らしい家でも、まだまだ手が届くような価格になっているっていうところでございます。

 今ちょうど為替レートが、少し日本から行きやすくなっているという状況でございます。うちの主人のお母さまもよく使われるんですけれども、観光ビザが最長3カ月までは滞在が可能となっております。オンラインで即発行されて、20ドルだけで取得が可能なんです。
私が向こうに住んでる頃には、うちの主人のお母さんがこの観光ビザで2カ月ぐらい、日本の1番寒いときには、彼女が寒い所あまり好きじゃなかったので、寒いときには季節が逆なのでクイーンズランドに来て、自分が1番好きな季節を長く暮らすことができたわけなんです。こういう長期滞在等、ご検討される方なんですけれども、クイーンズランド州には移民が非常に多いっていう話なんですけれども、実際、クイーンズランド州政府の中で移住を支援する特別の課があるわけなんです。何をしているかっていうと、観光もそうなんですけれども、こういう投資を誘致するためのビザ、いろいろございまして、いろんな条件があるんですけれども、例えば投資ビザですと一定金額以上投資すれば永住権を取得できるっていうビザもございます。ホームページあります。ご清聴ありがとうございました。

【松田】 メリッサさん、ありがとうございました。どうです、皆さん、聞かれて、グッド、よかったこと。ニュー、目新しかったこと。クエスチョンって出てきたと思うんですけど。お手元にもう一回書いてみてください。書いた人もそのまま見てください。きょう聞いて、グッドだったこと、目新しかったこと、そして聞いてみたいことを1分ぐらいで書いてみてください。質問ですか。

【参加者】 話の中に、学校のほうでそろばんをやっているということなんですが。

【メリッサ猪岡】 そうなんです。通常の学校ではもちろんやってないんです。このバイリンガル学校です。この日本語と英語の両言葉で勉強しているかというのは、そこだけはやってます。本当にご指摘のとおりに、日本でもそろばんをやってないのに、なんでやっているのかというのはあるかと思うんですけれども、豪州の歴史の中では、そろばんを勉強する習慣はなかったんです。だから、学生の中には言葉の面だけじゃなくて、文化的なことだったりとか、確かに今やってなくても、違う視点からものを見る力を付けようとしているかと思うんです。 だから、そろばんが全てではなく、もちろんそれ以外にも普通のiPadを使ったりとか、パソコン使っていろいろ勉強しているんですけれども、それプラスそろばんです。だから、違う物を使って考える力を付けようとしているかと思います。

【参加者】 体験型学習っていうことでしょうか。

【メリッサ猪岡】 体験型じゃないです。通常に使っているんですけれども、実際それをとおして、子どもたちは違う勉強方法を取得するっていう形なんです。

【参加者】 オーストラリアの年金とその金額について教えていただきたい。 またその金額は夫婦なのか、1人なのか。

【メリッサ猪岡】 ご質問、ありがとうございました。先ほど説明した金額、これは1人当たりの金額です。これは本当、仰るとおりに、共働きですともちろん計算の仕方は変わってきますので、そこは最低金額なんです。ですので、例えば、貯金いっぱい持っているかたがたは、このぐらい持ってるんですけれども、少し政府の補助を、政府の支援が必要な方はもう少しもらうっていう制度にはなっております。 大体、国民年金だけでは苦しいということはあるんです。なので、政府としては政府の年金だけじゃなくて、自分で働いているうちは強制的に貯金されるっていう制度ができたわけなんです。その制度ができたのは、たったの20年ぐらい前なんですけれども、現在は自分の給料の9.5パーセントを、ずうっと50年ぐらい貯金されるんですけれども、それプラス国民年金ですと、生活できるっていうところなっております。

【松田】 ありがとうございました。では、まだ後半もありますので、質問タイムは改めてということで。改めまして、メリッサ猪岡さんに大きな拍手をお願いします。ありがとうございました。では、続きましてインドネシアからデウィプトリ・トレスナニングルムさまから、インドネシアについてのお話をお願いいたします。皆さん、拍手でお願いいたします。

パネリスト トレスナニングルム・デウィプトリ氏のお話

デウィプトリ・トレスナニングルム(インドネシア)

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 皆さん、こんにちは、初めまして、トレスナニングルム・デウィプトリと申します。大変長い名前ですけれども、全部私の名前で、名字はございません。なので、ファミリーネームはなくて、私の家族全員の名前はばらばらでして、そういう仕組みになっております。もちろん、これも出身といいますか民族といいますか、も関係しておりまして、私、ジャワ族なんですけれども、これはもう本当にジャワ式の名前で構成されています。なので、皆さん、きょうはよろしくお願いします。

 きょうは、インドネシアの高齢者の暮らしについてお話しできればなと思いますが、私も専門家ではないので、私の感じたこと、私が見たものですか、そこは私視点でお話しさせていただけたらなと思います。まずはインドネシアの概要からお話しをして、日本の高齢者とインドネシアの高齢者の違いですとか、インドネシアの高齢者はどういうものなのか、どういう状況なのか。その後に、私、イスラム教徒でジャワ族なので、そういう路線で高齢者について語りたいなと思っております。

 まず、インドネシアの概要なんですけれども、島がたくさんあるという印象ですよね。日本と面積を比べますと日本の5倍ぐらいあると、調べた感じで5倍あると聞きますと。島の数は、去年の段階では1万7000ぐらいあったんですけども、それが少し沈んでしまったりですとかで、今は1万3000ぐらいあるというふうには聞いています。伝統文化の多様性というタイトルなんですけれども、先ほど冒頭にも申し上げましたが、民族ですとか、宗教ですとか、言語ですとか、いろんな人たちが集まっているんです。国が認定している宗教が六つあるんです。イスラム教、仏教、ヒンズー教、カトリック教、儒教、プロテスタント教。8割がイスラム教徒になります。民族の数も31の主な民族集団があるんですけれども、その下にまた枝番みたいに、たくさん派閥みたいなものがありまして、全部こちらで書きますと3ページぐらいになりますので、それは略して31の主な民族集団があるっていうことだけです。私はジャワ人です。人口の7割ぐらいがジャワ人になっておりますので、結構マジョリティーになっております。言語についても島ごと違うので、たまに違う島に行くとコミュニケーションが取れないっていうこともあります。 インドネシアの概要 インドネシアはこういう国です。人口構成の話になりますが、インドネシアの人口は2億6190万人もいます。それが、日本ですと1億9000万人ぐらいですかね。なので2倍います。国民平均年齢が27歳と、日本は43歳で、大変若い国ですね。インドネシアの平均寿命が、先ほどもあったんですけども68歳で、日本は80歳ぐらいですね、これが違います。人口ピラミッドを載せてみたんですけれども、2018年の人口ピラミッドでは0歳、4歳が結構まだたくさんいて、高齢の方が少ないっていう感じで、富士山型になっていて、日本の高度経済成長期のときと若干似ているのかなと思います。現在はこうなんですけども、高齢化の問題としてはあがってきているので、これからも高齢社会について考えなきゃいけないのかなと思っております。もいます。 それが、日本ですと1億9000万人ぐらいですかね。なので2倍います。国民平均年齢が27歳と、日本は43歳で、大変若い国ですね。インドネシアの平均寿命が、先ほどもあったんですけども68歳で、日本は80歳ぐらいですね、これが違います。人口ピラミッドを載せてみたんですけれども、2018年の人口ピラミッドでは0歳、4歳が結構まだたくさんいて、高齢の方が少ないっていう感じで、富士山型になっていて、日本の高度経済成長期のときと若干似ているのかなと思います。現在はこうなんですけども、高齢化の問題としてはあがってきているので、これからも高齢社会について考えなきゃいけないのかなと思っております。

○日本の高齢者とインドネシアの高齢者の違い

日本の高齢者とインドネシアの高齢者の違い

 日本の高齢者とインドネシアの高齢者、何が違うのかということをまとめてみました。まずインドネシアの高齢社会、定年年齢は男女とも56歳です。若いんですけれども、管理職であれば60歳です。幸せな老後というのはどういうものなのか、日本ですと自立していますとか、セカンドライフを楽しむですとかあるんですけれども、インドネシアの場合、子どもに養ってもらうとか、孫を見るとかっていうのがあるんですね。趣味に時間を使うっていうのもありますけれども。高齢者の就職については、日本ですと結構エキスパートっていう視点で、まだ働いてる方がたくさんいらっしゃるっていうのは、すごく驚きました。インドネシアですと、大体はもう家に残って趣味に没頭したりですとか、それか同窓会を開いたり、孫を見たりとかして、あまり仕事は続けない方が多いんですね。そして、4番に孫の面倒もそうですし日本の場合、時間があったら協力するが、自分の時間も大切にするっていうのがあるのかなと思います。インドネシアでやると、すごく関係が近いといいますか、おばあちゃんと孫の関係がとても近いんですね。

○インドネシアは子どもによる介護が当たり前

 5番目に自分の介護について、日本の場合、できるだけ子どもに迷惑を掛けたくない、自分のことは自分でやりたいというのがあるんですけれども、インドネシアだと子どもによる介護が当たり前というのがあります。これもまた、宗教とか民族によって変わるんですけれども、ジャワ族でありますとかイスラム教徒の場合は、天国は母の裏足にあるっていう伝えがありまして。そのため、お母さんとか本当に面倒見ないといけないっていう考えがあるんですね。

○日本とインドネシアの高齢者は健康面で違いがある

 6番目の健康もなんですけども、日本のおじいちゃん、おばあちゃんはすごくアクティブで、普通に登山に行くんですけれども、そういったかたがたくさんいますよね? それ、とても驚きました。インドネシアですと、あまり動かない方が多いんで。それで、生活習慣にも関わるんですけども、病気になることが多くて、糖尿病ですとか、コレステロールが高くなる方が多いんですね。

○老後の過ごし方、暮らしの違い

インドネシアの高齢者 -幸せな老後とは-

 違いをまとめてみました。インドネシアの幸せな老後、アクティビティーについて、ちょっとまとめてみたんですけど、1位に家族と時間を過ごすっていうのがありますよね。2位は趣味に時間を使うですとか、小さなビジネスをつくるとか、旅行する、運動を始める、ペットを飼う、庭の手入れ、コミュニティーに貢献というものがあるんです。こちらの写真は私の母なんですけども、私の父と母は両方とも公務員でして、外交官をやっていたんです。父は管理職までなってたので60歳で定年したんですけれども、母は56歳で定年しまして。本当にずうっと仕事をして、今となってはペットを飼い始めたり、同窓会とか国内旅行とか始めたり、趣味の結婚式のMCみたいなものをやったりとかして、現役のときと同じにアクティブだなって印象がありました。なので、こういう生活もあるんだなっていうのは思いました。また違う家族を見ると、それこそ家にまったりいたり、孫の世話をしたりとかする高齢者の方もいました。なので、やはり違うんです。自分の宗教とかも関わると思うんですけれども、違うことが分かりました。

 これで、老後どういうふうに生活してるかというか、どこで住んでるのかっていうのがあるんですけども、インドネシアは老人ホームがあまりないです。それはなぜかというと、老人ホームというのは家族がいない方のみ使用するための物であり、子どもとかがまだいる高齢者の方は、できるだけ家族が面倒見ることを勧められています。インドネシア社会省でも、そういうふうに勧められてはいます。なので、真ん中の赤い囲いがあるんですけども、こちらは子どもと同居している高齢者の方が結構多いです。

○インドネシアの定年後の就労と学歴

インドネシアの高齢者 -定年後の就労・学歴①- インドネシアの高齢者 -定年後の就労・学歴②-
インドネシアの高齢者 -定年後の就労・学歴③-

 定年後の就労・学歴ってコーナーに入るんですけども、インドネシアは65歳から69歳の人口のうち、働いている人が50パーセントもいるっていうのは、私も調べてみて初めて知って驚きました。日本が3位でインドネシアが1位って、あまり私も考えられなかったので、そんなに働いている印象はなかったです。でも確かに、考えてみると多分、デスクワークですとかナレッジシェアですとか、そういうふうに自分が経験した知識をシェアする仕事ではあまりいないけれども、力仕事ですとか農業ですとかは、まだいるんじゃないかなと思います。実際ちょっと中を見てみると、定年後の働いている方が主にいるんですけども、その47パーセントがあって、家庭の世話をしているのが31パーセント。その中から学校に通ったことがない人が何人ぐらい働いているのかとかが、その右の表になるんですけども。学歴が低い方が働いているほうが多いという印象あるというか、そういう感じがします。中学、高校とか大学になると、働くことが少なくなっているので、学歴というのも影響しているのではないかと思います。

 高齢者、定年後の就労・学歴、どういう職業に就くのかなっていうのが、どのぐらい収入があるのかっていうのを見てみたんですけれども。高齢者で、これは月の平均でどれぐらいもらっているのかっていうと、99万ルピアが農業で、125万ルピアが産業貿易が158万、サービスが159万ルピア、その他が200万ルピアですよね。100万ルピアって1万円なんですね。ジャカルタの最も少ない給料が300万なんですね。なので、かなり厳しいのかなっていうのは、ちょっと思いますね。100万ルピアが1万円なので、つまり農業、産業とかですと1万2000円とかになりますよね。それで生活できるのかっていうの、ちょっと考えます。働く収入額はそういうふうになっております。

○インドネシア人の健康と生活習慣

 次に、インドネシアの生活習慣、健康について、ちょっとお話しをさせていただきたいんですけども、インドネシアでは生活習慣病とか、肥満率とか、喫煙率が問題になっているんです。所得が上昇して生活習慣がすごくよくなってきているんですけども、こういう問題がまだ見られるんです。例えば、食事習慣とか何があるのかっていうと、まず今、すごく外食のチェーンが増えてきておりまして、そういう食べ物とか食べ始めている高齢の方がたくさん増えてきて。さらに甘い物が非常に好きな方が多いです。野菜とかもあまり食べなく、もうジュースでいいや、野菜ジュースを飲んだらもう野菜食べたことになるだろう、といった考え方を持っている方が多いです。インドネシア行かれた方は、たくさんいらっしゃるかと思うんですけれども、揚げ物が多いです。ソウルフードが揚げ物なので、朝から揚げ物を食べる習慣があります。私もちょっと前、友人に揚げ物を朝ご飯に出したんですけれども、朝から揚げ物かよとか突っ込まれました。そうなのか、食べないのかと思いました。なので、そういう習慣がインドネシアではあります。

 そして、グリーンティーっていう商品があるんですけども、日本のお茶なんです。これも、インドネシア人の味覚に合わせて甘く作られているんです。それぐらい甘い物が好きなんです。そして、アルコールの飲酒習慣なんですけども、イスラム教徒が8割のインドネシアなので、ハラムとされるアルコール、飲んではいけないっていう物になっているので、他の国に比べて、あまり飲酒はないのかなっていうのがあります。ただ、規制はされているんですけども逆効果がありまして、変なアルコールを混ぜて飲んだりする若者が増えてきているっていうのがあって、それがちょっと問題になっています。そして、喫煙習慣なんですけども、18歳未満の喫煙は法律上駄目だっていうルール的にはあるんですけども、インドネシアは喫煙率が高いです。2017年には、5歳ぐらいの子どもが喫煙しているっていうのが報道され話題になりました。

次に、運動習慣です。日本はすごく歩道も整備されていて、皆さん、自由に歩けるっていうのがすごくいいなと思います。インドネシアは、ほぼ歩けないです。歩けないので、皆さん、車で移動するので大渋滞になります。暑いですし、歩かない方が多いですし、それだと不健康になりますよね、もちろんそうなんですけども。そのため、Car Free Dayという歩道者天国が毎週日曜日にありまして、政府が皆さん運動しましょうと取り組んでいます。

○インドネシアにおける高齢者の役割

インドネシアの高齢者 -社会での役割①-

 インドネシアの高齢者の社会での役割、貢献というか、これはジャワ族に限られているかもしれないんですけども、インドネシアの高齢者というのは、モラルというか、伝統文化の習慣などを次の世代に伝えなければいけないっていう義務があるんです。この場合、例えばお見合いをするとなったときに、どうすればいいのかなっていうのも、おばあちゃんとかおじいちゃんに皆さんは聞くんです。結婚するんだけどいつがいいのかな、この人でいいのかなとか、子ども教育に悩んでいるとか、出産についてもそうですし、就職活動も皆さん全部、おばあちゃん、おじいちゃんに聞くのが習慣としてはあります。

 そして、こちらはジャワ族のおばあちゃんの知恵袋みたいなものなんですけれども、結婚相手を決めるときはボボ、ビビ、ベベをまず考えてみて。ボボっていうのは、1人の人間としてのその相手の質。宗教、学歴、職業、性格、礼儀、態度、家族の系統、どういう家族から生まれてきたのかというのも考えないといけないよ、社会的な立場っていうのも考えないといけないよっていうのは、これは私はちっちゃい頃からすごく、おばあちゃんとおじいちゃんから教えてもらっています。なので、私の生活ではやはり結構、影響されているっていいますか、アドバイスとかは結構受けています。こういうふうに、これは私の姉の結婚式なんですけれども、右下、私のおじいちゃんとおばあちゃんなんですけども、こういうふうに結婚しますと、結婚後のアドバイスをくださいっていうシーンなんですね。こうやって近くに行って今までありがとうっていう感謝も含め、あなたはこれから自立するので、こういうことをしないといけないよっていうアドバイスも、ここで伝わっているっていうシーンですね。これが私の家族なんですけれども、大家族です。これは年にか集まったりはします。ですので、すごく絆は強いのかなというふうには思います。

○日本の高齢社会で驚いたこと

ジャワ族の高齢者 -家族での役割(結婚)①- ジャワ族の高齢者 -家族での役割(結婚)①-
ジャワ族の高齢者 -家族での役割(結婚)①-

 私のおじいちゃんとおばあちゃんなんですけども、土地を運営していまして、米を作ったりですとか、キャットフィッシュ、ナマズを育てたりとかをして、そうやって自立をしています。その関係もあって、私の母も土地は買うなり投資をするなりをして、今は年金だけではなくて、そうやって家賃収入で毎日ハッピーな感じで過ごしています。日本の高齢社会で驚いたことなんですけれども、私が来日して5年目になるんですけれども、来てびっくりしたことが、日本では自立したアクティブシニアが多いということが、すごく印象に残りました。

 2番目に、私が出勤するたびにデイケアサービスのバスが通ったりですとか、多いなあっていう印象はありました。3番目にはニュースを見ると孤独死があるっていうことが、そうなんだなっていう、インドネシアはあんまり考えられないんですけども、日本ではあるんだなっていうのも、ちょっと驚きました。4番目には先ほどインドネシアの大家族が多いんですけれども、年に何回かは集まるっていうのがあるので、同じ東京に住んでいるのにあまり連絡しないとかっていうのを聞くと、そんなに家族で集まる機会が少ないんだなっていうのは、ちょっと思いました。以上で、最後は駆け足になりましたが、ありがとうございました。

ジャワ族の高齢者 -家族での役割(結婚)①- ジャワ族の高齢者 -家族での役割(結婚)①-

【松田】 デウィさん、ありがとうございました。どうでした、皆さん伺って、グッド、よかったこと、ニュー、目新しかったこと、クエスチョンでいうと。私はやっぱり、よかった、グッドでいうと家族主義って本来、日本が持ってあったことだしっていうことですね。ニューで目新しかったことは健康問題、糖尿病だとか、喫煙とか、歩かないとか、そうなのかということ。あと、ニューでもう一つ、高齢者、やっぱりアドバイザーというか、そういうボボ、ビビ、ベベ。きょう、これ暗記して帰ります。いいなと思いました。いかがでしょう、皆さん、質問ある方いらっしゃいますか。

【参加者】 すてきなお話、ありがとうございました。すごく日本の昔の今、松田さんがおっしゃったように、30~40年前の日本のあるべき姿をと思ったんですけれども。先ほど高齢者の、いわゆる日本でいう老人ホームというところでいうと、インドネシアの老人ホームのやっているサービスというか、今、日本では老人ホームいくつか、住宅型とか介護型とかあったり、あとデイサービスとかショートステイなんて、いろいろサービスも多様化してきてはいるんですけれども、なかなかアクティブシニアがしっかり暮らせる施設なんていうのは、まだないということがあるので、インドネシアで今ある老人ホームの実態と、今後、インドネシアでもこのようなシニア向けの施設ができてくるであったりとか、そういう事業の声が聞こえてくるなんていう話があれば、お聞かせ願いたいんですけれども。

デウィプトリ・トレスナニングルム(インドネシア)

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 質問、ありがとうございました。老人ホーム、デイサービスっていう、インドネシアでは泊まり型っていうか、その施設にずっと住んでいる施設もあります。あるんですけれども、デイサービスっていうのはあまりなくって、どちらかというと介護してくださる方を家に呼んだりするんですね。それはなぜかっていうと、できるだけ家にいさせたいっていう背景がありまして。なので、私の祖父も糖尿病になっているんですけれども、デイサービスには通わずに、あと老人ホームに行かずに、介護していただける方を呼んでいます。こういうケースはかなり多いです。ただ、本当に歩けない、もう世話できないっていう場合ですと、老人ホームに住み込みで行ってもらうっていう、住み込みというか、もうずっとそこに住んでもらうっていうのもありますよね。ただ、高齢化が進みますと、やはりこういう設備も必要になるのかなというのは、私も感じるので。最近では、日本企業との 連携もたくさんあるとニュースで見たんですけれども、それが増えていくのではないかなと思います。

【松田】 よろしいですか。もうおひとかたぐらい、いかがでしょうか。ではどうぞ。

【参加者】 今の方も、シングルで最期を迎える方のこと。障害者で、お一人で最期を迎える方。それから、家族が何かの事情で亡くなって、やっぱり地域から離れて1人で亡くなる方も、そういった事例をちょっとお話聞かせてください。

【松田】 結婚せずにシングルですとか、そういったかたがたの実情というのは、それぞれどうでしょう? じゃあ、オーストラリア、メリッサさんから、どうでしょうか。

メリッサ 猪岡(オーストラリア)

【メリッサ猪岡】 質問、ありがとうございました。自慢ではないんですけれども、やはり豪州、アメリカと並べて離婚率が5割ぐらいなんです。なので結構、人口の軽く計算して半分ぐらいが多分、最後はシングルになるっていうのがあると思いますので、シングルでいることは全く珍しいことでもありませんし。結構、多くのかたがたがもう、一生ずうっと働いてきているので、先ほど申し上げた義務化されている貯金もありますし、そういった施設ももちろん、私の知り合いもそうなんですけれども、彼女も離婚されまして、彼女は自分でRetirement Homeに家を買って、そこで住んでいるんですね。体の障害持っているかたがたも、もちろん珍しくありませんし、政府としてはバリアフリーを本当に推進しているので、皆さん本当にそのニーズに合った生活だったりとか、ニーズに合った環境をいろいろ整えているんじゃないかなと思います。

【松田】  分かりました。インドネシアはどうでしょうか。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】  ありがとうございます。インドネシアの場合は、オーストラリアとは全然比較できなく、障害者の場合、1人の場合ですと、もう本当に施 設に預けるしかありません。でも、それですと、やはり料金もかかりますし。それで、払えない方はどうするかっていうと、コミュニティーが 何とかするしかないんです。例えば村、その村に住まわせるというか、朝ご飯をその村で提供するですとか、そういうふうな対応しかな いんです、インドネシアでは。今後もやはり、バリアフリーとかそういう観念に関しても、インドネシアもまだまだ問題があるのではないか なとは思います。

パネルディスカッション

【松田】 それでは後半スタートしたいと思います。後半はパネルディスカッションということで、こういった形で進めていきたいと思います。まず、パネリスト同士のQ&Aをしたいんですけども、どうでしょう、オーストラリアのメリッサ猪岡さんの話を聞いて、デウィさん、グッドとニューとクエスチョンを言っていただければと思うんですけども。率直なご感想は、どうでしたか、オーストラリアの取り組みについては?

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 いや、インドネシアと比べものにならないほど進んでいるので、学ぶことしかなかったといいますか。アクティブシニアっていう層をどういうふうにサポートするかっていうのに関して、結構いろいろ取り組みをされていると思うんですけども。インドネシアの場合は、まずやはり習慣から直さないといけないじゃないですか。アクティブにしないといけないっていいますか。そこからまず、やっていかないといけないっていいますか。そこからやっと、そういったRetirement Villagesといいますか、老人ホームじゃないですけれども、そういうアクティブシニア層向けのコミュニティーの場所、先ほどの障害者の方はどうなるかとか、1人になっている人はどうなるかというのも、コミュニティーに任せるのもいいんですけれども、やっぱり自分で決めて、自分のまだ生活を維持できるっていう場所が必要なんじゃないかなと、自分では思いました。

【松田】 そうですね。僕も思ったのは、やはり政策として頑張ることと民間企業、民で頑張ることと。あと、国民だとか市民が頑張ることで仕分けしようとすると、そういう年金だとか介護保険だとか、そういったものは政策や制度設計という議論だし、Retirement Villagesみたいなのは、恐らく民間企業がビジネスとして頑張ってもらうと。あと、個人で頑張ることっていうのは、さっきデウィさんが言ったような、自分のマインドっていうか、その設定の仕方だなと思いました。何かデウィさんからメリッサさんに聞いてみたい、質問したいことがあればお願いいたします。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 高齢者になって、学校がさっきあったじゃないですか。それで学ぶことって、社会でどのように使われてるのかっていうのは、何かあるんですか。

【メリッサ猪岡】 University Third Ageのことですね。大学とかに行って、もちろん再就職するためのスキルなんですけれども、まさに今持ってるスキルを、さらにスキルアップっていう場所でもあるんです。一つの実例で考えますと、ライフセービングがあるんです。クイーンズランドはグレートバリアリーフとか海岸沿いにあるんですけれども、ビーチもすごく多いんです。やはりそのライフセービングのコミュニティーがもちろんありまして、シニアの方がそこで、活発に参画されています。やはりある程度の年齢になってから、体力の限界、皆さん、感じられるんですけれども、やはり、そうやってせっかくこれまでに長年関わってきてライフセービングのコミュニティーから離れるよりは、今、取り組みを行ってるのが、ドローンを使ってライフセービングを行ってるっていうところなんです。どういうふうに関わっているかというと、もちろんドローンの操縦することもあるんですけれども、ドローンを誰か操縦して映像を見て、長年の経験、自分のこれまでなってきた経験を実際分析すると。若いかたがたは経験が不足してるので、多分全部海は一緒って思うかもしれないんですけども、ここで現場に立たなくても、そういう大学だったりとか、実際これまでのスキルをまだ生かせるっていうことが、技術とかテクノロジーを使って、増えているんじゃないかなと思うんです。

【松田】 非常に大事なポイントですね。ドローンとか、結構ハイテクな物が入っているのが印象的というか、あんまり日本のシニア大学でドローンとかはないですよね。ありがとうございます。じゃあ、メリッサさんからデウィさんの、インドネシアのプレゼンについて、印象的だったことや質問がありましたらお願いいたします。

【メリッサ猪岡】 一番印象的だったのは、インドネシアが日本と似ているところ。歴史がとても長いのと、文化があるっていうのがうらやましいっていうところなんです。オーストラリアはもちろん多民族で、多くの国から移民されているかたがたが多い、それが一つの文化であるんですけれども、まだまだ非常に若い国です。なので、実際、オーストラリアの文化は何か、何を指すかって分かんないですよね。例えばバーベキューだったり、ビーチクッカーとか。それでも、多民族であることが一つの文化かもしれないんですけれども。やはりインドネシアとか、こうやって本当に高齢者の面倒を見るとか、代々に歴史をちゃんと引き継ぐことが、非常に重要であると思うんです。クイーンズランド州の場合はそれが多分、これまでになかったので、今こうやってSeniors Week、いろんな取り組みで、そういった文化や歴史をいろいろ伝えているんですけれども、これはインドネシアで代々やってることが、すごく素晴らしいかなと思いました。それで、ちょっと質問だったんですけれども、これからお見合いだったりとか、人口が非常に多くてこれから子どもが増えてくって感じですけれども、州の中でも実際、孫を面倒見るっていうかたがた多いんですけれども、インドネシアのほうでは孫を見る、そういう傾向、例えば共働きの所が多いって、さっき伺ったんですけれども、やはり仕事に戻ってから、そういうようなお願いすることは当たり前な感じなんですか。それとも皆さん、結構、嫌々ながらっていうのはあるんですか。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】ありがとうございます。当たり前になっていて、メイドさんっていうのがインドネシアにもあるっていうか、家庭に1人はメイドさんはいるっていう。

【メリッサ猪岡】 それは、住み込みなんですか。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 住み込みです。住み込みもいますし、住み込みじゃないかたもいますけど、大体は住み込みであります。それで、共働きはやはり日本だとすごく大変じゃないですか。仕事で早めに、時短しないと女性は早く帰れないですし、そこから家事とかこなさないといけないですし、インドネシアの場合は、おばあちゃん、おじいちゃんにお願いするのもありますし。おじいちゃん、おばあちゃんが、もし田舎に住んでいてあまり来られない場合は、メイドさんを呼ぶっていうのも選択肢はあるんです。なので、共働きにはもってこいの環境かなっていう感じですね。

【松田】 分かりました。僕からメリッサさんに質問なのは、さっきのUniversity Third Ageですか。これは、お金っていうのはいくらぐらいかかるものなんでしょうか。

【メリッサ猪岡】 詳細はちょっと分からないんですけれども、基本的に豪州、これクイーンズランド州なんですけど、大学が結構、割安なんです。例えば、シニアのための大学ですと、金額の面は政府から補助すると。そして、普通のいわゆるThird Ageというのは皆さん、第3キャリアに向けているんですけれども。普通、皆さん、大学に入るときには先払いという制度があれば、後払いという制度もあるんです。実際、就職してから、学費を少しずつ返済するっていう制度があるんです。なので、こういったシニアに向けても、できるだけ行きたい人は行かせるようにという制度があるんです。あんまり高くしていますと、皆さん行けないので、割安と、あと政府が補助するっていう感じです。

【松田】 なるほど。Third Ageというのは、そうだな、最初のFirst Ageは現役の学生で、Secondというのが働いてた頃?

【メリッサ猪岡】 働いてることですね。

【松田】 Thirdっていうのはリタイアした後ということでしょうか。

【メリッサ猪岡】 そうです。まさにそのAgeで、退職後をどういうふうに過ごすのかっていう問題ですね。スキルを身に付けるかっていう感じなんです。

【松田】 私自身も、リタイアした後の学びとか大学に行くっていうことは、極めて大事だと思っています。それで、お手元の資料にはないと思うんですけれども、これは立教大学がやっている、正式な大学じゃなくて1年目が本科、2年目が専科、立教セカンドステージ大学毎年100人、入ってくるんです。今年がおそらく10年目。私は今、ここで非常勤やっていて、きょう、これが終わった後から授業があるんですけれども、毎年100名入って来る。年間の授業料は結構お高くて、年間30万円。でも、行ってる人からすれば、ゴルフに年間使ってる金だとか、飲み代に使ってる金と比べればそうでもないだろうということで、学び直しがやはりいいというのは、来てる人大学紛争で勉強してなかった。それから、今は高卒の方が実は2割ぐらいいるんじゃないかな、2、3割。優秀だったんだけども、事情があって大学に行けなかったっていう人なんです。そして、驚くべきことに授業は最前列から埋まってくんですね。これはもう、うなずき方も、メモの取り方が半端じゃないっていう。そして、学びは年を取ってからのほうが楽しいというのは、倫理や歴史や美術とか一般教養。これは3本柱で、一般教養と高齢社会とコミュニティー・ビジネスがあるんですけども、私も生徒として倫理の授業に出たんですけども、結構、胸に染みるものがある。大学のときに一般教養で聞いた倫理っていうのは、やっぱり18や19の頃で、教室の最後尾で突っ伏して寝ていた覚えしかないんですけども、50を越えて悩める中年になってくると、なんか染みるものがあると。つまり、それは歴史でも文学でも、年を取ってのほうが楽しいということです。夏合宿があって、清里の立教のそういうセミナーハウスに行って、最終日はフォークダンスとキャンプファイアをやるっていうことで、もう一回、青春を楽しんでいるということです。こういったものが日本でも進んでるということは、日本は誇るべきことじゃないかと僕は思うんです。これは大学に行くから楽しいんです。これがカルチャースクールだと、やはりシニアの方ばっかりなんですけど、大学に行くと若者ばっかりなんです。そして、図書館も自由に使える。立教は商売上手だなと思ったのは、図書館のこういう椅子に自分の名前をプレートで、7万円払うと、寄付すると貼れる。だから、あの椅子は俺の名前が書いてあるっていうと結構びっくりします、図書館とか学食に普通にシニアがいますから、これは結構、日本が誇るべきものの一つじゃないか。だから、今、参考になったのは、ドローンだとかハイテクの物を入れたほうがいいということです。あとは、キーワードは私、多世代交流だと思っていて、デウィさんの話の中に、シニアがアドバイザーとして、ボボとビビなど、ああいうこと言えるっていうのは、やはりシニアはアドバイザーたれと思うんですよ。それで、これは数年前に東京のシニアを奄美の徳之島という離島に連れてって勉強会をしたんです。実は、離島は大学がないから、大学生とかいない。それから、ほとんど農業か漁業か観光なんで、スーツ着た人がいない。だから、働くっていうことがいまいち分からなくて、皆さん、何となく高校生活を過ごしいてることに対して、東京からシニア、あるいはミドルが行って、徳之島の高校生向けにキャリアの働く論の勉強会をしたんです。そうすると、元CAが話をしたり、建築家がデザインの話をすると、やはり高校生が目をきらきらさせるということです。私はシニアができる大切なことは、他世代への技能伝承だとか経験を教えるということなんです。印象的だったのは、そういう建築家だとか医者とか、これはやっぱり人気者なんです。サラリーマンは駄目、何言ってるか分かんない。三菱総研っていうシンクタンクにいますっていっても、シンクとタンクで水道工事屋さんだと思われてしまうんで。あと、成功者の話じゃなくて、一番評価が高かったのは実はこの方、ある金融機関にいて、自分の会社が破綻した。会社がつぶれる、リストラってどういうことだって話が、実はアンケートで、一番評価が高かった。つまり、しくじり先生だって、それは子どもにとって大きな財産になるんだと。僕自身、振り返っても、およそ中学・高校で大人と触れ合う機会ってなかったです。大学、まだインターンシップとかなかったんで。もし、僕も中高のときに医者の話を聞いたら医学部に行ったかもしれないし、芸術家の話を聞いたら美大に行ったかもしれないし、ここの子どもたちへの技能伝承っていうことは非常に、技能伝承っていうか多世代交流を通じた知識ですとか経験、失敗談も含むことは大事だなっていうふうに思いました。どうでしょう、こういった多世代の交流というのかな、インターアクションっていうのかな、これはそれぞれの国々ではどうなんでしょう? 多世代交流っていうものが、果たしてあるのかどうかっていう話は、オーストラリア、どうなんでしょうか。

【メリッサ猪岡】 まさにオーストラリアの場合は2世帯住宅の文化もないのと、あと近所付き合いは歴史的には浅いというところもあるので反省を踏まえて、現在は駆け足で少しだけ説明したんですけれども、そのSeniors WeekとかGrandparents Dayという。そういうある程度の期間なんですけれども、Grandparents Dayっていうおじいちゃんとおばあちゃんを学校に、これは小学校だけじゃなくて、高校、中学校とかも、自分のおじいちゃん、おばあちゃんをこの日に学校に来てもらって、実際、自分のおじいちゃん、おばあちゃんじゃなくて自分の隣に座ってる、このおじいちゃん、おばあちゃんの話をして、その歴史を、皆さん、大体、移民の方とか引っ越したばっかりの方は、自分の住んでる地域の歴史とか分からないわけなんです。だから、本当に自分の人生、さっきの失敗話だったりとか、自分の人生についてだけじゃなくて、実際その住んでる地域の歴史、地域の文化については、皆さんにこうやって話すことがあるんです。私自身も自分のおじいちゃん、おばあちゃんと離れて住んでたんですけれども、1回だけ、こういうときに来てもらって。本当に恥ずかしいんですけれども、初めて自分のおじいちゃん、こういうこともあったんだということが分かるんです。だから結構、いろいろ話すると皆さんも、自分のおじいちゃん、おばあちゃん、違う見方ができるじゃないかなと思うんです。

【松田】 これは、学校に来てもらうということなんですね。それは、全く同じようなものが日本にもあって、実はこれは日本の事例なんですけども、映っているのはこれ、実は私と父親なんです。今、87歳で、数年前、まだ元気だった頃なんですけれども、うちは母が10年前に他界しており、おやじが1人きりで、独居老人で、町の小学校でゲストティーチャーっていうのがあって、町の歴史を教えていました。おじいちゃん、おばあちゃんが小学校6年生向けに町の歴史を教えるんですけれど、そこに空襲って書いてありますが、東京大空襲の話を小学校6年生に教えていました。わが家っていうのは実は焼夷弾が直撃して全焼、全部燃えて、うちの父親は、頭から水かぶって、家財道具を取り出して避難した話や、一面焼け野原になった町は今、こういった住宅街に変わりましたっていうことを、6年生にすると、翌週、小学校6年生がまたうちの父親を呼んで、プレゼンテーションしてくれる。おじいちゃんの話はこういうことだったんですね、私たちは町のこれからについてこう思いますと。ちなみに、今の小学校6年生はパワーポイント使ってプレゼンをするらしいんですけれども、そこに子どもたちの親も来ると、結構、白熱授業になって、そもそも、なんで戦争って始まったんですか、みたいなことになる。そうすると、うちの父親がうれしいということなんです。それが消費につながる。消費。パソコンやデジタルカメラ、買い替えるんですよ。またやりたいと。それで、パソコン教えろっていうから教えるわけです。飲み込み悪くて、でも、こういう気持ちがあれば人は衰えないということ。さらに、コミュニティーの維持につながるっていうのは、これを経験した町のおじいさん、おばあさんが、町の郷土史を作ろうということになって、郷土史を作るんです。出てきた原稿を見たら、ひどい、レベルが。もう小学生の文集並みのいまいちなレベル。だけど、町にいるんですね。週刊何とかのデスクだとか、何とか新聞の編集者だった人がいて、1年かけてきれいな読み物にしてくれるんです。そうすると、多分、皆さんの町にもシニアでリタイアして元編集者だとか、記者とかデスクの人が、実はいるわけであって、そういう社会参加がポイントかなというふうに思いました。じゃあ、いろいろ聞きたいことがあって、お昼に話したようなことなんですけれども、高齢者の三つの安心っていうの、僕は体の安心と、お金の安心と、心の安心だと思うんです。裏返すと、体の不安と、お金の不安と、心の不安があるっていうことなんですけども。特に体についていうと、医療についてですが、去年、アメリカに行ってびっくりしたのは、アメリカ、医療費が高い。健康診断っていうのが20万円、救急車30万円、胃カメラ200万円。自分が入ってる保険によって全てカバー率が違うっていうので、皆さん、病院に行かないと、風邪ぐらいだと、ということで、医療制度について伺いたいのは、オーストラリアはクイーンズランド州政府の医療っていうのは、どういうシステムなんですか。公的なもの、民間のもの、あと例えば医者はただだとか、いくら払うかとか、それはどういう状況でしょうか。

【メリッサ猪岡】 医療の面についてなんですけれども、基本的には国民のいわゆる保険があります。国民の保険に自動的に入っていまして、税金からそれは引かれています。基本的に、お医者さんに行くのは無料なんですね。薬はお金がかかるんですけれども、行くのは無料。人口が少ない割には結構、病院の数が多いんじゃないかなと思うんです。皆さん、大体、自分の行きつけの病院やかかりつけの医師、でっかい病院じゃなくても近所のクリニックが大体あって行くんです。公立の病院がいくつかあるのと、それ以外には民間病院があるんです。で、国民保険に入っていると基本的には公立病院にいきますが、それプラス自分で医療保険に入っていれば、選んで民間の病院に行くこともできます。例えば手術の場合ですと、これはやらないといけない手術、緊急の手術だったらすぐに手術はできるんですけれども、公立の場合、選択した手術、整形になり、その他は待たないといけないんです。ただ、民間ですと、自分で病院を選んで、自分の先生を選んで、すぐやってもらうっていうのがあるんです。もちろんアメリカと似ているところが、いわゆる保険の具合によってはカバーするところが違うんですけれども、ただ金額の例では全然アメリカのほうが高いかと思います。ただ、ある程度、皆さん病院に行けるというところなんです。

【松田】 それで、ある程度であれば、無料ですか?

【メリッサ猪岡】 無料です。

【松田】 それはとても進んでいるということですね。インドネシアの医療制度はどうなんでしょうか、そういう病院の価格ですとか、そういったものは?

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 実は、国民保険が導入したのは2014年。最近、導入したんですね。BPJSというのが最近、導入されました。ですので今、多分、一人一人持ってるんです。カードみたいな物で、それ使って公立であれば、何割か負担はあるんですけれども、私立であればあまり負担はされないというふうに聞きしました。私も持っていないので、使ったことはないんですけれども。

【松田】 これから、だから、そういった保険制度が始まるという、始まったというところですね。分かりました。それから、次の体の安心とお金の安心でいうと、お金の安心でいうと、やはり僕は今、日本はお金の安心がないと思うんです。その心は、僕が大学出た頃は金利が高かったんですね。僕は平成元年に大学を出たんですけど、その頃はビッグとかヒットというのがあって、8パーセント複利で回っていたんです。で、8パーセント複利で回すと、10年で2倍になるんですよ。つまり、そのときの高齢者っていうのは退職金4000万預ければ、10年で8000万になったという、何とお金の安心があったかと。じゃあ、今、金利は0.02パーセント。資産を2倍にするためには何年かかるかというと、3600年かかるんですね。オーストラリアは今、金利はまあまあ高い。そして、高齢者は、貯金とかあるいは株とか債権をやっているんでしょうか。

【メリッサ猪岡】 オーストラリアの金利が今では多分、5パーセント、6パーセントぐらいですか、銀行のですね。だから割と2年間ぐらい据え置きしている形なので。私が小さいときはもう少し高かった、十何パーセントだったんです。ちょっと経済が悪かった時期だったんですけれども、今はだいぶ金利が下がっていて、住宅のバブルになっている感じなんです。皆さん、実際、お金にたいする考え方とか、人それぞれ考え方があるとは思いますけれども、基本的には安心と考えていると思いますが、基本的にはもちろん国民年金もそうですけれども、多分、日本より物価が高いので、その生活基準と合わせて、毎年引き上げているわけです。あとは、自分たちはもちろん年金をちゃんと貯金しているのと、自分の貯金があります。自分がその資産、株、投資しているのですけれども、一番大きな資産としては自分の家なんですね。家をちゃんと持っていれば、最悪の場合、家を売ればいいお金になるっていうのがあるんです。

【松田】 なるほど。だから、不動産の価格が上がると。

【メリッサ猪岡】 安定的には大体上がって、損することはほとんどないですね。多分、日本の場合は土地の価格だけっていう。向こうは本当に人口が増えているので、需要があるので、大体、家を売ったらもうけることはできるっていう感じがあります。

【松田】 不動産がお金の安心になるっていうことなんですね。

【メリッサ猪岡】 はい。

【松田】 インドネシアはどうですか、金利だとかそういった貯金だとか、どういう感じなんでしょうか。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 インドネシアですと、公務員として働いてる人と民間で働いてる人って違うんです。公務員では年金はあるんです。民間で働いてる人は年金はないんです、退職金しかなくって。なので、本当に辞めて、どんっと退職金をもらうっていうのが民間の方です。公務員の場合は、月々何百万ルピアを頂くことはできるんですけども。なので、何が一番はやってるかっていうと、皆さん、やはり先ほどメリッサさんがおっしゃったように、不動産に投資するんです。アパートを買うなり土地を買うなりして、働いてるときにそうやって貯金をするんです。お金としての貯金ではなくって。それで、家賃収入とかでやりくりしています。

【松田】 日本の場合は、マンションが特に20年で資産価値がゼロになっちゃうっていうのが、問題だと。不動産が大きなお金の安心になっているってことですね。次の問題は心の安心ということなんですけども、これは僕は結構、ノーベル賞級の発見じゃないかと思うんですけども、日本で75歳以上の高齢者300名を、5年間継続調査した事例なんですね。これは住んでる形態によって、これは死亡率、こっちが機能低下率なんですけれども、違う。男性の独居、死亡率も機能低下率もずぬけて高い。夫婦で住んでる男性と女性はこのくらいなんですけども、面白いことに女性の独居っていうのは死亡率ゼロ、機能低下率は一番低いということです。でも、ここから示唆されるっていうのは、やっぱり孤独は社会の敵であると。孤独であると健康じゃなくなる、そして医療費も高くなる。そうすると、国の財政負担も増えるということでございます。それから、やっぱりこの男性が問題だということ。これは、三菱総研でやった調査なんですけども、女性の主なストレスって何か、病気、地震、子ども、経済なんですけども、60代女性のストレス1位、何だと思いますか。

【参加者】 旦那さんと一緒にいること。

シニアのライフスタイルを考える

【松田】 そのとおり、夫なんです。夫が60代女性の最大のストレス。だったら別れればいいのにっていう顔をしていますけども。これは老後一緒にいたい相手ということですけれども、折れ線グラフに注意すると、男は夫婦でいたいと。そして、女性は1人か友人といたいと思ってる。国際会議で発表すると結構受けるんです。これについて、やっぱり夫婦の在り方について、これからシニアはこうあるべきだっていうのを見ると。今度は、デウィさんに聞きたいと思います。聞いていると、インドネシアはすごく家族制度で、夫婦がうまくいっていると思ったんですけども、インドネシアの夫婦像っていうのは、どういうのが理想なんでしょうか。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 2017年にシニアレポートっていうのをインドネシアの統計局ですかね、出したんですけども、そこでやはり女性の寿命のほうが長いというのが明らかにされていて。でも、そうなのかなって思って、先ほどの松田さんの資料を見て、そうなんだ、日本も一緒なんだなと少し思いました。インドネシアの場合は、離婚をあまり好ましくないというふうに感じられるといいますか。

【松田】 できることはできるわけですね、離婚はできる。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】  できることはできるんですけども、でも宗教の問題もありますし、それで、あまりよろしくないというものになっているんですね。なので、熟年離婚っていうのが日本ではあるんですけども、インドネシアではあまりなくって、あり得ないというふうになっていますね。

【松田】 そうなんですか、あり得ない。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 あり得ないですね。

【松田】 じゃあ、ストレス抱えた奥さまはどうやって過ごしてるんですか。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 それはもう先ほど、うちの母も多分、ストレスあると思うんですけれども、それは、外でアクティブに活動していますし、逆に、父は家にいるのが好きなので、母の送り迎えですとか。お互いのストレスのない自分の好きなように生きている感じはしました、現役のときよりは。なので、高齢になるにつれて、やはり自分の好きな生き方みたいなのも、ある程度、2人で話し合って決めてるのではないかなという印象は受けました。

【松田】 程よい距離感ができてるということですね、なるほどね。オーストラリアはいかがでしょうか。さっき少し冗談っぽく言ったんですけれども、離婚率が50パーセント。

【メリッサ猪岡】 多分、熟年離婚っていうよりは、いつでも離婚してもいいぞっていう感じなんです。もう嫌だったら離婚してもいいって、もちろんあるんで、再婚も、もう全然、まだ再婚できる関係なので。中でも、もちろんストレス抱えている方もいるかと思うんですけれども。これは振り返ってみると何が違うかといいますと、多分、働き方も違うんじゃないかなと思うんですね。共働きも多いのと、ワークライフバランスをもう少し取れてるので。大体、うちの親もそうなんですけど、同じ趣味をしているんです。2人ともゴルフが好きなので、ほとんど毎日ゴルフをしているんです。多分、働いているとき以上、もう忙しいっていう感じなので。自分の趣味を見つけて、それも生かすという感じなので。さっき話あった、もう本当に自分のベストライフを、本当に早くリタイアして早くベストライフを送りたいっていう印象は受けます。

【松田】 なるほど、素晴らしいですね。分かりました。あと、もう一つ聞きたかったのは、高齢社会っていうのは高齢者だけがハッピーな社会じゃなくて、多世代が輝く成熟した社会だと僕は思うんです。先ほど話してた教育の話、ここが変だよ日本人でいうと、みんな小学校から塾通って、夜の11時ごろ小学生がうろうろしてて、子ども用栄養ドリンクが飛ぶように売れてるみたいな、僕はやっぱり異常だと思うんです。皆さんの国での子どもたちの教育っていうのはこういうものだっていうの、一言ずつ、じゃあ、メリッサさんからお願いできますか。

【メリッサ猪岡】 まずは、オーストラリアでは塾がないんです。ずっと高校までは、16歳まで義務教育でして。私立に行きたかったら試験を、もちろん受けるんですけれども、その試験内容が違うと思うんです。私は、ちょうど次男が今、6年生なんですけれども、受験のシーズンなんですけれども、受験の内容が6年生の内容じゃなくて、中学1年生、2年生、3年生とか、塾に行ってないと受験が受かるわけないでしょうという制度になっているので、それはちょっとフェアじゃないという気がするんです。格差社会ができるんじゃないかなと思うんです。私立と公立の学校の違いがあり過ぎちゃうと、一つやはり傾いてしまうという気がするんですね。それで、本当に分野によるんですけれども、公立の学校のほうが得意とかだったりとか。皆さんが行きたい所がいろいろあるわけなので、政府としてはできるだけ、もちろん私立は設備がいろいろあるかもしれないんですけれども、できるだけ均等で、平等で皆さん教育を受けるっていう形なんです。それ何かっていうと、例えば田舎に住んでいる子どもたちが学校が近くないので、昔は無線だったんですけれども、今、インターネットでSkypeとおして学んでいるんです。だから、学校に実際、自分の足を運ばなくても、ちゃんとしたみんなと同じ教育を受けると。そういった技術、さっきのドローンもそうなんですけれども。うちの州の場合は本当に土地がとても広いし、人がいないので、できるだけ技術とかテクノロジーを取り入れないと、いろいろ進めないっていう状況なんです。だから、教育の現場では結構そうじゃないかなと思うんです。

【松田】 そうですか、ありがとうございます。どうですか、じゃあ、デウィさんは? インドネシアの教育事情は?

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 インドネシアはそうですね、私立も公立もあります。公立の場合は安いので、入るための倍率がすごく高いんですね。私立の場合はお金があれば入れますと。カリキュラムは若干違うんですね。やはり、私立のほうがいろんなチャンスも機会もありますし、高校でもexchange studentっていうか、交換留学できる制度があるんですね、私立であれば。公立であれば、やはりカリキュラムは国が決めていますと。それで、塾っていうのも、あんまりないですけれども、公立の大学に行く場合、やはり皆さん、公立のほうが好まれるといいますか、機会がやはり多いんですね、公立のほうが私立よりも。それで、塾とかに通ったりはするんですけども、さすがに小学校から塾に通うことはないですね。

2:6:2の法則の視点

【松田】 分かりました、ありがとうございます。これからあるべき高齢社会を考えるときに、私はこういう三つの層があると思っていて。上がアクティブ層、いつも元気。こういう所に来ている人はアクティブ層。それで、非アクティブ層っていうのは、本当に具合が悪いだとか、健康上問題あるっていう、これはいることは間違いないわけです。問題は、この真ん中の潜在アクティブ層というかですね。やる気があるんだけれども、いまいち恥ずかしいとか、こういう所来ようかなと思うんだけど、なんか申し込みができないだとか、一歩踏み出せない人々っていうのが、結構いると思うんです。私は今、日本の最大の危機はこれがどんどん増えること。引きこもって、家でお荷物になって、具合も悪くなって、消費もしなくなるっていうのは、医療費も高くなるし経済も回らないってことなんですけれども、この潜在アクティブ層を引き上げるためには、どういったことが必要かということですね。僕が思うのは、やっぱりこれは官で頑張ること、民で頑張ることがあるんですね。民で頑張ることは、さっき言った立教のシニア大学のように、ああいう所行ったら楽しいよと。急におじいちゃん、なんかおしゃれになっちゃったとか。おばあさんがきれいになったとか、あるわけなんです。一方で、官で頑張ることは何かというと、これは僕のアイデアなんですけれども、日本は第2義務教育制度をやるべきだと思うんですよ。第1の義務教育は6歳、第2の義務教育は50歳になったら学校に行かなきゃいけないと。それで、地方に行くと、公民館に行くと、来てる人はいつも一緒。大体、女性ばっかり。日本人はもうこれは義務だとすれば、しょうがねえなといいながら来ると。さらに、行かないとあなたの住民税や固定資産税を上げますという罰則規定を、罰金を取るぐらいのことしないと、社会参加はないと。これは僕の勝手なアイデアなんですけども、第2義務教育制度ってどうでしょう。今やはり日本の最大の直面は、この潜在アクティブ層。奥ゆかしい人々がたくさんいるわけ。これをどうやったら引き上げられるかっていうことについて、もしメリッサさん、何かアドバイスがあればお願いいたします。

【メリッサ猪岡】 本当に、すごく面白い提案ですね。この第2の義務教育っていうのは、もちろん行かないといけないだと多分、皆さん、ちゃんと従って行くかもしれないんですけれども。やはり、いわゆる引きこもりをどうやって実際、アクティブ層に参画してもらうというのは多分、身近に見本がいるといいんじゃないかなと思います。多分、テレビを見たりとか、実際、例えばお店に行っても、ご夫婦が登山靴を買っている、いいなあと思っていても、でも自分がっていうのが多分、もしかしてそういうのあるんじゃないかなと思うので。本当にこういう皆さんに、どんどん社会に出ていただいて、どんどんアピールしてくのがいいんじゃないかなと思うんですね。特別なことやっているんじゃなくて、本当に自分たちのベストライフ。そんなに登山しているんだけれども、そこまで、南極に行く、エベレスト登山するわけじゃないのでっていう、怖くないよっていう感じで、皆さんが入りやすい、入り口を増やしたほうがいいんじゃないかなという気がします。

【松田】 いいですね。デウィさんはどうですか。

【トレスナニングルム・デウィプトリ】 ドア・トゥ・ドアの営業みたいな。一緒に行きませんかっていうのは、なんかいいのかなと思いましたね。引っ張ってあげられるといいますか。1人だとやはり、まず自分の住んでいるアパートのドア、一歩踏み出せないじゃないですか、そのときって。しょうがないなっていうと、やっぱり引っ張ってくれる人がいたらいいのかなというふうに思いましたね。

ミニ思考:WillとCanの視点

【松田】  そうですね。よい意味で引き出してくれる人がいるってことですね。ありがとうございます。それで、本当にお話も尽きないところなんですけども私自身思うのは、やっぱりこのwillとcanを持つということだと思うんですね。Willというのはやりたいこと、canというのはできることを持つことがセカンドライフ、とても大事だということです。そのためには、冒頭申した生きがいだっていうことなんですけども私はこの三つこそが高齢社会で大事なことなんですね。一つは成長実感、自分が今でも、例えば水泳のタイムが早くなってるだとか、マラソンのタイムが早くなってるだとかということ。誰かからの気付きっていうのは、フィードバックがあるっていうことですね。あれ、よかったよとか、いまいちだったとか、これがやっぱりないと寂しいということ。これが一番、僕、大事だと思うんですけれど、深い話し合いというのかな、青臭い議論というんですか。一体、日本の高齢社会どうあるべきかとか、俺たちはこれから一体何して、どうやって生きていけばいいんだろうって。こういうことをしてるコミュニティーっていうのは強いというふうに思うわけです。きょうのまとめなんですけれども、これからの高齢社会は何かっていうと、僕はプラチナ社会という発想が前向きで大事だということ。 松田 智生 株式会社三菱総合研究所プラチナ社会センター主席研究員 逆転の発想というのは、高齢社会はピンチじゃなくてチャンスとして、高齢者は社会のコストでなく担い手だという発想。資産、そのとおり。多世代の視点っていうのは、高齢社会っていうのは高齢者だけがハッピーな社会じゃなくて、多世代が輝く成熟した社会ということ。そして、続けること、深めること、広めることっていうのは、私はこういった会を、毎年続けるということ。深めるっていうのは、議論をもっと産官学で深めていきましょうということ。広めるっていうのは僕は東京は世界の高齢化のダボスたれと思っているのは、ダボスで経済フォーラムをやるように、東京でこの国際フォーラム。これやっぱり国際会議にするべきだと。国際的に日本が、東京に来れば高齢化の先進的なことが全て分かるといったようなものにすべきだということです。そして最後は、一歩踏み出す勇気ということです。きょう、多くの方が集まっていただきましたけれども、やはりこれは1人の個人ですとか、1企業や自治体だけじゃ難しいということです。きょう、ここに集ったような多くの方が一歩踏み出せば、日本にとって輝く高齢社会になるなというふうに思います。きょう、ここでの議論が皆さんの新しい気付きや、これから一歩踏み出すきっかけになれば、主催者としてこれほどうれしいことはありません。きょう、すてきなお話をしていただいたパネリストの方に、改めて大きな拍手をお願いします。どうもありがとうございました。

まとめ