第3分科会「高齢社会フォーラム・イン東京」
「通い続けられる、通い続けたい「通いの場」とは?」
- コーディネーター
- 澤岡 詩野
(公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団研究部主任研究員 工学博士) - パネリスト
- 瀧澤 由紀
(横浜市「元気づくりステーション事業」磯子区「ふくろう会」担当保健師) - 田口 礼子
(社会医療法人財団仁医会牧田総合病院「おおもり語らいの駅」看護師) - 瑠璃川 正子
(杉並区荻窪地域の集いの場「百人力サロン」代表)
〈要旨〉
第3分科会では、『通い続けられる、通い続けたい「通いの場」とは?』をテーマに自治体、医療法人、地域住民それぞれの取組みをコーディネーター的存在のかたがたから発表いただいた。はじめに横浜市磯子区「ふくろう会」担当保健師の瀧澤さまから自治体主導の地域づくり型介護予防事業の特徴として、住民みんなでその場をつくる、健康づくりの場をつくる、そしてコーディネーターとしての活動内容を発表いただいた。次に医療法人が取り組む「おおもり語らいの駅」について、看護師の田口さまから、多世代がつながる運営等について発表いただいた。最後に、荻窪地域の集いの場「百人力サロン」について代表の瑠璃川さまより住民が住民のため、そして自分のための場所づくりを行っている活動内容を発表いただいた。 コーディネーターからは、通い続けられる、通い続けたい場にするために一つの答えというものはなく、その人がいたい、通いたいという理由を引き出し、その場に何かをつくってあげることではないかと意見が出された。
【澤岡】 皆さん、こんにちは。12時半、お時間になりましたので、第3分科会『通い続けられる、通い続けたい「通いの場」とは?』というテーマで第3分科会、開会させていただきたいと思います。きょうは2時間という短いお時間ですが皆さまとこの議論を深めていけたらなと思っております。私は今回コーディネーターを務めさせていただきます、ダイヤ高齢社会研究財団の澤岡詩野と申します。きょうはよろしくお願いいたします。ここからは座ってお話をさせていただきたいと思います。
皆さん、今回のテーマ見られたときに、どんな課題とか、それからどんなことをイメージされましたでしょうか。特にこの通いの場。これは、例えば厚生労働省が住民主体の通いの場、これを日本全国に増やすようにというような通達を掲げて、さまざまな通いの場、そして居場所といわれるような場が全国に広がりつつあります。例えばサロン、そういったところ。コミュニティーカフェさまざまな場が、この通いの場になっているのかなと思います。厚労省のそういった通達を見ますと、さらに通いの場から、これを地域づくりに展開していくべしというような指示も出ています。じゃあ、そもそも通いの場、また私はこの通いの場を居場所という言葉にも置き換えて考えておりますが、その通いの場。そこに多分、通ってきたい理由がある。何か、そんな場なのかなと思います。皆さんが通いたい場、どんな場でしょうか。どんな場だったら、そこにずっと定期的に通い続けたいと思う場になり得るでしょうか。
きょうはこの通いの場、全国にいろんな場づくりがありますが、多くの場は、いわゆる高齢のかたがたをお客さんとして、お茶など飲んで、それから何かアクティビティーを提供して、つながりを生み出してくださいというような、割と運営する側と、それからもてなされる、参加する側というものがはっきり分かれているような、そんな通いの場が多いのかなというようにも感じます。 きょう登壇いただいたこのお三方は、そういう意味ではちょっと違う通いの場づくり。みんなで場をつくっていこう、参加をするシニアの方も、それから、これをつくろうという住民のかたがたも垣根なく、みんなで主体的に一緒に場づくりをしていこう、一緒に通える場にしていこうというような場づくりをしているパイオニア、お三方になります。 このお三方、まずきょうは私のほうから一番近い順番でご報告をいただきますが、瀧澤さんに関しては、横浜市という自治体が主になって、運営をしている、仕掛けをしている通いの場になります。そして真ん中にいらっしゃいます、田口さん。きょうは先生ではなくて、さん付けで呼ばせていただきたいと思いますが、田口さんに関しましては、民間と言ってこれはいいのかなと思いますが、民間医療事業者。医療法人が一つ主体となってつくられている通いの場。さらに一番はじにいらっしゃいます、瑠璃川さん。瑠璃川さんの通いの場は、本当にいわゆる住んでいる住民が住民目線で、そして自分ごととしてつくり上げている通いの場、居場所ということで、お三方から先駆的な取り組みについてお話をいただこうと思っています。 きょうはみんなでつくる通いの場、そういったことに対してどんな工夫とか、それから、それをやっていく上での課題があるかというお話もしていただこうと思っていますが、もう一つ今日ここに書かせていただいていますのは、やはり高齢期。どんどんと、関われるつながり、そして居場所というものは減っていかざるを得ません。そこで大事な視点としては、今までのつながり、今までいた居心地のいい居場所、通いの場、そういった場に可能な限り、そこに通い続けられることではないでしょうか。 ですので今回は、日本中に広がりつつあるこの通いの場、居場所というものを、人生100年時代ともいわれています。最後まで可能な限り通い続けられる、そして本人、通われている方が通い続けたいなと思えるような、そんな居場所づくり、通いの場づくりというところの視点で、どんなことが工夫としてあるとそんな場づくりができるのか。さらに言えば、どんな、そこの場づくりをする上ではクリアしなければいけない課題があるのかというような視点でも、きょうはご報告をいただこうと思っております。 ですので今日、まずお三方から、ご自身の取り組みについてお話しいただくわけですが、きょうはおひとかた、おひとかたの報告、長めに時間を取っております。大体おひとかたの報告、20分ぐらい丁寧に細かくお話をいただこうと思っております。そのお話を受けた後でわれわれ、まずはディスカッションという形で進行を考えております。 では早速、まずは横浜市磯子区洋光台地区、元気づくりステーションふくろう会の取り組みについて、瀧澤さんからご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
パネリスト 瀧澤由紀氏のお話
【瀧澤】 こんにちは。横浜市磯子区高齢・障害支援課、保健師の瀧澤です。よろしくお願いいたします。今日はこのふくろう会というグループのリーダーさんも来てくれているので、ちょっと心強いです。まず皆さま、横浜にお越しいただいたことはありますでしょうか。全然一回も来たことないよって人、いますか。来た方が何人か。だいぶ周知されていて良かったです。横浜は東京の南にある都市で、1859年、外国貿易のために日本で最初に開かれた港の一つです。日本一大きい横浜中華街には、中華料理や雑貨、食材など300店以上のお店が集まり、異国情緒あふれる場所で、すごくおいしいお店がいっぱいありますのでぜひ来てください。他には1906年、明治39年に公開され、園内には京都や鎌倉などから移築された、歴史的に価値の高い建造物が巧みに配置されている三溪園もあるんですね。現在、重要文化財10棟、横浜市指定有形文化財が3棟もあります。そして高さ296メートルのランドマークタワーがそびえる、みなとみらい地区もあります。
○ふくろう会のある地域は高齢化率が31.8パーセントと全国平均よりも高い
横浜市の人口は374万人、高齢化率は24.3パーセント。午前中の基調講演では、全国平均は28パーセント以上とあったので、市全体で見れば高齢化率は低めの都市となります。横浜の中でふくろう会というグループのできている洋光台は、中華街とかみなとみらい地区よりも南に位置しています。戦後、横浜市と日本住宅公団、現・都市再生機構、URにより開発されたニュータウンです。昭和40年代に開発が進んで、昭和45年に洋光台駅という駅が開業しております。それから50年近くたち、その頃働き盛りで転入してきたかたがたが仲良く年を重ね、高齢化率は全国の28.1パーセントより高い31.8パーセントです。
○地域ケアプラザは横浜市独自の施設
洋光台は標高が45メートルから80メートルと、起伏が激しいんですね。坂が多く、町名の由来は海から昇る朝日がきれいだということから来ています。JR京浜東北根岸線の洋光台駅から徒歩10分の所に、ふくろう会の活動場所、洋光台地域ケアプラザがあります。これが、地域ケアプラザの写真です。地域ケアプラザは、市民の誰もが住み慣れた地域において健康で安心して暮らせるよう、地域の福祉・保健活動を支援し、福祉保健サービスを身近な場所で総合的に提供する、横浜市独自の施設です。貸館事業も行っており、元気なシニアの方の大切な活動場所ともなっています。こちらで、元気づくりステーションふくろう会が月2回、2時間程度の活動を行っています。
○元気づくりステーションは地域の中で高齢者の健康づくりを進める自主活動グループ
元気づくりステーションとは、地域の中で高齢者の健康づくりを進める自主活動グループです。活動はおおむね週1回程度を目指しており、平均は月2回。地域のシニアの方が広く参加できる、市民の皆さまと横浜市が協働した活動です。区役所の保健師は地域ケアプラザの看護職の方とともに、グループの立ち上げの支援、活動継続のための支援を行っています。平成24年に、横浜市はそれまでのハイリスクアプローチからポピュレーションアプローチにかじを切りました。ハイリスクアプローチは、チェックシートで、虚弱になってきたと判断された方のみに一定期間、体操教室を実施するものでした。それだと、チェックリストで該当された方だけが対象なので、仲のいいお友達と一緒に健康づくりの場に行けないこともあり、継続のモチベーションが下がる要因の一つにもなっていました。ポピュレーションアプローチでは、対象はシニアであればどなたでも大丈夫。ご近所のお仲間お誘い合わせの上、参加できるので、継続しやすく、欠席が続いたときの声掛けなども自然に生まれます。身近な場所を想定しているため、通いやすいというメリットもあります。スライドの中ほど、ちょっと下のほうにハマトレという字がありますが、それは次のスライドで説明させてください。
○ハマトレとは、ロコモティブシンドロームを予防するためのトレーニング
このハマトレとは、ロコモティブシンドロームを予防するため、横浜市が高齢者の歩きに着目して開発したトレーニングです。横浜市のホームページから動画を見ることができます。皆さま、ロコモティブシンドロームはご存じでしょうか。ロコモティブシンドロームとは、加齢に伴う筋力低下や、骨、関節の疾患など、運動器の障害が起こり、立ったり、座ったり、歩いたりなどの、移動能力が低下する状態のことです。ハマトレには、猫背改善や体の傾き改善、股関節の伸展、足と足の関節体操、バランス力向上の5つのメニューがあります。スライドの写真は、猫背改善のための横曲げというものです。他の猫背改善のメニューを皆さんで体験してみませんか。どちらの手でも構わないので、片手を前に上げてください。その手のひらを、後ろ背中のほうにぐっとくっつけてください。そのまま反対の手で肘を押し上げます。そのときに手のひらは下に行く感じで。ちょっと背中の肩甲骨が伸びている感じがしませんか。反対もいってみましょう。先ほどと反対の手、後ろにくっつけます。肘をくっと押すと、気持ち良くないでしょうか。このストレッチを4カウントするのが猫背予防のストレッチの一つになっています。
○ハマトレで転倒しにくくなった! さらに認知症予防のメニューもグループで取り入れ
このハマトレを継続して転倒しにくくなった参加者も出てきました。ハマトレのリーダー養成講座を横浜市や磯子区で行っていたこともあり、その卒業生が自分の会でハマトレの音頭を取ってくれているグループもあります。磯子区では、区民が作詞した『みんなのISOGO』の歌に合わせたオリジナルのハマトレの体操を作りました。YouTubeで見ることができます。ハマトレの要素に音楽を付け、取り組みやすい体操になっていて、そちらを取り入れているグループもあります。また近年のリーダー養成講座では認知症予防にも関心が高まっていて、認知症予防運動プログラム、コグニサイズを取り入れてますが、コグニサイズは皆さんご存知ですか。神奈川県もコグニサイズを取り入れています。コグニサイズは国立長寿医療研究センターが開発した運動と、計算、しりとりなどの認知課題を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称です。アイスブレーク的に数種類取り入れることもできて、グループに持ち帰って実践がしやすいようです。
○ふくろう会が全体をコーディネート
磯子区として今年度は、認知症予防の効果を期待し、そろばんのリーダー養成講座も行い、ふくろう会からはもちろん、磯子区内の元気づくりステーションから何人もの参加がありました。現在、横浜市内には300もの元気づくりステーションがあります。そのため活動はさまざまです。ふくろう会は、登録者、23名より、ちょっと増えました。この発表資料を作った段階では、参加者は毎回15名程度。昨日もお邪魔したんですけど、昨日は18名ぐらいいました。参加者に加えて体操の講師がいまして、運営体制は会長1名、役員2名の3名が事務局として中心になってくださっています。ただし毎回の実際の運営っていうのは、前半が体操、後半はそれぞれの特技を生かしたものが多く、その回その回で、参加者一人一人が講師役、つまりその回のコーディネーター的役割を担っていただいています。その集合体とも言える年間スケジュールをコーディネートしてくれるのが、事務局です。見てのとおり、年間スケジュールは盛りだくさんです。後半部分には会のメンバーが講師役のような形を取るもの、これがスライドにあるスケジュールの青字の部分ですね。時にはメンバーと一緒に、11月5日にあるメニューでは、会以外の地域の友人に応援を頼んで、手話ダンスなど体験したりしています。毎年、年末に行う総会で次年度のことを話し合うんですが、今年度の事務局が進行役となって、①今年良かった活動。②今年いまひとつだった活動。③今年行ってはいないが来年やってみたいことなどを、具体的に振り返りながら、次年度の計画の基盤を出し合います。この進め具合が絶妙なんですよね。そして次年度の役員決めも総会で行っています。ちなみにこの地域で一番初めにできたふくろう会がコーディネーターとなって、年1回、このエリアの5カ所の元気づくりステーションの交流会も実施しています。今年は12月3日に行い、みんなでコグニサイズをもとに交流を行いました。
○自主グループ化のサポート
それでは磯子区の元気づくりステーション、ふくろう会がどのようにしてできたかについて触れたいと思います。市内に300以上ものグループがある元気づくりステーションですが、その立ち上げ方はさまざまです。その中でも、住民のかたがたの手でふくろう会を立ち上げるに当たっては、スライドのように、一番初めのところに、まず①『かっこよく年とろう!』、②『脳が活性化する4つの習慣』の、二つの講演会が開かれました。しかし、ただ漠然と講演会が開かれたわけではありません。講演会開催前から地域の男性群を取り込もうと、ケアプラザで自主活動をしている男性の料理グループのメンバーにも、講演会参加について積極的に働き掛けました。ここがふくろう会の男性参加者の増加につながります。洋光台地域ケアプラザにて介護予防講演会、『かっこよく年とろう!』には男性が3割の参加、『脳が活性化する4つの習慣』のほうには男性が4割近く参加しました。通常は男性参加者は良くて1割程度、男性を引き出すことに苦戦する同種の講座から見ると、得難い場と言えます。介護予防の連続講座については、2回の講演会参加者のうち38名の申し込みがあり、抽選の結果、男性10名・女性10名の、計20名の参加がありました。そして連続講座参加者20名全員がふくろう会の結成へと動き出したのです。ふくろう会の前身、介護予防連続講座は週1回、全10回で、頻度や回数も含め、自主グループ化してもらいやすいような工夫がいっぱいです。スライドにあるように、机上だけではない、飽きの来ない変化に富んだプログラム。体操はもちろん、レクリエーションや交流も毎回取り入れ、仲間づくりを意識しました。 自己紹介もゲーム化し、お互いを知る以外にお楽しみの要素も十分。毎回のグループ分けも出身地方別や誕生月が近いなど、話題が盛り上がりやすいよう考え、認知症予防にもなる知的ゲームを実施。考え方の多様性に気付くための内容も取り入れています。2回目以降は前回の振り返りを必ず行いお互いの気持ちや気付きを、変化を共有。一人一人に自分が主役となる時間を意識し、参加者に受け付けのお手伝い、会場の片付けなどの役割もお願いします。言いっ放し、聞きっ放しのルールを守って、聞きながら話し手のことを理解します。一人一人が話をする時間を設け、受け身の参加にしない。感想を言い合うことで共有共感を積み重ね、仲間としての一体感を生むように配慮します。話し合いでは、誰がリーダー的役割を担えるか、お世話好き、話し好き、仕切り好きな人などをリサーチ。数人でお茶に行ったなど、教室外の活動もつかみます。少しずつ参加者自身の役割が増え、10回目までには、これからの活動に向けての第一歩となる会。進行や書記など、参加者が主体的に会を進められるよう配慮しつつ進んでいました。
ふくろう会では基本となるハマトレは原則毎回実施、後半を、会員の特技を生かしたバリエーション豊かな活動を実施しています。男性・女性関係なく、持てる力を総動員です。前身の連続講座のときに交流を多く持ち、お互いのことを理解し合ったことが活動につながっています。ふくろう会を立ち上げるときに皆さんで話し合い受け身で体操だけやる、つまり面倒を見てもらうだけでなく、お互いをお互いでサポートする形にしよう、みんなで盛り上がろうとなったそうです。ある程度の役者がそろっていたので、足りないところは区の力を借りてということで、今の形ができました。
○人生の先輩である経験豊富な会員の皆さまの力を信頼、尊敬し、会の運営を見守る
年間数回、健康講座を基盤とした栄養、口腔などの講座を取り入れ、介護予防に関しての情報も提供しています。保健師はこれらの健康講座などのお手伝いを行い、人生の先輩である経験豊富な会員の皆さまの力を信頼、尊敬し、会の運営を見守っています。実際の体操は、膝が痛い人はできる範囲でなど、その方の無理のない状況で行うよう配慮されています。ご自身の体力、体調の許す限りでの参加。毎回、体操の効用を丁寧に説明しながら動いているのも特徴です。メンバーは常時募集しており、ふくろう会のメンバー以外も参加可能なイベントも設けて、ふくろう会の新規入会者を募っています。メンバーの中にはご自身やご家族の都合で一度退会し、落ち着かれてから再入会する方もいらして、来る者は拒まず、去る者追わずではありますが、度量の広さに、本人が来たいと思う限りは通い続けられる場となっています。ふくろう会に限ったことではありませんが、このエリアの元気づくりステーションは緩やかなつながりが良さとなっています。
○会員が通い続けられるポイントは、「緩やかなつながり」や「自分に合ったグループが選択ができる」
ふくろう会はメンバーの緩やかなつながりで、本人が来たいと思う限りは続けられる場となっています。ちなみに洋光台地区には5カ所の元気づくりステーションがあって、ふくろう会のように前半・後半の形を取っているところが3カ所。体操に重点を置いているグループが2カ所あり、参加者が自分に合ったグループ選択ができるようになっている点も、通い続けられるためのポイントではないでしょうか。
○邪魔をしない程度に顔を出して支援
ふくろう会の皆さんは、合唱、手品、手話、占い、似顔絵など、個人個人の従来持っていた特技がバラエティーに富み、こちらが講師を頼みたくなるような個性あふれる内容で会を継続しています。地域でのグループにしては珍しく、男性が多いのが強みで、女性も含め会社などで培ったノウハウが活動に生かされています。組織運営が上手なのです。保健師はふくろう会の皆さんの魅力を十二分に発揮できるよう、お邪魔をしない程度、1カ月から3カ月に1回程度、顔を出しています。毎回、会に顔を出すわけではなくてもいつもふくろう会のことを気に掛けており、地域ケアプラザの看護職も一緒にグループの立ち上げ支援をしているので、区役所だけでなく、活動場所であるケアプラザにもご相談ができる体制です。
○地域住民、関係機関、団体をつなぐことが役割
主役はふくろう会の皆さんです。保健師は、参加者が健康的、つまりお元気に暮らせるような知識等の普及を行うことと併せて、元気づくりステーションすなわち活動が継続発展するよう、地域住民、関係機関、団体や横浜市をつなぐ役割を担っています。人生の先輩たちの良さを生かしたグループ運営になっており、私も参加させていただくたびに、元気を頂きます。自分としても、これからの人生の過ごし方のお手本にしたいと思うほどです。最後になりましたが、ふくろう会会長からの受け売りですが、この会の名前の由来をお伝えします。かつて吉永小百合さんが歌って多くの人に親しまれた、『北風吹き抜く寒い朝も、心一つで暖かくなる』の歌のように、日々の苦労や困難もポジティブに前向きな心で取り組んでいけば、セカンドライフも朗らかで幸せな生活になると信じ、ふくろう会と名付け、元気のパワーを充電し合うグループだそうです。もちろん会の名前も参加者がみんなで考え、決めました。その方の人生で培ってきた、ご自身の持てる力を発揮し、ご活躍されているふくろう会の皆さまは、まさにかっこいい年の重ね方と言えます。これからもわれわれ後輩に、その勇姿を見せ付け、かっこよく年を取る魅力を伝え続けてほしいと思います。ご清聴ありがとうございました。
【澤岡】 瀧澤さん、どうもありがとうございました。いわゆる行政とか専門職の方がお膳立てをした場づくりっていうのがよくあるのかなと思いますが、このふくろう会がそうじゃない、みんなでつくっている場なんだなっていうことがわかりました。代表の太田さん、実はこちらに前から2番目に座ってらっしゃるんですが、瀧澤保健師がご報告いただく間にずっと緊張した、ご自身が報告するかのような表情でいらしたの、やはりみんなでつくっている場だから、そんな緊張もされるのかなと思って伺わせていただきました。非常にきょうのお話の中には、例えば後ほど触れさせていただきますが、やはり高齢のかたがたの場づくり、居場所づくりをする上では、男性のかたがたをいかに引っ張り出すか。そこが大きな課題となっている中で、恐らく元気づくりステーション、さっき300カ所ぐらいできつつあるという中では、ふくろう会はやはり、ちょっと男性比率の多い特別な会なのかなと思います。そういう意味でもきょうは、元気づくりステーションたくさんある中で、あえて瀧澤さん、ふくろう会の担当されている方にお話をいただきました。後ほど男性を引き出すこつであったり、さらにもう一つ、ちょっと気になったキーワードとしましては、緩やかに戻ってきやすい。高齢期って自分が元気でも、家族の介護とか、ご自身の活動がいろいろある中で、やはり1回活動を止められたりとか、辞めざるを得ない方。それから病気になって入院をされて、通いたいけど通えなくなってしまう方。そんなような状況もある中で、やはりいかに戻ってきやすい場にするか。いかに緩やかにそんな空気づくりができるかっていうのも、非常に重要なところなのかなと思って伺わせていただきました。このあたりは、後ほどまたゆっくりとご質問させていただきたいなと思います。どうもありがとうございました。では次にお二方目ということで、医療法人が運営する場、おおもり語らいの駅についてご報告をいただきます。田口さんよろしくお願いいたします。
パネリスト 田口礼子氏のお話
【田口】 皆さん、こんにちは。ご紹介いただきました田口と申します。きょうは私のほうから医療法人が運営する居場所ですね。おおもり語らいの駅について、ご紹介させていただきます。最初に私の自己紹介をさせてください。私の職種は看護師です。社会医療法人財団仁医会牧田総合病院というところで地域の部署をまとめております、地域ささえあいセンターというところで課長をしております。きょうご紹介させていただくおおもり語らいの駅では、地域ささえあいパートナーという、いわゆるコーディネーター的な役割をしておりまして、常駐している職員になります。私の経歴で言いますと、病棟の看護師を経験した後、在宅の世界に入りました。在宅でケアマネをまず初めに少しやりまして、その後、当法人が大田区から委託を受けております、地域包括支援センター入新井というところで10年間、地域包括支援センターの看護師として勤めておりました。そのときに、もしかしたらご存じの方もいらっしゃるかもしれないんですけど、みま~もという活動がございまして。正式名称おおた高齢者見守りネットワークといいますが、その団体の立ち上げから10年間運営に関わってきました。一昨年になります2017年、法人としておおもり語らいの駅という場を立ち上げることになりまして、地域包括支援センターから離れて、法人専属の職員としておおもり語らいの駅を立ち上げ、現在に至るという形になります。これが今の私。真ん中にいるのが私で、一切看護師風な感じはないんですけれども、こんな感じで日々過ごしております。きょう私がお話させていただくのが二つです。このおおもり語らいの駅の誕生の訳と、語らいの駅の使命ですね。それとポイントと工夫という二つの点でお話させていただきたいと思います。これは、うちの病院のご紹介になります。牧田総合病院は東京大田区の京浜東北線大森駅のすぐそばにございまして、70年、80年近くの歴史のある、地域に密着した病院になります。二次救急を中心としている病院ではあるんですけれども、人間ドックといった予防医学から、急性期、回復期、そして在宅介護、福祉といったところまで、多岐にわたる機能を持った総合病院になります。その中で、この在宅の部署の中におおもり語らいの駅というのが存在しています。
○誕生の訳と指名
誕生の訳と使命という、なんか使命とか言ってしまったんですけれども、なんで病院がそういう場づくりをするのかっていうのを、多分皆さん一番疑問なところかなと思ったので、お話ししていきたいと思います。私たち、病院で仕事をしていると、こんな人たちによく出会います。例えばやせ細って動けなくなった高齢者の人たち、かなり進行して手の施しようのないような状態のがんの人、異常に高い血糖値とか血圧の方、それから会話が成立しないほどに進行した認知症の方。こういう人たち、救急車で搬送されてきたりとかっていうことで、病院でよく出会います。
そのとき、私たちどう思うかっていうと、なんでこんな状態になるまで病院に来なかったんだろうって、単純に本当にそう思います。なんでなのかっていうのをちょっと考えてみたんですけれども、本人自身の問題と、もう一つ、本人を取り巻く人の問題っていうのがあるのかなと思うんですね。まず本人自身の問題っていうところで言うと、一つ目が、本人は何となく気付いているけれども、何らかの理由で行きたくないとか行けないような状況の場合。例えば病院が嫌いとか、白い白衣着た若い偉そうぶっている医者にはなんか言われたくないとか、悪い病気って言われるのが怖いとか、仕事を休めない。何らかの理由で行きたくても行けない。経済的な理由だったり、子育てや介護を抱えていたり、虐待が起きていたりなど、そういうのがあるかと思います。本人自身の問題の二つ目としては、全く気付いていないか、大したことがないと決め付けて、行く必要がないと思い込んでいる場合。これは病気の知識がなかったり、自分の体にそもそも関心がなかったり、あとは認知症や精神疾患など、自分自身で気付きにくい病気の場合、そんなことが考えられるかと思います。
もう一方、本人を取り巻く人の問題っていうと、相談する人がいなかった。あとは気付いてくれる人がいなかった。あとは病院に行ったほうがいいんじゃないって、勧めてくれる人がいなかった。こういったことがあるかと思います。私が思うに、何気にこの本人を取り巻く人の問題っていうのがかなり重要で、個々の問題が解決されていれば、本人自身の問題っていうのもクリアになるケースが少なくないんだと思います。
○人がより良く生きることを体の面からサポートすることが病院の使命
病院の使命。それはもちろん病気になった人を治療することです。一方そこで働く私たち医療職の使命っていうのは、病気になった人を治療することだけが100パーセント、イコールではないと思っています。では、何なのかっていうと、治療も含め、人がより良く生きることを体の面からサポートすることです。人がより良く生きることを体の面からサポートすること、これを実現するために牧田総合病院ができることっていうことは、まず二つの機会をつくること。チャンスをつくること。きっかけですね。
○二つの機会をつくること
二つの機会って何かというと、機会の一つ目。まずは一人一人が自分の体のことを考える機会です。そして二つ目があなたと専門職、あなたと地域の誰かがつながる機会、この二つの機会をつくることは病院としてできます。ただ病院がしてあげられるのはここまでで、その先は一人一人が行動することを応援する側に回るべきだと、回ることしかできないと、病院としては思っています。それを実現するために必要だったものが、常にそこにある場である、おおもり語らいの駅という場所でした。これが外観ですね、語らいの駅の。ちょっとまとめになりますがおおもり語らいの駅の二つの使命は、体のことを知る機会、そして専門職や地域がつながる機会、この二つの機会をつくること。それと一人一人の行動を応援していくことです。2017年5月8日にオープンいたしました。飲食店の営業許可を得ている普通のお店です。オープンからの1年間で、延べ6038名の方が利用されて、1日平均の利用が24名になります。これが年代別に見たグラフなんですけれども、40パーセントぐらいが65歳以上の高齢者。黄色い部分、33パーセントが20歳から64歳。次に多いのが未就学児で18.7パーセント。この未就学児は黄色の部分のお母さんとかお父さんと一緒に来ている子たちになります。あと残りが小学生っていう感じです。本当、バランス良くといいますか、多世代にわたってご利用いただいているという形が分かるかと思います。
○2つの使命を実現するための「ポイント」と「工夫」
きょうの話の二つ目です。二つの使命を実現するためのポイントと工夫というところで、お話ししていきたいと思います。こちら、皆さんのお手元に資料、パンフレットがあるでしょうか。そこの表に書かせていただいている文章になります。実はこのおおもり語らいの駅の『駅』というのには、込めた思いがありまして。私、きょう、霞ヶ関駅からこちらの会場まで来てますけれども、駅っていうのは決して最終目的地ではないかと思います。でも都会の中で生活している上では必要な場所です。毎日通る身近な場所でもあるかと思います。駅というのは電車を利用する以外にも、待ち合わせや休憩、食事、買い物、ジム、習い事最近は保育園なんかも併設していたりして、本当、さまざまな目的でさまざまな人が行き交う場所だと思います。おおもり語らいの駅はこういう場所になりたいと思って、この駅という言葉を使いました。人が動くと物が動く。物が動くと人が動く。人と物が動くと、町に循環が生まれ、活気が生まれる。そう思っています。おおもり語らいの駅は、人と物を動かすことによって、おおもり語らいの駅を通じて地域に循環をつくっていくってことを目指しています。
○循環をつくり活気を生む
なんで循環を目指すのかっていうことなんですけれども、シンプルです。一施設だけでカバーできる人数は限られているからです。例えばなんですけれども、語らいの駅の営業日、月曜日から金曜日まで。毎日、開店から閉店までいてくれる人が22人いる。なんで22人かというと語らいの駅、22席しかないからです。ちっちゃい場所です。ていう場合と、もう一方、毎週欠かさず週1来てくれて、2、3時間過ごして帰る人が220人いるっていうケース。私たち、どちらを目指しているかというと、間違いなくこっちです。これってどういうことかなっていうと、来る人にとってはこの語らいの駅という場所だけがその方の生活の全てではない。でも通う意味のある大事な場所であるっていうことだと思います。地域全体にとっては循環と活気が生まれてくる。それだけ人の出入りがあるということだと思います。
○「いろいろ」と「そこそこ」
そのポイントです。それを作るためのポイント。まずは多くの人に行ってみようとか、行ってみてもいいかなって思ってもらうこと。それから、行ってみたら何だか心地いい感じの緩いつながりがあること。そしてその人なりのそこに行く目的があることをポイントと思っています。これを実現するためのキーワードが、いろいろとそこそこっていう感じです。いろいろとそこそこ。これが工夫の部分になってくるんですけども、ハード面とソフト面でちょっとご紹介していくと、ここですね。まずそこそこのおしゃれ感。おしゃれ過ぎると、高齢者、来ないと思います。ダサ過ぎるというのもだめなんですけれど、あんまり暗い感じの場所だと、若い人が入りづらいと思います。その中間ぐらいのそこそこを目指してます。あとは入りやすい雰囲気、この辺、後で写真ご紹介します。あとはバリアフリーで、車椅子で一応狭い場所ですけれども、おトイレとかまで行けるようになってます。トイレには赤ちゃんのおむつ替えシートがあったり、あとキッズスペースもあります。
清潔感っていうのももちろん大事で、清潔感は、語らいの駅、4時閉店なんですけど、閉店すると、そのときいたお客さんができる範囲で一緒に掃除とかしてくれるんですね。これって結構大事だなって思っていて、自分もその掃除をやっていると、ちゃんと掃除されていることとか、例えば掃除機がけして、雑巾がけしているんだとか、洗剤はこういうの使っているんだとかっていうようなことをお客さん自身も知っていると、やっぱりそれって安心感になると思うんですね。特に赤ちゃんのおもちゃとかそういうのも、毎日消毒されているのが分かるっていうのは、ママたちにとっては結構安心感につながっているのかなと思います。そういう清潔感。だから汚れていたときも、「ここ、汚れてた」ってなったら、「ああ、掃除し忘れちゃったね」って、こっちが責められないみたいな、そういう感じもあるかと思います。あとは雰囲気作りでは、自然に会話が生まれる机の配置とか、ちょっと考えたりもしています。
ソフト面のほうは各世代とか性別に特化した企画。あとは逆に共通した企画。それから語らいの駅のために何かをしてもらうとかいう企画とか、物を介したつながり、つながる伝言板、そこそこのスタッフの関わりなんてことも工夫しています。この辺、後ほどご紹介していきたいと思います。これは皆さんのお手元のパンフレットの、開いていただいた中面になります。工夫のところで、時間帯で言うと、この大きくカフェタイムという時間帯とチャレンジタイムっていう時間帯に分かれています。カフェタイムっていうのは、好きなときに来て、好きなときに帰って、お茶を飲んだり、ご飯を食べたり、好きに時間を過ごせる時間です。チャレンジタイムっていうのは、講座とか企画とかをやっている時間になります。もう一つ、利用するだけじゃなく語らいの駅を応援してくださいってことで、ちょっとしたボランティアのお願いだとか、募金とか、寄付とか、そういったことで語らいの駅と関わるという手段も提示しています。ここからは写真をご紹介していきたいと思います。
これ、歩道から見た語らいの駅です。元床屋さんを改修した場所なんですね、ここ。昔ながらの床屋さんにある感じの、こういうおっきい窓が歩道に面してあります。なので中がすごく見えやすいし、中から外も見えるので、すごく入ってきやすい。外からのぞいている方に私たちも気付きやすいので、声を掛けやすいっていうメリットがあります。この一番窓際の特等席に畳が敷いてあって、ここがキッズスペースになっているので、子どもたちが常に見えるっていう感じです。こんな感じで、ちょっと動物園みたいになっていますけれども、外に向かって子どもたちがアピールしてたりします。中の雰囲気、こんな感じです。さっき、机の配置のお話ししたんですけど、4人掛けのテーブルが五つあるんですが、あえてくっつけて、必然的に相席になるような感じにしてます。ただテーブルの幅も結構あったり、大きくつなげているので、相席がそんなに苦痛じゃないというか、圧迫感はないような相席になるようにしています。カッコウ時計が置いてあって、ゼロ分になるごとにカッコウって鳴るんですけど、人形が出てきて音楽が流れるんですが、それをこの1歳児たちのブームでして。カッコウって鳴ると、見せて見せて、抱っこしてっていう感じになって、それをママも抱っこして見せているし、一緒にいた、たまたまいた小学生が、こうやって赤ちゃん抱っこしたりして見せるっていうのが、語らいの1時間ごとの恒例行事になってます。これが図書コーナーですね。ここに並んでる本は全部、地域の方からの寄贈で頂いた本になります。子ども向けの本から料理本とか文芸書、ビジネス本までいろいろあります。これは語らいで読むこともできるし、おうちに貸し出しの形で持ち帰ることもできます。こういう感じで物を介して、人がつながっていくっていうことですね。 つながる伝言板っていうのがありまして。これは例えば自分が何かやりたいんだけれども、一緒にやってくれる仲間がいないときに仲間を募集したりとか。こういうことがやりたいけど、私はやれないから、教えてくれる人が欲しいとか。あげます、譲りますとか、そういったのを自由に自分で貼り出して、掲示できるものになります。
この事例をちょっとご紹介すると、これは布草履を作るっていう講座というか提案をしてくれた方がいるんですけども、きっかけはこのシニアの方ですね。このシニアの方に、30代のママさんが「布草履、作りたいんだけど、作れる?」って言ったんですよ。高齢だと何でもやれると思っているみたいで、30代のママたち。でもこの方、やれなかったんですね。だけどそう言われたからといって、いろいろ試行錯誤をして、しまいにはまな板に自分でくぎ打って、こんな道具まで作って、「できるようになったのよ」って。「私、だからこういうの教えられるわ」って言って、こういうの企画というか、こういう掲示をしてくれました。そうすると、私がやりますっていう人がここにお返事書いて、高齢者の方から若い人たちまで集まって、こうやって布草履を作ったりしてます。これはもう完全に、語らいの駅としては場所を提供しているだけです。テーブルを二つ貸し出しているだけです。 これも30代のママさんからの提案なんですけど、2カ月の頃からずっと語らいの駅に毎日通っていて、1歳になって職場に復帰するなのでもう語らいの駅には来られなくなるっていうタイミングで、おうちにある要らない物を売って、語らいの駅のキッズスペースをもっといい場所にしたい。これから来る子たちのためにいい場所にしたいっていうので、こういう提案をしてくれました。こういう箱を置いて、断捨離したものを入れて、最終的には集まったものを全部売りに行きまして。あと店頭でバザーなんかもやって、2万7000円ぐらいの売り上げがあって、赤ちゃん用の椅子を買いました。これも私たちはほとんど何もやってないんです。私たちが物を寄付してくださいって言って集めて、売りに行くっていうと、なかなかちょっと難しいところはあるんですけれども、住民の方たちだからこそできることかなと思います。
これもちっちゃい子を持つママさんからの提案なんですけれども、これは老人ホームに子連れ体験訪問なんですけど、ある日、1歳過ぎのお子さんを持つママが私たちのほうに提案をしてくれて。ずっとこの子もちっちゃい頃から通ってたんですけれども、1歳を過ぎてできること、わが子が成長してきてやれることもできてきて、母としてもだいぶ楽になったと。なので、今までお世話になったおじいちゃん、おばあちゃんたちに、恩返しがしたい。わが子を通して恩返しがしたいっていう提案をしてくれました。といっても、わが子1歳なので、何ができるかっていうと、よく食べる子なんですよ。なので食欲のないおじいちゃん、おばあちゃんたちと一緒にご飯を食べたら、わが子の食欲を見て、このおじいちゃんたち、いっぱい食べてくれるんじゃないかっていうふうに提案をしてくれたんですね。それを語らいの駅で何とかしようっていうこともできたかもしれません。でも、この人はきっかけを語らいの駅で得て、もうあとは応援するだけだなって思ったので、あえて語らいの駅で何かをするってことはせずに、先にお話しした、みま~もの中でつながっている有料老人ホームの施設長さんにお話をして。そこにつないで、そこの施設に慰問訪問じゃないですけれどもつなぐようなお話をしました。
これが実際始めて行ったときですね。ここに子どもたちがいて、入居者の方たちが孫を見るように優しい目で見守っていますけれども。こんな感じで、今では毎日のように、ここの施設にこの子は行っているっていうことです。仲間のママさんたちにも声掛けて、10人とか20人とかで訪問したりしているっていうことで、施設の方もすごく喜んでいるし、子どもたちも喜んでいるっていう感じになっています。 これは小学生たちが自主的に、敬老の日になんか飾り付けをするって言って、こうやって閉店後、サプライズをやりたかったみたいで。おばあちゃんたちがいないところで、こうやって飾り付けをしてて。翌日、ランチで敬老御膳を出したときに、こういう、店内に子どもたちの飾り付けが飾られたという体です。それからこれはバザーですね。完全駄じゃれです。皆さんとのご縁にかけて、1品5円、全品5円のバザーっていうのを2年連続開催してます。こんな感じでいろんなものが集まって。これは子供服のバザーなんですけど、先輩ママがここにいて、こういう季節はこういう服が便利よとかっていう、そういうアドバイスももらいながら、5円で服を買っていくっていう。この子のお下がりの服になるんですけれど、この子はお店屋さんごっこ的な感じで、ここで店員さんをやっていて。ここでもらった5円で、また他のものを買って帰ったりとか、そんなこともしています。
これは大掃除ですね。これも2年連続でやっているんですが、語らいの駅に大きいホワイトボードがあるんですけど、大掃除をここにこうやってリスト化して貼り出すっていうか、書いておくんですね。無理のない範囲でご協力お願いしますってことで書いとくと、そこにいる人たちが、あと何がやってないかなって自分たちでチェックして、自分たちで自主的に動き出してくれています。こんな感じで高齢者の方も、若いママさんたちも、これはおもちゃ箱を作り直していたりするんですけれども、母がこうやって頑張ってやっているところで、子どもの面倒を小学生が見てくれているっていう感じの写真です。足腰悪いおばちゃんたちはアイロンがけを手伝ってくれたりとか、子どもたちなんかもできる範囲で。これはおじいちゃんが包丁を研いでくれてます。わが子も手伝ってます。こんな感じですね。終わった後はみんなでお茶して、疲れたね、よく頑張ったねっていうそんな、みんなで一緒にお茶したりもします。子どもたちもこんな感じです。チャレンジタイムなんですけど、これは牛乳パックで椅子を作ろうっていう企画で、こんな感じでやってます。高齢者の方にとっては膝が悪い高齢者の方、床に座れない方が座ることもできるし、子どもたちはご飯を食べたりするのにちょうどいい高さの椅子を、みんなで一緒に作りました。これは高齢者の人たちが、若いママさんに子ども用の帽子の編み物を教えているところです。
それからこれはうちの院長です。うちの院長は、循環器の医師になります。高血圧の話ということで、講座をやってくれました。小学生からおじいちゃんもいて、女性の方たちもいて、高齢者の方まで、いろんな人たちが一緒に講座を受けました。この子はお医者さんになりたい小学校3年生です。これはうちの理事長です。脳神経外科の医師になります。脳の不思議ってことで、これも夏休みにやったので、やっぱり小学生が一緒に参加しています。 あとは3世代でたこ焼きパーティーをやったり、これは薬剤師さんの講座ですね。これは日本栄養士会と連携した企画で、栄養士さんが中心でキウイのジャムを作りました。夜カフェっていって、月に2回だけ夜も営業しているんですね。食堂をやっています。これはクリスマスのメニューです。お代わり自由。ご飯とおみそ汁はお代わり自由になっててって感じです。あとは夜カフェビンゴっていうのをやっていて、この夜カフェ自体もつながりをつくる仕掛けをしてあります。こういうビンゴの紙を渡して、ご飯の前に手を洗ったよとか、初めて会う人にごあいさつしたよとか、これ全部クリアするとおもちゃがもらえたりとかします。なので、こうやって食べた食器は自分で片付けて、おばあちゃんにごちそうさまって言うっていうのがみんなやっています。駅長さんっていう人がいて、この駅長さんとじゃんけんで勝たないと、最終的にはおもちゃがもらえないので、こうやってじゃんけんして、こんな感じです。このおもちゃも全部寄付で頂いたものです。
最後に、おおもり語らいの駅が通い続けられる場であるためにということで、ちょっとまとめました。通う目的の多様性と手軽さ、あとは、最もハードルの低い目的っていうのは顔を見せに行く、ただお茶を飲みに行くとか、あいさつしに行くっていうことなのかなと思います。それは、語らいの駅の飲食店であるっていう強みだと思います。それから気が向いたときに行ける、場所側の予定に合わせる必要がないっていうのが、語らいの駅の強みですね、常設の強み。なので、チャレンジタイムありますけれども、講座とか企画を入れ過ぎない。カフェタイムのバランスっていうのも、すごく考えています。
○多世代の良さは役割が生まれやすい
高齢者にとって多世代の良さっていうところで、役割が生まれやすかったり、やはり苦手な部分は助けてもらえるっていうことがあります。これはなぜか分からないんですけど、仲間割れとかもめ事がすごく少ないなというふうに思います。何よりもやっぱり赤ちゃんの笑顔で全てが吹っ飛ぶかなっていうのはあります。
○お客さまをつくらない、サービスを提供し過ぎない
スタッフの関わりっていうところで言うと、お客さまをつくらない。サービスを提供し過ぎないというのは、すごく気を付けています。そして、みんなが安心して利用できる最低限のルールだけは決めて、あとはできる限り自由にしてもらえるようにしています。何だかんだ言っても、やはり高齢者の方たち、ちょっとずつ来るのが大変になったりとか、いろいろできないことが増えてきたり、認知症が出てきたりっていうこともあります。そんなときとして、専門職として介入のタイミングっていうのは常に見極めて、適切な機関につないでいくっていうことも大切にしているところです。以上になります。ご清聴ありがとうございました。
【澤岡】 どうもありがとうございました。非常に多世代っていうことをキーワードに、お話をいただきました。私、実は大掃除の日、打ち合わせで伺わせていただいたんですけど。本当にみんなふらっと来て、そのボードを見ながら、「あれ、やってないんだ。じゃあ、やろうか」といった感じで、すごく緩やかなあうんの呼吸みたいなものができていて。でも、それは素晴らしいなと思いつつも、意外にこれは運営する側からすると、結構冒険ですよね。誰もやってくれないという可能性もある。相手をいかに信じるかというか、相手といかに人間関係をつくっていくかという部分も、すごく気を付けてやられている場なのかなということを感じました。 後ほどまた深く伺わせていただきたいと思うんですが、きょう割とシンプルにいろいろとお話いただいた中で、やはり多世代の交流 が生まれているっていうことを以前、田口さんに語らいの駅が始まるぐらいのときに伺ったのかなと思うんですが、これは多世代が一つの部屋にいれば、交流が生まれるわけではないというお話をされていました。やはりコーディネーターが付かず離れず、交流を生み出すというつながりを仕掛けるというようなことを意図的にしていかないと、この多世代の循環というものが広がっていかないというお話を伺ったのを思い出しました。後でこのあたり、こつなどもちょっと伺えたらなとも思います。どうもありがとうございました。
では最後、お三方目、住民主体というような視点でお話をいただこうと思います。人生100年時代の居場所を考える。通いの場から通い続ける場にということで、荻窪家族プロジェクト・百人力サロンのケースを荻窪家族プロジェクト代表の瑠璃川さんにお話をいただきたいと思いますよろしくお願いいたします。
パネリスト 瑠璃川正子氏のお話
【瑠璃川】 東京の杉並区に荻窪という所がありまして、私の生まれた所であり、今住んでいる所です。荻窪家族プロジェクト百人力サロンを考えたのは、両親の介護と主人の両親の介護を通してだんだん自分に置き換えて考え10年以上経過し、結果こう言う建物で想いの事をしています。父は102歳、母は96歳で亡くなり、自宅でみとりました。主人のほうの父と母も96歳と80代で亡くなっております。施設で亡くなったり、自宅で亡くなったり、それぞれを、介護の濃淡はあるんですけれども、4人の場合を携わってのことです。私は団塊の世代真っただ中なので、高齢になることを考えると、近所の方とどういうことが必要かなって思ったところですね。私、親を見たときにはきょうだいが3人いて、みんな専業主婦だったため、親の介護は大変でしたけれども血縁でできました。
しかし私には、子ども2人いるんですけれども、やはりそういう状態ではないので、血縁が仲良くてもやっぱり薄くなって、若者はとっても忙しいですよね。社会保障だけでもどんどん薄くなるばかりですし、ご近所さんとは、あんまり付き合いがないっていうのが好きで、こういう形を望んでた私たちではあるんですけれども、今度はちょっと薄過ぎて、なかなか助け合いが行われにくいという現状ですね。またお金はたくさんあったほうがいいんですけれども、お金だけでは解決し難いことがたくさんあって、それも今気付けていないところがあります。
○徒歩圏内の近くの人と100人のつながりでいろんな力を得る
それには本当のお隣じゃなくても、徒歩圏内とかそういうお近くの人と、100のつながりをつくっていったらどうかなというふうに考えまして百人力サロン、百人力って言葉が生まれたんですが、100人の力を私は得て、それは知恵であったり、ごみを運んでくれる力であったりそれからアドバイスであったり、いろんな力を、100を、いろんな方から得てそして私も誰かの100分の1になっていきたい。そういうことで百人力サロンという名前を付けて、100のつながりをつくることが、これからの私を支えてくれる、地域の人を支えてくれるというふうに考えました。それをつくる場として荻窪家族プロジェクトを考えてきました。ここは木造の賃貸住宅と母屋がありましたので、同じく賃貸住宅と地域に開かれた場所を備えた建物を建て、1階の半分を地域に開かれた場所として使っております。その他は賃貸住宅ですね。入居者は家族のようにということで、各部屋にはシャワーで共有の浴室、洗濯室があります。また居住者だけの居間としての広いラウンジがあります。百人力サロンの紹介としまして、こういうことをするんだと言っても初めて聞いた方には、ご近所の方でもなかなか分からないのですけれども、何しているのという形で、ご近所さんが顔を突っ込んできてくださる。そのうちに、それならメンバーになってもいいかなって思ってくださる。サロンメンバーになってくださった中で事務局としておかみっていうのは私のことなんですけども、おかみと番頭さんっていうふうに呼んでいるんですが、ここの企画と、運営とお掃除と、利用する方の案内をする。これは完全ボランティアで、都合のいい日に当番制でしております。
居場所として、1階の半分に百人力サロンのスペースがあるんですけれども、地域の人と入居者たちも一緒につながる場としております。そこではふらっとお茶会とか、荻窪暮らしの保健室とか、チョコっと塾、百人力食堂、裏百人力食堂、てらこや、子育てサロンなどがあります。これは今言った写真ですけれども、左のほうはふらっとお茶会のところで、梅干しとかラッキョウが話題になった回ですね。皆に自作の梅干しとらっきょをプレゼントしてこられたのですが、差し上げていなかった人に気が付き走って自宅まで取りに帰り分けてくださった。そういうご近所の方がいたりですね。それから真ん中の写真は荻窪暮らしの保健室で、荻窪の駅前で整形外科にお勤めの理学療法士さんが来てくださって、ミニレクチャーをして、お話をしてくださっております。一番左側は番頭さんのミーティングで、こうやって、次の企画は何しようかというふうに話しているところです。次は百人力食堂ですね。百人力食堂には月1回の管理栄養士さんが来てくださいまして、食の話と、管理栄養士さんが7、8割ぐらい作ってくださったものを参加者全員で支度をしまして。そしてテーブルに並べ、食材の話などをしていただきながら食べ、後片付けをしていくという写真です。皆さん、これは楽しみにしてらっしゃいます。
○やめになった食堂の会をつながりと工夫で復活
その他に仲良しの3人の方がいらして、もう1日、食堂の会があったんですけれども、その中のお一人のご主人が具合悪くなりまして続けられないということで、この会がやめになってしまったわけなんですがそれは残念に非常に思いまして、何とかしたいと思って、私、すごく料理を作るの苦手なんですけれど、お試し食堂ということで、どうにか簡単にみんなで食べる機会を持ちたいと思って、最初は、お店から幕の内弁当を、あんまり料金的にも高くしたくないので、500円なんですね、それを買ってきまして、みそ汁とご飯は作っていましたら、何も言わないのに差し入れがあるんですね。「これ、漬物。キュウリ2本、ぬか漬けで、使って」っていうのがあったり、「デザート持ってきた」って言って差し入れがあったりして、結構豪華な1食になっていくわけですね。第2回目は、さあ、今度どうしよう。お弁当は、やはりお弁当を考えると、幕の内以外はとんかつ弁当とかハンバーグ弁当、から揚げ弁当、こういう内容になっていて、それはちょっと私たちの年代で、好きなときもあるんですけれども、なかなか難しいので。値段にも限りがあるということで、何かできないかねということで、近所で低価格でできるロールキャベツがありました。ロールキャベツを買ってきて蒸し野菜にしようっていうことで、蒸し野菜を作って、これが2回目ですね。3回目は、今度はおいしい大きめのシューマイを売っている中華料理屋さんがあった。それを買ってきまして、スープを作ったり、みんな来ている人たちの知恵で1食がかなっていくわけです。
○支えあいの保存食づくりにも発展
こんな食堂をやっているうちに、保健センター、いわゆる保健所の管理栄養士さんと知り合うことができまして。そこで1回はお話をしに来てもらって、私たちの会がどんなものかということを見てもらい、何とか自分たちでできるように保存食、それも豆とかみそとかいう保存食じゃなくて、次の日の分、あるいは数日分ぐらいの、保存食を作るのを実習してもらえないかという折衝をしまして、受け入れてもらえました。
今、3回シリーズで、第1回目が終わったところなんですけれども、メニューを持って来ていただいて、今度は午後に、その管理栄養士さんが作ってくれたメニューを作りました。すし酢で作るピクルスが一つ。酢タマネギが一つ。蒸し鶏が一つ。それからあとは南蛮みそっていう、この四つのメニューを8人で作りました。それぞれ、そこでは食べずに持って帰ったんですね。午後作ったから、今晩なくなっちゃうかもしれないですけども、これが8人で作ると、切る作業はたくさんありましたが、8人で作ると結構簡単ねっていうこともあり、またこの中で、私の夢を入れていただいているわけなんです。例えば8人のうち1人具合が悪くなったときも1人分ぐらい余計に作って届けられるといいねということを思っての企画です。これが第2回目と第3回目も予定して、4月には栄養士さんも異動があるかもしれないということで、参加の地域住民が持っている保存食があるはずだっていうことで、それを1人ずつ聞いて、みんなで共有していこうと思っています。参加者にこの想いを書いて読んでもらいました。
○次の段階に向けて
それから、最後にこれからの目指す姿として、1年後には、ここにはてらこやと子育てサロンを発展させたい。現在てらこやは、小学生を近所の方が教えて、算数と理科が今主流なんですけど、国語教える人はいないかねって一生懸命、探してます。結構皆さん喜んで来ていますね。最初からおやつ狙いで来ている子もいるって言われています。子育てサロンというのは他の団体なんですけれども、親子で来て、きょう火曜日はちょうどその日なんですが、お弁当持ってきて居場所で集まって、お母さんたちがピーチクパーチクして。そして子どもたちは、みんなとおもちゃで遊んだりしております。両方の参加者の30代40代の親御さんと繋がる糸口を持ちたいところです。
○出来事を増やし滞在時間を延ばしてその日の予定に
週2回ぐらいはいろんなイベントというか居場所をつくっているんですけれども、もう少し長く滞在できないかなって、2、3時間なので。午前でお昼食べて、午後もちょっとぐらいにならないかなって思っていて、1年後くらいにできないかな。今ある中で6時間ぐらいいられるのが、ぽつんぽつんとあるのは、食事会が11時半ぐらいから集まりまして、食事をして。その後に講座があったりすると、ずっといるんですよね。そういうことがあると、その日の予定になり、ここも来て良かったって帰ってもらえるんじゃないかと思っております。
○5年後には支えあいの連絡網をつくりたい
5年後に目指す姿ですが、連絡網ができるといいなと思っています。個人情報よりもこういう連絡、雪の日だから食べるものあるというような連絡ができるといいなと思っています。運営はやっぱり100のつながりをどういうふうに生かしていこうかなって、そこが考えるところです。以上です。ありがとうございました。
【澤岡】 瑠璃川さん、どうもありがとうございました。瑠璃川さん、百人力サロンは始めて今、何年目になるんでしょうか。3年目ですか。恐らく最初の頃にいろいろとつくり上げてきたつながりが、今みんなで保存食を作ってみようとか、みんなで主体的に場をつくっていこうっていうアクションにつながっているのかなとも感じさせていただきました。さっき、瑠璃川さん、さらっとお話流されましたけど、番頭さんって。百人力サロン、誰が運営しているかっていうところで、番頭さんという、特に地域のシニアの男性たちが番頭さんというお名前で関わってくださいまして、ボランティアっていうと言葉がちょっと違いますけど、一緒に場づくりをしてくださっているということで。瑠璃川さんのこの百人力サロンの取り組みは、恐らく多世代をつなごうとするとか、それから男性。実は私、瑠璃川さんと十何年のお付き合いになりまして。なので、ちょっと熱く語ってしまうんですが、特に荻窪の地域って、割とお屋敷も多くて、あまり密な付き合いをしないほうがいいっていう美徳だというような地域でもありまして、その中で自分たちは大丈夫、ほっといてくれっていう、特に男性たちにいかに一歩踏み出して、緩やかにつながってもらえるかっていうのも、最初、このサロンをつくろう、荻窪家族をつくろうという一つの思いだったのかなというふうに思うんですが。そういう意味では、男性というかたがたも徐々に主体的に関わっていらっしゃる。今3年が経過したところで、最後の部分は1年後、5年後に、どんなふうに瑠璃川さんがなっているかというのも含めて、お話をいただきました。どうもありがとうございました。
パネルディスカッション
【澤岡】 ここでこれからディスカッションという形で、お話、展開させていただこうと思います。皆さん、どうでしょうか。お三方、さまざまな取り組み、さまざまな視点、課題意識での取り組みを聞いていただきました。そこでちょっと感じませんでしたか。食堂であったりとかてらこやであったりとか、世代間が集う何かというのは、そのパーツ一つ一つだけを見ると、割と地域のいろんなところに既に行われている場づくりだよねって思われませんでしたか。元気づくりステーションに関しても、ただその活動だけを聞いていますと、健康づくりの場というところで、健康サークルと何が違うのっていうところもあるかと思います。 このお三方、三つの取り組みに共通するのは、さまざまな取り組みをされていて、それを一つの緩やかなつながりとか、主体的に年を重ねていくとか、さまざまな一つの、百人力であったり、哲学を持ってそれをつなげている。つまり食堂というのは食堂をやることが目的ではなくて、何かを生み出すための手段。健康づくりというのも、もしかしたら地域のつながりを生み出すための、人が主体的に年を重ねていくための、何かを促す手段としての取り組みなのかなと思います。 今回このお三方になぜ登壇していただいたかという、もう一つの理由が、このお三方、コーディネーター、そういった思いを実現していく。それから人と人、人と場をつないでいくコーディネーターとして主体的に関わってくださっているということで、きょう、このお三方に登壇していただいています。ですので、ここからは場づくり、居場所づくり、通いの場づくりをされているコーディネーターという視点で、まずお三方から他の活動について感じられたこと、それからもし何か、他の活動に対しての報告を聞かれてご質問がありましたらば、いただけたらと思います。 ではご報告をいただいた順番に、まずは感想をいただいて、ご質問いただいて、回答していただいてという、その繰り返しで話を進めていただきたいと思います。まずは瀧澤さん、感想と他の取り組みに対するご質問、いただけたらと思います。よろしくお願いします。
【瀧澤】 はい。どうも本当にお疲れさまです。やはり区役所と違って、半分民間だったり、本当に自分たちでというと、役所とまた違った立場の自由裁量で、いろんなお食事を提供できたり、カフェをできたり、可能性が広がります。やはり食というのは皆さんの共通の、どの世代においても関心が高くて、みんなが共感を得やすい場だなというのを感じました。 田口さんにご質問なんですけが、私の立場では高齢・障害支援課というところに属しているので、多世代交流というところまでは手を付けていない状況ですが、そういう多世代交流の場はいいなとは思っていて。でもその中で多世代交流って、やはりただ場を提供するだけでは成り立たない。コーディネーターがちょっと意識してつながないと、難しいとのお話もあったので、そこら辺のポイントを教えてください。
【田口】 ご質問ありがとうございます。多世代をつなぐ工夫っていうところですね、コーディネーターとして。まず、これは実際開いてみて初めて分かったことだったんですけれども、もともと私たち、みま~もという活動を10年間、高齢者を対象にしてきて、地域活動とか居場所づくりをしてきて。やはり高齢者って、高齢者だけで地域で生きているわけではないし、高齢者と同じような、例えば孤立だとかそういった問題を抱えている人は、若い世代にもやはりあるんだよねっていうところから、こういう多世代の場をつくり始めたんですね。 開いてみて、その多世代交流って今盛んに言われているところなんですけれども、そういう場所をつくれば勝手に交流して、さっきのお話にもありましたけど、くれるものかと思って開いてみたら、まずは語らいの駅、10時半から16時まで開いているんですけれども、生活のパターン、時間のサイクルがまず年代で全く違うんですね。高齢者の方たちは、人によりますけど、どっちかっていうと朝一で病院に行き、1回おうちに帰り、お昼ご飯を食べて午後出てくるとか。朝、別の地域活動に行って、そのまま来る方たちとか、そういう方たちが多い。 ママたちはお昼前ぐらいですね。家のことを済ませて、11時ぐらいに来て、お昼ご飯を、離乳食とか語らいの駅で食べさせて、帰っていくっていう、他の場所に行くっていう感じで。出会わないパターンが多かったんですね。ていうところで、まずは同じ時間帯に、その人たちをこの場所に連れ出すにはどうしたらいいかってことをまず考えまして。そのために、それはちょっと企画なんかを入れていって、わざと多世代の人をまずは1回、同じ時間帯に集められるような講座、同じ興味を持ってくれるような講座を入れていったりだとかっていうことをしたりしました。あとは実際集まった後ですね。出会って知り合った後も、ほっといて会話が生まれるかっていうと、なかなかそうはいかず。やはりそこの最初の部分は、私が話をつなぐじゃないですけれども、この方はこういう人でねとかという話を、新しく来た方、初めて出会う方同士はご紹介したりとか、そういうことはするようにしています。
【澤岡】 ありがとうございます。では田口さん、よろしくお願いいたします。
【田口】 はい。お二人に質問でも大丈夫でしょうか。貴重なご報告をありがとうございました。瀧澤さんのお話は、私も、包括を10年やっていましたので何となく、自主化をしていく難しさとか、結構挫折した側の立場なので、すごくご苦労されていたり、瀧澤さんのコーディネートのお力っていうのがすごい強いんだろうなっていうのも思ったりして、ちょっと懐かしい気持ちもしながら聞かせていただきました。 瑠璃川さんのお話は、今の私のやっている、語らいの駅でやっている活動とすごく共通する部分があって。私たち決して住民ではないですけれども、かなり地域の中に入り込んでやっているので、きっとご苦労なんかも同じ悩みを持っているんだろうななんて思っていろいろお聞きしたいところもあるところなんですが。 まずお二人に伺いたいのが、お二方とも、二つの活動とも、私たちの語らいの駅とはやっぱり違って、すごいなって思ったのは男性の関わりの大きさですよね。語らいの駅は、今正確なデータないですけど、男性率、多分1割いかない、1割ぐらいだと思います。中心でいつもいてくれるようなシニアの方たちは、100パーセント女性です。そういったところで、男性の方を中心メンバーとしてうまく取り入れるというか、関わっていただくこつだとか。あともう一つお聞きしたいのが、それだけ男性率が高い中で女性の方たち、おばさまたちは、男性の方とどう関わってらっしゃるのかなっていうのが単純に知りたいなと思ったので、教えていただければなと思います。お二方にお願いします。
【瀧澤】 取りあえず私のほうから。男性の参加率を上げるというのは、瑠璃川さんのほうにも、私、質問したいと思ってた次の課題なんですけど。ふくろう会、元気づくりステーションを立ち上げるに当たっては、最初に発表したように、その前、2つの講演会実施時に、自主グループで、男性の料理教室が2グループあり、そのグループに、2つの講演会をPRしたのが、うまくつながった一つの要因です。 ただ、そんなに男性の料理教室がいっぱいあるわけではないので、その後、立ち上げた元気づくりステーションには、女性のほうが圧倒的に多いのが現状です。なので今後、男性をどういうふうに取り入れていくかっていうのは、区のほうでも、私のエリアだけでなく多分全市的に、全国的に課題になっているところだと思います。そういう意味では瑠璃川さんのほうに、番頭さんが男性が多いとのことで、どうやってハートをつかんだかを、私のほうからもうかがいたい。 ふくろう会は、男性の方が非常に威張ってないって言ったらおかしいんですけれど、組織的に会を組み立ててはくださっているんですが、だからって俺が俺がって、俺が全部やってあげているという感じではなく、度量が広い方が多いです。うまい具合に女性の方とコンビネーションを組みながらやってくださっているのと、女性の方の中でも、女性が多いグループのちょっと横のつながりが強過ぎるデメリットもあり、男性のさばさばしたシステマティックな運び方に賛同して、入ってくださる方がいます。そういう私はこのグループが合っているわ、私はこっちのグループが合っているわっていうような、選べる選択肢があるっていうことも一つのポイントになっていると思います。瑠璃川さん、その辺をお願いします。
【瑠璃川】 お二人の発表を聞きまして、うちは完全に住民がやっているものですから、費用の点、どうなっているのかなっていうのが聞いてみたいことでしたね。関わっているかたがたは職種があって関わってらっしゃるんですけれども、私のほうは、やっている方には何一つ。最初の2年ぐらいは別の形で助成金を頂いたんですけども、その後は身の丈でやっていこうということで、ほとんど頂いてなく、やっているので。費用の点、参加者の費用とか、それからスタッフといわれる運営側の費用、どうなっているのかなと思ったところです。 それから男性の関わり具合っていうのは、たまたまなんですけれども、私がこの荻窪家族を始める前に、今でもやっていますが、子育てのNPOを始めたんですね。それも杉並区の地域大学というところで、子育て支援講座というのがありまして、そこに参加して、参加している人たちでNPOをつくりましょうという杉並区の狙いの路線にまんまと乗って、つくって、一時預かりって、今でもやってます。そこで、慣れない私もやったわけなんですけれども、そこからいろんなところの会に呼ばれたり、参加したり、地域活動にそこでいろんな人と出会う。たくさん、こんなに名刺交換するんだっていうのが分かったぐらいですけれども、そこでたくさんの人と出会う。 今度、荻窪家族をつくったときに、そこのたくさんの知り合いができたのがすごく良くて、相談しに行くこともできたし、私の考えを聞いていただくこともできました。そういうところと、そこでも男性たちに知り合えたし、若い方から年老いた方まで知り合うことができました。相談したり、私のこういうのやりたいっていうのを言ったところから、男性が興味を持ってくださって、ずっと応援してくれている。自分の番頭さんになってくれている。うちのそばには地域区民センターっていう居場所があり、そこを勤めた、3年が任期だそうで、そこを 終わった人がうちに入ってきてくださり、そこを終わった人をずるずるっと連れてきてくださった。男の人は男の人が呼ばないと、なかなか入ってきてもらえないんだなっていうのを実感しました。 女の人が多い場合もいろいろあるだろうし、男の人が多い場合もいいこともいろいろあるけれど、やっぱ90パーセントはいい出会いだと、今までの経験から思っています。ぶつかっても、それも学ぶ。私の場合ですけどね。地域活動を前に進める一歩であり、私の目を広げてくれました。
【澤岡】 ありがとうございます。今の瑠璃川さん、最初のほうにご質問をくださったんですが。男性についてのご回答いただいた後で、ではお二方に、瑠璃川さんからのお二方への質問というのは、費用面のお話。関わってくださる方とか運営というところの部分だったと思いますが。お二方、費用の部分というのは、なかなかオープンにできないお話というのもあるかと思いますので、可能な範囲でお話をいただけたらと思います。まず瀧澤さんからよろしくお願いします。
【瀧澤】 はい。費用の面は、基本的には自主グループという形を取っているので、洋光台地区の、どこの元気づくりステーションも月に数百円の会費を取っています。ふくろう会さんについては会場費はかかりませんが、場所によっては自治会館など、少し会場費がるのを、月の会費の数百円ぐらいで賄ったりしています。区のほうの関わりとして、年に数回、健康講座の講師費用は市が負担したり、時には区役所の保健師が先生になったり、包括支援センターの看護職が講師になったりして、運営している状況です。
【澤岡】 ありがとうございます。追加で、補足でご質問なんですが、よく自治体さんがやるこういった事業というのは、割と年度、1年、2年、支援の期間を区切るということが多いように感じるんですが。元気づくりステーションに関しては、これはグループ自体が思いに合った、元気づくりステーションの哲学に合った活動をしている限りは、今おっしゃったような支援というのは、費用面のお話だったりというのは、続けられていくというのがステーションのやり方になりますでしょうか。
【瀧澤】 平成24年から横浜市としては今の形を取っているので、現在まで続いています。ただこれが100年後も続くかというと、ちょっと分からない状況です。そのときの財政の状況とか、あとはやはり、基本的には皆さんでできるようにはなってほしいです。予算の関係は、流動的ですが、今後もしばらくは続くと思われます。
【澤岡】 ありがとうございます。少し広げたご質問になってしまいましたが、ありがとうございます。では田口さん、いかがでしょうか。
【田口】 はい。おおもり語らいの駅は主にかかっている費用が、まず家賃、水道光熱費、私の人件費ですね。あとは食材とかいろんな雑費みたいなところになるんですけれども、初年度は助成金をもらっておりました。ただ2年目の今年は、完全に病院の資金で運営しております。病院としては、この事業で一切もうけようとは思っておりません。見ていただくと分かるんですけど、カフェ営業してますが、コーヒー1杯150円とかそういう金額です。そこでもうけようという気は、法人としては一切なくて、それ以外の部分の価値を大きく思っているところです。 とはいっても、少しでも病院に負担を掛けないためにというところもあるんですけれども、協賛の企業さんが今のところ3社あります。語らいの駅を応援してくれるっておっしゃってくださっている地元の企業さんが、協賛という形でお金を出してくださっているところがあるのと、あと、こういう語らいの駅みたいな居場所づくりをしたいよって思ってらっしゃる、コーディネーターとして自分もやってみたいなと思ってらっしゃる方向けの、コーディネーター研修みたいなのを今年度は年2回開催しまして。そういったところでの受講料とかっていうのを、ちょっと費用に充てているところです。ちなみに2月2日に第2回目のコーディネーター養成講座ありますので、まだ少し枠ありますので、もしご興味あれば言ってください。
【澤岡】 ありがとうございます。養成講座は、これは特に年齢制限とかそういったことはないでしょうか。
【田口】 全くありません。
【澤岡】 もし皆さま、ご興味がありましたら、ぜひ。協賛企業の方というのも、決して奉仕とか、地域のためにっていう何かそういうこともあるとは思うんですが、それ以上に何か語らいの駅に協賛することで得ることがあるという思いで、関わってくださっています。
【田口】 そうですね。これもみま~ものノウハウを生かしてきているところなんですけれども、実際この方たち、お金も出してくださっているんですけれども。先ほどご紹介した企画の中で、いろんな講座をやったりだとかっていうところで、企業としても地域の空気を感じたりとか、これからの企業展開の中での参考になるっていうところで、語らいの駅を活用していただくような形での協賛ということをしていただいてます。
【澤岡】 ありがとうございます。恐らく今、協賛いただいている企業さんというのは、割と欧米の発想に近いのかなというふうに今、感じていたんですが、企業も恐らく地域貢献とか社会貢献というふうなのを考える際に、今おっしゃったような意味合いというものも一つ考えていくような、何か価値変換が求められているのかなということも感じさせていただきました。お時間残りわずかになってきているんですが、私からもお三方に、それぞれ別の質問をさせていただきたいと思います。 今回大きく、通う場、通い続けたい場、そして何かこの通いの場というところ、大きなテーマでお話を進めさせていただいていますが、この視点から、まず瀧澤さんには、さっきすごく印象的でしたが、やはり再入会について、具体的に事例をお話いただいたんですが、戻ってきやすい場づくりって、これって言うほど簡単ではないように感じます。これというのは、サポートされる保健師さんとして会のかたがたに、こういう場づくりをしていったほうがいいよねという、何か働き掛けをされたのか。または会のかたがたが自然に、このような場づくりをされていったのかというような部分をお話いただけたらなと思います。
【瀧澤】 保健師から特に意識して働き掛けというのはしていないと思います。やはり身近なところで、身近な地域でやっていることが強みだと思います。会長が以前託してくださったんですが、それまでは企業戦士ですから、駅というのは通勤のための通過点でしかなかった。でも元気づくりステーションを始めて、駅は元気づくりステーションのお仲間に会って、立ち話をする場になったそうです。そういうコミュニケーションの場に代わった、という話をしてくださったりしました。日頃からのお付き合いが広がってきて、身近な場所で会われるので、何気ないお声掛けが出て、皆さんカムバックもあるのだと思いました。
【澤岡】 どうもありがとうございます。田口さんには、そこそこのスタッフの関わり方ということで、コーディネーターの関わり方ということをお話いただいたんですが。これはずっと通い続けてこられる中で、やはり距離感というか、割と手を離していくとか、皆さんのつながりとか成熟度に応じて、コーディネーターの距離感というのも変えていくような感じで、何かアプローチをされていらっしゃるんでしょうか。
【田口】 変えていくというよりは、もう最初の時点で・・・難しいですね。実はそれほど意識しているところではないかもしれないんですが、実は多分大事なところなんだと思うんですけれども、ある程度の距離感を保ちつつやっていく中で、どこかのタイミングで向こうから、私こうだよねっていうことを何か発信してくれるときって絶対来るんですよね。そのタイミングを逃さないっていうことかなと思います。手を離すタイミングっていうところで言うと、多分そこで。そこを逃してしまうと、多分、次もうないんだと思うんですね。だからそのタイミングの見極めだけは、逃さないようにはしています。 あとは、さっき瀧澤さんもおっしゃってましたけど、それほど意識はしてなくて。私たちが関わるからこの人がそう変わるとは、さほど思ってないです。そこにいる人たちの中で、その人がそういう意識になってくるように、関わり続けるっていうところだと思います。
【澤岡】 ありがとうございます。ちょっと難しい質問をしてしまいましたが、素晴らしいお答え、どうもありがとうございます。 では瑠璃川さんには、瑠璃川さん、田口さんと瀧沢さんと違いまして、一番違う点というのが住民。同じ住民目線である意味、瑠璃川さん、そんなつもりはないって時々おっしゃるんですが、コーディネーター的な役割を果たしてらっしゃるというところ、住民同士の関係性というところで、距離感っていうのは何か難しいところというか。今ずっと続けてこられている中で、ご自身、完全に当事者でもないですし、第三者でもないですしという立ち位置が、なかなかバランスが難しいのかなと思いますが、住民が住民同士でというところの中でコーディネートするっていうところで、何か難しさというのはありますか。
【瑠璃川】 やはりお二人と同じで、コーディネーターをしてて「コーディネーターじゃない?」と言われたとき、ええって思うぐらい、コーディネーターとしての意識はまるでなく、自分の思いを言って、いいねって言ってくださった人が来てくださっているっていう感じですね。距離感は、話してれば近づきたくなるような方もいるし、もうちょっと距離を空けとこうかなって思う人もいます。69年生きてきたので、ちょっと近づいたり、これは少しは上手になっているかなと思っております。そういう距離感です。
【澤岡】 ありがとうございます。では一通りご質問させていただきましたので、残り時間わずかになりましたが、お二方ぐらい、もし何か会場からご質問がありましたら頂けたらと思いますが、いかがでしょうか。ちょうどお二方、手を挙げていただいてますので、マイクを。後ろの方から、お願いいたします。
【参加者】 私、つい最近、町内会と連携をして、サロンを立ち上げ、これから活動していくところです。それとシニアクラブをやっているんですけれども、老人クラブですね。その関連できょうお話を聞いていて、やはり私、行政も社協なり病院の力も借りないで、住民だけでやっているわけですから、きょうのお話を聞いて、病院だとかあるいは行政の力を頂く。協力していただきながらやっていけば、サロンの広がりがもっと出てくるのかということは非常に勉強になりました。 それから併せて瑠璃川さんに質問ですけれども、同じ地域でやっていく仲間としてお聞きしたいんですけれども、一つが、この通いの場。通い続けられる、通い続けたいということですから、私、免許返納したんですけれども、それでも歩いていける、そういう場所にサロンがあってほしいと思っているんですね。それで地域につくったわけですけども。その辺の通いの場、その通う範囲って言いましょうか、どの地域のかたがた、荻窪っていっても広いと思いますんで、その地域の広さ、これを教えていただきたいということ。 もう一つは、つながりを広げていくということですけども、具体的には、つながりっていうのは、あったかい地域にしていくっていうのは、助け合っていくという、地域の中で、あるいは支え合ってくという、そういう地域にしていくんだろうと私は思うんですけれども、具体的にこれからのことだと思いますけれども、どういう方法というか形でやってこうとしてらっしゃるのか。その辺をちょっと聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
【瑠璃川】 大体は徒歩圏内っていうことで、歩いて15分か20分ぐらいを思っているところですね。本当は自転車まで入れたいんですけど、自転車だとかなり遠くまで行けるので、徒歩圏内、自転車ぐらいな感じに思ってます。というのは近くても、やっぱりだんだん具合が悪くなるので、本当に5分ぐらいの方でも足が悪くなると来られないんですね。そういう人がやっぱり1人、2人、出てくるので。どういうふうに していこうかっていうのが、今思っているところです。 それから、その方は出たいんだけど遠慮して、迷惑が掛かるからと。タクシーで迎えに行こうかって言ってても、「迷惑が掛かるからいい。自分1人のために」とか。費用もかかりますよね。費用がある人は払ってでも行きたいと思うでしょうけども、だんだん節約する傾向があるので、自分が運転してガソリン代だけ払うよっていうような、200円払うよっていうような仲間ができたら、可能になるかもしれません。それから、助け合いの方法でしょうか。
【参加者】 非常に難しいと思うんですけども、無縁社会といわれているそういう現在、助け合いを広げていくと。ご近所あるいは地域の中で、それをどういう具合にやったら広げていけるのかなと。このサロンが一つの拠点になるとは思うんですけども、その辺のところをちょっと聞かせてください。
【瑠璃川】 はい。私のところでは人のつながりで、あの人、気になるから誘いたい。そういう関係がすごく強くって、クリニックで会う人を誘ってきたり。それからおせっかいの人がいて、道で休憩している人に座って話をして、何日か後にこんなのあるから一緒に行ってみないって誘ってみたり。これは両方とも女性なんですけれども、男性の場合はやはり同じところにいらっしゃる方を引っ張ってくる。1人が見つかるとすごく良くて、例えばゆうゆう館でなんか集まりがあったときに、男性が多いところに1人を引っ張ってくると、その人たちが、あの人が楽しいって、いいって言うんだったら行こうか、のぞいてみようかっていうふうなんで。本当に細い糸を引っ張ってくる、つなげてくるって、知らない間に赤い糸を付けに行っちゃいます。で、引っ張ってくるって、そんな感じでしょうか。
【参加者】 はい。どうもありがとうございました。
【澤岡】 どうもありがとうございます。ではお時間も限られておりますので、あとおひとかたということで、よろしくお願いします。
【参加者】 本日の公演はありがとうございました。先生がた、ありがとうございました。いっぱいしたいんですけど、今、自分として感じられるのは、ちょうど私80なんですけど、どうやって後を生きてくかっていうところで、やっぱりやることが必要なんじゃないかなと思って。今、瀧澤さんのおっしゃった、横浜市で300カ所ですか。301カ所?その一つがふくろうの会ですよね。保健所っていうのは幾つあるんですか。保健師さんですから、だからステーションがあるわけでしょ、昔で言う保健所が。横浜ではどのくらいあるんですか。
【瀧澤】 正式に言うと、保健所は横浜市で1カ所になります。
【参加者】 1カ所だけなんですか。
【瀧澤】 横浜市は18区に分かれており、各区役所の中に福祉保健センターがあり、私の所属している高齢・障害支援課も市内18カ所にあるような状況です。
参加者】 私の質問は、基本的にこういうものやってくとき、やっぱり行政がやっていく。ある程度プログラムがあって、専門性があって、お金と場所というものがあって、そこから集っていってつながってくんじゃないかなと、私ちょっと思っているんでね。いいですか。
【瀧澤】 それは、横浜ではどちらかというと過去のものになっていて、行政主導なものは、そのように18区しかない横浜市では、限界があるということでこのような、元気づくりステーションのような、市民の方と横浜市が協力した働きをするという形で、区民の方主導にやっていっていただく活動に移っております。
【参加者】 基本的に東京都健康長寿医療センター、それから今の国立健康長寿センターですか、それと多分、横浜市は連携を取りながらやっていると思うんですよね。保健所としてね。その辺も含めて、分かったらありがたいなと。ちょっと専門的になってしまうので、これぐらいで結構です。
【ふくろう会会長】 ちょっとずれた答え方になるかもしれませんけど、保健所の制度っていうのは昭和の遺物みたいになっていて、平成になってから、そういうのは医者に任せたり、それぞれの市の中の高齢者支援というようなことになるわけね。あとは麻薬関係は警察なり厚労省なりっていう感じで、分かれてしまっているんじゃないでしょうか。そして総合的には、自主性とか自立性というものを育てるっていうことが横浜市の場合はある。
【澤岡】 そうですね。今まさにふくろう会の会長がおっしゃってくださったように、どちらかというと主体性の種を専門職は見つけ出して、そこに火をつけたりとか、後ろからお手伝いできることはということで、より大きな火種にしていくっていうことを今、横浜市では専門職の仕事として行っているのかなと思います。
【参加者】 ありがとうございました。
【澤岡】 ご質問、どうもありがとうございます。ではちょうど良いお時間になりましたので、ここで締めとさせていただきたいと思いますが。通いの場であったり、通い続けられる通い続けたい場の一つの答えというのは、恐らくそこにその人がいたい、通いたいっていう、いる理由をいかに引き出して、その場に何かつくってあげられるかということになるのかと思います。それは、60代でその通いの場に関わった人が年を取って、70、80になったときには、多分そこにいたい理由というものもまた変わってくるのかな、居心地の良さというのもまた変わってくるのかなということで、恐らく一つの答えはないのかなと思います。地域の数だけ、そして地域にある地域資源といわれるさまざまな主体の数だけ、いろんな組み合わせがあるのかなと思います。きょうは皆さんに一つ発信させていただいたのは、その中で特に高齢のかたがたを、通いの場、通い続けられる場を考える上では、これは、主体は恐らく自治体さんでもいいんだと思います。医療法人でもいいんだと思います。住民でもいいんだと思います。きょうは皆さんに一つ発信させていただいたのは、その中で特に高齢のかたがたを、通いの場、通い続けられる場を考える上では、これは、主体は恐らく自治体さんでもいいんだと思います。医療法人でもいいんだと思います。住民でもいいんだと思います。コーディネーターという視点を持った主体が関わり続けること、距離感を変えて関わり続けるということが、一つ重要なポイントなのかなということで、多様なコーディネーターさんにきょうはおいでいただきまして、お話をいただきました。これは人生100年、虚弱化というお話も最近はクローズアップされる中で、これからどういう支援が必要なのか。どんな場づくりが必要なのかという答えが見えてくるんだと思います。 きょうはその課題提起と、そしてヒントを皆さんに何かを持ち帰っていただきたく、この場を組ませていただきました。きょうはどうもありがとうございました。貴重なお話をどうもありがとうございました。