栗原 モトさん
伝承料理の普及を通して、郷土の生活文化の継承活動を実践。

名前(年齢) くりはら もと
栗原 モトさん(86歳)
地域神奈川県(綾瀬市)
活動概要綾瀬特産のさつまいもで餡を作ったまんじゅう、「城址まんじゅう」をはじめ、多くの郷土料理を20年にわたり伝え続けている。伝承料理の会を立上げ、市内の小中学校や地区センターなどで指導。後継者育成にも力を入れている。

(注)年齢は、平成26年4月1日時点

地元の昔ながらの味を、今の子供たちに伝えたい。

栗原 モトさん

 蒸し器のふたを取ると、わき上がる湯気の中にはふっくらと蒸し上がったおいしそうなまんじゅうが。それを見た子供たちは「すごい!」と手をたたいて歓声を上げます。
 蒸し器の中にできあがったのは、サツマイモ餡を生地にくるんで蒸し上げた綾瀬のおやつ「城址まんじゅう」です。
 楽しそうな子供たちの輪の中でまんじゅう作りを教えているのが栗原モトさん。栗原さんは、かつて綾瀬市内で盛んに栽培されていた食材で作るこの城址まんじゅうをはじめとして、昔ながらの綾瀬の味を伝える「伝承料理の会」の会長を務め、「城址まんじゅう教室」などを開き、積極的に地元の味の伝承に励んでいます。


伝承料理の普及は、郷土の生活文化の継承。

 綾瀬の農家で生まれ育った栗原さんは、県央地域女性農業者連絡協議会食サークルにおいて、伝承料理を普及させるための活動を行うとともに、郷土に伝わる生活文化の継承活動を行う「県ふるさとの生活技術指導士」として20年以上、調理の指導などに尽力しています。
 調理実習は好評で、現在も頻繁に伝統料理の実習や講師を依頼され、伝統的食文化の教育に貢献しています。
 「農業を営む家庭環境で生きてきたことや、家族が病気持ちだったため食生活で療養してあげたいという思いが強かったことから、食に関心がありました」と語る栗原さん。
 県央地域女性農業者連絡協議会食サークルの一員となり伝統食文化の普及に努めるとともに、平成5年頃から、当時の教育長の後押しで、地域の子供たちに城址まんじゅう作りを教え始めるようになりました。その後、伝承料理の会を立上げ、市内小・中学校などで本格的に綾瀬の伝統料理作りを伝えていく活動を行っています。


さらに幅広く、様々な綾瀬の味を伝えていく。

栗原 モトさん

 20年以上続いている伝統料理作りを伝えていく活動は、城址まんじゅうだけでなく、味噌づくりや手打ちうどんづくりにまで広がり、市内の小・中学校や地区社協、敬老会などが主催する調理実習で幅広い年代に教えています。多い時は、月の半分ほど実習の依頼を受け活動している栗原さん。
 子供たちの笑顔に囲まれながら「こうして綾瀬の味を子供たちに伝えたい」と語り、さらに「今後は、伝統料理を伝承していく上での後継者育成にも努めたい」と希望を語ってくれました。