小林 康宏さん
若い頃から稽古を積み重ねてきた謡曲を地元の人々に伝承。
名前(年齢) | こばやし やすひろ 小林 康宏さん(86歳) |
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地域 | 長野市 |
活動概要 | 観世流能楽師範として現在も後進を指導。また、町内の小・中・高等学校等に出向き、児童・生徒を指導。年齢を感じさせない声量と仕舞を披露し、町内はもとより、町外の方も含め後進の指導にあたっている。 |
(注)年齢は、平成26年4月1日時点
幼い頃から地元の風習の中で謡曲に親しむ。
北信濃一帯では、宴席ごとの作法として「北信流」という儀式があります。発祥は戦国時代とも言われる古いしきたりですが、現代でもこの地域では、結婚式や祭事をはじめとする様々な慶事や、新年会、忘年会、同窓会といった一般的な宴席でも行われることがあります。
北信流自体は、宴席の進行作法ですが、この作法の中には「お肴」と呼ばれる「謡い」が含まれています。「謡い」とは、「謡曲」の一種です。
このため、この地方では多くの人が子供の頃から謡曲に親しんでおり、北信流そのものから離れて謡曲を楽しむ人も多くいます。
小林康宏さんの周りでも、謡曲は大人の教養の一つとして親しまれており、子供の頃から身近な存在でした。
地道な努力を重ね、師範となり後進を指導。
小林さんは、昭和21年に村役場に勤務するようになると、翌年から父親の指導の下、謡曲の稽古を始めます。役場でも仲間同士で謡曲グループが作られており、小林さんもそのグループに参加し稽古を積むようになりました。
毎週1〜2回の稽古を積み重ね、やがて、毎年、町謡曲大会で素謡を発表するようになります。昭和44年頃からは弟子をとって教えるようになり、様々な謡曲会で指導にあたりました。
そして、昭和45年頃からは謡いだけの素謡だけでなく、仕舞も習うようになります。
平成3年から信州新町謡曲連合会の役員となり、平成15年からは、同会会長を4年歴任。平成19年、観世流能楽師範となり、現在も後進の指導を続けています。
今でも稽古を重ね、その声量は年齢を感じさせない。
現在、月3〜4回のグループでの稽古を重ねながら、平成23年から始めた子供能楽教室の講師として、年10回にわたり長野市信州新町小・中学生の有志8名を指導。また、信州新町謡曲連合会が主催している能楽教室の講師として、長野市信州新町内の小・中学校並びに長野市篠ノ井高等学校犀峡校に出向き、児童・生徒を各々年1回指導しています。
年齢を感じさせない声量と仕舞を披露し、幅広い地域において後進の指導にあたるなど、現在も活躍をしている小林さん。
「自分自身の稽古を積み重ねるとともに、後進の育成として子供能楽教室の指導を継続していきたい」と抱負を語ります。