岩本 芳江さん
股関節疼痛の仲間や、地域の高齢者、地域の子育てを幅広く支援。

名前(年齢) いわもと よしえ
岩本 芳江さん(79歳)
地域堺市
活動概要股関節症で疼痛の医療講演会やリハビリの実技の学習会を計画。また、地域の高齢者と手作り作品を制作して、バザー等に出店。さらに、地域の子育て支援のため「子どもひろば」を開き代表として活躍している。

(注)年齢は、平成26年4月1日時点

自らの苦労を元に、同じ苦しみを抱える人たちのために。

岩本 芳江さん

 先天性股関節脱臼を持つ岩本芳江さんは、在職中に疼痛が出現し、突然歩行が困難になりました。
 手術により、歩行は可能になりましたが、これによって働く障害者の悩みや苦しみを体験することになったのです。
 これをきっかけとして、岩本さんは、同じような経験をした人たちと共に社会の理解を得たい、誰もが暮らしやすい世の中を作っていきたい、そしてもっと他に悩みを持っている人はいないかと、他の人に目を向けるようになりました。
 手術後、お世話になった人への感謝の思いを込めて書いた文章が、地域のコミュニティ誌に掲載されると、「変形性股関節症」への問い合わせが多く寄せられました。
 当時、この病気については、手術やリハビリに関してもほとんど知られていなかったことから、仲間と共に「カトレア会」という会を立ち上げ、「変形性股関節症」についての学習会や情報交換会を開催しました。


病気の枠を超え、より多くの人のために奔走。

 昭和63年に「カトレア会」立ち上げたときには6人であった会員も、現在では600人以上になり、岩本さんは、今もなお代表として情報交換会や医療講演会の開催、会報作りに奔走しています。
 会員が増え、いろいろな相談を受けるうちに、岩本さんは高齢者や障害者、子育てについても多くの課題があり、これらに対してもボランティア活動を行う必要性を感じました。
 平成13年、岩本さんは市の補助金制度を利用して「カトレアの会」を発足。週1回、地域の高齢者と共に手作り品の制作を行っています。レザー小物の制作を得意とする岩本さんは、小学校や老人会、障害者団体等へ制作方法の指導にも出向いています。
 また、長年、市の人権センターでボランティアとして識字活動の講師も務めており、それが縁で週に1回在日韓国人の特別養護老人ホームで日本語の読み書き指導を行っています。


誰かに喜んでもらえるから、楽しいからやっている。

岩本 芳江さん

 平成16年には、退職した女性教員の仲間と「子育て支援の会」を設立。現在は、堺市の補助を受けて、「赤坂台子どもひろば」を運営し、地域の子育ての拠点作りに尽力し、子供たちや保護者からも感謝されています。
 「子育てへの不安感等が大きい就学前の子育てについて、市の保健センターや子育て支援課と連携を密にして、保護者の願いに寄り添った活動をしていきたい」と岩本さんは語ります。
 自ら障害を抱えながらも、多岐にわたる活動を積極的に行う岩本さん。「誰かに喜んでもらえることがうれしい。喜んでもらえるので、自分が楽しいのでやっている」と今も毎日忙しく活動しています。