阿部 重助さん
所有する山林を『山遊庭の森』として開放し、自然のすばらしさを伝達。

名前(年齢) あべ じゅうすけ
阿部 重助さん(76歳)
地域秋田県(由利本荘市)
活動概要所有する山林5haを「山遊庭の森」と名付けて開放。高校生対象の「木育スクール」や、県外からの視察受入れ、さらに、自然のすばらしさや森の楽しさを伝える活動と様々な広がりができ、世代間交流につながっている。

(注)年齢は、平成26年4月1日時点

大人も子供も一様に笑顔にする自然のすばらしさ。

阿部 重助さん

 阿部重助さんが、所有の山林5haを地域の人々に開放したのは、孫が入園した地元の保育園に自ら飼育したカブトムシ贈ったところ、園の子供たちからたいそう喜ばれ、翌年には椎茸の駒うちや収穫体験に招いたことがきっかけでした。その時は、園児だけでなく親や祖父母まで子供以上に楽しんでくれたのです。
 阿部さんの中に「訪れる人の表情を見ていると、山の良さが伝わっていると感じる。学校では学べない事を森では教えてくれる。自然ってすごいな」という気持ちが満ちてきて、それが原動力となって自然とふれあう「山遊庭の森」が誕生したのです。


山の実りと美しさは多くの人々の財産。

 「山遊庭の森」で毎年春に行われる「ふれあい交流会」では、アケビの受粉、椎茸の収穫、きのこの駒うち、森のクイズなど様々なイベントが催され、100名を超える子供たちの歓声が山に響き渡ります。また、一年を通じて小学生から高校生まで、林業体験として間伐や枝打ち、植樹体験など各種教室も実施しています。
 最初は、阿部さん一人で行っていましたが、地元の林業サークル「東由利林業懇話会」や「本荘由利森林組合林業研究会」など、徐々に協力してくれる人が集まり、現在は多くのスタッフがイベントの実施を支えてくれています。
 阿部さんは「山遊庭の森は多くの人たちに支えられている。森はその人たちの、かけがえのない財産」と、感謝の気持ちを忘れません。
 そうした阿部さんの優しい思いが訪ねる子供たちにも伝わるのでしょうか、地元の子供たちは、阿部さんを見かけると「じゅうすけさーん」と、遠くからでも大きな声で呼びかけます。


人と自然の結びつきが人と人との絆となる。

阿部 重助さん

 身近にあり、いつでも訪ねられる豊かな山の自然と、阿部さんの人柄に魅せられて、イベントに参加した人たちが、さらに友人を誘って再訪するなど、リピーターは増え続け、今では年間1000人もの来訪者があります。
 「今後は、山の幸の産地化をはかると共に、グリーンツーリズム事業など他産業と手を取り合って地域を活性化し、由利本荘市の観光の目玉になるよう努めたい」と、阿部さんの夢は、さらに大きく広がっています 阿部さんの活動は、自然のすばらしさ、森の楽しさを伝えるだけでなく、多くの世代間交流にもつながっています。
 「山遊庭の森」は、若い世代に自分たちの故郷としての山を愛する心を育む場所でもあります。