菅野 幸雄さん
美しい河川、美しい風土、美しい郷里を守り続ける使命。

名前(年齢) すげの ゆきお
菅野 幸雄さん(79歳)
地域福島県(伊達市)
活動概要地元河川浄化の水質調査を継続し、浄化活動を住民に呼びかけている。また、NPO環境ワーキンググループ伊達を立ち上げNPO理事長に就任し、震災後は放射線量の測定、放射線量の減少を市民に広報する活動にも尽力している。

(注)年齢は、平成26年4月1日時点

40年以上にわたり見つめ続けてきた郷里の河川。

菅野 幸雄さん

 福島県北部の伊達市、菅野幸雄さんがこの地で河川の浄化活動に関わりを持ち始めたのは、教師として地元の保原高校に勤務していた昭和40年代のことになります。
 当時、地元のリンゴ園で、収穫期になると果実の表皮が黒くなり商品にならないという現象が起きていました。
 この現象を保原高校の化学部員とともに調査し、付近を流れる河川の汚濁が原因であることを究明し、河川水の浄化を関係機関に訴え、黒変現象を解決したことが発端でした。
 その後も、河川の浄化活動を続け、退職後には地元の河川浄化活動団体の顧問となり、平成24年にはNPO法人「環境ワーキンググループ伊達」の理事長に就任しました。


震災を経て、さらにその必要性が認識された河川調査。

 菅野さんは、平成12年から保原町環境ワーキンググループとして、河川水の浄化、希少生物の調査と保護、ゴミ減量化、地球温暖化防止などの調査、対策、啓蒙などの活動を進めていました。
 平成23年、東日本大震災により東電原発事故が起こり、状況は一変。伊達市からグループに毎日市内15か所(現在は19か所)の放射線量率の測定を委託され、平成24年のNPO法人化に伴い、調査とともに、地元住民への啓蒙活動も本格的に行うようになりました。
 「地元河川を中心とした環境浄化活動や、町文化祭や関係町内会で活動結果の発表や説明をしています。放射線量率の測定には、高校在勤中のクラブ活動での放射線の基礎研究指導が生かされています。これまで長年続けたことを生かして、住民の安全・安心のために、メンバーをはじめ市の関係部署、国などの関係機関、市民の各団体などと協力し合いながら活動を進めてきました」と菅野さんは語ります。


より幅広く、地域の環境全体を視野に入れて。

菅野 幸雄さん

 放射線量の継続的測定や結果分析についても継続しており、伊達市における放射線量が順調に減少していることの広報・啓蒙活動に努め、平成25年11月に開催された「第6回いい川・いい川づくりワークショップ」では、河川水の放射線量を透視度から簡易に推定する方法を考案したことが評価され、グランプリを受賞しています。
 また、長年に渡って続けている地元河川の水質調査と浄化活動、希少生物であるゲンジボタル・クロマドボタル等の保護にも積極的に取り組んでいます。
 「今後は、水質調査・浄化活動と放射線量の定点測定を主に、ワーキンググループとしての活動を継続していきます。希少生物の調査保護活動については、エゾタンポポの調査と保護を地元小学校等と連携し、伊達市の自然環境に市民の目が向くような活動をしていきたい」と、菅野さんは語ります。