八木 勘一さん
竹細工の製作を通じて地域に貢献することを生きがいとする。
名前(年齢) | やぎ かんいち 八木 勘一さん(87歳) |
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地域 | 山口県(大島郡) |
活動概要 | 竹細工講習会を修了後、自宅の一部を作業場に開放し、竹細工の手ほどきをはじめる。その後、一輪差し籠作製の指導や、介護施設への竹箸の贈呈等を行い、竹細工を通じて、地域に貢献していくことを生き甲斐としている。 |
(注)年齢は、平成26年4月1日時点
地元の特色を生かした地域貢献を。
長く郵便局に勤めた八木勘一さんは、昭和50年に故郷の郵便局へ転勤になりました。土日に余裕ができたので何か始めたいと思っていたところ、県や町からの要請もあり、昭和55年頃、竹細工の講習会を受講しました。
もともとこのあたりは工芸品作りが盛んで、わら細工や、草木染め、陶芸などが行われていました。特に周防大島は竹林が多く、日用品などにも竹は豊富に利用されていたのですが、近年、プラスチック容器などの普及で日常的な竹の需要がすっかり減っていました。
そこで八木さんは、古くからこの地方で親しまれてきた竹細工での地域貢献を思い立ちました。竹細工の講習会が約6か月で終了し、基礎的な技術を習得して自分でも竹細工を作れるようになると、自宅の一部を作業場として、自分の作業に使うだけでなく、周囲の友人にも場所を開放しました。
さらに、講習会で得た技術や、その後自分で磨いてきた技術なども併せて、竹細工の手ほどきを始めたのです。
地域の多くの人たちとともに竹細工の普及を。
近くの友人とはじめた竹細工作りでしたが、やがてその活動が評判になり、地域の婦人会からの申し出により製作指導を行うようになりました。
婦人会では、主に一輪挿しの竹籠などの日用品の製作を指導しましたが、その後、地元漁師の方々と名産のイリコ漁で使うイリコ籠や獲ったイリコを乾燥させる時に使うイリコ乾し手箕(てみ)等の製作も行うようになりました。
また、高齢者の方々に温かみのある箸で食事をしてもらおうと、地域の介護施設に出向いて竹箸を贈呈するなど、多くの人々に竹細工の良さを伝えています。
さらに、地元小学校でも課外授業として竹細工の製作指導を行い、竹の素材に触れることを教え、竹トンボを作って飛ばす等、子供たちに新鮮な喜びを与えています。
身体の続く限り生涯作り続けたい。
「若い時は、大島郡内だけでなく、遠くは玖珂郡方面や、柳井方面にまで出かけて指導をしていました」と語る八木さん。現在は、自宅の作業場を主として活動していますが、地元の小学校へは今でも出向き子供たちに竹細工を教えています。
「お世話になっている郵政退職者連盟支部の総会の参加記念品として贈る竹細工作りは、今年で5年目になりますが、これからも続けていきたいと思います。そして、今後も、自宅でできる竹細工作業は、身体の動く限り生涯続けていきたいと思っています」と八木さんは語ります。