三上 卓治さん
定年後の生涯学習環境として、“教えながら学ぶ”場を提供。

名前(年齢) みかみ たくじ
三上 卓治さん(85歳)
地域東京都(三鷹市)
活動概要市民主導の吉祥寺村立雑学大学に参加。世話人として活動した後、神田雑学大学を設立。一般市民(高齢者)が講師になる講座を開催し、市民の活性化に貢献。また、江戸ソバリエ認定講座を開始、現在まで継続している。

(注)年齢は、平成26年4月1日時点

定年後の20年間をどのように過ごしていくか。

三上 卓治さん

 定年後の生涯学習に深い関心があり、市民主導の吉祥寺村立雑学大学に参加した三上卓治さんは、ここで定年後の20年間の活動のきっかけを得ました。
 個人の経験や研究を如何に後進に伝え、また後進が如何にそれを学ぶかによって、文化の蓄積度が変わってくることを知り、生涯学習の場の重要性を実感した三上さん。
 平成6年には、高齢になられた雑学大学学長をバックアップするために世話人に就任。毎週日曜日の講演の講師の選定や、会場の設営・撤収をはじめ、講演をアーカイブとしてホームページに記載するなど、積極的な活動を行ってきました。


貴重な知の結集が、さらなる活性化を生む。

 吉祥寺村立雑学大学のホームページが、民間初の講演アーカイブとして話題になり、これが契機となって、通産省(現経済産業省)後援のニューメディア開発協会の助成により、平成13年、吉祥寺村立雑学大学の考え方を取り入れたNPO法人「神田雑学大学」を設立しました。
 「人は誰しも、他人に聞かせて感動させられる話を一つは持っている」という吉祥寺村立雑学大学から受け継いだ思いをコンセプトとして、様々な分野に通じた人に講義をしてもらう。会場費、講師謝礼、参加費をすべて無料にする「3タダ主義」も、吉祥寺から受け継いだものでした。
 会場を神田にしたのは、三上さんに講義内容をより学問的にしたいという思いがあってのこと。古書店街、大学、ビジネスビルが建ち並ぶ神田は、三上さんの考えに合致しました。
 また、吉祥寺で評価を得たホームページでの発信にも力を入れ、一般の人の知の結集とすべく、講義のデジタルアーカイブ化を進めました。
 高齢者を活動の対象としながら、受講生が講師になるという循環型のシステムを築くことで、生涯学習の活性化を実現しています。
 三上さんは、平成17年にNPO法人「江戸ソバリエ協会」を設立し会長に就任。実は、この事業は千代田区が「江戸開府400年記念」の一環で始めた「江戸ソバリエ認定事業」が基になっているのですが、この事業自体がそば事情に詳しい神田雑学大学の会員の提案で始まったもので、神田雑学大学が区の委託を受けて運営したものでした。


多くの人々に喜んでもらうことが私たちの活力。

三上 卓治さん

 三上さんは、「様々な人のつながりが、大きな活性を生む」と次のように言っています。「講師料も事務作業もすべて無報酬。それにもかかわらず続けてこられたのは、参加する人それぞれにやりがいがあるからです。世の中には、一つのことに夢中になって取り組み、その成果を話したがっている人が大勢います。その発表の場を世話し、喜んでもらうことが、私たちの活力にもなっています」。