高橋 委作さん
フルートによる音楽療法プログラムで高齢者の認知症予防・改善を実践。

名前(年齢) たかはし いさく
高橋 委作さん(73歳)
地域東京都(調布市)
活動概要退職後、音楽療法の知識、技術を学び、認知症高齢者を対象とする音楽療法を無償ボランティアとして開始。現在は高齢者施設を定期的に訪問、唱歌、童謡、懐メロ等を皆で歌い、参加者のみでなく家族や施設側からも感謝されている。

(注)年齢は、平成26年4月1日時点

独学で学んだフルートで高齢者の音楽療法を。

高橋 委作さん

 「今日も皆で一緒に楽しく、元気に歌いましょう!」。高橋委作さんの明るい声に続いて、高齢者の方々の歌声が響き渡ります。
 高橋さんが、30代から独学で習得してきたフルート演奏を音楽療法に活用しようと思い立ったのは、定年退職後、聖路加病院の日野原重明先生の講演で「今後、音楽療法の必要性が高まる」、「年をとったら新しい事にチャレンジしなさい」という話を聞いたことがきっかけでした。
 もともと音楽が好きだったこと、さらには離れて暮らしていた両親の面倒を見られなかった罪滅ぼしもあり、このときの日野原先生の言葉が高橋さんの背中を押したのでした。
 さっそく音楽療法の知識や技術を専門機関で学習し、平成17年に藤沢市の老人施設で、友人と二人で活動を始めました。


ともに声を出して歌うことで心を開放していく。

 その後、一人での活動が多くなり、現在では地元の調布市を中心として定期的に施設を訪問し、年72回、毎回1時間ほどのプログラムを無償ボランティアで実践しています。
 プログラムは高橋さん自身が開発した、フルートと伴奏機器による音楽療法セッションで、参加高齢者に唱歌、童謡、懐メロ、民謡などを歌ってもらい、認知症の予防、改善を図っています。
 特に、季節に合わせた曲目で参加者の方に季節感を感じてもらうと、皆さん生き生きとした表情になり、その明るい様子は、参加者の方を元気にし、心を開放させ、QOL (Quality of Life=生活の質)の向上に大きな効果があったと実感できます。
 また、参加者の御家族からも「孫の結婚式に出たとき、讃美歌を大きな声で歌えたのは音楽療法の成果だと思います。本人はもとより、親族一同つくづく幸せだと思いました」と、感謝の言葉が寄せられています。


参加者の喜びの気持ちが私の生きがいになります。

高橋 委作さん

 「参加者の琴線に触れる曲があると、涙を流す方、興奮する方、満面に笑みを浮かべて楽しそうに歌う方など、様々な反応が出ます。定年後、生涯続けるライフワークを求めて色々な講習会に参加して、音楽療法に出会いました。専門教育を2年ほど受け、その後はボランティアで活動を続けています。参加者の方々から『今日はとても楽しかった』『今日のあの曲は思い出の曲よ』などと言っていただくことが、私の最大の喜びであり、生きがいの一つです」と語る高橋さん。今後もますます精力的に活動を続けられるようです。