岩上 敏一さん 71 歳
不用品の再利用で道具を制作し、オリジナル大道芸で慰問活動。
何か人の役に立つことをやってみたい、喜ばせたい
60歳を過ぎたある日、「今まで仕事一筋でやってきたが、何か人の役に立つことをやってみたい」と思い、身近なものを活用できないかと考えたそうです。
そんな中、葬儀の仕事で不要になった灯篭を改良して笠をつくり、頭の上で回転させてみたところ、「これで大道芸ができる」と思い立ったそうです。
「父が人を喜ばせることが好きな人だったので、その影響もある」と、岩上さん。
出会いと笑顔が生きがい、訪問活動の広がり
平成20年3月に自身オリジナルの大道芸を披露する慰問活動を開始。自家用車に小道具を詰め込み、一人で地元・岩泉町内の高齢者施設などを中心に回りました。当初は月に1、2回程度だったのですが、回数を重ね、芸のレパートリーも増えて、徐々に慰問回数が増えました。
慰問先では、自作の小道具を使った芸や軽妙な語り口で会場を沸かせています。また、10種類以上の音が出るドラムやトランペットなどを使い、歌や演奏も披露します。その中で特徴的なのが、頭の上に小道具を乗せて回す芸。東京スカイツリーのオブジェ、だるま、やかん、ぬいぐるみなど、様々な物を頭上で軽快に回し、会場の入所者や職員にも好評を得ています。道具は不要になったもの(自営の葬儀屋・仏具店で使った道具、日用品、家電製品の部品など)を再利用して装飾を施したもので、すべて自身で制作。
「人との出会い」「芸を見て喜んでくれる人の笑顔」が生きがいとなり、慰問回数は、平成26年10月28日で1,000回を超えました。慰問した多くの施設から感謝状や色紙、激励の手紙が届き、公演依頼も増えています。
遠出をするときは、車に寝泊まりすることもあるそうです。活動を続けられるのは、家族の協力が大きいようです。自営の仏具店等は、普段は奥様と息子さんが対応しており、電話
で連絡を取り合いながら、仕事とボランティア活動を兼務しているとのことです。
また、体力に自信があることも活動を始める後押しとなりました。65歳の時には、岩泉町から盛岡市の約70キロを完走したほどの体力自慢。30歳から続けたマラソンが体力をつくりました。
目標、訪問回数2,000回と大道芸人全国大会出場
現在は岩手県内の高齢者施設、障害者施設、保育園などをボランティアで回り続けており、月に15から20回程度の公演をこなしていますが、多い時は月に40回もあるとのこと。今後も、今までと変わらずに活動を続け、75歳までに訪問回数2,000回を目標としています。
また、慰問活動の他には、東京都で開催される「芸王(げいわん)グランプリ」東京地区大会に毎年参加しています。平成23年には準優勝し、全国大会出場を果たしました。「芸王(げいわん)グランプリ」東京地区大会で良い成績をあげ、再度全国大会に出場することを目指しています。