田代 千代子さん 84 歳
「語りの会」の活動を通して、自らの活力の醸成と社会奉仕。
退職を機に始めた執筆活動と、多くの人々との出会い
26年前の退職を機に始めた執筆活動は、多くの人々との出会いを育みました。とりわけ近隣の幼児や児童達との、交流、自然体での遊びは、日常生活に新たな喜びや感動を醸成しました。田代千代子さんはこれを基にした新たな作品構想を生み出しながら、今日も詩・随筆・小説・児童文学など幅広い分野の執筆を続けています。
転居した町を散策する中で、新しい発見や出会った人々との交流経験を基にして作った詩や随筆、児童小説を近所の子供たちと遊びながら話して聞かせることを、平成3年から平成21年まで続けました。
気の合う仲間と「語りの会」を立ち上げ、活動
平成21年、御殿場市老人クラブ連合会事務局から「文化活動として語りの活動を始めてみたら」との提案を受けたことがきっかけで、気の合う仲間と活動を始めることとなりました。「語りの会」を立ち上げて、月1回の勉強会を開催し、日常生活から見つけた話題や事柄を話し合って、会員の語りの技量を高めあっています。
訪問先は、高齢者施設、病院、幼稚園・保育園、放課後児童教室で、できるだけ参加者に添った話題を提供するように心掛けています。昔話、童歌、舞踊、文学作品の朗読、読み聞かせなどを提供しており、特に小・中学校での日本文学の読み聞かせは、児童生徒に文学の面白さを理解させるのに効果が大きく、語りの会でも力を入れています。
語り部として全うしたい、日本文学の読み聞かせ
これからも文学作品への理解度、関心度が高い中学生を対象とした読み聞かせを多くしたいと語る田代さん。自分の話を聴講者に押し付けることなく、相手が今何を考えているか、どんなふうに受け取っているかを心で感じながら、淡々と語ることに重きを置いているそうです。
語りの会や老人クラブ連合会の多彩な活動を通して、晩年の老いの生活であっても、人々との出会いと交流の機会が多ければ、豊かな感性は蘇るということを実感しています。毎日の見逃してしまいそうな小さな出来事への気付き、感謝の気持ちを大切にしながら、語り部の人生を全うしたいと考えています。