若林 善周さん 74 歳
美里龍神太鼓を立ち上げ、和太鼓で青少年の健全育成に力を注ぐ。

美里龍神太鼓「郷土文化への創造」を掲げ発足

地元名物となったジャンボ干支

 若林善周さんは、地域の発展と郷土芸能の普及を目指して、自らの土地を提供して太鼓の練習場を自前で建設しました。地域の農業後継者仲間に呼びかけ、平成9年6月に美里龍神太鼓を立ち上げ、和太鼓を通して心身を鍛え、豊かな想像力とたくましい精神力を養いたいと、青少年の健全育成にも力を注いでいます。
 三重県津市美里町は山村そのものです。近い将来の過疎化を目前にして、農業後継者減少の歯止めにもなるかもしれない、文化の発掘やふるさとを取り戻したい、また、郷土芸能を起爆剤として、地域住民と共に活気ある農村の町づくりをしたいという思いから、日本古来の和太鼓を通して「郷土文化への創造」をテーマに掲げ、美里龍神太鼓を発足しました。

和太鼓の練習場用に土地を提供して建設

美里龍神太鼓

 当初はすべてゼロからの出発で、何はともあれまず練習場が必要でした。自ら私有林の伐採から始めて1年、舞台付練習場としての建屋がほぼ完成しました。そしてまず将来のため、家所区1名、穴倉区1名、北三区1名の組織協力者を募り、これを基に団員確保のため日夜奮闘、当初十数名で発足しました。
 むろん和太鼓については未経験でした。タイヤ、竹、破損した太鼓等々を集め、やっとの思いで杮落しにこぎつけました。のち、練習の陣頭に立ち指導に専念し、また、本格指導のため知人の指導者に要請し、練習体制が整いました。
 美里の文化の起爆剤となればと思い立ち上げた和太鼓(美里龍神太鼓)は、当初は太鼓の数も少なく孟宗竹を太鼓に見立てて練習をしていたこともありました。現在では大小50基もの太鼓がそろっており、それらを使って日々練習に励んでいます。
 商工会主催の初舞台を皮切りに美里村文化協会に入会し、本格的に各地域のイベント、慰問等々に出演するようになりました。当初は各地域での道端において車上荷台で練習を兼ね、演奏披露を重ねました。公演を重ねるごとに自信をつけ、現在に至ります。

龍童太鼓で課外学習、宮司としてもアイデアマン

 そのほか、小学生の課外学習(龍童太鼓)として希望者を募り、地元の小学生を対象とした教室(龍童太鼓)も開催しています。学校週5日制が始まってから、和太鼓を通し課外学習の一環として、礼儀作法やしつけ、友情をモットーに青少年の健全育成に寄与する目的を持って活動しています。
 また、地元辰水神社の宮司でもある若林さんは昭和61年から毎年、ユニークなジャンボ干支を製作しており、毎年多くの見学者が来るほどの人気となっています。
 今後も龍神太鼓を中心に地域おこし活動を精力的に継続していきたいと語ってくれました。